(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0015】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0017】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0018】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
<実施の形態1における半導体装置の実装構成>
図1は、本実施の形態1における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図1において、本実施の形態1における半導体装置PK1は、まず、封止体MRを有している。
【0020】
この封止体MRは、例えば、上面、上面とは反対側の下面、その厚さ方向において上面と下面との間に位置する第1側面、第1側面と対向する第2側面、第1側面および第2側面と交差する第3側面、第1側面および第2側面と交差し、第3側面と対向する第4側面を有している。
【0021】
図1では、中央領域に封止体MRの上面から内部を透視した図が示されている。また、
図1では、中央領域の上側領域に封止体MRの側面SD1から見た側面図が示されており、中央領域の下側領域に封止体MRの側面SD2から見た側面図が示されている。さらに、
図1では、中央領域の左側領域に封止体MRの側面SD3から見た側面図が示され、中央領域の右側領域に封止体MRの側面SD4から見た側面図が示されている。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態1における半導体装置PK1は、チップ搭載部TABを有し、このチップ搭載部TABと一体的に外部接続端子となるリードLD3が形成されている。そして、チップ搭載部TAB上には、半導体チップCHPが配置されている。この半導体チップCHPには、例えば、パワーMOSFETが形成されており、半導体チップCHPの表面には、ソースパッドSPおよびゲートパッドGPが形成されている。
【0023】
ここで、半導体チップCHPに形成されているパワーMOSFETのソース領域がソースパッドSPと電気的に接続され、パワーMOSFETのゲート電極がゲートパッドGPと接続されている。なお、
図1では示されないが、例えば、本実施の形態1における半導体装置PK1においては、半導体チップCHPの裏面がドレイン電極として機能し、パワーMOSFETのドレイン領域がドレイン電極と電気的に接続されている。したがって、半導体チップCHPの裏面が配置されるチップ搭載部TABもドレイン電極として機能することになる。
【0024】
続いて、本実施の形態1における半導体装置PK1においては、チップ搭載部TABと離間して外部接続端子として機能するリードLD1とリードLD2が配置されており、半導体チップCHPの表面に形成されているゲートパッドGPとリードLD2が金属ワイヤWで接続されている。この金属ワイヤWは、例えば、金線、銅線、あるいは、アルミニウム線から構成されている。
【0025】
そして、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPと、リードLD1とは、例えば、導電性部材から構成されるクリップCLPで接続されている。この平面積の大きなクリップCLPは、半導体チップCHPのソースパッドSPとリードLD1との間に大きな電流が流れることを考慮して、オン抵抗を低減するために採用されている。このクリップCLPは、本体部である板状部PLTと、支持部SU1および支持部SU2から構成されている。このとき、支持部SU1は、屈曲部BD1を有し、板状部PLTとの連結部分からx方向に延在し、その後、屈曲部BD1でy方向に方向を変えながら延在して、封止体MRの側面SD1に達している。また、支持部SU2は、屈曲部BD2を有し、板状部PLTとの連結部分からx方向に延在し、その後、屈曲部BD2でy方向に方向を変えながら延在して、封止体MRの側面SD1に達している。
【0026】
なお、本実施の形態1における半導体装置PK1において、クリップCLPの一部を構成する支持部SU1および支持部SU2は、平面視において、半導体チップCHPと重なるように配置されている。さらに言えば、本実施の形態1における半導体装置PK1では、特に、平面視において、支持部SU1に含まれる屈曲部BD1が半導体チップCHPと重なるように形成されている。同様に、平面視において、支持部SU2に含まれる屈曲部BD2が半導体チップCHPと重なるように形成されている。
【0027】
次に、
図1では、中央領域の上側領域に封止体MRの側面SD1から見た側面図が示されている。この側面図において、封止体MRの側面SD1からは、リードLD1、クリップCLPの構成要素である支持部SU1の端部、および、クリップCLPの構成要素である支持部SU2の端部が露出していることがわかる。
【0028】
一方、
図1では、中央領域の下側領域に封止体MRの側面SD1と対向する側面SD2から見た側面図が示されている。この側面図において、封止体MRの側面SD2からは、リードLD2およびリードLD3が露出していることがわかる。
【0029】
さらに、
図1では、中央領域の左側領域に封止体MRの側面SD3から見た側面図が示され、中央領域の右側領域に封止体MRの側面SD4から見た側面図が示されている。これらの側面図において、封止体MRの側面SD3および側面SD4は、すべて封止体MRで覆われていることがわかる。
【0030】
続いて、
図2は、
図1のA−A線で切断した断面図である。
図2に示すように、本実施の形態1における半導体装置PK1は、チップ搭載部TAB上に、高融点半田HS1を介して、半導体チップCHPが搭載され、この半導体チップCHP上に、高融点半田HS2を介してクリップCLPが搭載されている。そして、これらの構成要素上を覆うように封止体MRが形成されているが、チップ搭載部TABの裏面は、封止体MRから露出していることがわかる。すなわち、本実施の形態1において、封止体MRは、チップ搭載部TABの一部、半導体チップCHP、リードLD1〜LD3のそれぞれの一部、および、導電性部材からなるクリップCLPを封止している。
【0031】
本実施の形態1では、オン抵抗を低減する観点から、チップ搭載部TABと半導体チップCHPとの接続や、半導体チップCHPとクリップCLPとの接続に、銀ペーストではなく半田を使用している。つまり、銀ペーストは、熱硬化性樹脂の内部に銀フィラーを分散させた構成をしており、電気伝導率や熱伝導率は、金属材料である半田に比べて小さくなる。このことから、例えば、オン抵抗の低減が必要とされるパワー半導体分野に使用される半導体装置PK1においては、銀ペーストよりも電気伝導率の大きな半田が使用され、これによって、半導体装置PK1のオン抵抗を低減している。
【0032】
ただし、本実施の形態1における半導体装置PK1が製品として完成した後は、回路基板(実装基板)に実装される。この場合、半導体装置PK1と実装基板の接続には、半田が使用される。半田による接続の場合、半田を溶融させて接続させるため、加熱処理(リフロー)が必要とされる。
【0033】
ここで、半導体装置PK1と実装基板との接続に使用される半田と、上述した半導体装置PK1の内部で使用される半田が同じ材料である場合、半導体装置PK1と実装基板との接続の際に加えられる熱処理(リフロー)によって、半導体装置PK1の内部に使用されている半田も溶融することになる。この場合、半田の溶融による体積膨張で半導体装置PK1を封止している樹脂にクラックが発生したり、溶融した半田が外部へ漏れ出したりする不具合が発生するおそれがある。
【0034】
このことから、本実施の形態1では、チップ搭載部と半導体チップの接続や、半導体チップCHPとクリップCLPの接続に、高融点半田HS1や高融点半田HS2を使用している。この場合、半導体装置PK1と実装基板との接続の際に加えられる熱処理(リフロー)によって、半導体装置PK1の内部に使用されている高融点半田HS1や高融点半田HS2は溶融することはない。したがって、高融点半田HS1や高融点半田HS2の溶融による体積膨張で半導体装置PK1を封止している樹脂にクラックが発生したり、溶融した半田が外部へ漏れ出したりする不具合を防止することができる。
【0035】
ここで、半導体装置PK1と実装基板との接続に使用される半田は、Sn(すず)−銀(Ag)−銅(Cu)に代表される融点が220℃程度の半田が使用され、リフローの際に、半導体装置PK1は、260℃程度まで加熱される。したがって、例えば、本明細書でいう高融点半田とは、260℃程度に加熱しても溶融しない半田を意図している。代表的なものを挙げると、例えば、融点が300℃以上でリフロー温度が350℃程度であり、Pb(鉛)を90重量%以上含んだ半田である。
【0036】
なお、本実施の形態1においては、例えば、チップ搭載部TABと半導体チップCHPを接続する高融点半田HS1が存在するとともに、半導体チップCHPとクリップCLPの接続に使用される高融点半田HS2が存在する。基本的に、本実施の形態1では、上述した高融点半田HS1と高融点半田HS2とは同じ材料成分であることを想定しているが、例えば、高融点半田HS1と高融点半田HS2とを異なる材料成分から構成することもできる。
【0037】
さらに、本実施の形態1では、例えば、高融点半田HS1や高融点半田HS2を使用しているが、これに限らず、高融点半田HS1や高融点半田HS2に代えて、銀ペーストを使用することもできる。ただし、オン抵抗を低減する観点からは、銀ペーストよりも、高融点半田HS1や高融点半田HS2を使用することが望ましい。
【0038】
<実施の形態1における特徴>
本実施の形態1における半導体装置PK1は上記のように構成されており、以下に、その特徴点について説明する。
図1において、本実施の形態1における特徴点は、支持部SU1に屈曲部BD1を設け、支持部SU2に屈曲部BD2を設けている点にある。
【0039】
例えば、
図1に示すように、本実施の形態1における半導体装置PK1では、支持部SU1の端部が封止体MRの側面SD1から露出している。このため、この露出領域が水分の浸入経路の入口になることが懸念される。この点に関し、本実施の形態1では、支持部SU1が屈曲部BD1を有しているため、半導体チップCHPのソースパッドSPに至る経路の長さを長くすることができる。つまり、本実施の形態1によれば、たとえ、封止体MRの側面SD1から露出している支持部SU1の端部から水分が浸入する場合であっても、支持部SU1に屈曲部BD1が形成されていることによって、半導体チップCHPのソースパッドSPへ到達する浸入経路の長さを長くすることができる。このことは、封止体MRの側面SD1から露出している支持部SU1の端部から浸入した水分がソースパッドSP上に到達しにくくできることを意味している。この結果、本実施の形態1によれば、半導体装置PK1の内部に水分が浸入することによる信頼性の低下を抑制することができる。言い換えれば、本実施の形態1によれば、半導体装置PK1の信頼性を向上することができる。
【0040】
例えば、パワー半導体分野では、パワーMOSFETを含む半導体装置のオン抵抗を低減して性能向上を図るため、半導体チップとリードとを板状の導電性部材であるクリップで電気的に接続することが行なわれている。そして、クリップを使用した半導体装置の製造技術としては、例えば、リードフレームに形成された複数のチップ搭載部のそれぞれ上に半導体チップを搭載した後、個片のクリップを個々の半導体チップ上に搭載することが考えられる。ところが、この技術では、複数の半導体チップ毎に個片のクリップを搭載しなければならず組立作業性が低く、組立作業性を改善する必要がある。
【0041】
そこで、クリップを吊りリードで支持した領域を行列状に複数配置したクリップフレームを使用することにより、複数の半導体チップ上に一括してクリップを搭載する技術が検討されている。なぜなら、この技術によれば、複数の半導体チップ上に一括でクリップを搭載できるため、組立作業性を向上させることができるからである。
【0042】
しかし、本発明者が検討したところ、その後の工程において、半導体チップは封止された後、封止体を切断することにより半導体装置が個片化される。このとき、封止体を切断する工程において、クリップを支持している吊リードも切断されるため、個片化された封止体の側面からは吊りリードの端部が露出することになる。
【0043】
この結果、封止体の側面に水分の浸入経路が形成されることになるので、半導体装置の信頼性を確保するためには、クリップフレームを使用する技術においても、改善の余地があることになる。つまり、クリップフレームの使用は、組立作業性を向上する点では好適であるが、半導体装置の信頼性を確保する点では、改善の余地があると言える。
【0044】
例えば、吊りリードの端部が露出している露出領域から水分が浸入すると、吊りリードに沿って水分が半導体装置の内部に入り込み、最終的に、半導体チップの表面に形成されているソースパッド上に水分が到達することになる。この場合、例えば、ソースパッドから、半導体チップを搭載しているチップ搭載部にわたって水分が付着することになる。このとき、チップ搭載部はドレイン電極として機能しているため、チップ搭載部はソースパッドとは異なる電位になっている。したがって、ソースパッドとチップ搭載部(ドレイン電極)との間に水分を介在してリーク電流が流れ、さらには、短絡電流が流れることも懸念される。すなわち、半導体装置の内部に水分が浸入することを抑制することが、半導体装置の信頼性を向上させる観点から必要であることがわかる。
【0045】
そこで、
図1に示す本実施の形態1における半導体装置PK1では、クリップCLPが、本体部である板状部PLTと、支持部SU1および支持部SU2から構成されており、この支持部SU1や支持部SU2は、クリップフレームの吊りリードを構成していた部材である。つまり、本実施の形態1では、クリップを吊りリードで支持した領域を行列状に複数配置したクリップフレームを使用する製造技術が採用されている。
【0046】
そして、この製造技術を採用することを前提として、本実施の形態1では、支持部SU1に屈曲部BD1を形成し、かつ、支持部SU2に屈曲部BD2を形成している。このため、例えば、支持部SU1に着目すると、支持部SU1が直線形状をしている場合よりも、支持部SU1の長さを長くすることができる。
