特許第6147672号(P6147672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147672
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】スラリー分配システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20170607BHJP
   B05B 1/04 20060101ALI20170607BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20170607BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   B05C5/02
   B05B1/04
   B05D1/26 Z
   B05D7/24 301G
   B05D7/24 302A
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-547691(P2013-547691)
(86)(22)【出願日】2011年12月30日
(65)【公表番号】特表2014-511115(P2014-511115A)
(43)【公表日】2014年5月8日
(86)【国際出願番号】US2011068033
(87)【国際公開番号】WO2012092534
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年12月24日
(31)【優先権主張番号】61/428,736
(32)【優先日】2010年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/428,706
(32)【優先日】2010年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/550,827
(32)【優先日】2011年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100145355
【弁理士】
【氏名又は名称】石堂 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・リー
(72)【発明者】
【氏名】クリス・シー・リー
(72)【発明者】
【氏名】クリス・ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】シーザー・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイシン・デイビッド・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ウィットボールド
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−130672(JP,A)
【文献】 特開平07−052130(JP,A)
【文献】 米国特許第02097613(US,A)
【文献】 特開2008−229560(JP,A)
【文献】 特開平06−190845(JP,A)
【文献】 特表平11−501002(JP,A)
【文献】 特開2009−045513(JP,A)
【文献】 特開平05−156507(JP,A)
【文献】 特開2006−125575(JP,A)
【文献】 特開2000−135470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00− 5/04
B05B 1/00− 1/36
B05D 1/00− 7/26
B28B 5/00− 5/12
B28B 11/00−11/24
B28B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続生産プロセスで使用されるスラリー分配器であって、
注入口開口部の境界を定める入口区間と、
前記注入口開口部と流体的に連通する形成ダクトと、
前記形成ダクトと流体的に連通する流出口開口部の境界を定める流出口とを備え、
前記形成ダクトは、前記注入口開口部から前記形成ダクトを通じて前記流出口開口部に移動するスラリーの流れを、注入口方向から流出口方向に向け直すように構成された放物線状のガイド表面を含み、
前記流出口開口部の流れ断面積は、前記注入口開口部の流れ断面積よりも大きい面積から、前記注入口開口部の流れ断面積の約400%の面積までの範囲内にあり、
