(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2値情報で構成される非繰り返し信号が記録された第1の記録トラックと上記非繰り返し信号の1単位情報の区間内の読み取り区間を特定する信号が記録された第2の記録トラックとを有する記録媒体と、
上記第1の記録トラックに記録されている信号を検出する第1の検出ヘッドと上記第2の記録トラックに記録されている信号を検出する第2の検出ヘッドを有し、上記第2の検出ヘッドにより検出される上記第2の記録トラックに記録されている信号に基づいて特定される上記非繰り返し信号の1単位情報の区間内の読み取り区間で上記第1の記録トラックから上記非繰り返し信号の各1単位情報を上記第1の検出ヘッドにより読み取る情報読取手段とを備え、
上記第1の記録トラックには、上記非繰り返し信号の1単位情報の区間内の上記読み取り区間よりも長い有効区間に各1単位情報が記録され、
上記第1の記録トラックは、同一の2値情報で構成される非繰り返し信号が連続する区間の境界部分に、上記有効区間に記録されている情報とは異なる情報が記録された無効区間を有していることを特徴とする位置検出装置。
【背景技術】
【0002】
各種の工作機械や産業用ロボット等の本体機器には、テーブル等の可動部の移動量や移動位置を検出するための位置検出装置が備え付けられている。近年、工作機械を始め産業機械全体が位置検出装置としては所謂アブソリュート型のエンコーダ・スケールを使用するケースが多くなっている。
【0003】
アブソリュート型のエンコーダ・スケールは、スケール上に記録された非繰り返しコードを読み取ることにより、機械的変位量をそのままバイナリコード等で絶対位置情報として出力するものである。アブソリュート型のエンコーダ・スケールでは、原点に対する位置を常に把握できるため、電源を入れたときに原点を検出する(原点復帰する)必要がない。また、検出ヘッドがスケールから外れても、スケール上の所定の位置に検出ヘッドを戻すことにより、その点の絶対位置が即座に得られる。
【0004】
従来、多く用いられていたインクリメンタル型のリニアエンコーダでは、装置立ち上げ時或いはトラブル発生時には原点復帰動作を行う必要があったが、アブソリュート型のエンコーダ・スケールは、原点復帰が必要ない点で優れている。
【0005】
アブソリュート型のエンコーダ・スケールとしては、磁気スケールの着磁部分と無着磁部分との組み合わせによって非繰り返しパターン(M系列等のMコードパターン)を使用した絶対値化コードを生成してアブソリュートデータを出力する磁気式アブソリュート型エンコーダが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0006】
上記磁気式アブソリュート型エンコーダでは、Mコードパターンを使用した絶対値化コードのパターンコードが記録された磁気スケールから、磁気抵抗効果素子(MR素子)により絶対値化コードが読み取られる。
【0007】
磁気抵抗効果素子(MR素子)としては、強磁性体金属の異方性磁気抵抗(AMR:Anisotropic Magneto-Resistive)効果を用いたAMR素子(例えば、飽和磁界の小さいNi−Fe膜、MR変化率の大きいNi−Co膜など)や、多層構造からなる磁性膜による結合型巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto-Resistive)効果を用いた磁気抵抗効果素子(GMR素子)が知られている。
【0008】
AMR素子は、比較的低い磁界(数Oe〜数十Oe)の変化により電気抵抗が変化する。
【0009】
また、GMR素子は、AMR素子に比較して抵抗変化率が大きく、そのためAMR素子に比べ良好なスペーシング特性と高出力を得ることが可能である。さらに、GMR効果を示す磁性膜においては、抵抗変化が磁界と電流の相対角度によらず等方的であるため、被検出体からの信号磁界と、感磁パターンの長手方向を平行に配置することにより反磁界の影響を低減することが可能である。
【0010】
また、S極とN極が交互に規則正しく並んだインクリメンタル(INC)トラックと、Mコードパターンを使用した絶対値化コードが記録されたアブソリュート(ABS)トラックを併用する位置検出装置では、
図34に示すように、ABSトラックに記録されるMコードの[1]と[0]はINCトラックの1ピッチ=再生信号の1波長(λ)に相当し、INC1波長(λ)毎に「記録有」と「記録無」がコードの情報に対応して媒体に記録される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、AMR素子は磁場の絶対値を測定することはできるが極性は判別できない。
【0013】
すなわち、AMR素子を用いた検出では、基本的にMR素子は素子ストライプ長手方向に直行する方向に素子に加えられる磁場の大きさによって抵抗値が変化する特性を使用している。このとき磁場の方向はどちら向きでも磁場が加われば抵抗値は磁場が無い時の値から減少する。従って、この方法では着磁の方向を判別することができない。
【0014】
そこで、このAMR素子を使用する場合は、Mコードの各ビットにおける[1]と[0]又は[H]と[L]の情報を磁気情報としては「記録有」と「記録無」で対応する。
【0015】
しかしながら、INC1波長毎に「記録有」と「記録無」がMコードの[1]と[0]の情報に対応して媒体に記録した場合、「記録無」が対応するビットに隣接する「記録有」のビットは記録幅が広がりINCトラックの1ピッチ=再生信号の1波長に正しく対応する信号を記録再生することが難しくなる。
【0016】
そのため、このような「記録無」が対応するビットに隣接する「記録有」のビットを作成(記録)する場合は記録条件を最適化させて可能な限り正確な情報を再生できるような記録を行うことになるが、このような最適化は単純ではなくコードの並び順にも影響される。
【0017】
例えば両側が「記録有」でその間に「記録無」がある場合と、連続して「記録有」があり、その隣から「記録無」が続く場合、などではその最適化の条件が異なる。
【0018】
このようにコードの場所によって最適化をする必要が生じ非常に煩雑な最適化を必要とする。
【0019】
また、このよう作成した記録媒体から情報を読み出す場合、MR素子と媒体との距離が離れるに従い媒体からの磁場の大きさが減少するが、最適化された記録は一様の磁化強さにはなっていないため距離の変化に対して一様な減少ではなくなり、それにより再生波形も変化してしまう。そのため、有効に再生できる距離範囲が狭く限定されたものとなる。
【0020】
