(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の回転式役物装置では、図柄表示面を均一の輝度で明輝照光させるために複数の主反射面や補助反射面を有するリフレクタを設ける必要があり、構造の複雑化やコストの上昇を招く。また、図柄ドラムの軸心に対して直交配置された配線基板に複数のLED(発光体)が実装されているため、図柄ドラムの幅寸法(軸線方向の長さ)が長くなると、配線基板から離れた箇所の図柄表示面にLEDの光が届きにくくなり、図柄表示面に幅方向の輝度ムラが発生し易くなる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、リフレクタを用いることなく、回転表示体の表示面を均一の輝度で面発光させることが可能な回転式役物装置
を備える遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様は
、回転式役物装置
が設けられる遊技機であって、
回転式役物装置は、回転基軸と回転表示体と配線基板と複数の発光体と
光学センサとを備える。回転基軸は、遊技
機に固定的に支持され、前後方向と交叉する所定方向に沿って延びる。回転表示体は、回転基軸が内部を挿通する
空間を区画する透過性表示面部を有し、回転基軸を中心として遊技
機に回転自在に支持される。配線基板は、回転表示体の内部で回転基軸の後方に配置されて回転基軸に固定される。複数の発光体は、回転基軸の軸心よりも後方に配置され
るよう配線基
板に実装され、前方の透過性表示面部の内面へ向けて光を照射する。
光学センサは、上記所定方向に沿って配置される発光体よりも配線基板の側方部に設けられる。
【0009】
上記構成では、複数の発光体が発光して前方の透過性表示面部の内面へ向けて光を照射すると、筒状の透過性表示面部のうち前側の外面(表示面)が内側から照光されて面発光する。ここで、複数の発光体は、回転基軸の軸心よりも後方に配置されているので、複数の発光体を回転基軸の軸心よりも前方に配置した場合に比べて、発光体から前方の透過性表示面部の内面までの距離を長く設定することができる。例えば、発光体を回転基軸よりも後方に配置した場合、発光体から前方の透過性表示面部の内面までの距離を、少なくとも回転基軸の軸径分以上長く設定することができる。従って、回転式役物装置の配置場所に前後方向のスペース上の余裕が少ない等の理由から小径の回転表示体を用いなければならない場合であっても、発光体から前方の透過性表示面部の内面までの距離を長く設定することができ、リフレクタを別途設けることなく、表示面を均一の輝度で面発光させることができる。
【0010】
本発明の第2の態様は
、回転式役物装置
が設けられる遊技機であって、回転式役物装置は、回転基軸と回転表示体と配線基板と複数の発光体と光学センサとを備える。回転基軸は、遊技機に固定的に支持され、前後方向と交叉する所定方向に沿って延びる。回転表示体は、回転基軸が内部を挿通する空間を区画する透過性表示面部を有し、回転基軸を中心として遊技機に回転自在に支持される。配線基板は、回転表示体の内部で回転基軸の後方に配置されて回転基軸に固定される。複数の発光体は、回転基軸の軸心よりも後方に配置されて配線基板の前側に実装され、前方の前記透過性表示面部の内面へ向けて光を照射する。光学センサは
、配線基板の後
側に実装され、回転表示体の回転位置を光学的に検出する。
【0011】
上記構成では、配線基板の前
側及び後
側のうち、発光体が配置されていない後
側に光センサを実装したので、発光体の発光に起因した光センサの誤検出の発生を防止することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の
遊技機であって、配線基板は、回転表示体の外部へ延びて回転式役物装置から露出する延長端部を有する。延長端部の一面上には、電力供給線及び信号線が接続されるコネクタが実装される。
【0013】
上記構成では、電力供給線及び信号線を、回転表示体の外部へ延びて回転式役物装置から露出する延長端部のコネクタに接続すればよいので、回転表示体の内部に配線を行う必要がなく、配線作業性の向上及び構造の簡略化が可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れかの態様の
遊技機であって、透過性表示面部は、曲面状の複数の表示面を有する。複数の表示面は、回転基軸の軸心から略等距離で且つ該軸心と略平行な複数の稜線部によって区画され、軸心から稜線部までの距離よりも長い曲率半径を有する。
【0015】
上記構成では、複数の表示面は、軸心から稜線部までの距離よりも長い曲率半径を有しており、稜線部を通る円周面よりも平面に近い湾曲面となる。従って、小径の回転表示体を用いなければならない場合であっても、視認し易い形態の表示面を遊技者に提示することができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の何れかの態様の