【0047】
このことは、本実施の形態1によれば、封止体MRから露出している支持部SU1の端部から浸入した水分が半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPにまで達する距離を長くできることを意味している。
【0048】
すなわち、本実施の形態1における技術的思想は、支持部SU1の端部が封止体MRの側面から露出することを前提として、なるべく支持部SU1自体の長さを長くして、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPへの水分の到達を抑制しようとするものである。この結果、本実施の形態1によれば、たとえ、封止体MRの側面から支持部SU1の端部が露出していても、支持部SU1に屈曲部BD1が形成されていることに基づく支持部SU1の長さの増大によって、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPへの水分の到達確率を低減することができるのである。
【0049】
このことから、本実施の形態1によれば、ソースパッドSPとチップ搭載部TABにわたって水分が付着することによるリーク電流の増大を抑制することができ、これによって、半導体装置PK1の信頼性の低下を抑制することができる。すなわち、本実施の形態1によれば、クリップフレームを使用することによる組立作業性の向上を図りながら、クリップフレームを使用する場合に発生しやすくなる半導体装置PK1の内部への水分の浸入を抑制することができる。つまり、本実施の形態1によれば、組立作業性の向上を図りながら、半導体装置PK1の信頼性も向上することができるのである。
【0050】
<変形例1>
次に、本変形例1について説明する。
図3は、本変形例1における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図3に示す本変形例1における半導体装置PK1は、
図1に示す実施の形態1における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0051】
図3において、本変形例1でも、クリップCLPが板状部PLTと支持部SU1と支持部SU2から構成され、支持部SU1が屈曲部BD1を有するとともに、支持部SU2が屈曲部BD2を有している。このとき、本変形例1の特徴は、例えば、支持部SU1に着目すると、
図3に示すように、平面視において、支持部SU1に形成されている屈曲部BD1が半導体チップCHPと重ならないように配置されている点である。同様に、支持部SU2に着目した場合には、平面視において、支持部SU2に形成されている屈曲部BD2が半導体チップCHPと重ならないように配置されている。
【0052】
これにより、本変形例1によれば、支持部SU1に形成されている屈曲部BD1と、支持部SU2に形成されている屈曲部BD2を半導体チップCHPから遠ざけることができる。この結果、本変形例1によれば、特に、ソースパッドSP上に代表される半導体チップCHP上に水分が付着することを防止できる。
【0053】
以下に、この理由について説明する。本変形例1でも、実施の形態1と同様に、基本的な技術的思想は、支持部SU1に屈曲部BD1を設け、かつ、支持部SU2に屈曲部BD2を設けることにより、支持部SU1および支持部SU2の長さを長くする点にある。このため、本変形例1においても、水分の伝達経路(浸入経路)を長くすることにより、半導体チップCHP上に水分が溜まることを抑制できる。つまり、支持部SU1に屈曲部BD1を設ける有用性は、実施の形態1で説明したように、支持部SU1の長さを長くすることにより、支持部SU1を浸入経路として半導体チップCHPのソースパッドSPにまで水分が到達することを抑制できることにある。
【0054】
この点に関し、本発明者は、支持部SU1に屈曲部BD1を設ける別の有用性についても見出している。例えば、封止体MRから露出している支持部SU1の端部から水分が浸入すると、半導体装置PK1の内部に浸入してきた水分は、まず、支持部SU1に沿ってy方向に浸入すると考えられる。その後、屈曲部BD1に達した水分は、x方向に方向を変えて、さらに、支持部SU1に沿って浸入すると考えられる。このとき、屈曲部BD1においては、水分の浸入方向が90度変化するため、屈曲部BD1自体に水分が溜まりやすくなると考えられる。つまり、支持部SU1に屈曲部BD1を設ける場合、屈曲部BD1自体に水分が溜まるため、支持部SU1を通過して半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPにまで到達する水分の量が低減されると考えられるのである。すなわち、本変形例1では、屈曲部BD1を形成することによって水分の浸入経路が長くなる点の他に、屈曲部BD1自体に水分が溜まりやすいという点に着目している。そして、本変形例1では、例えば、
図3に示すように、平面視において、水分の溜まりやすい屈曲部BD1が半導体チップCHPと重ならない位置に配置されている点に特徴がある。この場合、屈曲部BD1に水分が溜まったとしても、平面視において、屈曲部BD1が半導体チップCHPから離れているため、屈曲部BD1に溜まった水分が半導体チップCHP上に付着することを抑制することができる。特に、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPと屈曲部BD1が離れているため、ソースパッドSPに水分が付着することを効果的に抑制することができるのである。
【0055】
このように本変形例1では、支持部SU1に屈曲部BD1を設けることにより得られる2つのメカニズムを利用して、半導体装置PK1の内部に浸入してきた水分の半導体チップCHPへの付着を効果的に抑制している。すなわち、本変形例1では、屈曲部BD1を設けることにより、半導体チップの表面に形成されているソースパッドSPにまで達する水分の浸入経路を長くできるという第1メカニズムと、屈曲部BD1自体に水分が溜まりやすいことに着目して、平面視において、屈曲部BD1自体を半導体チップCHPと重ならないように配置する第2メカニズムを利用している。この結果、本変形例1によれば、上述した第1メカニズムと第2メカニズムの相乗効果によって、たとえ、封止体MRの側面から支持部SU1の端部が露出して、この露出領域が半導体装置PK1の内部への水分の浸入口となる場合であっても、特に、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPに水分が付着する可能性を大幅に低減することができる。したがって、本変形例1においても、支持部SU1および支持部SU2を有するクリップCLPを利用した製造技術による組立作業性の向上を図ることができるとともに、この製造技術を採用することによって懸念される半導体装置PK1の内部への水分の浸入に基づく半導体装置PK1の信頼性の低下も抑制することができる。つまり、本変形例1においても、組立作業性の向上と、半導体装置PK1の信頼性向上とを両立させることができる。
【0056】
なお、本変形例1の構成の場合、例えば、
図3に示すように、屈曲部BD1および屈曲部BD2が半導体チップCHPから離れるように配置される結果、平面視において、リードLD1と支持部SU1や、リードLD1と支持部SU2が重ならないように配置されることになる場合がある。
【0057】
<変形例2>
続いて、本変形例2について説明する。
図4は、本変形例2における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図4に示す本変形例2における半導体装置PK1は、
図1に示す実施の形態1における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0058】
図4において、本変形例2でも、クリップCLPが板状部PLTと支持部SU1と支持部SU2から構成され、支持部SU1が屈曲部BD1を有するとともに、支持部SU2が屈曲部BD2を有している。このとき、本変形例2の特徴は、屈曲部BD1や屈曲部BD2だけでなく、支持部SU1や支持部SU2の全体が、平面視において、チップ搭載部TABと重ならないように配置されている点にある。これにより、本変形例2によれば、特に、ソースパッドSP上に代表される半導体チップCHP上に水分が付着することを効果的に防止できる。
【0059】
以下に、この理由について説明する。本変形例2でも、実施の形態1と同様に、基本的な技術的思想は、支持部SU1に屈曲部BD1を設け、かつ、支持部SU2に屈曲部BD2を設けることにより、支持部SU1および支持部SU2の長さを長くする点にある。このため、本変形例2においても、水分の伝達経路(浸入経路)を長くすることにより、半導体チップCHP上に水分が溜まることを抑制できる。
【0060】
また、本変形例2でも、
図4に示すように、平面視において、水分の溜まりやすい屈曲部BD1を半導体チップCHPと重ならない位置に配置している。この場合、屈曲部BD1に水分が溜まったとしても、平面視において、屈曲部BD1が半導体チップCHPから離れているため、屈曲部BD1に溜まった水分が半導体チップCHP上に付着することを抑制することができる。
【0061】
そして、本変形例2では、さらに、屈曲部BD1を含む支持部SU1の全体、および、屈曲部BD2を含む支持部SU2の全体が、平面視において、チップ搭載部TABと重ならないように配置されている点に特徴点がある。例えば、封止体MRの側面から露出する支持部SU1の端部が水分の浸入口となる場合、浸入した水分は支持部SU1に沿って、半導体装置PK1の内部を進行すると考えられる。このことは、支持部SU1自体が水分の主要な浸入経路となることを意味している。したがって、水分の主要な浸入経路となる支持部SU1から半導体チップCHPを離すことにより、半導体チップCHP上に水分が付着する可能性を低減できると考えられる。
【0062】
本変形例2では、この観点に着目して、さらに、
図4に示すように、屈曲部BD1を含む支持部SU1の全体、および、屈曲部BD2を含む支持部SU2の全体が、平面視において、チップ搭載部TABと重ならないように配置されている。この場合、平面視において、半導体チップCHPがチップ搭載部TABに内包されることを考慮すれば、本変形例2の特徴は、屈曲部BD1を含む支持部SU1の全体、および、屈曲部BD2を含む支持部SU2の全体が、平面視において、半導体チップCHPと重ならないように配置されているということもできる。これにより、本変形例2によれば、水分が溜まりやすい屈曲部BD1および屈曲部BD2だけでなく、水分の主要な浸入経路となる支持部SU1および支持部SU2の全体としても、半導体チップCHPから離すことができるため、半導体チップCHP上への水分の付着を効果的に抑制することができる。
【0063】
すなわち、本変形例2では、屈曲部BD1を設けることにより、半導体チップの表面に形成されているソースパッドSPにまで達する水分の浸入経路を長くできるという第1メカニズムと、屈曲部BD1自体に水分が溜まりやすいことに着目して、平面視において、屈曲部BD1自体を半導体チップCHPと重ならないように配置する第2メカニズムと、支持部SU1自体が主要な水分の浸入経路となることに着目して、支持部SU1全体を半導体チップCHPと重ならないようにする第3メカニズムを利用している。この結果、本変形例2によれば、上述した第1メカニズムと第2メカニズムと第3メカニズムの相乗効果によって、たとえ、封止体MRの側面から支持部SU1の端部が露出して、この露出領域が半導体装置PK1の内部への水分の浸入口となる場合であっても、特に、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPに水分が付着する可能性を大幅に低減することができる。したがって、本変形例2においても、支持部SU1および支持部SU2を有するクリップCLPを利用した製造技術による組立作業性の向上を図ることができるとともに、この製造技術を採用することによって懸念される半導体装置PK1の内部への水分の浸入に基づく半導体装置PK1の信頼性の低下も抑制することができる。つまり、本変形例2においても、組立作業性の向上と、半導体装置PK1の信頼性向上とを両立させることができる。
【0064】
<変形例3>
次に、本変形例3について説明する。
図5は、本変形例3における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図5に示す本変形例3における半導体装置PK1は、
図1に示す実施の形態1における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0065】
図5に示すように、本変形例3における半導体装置PK1では、屈曲部BD1を有する支持部SU1の端部が封止体MRの側面SD1から露出しているのに対し、屈曲部BD2を有する支持部SU2の端部が封止体MRの側面SD1と対向する側面SD2から露出している。すなわち、実施の形態1における半導体装置PK1では、例えば、
図1に示すように、支持部SU1の端部と、支持部SU2の端部は、共に、封止体MRの側面SD1から露出するように構成されていた。これに対し、本変形例3における半導体装置PK1では、例えば、
図5に示すように、支持部SU1の端部は封止体MRの側面SD1から露出している一方、支持部SU2の端部は封止体MRの側面SD2から露出するように構成されている。このように、実施の形態1における技術的思想は、
図1に示す実施の形態1の構成だけでなく、
図5に示す本変形例3の構成として実現してもよい。
【0066】
特に、
図5に示す本変形例3における半導体装置PK1では、支持部SU2の長さを長くすることができるため、封止体MRの側面SD2から露出した支持部SU2の端部から浸入した水分が半導体チップCHPにまで達する可能性を大幅に低減することができる。
【0067】
さらに、本変形例3では、封止体MRから露出する支持部SU1の端部と支持部SU2の端部とを、封止体MRの別々の側面(側面SD1と側面SD2)から露出するように構成することができる。このことは、1つの側面から露出する端部の数を1つに限定することができること、言い換えれば、側面から露出する支持部SU1の端部と支持部SU2の端部とを異なる側面に分散できることを意味している。このため、本変形例3によれば、水分の浸入口が封止体MRの複数の側面に形成されることになるが、個々の側面での浸入口の面積は小さくなることから、局所的に大量の水分が浸入する可能性を低減することができる。つまり、
