(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属張積層板の前記金属箔にコンフォーマルマスクを形成する工程をさらに備え、 前記電子部品搭載工程では、前記金属張積層板の厚さ方向に見て前記コンフォーマルマスクが前記電子部品の前記端子部に含まれるように、前記電子部品を前記接着剤層の上に搭載し、
前記レーザ加工工程では、前記コンフォーマルマスクに露出した前記絶縁基材を除去することにより、前記ビアホールを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の部品内蔵プリント配線板の製造方法。
前記レーザ加工工程では、前記金属張積層板の前記金属箔にレーザ光を照射して前記金属箔および前記絶縁基材を除去することにより、前記ビアホールを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の部品内蔵プリント配線板の製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクス機器の小型化、薄型化および高機能化に伴って、プリント配線板に電子部品を高密度実装し、プリント配線板の高機能化を推進しようとする動きが益々強くなっている。このような状況の中、電子部品を内部に埋め込んだ部品内蔵プリント配線板が知られている。
【0003】
部品内蔵プリント配線板では、半導体チップやコンデンサなどの電子部品が内部に埋め込まれるため、プリント配線板の面積を削減することができる。また、通常のプリント配線板の場合と比較して、電子部品を配置する自由度が高まることから、複数の電子部品を最短距離で接続することが可能となる。その結果、寄生インダクタンス等が減少し、高周波特性の改善なども見込まれる。
【0004】
上記部品内蔵プリント配線板においては、内蔵された電子部品と外側の配線層とを電気的に接続するビアの接続信頼性を確保することが歩留まりを向上させる上で重要である。
【0005】
特許文献1では、厚みの異なる複数の電子部品を内蔵する部品内蔵プリント配線板において、基板に設けた凹部やスペーサ部材を用いて電子部品の高さを揃え、ビアの深さを一定に揃えることで、歩留まりを改善する手法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の手法を採った場合、基板に凹部を設けたり、スペーサを固定したりする必要があるため、製造工程が煩雑となり、製造コストが上昇するおそれがある。
【0008】
また、ビアの深さを一定に揃えたとしても、電子部品の搭載位置精度が確保されなければ、ビアの接続信頼性を確保できず、歩留まりを向上させることはできない。このことについて、
図4を参照して詳しく説明する。
図4は、従来の部品内蔵プリント配線板の製造方法を説明するための工程断面図を示している。
【0009】
まず、ポリイミドやガラスエポキシ等からなる絶縁基材104と、絶縁基材104の片面に設けられた銅箔105とを有する片面銅張積層板103を用意する。そして、銅箔105の所定の部分をエッチングで除去することにより、
図4(1)に示すように、ビア形成用のコンフォーマルマスク105aを形成する。また、この際、アライメント用のターゲットマークを形成する。
【0010】
次に、コンフォーマルマスク105aと同時に形成したアライメント用のターゲットマークを用いて、
図4(1)に示すように、絶縁基材104の所定の位置に接着剤を印刷し、接着剤層106を形成する。接着剤層106は、接着剤層106に搭載される電子部品102よりも平面サイズが大きい。
【0011】
次に、
図4(1)に示すように、表面実装型の電子部品102を接着剤層106上にマウンターで搭載し、電子部品102が固定されるまで接着剤層106を熱硬化させる。なお、電子部品102の平面サイズは、例えば0.6mm×0.3mmであり、電子部品102の端子部(電極)102aの平面サイズは、約0.2mm×0.3mmである。
【0012】
接着剤層106を熱硬化させる際に、
図4(1)および
図4(2)からわかるように、電子部品102の搭載位置がずれることがある。この位置ずれは、接着剤層106が硬化開始前にいったん低粘度化し、その後、不均一に硬化していくことにより発生するものと考えられる。接着剤層106が低粘度化した際に、接着剤層106よりも平面サイズの小さい電子部品102が接着剤層106の中をいわば泳ぐような状態になるため、電子部品102は当初の搭載位置から位置ずれしてしまうものと考えられる。