前記流出口開口部の幅は、横軸に沿って延伸し、前記放物線状のガイド表面の実質的な部分が、前記横軸に沿った前記流出口開口部の幅とともに整列されるスラリー分配器。
【請求項2】
前記形成ダクトは、概して矩形断面を有し、且つ前記注入口開口部を通って前記スラリー分配器に入るスラリーの流れが前記流出口開口部を通って出る前に方向角の変更によって向け直されるように前記放物線状のガイド表面の境界を定める、概して曲線状の外壁を有する請求項1に記載のスラリー分配器。
【請求項3】
前記放物線状のガイド表面は、前記形成ダクトの外部の湾曲壁によって少なくとも部分的に境界を定められる請求項1又はに記載のスラリー分配器。
【請求項4】
前記スラリーの流れは、約45度から約150度までの範囲内の方向角の変更によって、注入口流れ方向から流出口流れ方向に向き直される請求項1又はに記載のスラリー分配器。
【請求項5】
前記スラリーの流れは、約80度から約100度までの範囲内の方向角の変更によって、注入口流れ方向から流出口流れ方向に向き直される請求項1又はに記載のスラリー分配器。
【請求項6】
前記流出口開口部の前記流出口の形状を局部的に変更するように構成されたプロファイリングシステムをさらに備える請求項1又はに記載のスラリー分配器。
【請求項7】
前記形成ダクトと流体的に連通する第2の注入口開口部をさらに備える請求項1又はに記載のスラリー分配器。
【請求項8】
前記形成ダクトは、前記注入口開口部から前記流出口開口部への方向に増加する流れ断面積を有する請求項1又はに記載のスラリー分配器。
【請求項9】
前進ウェブにスラリーを供給する方法であって、
請求項1〜のいずれか1項に記載のスラリー分配器の注入口を通じて、注入口流れ方向の水性石膏スラリーの流れを通すステップであって、前記スラリー分配器は前記放物線状のガイド表面が前記スラリーの前記流れを前記スラリー分配器の流出口開口部への注入口流れ方向から流出口流れ方向に向け直すように、放物線状のガイド表面をもつ形成ダクトを有するステップと、
前記水性石膏スラリーの前記流れを、カバーシート材料の前進ウェブの上の前記流出口流れ方向の前記流出口から放出するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記流出口から放出する前記水性石膏スラリーの前記流れの前記流出口流れ方向は、カバーシート材料の前記前進ウェブの移動の線と実質的に平行である請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記形成ダクトを通じての前記スラリーの少なくとも1つの付加的な流れを、前記形成ダクトの二次的な注入口を通じて通すステップをさらに含む請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記流出口を通じて放出する前記水性石膏スラリーの前記流れを変更するために前記流出口開口部の形状を調整するステップ
をさらに含む請求項又は10に記載の方法。
【請求項13】
水性焼石膏スラリーを形成するために水と焼石膏とを撹拌するように構成されたミキサと、
前記ミキサと流体的に連通する請求項1〜のいずれか1項に記載のスラリー分配器と
を備える石膏スラリーの混合および調合アセンブリ。
【請求項14】
前記ミキサと前記スラリー分配器との間に配置され、前記ミキサおよび前記スラリー分配器と流体的に連通する送出導管と、
前記水性焼石膏スラリーの前記流れを制御するために前記送出導管に連結された流れ変更部品と、
前記ミキサおよび前記送出導管の少なくとも1つと流体的に連通する水性発泡体供給ダクトと
をさらに備える請求項13に記載の石膏スラリーの混合および調合アセンブリ。
【請求項15】
前記スラリー分配器は、前記形成ダクトと流体的に連通する第2の注入口開口部をさらに備え、前記第2の注入口開口部は、前記ミキサと流体的に連通し、前記ミキサからの前記水性焼石膏スラリーの第2の流れを受け入れるように構成される請求項13又は14に記載の石膏スラリーの混合および調合アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、「スラリー分配器、システム、およびそれを用いるためのおよび方法」と題して2010年12月30日に出願された米国仮特許出願第61/428,706号、「スラリー分配システムおよび方法」と題して2010年12月30日に出願された米国仮特許出願第61/428,736号、および「スラリー分配器、システム、それを使用する方法、およびそれを製作する方法」と題して2011年10月24日に出願された米国仮特許出願第61/550,827号に対する優先権の利益を主張し、その各々は、その全体がこの参考文献として本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、連続ボードの製造プロセスに関し、特に、水性石膏スラリーの分配のための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的な連続石膏製造プロセス(例えばウォールボードを製造するために用いられるものなどのプロセス)において、水、焼石膏(すなわちスタッコ)および他の添加剤を、所望の通り組み合せ、ピンミキサにおいて混合する。