図1に示す実施の形態1における半導体装置PK1の構成では、支持部SU1の端部と支持部SU2の端部が同じ側面SD1から露出しているため、その他の側面SD2からの水分の浸入よりも、多くの水分が側面SD1から浸入する可能性がある。これに対し、
図5に示す本変形例3における半導体装置PK1の構成では、支持部SU1の端部が側面SD1から露出する一方、支持部SU2の端部が側面SD2から露出している。このため、側面SD1と側面SD2の両方からの水分の浸入する可能性を分散させることができ、特定の側面からの多くの水分の浸入を抑制することができる。このことから、例えば、各側面において、水分の浸入する確率が異なることが明らかな場合には、
図1に示す実施の形態1における半導体装置PK1のように、水分の浸入する確率の低い側面から支持部SU1の端部と支持部SU2の端部を露出させるように構成することが有用である。一方、例えば、各側面において、水分の浸入する確率が同じか不明である場合には、
図5に示す本変形例3における半導体装置PK1のように、水分の浸入可能性のリスクを分散させて、個々の側面からの水分の浸入量を低減させる構成が有用である。
【0068】
このように構成されている本変形例3においても、支持部SU1および支持部SU2を有するクリップCLPを利用した製造技術による組立作業性の向上を図ることができるとともに、この製造技術を採用することによって懸念される半導体装置PK1の内部への水分の浸入に基づく半導体装置PK1の信頼性の低下も抑制することができる。つまり、本変形例3においても、組立作業性の向上と、半導体装置PK1の信頼性向上とを両立させることができる。
【0069】
<変形例4>
続いて、本変形例4について説明する。
図6は、本変形例4における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図6に示す本変形例4における半導体装置PK1は、
図1に示す実施の形態1における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0070】
図6に示すように、本変形例4における半導体装置PK1では、屈曲部BD1を有する支持部SU1の端部が封止体MRの側面SD1から露出しているのに対し、屈曲部BD2を有する支持部SU2の端部が封止体MRの側面SD1と交差する側面SD3から露出している。このように実施の形態1における技術的思想は、
図1に示す実施の形態1の構成だけでなく、
図6に示す本変形例4の構成として実現することもできる。
【0071】
本変形例4においても、支持部SU1および支持部SU2を有するクリップCLPを利用した製造技術による組立作業性の向上を図ることができるとともに、この製造技術を採用することによって懸念される半導体装置PK1の内部への水分の浸入に基づく半導体装置PK1の信頼性の低下も抑制することができる。つまり、本変形例4においても、組立作業性の向上と、半導体装置PK1の信頼性向上とを両立させることができる。
【0072】
<変形例5>
次に、本変形例5について説明する。
図7は、本変形例5における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図7に示す本変形例5における半導体装置PK1は、
図1に示す実施の形態1における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0073】
図7に示すように、本変形例5における半導体装置PK1では、屈曲部BD1を有する支持部SU1の端部が封止体MRの側面SD1から露出しているのに対し、屈曲部BD2を有する支持部SU2の端部が封止体MRの側面SD1と交差する側面SD4から露出している。このように実施の形態1における技術的思想は、
図1に示す実施の形態1の構成だけでなく、
図7に示す本変形例5の構成として実現することもできる。
【0074】
ここで、実施の形態1および変形例1〜4では、ゲートパッドGPとリードLD2とを接続する金属ワイヤWと干渉しないように、支持部SU1および支持部SU2が配置されている。言い換えれば、実施の形態1および変形例1〜4では、平面視において、金属ワイヤWと重ならないように、支持部SU1および支持部SU2が配置されている。
【0075】
このように支持部SU1および支持部SU2を配置する場合、クリップCLPと金属ワイヤWとのショート不良を回避できるため、ショート不良を回避する観点から望ましい配置と考えることができる。ただし、実施の形態1における技術的思想は、実施の形態1および変形例1〜4に示す配置に限らず、例えば、
図7に示す本変形例5のように、平面視において、支持部SU2と金属ワイヤWが交差するように配置する場合にも適用することができる。つまり、レイアウト配置の制約などによっては、
図7に示すように、平面視において、支持部SU2と金属ワイヤWが交差するように配置しなければならない場合も考えられる。ただし、この場合であっても、支持部SU2を跨ぐように金属ワイヤWを形成して、支持部SU2と金属ワイヤWの直接接触を回避するように構成することによって、ショート不良を回避することができる。
【0076】
このように構成されている本変形例5においても、支持部SU1および支持部SU2を有するクリップCLPを利用した製造技術による組立作業性の向上を図ることができるとともに、この製造技術を採用することによって懸念される半導体装置PK1の内部への水分の浸入に基づく半導体装置PK1の信頼性の低下も抑制することができる。つまり、本変形例5においても、組立作業性の向上と、半導体装置PK1の信頼性向上とを両立させることができる。特に、本変形例5からもわかるように、実施の形態1における技術的思想は、クリップCLPを支持する支持部SU1および支持部SU2のレイアウト構成に左右されずに実現することができることがわかる。
【0077】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、1つの支持部に対して、1つの屈曲部が設けられている例について説明したが、本実施の形態2では、1つの支持部に対して、複数の屈曲部が設けられている例について説明する。
【0078】
図8は、本実施の形態2における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図8に示す本実施の形態2における半導体装置PK1は、
図1に示す前記実施の形態1における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0079】
図8に示すように、本実施の形態2における半導体装置PK1でも、クリップCLPは、板状部PLTと支持部SU1と支持部SU2から構成されている。このとき、本実施の形態2における半導体装置PK1では、
図8に示すように、支持部SU1に2つの屈曲部BD1Aおよび屈曲部BD1Bが形成されているとともに、支持部SU2も2つの屈曲部BD2Aおよび屈曲部BD2Bが形成されている。この点が本実施の形態2の特徴点である。そして、本実施の形態2では、支持部SU1の端部は封止体MRの側面SD4から露出している一方、支持部SU2の端部は封止体MRの側面SD4と対向する側面SD3から露出している。
【0080】
例えば、支持部SU1に着目すると、本実施の形態2では、支持部SU1に屈曲部BD1Aと屈曲部BD1Bが形成されているため、支持部SU1を直線形状とする場合や、前記実施の形態1のように支持部SU1に単一の屈曲部BD1を設ける場合に比べて長さを長くすることができる。このことは、本実施の形態2によれば、支持部SU1を直線形状とする場合や、単一の屈曲部BD1を設ける場合よりも、封止体MRから露出している支持部SU1の端部から浸入した水分が半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPにまで達する距離を長くできることを意味している。
【0081】
すなわち、本実施の形態2における技術的思想は、前記実施の形態1における技術的思想と同様に、支持部SU1の端部が封止体MRの側面から露出することを前提として、なるべく支持部SU1自体の長さを長くして、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPへの水分の到達を抑制しようとするものである。そして、本実施の形態2では、前記実施の形態1における技術的思想を基本として、支持部SU1の長さを長くする観点からさらに工夫を施している。具体的には、本実施の形態2では、支持部SU1自体の長さをさらに長くするため、支持部SU1に複数の屈曲部BD1Aおよび屈曲部BD1Bを設けている。この結果、本実施の形態2によれば、たとえ、封止体MRの側面から支持部SU1の端部が露出していても、支持部SU1に2つの屈曲部BD1Aおよび屈曲部BD1Bが形成されていることによる支持部SU1の長さの増大によって、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPへの水分の到達確率をさらに低減することができる。
【0082】
このことから、本実施の形態2によっても、ソースパッドSPとチップ搭載部TABにわたって水分が付着することによるリーク電流の増大を抑制することができ、これによって、半導体装置PK1の信頼性の低下を抑制することができる。すなわち、本実施の形態2によれば、クリップフレームを使用することによる組立作業性の向上を図りながら、クリップフレームを使用する場合に発生しやすくなる半導体装置PK1の内部への水分の浸入を抑制することができる。つまり、本実施の形態2によれば、組立作業性の向上を図りながら、半導体装置PK1の信頼性も向上することができる。
【0083】
<変形例1>
次に、本変形例1について説明する。
図9は、本変形例1における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図9に示す本変形例1における半導体装置PK1は、
図8に示す実施の形態2における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0084】
例えば、実施の形態2における半導体装置PK1では、
図8に示すように、支持部SU1の端部は封止体MRの側面SD4から露出する一方、支持部SU2の端部は封止体MRの側面SD4と対向する側面SD3から露出するように構成されている。これに対し、本変形例1における半導体装置PK1では、例えば、
図9に示すように、2つの屈曲部BD1Aおよび屈曲部BD1Bを有する支持部SU1の端部が封止体MRの側面SD4から露出しているのに対し、2つの屈曲部BD2Aおよび屈曲部BD2Bを有する支持部SU2の端部が封止体MRの側面SD4と交差する側面SD2から露出している。このような本変形例1における半導体装置PK1の構成によっても、実施の形態2における技術的思想を実現することができる。
【0085】
<変形例2>
図8に示す実施の形態2における半導体装置PK1や
図9に示す変形例1における半導体装置PK1では、支持部SU1に設けられている屈曲部BD1Aや屈曲部BD1Bが半導体チップCHPの表面と並行する面内方向に屈曲している例について説明した。本変形例2では、支持部SU1に設けられている屈曲部BD1Aや屈曲部BD1Bが半導体チップCHPの表面と交差する面外方向に屈曲している例について説明する。
【0086】
図10は、本変形例2における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図10に示す本変形例2における半導体装置PK1は、
図8に示す実施の形態2における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0087】
図10において、本変形例2における半導体装置PK1においても、クリップCLPは、板状部PLTと支持部SU1と支持部SU2から構成されている。ただし、
図10からは、支持部SU1および支持部SU2は、ともに、直線形状をしており、屈曲部を有していないように見える。これは、本変形例2において、支持部SU1には、半導体チップCHPの表面と並行する面内方向(xy平面)に屈曲する屈曲部が設けられているのではなく、面内方向(xy平面)と交差する面外方向(封止体MRの高さ方向)に屈曲する屈曲部が設けられているからである。つまり、本変形例2において、支持部SU1や支持部SU2に設けられている屈曲部は、
図10では図示されないことになる。
【0088】
そこで、以下に示す図面を使用して、封止体MRの高さ方向に屈曲している屈曲部を図示することにする。
図11は、
図10のA−A線で切断した断面図である。
図11に示すように、本変形例2における半導体装置PK1では、チップ搭載部TABの上方にクリップCLPが配置されており、このクリップCLPの構成要素である支持部SU1には、封止体MRの高さ方向に屈曲する屈曲部BD1Aおよび屈曲部BD1Bが形成されている。同様に、支持部SU2にも、封止体MRの高さ方向に屈曲する屈曲部BD2Aおよび屈曲部BD2Bが形成されている。この場合、
図11から明らかなように、封止体MRから露出する支持部SU1の端部のチップ搭載部TABからの高さは、板状部PLTのチップ搭載部TABからの高さよりも高くなっている。別の言い方をすれば、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の封止体MRの底面からの高さは、板状部PLTの封止体MRの底面からの高さよりも高くなっているということもできる。
【0089】
このように構成される場合も、支持部SU1に屈曲部BD1Aおよび屈曲部BD1Bが形成され、かつ、支持部SU2に屈曲部BD2Aおよび屈曲部BD2Bが形成されていることによる支持部SU1の長さや支持部SU2の長さの増大によって、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPへの水分の到達確率をさらに低減することができる。つまり、実施の形態2における技術的思想は、
図8に示す実施の形態2や
図9に示す変形例1のように、面内方向(xy平面)内に屈曲する屈曲部を設ける場合に限らず、
図11に示す変形例2のように、面外方向(封止体MRの高さ方向)に屈曲する屈曲部を設ける場合にも適用できることがわかる。