一方で、このようなことを避けるために、MR素子に素子ストライプ長手方向と直行する方向にバイアス磁場を加えて無磁場動作点を変化の中間に移動することによって、磁場の方向を判別できるようにする方法が考えられる(以下、動作点バイアスという。)。
【0021】
この場合、Mコードを検出するセンサ郡に一様な横方向バイアスをかける必要があり、バイアス磁石による方法では磁石が大きくなる欠点があるこのため、横のINCトラックとの距離を離すなどする必要性から、装置の大型化、コストアップとなる欠点がある。
【0022】
また、MR素子以外の磁気デバイス、例えばホール素子を用いた場合、上記のバイアスを必要としないが、一般のホール素子を用いた構成では工作機械、産業機械で必要とする10nmからサブミクロンの分解能を得ることができるシステムを構成するのが困難である。
【0023】
また、これら磁気式全体に言えることであるが、Mコードの各ビットにおける[1]と[0]又は[H]と[L」の同じ情報が連続する箇所では連続する数だけ同一方向の記録すなわち着磁がなされる結果、同じ情報が連続する着磁領域は長い磁石が形成されるのと同等の状態になる。そのため連続の長さ及びMR素子のスペーシング距離との関係によっては、
図34に実線にて示すように、同じ情報が連続する着磁領域すなわち長い磁石の長手方向中央近傍でのMR素子に加わる磁場が弱くなり信号が低下し誤検出を起こす状態になることがある。
【0024】
さらに同様に、磁気式全体に言えることであるが一般に磁気式では一連の記録ピッチでは磁気の原理に従いスペーシング距離が大きくなるに従い得られる磁場の強さが略エクスポネンシャルに減少するためスペーシング変動に対して素子の変化量は大きく変動する。そのため使用領域が限定される。また、使用領域で安定した信号に成り難い。
【0025】
上記の様な点を考慮し、現状では商品化している磁気式アブソリュートスケール・エンコーダでは、10ナノ分解能程度を要求される工作機械、産業機械等用途としては、AMR素子を用いていて、動作点バイアスはしない。
【0026】
従って、2値情報は磁気記録の有無によっている。
【0027】
また、スケール側は、4Mを超える長さ、或いは様々な直径のドラム、円盤形状が要求され、コスト面等から媒体として実現性があるものは塗布媒体、合金磁石媒体等で、いずれも長手方向異方性、又は等方性である。この形状・精度を実現できる垂直媒体は実用化されていない。
【0028】
一方で、産業機器でも搬送用途などで分解能、精度が上記ほど必要無ければ、同じMR素子を用いても媒体にゴム磁石等を用いることが可能となり、垂直磁気媒体が実用に用いることができる。
【0029】
また、この方式では「記録有」のビットはどちら向きに着磁しても同じであるので、連続ビットを交互に着磁することができる。これにより、連続ビットを一つの大きな磁極とする問題点が防げる。
【0030】
このとき着磁の向きが変わる近傍は磁界がへり「記録無」と同じ状態になり信号としては逆になるが、ABSビット間のずれ、INCとABSのずれ補正のために、
図34に示すように、ABSセンサを必要ビット数より多く配置して、スケールのずれをそのまま読み取り間違った信号にしない構成を取ることにより防止することができる。
【0031】
この方法では、ABSを実際に検出するエリアは1ビット長の50%〜60%等(検出システムと余裕度の設定・設計による)一部分となり、信号の安定した領域を検出する。すなわち、
図36に網掛けして示す上記の着磁の変わる近傍に位置するABSセンサの検出出力は用いない。
【0032】
このような構成で、磁気式のスケールにおけるABSトラック部分は、2値情報が磁気記録の有無によっているため、前述のような「記録無」が対応するビットに隣接する「記録有」のビットは記録幅が広がりINCトラックの1ピッチ=再生信号の1波長に正しく対応する信号を記録再生することが難しくなる。そのため、このような「記録無」が対応するビットに隣接する「記録有」のビットを作成(記録)する場合は記録条件を最適化させて可能な限り正確な情報を再生できるような記録を行う必要はある等等問題点が多い。
【0033】
動作点バイアスを用いる場合、2値信号は着磁の向きによって得られる。この場合無着磁部が無く、無着磁部有りに比べより正確な信号を獲るための記録状態、記録条件を得るのが比較的に容易となる利点がある。しかしながら、このままであると連続部が同方向の着磁となり、前記問題点が残る。
【0034】
この点を改善する方法としてデジタル磁気記録の一手法として周波数変調方式又はバイフェーススペース(Bi−Phase−Space)方式等と言われる方式が知られている。
【0035】
この方式においては、同一値連続ビットであっても磁化反転があるため上記の問題点は発生しない。
【0036】
しかしながら、この方式において、同一値連続ビットは記録周波数が倍(波長が半分)になる。
【0037】
したがって、検出センサが読み取る信号磁場強度が少なくなり、スペーシング特性は劣化する。スペーシングに対する磁場の変動が大きく信号変化が大きい。又、この方式をスケールに適用する場合、ちょうど周波数が倍になる関係でこのままでは、1ビットの中の有効検出範囲は50%止まりであり、その場合も、いわば信号の正負により2値を判別するため、変動がある場合50%以下になることもあり得るなどの問題が生じる。
【0038】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、2値の再生で「記録無」を使用しない安定した記録状態を容易に得ることができる位置検出装置を提供することを目的とする。
【0039】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明は、位置検出装置であって、2値情報で構成される非繰り返し信号が記録された第1の記録トラックと上記非繰り返し信号の1単位情報の区間内の読み取り区間を特定する信号が記録された第2の記録トラックとを有する記録媒体と、
上記第1の記録トラックに記録されている信号を検出する第1の検出ヘッドと上記第2の記録トラックに記録されている信号を検出する第2の検出ヘッドを有し、上記第2の検出ヘッドにより検出される上記第2の記録トラックに記録されている信号に基づいて特定される上記非繰り返し信号の1単位情報の区間内の読み取り区間で上記第1の記録トラックから上記非繰り返し信号の各1単位情報を
上記第1の検出ヘッドにより読み取る情報読取手段とを備え、上記第1の記録トラックには、上記非繰り返し信号の1単位情報の区間内の上記読み取り区間よりも長い有効区間に各1単位情報が
記録され、上記第1の記録トラックは、同一の2値情報で構成される非繰り返し信号が連続する区間の境界部分に、上記有効区間に記録されている情報とは異なる情報が記録された無効区間を有していることを特徴とする。