乾燥したボード密度を制御するためにミキサ内に、またはミキサの外部に、水性発泡体を注入することができる。スタッコは、硫酸カルシウム半水化物および/または硫酸カルシウム硬石膏の形式である。コンベア上を移動する、連続的に前進するペーパーウェブ上に、スラリーを堆積させる。カバーシート材料の第2のウェブがスラリーを覆うために加えられる前に、カバーシート材料の前進ウェブ上にスラリーを散布し、且つ所望の厚さを取得するために、従来の形成ステーションなどにおいて形成される連続ウォールボードのプレフォームのサンドイッチ構造を形成することを可能にする。焼石膏は、プレフォーム内の水と反応し、コンベアが製造ラインの下方へプレフォームを移動するようにセットされる。プレフォームは、プレフォームが十分にセットされたラインに沿った地点にてセグメントに切断され、反転され、過剰水を取り払うために(例えばキルン内で)乾燥され、所望の寸法の最終的なウォールボード製品を供給するために処理される。
【0004】
混合されるスタッコに対する水の重量比率は、当該技術分野において「水対スタッコ比(water−stucco ratio)」(WSR)と呼ばれる。連続ウォールボードの生産プロセス産業において、生産効率を向上させるために、例えば最終生産物を乾燥させるのに必要とするエネルギーの削減によって、WSRを低減することが強く所望される。しかしながら、WSRの低減は容易には達成できない。例えば、より高い含水量を有するスラリー組成物は、より低い粘性率を有する。より低い粘性は、それが形成ステーションに向かって進むように、カバーシートウェブの幅方向にスラリーを散布することを支援することができる。
【0005】
石膏壁用ボードの製造に関連するいくつかの運用上の課題に取り組むための従来の装置および方法は、同一出願人による米国特許第5,683,635号明細書、米国特許第5,643,510号明細書、米国特許第6,494,609号明細書、米国特許第6,874,930号明細書、米国特許第7,007,914号明細書、および米国特許第7,296,919号明細書において開示され、これらの文献は、参考文献として本明細書に援用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つの態様において、本開示は、注入口開口部と、注入口開口部に供給されたスラリーの流れを受け入れるように構成された形成ダクトとを含む連続生産プロセスにて使用するためのスラリー分配器を記載する。形成ダクトは、スラリーの流れを向け直すように構成された放物線状のガイド表面を有する。形成ダクトと流体的に連通する流出口開口部は、スラリーの流れを受け入れるように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態において、連続生産プロセスにて使用するためのスラリー分配器は、注入口開口部の境界を定める入口区間と、注入口開口部と流体連通する形成ダクトと、形成ダクトと流体連通する流出口開口部の境界を定める流出口とを含む。形成ダクトは、注入口開口部から形成ダクトを通じて流出口開口部に移動するスラリーの流れを、注入口方向から流出口方向に向け直すように構成された放物線状のガイド表面を含む。
【0008】
別の態様において、本開示は、前進ウェブにスラリーを供給する方法を記載する。本方法は、前進ウェブの流出口開口部へのスラリーの流れを向け直すように構成された放物線状のガイド表面をもつ形成ダクトを有するスラリー分配器の注入口を通じて水性石膏スラリーの流れを通すステップを含む。水性石膏スラリーの流れは、流出口を通じて放出される。
【0009】
いくつかの実施形態において、前進ウェブにスラリーを供給する方法を提供する。水性石膏スラリーの流れは、放物線状のガイド表面がスラリー分配器の流出口開口部へのスラリーの流れを注入口流れ方向から流出口流れ方向に向け直すように、注入口流れ方向に放物線状のガイド表面をもつ形成ダクトを有するスラリー分配器の注入口を通じて通過される。水性石膏スラリーの流れは、カバーシート材料の前進ウェブ上の流出口流れ方向の流出口から放出される。