【0013】
次に、部品充填材109および片面銅張積層板110を用意する。片面銅張積層板110は、絶縁基材110aと、絶縁基材110aの片面に設けられた銅箔110bとを有する。そして、
図4(2)に示すように、電子部品102を搭載した片面銅張積層板103と、部品充填材109と、片面銅張積層板110とをこの順で積層して積層体を形成し、この積層体に対して加熱および加圧を行って積層体を一体化させる。
【0014】
次に、
図4(3)に示すように、コンフォーマルマスク105aを用いたレーザ加工により、ビア形成用のビアホール107を形成する。このレーザ加工にはCO
2レーザ等を使用する。また、ドリルにより、めっきスルーホール形成用のスルーホール112を形成する。
【0015】
前述のように接着剤層106を硬化させる工程で電子部品102の搭載位置が当初の位置からずれている。このため、
図4(3)に示すように、ビアホール107の底部には、電子部品102の端子部102a以外の部分(部品充填材109、電子部品102の本体部など)が露出しており、ビアホール107の形状が安定していない。
【0016】
次に、
図4(4)に示すように、ビアホール107,スルーホール112に対して過マンガン酸などを用いたデスミア処理を行った後、導電化処理およびそれに続く電解銅めっき処理を行い、銅めっき皮膜113を形成する。ビアホール107の内壁に形成されためっき皮膜113は、電子部品102と銅箔105とを電気的に接続するビア108を構成する。また、スルーホール112の内壁に形成されためっき皮膜113は、銅箔105と銅箔110bとを電気的に接続するめっきスルーホール114を構成する。
【0017】
その後、公知のフォトファブリケーション手法を用いて、銅箔105および銅めっき皮膜113からなる導電膜をパターニングして外側の配線層(図示せず)を形成する。これにより、電子部品102と外側の配線層とがビア108により電気的に接続された部品内蔵プリント配線板が得られる。
【0018】
上記の製造方法により部品内蔵プリント配線板を製造した場合、前述のように、接着剤層106を硬化させる際に電子部品102の搭載位置が当初の位置からずれる場合がある。このような場合、ビアホール107の形状が安定せず、また、レーザ加工で除去する材料も安定しないためレーザ加工性も低下する。よって、ビアホール107に形成されるビア108の接続信頼性が低下し、部品内蔵プリント配線板の歩留まりの低下につながる。
【0019】
なお、電子部品102の搭載位置精度を上げるために、接着剤層106の平面サイズを電子部品102の平面サイズよりも小さくすることが考えられる。しかし、部品充填材109は、実際には、部品内蔵プリント配線板の平坦性を確保するため、フィラー109aを含有することが一般的である。
図5(a)に示すように、粒径の小さいフィラー109aが電子部品102と絶縁基材104との間に入り込むおそれがある。この場合、ビアホール107を形成する際にレーザで除去する領域にフィラーが含まれることとなり、ビアホール107のレーザ加工性が低下する。その結果、ビア108の接続信頼性が低下してしまう。
【0020】
また、
図5(b)に示すように、接着剤層106がフィラー106aを含有する場合にも、ビアホール107のレーザ加工性が低下してしまう。さらに、フィラーの粒径や密度のばらつきに起因して、電子部品102が絶縁基材104に対して傾斜して搭載されるおそれがある。この場合も、ビアホール107の形状が不安定になり、ビア108の接続信頼性が低下してしまう。
【0021】
本発明は、上記の技術的認識に基づいてなされたものであり、部品内蔵プリント配線板において、内蔵された電子部品と外側の配線層とを電気的に接続するビアの接続信頼性を向上させ、部品内蔵プリント配線板の歩留まりを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明による部品内蔵プリント配線板の製造方法は、
表面実装型の電子部品が内蔵された部品内蔵プリント配線板の製造方法であって、
第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する絶縁基材と、前記絶縁基材の前記第2の主面に設けられた金属箔とを有する金属張積層板を準備する工程と、