【0042】
また、本発明に係る位置検出装置において、上記有効区間の情報と異なる情報が記録された無効区間は、上記有効区間よりも短いものとすることができる。
【0043】
また、本発明に係る位置検出装置において、上記記録媒体は磁気記録媒体であり、上記情報読取手段は磁気検出ヘッドにより上記第1の記録トラックに記録されている信号と上記第2の記録トラックに記録されている非繰り返し信号を検出するものとすることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明では、2値の再生で「記録無」を使用しない安定した記録状態を容易に得ることができる。また、同一連続値信号は、倍周波信号となるが、倍周波の交番磁界のスペーシング特性より優れた特性が得られる。また、1ビットの50%以上の範囲で安定した信号を得ることができる。さらに、上記範囲では使用スペーシング範囲で略一定の磁場強度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明を適用した位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】上記位置検出装置におけるスケール部のインクリメンタル(INC)トラックとアブソリュート(ABS)トラックの構成例を示す模式的な平面図である。
【
図3】上記位置検出装置における信号処理部の構成例を示すブロック図である。
【
図4】上記位置検出装置におけるヘッド部に備えられるAMR素子の磁気特性を示す特性図である。
【
図5】上記位置検出装置におけるヘッド部に備えられるTMR素子の磁気特性を示す特性図である。
【
図6】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とし、スペーシング(CL)を100μmとした場合の検出出力の磁場解析結果を示す図である。
【
図7】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とし、スペーシング(CL)を200μmとした場合の検出出力の磁場解析結果を示す図である。
【
図8】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とし、スペーシング(CL)を300μmとした場合の検出出力の磁場解析結果を示す図である。
【
図9】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とし、スペーシング(CL)を400μmとした場合の検出出力の磁場解析結果を示す図である。
【
図10】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とした場合の連続信号の中央部を倍周波INC信号(絶対値)と比較して示した図であり、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している。
【
図11】スペーシング特性の検出位置を示す図である。
【
図12】
図10に示した手法で検出したスペーシング特性を示す図であり、(A)はスケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とした場合を示し(B)は倍周波INC信号の場合を示している。
【
図13】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5〜10:0の間で変更して磁場解析を行いスペーシングの影響を調べた7箇所の検出領域(A〜G)を示す図である。
【
図14】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5とし、スペーシング(CL)を100μm,200μm,300μm,400μmとした場合の上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の磁場を示す図である。
【
図15】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での連続記録部の出力磁場を示す図である。
【
図16】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を示す図であり、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している(参考図としてカラー図を提出する。)。
【
図17】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を6:4とし、スペーシング(CL)を100μm,200μm,300μm,400μmとした場合の上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の磁場を示す図である。
【
図18】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を6:4とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での連続記録部の出力磁場を示す図である。
【
図19】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を6:4とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を示す図であり、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している(参考図としてカラー図を提出する。)。
【
図20】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とし、スペーシング(CL)を100μm,200μm,300μm,400μmとした場合の上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の磁場を示す図である。
【
図21】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での連続記録部の出力磁場を示す図である。
【
図22】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を示す図であり、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している(参考図としてカラー図を提出する。)。
【