遊技機であって、配線基板の前面は、前方から視て回転基軸と重なる重複領域と、該重複領域を挟む両側の非重複領域とを有し、複数の発光体は、両側の非重複領域の双方に配置される。
【0017】
上記構成では、複数の発光体を非重複領域に配置しているので、回転基軸の陰に発光体が隠れてしまうことがなく、表示面を内側から効率良く照光することができる。また、複数の発光体を両側の非重複領域の双方に配置しているので、表示面をより均一な輝度で面発光させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リフレクタを用いることなく、回転表示体の表示面を均一の輝度で面発光させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、前方とは、遊技機から該遊技機に対面して遊技を行う遊技者へ向かう方向を意味し、左右とは、遊技者から遊技機を視た状態での左右を意味する。また、図中において、FRは前方を示し、UPは上方を示す。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態例に係る遊技機(パチンコ機)は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた機器本体2と、機器本体2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられた前面扉3等を備えており、前面扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
【0022】
機枠1の左下隅部には大型のスピーカ5が配設されており、このスピーカ5は前面扉3の切り欠き内に位置して前方に露出している。機器本体2の上部内側には後述する遊技盤6が収納されており、この遊技盤6の盤面(前面)は透明板4を透して外部から目視可能となっている。また、機器本体2の右側枠部にはシリンダ錠7aを有する施錠装置7が設置されており、図示省略されているが、この施錠装置7は機器本体2の裏面に配置された後部施錠杆と機器本体2の前面に配置された前部施錠杆とを備えている。常態では、施錠装置7の後部施錠杆によって機枠1に対して機器本体2が施錠されると共に、前部施錠杆
によって機器本体2に対して前面扉3が施錠されている。そして、シリンダ錠7aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が下動して機器本体2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠7aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動して前面扉3が開錠されるようになっている。
【0023】
前面扉3には遊技盤6の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。前面扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ8が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ8と前述した大型のスピーカ5とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。さらに、前面扉3の前面下部には、遊技盤6の裏面に配設された賞球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿9と、上段受皿9から排出された遊技球を収容する下段受皿10と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦11等が設けられており、上段受皿9の右側方には
操作ハンドル12が配設されている。
【0024】
機枠1の左側枠部には上側軸受け体13と下側軸受け体14が固着されており、これら両軸受け体13,14に本体枠2の左側枠部の上下両端に設けた第1ピン(図示省略)を軸支することによって、本体枠2を機枠1に対して開閉自在に支持する第1ヒンジ機構が構成されている。一方、前面扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示省略)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の左側枠部に突設した上下の支持板2aに軸支することによって、前面扉3を本体枠2に対して開閉自在に支持する第2ヒンジ機構が構成されている。また、本体枠2の上部内側は遊技盤6の収納スペースとなっており、この
収納スペースの下方は前面扉3によって覆い隠される設置部2bとなっている。設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置15が配設されており、前述した操作ハンドル12の回動操作量に応じて発射装置15の発射強度が調整されるようになっている。
【0025】