【0090】
以上のことから、実施の形態2における技術的思想の具現化態様の一例である本変形例2によっても、ソースパッドSPとチップ搭載部TABにわたって水分が付着することによるリーク電流の増大を抑制することができ、これによって、半導体装置PK1の信頼性の低下を抑制することができる。すなわち、本変形例2によっても、クリップフレームを使用することによる組立作業性の向上を図りながら、クリップフレームを使用する場合に発生しやすくなる半導体装置PK1の内部への水分の浸入を抑制することができる。つまり、本変形例2によれば、組立作業性の向上を図りながら、半導体装置PK1の信頼性も向上することができる。
【0091】
なお、本変形例2に特有の利点としては、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の高さや支持部SU2の端部の高さが高くなるため、露出している端部から水分が浸入しにくくなると考えられる点が挙げられる。
【0092】
(実施の形態3)
前記実施の形態1や前記実施の形態2では、支持部に屈曲部を設けることにより、支持部の長さを長くして、半導体チップまでの水分の浸入経路を長くする技術的思想について説明したが、本実施の形態3では、半導体装置の内部への水分の浸入を抑制する別の技術的思想も組み合わせる例について説明する。この別の技術的思想とは、封止体から露出する支持部の端部の面積をできるだけ小さくするものである。言い換えれば、この技術的思想は、封止体に存在する水分の浸入口をできるだけ小さくするということもできる。
【0093】
以下に、本実施の形態3における技術的思想を具現化した半導体装置の構成例について説明する。
図12は、本実施の形態3における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図12に示す本実施の形態3における半導体装置PK1は、
図1に示す実施の形態1における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0094】
図12において、本実施の形態3における特徴は、上側領域に図示されている封止体MRの側面SD1から露出する支持部SU1および支持部SU2の厚さ(封止体MRの高さ方向の厚さ)が薄くなっている点にある。これにより、本実施の形態3によれば、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の面積や支持部SU2の端部の面積を小さくすることができる。このことは、水分の浸入口が狭くなることを意味し、これによって、本実施の形態3における半導体装置PK1によれば、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPへの水分の到達確率を低減することができる。
【0095】
特に、本実施の形態3によれば、支持部SU1に屈曲部BD1を設けることにより、半導体チップCHPまでの水分の浸入経路を長くする技術的思想が具現化されている点と、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の面積をできるだけ小さくする技術的思想が具現化されている点の相乗効果により、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPへの水分の到達確率をさらに低減することができる。
【0096】
以上のことから、本実施の形態3によっても、ソースパッドSPとチップ搭載部TABにわたって水分が付着することによるリーク電流の増大を抑制することができ、これによって、半導体装置PK1の信頼性の低下を抑制することができる。すなわち、本実施の形態3によれば、クリップフレームを使用することによる組立作業性の向上を図りながら、クリップフレームを使用する場合に発生しやすくなる半導体装置PK1の内部への水分の浸入を抑制することができる。つまり、本実施の形態3によれば、組立作業性の向上を図りながら、半導体装置PK1の信頼性も向上することができる。
【0097】
以下では、具体的に、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の面積を小さくする構成例について断面図を参照しながら説明する。
【0098】
図13は、
図12のA−A線で切断した構成例を示す一断面図である。
図13に示すように、クリップCLPは、板状部PLTと支持部SU1と支持部SU2から構成されている。このとき、
図13に示すように、支持部SU1の厚さや支持部SU2の厚さをT1とし、板状部PLTの厚さをT2とする場合、T1<T2となっている。つまり、支持部SU1の厚さや支持部SU2の厚さは、板状部PLTの厚さよりも薄くなっている。これにより、封止体MRから露出する支持部SU1の端部や支持部SU2の端部の面積を小さくすることができる。具体的に、
図13では、支持部SU1の上面と支持部SU2の上面と板状部PLTの上面が面一となっており、かつ、支持部SU1の下面と支持部SU2の下面が板状部PLTの下面よりも高くなる構造によって、T1<T2が実現されている。このような形状の形成方法としては、支持部SU1の下面側および支持部SU2の下面側からハーフエッチングする方法が考えられる。
【0099】
続いて、
図14は、
図12のA−A線で切断した構成例を示す一断面図である。
図14に示すように、クリップCLPは、板状部PLTと支持部SU1と支持部SU2から構成されている。このとき、
図14に示すように、支持部SU1の厚さや支持部SU2の厚さをT1とし、板状部PLTの厚さをT2とする場合、T1<T2となっている。つまり、支持部SU1の厚さや支持部SU2の厚さは、板状部PLTの厚さよりも薄くなっている。これにより、封止体MRから露出する支持部SU1の端部や支持部SU2の端部の面積を小さくすることができる。具体的に、
図14では、支持部SU1の下面と支持部SU2の下面と板状部PLTの下面が面一となっており、かつ、支持部SU1の上面と支持部SU2の上面が板状部PLTの上面よりも低くなる構造によって、T1<T2が実現されている。このような形状の形成方法としては、支持部SU1の上面側および支持部SU2の上面側からハーフエッチングする方法が考えられる。
【0100】
次に、
図15は、
図12のA−A線で切断した構成例を示す一断面図である。
図15に示すように、クリップCLPは、板状部PLTと支持部SU1と支持部SU2から構成されている。このとき、
図15に示すように、支持部SU1や支持部SU2には、厚さがT1と第1部位と、厚さがT1よりも厚い厚さT2の第2部位を備えている。そして、板状部PLTの厚さも厚さT2となっている。さらに、
図15に示す構成例では、厚さの薄い第1部位が、厚さの厚い第2部位よりも支持部SU1の端部側に形成されている。これにより、封止体MRから露出する支持部SU1の端部や支持部SU2の端部の面積を小さくすることができる。さらに、
図15に示す構造では、支持部SU1に第1部位と第2部位による凹凸形状が形成されることになる。このため、支持部SU1に沿った水分の浸入がしにくくなる効果も得ることができる。すなわち、
図15に示す構造では、凸形状を構成する支持部SU1の第2部位が水分の浸入を抑制する防波堤として機能することから、
図15に示す構造では、封止体MRから露出する支持部SU1の端部や支持部SU2の端部の面積を小さくすることができるとともに、半導体装置PK1の内部への水分の浸入を抑制しやすくなる効果も得ることができる。
【0101】
なお、
図15では、支持部SU1の上面と支持部SU2の上面と板状部PLTの上面が面一となっており、かつ、支持部SU1の下面と支持部SU2の下面に凹凸形状が形成されている。このような形状の形成方法としては、第2部位を形成する部分をマスクで覆いながら、支持部SU1の下面側および支持部SU2の下面側からハーフエッチングする方法が考えられる。
【0102】
<変形例1>
続いて、本変形例1について説明する。
図16は、本変形例1における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図16に示す本変形例1における半導体装置PK1は、
図12に示す実施の形態3における半導体装置PK1と、ほぼ同様の構成をしているため、相違点を中心に説明する。
【0103】
例えば、実施の形態3における半導体装置PK1では、
図12に示すように、支持部SU1の厚さを薄くすることにより、封止体MRの側面SD1から露出する支持部SU1の端部の面積を小さくしている。これに対し、本変形例1における半導体装置PK1では、例えば、支持部SU1に着目すると、
図16の上側領域に図示されている封止体MRの側面SD1から支持部SU1の端部が露出しているが、この露出している支持部SU1の端部のx方向の幅が小さくなっている。これにより、本変形例1においても、封止体MRの側面SD1から露出する支持部SU1の端部の面積を小さくすることができる。
【0104】
すなわち、
図12に示す実施の形態3と
図16に示す本変形例1では、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の面積を小さくする点で共通する。ただし、
図12に示す実施の形態3では、支持部SU1の厚さを薄くすることにより端部の面積を小さくしている一方、
図16に示す本変形例1では、支持部SU1のx方向の幅を小さくすることによって端部の面積を小さくしている点が相違する。
【0105】
このような本変形例1における半導体装置PK1の構成によっても、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の面積をできるだけ小さくするという技術的思想、言い換えれば、封止体MRに存在する水分の浸入口をできるだけ小さくするという技術的思想を実現することができる。
【0106】
<変形例2>
実施の形態3では、例えば、
図12に示すように、支持部SU1に屈曲部BD1を設けることにより、支持部SU1の長さを長くして、半導体チップCHPまでの水分の浸入経路を長くする技術的思想と、支持部SU1の厚さを薄くすることにより、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の面積をできるだけ小さくするという技術的思想を組み合わせる構成例について説明している。この構成例は、半導体装置PK1の内部への水分の浸入を抑制する観点から望ましい構成ということができる。ただし、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の面積をできるだけ小さくするという技術的思想を具現化する構成だけでも半導体装置PK1の内部への水分の浸入を抑制する優位性は得られると考えられる。そこで、本変形例2では、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の面積をできるだけ小さくするという技術的思想だけを具現化する構成例について説明する。
【0107】
図17は、本変形例2における半導体装置PK1の実装構成を示す図である。
図17において、クリップCLPは、板状部PLTと支持部SU1と支持部SU2から形成されており、支持部SU1および支持部SU2には屈曲部が設けられておらず、直線形状をしている。そして、
図17に示すように、支持部SU1の端部は封止体MRの側面SD4から露出し、かつ、支持部SU2の端部は封止体MRの側面SD4と対向する側面SD3から露出している。このとき、本変形例2では、支持部SU1の端部の厚さと、支持部SU2の端部の厚さが薄くなっている。具体的に、
図18は、
図17のA−A線で切断した断面図である。
図18に示すように、支持部SU1の厚さ(T1)と支持部SU2の厚さ(T1)が板状部PLTの厚さ(T2)よりも薄くなっていることがわかる。このことから、本変形例2による構成によって、封止体MRから露出する支持部SU1の端部の面積をできるだけ小さくするという技術的思想、言い換えれば、封止体MRに存在する水分の浸入口をできるだけ小さくするという技術的思想が具現化されていることがわかる。このように構成されている本変形例2においても、半導体装置PK1の内部への水分の浸入を抑制することができる。
【0108】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、例えば、DC/DCコンバータの構成要素となる半導体装置に前記実施の形態1における技術的思想を適用する例について説明する。
【0109】
<DC/DCコンバータの回路構成および動作>
図19は、降圧型DC/DCコンバータの回路構成を示す図である。
図19に示すように、降圧型DC/DCコンバータでは、入力端子TE1とグランドGNDとの間にハイサイドMOSトランジスタQHとローサイドMOSトランジスタQLが直列接続されている。そして、ハイサイドMOSトランジスタQHとローサイドMOSトランジスタQLとの間のノードNAとグランドGNDとの間にインダクタLと負荷RLが直列接続されており、負荷RLと並列にコンデンサCが接続されている。
【0110】
また、ハイサイドMOSトランジスタQHのゲート電極、および、ローサイドMOSトランジスタQLのゲート電極は、制御回路CCに接続されており、制御回路CCによって、ハイサイドMOSトランジスタQHのオン/オフ、および、ローサイドMOSトランジスタQLのオン/オフが制御される。具体的に、制御回路CCは、ハイサイドMOSトランジスタQHをオンする際には、ローサイドMOSトランジスタQLをオフし、ハイサイドMOSトランジスタQHをオフする際には、ローサイドMOSトランジスタQLをオンするように制御する。
【0111】
ここで、例えば、ハイサイドMOSトランジスタQHがオンし、ローサイドMOSトランジスタQLがオフしている場合、入力端子TE1からハイサイドMOSトランジスタQHおよびインダクタLを経由して負荷RLに電流が流れる。その後、ハイサイドMOSトランジスタQHがオフし、ローサイドMOSトランジスタQLがオンすると、まず、ハイサイドMOSトランジスタQHがオフすることから、入力端子TE1からハイサイドMOSトランジスタQHおよびインダクタLを経由して負荷RLに流れる電流が遮断される。すなわち、インダクタLに流れる電流が遮断される。ところが、インダクタLにおいては、電流が減少(遮断)すると、インダクタLを流れる電流を維持しようとする。このとき、ローサイドMOSトランジスタQLがオンしていることから、今度は、グランドGNDからローサイドMOSトランジスタQLおよびインダクタLを経由して負荷RLに電流が流れる。その後、再び、ハイサイドMOSトランジスタQHをオンし、ローサイドMOSトランジスタQLをオフする。このような動作を繰り返すことにより、