図23】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を8:2とし、スペーシング(CL)を100μm,200μm,300μm,400μmとした場合の上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の磁場を示す図である。
【
図24】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を8:2とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での連続記録部の出力磁場を示す図である。
【
図25】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を8:2とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を示す図であり、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している(参考図としてカラー図を提出する。)。
【
図26】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を9:1とし、スペーシング(CL)を100μm,200μm,300μm,400μmとした場合の上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の磁場を示す図である。
【
図27】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を9:1とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での連続記録部の出力磁場を示す図である。
【
図28】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を9:1とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を示す図であり、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している(参考図としてカラー図を提出する。)。
【
図29】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を10:0とし、スペーシング(CL)を100μm,200μm,300μm,400μmとした場合の上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の磁場を示す図である。
【
図30】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を10:0とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での連続記録部の出力磁場を示す図である。
【
図31】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を10:0とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を示す図であり、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している(参考図としてカラー図を提出する。)。
【
図32】上記位置検出装置において、スペーシング(CL)を300μmとした場合の磁場強度の着磁比率別に示した図である。
【
図33】本発明を適用した光学スケールの構成例を示す模式的な平面図である。
【
図34】上記位置検出装置において、スケール部における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とし、連続記録部における無効区間を1つおきに有効区間と反対向きの着磁方向にした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での連続記録部の出力磁場を示す図である。
【
図35】上記位置検出装置において、スペーシング(CL) を100μmとした場合に、アブソリュートパターン検出ヘッドにより検出される磁場の状態を磁場解析した結果を上記同じ情報が連続する領域を1つの長磁石とした場合の磁場の状態を磁場解析した結果とともに示す図である。
【
図36】現行の位置検出装置におけるインクリメンタル(INC)トラックとアブソリュート(ABS)トラックの構成例を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0047】
本発明は、例えば
図1に示すような構成の位置検出装置100に適用される。
【0048】
この位置検出装置100は、スケール部10とヘッド部20と演算処理部30からなる。
【0049】
スケール部10は、計測方向の絶対値を表すMコードパターン(アブソリュートパターン)を磁気記録したアブソリュート(ABS)トラック11と、上記計測方向に沿ってS極とN極が交互に規則正しく並んだインクリメンタル(INC)トラック12を有する。
【0050】
ここで、この位置検出装置100において、上記スケール部10のアブソリュート(ABS)トラック11は、
図2に示すように、上記計測方向の絶対値を表すMコードパターン(アブソリュートパターン)として、2値情報で構成される非繰り返し信号が記録された第1の記録トラックであり、また、上記スケール部10のインクリメンタル(INC)トラック12は、上記非繰り返し信号の1単位情報の区間(T0)内の読み取り区間(T1)を特定する信号が記録された第2の記録トラック(INC)である。上記第1の記録トラックすなわちアブソリュート(ABS)トラック11には、上記非繰り返し信号の1単位情報の区間(T0)内の上記読み取り区間(T1)よりも長い有効区間(T2)に各1単位情報が記録されている。
【0051】
上記アブソリュート(ABS)トラック11における最大の磁化長さは1ビット、すなわち、上記非繰り返し信号の1単位情報の区間(T0)であり、S極とN極が交互に規則正しく並んだインクリメンタル(INC)トラック12の1ピッチに対応するインクリメンタル信号の1波長(λ)に等しい。
【0052】
そして、この位置検出装置100における上記スケール部10のアブソリュート(ABS)トラック11は、Mコードパターンの[1],[0]を磁化方向により表しており、同一の2値情報で構成される非繰り返し信号が連続する区間の境界部分に、上記有効区間(T2)に記録されている情報とは異なる情報が記録された無効区間(T3)を有する。
【0053】