図3に示すように、遊技盤6の裏面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御処理部16と、主制御処理部16からの指令を受けて前述したスピーカ5,8や後述する可変表示装置や役物装置ユニット等の各種装置を制御する副制御処理部17と、前述した賞球払出装置18と、主制御処理部16からの指令を受けて賞球払出装置18を制御する払出制御処理部19と、操作ハンドル12の回動操作量に応じて前記発射装置15の作動を制御する発射制御処理部20と、賞球数や大当り回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板21等が設けられている。主制御処理部16は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装された制御基板(メイン基板)とを備えており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
【0026】
図4に示すように、遊技盤6の前面はガイドレール22等によって略円形状に区画された遊技領域23となっており、遊技者が操作ハンドル12を任意角度まで回動操作すると、前記発射装置15が上段受皿9に保留された遊技球を遊技領域23に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域23の上部中央付近にはセンター役物24が配置されており、このセンター役物24は、中央部に矩形状の開口部25aを有する装飾枠25と、装飾枠25の下壁部に配設された後述する役物装置ユニット(回転式役物装置)26と、装飾枠25の裏面側に配置された可変表示装置27とを具備している。可変表示装置27は液晶パネル(LCD)からなり、その表示画面27aは装飾枠25の開口部25aから露出している。
【0027】
装飾枠25には役物装置ユニット26の前方位置で左右方向へ延びるステージ28が設けられており、このステージ28の中央部には前方側へ傾斜する誘導溝28aが形成されている。また、装飾枠25の左側壁には中空構造のワープ通路29が形成されており、このワープ通路29の両端は遊技領域23とステージ28に向けてそれぞれ開口している。したがって、センター役物24の左側の遊技領域23を流下する遊技球がワープ通路29に入球すると、その遊技球はワープ通路29の内部を通ってステージ28に排出された後、ステージ28上を転動して誘導溝28aへと導かれる。
【0028】
ステージ28の誘導溝28aの真下位置には上面を開口した単純構造の第1始動入賞口30が配設されており、ステージ28上を転動して誘導溝28aから落下した遊技球が高い確率で第1始動入賞口30に入賞するようになっている。第1始動入賞口30の左右の斜め下方にはそれぞれ第2始動入賞口31が配設されており、これらの第2始動入賞口31は一対の可動片を有する電動チューリップ構造の始動入賞口となっている。そして、これら第1および第2始動入賞口30,31のいずれか一方に遊技球が入賞すると、それを契機として特別図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果に基づいて可変表示装置27の表示画面27a上で演出用図柄の変動表示および停止表示が行われる。また、装飾枠25の右下隅部にスルーチャッカー32が配設されており、遊技球がこのスルーチャッカー32を通過すると、それを契機として普通図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果が当りの場合に第2始動入賞口31の両可動片を一時的に開放して遊技球の入賞を許可するようになっている。
【0029】
さらに、ステージ28の右斜め下方位置にはアタッカ装置33が配設されており、このアタッカ装置33は内部の大入賞口を開閉可能な横長形状の開閉扉を有している。アタッカ装置33は、第1および第2始動入賞口30,31のいずれか一方に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、当りとなって大当り遊技状態(特別遊技モード)へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄の抽選結果が当りの場合、アタッカ装置33の開閉扉が複数回繰り返して開放動作することにより、大入賞口を露呈させて遊技球の入賞を許可するようになっている。開閉扉は1回の開放動作(1ラウンド)について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入るまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当り遊技が終了する。
【0030】
その他、遊技領域23には、遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口34や、遊技球の流下経路を担う風車35と複数本の遊技釘36等が配設されており、いずれの始動入賞口30,31や一般入賞口34にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域23の最下端部に設けられたアウト口37から遊技盤6の裏面側に排出されるようになっている。