フィラーを含有せず、平面サイズが前記電子部品の平面サイズ以下の接着剤層を、前記絶縁基材の前記第1の主面上に形成する接着剤層形成工程と、
前記接着剤層の上に前記電子部品を搭載する電子部品搭載工程と、
前記電子部品が前記接着剤層により前記絶縁基材に固定されるように前記接着剤層を硬化させる工程と、
フィラーを含有し、このフィラーとして、粒径が前記電子部品と前記絶縁基材との隙間以下のものを含有しない部品充填材を準備する工程と、
前記金属張積層板とカバー材とで前記部品充填材を挟んだ積層体に対して加熱および加圧を行って前記積層体を一体化させることにより、前記電子部品が前記部品充填材に埋設された部品内蔵基材を作製する工程と、
前記部品内蔵基材にレーザ光を照射することにより、前記絶縁基材を厚さ方向に貫通し且つ底面に前記電子部品の端子部が露出したビアホールを形成するレーザ加工工程と、
前記金属箔と前記電子部品の前記端子部とを電気的に接続するビアを形成する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明による部品内蔵プリント配線板は、
第1の主面および前記第1の主面と反対側の第2の主面を有する絶縁基材と、
前記絶縁基材の前記第1の主面上に形成された接着剤層と、
前記接着剤層により前記絶縁基材に固定された表面実装型の電子部品と、
前記絶縁基材の前記第1の主面上に設けられ、前記電子部品を埋設する部品充填材と、
前記絶縁基材とともに前記部品充填材を挟み込むカバー材と、
前記絶縁基材の前記第2の主面に設けられた配線層と、
前記絶縁基材を厚さ方向に貫通し且つ底面に前記電子部品の端子部が露出するビアホールに設けられ、前記端子部と前記配線層とを電気的に接続するビアと、
を備え、
前記接着剤層は、フィラーを含有せず、平面サイズが前記電子部品の平面サイズ以下であり、
前記部品充填材は、フィラーを含有し、このフィラーとして、粒径が前記電子部品と前記絶縁基材との隙間以下のものを含有しない、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、接着剤層は、平面サイズが電子部品の平面サイズ以下である。これにより、接着剤層を硬化させる際に電子部品の位置ずれが発生することを防止し、高い搭載位置精度を実現することができる。その結果、ビアホールの形状を安定させるとともに、ビアホールのレーザ加工性を向上させることができる。
【0025】
また、本発明では、部品充填材は、フィラーを含有し、このフィラーとして、粒径が電子部品と絶縁基材との隙間以下のものを含有しない。これにより、部品内蔵基材を作製する工程において、部品充填材のフィラーが電子部品と絶縁基材との隙間に入り込むことを防止する。よって、接着剤層の平面サイズが電子部品の平面サイズより小さい場合であっても、ビアホールを形成する際にレーザ加工で除去する領域にフィラーが含まれることがない。即ち、接着剤層の平面サイズが電子部品の平面サイズよりも小さい場合であっても、ビアホールのレーザ加工性が低下することを防止できる。
【0026】
さらに、本発明では、電子部品を絶縁基材に固定する接着剤層は、フィラーを含有しない。これにより、接着剤層の膜厚が均一化されるとともに、フィラーの粒径や密度のばらつきに起因して電子部品が絶縁基材に対して傾いて固定されることが防止される。よって、ビアホールの形状を安定させるとともに、ビアホールのレーザ加工性を向上させることができる。
【0027】
このように、ビアホールの形状を安定させるとともにビアホールのレーザ加工性を向上させることができるため、本発明によれば、ビアホールに形成され、電子部品と配線層とを電気的に接続するビアの接続信頼性を向上させることができる。その結果、部品内蔵プリント配線板の歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。また、図面は模式的なものであり、実施形態に係る特徴部分を中心に示すものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0030】
図1〜
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る部品内蔵プリント配線板1の製造方法について説明する。
図1は、部品内蔵プリント配線板1の製造方法を説明するための工程断面図である。
図2は、
図1に続く、部品内蔵プリント配線板1の製造方法を説明するための工程断面図である。