上記有効区間(T2)の情報と異なる情報が記録された無効区間(T3)は、上記有効区間(T2)よりも短い。ここでは、上記有効区間(T2)と上記無効区間(T3)を7:3としてある。
【0054】
このような構成のアブソリュート(ABS)トラック11は、計測方向に沿って磁化反転を交互に繰り返す磁化パターンとして、
図2に示すように、計測方向の絶対値を表す例えば16ビットのMコードパターン(アブソリュートパターン)が磁気記録されたものとなっている。
【0055】
また、ヘッド部20は、
図3に示すように、上記スケール部10のアブソリュートトラック11からアブソリュートパターンを検出する複数個のMR検出素子からなるアブソリュートパターン検出ヘッド21と、上記スケール部10のインクリメンタルトラック12からインクリメンタル信号を検出する2個のインクリメンタル信号検出ヘッド22A,22Bを有する。
【0056】
ここで、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21は、計測方向の絶対値を表すMコードパターン(アブソリュートパターン)のビット数の2倍の数のMR検出素子が1ビットの1/2間隔で配置されている。
【0057】
上記ヘッド部20は、上記スケール部10のインクリメンタルトラック12に記録されているインクリメンタル(INC)信号を上記インクリメンタル信号検出ヘッド22A,22Bにより検出し、検出したインクリメンタル(INC)信号に基づいて特定される上記非繰り返し信号すなわちMコード信号の1単位情報の区間内の読み取り区間で上記アブソリュートトラック11から上記Mコード信号の各1単位情報をアブソリュートパターン検出ヘッド21により読み取る情報読取手段として機能する。
【0058】
また、この位置検出装置100において、演算処理部30は、その構成例を
図3のブロック図に示すように、S/H&アナログセレクタ31、A/D変換器32,32A,32B、読み取り補償部33、補正回路34、ルックアップテーブル35、Mコード変換部36、加算部37、シリアルインターフェース部38等からなる。
【0059】
S/H&アナログセレクタ31には、上記スケール部10のアブソリュートトラック11からアブソリュートパターンを検出する複数個のMR検出素子からなるアブソリュートパターン検出ヘッド21が接続されている。
【0060】
S/H&アナログセレクタ31は、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21の複数個のMR検出素子により得られる各検出出力をサンプルホールドして16ビットのMコードパターンに対応するアナログ信号を出力する。
【0061】
このS/H&アナログセレクタ31により選択された16ビットのMコードパターンに対応するアナログ信号は、A/D変換器32によりデジタル信号に変換される。
【0062】
また、A/D変換器32A,32Bには、上記スケール部10のインクリメンタルトラック12からインクリメンタル信号を検出する2個のインクリメンタル信号検出ヘッド22A,22Bが接続されている。
【0063】
上記2個のインクリメンタル信号検出ヘッド22A,22Bによる検出出力として得られるINC信号は、λ周期のsin信号(sin(X2π/λ))とcos信号(cos(X2π/λ))であって、上記A/D変換器32A,32Bによりでデジタル信号に変換されて補正回路34に入力される。
【0064】
補正回路34では、上記2個のインクリメンタル信号検出ヘッド22A,22Bにより得られるINC信号検出出力について、利得、オフセット、位相等の補正を行い、ルックアップテーブル35を参照して、高分解能化した位置情報を算出し、算出した位置情報を読み取り補償部33及び加算部37に入力する。
【0065】
この位置検出装置100では、読み取り補償部33で、35から出力された位置情報を基にA/D変換器32で変換されたデジタル信号のうち、Mコードパターンの読み取り区間(T1)にあるセンサの信号を選択する。
【0066】
上記読み取り補償部33により読み取り補償された上記Mコードパターンの検出信号は、Mコード変換部36によりMコード信号からバイナリ信号に変換されて加算器37に供給される。
【0067】
そして、加算器37は、上記Mコード変換部36から供給される計測方向の絶対値を表すバイナリ信号と、上記補正回路34によりINC信号から得られる上記高分解能化した位置情報をあわせて得られる情報を、この位置検出装置100による位置検出出力としてシリアルインターフェース部38を介して出力する。
【0068】
ここで、この位置検出装置100における上記Mコードパターンを検出するアブソリュートパターン検出ヘッド21を構成するMR素子としては、強磁性体の異方性磁気抵抗(AMR:Anisotropic Magneto-Resistive)効果を利用したAMR素子、強磁性体と非磁性体との積層構造で大きな抵抗変化率を生じる巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto-Resistive)効果を利用したGMR素子、非磁性絶縁層を介して積層した一対の磁性層の磁化方向の相対角度により素子の電気抵抗値が異なるトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magneto-Resistive)効果を利用したTMR素子などが使用可能である。
【0069】
位置検出装置に用いる一般的なMRセンサについては、上記位置検出装置100におけるヘッド部20に備えられるアブソリュートパターン検出ヘッド21をAMR素子またはGMR素子で構成する場合、AMR素子またはGMR素子は、その磁気特性を
図4に示すように、磁場強度のみに対応して抵抗変化を生じるので、外部よりバイアス磁場をかけて無磁場動作点を移動することにより、磁場の方向を判別することができ、上述の如くMコードパターンの[1],[0]を磁化方向により表すように記録したアブソリュート(ABS)トラック11から上記Mコードパターンの[1],[0]の情報を検出することができる。
【0070】
また、上記位置検出装置100におけるヘッド部20に備えられるアブソリュートパターン検出ヘッド21をTMR素子で構成する場合、TMR素子は、そのTMR磁気特性を
図5に示すように、磁場の正負によって出力変化の方向が変わる特性となるように素子を構成することが容易にできるので、外部からのバイアス磁場を必要とすることなく、磁場の方向を判別することができ、上記アブソリュート(ABS)トラック11から上記Mコードパターンの[1],[0]の情報を検出することができる。
【0071】