【0031】
役物装置ユニット26は、前述した特別図柄に係る電子抽選の結果を可動体の可動態様によって遊技者に示唆することができる装置である。役物装置ユニット26は、
図5〜
図12に示すように、パチンコ機本体側(遊技盤6)に固定されるケース体38と、ケース体38に固定的に支持される回転基軸40と、回転基軸40を中心としてパチンコ機本体側(ケース本体38)に回転自在に支持される回転表示体39と、回転基軸39に固定される配線基板41と、配線基板41の前面41aに実装される複数(本実施形態例では8個)のLED(発光体)42と、回転表示体39の回転位置(初期位置)を光学的に検出するフォトセンサ(光学センサ)46と、回転表示体39の駆動源であるモータ44と、モータ44の駆動回転を回転表示体39へ伝達するギア機構45とによって主に構成されている。役物装置ユニット26が配設される装飾枠25の下壁部は、前後方向のスペース上の余裕が少ない部位であるため、回転表示体39の径方向の大きさも自ずと制限される。なお、本実施形態例では、モータ44の駆動がギア機構45を介して回転表示体39の左側に入力するため、左側を駆動側とし、右側を従動側として説明する。
【0032】
回転基軸40は、ケース体38及び配線基板41との相対回転を防止するため、非円形断面の棒体状であり、本実施形態例では六角柱状に形成されている。
【0033】
ケース体38は、ベースカバー47と駆動側カバー48と回転支持板49と従動側外カバー50とから構成される。
【0034】
ベースカバー47は、前方が開口する半円筒状のメインカバー部51と、メインカバー部52の駆動側端部から下方へ一体的に延びるギアカバー部52と、メインカバー部52の従動側端面を塞ぐ従動側内カバー部53とを一体的に有し、メインカバー部51が遊技機側に固定される。メインカバー部51の前方の開口範囲は、後述する分割ドラム70の1つを露出させる大きさに設定されている。
【0035】
駆動側カバー48は、複数(本形態例では3本)のビス54によってベースカバー47の駆動側端面に締結固定され、役物装置ユニット26の駆動側端面を覆う。メインカバー47に固定された駆動側カバー48の上部48aは、メインカバー部52の駆動側端面を塞ぎ、下部48bは、ギアカバー部52との間にギア収容空間55(
図12参照)を区画する。
【0036】
回転支持板49は、略円形の外周を有する円板状であり、従動側内カバー部52の内面(右側面)に対向配置され、複数(本形態例では2本)のビス56によって従動側内カバー部52に締結固定される。従動側外カバー50は、従動側内カバー部52の外面(左側面)に対向配置され、複数(本形態例では2本)のビス57によって従動側内カバー部52に締結固定され、役物装置ユニット26の従動側端面を覆う。
【0037】
駆動側カバー48と回転支持板49と従動側内カバー部52とには、回転基軸40が挿通されて回転方向に係合する六角形状の軸係合孔58,59,60がそれぞれ形成されている。駆動側カバー48の軸係合孔57は回転基軸40の駆動側を、回転支持板49及び従動側内カバー部52の軸係合孔58,59は回転基軸40の従動側を、それぞれ固定的に(回転を阻止した状態で)支持する。駆動側及び従動側がそれぞれケース体38によって支持された回転基軸40は、前後方向と交叉する所定方向(本実施形態例では斜め横方向)に沿って延びる。回転基軸40の軸方向の移動は、駆動側カバー48及び従動側外カバー50によって阻止され、回転基軸40は、ケース体38によって回転不能な状態で所定位置に保持される。
【0038】
図5、
図13及び
図14に示すように、回転表示体39は、周方向に沿って略3等分に分割される3つの分割ドラム70と、駆動側連結板71と、従動側連結環72とから構成される。各分割ドラム70は、湾曲板状で光透過性を有する表示面部(透過性表示面部)73と、表示面部73の駆動側端部から径方向内側へ曲折する板状の駆動側連結部74と、表示面部73の従動側端部から径方向内側へ曲折する板状の従動側連結部75とを一体的に有する。駆動側連結部74は、複数(本形態例では3本)のビス76によって駆動側連結板71の内側面(右側面)にそれぞれ締結固定される。従動側連結部75には、2つの位置決め孔77と1つロック孔78とがそれぞれ形成され、従動側連結環72には、位置決め孔77に対応する2つの位置決め突起79とロック孔78に対応する1つのロック突起80とがそれぞれ突設されている。位置決め突起79を対応する位置決め孔77に挿入しながらロック突起80を対応するロック孔78に挿入して、ロック突起80をロック孔78に係合させることによって、従動側連結部75は、従動側連結環72の内側面(左側面)にそれぞれ固定される。各分割ドラム70の駆動側連結部74及び従動側連結部75を駆動側連結板71及び従動側連結環72にそれぞれ固定することによって、3つの表示面部73が全体として筒状を形成し、各表示面部73の外面がそれぞれ1/3略円筒状の図柄表示面70aとなる。