図3(a)は、部品内蔵プリント配線板1の断面図である。
図3(b)は、
図1(2)の電子部品搭載状態における金属張積層板の平面図を示している。
【0031】
まず、
図1(1)に示すように、主面4aおよび主面4aと反対側の主面4bを有する絶縁基材4と、絶縁基材4の主面4bに設けられた金属箔5とを有する金属張積層板3を準備する。この金属張積層板3は、例えば、絶縁基材4として25μm厚のポリイミドフィルムを有し、金属箔5として12μm厚の電解銅箔を有する片面銅張積層板である。
【0032】
絶縁基材4は、ポリイミド等のように可撓性を有する基板材料からなるものの他、ガラスエポキシやアラミド材のように硬質基板材料からなるものでもよい。また、金属箔5は、銅箔に限らず、他の金属(銀、アルミニウムなど)からなるものでもよい。
【0033】
次に、
図1(1)に示すように、金属張積層板3の金属箔5に、ビア形成用のコンフォーマルマスク5a(例えばφ70μm)を形成する。この際、各種位置合せ用のターゲットマーク(部品実装ターゲットなど)も形成しておくことが好ましい。なお、本工程における金属箔5のパターニングは、例えば、公知のフォトファブリケーション手法により行う。
【0034】
次に、
図1(1)に示すように、絶縁基材4の主面4a上に、フィラーを含有しない接着剤層6を形成する(接着剤層形成工程)。
【0035】
接着剤層6の平面サイズは、電子部品2の平面サイズ以下である。例えば、接着剤層6の平面サイズは0.4mm×0.1mmである。
【0036】
接着剤層6は、スクリーン印刷などの印刷手法を用いて、フィラーを含有しない接着剤を絶縁基材4の所定の部分に印刷することにより形成する。接着剤は、熱硬化性のものでもよいし、UV硬化性のものでもよい。接着剤層6の厚さは、例えば30μmである。
【0037】
なお、接着剤層6は、スクリーン印刷以外の印刷手法、例えば、インクジェット印刷、ディスペンス法、転写法などを用いて形成してもよい。
【0038】
また、接着剤層6は、印刷手法で形成する場合に限らない。例えば、主面4aを被覆するように接着剤シートを絶縁基材4に貼り合わせた後、該接着剤シートをパターン加工することにより接着剤層6を形成してもよい。
【0039】
次に、
図1(2)および
図3(b)に示すように、マウンター等を用いて、接着剤層6の上に表面実装型の電子部品2を搭載する(電子部品搭載工程)。 電子部品2の搭載は、例えば、前述の部品実装ターゲットを認識して、その位置に基づいて行う。
【0040】
図3(b)に示すように、金属張積層板3の厚さ方向に見てコンフォーマルマスク5aが電子部品2の端子部(電極)2aに含まれるように、電子部品2を搭載する。好ましくは、金属張積層板3の厚さ方向に見て、コンフォーマルマスク5aが端子部2aの中央部に重なるように電子部品2を搭載する。
【0041】
電子部品2の平面サイズは、例えば0.6mm×0.3mmであり、厚みは例えば330μmである。また、端子部(電極)2aの平面サイズは、例えば、0.2mm×0.3mmである。
【0042】
次に、電子部品2が接着剤層6により絶縁基材4に固定されるように接着剤層6を硬化させる。接着剤層6が熱硬化性接着剤からなる場合は、所定の条件(例えば175℃/60分)で加熱することにより接着剤層6を硬化させる。
【0043】
次に、部品充填材7およびカバー材9を用意する。カバー材9は、例えば、金属張積層板3と同じ金属張積層板である。即ち、カバー材9は、絶縁基材9aと、絶縁基材9a上に設けられた金属箔9bとを有する。なお、カバー材9として、金属箔を有しない絶縁基材(樹脂シートなど)を用いてもよい。
【0044】
部品充填材7は、例えば、硬化中間状態(Bステージ)の接着剤である。部品充填材7は、部品内蔵プリント配線板1の平坦性を確保しつつ電子部品2を埋設する必要があることから、電子部品2よりも厚いものを使用することが好ましい。例えば、厚みが330μmの電子部品2に対して、厚みが350μmの部品充填材7を用意する。
【0045】
部品充填材7は、部品内蔵プリント配線板1の平坦性を確保するため、フィラー8を含有するものを用いる。より詳しくは、部品充填材7は、フィラー8として、粒径が電子部品2と絶縁基材4との隙間以下のものを含有しない。換言すれば、部品充填材7が含有するフィラー8の最小粒径は、電子部品2と絶縁基材4との隙間よりも大きい。なお、本発明でいう「隙間」は、硬化した接着剤層6により絶縁基材4に固定された電子部品と、絶縁基材4との間の距離である。