なお、アブソリュートパターン検出ヘッド21は、GMR素子やTMR素子で構成したほうが、外部磁場に対する抵抗変化率(MR比)を大きくでき、また抵抗変化率(MR比)の直線性を得ることができ、高精度な外部磁場検知を行うことが可能である。
【0072】
次に、上記位置検出装置100において、スケール部10におけるアブソリュート(ABS)トラック11に記録されたMコードの各ビットが同じ情報、すなわち、[1]又は[0]が連続する領域における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とした場合で、アブソリュート(ABS)トラック11をBr=4000,Hc500の記録媒体で構成するものとして、各スペーシング(CL=100,200,300,400)でアブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される磁場(A1,A2,A3,A4)の状態を磁場解析した結果を上記同じ情報が連続する領域を1つの長磁石とした場合の磁場(B1,B2,B3,B4)の状態を磁場解析した結果とともに
図6〜
図9に示す。
【0073】
図6は、上記位置検出装置100において、スペーシング(CL)を100μmとした場合に、アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される磁場A1を、長磁石とした場合の磁場B1とともに示している。
【0074】
図7は、上記位置検出装置100において、スペーシング(CL)を200μmとした場合に、アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される磁場A2を、長磁石とした場合の磁場B2とともに示している。
【0075】
図8は、上記位置検出装置100において、スペーシング(CL)を300μmとした場合に、アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される磁場A3を、長磁石とした場合の磁場B3とともに示している。
【0076】
図9は、上記位置検出装置100において、スペーシング(CL)を400μmとした場合に、アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される磁場A4を、長磁石とした場合の磁場B4とともに示している。
【0077】
図6,
図7から明らかなように、上記位置検出装置100では、スペーシング(CL)を100μm又は200μmとした場合に、アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される磁場A1,A2は、長磁石とした場合の磁場B1と比較して、中央部部分で良好な検出出力が得られる。
【0078】
さらに、上記位置検出装置100において、各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)でアブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される上記同じ情報が連続する領域の中央部の磁場(A5,A6,A7,A8)の状態を磁場解析した結果を倍周波インクリメンタル(INC)信号(絶対値)の磁場(B5,B6,B7,B8)の状態を磁場解析した結果とともに
図10の(A)〜(D)に示す。
図10の(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している。
【0079】
上記位置検出装置100において、各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)とし、
図11に示す検出領域の両端位置、すなわち、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される上記同じ情報が連続する領域の中央部の磁場A9の検出領域における最小磁場は、
図12の(A)に示すように、各スペーシング(CL=200μm,300μm,400μm)で略一定値となる。
【0080】
これに対し、上記
図11に示す検出領域の両端位置において、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される倍周波インクリメンタル(INC)信号(絶対値)の磁場(B9)は、
図12の(B)に示すように、各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)で大きく変動した値となる。
【0081】
すなわち、上記位置検出装置100におけるアブソリュート(ABS)トラック11の上記同じ情報が連続する領域において上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される上記同じ情報が連続する領域の中央部の磁場A9の検出領域における最小磁場は、倍周波の交番磁界のスペーシング特性より優れた特性が得られる。また、1ビットの50%以上の範囲で安定した信号を得ることができ、さらに、上記範囲では使用スペーシング範囲で略一定の磁場強度が得られる。
【0082】
また、上記位置検出装置100において、スケール部10における同じ情報が連続する領域の着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5〜10:0の間で変更して磁場解析を行い、
図13に示す7箇所の検出領域(A〜G)においてスペーシング(CL)による上記最小磁場の変化を確認したところ、次のような結果が得られた。
【0083】
すなわち、上記同じ情報が連続する領域の中央部の磁場は、着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5とした場合、上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の両端位置において、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される最小磁場を各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)でプロットすると
図14に示すように、0又は負の値となり、Mコード情報の誤検出の虞がある。
【0084】
なお、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での上記同じ情報が連続する領域の磁場を
図15に示す。また、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を
図16に示す。
図16(参考図としてカラー図を提出する。)において、青色領域ARbは磁場の強さが0Oeの領域を示し、赤色領域ARrは強さが10Oe以上の領域を示している。また、