図19に示す降圧型DC/DCコンバータでは、入力端子TE1に入力電圧Vinを入力すると、負荷RLの両端に入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutが出力されることになる。
【0112】
以下では、上述したスイッチング動作を繰り返すことにより、入力端子TE1に入力電圧Vinを入力した場合、負荷RLの両端に入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutが出力される理由について簡単に説明する。なお、以下では、インダクタLを流れる電流が断続しないものとして取り扱うことにする。
【0113】
まず、ハイサイドMOSトランジスタQHは、制御回路CCによる制御により、オン期間T
ONおよびオフ期間T
OFFでスイッチング動作するものとする。この場合のスイッチング周波数は、f=1/(T
ON+T
OFF)となる。
【0114】
ここで、例えば、
図19において、負荷RLと並列に挿入されているコンデンサCは、出力電圧Voutを短時間に大きく変動させない機能を有している。つまり、
図19に示す降圧型DC/DCコンバータでは、負荷RLと並列に比較的大きな容量値のコンデンサCを挿入するため、定常状態では、出力電圧Voutに含まれるリップル電圧は、出力電圧Voutに比べて小さい値になる。このため、スイッチング動作の1周期内での出力電圧Voutの変動は無視できるものとする。
【0115】
最初に、ハイサイドMOSトランジスタQHがオンしている場合を考える。このとき、出力電圧Voutが1周期内で変動しないものと仮定しているため、インダクタLにかかる電圧は、(Vin−Vout)で一定と見なすことができる。この結果、インダクタLのインダクタンスをL1とすると、オン期間T
ONにおける電流の増加分ΔI
onは、式(1)で与えられる。
【0116】
ΔI
on=(Vin−Vout)/L1×T
ON ・・・(1)
次に、ハイサイドMOSトランジスタQHがオフしている場合を考える。この場合、ローサイドMOSトランジスタQLがオンしていることから、インダクタLにかかる電圧は、0−Vout=−Voutとなる。したがって、オフ期間T
OFFにおける電流の増加分ΔI
OFFは、式(2)で与えられる。
【0117】
ΔI
OFF=−Vout/L1×T
OFF ・・・(2)
このとき、定常状態となると、インダクタLを流れる電流は、スイッチング動作の1周期の間に増減しないことになる。言い換えれば、1周期の間にインダクタLに流れる電流が増減する場合、まだ定常状態に達していないことを意味する。したがって、定常状態では、式(3)が成立する。
【0118】
ΔI
ON+ΔI
OFF=0 ・・・(3)
この式(3)に式(1)の関係および式(2)の関係を代入すると、以下に示す式(4)を得ることができる。
【0119】
Vout=Vin×T
ON/(T
ON+T
OFF) ・・・(4)
この式(4)において、T
ON≧0、および、T
OFF≧0であることから、Vout<Vinであることがわかる。すなわち、
図19に示す降圧型DC/DCコンバータは、入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを出力する回路であることがわかる。そして、式(4)から制御回路CCによるスイッチング動作を制御することにより、オン期間T
ONとオフ期間T
OFFを変化させることで、入力電圧Vinよりも低い任意の出力電圧Voutを得ることができることがわかる。特に、オン期間T
ONとオフ期間T
OFFとが一定になるように制御すれば、一定の出力電圧Voutを得ることができる。
【0120】
以上のようにして、
図19に示す降圧型DC/DCコンバータによれば、制御回路CCで、ハイサイドMOSトランジスタQHのオン/オフ、および、ローサイドMOSトランジスタQLのオン/オフを制御することにより、入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを出力できることがわかる。
【0121】
<実施の形態4における半導体装置の実装構成>
上述したDC/DCコンバータに含まれる制御回路CC、ローサイドMOSトランジスタQL、および、ハイサイドMOSトランジスタQHは、例えば、1パッケージ化した半導体装置として製品化される。この1パッケージ化した半導体装置は、
図19に示すインダクタLやコンデンサCを含んでいないため、DC/DCコンバータの一部を構成する半導体装置であるが、便宜上、DC/DCコンバータを構成する半導体装置と呼ぶこともある。
【0122】
半導体装置は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子を形成した半導体チップと、この半導体チップを覆うように形成されたパッケージから形成されている。パッケージには、(1)半導体チップに形成されている半導体素子と外部回路とを電気的に接続するという機能や、(2)湿度や温度などの外部環境から半導体チップを保護し、振動や衝撃による破損や半導体チップの特性劣化を防止する機能がある。さらに、パッケージには、(3)半導体チップのハンドリングを容易にするといった機能や、(4)半導体チップの動作時における発熱を放散し、半導体素子の機能を最大限に発揮させる機能なども合わせ持っている。
【0123】
半導体装置のパッケージ構造には、例えば、BGA(Ball Grid Array)パッケージやQFP(Quad Flat Package)パッケージやQFN(Quad Flat Non-leaded Package)パッケージなどのように様々な種類がある。このような多様なパッケージ形態のうち、例えば、上述したDC/DCコンバータの一部を構成する半導体装置は、QFNパッケージで実装構成されている。そこで、以下では、DC/DCコンバータの一部を構成するQFNパッケージからなる半導体装置の実装構成について説明する。
【0124】
図20は、本実施の形態4における半導体装置PK2の実装構成を示す図である。
図20において、中央に示されている図は、半導体装置PK2を上面(表面)から見た平面図であり、四方のそれぞれに側面図が示されている。
図20に示すように、本実施の形態4における半導体装置PK2は、矩形形状をした封止体MRで覆われている。そして、側面図を見てわかるように、半導体装置PK2の側面には、封止体MRからリードLDが露出していることがわかる。
【0125】
この封止体は、平面視における形状が矩形形状(例えば、四角形状)であって、上面と、上面とは反対側の下面と、この上面と下面との間に配置された複数の側面(4つの側面)を有している。具体的に、
図20に示すように、4つの側面をそれぞれ側面SD1〜SD4と呼ぶことにすると、これらの側面SD1〜SD4のそれぞれにおいて、封止体MRからリードLDが露出していることがわかる。さらに、本実施の形態4では、半導体装置PK2の側面から支持部SU1(L)、SU2(L)、SU1(H)、SU2(H)の端部も露出している。具体的には、側面SD1からは支持部SU1(H)が露出している。また、側面SD3からは支持部SU2(L)と支持部SU2(H)が露出し、側面SD4からは支持部SU1(L)が露出していることがわかる。
【0126】
次に、
図21は、本実施の形態4における半導体装置PK2を下面(裏面)から見た平面図である。
図21に示すように、半導体装置PK2の裏面も封止体MRで覆われているが、この封止体MRからチップ搭載部TAB(L)、チップ搭載部TAB(H)、および、チップ搭載部TAB(C)の一部(裏面)が露出している。このようにチップ搭載部TAB(L)、チップ搭載部TAB(H)、および、チップ搭載部TAB(C)の一部が半導体装置PK2の裏面から露出していることにより、半導体装置PK2の放熱効率を向上させることができる。また、矩形形状をした半導体装置PK2の外周領域(外周部)には、複数の裏面端子BTEが露出している。この裏面端子BTEは、リードLDの一部を構成している。
【0127】
続いて、半導体装置PK2の内部構造について説明する。
図22は、本実施の形態4における半導体装置PK2の内部構成を示す図である。
図22において、中央に示されている図は、封止体MRを透視した上面側から半導体装置PK2の内部を見た平面図であり、四方のそれぞれに断面図が示されている。
【0128】
図22の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(L)上に、例えば、シリコンを主成分とするローサイドMOSチップCHP(L)が搭載されている。そして、このローサイドMOSチップCHP(L)の表面には、例えば、アルミニウム膜からなるソースパッドSP(L)およびゲートパッドGP(L)が形成されている。なお、ソースパッドSP(L)上には、後述するローサイドMOSクリップCLP(L)をソースパッドSP(L)上に高融点半田HS2を介して電気的に接続させるために、ここではニッケル(Ni)−金(Au)膜が形成されている。
【0129】
チップ搭載部TAB(L)の外側の一部にはリードLDが配置されており、このリードLDとローサイドMOSチップCHP(L)のソースパッドSP(L)とは、ローサイドMOSクリップCLP(L)で電気的に接続されている。つまり、ローサイドMOSチップCHP(L)のソースパッドSP(L)上に、例えば、銅材からなるローサイドMOSクリップCLP(L)が搭載されており、このローサイドMOSクリップCLP(L)の端部は、リードLDと接続されている。具体的には、
図22の下側の断面図に示すように、チップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を介してローサイドMOSチップCHP(L)が搭載されており、このローサイドMOSチップCHP(L)上からリードLD上に跨るように、高融点半田HS2を介してローサイドMOSクリップCLP(L)が搭載されている。
【0130】
次に、
図22の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(H)上に、例えば、シリコンを主成分とするハイサイドMOSチップCHP(H)が搭載されている。そして、このハイサイドMOSチップCHP(H)の表面には、例えば、アルミニウム膜からなるソースパッドSP(H)およびゲートパッドGP(H)が形成されている。なお、ソースパッドSP(H)上には、後述するハイサイドMOSクリップCLP(H)をソースパッドSP(H)上に高融点半田HS2を介して電気的に接続させるために、ここではニッケル(Ni)−金(Au)膜が形成されている。
【0131】
チップ搭載部TAB(H)と隣り合うようにチップ搭載部TAB(L)が配置されており、このチップ搭載部TAB(L)とハイサイドMOSチップCHP(H)のソースパッドSP(H)とは、ハイサイドMOSクリップCLP(H)で電気的に接続されている。つまり、ハイサイドMOSチップCHP(H)のソースパッドSP(H)上に、例えば、銅材からなるハイサイドMOSクリップCLP(H)が搭載されており、このハイサイドMOSクリップCLP(H)の端部は、チップ搭載部TAB(L)と接続されている。具体的には、
図22の左側の断面図に示すように、チップ搭載部TAB(H)上に高融点半田HS1を介してハイサイドMOSチップCHP(H)が搭載されており、このハイサイドMOSチップCHP(H)上からチップ搭載部TAB(L)上に跨るように、高融点半田HS2を介してハイサイドMOSクリップCLP(H)が搭載されている。
【0132】
続いて、
図22の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(C)上に、例えば、シリコンを主成分とするドライバICチップCHP(C)が搭載されている。具体的には、
図22の右側あるいは上側の断面図に示すように、チップ搭載部TAB(C)上に高融点半田HS1を介してドライバICチップCHP(C)が搭載されている。このドライバICチップCHP(C)の内部には、
図19に示す制御回路CCが形成されている。そして、ドライバICチップCHP(C)の表面には、例えば、アルミニウム膜からなるパッドPDが形成されている。チップ搭載部TAB(C)の外側の一部にはリードLDが配置されており、このリードLDと、ドライバICチップCHP(C)の表面に形成されているパッドPDとが、例えば、金線からなる金属ワイヤWで電気的に接続されている。また、
図22に示すように、ローサイドMOSチップCHP(L)に形成されたゲートパッドGP(L)と、ドライバICチップCHP(C)に形成されたパッドPDとが、金属ワイヤWで接続されている。同様に、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されたゲートパッドGP(H)と、ドライバICチップCHP(C)に形成されたパッドPDとが、金属ワイヤWで接続されている。
【0133】
このように構成されている本実施の形態4における半導体装置PK2においては、DC/DCコンバータの一部を構成していることについて説明する。
図22の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(L)上に搭載されているローサイドMOSチップCHP(L)の内部には、
図19に示すローサイドMOSトランジスタQL(スイッチング用電界効果トランジスタ)が形成されている。そして、ローサイドMOSチップCHP(L)の表面には、ソースパッドSP(L)が形成されているが、このソースパッドSP(L)は、ローサイドMOSチップCHP(L)の内部に形成されているローサイドMOSトランジスタQLのソース領域と電気的に接続されている。また、ローサイドMOSチップCHP(L)の表面には、ゲートパッドGP(L)が形成されており、このゲートパッドGP(L)は、ローサイドMOSチップCHP(L)の内部に形成されているローサイドMOSトランジスタQLのゲート電極と電気的に接続されている。さらに、ローサイドMOSチップCHP(L)の裏面は、ローサイドMOSトランジスタQLのドレイン領域(ドレイン電極)となっている。