【0039】
分割ドラム70はインモールド成形によって形成された樹脂成形品からなる。駆動側連結部74及び従動側連結部75は、それぞれ樹脂材料のみで成形されているが、図柄表示面70aには分割ドラム70ごとに異なる図柄が施されており、このような分割ドラム70はシングルインモールドと呼ばれる成形方法を用いて得られる。かかるインモールド成形方法は、予め所望の図柄を印刷(または蒸着)したベースフィルムを射出成形機の金型内に挟み込み、射出成形の熱と圧力によってベースフィルム上の図柄を成形品に転写させるという成形方法であり、成形品の外表面にベースフィルムから剥がれた図柄を転写箔として形成することができる。また、成形品の内表面(表示面部73の内面)にレンズカット形状の凹凸部81が形成されており、この凹凸部81によってLED42からの光が屈折されるようになっている。凹凸部81は金型のキャビティ内面に設けられた凹凸形状を成形品に転写することによって形成され、インモールド成形によって外表面の図柄(転写箔)と内表面のレンズカット加工(凹凸部81)を同時に形成することができる。
【0040】
なお、図柄表示面70aの外表面において、遮光性のインクや金属蒸着膜で形成された転写箔は遮光性領域となり、転写箔の存在しない部分は光透過領域となり、光透過インクで形成された転写箔も光透過領域となり、この光透過領域に対応する成形品の内表面に凹凸部81が形成されている。また、転写箔が存在せずに成形品の外表面が露出している光透過領域では、凹凸部81を成形品の内表面だけでなく外表面にも形成することができ、その場合、凹凸部81のレンズカット形状を成形品の表裏両面で異ならせることも可能である。
【0041】
このようにして成形された3つの分割ドラム70は、各分割ドラム70の駆動側連結部74及び従動側連結部75を駆動側連結板71及び従動側連結環72にそれぞれ固定することによって、3つの図柄表示面70aが周方向に隙間なく連続する筒状の回転表示体39として組み立てられる。回転表示体39の駆動側端部には、3つの駆動側連結部74によって軸挿通孔90が区画形成されるとともに、駆動側連結板71に軸挿通孔91が形成され、これらの軸挿通孔90,91を介して回転表示体39の内部と外部とが連通する(
図13参照)。回転表示体39の従動側端部には、駆動側の軸挿通孔90,91よりも大きい円形状の開口孔92が3つの従動側連結部75によって区画形成され、開口孔92と従動側連結環72の内径部とを介して回転表示体39の内部と外部とが連通する(
図13参照)。
【0042】
駆動側連結板71の外側面(左側面)には、外周にギアが形成された円筒状の回転体ギア82が一体的に突設され、駆動側カバー48の内側面(右側面)には、円筒状の回転支持環部83が一体的に突設されている。回転体ギア82の内周面は、回転支持環部83の外周面と摺動自在に係合する。この係合によって、回転表示体39の駆動側は、回転基軸40を中心として回転自在にケース体39に支持される。一方、従動側連結環71の内周面は、回転支持板49の内周面と摺動自在に係合する。この係合によって、回転表示体39の従動側も、回転基軸40を中心として回転自在にケース体39に支持される。
【0043】
回転表示体39の駆動側及び従動側がそれぞれ回転自在にケース体30に支持された状態で、回転基軸40は、筒状の表示面部73の内部を挿通する。回転基軸40の駆動側は、駆動側連結部74及び駆動側連結板71の軸挿通孔90,91を非干渉状態で挿通して回転表示体39の外部へ突出する。回転基軸40の従動側は、従動側連結部75の開口孔92と従動側連結環72の内径部分とを非干渉状態で挿通して回転表示体39の外部へ突出する。
【0044】
隣接する表示面部73間の境界部分は、回転基軸40の軸心Sから略等距離で且つ軸心Sと略平行な複数(本実施形態例では3本)の直線状の稜線部84を形成する。稜線部84によって区画される各図柄表示面70aは、軸心Sから稜線部84までの距離よりも長い曲率半径を有する(軸心Sを中心として3つの稜線部84を通る円よりも曲率が小さい)曲面状に形成されている。すなわち、本実施形態例の回転表示体39の表示面部73は、円筒と三角筒との中間形状(円筒を三角筒へ徐々に変形させる際の途中形状)である。
【0045】
モータ44は、複数(本形態例では2本)のビス
89によってベースカバー47のギアカバー部52の外側面(左側面)に締結固定される。モータ44の駆動軸44aは、ギアカバー部52の駆動軸挿通孔(図示省略)を挿通してギア収容空間55へ延びる(
図12参照)。ギア機構45は、モータ44の駆動軸44aに固定されるモータギア86と、駆動側カバー48の内側面(右側面)に突設されたギア支持軸部87(
図5参照)に回転自在に支持される中間ギア88と、回転表示体39の回転体ギア82とから構成される。中間ギア88は、モータギア86及び回転体ギア82と噛み合い、モータ44の回転駆動がモータギア86及び中間ギア88を回転体ギア82へ伝達され、モータ44による回転表示体39の回転駆動及び停止が可能となる。