【0046】
例えば、硬化後の接着剤層6の厚みは、5μm〜10μm程度であることから、フィラー8の粒径は、好ましくは、15μm以上50μm以下とする。
【0047】
次に、
図1(3)および
図2(4)に示すように、金属張積層板3とカバー材9とで部品充填材7を挟んだ積層体に対して加熱および加圧を行って積層体を一体化させる。これにより、
図2(4)に示すように、電子部品2が部品充填材7に埋設された部品内蔵基材10を作製する。
【0048】
本工程における加熱・加圧条件は、例えば、積層温度(加熱温度)175℃、積層圧力(加圧圧力)2.0MPa、積層時間60分である。
【0049】
次に、
図2(5)に示すように、部品内蔵基材10にレーザ光を照射することにより、ビアホール11を形成する(レーザ加工工程)。より詳しくは、いわゆるコンフォーマルレーザ加工法により、コンフォーマルマスク5aに露出した絶縁基材4を除去することにより、ビアホール11を形成する。
【0050】
ビアホール11は、絶縁基材4を厚さ方向に貫通する導通用孔であり、底面に電子部品2の端子部2aが露出している。なお、使用するレーザとしては、CO
2レーザの他、UV−YAGレーザやエキシマレーザなどを用いることも可能である。
【0051】
なお、
図2(5)に示すように、ドリル等を用いて、部品内蔵基材10を厚さ方向に貫通するスルーホール12を形成してもよい。
【0052】
ビアホール11を形成する際にレーザ加工で除去される材料は、接着剤層6の平面サイズの大きさにより異なる。これについて詳しく説明する。
【0053】
第1の場合は、接着剤層6が電子部品2の平面サイズとほぼ同じ大きさに形成されている場合である。この場合、レーザ加工により絶縁基材4と接着剤層6を除去してビアホール11を形成する。第2の場合は、
図2(4)および
図3(b)に示すように、部品内蔵基材10の厚さ方向に見て接着剤層6の外縁部がコンフォーマルマスク5a内に存在する場合がある。この場合、レーザ加工により絶縁基材4、接着剤層6および部品充填材7が除去してビアホール11を形成する。第3の場合は、接着剤層6が電子部品2の端子部2a,2a間の本体部にのみ接する小面積のものとして形成されている場合である。この場合、レーザ加工により絶縁基材4と部品充填材7を除去してビアホール11を形成する。
【0054】
次に、
図2(6)に示すように、金属箔5と電子部品2の端子部2aとを電気的に接続するビア14を形成する。
【0055】
具体的には、デスミア処理を行ってビアホール11、スルーホール12内の樹脂残渣を除去した後、導電化処理およびそれに続くめっき処理を行う。このめっき処理は、例えば電解銅めっき処理であるが、他のめっき手法を用いてもよい。これにより、ビアホール11、スルーホール12の内壁および金属箔5,9b上にめっき皮膜13を形成する。ここでは、めっき皮膜13の厚さを20μmとした。
【0056】
ビアホール11の内壁に形成されためっき皮膜13は、電子部品2と金属箔5とを電気的に接続するビア14を構成する。このビア14は、
図2(6)に示すように、電子部品2の端子部2aの直上に設けられる。また、スルーホール12の内壁に形成されためっき皮膜13は、金属箔5と金属箔9bとを電気的に接続するめっきスルーホール15を構成する。
【0057】
次に、
図3(a)に示すように、公知のフォトファブリケーション手法を用いて、金属箔5およびめっき皮膜13からなる導電膜をパターニングして配線層16を形成する。同様に、金属箔9bおよびめっき皮膜13からなる導電膜をパターニングして配線層17を形成する。
【0058】
上記の工程を経て、
図3(a)に示す部品内蔵プリント配線板1が得られる。
【0059】
この部品内蔵プリント配線板1は、絶縁基材4と、絶縁基材4の主面4a上に形成された接着剤層6と、接着剤層6により絶縁基材4に固定された表面実装型の電子部品2と、絶縁基材4の主面4a上に設けられ、電子部品2を埋設する部品充填材7と、絶縁基材4とともに部品充填材7を挟み込むカバー材9と、絶縁基材4の主面4bに設けられた配線層16と、絶縁基材4を厚さ方向に貫通し且つ底面に電子部品2の端子部2aが露出するビアホール11に設けられ、端子部2aと配線層16とを電気的に接続するビア14とを備えている。
【0060】