【0134】
同様に、
図22の中央に示されている図において、チップ搭載部TAB(H)上に搭載されているハイサイドMOSチップCHP(H)の内部には、
図19に示すハイサイドMOSトランジスタQH(スイッチング用電界効果トランジスタ)が形成されている。そして、ハイサイドMOSチップCHP(H)の表面には、ソースパッドSP(H)が形成されているが、このソースパッドSP(H)は、ハイサイドMOSチップCHP(H)の内部に形成されているハイサイドMOSトランジスタQHのソース領域と電気的に接続されている。また、ハイサイドMOSチップCHP(H)の表面には、ゲートパッドGP(H)が形成されており、このゲートパッドGP(H)は、ハイサイドMOSチップCHP(H)の内部に形成されているハイサイドMOSトランジスタQHのゲート電極と電気的に接続されている。さらに、ハイサイドMOSチップCHP(H)の裏面は、ハイサイドMOSトランジスタQHのドレイン領域(ドレイン電極)となっている。
【0135】
ここで、
図22に示すように、ローサイドMOSチップCHP(L)の裏面(ドレイン電極)がチップ搭載部TAB(L)と電気的に接続されている。そして、このチップ搭載部TAB(L)と、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されているソースパッドSP(H)がハイサイドMOSクリップCLP(H)で接続されていることになる。このことから、ローサイドMOSチップCHP(L)のドレイン電極と、ハイサイドMOSチップCHP(H)のソースパッドSP(H)が電気的に接続されることになり、
図19に示すハイサイドMOSトランジスタQHとローサイドMOSトランジスタQLの直列接続が実現されていることがわかる。
【0136】
そして、ローサイドMOSチップCHP(L)の表面に形成されているソースパッドSP(L)は、ローサイドMOSクリップCLP(L)を介してリードLDと電気的に接続されている。このため、ローサイドMOSクリップCLP(L)と電気的に接続されているリードLDをグランドと接続することにより、
図19に示すローサイドMOSトランジスタQLのソース領域をグランドGNDと接続させることができる。
【0137】
一方、ハイサイドMOSチップCHP(H)の裏面(ドレイン電極)は、高融点半田HS1を介してチップ搭載部TAB(H)と電気的に接続されている。したがって、チップ搭載部TAB(H)を入力端子TE1と電気的に接続することにより、
図19に示すハイサイドMOSトランジスタQHのドレイン領域(ドレイン電極)を入力端子TE1と接続させることができる。以上のようにして、
図22に示す本実施の形態4における半導体装置PK2は、DC/DCコンバータの一部を構成していることがわかる。
【0138】
<実施の形態4における特徴>
次に、本実施の形態4における特徴について説明する。
【0139】
本実施の形態4において、
図22に示すように、ローサイドMOSクリップCLP(L)は、支持部SU1(L)と支持部SU2(L)を有している。そして、支持部SU1(L)には屈曲部が設けられており、支持部SU2(L)にも屈曲部が設けられている。このため、本実施の形態4においても、封止体MRから露出している支持部SU1(L)の端部や支持部SU2(L)の端部から浸入した水分がローサイドMOSチップCHP(L)の表面に形成されているソースパッドSP(L)にまで達する距離を長くすることができる。この結果、本実施の形態4によれば、たとえ、封止体MRの側面から支持部SU1(L)の端部や支持部SU2(L)の端部が露出していても、支持部SU1(L)や支持部SU2(L)に屈曲部が形成されていることに基づく支持部SU1(L)や支持部SU2(L)の長さの増大によって、ローサイドMOSチップCHP(L)の表面に形成されているソースパッドSP(L)への水分の到達確率を低減することができる。
【0140】
同様に、ハイサイドMOSクリップCLP(H)は、支持部SU1(H)と支持部SU2(H)を有している。そして、支持部SU1(H)には屈曲部が設けられており、支持部SU2(H)にも屈曲部が設けられている。このため、本実施の形態4においても、封止体MRから露出している支持部SU1(H)の端部や支持部SU2(H)の端部から浸入した水分がハイサイドMOSチップCHP(H)の表面に形成されているソースパッドSP(H)にまで達する距離を長くすることができる。この結果、本実施の形態4によれば、たとえ、封止体MRの側面から支持部SU1(H)の端部や支持部SU2(H)の端部が露出していても、支持部SU1(H)や支持部SU2(H)に屈曲部が形成されていることに基づく支持部SU1(H)や支持部SU2(H)の長さの増大によって、ハイサイドMOSチップCHP(H)の表面に形成されているソースパッドSP(H)への水分の到達確率を低減することができる。
【0141】
ここで、本実施の形態4では、ローサイドMOSクリップCLP(L)の構成要素である支持部SU1(L)と支持部SU2(L)の配置位置と、ハイサイドMOSクリップCLP(H)の構成要素である支持部SU1(H)と支持部SU2(H)の配置位置に特徴点がある。すなわち、
図22に示すように、本実施の形態4における半導体装置PK2では、1つのパッケージ内に複数の半導体チップが配置されることから、それぞれの構要素にレイアウト上の制約がある。この点に関し、本実施の形態4では、このレイアウト上の制約を考慮しながら、支持部SU1(L)と支持部SU2(L)の配置位置や、支持部SU1(H)と支持部SU2(H)の配置位置に工夫を施している。
【0142】
具体的には、
図22に示すように、まず、ローサイドMOSクリップCLP(L)を支持する支持部SU1(L)と支持部SU2(L)とを互いに対向する側面から端部が露出するように配置している。これは、ローサイドMOSクリップCLP(L)のサイズが、ローサイドMOSチップCHP(L)のサイズに対応して大きくなっていることから、ローサイドMOSクリップCLP(L)を充分に支持できるようにすることを考慮したものである。このように、まず、支持部SU1(L)と支持部SU2(L)の配置が決定される。
【0143】
続いて、ハイサイドMOSクリップCLP(H)を支持する支持部SU1(H)と支持部SU2(H)の配置位置を決定する必要がある。このとき、ハイサイドMOSクリップCLP(H)を安定して支持する観点から、支持部SU1(H)と支持部SU2(H)も、ローサイドMOSクリップCLP(L)を支持する支持部SU1(L)と支持部SU2(L)と同様に、互いに対向する側面から端部が露出するように配置することが望ましい。
【0144】
ところが、
図22を見てわかるように、ハイサイドMOSクリップCLP(H)の紙面右側領域には、ドライバICチップCHP(C)が配置されており、複数の金属ワイヤWが配置されている。また、ハイサイドMOSクリップCLP(H)の紙面下側領域には、ローサイドMOSクリップCLP(L)が配置されている。したがって、これらの構成要素と干渉しないように配置する必要があることから、ハイサイドMOSクリップCLP(H)を支持する支持部SU1(H)と支持部SU2(H)を、ローサイドMOSクリップCLP(L)を支持する支持部SU1(L)と支持部SU2(L)と同様に、互いに対向する側面から端部が露出するように配置することは困難になる。
【0145】
そこで、本実施の形態4では、
図22に示すように、ハイサイドMOSクリップCLP(H)を支持する支持部SU1(H)と支持部SU2(H)を互いに交差する側面から端部が露出するように配置している。この場合、ハイサイドMOSクリップCLP(H)を支持する強度が弱くなると考えられるが、ハイサイドMOSクリップCLP(H)のサイズは、ローサイドMOSクリップCLP(L)のサイズに比べて小さいので、このような配置位置でも充分に支持することができるのである。以上のことから、本実施の形態4では、ローサイドMOSクリップCLP(L)を支持する支持部SU1(L)と支持部SU2(L)と、ハイサイドMOSクリップCLP(H)を支持する支持部SU1(H)と支持部SU2(H)の両方に屈曲部を設けるとともに、
図22に示すようなレイアウト配置にしている。これにより、本実施の形態4における半導体装置PK2によれば、レイアウト配置の制約の中で支持部SU1(L)、SU2(L)、SU1(H)、SU2(H)に屈曲部を設けることができ、これによって、本実施の形態4によれば、半導体装置PK2の信頼性を向上することができる。
【0146】
<実施の形態4における半導体装置の製造方法>
本実施の形態4における半導体装置PK2は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0147】
1.基材(リードフレームおよびクリップフレーム)準備工程
まず、
図23に示すように、リードフレームLF1を準備する。
図23(A)では、リードフレームLF1の模式的な全体構成が示されており、
図23(B)では、
図23(A)に示すリードフレームLF1の一部分が拡大して示されている。さらに、
図23(C)では、
図23(B)に示すリードフレームLF1の一部分がさらに拡大して示されている。
【0148】
図23(C)に示すように、本実施の形態4におけるリードフレームLF1は、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)と、リードLDとを備えた製品領域PRが行列状(X方向およびY方向)に複数配置されていることがわかる。
【0149】
さらに、本実施の形態4では、
図24に示すようなクリップフレームCLFを準備する。本実施の形態4では、このクリップフレームCLFを使用する点に特徴がある。
図24(A)では、クリップフレームCLFの模式的な全体構成が示されており、
図24(B)では、クリップフレームCLFの一部分が拡大して示されている。
図24(B)に示すように、クリップフレームCLFには、ハイサイドMOSクリップCLP(H)とローサイドMOSクリップCLP(L)を備える複数の単位領域URが含まれており、複数の単位領域URが行列状(マトリクス状)に配置されている。なお、ハイサイドMOSクリップCLP(H)とローサイドMOSクリップCLP(L)は、例えば、銅を材料成分とする金属板から構成される。
【0150】
以下に、
図24(A)および
図24(B)に示すクリップフレームCLFの詳細な構成について説明する。例えば、
図24(B)に示すように、行列状に配置された単位領域URのそれぞれには、ハイサイドMOSクリップCLP(H)とローサイドMOSクリップCLP(L)が形成されている。そして、各単位領域URは、枠部FUを有しており、ハイサイドMOSクリップCLP(H)が吊りリードである支持部SU1(H)および支持部SU2(H)によって枠部FUに支持されている。同様に、各単位領域URにおいて、ローサイドMOSクリップCLP(L)が吊りリードである支持部SU1(L)および支持部SU2(L)によって枠部FUに支持されている。このとき、支持部SU1(H)、SU2(H)、SU1(L)、SU2(L)のそれぞれには、例えば、複数の屈曲部が形成されている。また、支持部SU1(H)、SU2(H)、SU1(L)、SU2(L)のそれぞれの一部分に対して、予めハーフエッチングを施すことにより、他部分よりも厚さを薄くするように構成されていてもよい。ここで、例えば、上述した一部分の表面側がハーフエッチングされていてもよいし、上述した一部分の裏面側がハーフエッチングされていてもよい。さらに、例えば、上述した一部分は、支持部SU1(H)、SU2(H)、SU1(L)、SU2(L)のそれぞれの他部分よりも枠部FUとの連結側に近い部分とすることができる。
【0151】
本実施の形態4におけるクリップフレームCLFでは、
図24(A)および
図24(B)に示すように、複数の単位領域URがX方向およびY方向に並ぶように配置されている。つまり、本実施の形態4におけるクリップフレームCLFは、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に複数の単位領域URが形成されている。例えば、本実施の形態4のクリップフレームCLFは、複数の単位領域URがX方向に第1所定間隔(第1ピッチ)で配置され、かつ、Y方向に第2所定間隔(第2ピッチ)で配置されている。
【0152】
ここで、
図23(A)〜
図23(C)に示すリードフレームLF1に着目すると、例えば、
図23(C)に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRがX方向およびY方向に並ぶように配置されている。つまり、
図23(A)〜
図23(C)に示すリードフレームLF1は、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に複数の製品領域PRが形成されている。例えば、リードフレームLF1は、複数の製品領域PRがX方向に第1所定間隔(第1ピッチ)で配置され、かつ、Y方向に第2所定間隔(第2ピッチ)で配置されている。
【0153】
すなわち、本実施の形態4においては、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのX方向の配置ピッチと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのX方向の配置ピッチとが同一となっている。また、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのY方向の配置ピッチと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのY方向の配置ピッチとが同一となっている。
【0154】
ここで、クリップフレームCLFに形成されている複数のハイサイドMOSクリップCLP(H)やローサイドMOSクリップCLP(L)のX方向(第1方向)およびX方向と直交するY方向(第2方向)における配置ピッチを第1ピッチおよび第2ピッチとする。
【0155】
この場合、リードフレームLF1に形成されているチップ搭載部(チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)、チップ搭載部TAB(L))のX方向およびY方向における配置ピッチも第1ピッチおよび第2ピッチとなっているのである。
【0156】