【0010】
さらに別の態様において、本開示は、石膏スラリーの混合および調合アセンブリを記載する。本アセンブリは、水性石膏スラリーを形成するために水と焼石膏とを撹拌するように構成された石膏スラリーミキサを含む。スラリー分配器は、石膏スラリーミキサと流体的に連通し、石膏スラリーミキサからの水性石膏スラリーの流れを受け入れ、かつ前進ウェブ上に水性石膏スラリーの流れを分配するように構成される。スラリー分配器は、注入口開口部と、注入口開口部に供給される水性石膏スラリーの流れを受け入れるように構成された形成ダクトとを含む。形成ダクトは、水性石膏スラリーの流れを向け直すように構成された放物線状のガイド表面を有する。形成ダクトと流体的に連通する流出口開口部は、水性石膏スラリーの流れを受け入れるように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態において、石膏スラリー混合および調合アセンブリは、水性焼石膏スラリーを形成するために水と焼石膏とを撹拌するように構成されたミキサと、ミキサと流体的に連通するスラリー分配器とを含む。スラリー分配器は、注入口開口部の境界を定め、水性焼石膏スラリーの流れを受け入れるように構成された入口区間と、注入口開口部と流体的に連通する形成ダクトと、形成ダクトと流体的に連通する流出口開口部の境界を定め、スラリー分配器からの水性焼石膏スラリーの流れを放出するように構成された流出口とを含む。形成ダクトは、約45度から約150度までの範囲内の方向角の変化によって、注入口開口部から形成ダクトを通じて流出口開口部に移動する水性焼石膏スラリーの流れを、注入口方向から流出口方向に向け直すように構成された放物線状のガイド表面を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示によるスラリー分配器を含む、石膏スラリーの混合および調合アセンブリの1つの実施形態の透視図である。
図2図1のスラリー分配器の平面図である。
図3図1のスラリー分配器の右側正面図である。
図4図1のスラリー分配器の左側正面図である。
図5】本開示によるスラリー分配器の別の実施形態の断面的な平面図である。
図6】様々な流出口開口部の形状を図示する、本開示によるスラリー分配器に用いるのに適した流出口開口部の断片的な正面図である。
図7】様々な流出口開口部の形状を図示する、本開示によるスラリー分配器に用いるのに適した流出口開口部の断片的な正面図である。
図8】様々な流出口開口部の形状を図示する、本開示によるスラリー分配器に用いるのに適した流出口開口部の断片的な正面図である。
図9】流出口開口部に取り付けられたプロファイリングシステムの1つの実施形態を図示する、本開示によるスラリー分配器の断片的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、ウォールボード製造プロセスなどの連続生産プロセスの間にコンベア上の移動する前進ウェブ(例えば、紙またはマット)上に水性石膏を分配するための分配システムに関する。本開示のスラリー分配システムは、現行のWSRにおけるスラリー、または相対的に低いWSR(したがって相対的に高い粘性率)を有するスラリーのためのより広い散布を達成することを目的とする。概して、開示のシステムおよび方法は、低いWSRまたは特殊な調合物による相対的に高粘性を有するスラリーに適している。以下に図示され記載されるような分配システムを用いてスラリーを送って分配することによって、散布を制御する。後続する説明において、1つの実施形態および対応する特徴と同一または同様である実施形態に関して図示され記載される特徴および構造、および別の実施形態の構造を、簡潔にするために同一の参照符号によって示す。
【0014】
本開示の原理により構成されたスラリー分配器の実施形態は、好ましくは、典型的なWSRからより低いWSRを有するスラリーを用いてシステムがウォールボードを製作することを可能にすることを支援するための既存のウォールボード製造システムにおけるレトロフィットとしての構成することができる。スラリー分配器は、当該技術分野において周知であるゲート・キャ二スター・ブート(gate−canister−boot)設備または特許文献3〜6に記載されるような設備の形式などの従来の排出ダクトからの構成部品とともに用いることができる。例えば、スラリー分配器100は、従来の単一または複数のブランチのブートに置き換えることができるし、または、その代わりに、1つ以上のミキサ流出口ダクトに取り付けられてもよい。