【0046】
回転表示体39の内部の回転基軸40には、配線基板取付部材61が固定される。配線基板取付部材61は、左右両端に固定板部62を一体的に有し、固定板部62には、回転基軸40が挿通されて回転方向に係合する六角形状の軸係合孔63が形成されている。従動側(右側)の固定板部62には、回転支持板49に形成された係合孔64に挿入されて係合する係合突起65が突設されている。軸係合孔63が回転基軸40に係合し、係合突起65が係合孔64に係合することによって、回転基軸40に対する配線基板取付部材61の回転が阻止される。配線基板取付部材61の軸方向の移動は、回転支持板49と、回転基軸40の所定位置に嵌合されるワッシャリング66とによって阻止され、配線基板取付部61は、回転不能な状態で所定位置に保持される(
図7参照)。
【0047】
配線基板41は、回転基軸40の後方で、回転基軸40の軸心Sと略平行で且つ略鉛直方向に起立した姿勢で、複数(本形態例では2本)のビス67によって配線基板取付部材61に締結固定される。
【0048】
8個のLED42は、回転基軸40の軸心Sよりも後方に配置されて配線基板41の前面41a上に実装され、前方の表示面部73の内面へ向けて光を照射する(
図7参照)。配線基板41の前面41aは、前方から視て回転基軸40及び配線基板取付部材61と重なる重複領域68と、重複領域68を挟む上下両側に位置し、前方から視て回転基軸40及び配線基板取付部材61と重ならない非重複領域69とを有し(
図11参照)、8個のLED42は、上下の非重複領域69にそれぞれ4個ずつ、軸方向(左右方向)に沿って略等間隔に上下交互に千鳥状(ジグザグ状)に配置される(
図10参照)。
【0049】
配線基板41には、LED42の実装領域から従動側へ延びる延長部93が一体形成されている(
図5参照)。延長部93は、回転表示体39の従動側端部の開口孔92、従動側連結環72の内径部分、回転支持板49に形成された開口窓95、及び従動側内カバー部53に形成された開口窓96挿通する。延長部93の先端部である延長端部94は、回転表示体39及びケース体38の外部へ延び、役物装置ユニット26から露出する。
【0050】
フォトセンサ46は、回転表示体39の従動側連結環72の内側に配置され、配線基板41の延長部93の後面41b上に実装される。従動側連結環72には、フォトセンサ46の検出対象となる被検出部85が突設され、被検出部85の回転軌跡の一部にフォトセンサ46の光路が配置されている。回転表示体39の回転に伴って被検出部85がフォトセンサ46の光路内に到達する(フォトセンサ46の発光素子と受光素子との間に達する)と、光検出センサ46の光路が被検出部85によって遮られて受光素子が光の遮断を検出し、その検出信号に基づいて回転表示体39の初期位置が検出される。
【0051】
配線基板41の延長端部94の後面41b上には、基板コネクタ(コネクタ)100が実装され、基板コネクタには、電力供給線101の先端及び信号線102の先端に固定された端子コネクタ103が着脱可能に接続される(
図7参照)。電力供給線101を介して、配線基板41(LED42やフォトセンサ46等)に電力が供給され、信号線102を介して、フォトセンサ46の検出信号の送信やLED42の発光制御信号の受信が行われる。従動側外カバー50には、基板コネクタ100(延長端部94)の前方及び上下を覆うコネクタカバー部97が形成されている。本実施形態例の発光制御では、任意の分割ドラム70が配線基板41の前方で停止したとき、各LED42からの光がその分割ドラム70の図柄表示面56aの裏側に向けて照射されるようになっている。
【0052】
なお、役物装置ユニット26が装飾枠25の所定位置に固定された状態で、役物装置ユニット26のコネクタカバー部97(配線基板41の延長端部94の基板コネクタ100)は、装飾枠25の一部を構成する意匠25bによって覆われる(
図6及び
図7参照)。これにより、遊技者からの見栄えが向上する。
【0053】
このように構成された遊技機(パチンコ機)において、通常、役物装置ユニット26は非動作状態に維持されており、回転表示体39は所定又は任意の初期位置で停止し、LED42は消灯した状態となっている。
【0054】
この状態でモータ44を駆動すると、モータ44の回転がギア機構45を介して回転表示体39に伝達され、回転表示体39が回転基軸40の軸心Sを中心として回転する。この場合、モータ44の回転を制御することにより、それまでベースカバー47の前方開口からに露出していた任意の分割ドラム70の代わりに別の分割ドラム70をベースカバー47から露出させたり、回転表示体39を正逆両方向へ微小回転してベースカバー47からに露出する分割ドラム70を小刻みに震わせる等の可動演出を行うことができる。なお、フォトセンサ46によって回転表示体39の初期位置が検出されるため、フォトセンサ46の検知信号に基づいてモータ44の回転量を正確に制御することができる。
【0055】