この結果、本実施の形態4においては、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのそれぞれが、平面視において重なるように配置することができる。さらに詳細に述べると、例えば、
図23(C)に示すチップ搭載部TAB(H)と、
図24(B)に示すハイサイドMOSクリップCLP(H)が平面的に重なるように配置できるとともに、
図23(C)に示すチップ搭載部TAB(L)と、
図24(B)に示すローサイドMOSクリップCLP(L)が平面的に重なるように配置できる。
【0157】
2.チップ搭載工程
次に、
図25に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田(高融点半田ペースト)HS1を供給する。具体的には、例えば、半田印刷法を使用することにより、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を印刷する。
【0158】
ここでいう高融点半田HS1とは、260℃程度に加熱しても溶融しない半田を意図しており、例えば、融点が300℃程度でリフロー温度が350℃程度であり、Pb(鉛)を90重量%以上含んだ半田を挙げることができる。
【0159】
なお、ここでは半田印刷法によりチップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を供給する方法について説明したが、これに限定されない。例えば、シリンジ詰めされた高融点半田HS1を準備し、シリンジ先端に取り付けられた塗布ノズルから、チップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)およびチップ搭載部TAB(L)上に高融点半田HS1を塗布供給してもよい。ただし、半田印刷法を用いた方が、半田マスクを用いて一度に複数個所へ高融点半田HS1を供給できるので、本工程の作業時間を短くすることができる。
【0160】
続いて、
図26に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、まず、チップ搭載部TAB(C)上にドライバICチップCHP(C)を搭載(配置)する。そして、チップ搭載部TAB(H)上にハイサイドMOSチップCHP(H)を搭載し、その後、チップ搭載部TAB(L)上にローサイドMOSチップCHP(L)を搭載する。なお、ドライバICチップCHP(C)、ハイサイドMOSチップCHP(H)およびローサイドMOSチップCHP(L)の搭載順は、これに限らず、適宜変更することも可能である。
【0161】
3.電気的接続工程
続いて、
図27に示すように、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれにおいて、ハイサイドMOSチップCHP(H)上に高融点半田(高融点半田ペースト)HS2を供給する。その後、ローサイドMOSチップCHP(L)上に高融点半田HS2を供給する。詳細には、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されているソースパッド(図示せず)上に高融点半田HS2を供給するとともに、ローサイドMOSチップCHP(L)に形成されているソースパッド(図示せず)上に高融点半田HS2を供給する。さらに、
図27に示すように、チップ搭載部TAB(L)の一部領域上およびリードの一部領域上にも高融点半田HS2を供給する。
【0162】
具体的には、例えば、塗布法を使用することにより、ハイサイドMOSチップCHP(H)上、ローサイドMOSチップCHP(L)上、チップ搭載部TAB(L)の一部領域上およびリードの一部領域上にも高融点半田HS2を塗布する。このとき形成される高融点半田HS2は、上述した高融点半田HS1と同じ材料成分であってもよいし、異なる材料成分であってもよい。
【0163】
その後、
図28に示すように、クリップフレームCLFを位置固定用の専用治具にセットする。具体的には、
図28に示すように、リードフレームLF1に形成されている開口部OP1を挿入した位置決めピンに、さらに、クリップフレームCLFに形成されている開口部OP2を挿入する。これにより、本実施の形態4によれば、リードフレームLF1上にクリップフレームCLFを重ね合わせるように配置することができる。つまり、上述したように、専用治具に設けられた位置決めピンに、リードフレームLF1に形成されている開口部OP1と、クリップフレームCLFに形成されている開口部OP2を挿入することにより、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRのそれぞれと、クリップフレームCLFに形成されている複数の単位領域URのそれぞれとを平面的に重ね合わせることができるのである。このとき、リードフレームLF1上にクリップフレームCLFを重ねる際、平面視において、支持部SU1(H)、SU2(H)、SU1(L)、SU2(L)に形成されている屈曲部は、例えば、ハイサイドMOSチップCHP(H)やローサイドMOSチップCHP(L)と重ならないように形成されている。
【0164】
本実施の形態4によれば、リードフレームLF1にクリップフレームCLFを重ね合わせるだけで、複数の製品領域PRのそれぞれと、複数の単位領域URのそれぞれとを平面的に重ね合わせることができる。このことは、複数の製品領域PRのそれぞれに形成されているハイサイドMOSチップCHP(H)上に、複数の単位領域URのそれぞれに形成されているハイサイドMOSクリップCLP(H)を一度に搭載することができることを意味する。同様に、このことは、複数の製品領域PRのそれぞれに形成されているローサイドMOSチップCHP(L)上に、複数の単位領域URのそれぞれに形成されているローサイドMOSクリップCLP(L)を一度に搭載することができることを意味する。この結果、本実施の形態4によれば、ハイサイドMOSクリップCLP(H)とローサイドMOSクリップCLP(L)とをハイサイドMOSチップCHP(H)上とローサイドMOSチップCHP(L)上とにそれぞれ個別に(個々に)搭載する場合に比べて、製造工程の簡略化を図ることができる。これにより、本実施の形態4によれば、半導体装置PK2の製造コストを低減することができる。
【0165】
続いて、高融点半田(高融点半田HS1、高融点半田HS2)に対してリフローを実施する。具体的には、高融点半田を含むリードフレームLF1を、例えば、350℃程度の温度(第1温度)で加熱する。これにより、高融点半田は溶融し、ハイサイドMOSチップCHP(H)の裏面(ドレイン電極)とチップ搭載部TAB(H)、ローサイドMOSチップCHP(L)の裏面(ドレイン電極)とチップ搭載部TAB(L)が電気的に接続されることになる。また、ハイサイドMOSクリップCLP(H)とハイサイドMOSチップCHP(H)の表面のソースパッドとチップ搭載部TAB(L)、および、ローサイドMOSクリップCLP(L)とローサイドMOSチップCHP(L)の表面のソースパッドと基準電位が供給されるリード、が電気的に接続されることになる。
【0166】
なお、ここでは、例えば、リフロー1回で各チップと各クリップの接続を一度に行っているが、リフローは複数回に分けてもよい。つまり、各チップを搭載した後に1回目のリフローを行い、各クリップを搭載した後に2回目のリフローを行ってもよい。ただし、前述のように各チップの搭載を行った後、連続して各クリップの搭載まで行ってからリフローを行った方がリフロー回数は1回で済むので、工程を短縮化することができる。
【0167】
その後、高融点半田に含まれているフラックスを除去するため、フラックス洗浄を実施する。そして、その後の工程で行われるワイヤボンディング工程におけるワイヤのボンディング特性を向上させる観点から、リードフレームLF1の表面に対してプラズマ処理を実施することにより、リードフレームLF1の表面を清浄化する。
【0168】
なお、プラズマ処理は実施しなくてもよい。すなわち、フラックス洗浄工程で、その後のワイヤボンディングに支障がない程度にリードフレームLF1の表面の清浄化が保てる場合には、プラズマ処理工程を省略することができる。
【0169】
続いて、
図29(A)および
図29(B)に示すように、ワイヤボンディング工程を実施する。
図29(A)は、ワイヤボンディング工程を実施する際のリードフレームLF1を示す図である。ただし、
図29(A)では、実際のワイヤボンディング工程を実施することによる構成要素(ワイヤ)は省略されており、この構成要素(ワイヤ)は、
図29(A)に示される1つの製品領域PRを拡大した図である
図29(B)に示されている。
【0170】
図29(B)において、ドライバICチップCHP(C)に形成されている複数のパッドPDと複数のリードLDが複数の金属ワイヤWで接続されていることがわかる。さらに、
図29(B)に示すように、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されているゲートパッドGP(H)と、ドライバICチップCHP(C)に形成されているパッドPDが金属ワイヤWで接続されている。同様に、ローサイドMOSチップCHP(L)に形成されているゲートパッドGP(L)と、ドライバICチップCHP(C)に形成されているパッドPDが金属ワイヤWで接続されている。これにより、本実施の形態4によれば、ハイサイドMOSチップCHP(H)に形成されているハイサイドMOSトランジスタQH(
図19参照)と、ローサイドMOSチップCHP(L)に形成されているローサイドMOSトランジスタQL(
図19参照)が、ドライバICチップCHP(C)に形成されている制御回路CC(
図19参照)によって電気的に制御されることがわかる。
【0171】
4.封止(モールド)工程
次に、
図30に示すように、リードフレームLF1に形成されている製品領域を一括して樹脂で封止(モールド)することにより封止体MRを形成する。言い換えれば、
図29(B)に示すドライバICチップCHP(C)、ハイサイドMOSチップCHP(H)およびローサイドMOSチップCHP(L)を覆うようにリードフレームLF1内の複数の製品領域PRを樹脂で一括封止して封止体MRを形成する。
【0172】
このとき、封止体MRは、例えば、上面、上面とは反対側の下面、その厚さ方向において上面と下面との間に位置する第1側面、第1側面と対向する第2側面、第1側面および第2側面と交差する第3側面、第1側面および第2側面と交差し、第3側面と対向する第4側面を有するように形成される。
【0173】
本実施の形態4では、半導体チップを樹脂で封止する技術として、キャビティ内に複数の製品領域PRを内包させて、複数の製品領域PRを一括して樹脂で封止する、いわゆるMAPモールド技術(MAP:Matrix Array Package、一括モールド技術)と呼ばれる技術を採用している。このMAPモールド技術によれば、製品領域PR毎に樹脂を注入する経路を設ける必要がないので、複数の製品領域PRを密に配置することができる。これにより、MAPモールド技術によれば、製品の取得数を向上させることができ、これによって、製品のコスト削減を図ることが可能となる。
【0174】
5.外装メッキ工程
その後、封止体MRの裏面から露出するチップ搭載部TAB(C)、チップ搭載部TAB(H)、チップ搭載部TAB(L)およびリードLDの一部の表面に導体膜であるメッキ膜(半田膜)を形成する。なお、この工程で形成されるメッキ膜は、鉛(Pb)を実質的に含まない、いわゆる鉛フリー半田(半田材)からなり、例えば、錫(Sn)のみ、あるいは、錫−ビスマス(Sn−Bi)などである。ここで、鉛フリー半田とは、鉛の含有量が0.1重量%以下の半田を意味し、この含有量は、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
【0175】
6.マーキング工程
続いて、封止体MRの表面に製品名や型番などの情報(マーク)を形成する。なお、マークの形成方法としては、印刷方式により印字する方法やレーザを封止体の表面に照射することによって刻印する方法を用いることができる。
【0176】
7.個片化工程
次に、
図31(A)および
図31(B)に示すように、封止体MRの表面にダイシングテープDTを貼り付ける。そして、
図32(A)および
図32(B)に示すように、封止体MRを製品領域PR毎に切断する(パッケージダイシング)。具体的には、リードフレームLF1に形成されている複数の製品領域PRを区画する区画領域(境界領域)を回転する円盤状の切断刃であるダイシングブレードにより切断し、各製品領域PRを個片化する。これにより、例えば、
図32(C)に示すような本実施の形態4における半導体装置PK2を取得することができる。このとき、クリップフレームCLFに形成されている支持部SU1(H)、SU2(H)、SU1(L)、SU2(L)が切断される。この結果、例えば、
図20に示すように、半導体装置PK2の側面から支持部SU1(H)、SU2(H)、SU1(L)、SU2(L)の端部が露出することになる。
【0177】
その後、個片化された個々の半導体装置PK2は、特性検査によって選別され、良品と判定された半導体装置PK2が梱包されて出荷される。以上のようにして、本実施の形態4における半導体装置PK2を製造することができる。
【0178】
<ダイシング工程における有用性>
本実施の形態4では、支持部SU1(H)、SU2(H)、SU1(L)、SU2(L)に屈曲部が形成されている結果、ダイシング工程において、半導体装置の信頼性を向上する観点から有用性を有する。
【0179】
以下では、このことについて、支持部SU1(H)、SU2(H)、SU1(L)、SU2(L)に屈曲部が形成されていない関連技術と比較しながら説明することにする。
【0180】
図33は、ダイシング工程を実施する直前の関連技術の構成を示す図である。特に、
図33に示すように、関連技術では、屈曲部が形成されていない支持部SU1(H)と支持部SU2(H)によって、ハイサイドMOSクリップCLP(H)の板状部PLT(H)が支持され、かつ、屈曲部が形成されていない支持部SU1(L)と支持部SU2(L)によって、ローサイドMOSクリップCLP(L)の板状部PLT(L)が支持されていることがわかる。そして、
図34は、
図33のA−A線で切断した断面図であり、ダイシング工程を実施している状態が示されている。
【0181】