【0015】
図1は、石膏スラリーミキサ304およびスラリー分配器100を含む、石膏スラリー混合および調合アセンブリ50の1つの実施形態の透視図である。スラリー分配器100は、ミキサ304からの水性焼石膏スラリーの連続流を供給する当該技術分野において周知の従来の石膏スラリーミキサ304(例えばピンミキサ)の排出ダクト302の一部を備える(または排出ダクト302として作用する)ことができるタイプである。
【0016】
石膏スラリーミキサ304は、水性焼石膏スラリーを形成するために水および焼石膏を撹拌するように構成される。任意の適当なミキサをスラリー分配器100とともに用いることができることが想定される。様々な実施形態において、ミキサ304を、上方に並んで配置することができるし、または製造ラインを備える形成テーブル/コンベアから距離をおいて配置することができる。
【0017】
スラリー分配器100は、石膏スラリーミキサ304と流体的に連通し、石膏スラリーミキサ304からの水性石膏スラリーの流れを受け入れ、かつ前進ウェブ306上に水性石膏スラリーの流れを分配するように構成される。図示する実施形態において、送出導管303は、石膏スラリーミキサ304とスラリー分配器100との間に配置され、石膏スラリーミキサ304とスラリー分配器100と流体的に連通する。
【0018】
スラリー分配器100は、水性石膏スラリーの流れを制御するために送出導管303に連結された1つ以上の流れ変更部品(flow−modifying element)308の下流に接続することができる。好適な流れ変更部品の例は、例えば特許文献3〜6に記載されたものを含む、ボリュームレストリクタ、減圧弁、コンストリクターバルブ、およびキャ二スターなどを含む。
【0019】
水性発泡体供給ダクト312は、石膏スラリーミキサ304および送出導管303の少なくとも1つと流体的に連通することができる。供給源310からの水性発泡体は、ミキサ304の下流の任意の好適な位置にて発泡体ダクト312を通じて構成材料に追加することができる、および/または、スラリー分配器100に供給される泡立った石膏スラリー314を形成するためにミキサ304自身内に追加することができる。
【0020】
泡立った石膏スラリーがセットされて乾燥させられるとき、スラリー内に分散した発泡体は、ウォールボードの総合密度を引き下げるために作用するエアーボイドをその中に生成する。発泡体の量および/または発泡体における空気の量は、結果として生じるウォールボード製品が所望の重量範囲内にあるに、乾燥したボード密度を調整するために変更することができる。
【0021】
任意の好適な泡立て剤を用いることができる。好ましくは、水性発泡体は、泡立て剤と水との混合物の流れが泡発生器に対して向けられる、連続する方式において生成され、結果として得られる水性発泡体の流れは、生成器を離れて、焼石膏スラリーに向けられて混合される。好適な泡立て剤のいくつかの例は、例えば、特許文献1および2に記載される。
【0022】
当業者が十分に理解するように、カバーシート材料のウェブの一方または両方は、ウェブの領域上の当該技術分野において大抵の場合スキムコートと呼ばれる(コアを含む石膏スラリーに関連する)石膏スラリーの非常に薄く相対的に緻密の層、および/または、必要に応じてハードエッジを生成するためにウェブのエッジにて石膏スラリーの少なくとも1つのより緻密の流れにより前もって処理することができる。そのために、ミキサ304は、スラリー分配器100に対して送り出された水性焼石膏スラリーの流れよりも相対的に緻密である緻密水性焼石膏スラリーの流れ(すなわち「フェース・スキムコート/ハードエッジストリーム」(face skim coat/hard edge stream))を堆積させるように構成された第1の補助ダクトを含むことができる。第1の補助ダクトは、カバーシート材料の前進ウェブ306に対してスキムコート層を加え、且つ当該技術分野において周知である移動ウェブの幅未満であるローラの幅により移動ウェブ306の周囲におけるハードエッジの境界を定めるように構成されるスキムコートローラの上流(それ自体スラリー分配器100の上流)にカバーシート材料の前進ウェブ306上にフェース・スキムコート/ハードエッジストリームを堆積させることができる。ハードエッジは、ウェブ306に対して緻密層を加えるために用いられるローラの端部の周囲で緻密スラリーの一部を向けることによって、薄い緻密層を形成するのと同じ緻密スラリーから形成することができる。