図16において、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している。
【0085】
これに対し、上記位置検出装置100において、スケール部10における同じ情報が連続する領域の着磁比率(有効区間:無効区間)を6:4とした場合、上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の両端位置において、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される最小磁場を各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)でプロットすると
図17に示すように、全て正の値となり、各スペーシング(CL=200μm,300μm,400μm)で略一定値となる。
【0086】
なお、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を6:4とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での上記同じ情報が連続する領域の磁場を
図18に示す。また、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を6:4とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を
図19に示す。
図19(参考図としてカラー図を提出する。)において、青色領域ARbは磁場の強さが0Oeの領域を示し、赤色領域ARrは強さが10Oe以上の領域を示している。また、
図19において、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)(CL)はスペーシングを300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している。
【0087】
また、上記位置検出装置100において、スケール部10における同じ情報が連続する領域の着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とした場合、上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の両端位置において、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される最小磁場を各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)でプロットすると
図20に示すように、全て正の値となり、各スペーシング(CL=200μm,300μm,400μm)で略一定値となる。
【0088】
なお、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での上記同じ情報が連続する領域の磁場を
図21に示す。また、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を
図22に示す。
図22(参考図としてカラー図を提出する。)において、青色領域ARbは磁場の強さが0Oeの領域を示し、赤色領域ARrは強さが10Oe以上の領域を示している。また、
図22において、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している。
【0089】
また、上記位置検出装置100において、スケール部10における同じ情報が連続する領域の着磁比率(有効区間:無効区間)を8:2とした場合、上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の両端位置において、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される最小磁場を各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)でプロットすると
図23に示すように、全て正の値となり、各スペーシング(CL=200μm,300μm,400μm)で略一定値となる。
【0090】
なお、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を8:2とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での上記同じ情報が連続する領域の磁場を
図24に示す。また、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を8:2とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を
図25に示す。
図25(参考図としてカラー図を提出する。)において、青色領域ARbは磁場の強さが0Oeの領域を示し、赤色領域ARrは強さが10Oe以上の領域を示している。また、
図25において、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している。
【0091】
また、上記位置検出装置100において、スケール部10における同じ情報が連続する領域の着磁比率(有効区間:無効区間)を9:1とした場合、上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の両端位置において、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される最小磁場を各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)でプロットすると
図26に示すように、全て正の値となり、各スペーシング(CL=200μm,300μm,400μm)で略一定値となる。
【0092】
なお、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を9:1とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での上記同じ情報が連続する領域の磁場を
図27に示す。また、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を9:1とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を
図28に示す。
図28(参考図としてカラー図を提出する。)において、青色領域ARbは磁場の強さが0Oeの領域を示し、赤色領域ARrは強さが10Oe以上の領域を示している。また、