そして、部品内蔵プリント配線板1においては、接着剤層6は、フィラーを含有せず、平面サイズが電子部品2の平面サイズ以下である。また、部品充填材7は、フィラー8を含有し、このフィラー8として、粒径が電子部品2と絶縁基材4との隙間以下のものを含有しない。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、接着剤層6は、平面サイズが電子部品2の平面サイズ以下である。これにより、接着剤層6を硬化させる際に電子部品2の位置ずれが発生することを防止し、電子部品2の搭載精度を向上させることができる。そのため、例えば、ビアホールの底面に端子部2a以外のもの(部品充填材7、電子部品2の本体部など)が露出することがなくなる。その結果、ビアホール11の形状を安定させるとともに、ビアホール11のレーザ加工性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、部品充填材7は、フィラー8を含有し、このフィラー8として、粒径が電子部品2と絶縁基材4との隙間以下のものを含有しない。これにより、部品内蔵基材10を作製する工程において、フィラー8が電子部品2と絶縁基材4との隙間に入り込むことを防止する。よって、接着剤層6の平面サイズが電子部品2の平面サイズより小さい場合であっても、ビアホール11を形成する際にレーザ加工で除去する領域にフィラーが含まれることがない。即ち、接着剤層6の平面サイズが電子部品2の平面サイズよりも小さい場合であっても、ビアホール11のレーザ加工性が低下することを防止できる。
【0063】
さらに、本実施形態では、電子部品2を絶縁基材4に固定する接着剤層6は、フィラーを含有しない。これにより、接着剤層6の厚みが均一化される。また、フィラーの粒径や密度のばらつきに起因して電子部品2が絶縁基材4に対して傾いて固定されることが防止される。即ち、電子部品2は絶縁基材4に対してほぼ平行に搭載される。さらに、レーザ加工で除去される部分の接着剤層6の物性が均一化される。よって、ビアホール11の形状を安定させるとともに、ビアホール11のレーザ加工性を向上させることができる。
【0064】
このように、本実施形態によれば、ビアホール11の形状を安定させるとともに、ビアホール11のレーザ加工性を向上させることができる。よって、ビアホール11に形成されるビア14の接続信頼性を向上させることができる。その結果、部品内蔵プリント配線板1の歩留まりを向上させることができる。
【0065】
なお、部品充填材7は、接着剤層6と同じ組成の材料からなることが好ましい。例えば、部品充填材7は、接着剤層6形成用の接着剤にフィラー8を添加したものとする。同じ組成のものとすることで、接着剤層6の平面サイズに応じてレーザ加工で除去される材料が変化することがなくなる。このため、ビアホール11のレーザ加工性をさらに向上させて、ビア14の接続信頼性をさらに向上させることができる。
【0066】
また、上記実施形態の説明では、金属箔5をメタルマスクとするコンフォーマル加工法により、ビアホール11を形成したが、本発明はこれに限らず、例えば、ダイレクトレーザ加工法によりビアホール11を形成してもよい。
【0067】
ダイレクトレーザ加工法を用いる場合、前述のレーザ加工工程では、金属張積層板3の金属箔5にレーザ光を直接照射してビアホール11を形成する。より詳しくは、金属箔5をパターニングして形成されたターゲットマーク(レーザターゲット)を用いて、金属箔5の所定の位置にレーザ光を照射して金属箔5および絶縁基材4を除去することによりビアホール11を形成する。
【0068】
また、電子部品2と絶縁基材4との隙間は、接着剤層6の材質や硬化前の厚み、接着剤層6を硬化させる条件、およびマウンターによる電子部品2の搭載荷重等によって調整ないし制御することが可能である。したがって、これらのパラメータを調整ないし制御することにより、所与の部品充填材7に含まれるフィラー8の最小粒径が、電子部品2と絶縁基材4との隙間よりも大きくなるようにしてもよい。
【0069】
また、金属張積層板3については、片面金属張積層板に限らず、絶縁基材4の主面4aにも金属箔が設けられた両面金属張積層板であってもよい。同様に、カバー材9についても片面金属張積層板に限らず、絶縁基材9aの両面に金属箔が設けられた両面金属張積層板であってもよい。
【0070】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。