また、回転表示体39の回転中や停止時に配線基板41上に実装された各LED42を点灯すると、LED42の光が配線基板41の前方に位置する分割ドラム70の図柄表示面70aに対して裏面側(内側)から照射され、この光は図柄表示面70aの光透過領域を通過して前方へ出射される。その際、配線基板41が回転基軸40の軸心Sよりも後方に配置されているため、配線基板41上のLED42が各分割ドラム70の図柄表示面70aに対して離れた位置に配置されることになり、リフレクタを別途設けることなく、図柄表示面70aを均一の輝度で照光することができる。
【0056】
また、分割ドラム70における図柄表示面70aの内表面の任意箇所にレンズカット形状の凹凸部81が形成されており、図柄表示面70aの内表面に向かうLED42の光が凹凸部81で屈折されて前方へ出射されるため、図柄表示面70aの任意箇所をギラツキ感のある光で照光することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態例に係る役物装置ユニット26では、複数のLED42が発光して前方の表示面部73の内面へ向けて光を照射すると、筒状の表示面部73のうち前側に位置する分割ドラム70の図柄表示面70aが内側から照光されて面発光する。ここで、複数のLED42は、回転基軸40の軸心Sよりも後方に配置されているので、複数のLED42を軸心Sよりも前方に配置した場合に比べて、LED42から前方の図柄表示面70aまでの距離を長く設定することができる。例えば、LED42を回転基軸40よりも後方に配置した場合、LED42から前方の図柄表示面70aまでの距離を、少なくとも回転基軸40の軸径分以上長く設定することができる。従って、役物装置ユニット26の配置場所に前後方向のスペース上の余裕が少ない等の理由から小径の回転表示体39を用いなければならない場合であっても、LED42から前方の図柄表示面70aまでの距離を長く設定することができ、リフレクタを別途設けることなく、図柄表示面70aを均一の輝度で面発光させることができる。
【0058】
また、配線基板41の前面41a及び後面41bのうち、LED42が配置されていない後面41b上にフォトセンサ46を実装したので、LED42の発光に起因したフォトセンサ46の誤検出の発生を防止することができる。
【0059】
また、電力供給線101及び信号線102を、回転表示体39の外部へ延びて役物装置ユニット26から露出する配線基板41の延長端部94の基板コネクタ100に接続すればよいので、回転表示体39の内部に配線を行う必要がなく、配線作業性の向上及び構造の簡略化が可能となる。
【0060】
また、複数の図柄表示面70aは、回転基軸40の軸心Sから稜線部84までの距離よりも長い曲率半径を有しており、稜線部84を通る円周面よりも平面に近い湾曲面となる。従って、小径の回転表示体39を用いなければならない場合であっても、視認し易い形態の図柄表示面70aを遊技者に提示することができる。
【0061】
さらに、複数のLED42を配線基板41のうち回転基軸40と重ならない非重複領域69に配置しているので、回転基軸40の陰にLED42が隠れてしまうことがなく、図柄表示面70aを内側から効率良く照光することができる。また、複数のLED42を、上下の非重複領域69にそれぞれ同数ずつ、軸方向に沿って略等間隔に上下交互に千鳥状(ジグザグ状)に配置しているので、図柄表示面70aをより均一な輝度で面発光させることができる。
【0062】
また、中空構造の回転表示体39が円筒状に連結された複数の分割ドラム70からなり、これら各分割ドラム70がそれぞれ図柄表示面70aを有する樹脂成形品であるため、各分割ドラム70の周面全域を図柄表示面70aとして利用することができる。そして、これら分割ドラム70が外表面に転写箔を有するインモールド成形品からなり、この分割ドラム70の少なくとも内周面にレンズカット形状の凹凸部81が形成されているため、多種多様の図柄表示面70aを有する分割ドラム70を容易に成形することができる。しかも、分割ドラム70の成形品に施されたレンズカット加工によって図柄表示面70aのギラツキ感などを適宜調整することが可能となり、様々な発光態様に好適な回転式役物装置を実現することができる。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態例について説明したが、これらの実施形態例による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。
【0064】
例えば、上記実施形態例では、3分割した分割ドラム70を周方向に連続して円筒状の回転表示体39を構成した場合について説明したが、分割ドラム70の分割数は3つに限定されず、2分割又は4分割以上であってもよい。
【0065】
また、回転表示体39を分割ドラム70によって分割可能に構成せず、筒状の一体品として形成してもよい。
【0066】
さらに、ケース体38の前方開口にシャッタを設け、ケース体38から前方へ露出する図柄表示面70aを遮蔽可能に構成してもよい。