図28において、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している。
【0093】
ここで、上記位置検出装置100において、スケール部10における同じ情報が連続する領域の着磁比率(有効区間:無効区間)を10:0とした場合、上記7箇所の検出領域(A〜G)の両端の両端位置において、上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される最小磁場を各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)でプロットすると
図29のようになる。
【0094】
また、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を10:0とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での上記同じ情報が連続する領域の磁場は
図30のようになる。さらに、上記着磁比率(有効区間:無効区間)を10:0とした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での記録トラック部及び周囲への磁場強度分布を
図31に示す。
図31(参考図としてカラー図を提出する。)において、青色領域ARbは磁場の強さが0Oeの領域を示し、赤色領域ARrは強さが10Oe以上の領域を示している。また、
図31において、(A)はスペーシング(CL)を100μmとした場合、(B)はスペーシング(CL)を200μmとした場合、(C)はスペーシング(CL)を300μmとした場合、(D)はスペーシング(CL)を400μmとした場合を示している。
【0095】
さらに、上記位置検出装置100において、上記スケール部10におけるアブソリュートトラック11とインクリメントトラック12との間隔を1mmとすることを想定して、スペーシング(CL)を300μmとした場合の磁場の拡がり、すなわち、記録トラック外への磁場の漏れ量を磁場解析した結果を
図32に示す。
【0096】
上記位置検出装置100では、スケール部10のアブソリュートトラック11における同じ情報が連続する領域の着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5〜10:0の間で変更して磁場解析を行った結果から明らかなように、スケール部10における同じ情報が連続する領域において上記アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される上記検出領域の両端で検出される最小磁場の値は、6:4〜9:1のいずれの着磁比率(有効区間:無効区間)においても、各スペーシング(CL=200μm,300μm,400μm)に拘わらず略一定である。また、上記着磁比率(有効区間:無効区間)が大きくなると、得られる磁場強度は大きくなる。さらに、上記着磁比率(有効区間:無効区間)が大きくなると、長磁石の状態に近づくため記録トラック外部に経漏洩した磁場が大きくなる。
【0097】
したがって、アブソリュートトラック11の磁場強度とインクリメントトラック12に対するトラック間距離はトレードオフの関係になるため、実際の使用から鑑みた着磁比率(有効区間:無効区間)を任意に決定することができる。
【0098】
また、以上説明した磁気記録方式では、連続記録部におけるすべての無効区間に有効区間と反対向きの着磁を行っていたが、本発明は、これに限定されない。すなわち、無効区間の着磁をすべて反対向きにする必要はない。
例えば、連続記録部における無効区間を1つおきに有効区間と反対向きの着磁方向にすることもできる。
【0099】
ここで、上記位置検出装置100において、スケール部10における着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とし、連続記録部における無効区間を1つおきに有効区間と反対向きの着磁方向にした磁場解析から得られた各スペーシング(CL=100μm,200μm,300μm,400μm)での連続記録部の出力磁場を
図34に示す。また、上記位置検出装置100において、スペーシング(CL) を100μmとした場合に、アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される磁場A1の状態を磁場解析した結果を上記同じ情報が連続する領域を1つの長磁石とした場合の磁場B1の状態を磁場解析した結果とともに
図35に示す。なお、
図35において、網掛けを施して示した領域が検出領域である。
【0100】
図35から明らかなように、上記位置検出装置100では、スペーシング(CL) を100μmとした場合に、アブソリュートパターン検出ヘッド21により検出される磁場A1は、長磁石とした場合の磁場B1と比較して、中央部部分で 良好な検出出力が得られる。
【0101】
また、これまで述べてきた全非検出部を検出部と逆方向に着磁した方式と同様の効果を得ることが可能である。 すなわち、倍周波の交番磁界のスペーシング特性より優れた特性が得られ、1ビットの 50%以上の範囲で安定した信号を得ることができる。
【0102】
以上説明した着磁方式では、連続記録部における無効区間を1つおきに有効区間と反対向きの着磁方向にした場合について説明したが、有効区間と反対向きの着磁を行う無効区間の位置はこれに限定されない。すなわち無効区間を2つおきに反対向きの方向に着磁してもよいし、異なるパターンを用いてもよい。スペーシング特性や最小信号が最大の特性を得られるよう、有効区間と反対向きの着磁を行う無効区間の位置を決定する。
【0103】
また以上説明した着磁方式では、着磁比率(有効区間:無効区間)を7:3とした場合について説明したが、着磁比率はこれに限定されない。すなわち着磁比率(有効区間:無効区間)を5:5〜10:0の間のいずれの着磁比率(有効区 間:無効区間)においても、適用することができ同様の特性を得ることができる。
【0104】
なお、以上説明した本発明の実施の形態では、磁気記録方式の位置検出装置100に本発明を適用したが、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものでなく、例えば
図33に示すように、2値情報で構成される非繰り返し信号が記録された第1の記録トラック111と上記非繰り返し信号の1単位情報の区間内の読み取り区間を特定する信号が記録された第2の記録トラック112とを有する光学スケール110を用いる光学式の位置検出装置に本発明を適用することもできる。