図34において、関連技術では、例えば、ダイシングブレードDBがハイサイドMOSクリップCLP(H)を支持している支持部SU2(H)に押し当てられて、支持部SU2(H)が切断されることになる。このとき、支持部SU2(H)にダイシングブレードDBが押し当てられることにより、支持部SU2(H)が撓むことになる。ここで、関連技術においては、支持部SU2(H)に屈曲部が設けられていない結果、ダイシングブレードDBが支持部SU2(H)に押し当てられることに起因する力が板状部PLT(H)に直接加わることになる。このため、関連技術では、板状部PLT(H)がハイサイドMOSチップCHP(H)から剥離しやすくなる。すなわち、関連技術では、例えば、支持部SU2(H)に屈曲部が設けられていないことに起因して、板状部PLT(H)とハイサイドMOSチップCHP(H)との接合部にダメージが加わりやすくなる。
【0182】
これに対し、本実施の形態4によれば、以下に示す有用性を有する。
図35は、本実施の形態4における半導体装置の製造工程において、ダイシング工程を実施する直前の構成を示す図である。特に、
図35に示すように、本実施の形態4では、複数の屈曲部が形成されている支持部SU1(H)と支持部SU2(H)によって、ハイサイドMOSクリップCLP(H)の板状部PLT(H)が支持され、かつ、複数の屈曲部が形成されている支持部SU1(L)と支持部SU2(L)によって、ローサイドMOSクリップCLP(L)の板状部PLT(L)が支持されていることがわかる。そして、
図36は、
図35のA−A線で切断した断面図であり、ダイシング工程を実施している状態が示されている。
【0183】
図36に示すように、本実施の形態4では、例えば、ダイシングブレードDBがハイサイドMOSクリップCLP(H)を支持している支持部SU2(H)に押し当てられたとしても、支持部SU2(H)に屈曲部が設けられているため、上述した関連技術に比べて、支持部SU2(H)にダイシングブレードDBを押し当てることに起因する力が板状部PLT(H)に加わることを低減することができる。このため、本実施の形態4におけるダイシング工程においては、板状部PLT(H)がハイサイドMOSチップCHP(H)から剥離しにくくなる。すなわち、本実施の形態4では、例えば、支持部SU2(H)に屈曲部が設けられていることに起因して、板状部PLT(H)とハイサイドMOSチップCHP(H)との接合部に加わるダメージを低減することができるのである。このように、本実施の形態4によれば、支持部SU1(H)、SU2(H)、SU1(L)、SU2(L)に屈曲部が形成されている結果、ダイシング工程において、製品となる半導体装置の不良が引き起こされにくくなる。このことから、本実施の形態4における半導体装置の製造方法によれば、歩留り向上を図ることができる。
【0184】
さらに、
図37は、
図35のA−A線で切断した断面図であり、支持部SU2(H)の厚さを薄く構成した場合のダイシング工程を示す図である。
図37に示すように、支持部SU2(H)の厚さを薄くする場合には、さらに、支持部SU2(H)が変形しやすくなり、この支持部SU2(H)の変形によって、ダイシングブレードDBを支持部SU2(H)に押し当てることに起因する力が吸収される。このため、
図37に示すように支持部SU2(H)を構成する場合も、板状部PLT(H)とハイサイドMOSチップCHP(H)との接合部に加わるダメージを低減することができる。
【0185】
また、
図38は、
図35のA−A線で切断した断面図であり、支持部SU2(H)の一部分の厚さを薄く構成した場合のダイシング工程を示す図である。
図38においても、ダイシングブレードDBと接触する支持部SU2(H)の部分の厚さを薄くすることにより、支持部SU2(H)が変形しやすくなり、この支持部SU2(H)の変形によって、ダイシングブレードDBを支持部SU2(H)に押し当てることに起因する力が吸収される。このため、
図38に示すように支持部SU2(H)を構成する場合も、板状部PLT(H)とハイサイドMOSチップCHP(H)との接合部に加わるダメージを低減することができる。
【0186】
<ダイシング工程を考慮した支持部の配置>
最後に、ダイシング工程を考慮した支持部の配置例について説明する。
図39は、本実施の形態4における半導体装置PK2において、封止体MRの側面から露出するリードLDと支持部SU1の配置例を示す側面図である。特に、
図39(A)は、ダイシング工程におけるダレが発生しない理想的なリードLDと支持部SU1の側面形状を示す図であり、
図39(B)は、ダイシング工程におけるダレが発生する場合の現実的なリードLDと支持部SU1の側面形状を示す図である。
【0187】
まず、
図39(A)に示すように、封止体MRの側面からリードLDの端部と支持部SU1の端部が露出している。このとき、封止体MRの上面側から見た平面視において、リードLDと支持部SU1とは、重なるように配置されている。このような配置でも、ダイシング工程におけるダレが発生しない場合には何らの問題もないと考えられる。
【0188】
ところが、ダイシング工程では、ダイシングブレードによってリードLDや支持部SU1を切断することになるが、この切断時におけるダイシングブレードの回転に起因して、リードLDの端部や支持部SU1の端部にダレが発生する場合がある。ここで、
図39(B)に示すように、封止体MRの上面側から見た平面視において、リードLDと支持部SU1が重なるように配置されている場合、リードLDに発生したダレSDが支持部SU1に接触してしまうおそれがある。
【0189】
ここで、
図39(A)のように、封止体MRの上面側から見た平面視において、リードLDと支持部SU1が重なるように配置する配置例であっても、リードLDと支持部SU1との間の高さ方向の距離が大きい場合には、ダレに起因するショート不良は顕在化しないと考えられる。したがって、本実施の形態4では、封止体MRの上面側から見た平面視において、リードLDと支持部SU1が封止体MRの高さ方向に重なるように配置する配置例を採用することができる。
【0190】
ただし、ダイシング工程でダレが発生する可能性があることを考慮すると、リードLDと支持部SU1の間の高さ方向の距離が小さい場合には、リードLDと支持部SU1との間でショート不良が引き起こされる可能性があることになる。このため、
図39(A)に示す配置例において、特に、リードLDと支持部SU1の間の高さ方向の距離が小さい場合には、半導体装置PK2の信頼性を向上する観点から改善の余地があることになる。
【0191】
図40は、本実施の形態4における半導体装置PK2において、封止体MRの側面から露出するリードLDと支持部SU1の別の配置例を示す側面図である。特に、
図40(A)は、ダイシング工程におけるダレが発生しない理想的なリードLDと支持部SU1の側面形状を示す図であり、
図40(B)は、ダイシング工程におけるダレが発生する場合の現実的なリードLDと支持部SU1の側面形状を示す図である。
【0192】
図40(A)に示すように、本実施の形態4における半導体装置PK2では、封止体MRの上面側から見た平面視において、リードLDと支持部SU1が重ならないように配置することも可能である。この場合、
図40(B)に示すように、封止体MRの上面側から見た平面視において、リードLDと支持部SU1が重ならないように配置されている結果、リードLDに発生したダレSDが支持部SU1と接触することを回避することができる。つまり、ダイシング工程でのダレの発生に起因するショート不良を回避して、半導体装置PK2の信頼性を向上する観点からは、
図40に示す配置例のほうが
図39に示す配置例よりも望ましいということができる。
【0193】
なお、
図41は、封止体MRの上面側から見た平面視において、リードLDと支持部SU1が重ならないという
図40の配置を前提として、支持部SU1の厚さを薄くする構成例を示す図である。
図41に示す構成例においても、
図40に示す構成例と同様に、リードLDと支持部SU1が重ならないように配置されているため、ダイシング工程でのダレSDが発生する場合であっても、リードLDと支持部SU1とのショート不良を回避することができる。
【0194】
ただし、
図41では、支持部SU1の表面側(上側)からハーフエッチングすることによって支持部SU1の厚さを薄くしているため、
図41に示すように、リードLDに発生したダレSDと支持部SU1との間の距離を遠ざけて、さらなるリードLDと支持部SU1との間のショート不良を低減する観点からさらなる改良の余地があるが、本実施の形態4では、
図41に示す構成例も採用することができる。
【0195】
次に、
図42は、封止体MRの上面側から見た平面視において、リードLDと支持部SU1が重ならないという
図40の配置を前提として、支持部SU1の厚さを薄くする別の構成例を示す図である。
図42に示す構成例においても、
図40に示す構成例と同様に、リードLDと支持部SU1が封止体MRの高さ方向に重ならないように配置されているため、ダイシング工程でのダレSDが発生する場合であっても、リードLDと支持部SU1とのショート不良を回避することができる。
【0196】
さらに、
図42では、支持部SU1の裏面側(下側)からハーフエッチングすることによって支持部SU1の厚さを薄くしているため、
図42に示すように、リードLDに発生したダレSDと支持部SU1との間の距離を遠ざけて、さらなるリードLDと支持部SU1との間のショート不良を低減することができる。
【0197】
なお、
図41および
図42に示す構成例では、支持部SU1の厚さを薄くする例について説明したが、さらに、支持部SU1の幅(紙面横方向の幅)をリードLDよりも小さくすることもできる。この場合、支持部SU1の厚さだけでなく幅も小さくできるため、ダイシング工程でのダレSDが発生する場合であっても、リードLDと支持部SU1とのショート不良の可能性をさらに低減することができる。
【0198】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0199】
前記実施の形態は、下記の形態を含む。
【0200】
(付記1)
(a)チップ搭載部とリードとを有する第1領域が行列状に複数配置されたリードフレームを準備する工程、
(b)前記チップ搭載部の上面上に半導体チップを搭載する工程、
(c)導体板と枠部と第1吊りリードを有する第2領域であって前記第1吊りリードによって前記導体板が前記枠部に支持された前記第2領域が行列状に複数配置されたクリップフレームを準備する工程、
(d)前記半導体チップの第1パッド上に前記導体板が位置するように前記リードフレーム上に前記クリップフレームを重ねることにより、前記導体板を前記半導体チップの前記第1パッド上から前記リード上にわたって搭載する工程、
(e)前記(d)工程後、前記半導体チップを覆うように前記リードフレームに存在する複数の前記第1領域を一括封止して封止体を形成する工程、
(f)前記(e)工程後、前記リードフレームに存在する複数の前記第1領域の境界領域を切断するとともに前記クリップフレームに存在する前記第1吊りリードを切断する工程、
を備え、
前記第1吊りリードには、第1屈曲部が形成されている、半導体装置の製造方法。
【0201】
(付記2)
付記1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程で前記リードフレーム上に前記クリップフレームを重ねる際、平面視において、前記第1屈曲部は前記半導体チップと重ならない、半導体装置の製造方法。
【0202】
(付記3)
付記1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で準備される前記クリップフレームに存在する前記第1吊りリードには、複数の前記第1屈曲部が形成されている、半導体装置の製造方法。
【0203】
(付記4)
付記1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で準備される前記クリップフレームに存在する前記第1吊りリードの一部分はハーフエッチングされている、半導体装置の製造方法。
【0204】
(付記5)
付記4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1吊りリードの前記一部分の表面側がハーフエッチングされている、半導体装置の製造方法。
【0205】
(付記6)
付記4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1吊りリードの前記一部分の裏面側がハーフエッチングされている、半導体装置の製造方法。
【0206】
(付記7)
付記4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1吊りリードの前記一部分は、前記第1吊りリードの他部分よりも前記枠部との連結側に近い部分である、半導体装置の製造方法。
【0207】
(付記8)
付記1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程で形成される前記封止体は、
上面、
前記上面とは反対側の下面、
その厚さ方向において前記上面と前記下面との間に位置する第1側面、
前記第1側面と対向する第2側面、
前記第1側面および前記第2側面と交差する第3側面、
前記第1側面および前記第2側面と交差し、前記第3側面と対向する第4側面、
を有し、
前記(f)工程後、前記第1吊りリードの端部は、前記封止体の前記第1側面から露出する、半導体装置の製造方法。
【0208】
(付記9)
付記8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で準備される前記クリップフレームの前記第2領域には、さらに、前記導体板を前記枠部に支持する第2吊りリードであって第2屈曲部を有する前記第2吊りリードが配置されており、
前記(f)工程後、前記第2吊りリードの端部は、前記封止体の前記第2側面から露出する、半導体装置の製造方法。
【0209】
(付記10)
付記8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程で準備される前記クリップフレームの前記第2領域には、さらに、前記導体板を前記枠部に支持する第2吊りリードであって第2屈曲部を有する前記第2吊りリードが配置されており、
前記(f)工程後、前記第2吊りリードの端部は、前記封止体の前記第3側面から露出する、半導体装置の製造方法。