【0023】
ミキサ304は、また、スラリー分配器100に対して送り出された水性焼石膏スラリーの流れよりも相対的に緻密の緻密水性焼石膏スラリーの流れ(すなわち「バック・スキムコートストリーム」(back skim coat stream))を堆積させるように構成された第2の補助ダクトを含むことができる。第2の補助ダクトは、当該技術分野において周知であるカバーシート材料の第2の移動ウェブに対してスキムコート層を加えるように構成されるスキムコートローラの(第2のウェブの移動方向の)上り方向のカバーシート材料の第2の移動ウェブ上にバック・スキムコートストリームを堆積させることができる。第2のウェブは、スラリーを覆い、かつ連続ウォールボードプレフォームのサンドイッチ構造を形成するために用いることができる。
【0024】
他の実施形態において、カバーシート材料の前進ウェブ306に対して1つ以上の個別のエッジ流れを送り出すために、個別の補助ダクトをミキサ304に接続することができる。スラリー内の発泡体を機械的に分解するによって、および/または、好適な消泡剤の使用を通じて発泡体を化学的に分解することなどによって、スラリーをより緻密にそこに作ることを支援するために、(補助ミキサなどの)他の好適な機器を補助ダクト内に備えることができる。
【0025】
図1に図示する実施形態において、スラリー分配器100は、スラリー注入口開口部102と、スラリー流出口開口部104と、注入口開口部102に供給されるスラリーの流れを受け入れるように構成された、形成ダクト(shaped duct)112とを含む。形成ダクト112は、幅方向53と実質的に平行である注入口流れ方向52からのスラリーの流れを、縦方向55と実質的に平行で、注入口流れ方向52に対して実質的に垂直である流出口流れ方向54に向け直すように構成された放物線状のガイド表面220を有する。流出口開口部104は、形成ダクト112と流体的に連通し、ダクト112からのスラリーの流れを受け入れ、且つ縦方向に沿って前進するウェブ306の上の流出口流れ方向54に沿ってスラリー分配器100からスラリーを放出するように構成される。
【0026】
スラリー注入口102は、中空で概して直線状で円柱状の入口区間106の端部に形成される。図3および図4に最も良く示すように、概して直線状の入口区域106は、円形から矩形断面への遷移区間110を含む連結区間108に接続される。図示する実施形態において、傾斜および形成ダクト112は、概して長方形断面を有し、遷移区間110に接続される。別の実施形態において、形成ダクト112は、さらに別の実施形態において、ダクトの内壁および外壁の高さが異なる、概して台形の断面を有してもよく、スラリー分配器100の構成部品は、異なる形状をもつことができる。
【0027】
ダクト112は、流出口開口部104の境界を定める、調整可能な流出口フレーム114をさらに含む。図示するように、流出口フレーム114は、概して矩形であるが、ダクト112の形状と一致する他の形状を用いてもよい。
【0028】
したがって、形成ダクト112は、入口区間106に流体的に接続され、それによって注入口開口部102と流出口開口部104との間の流体的連通を提供するために流出口開口部104を形成し、その結果、注入口開口部102に入るスラリーの流れは、円柱状の入口区間106、連結区間108、遷移区間110、および形成ダクト112を通って進み、流出口開口部104を通ってスラリー分配器100から放出される。
【0029】
ダクト112は、放物線状のガイド表面220の境界を定める、概して矩形断面且つ概して曲線状の外壁を有する。曲線状または放物線状のガイド表面220は、注入口開口部102を通ってスラリー分配器100に入るスラリーの流れが、流出口開口部104を通って出る前に方向角θの変更によって向け直されるように構成される。例えば、図示する実施形態において、スラリーの流れは、幅方向53に沿った注入口流れ方向52から、縦軸57のまわりの約90度の方向角θを通って、縦方向55に沿った流出口流れ方向54に向け直される。いくつかの実施形態において、スラリーの流れは、注入口流れ方向52から、約45度〜約150度の範囲内の縦軸57のまわりの方向角θの変更を通じて、流出口流れ方向54に向け直すことができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、流出口流れ方向は、カバーシート材料の前進ウェブ306を移送するシステムの縦方向55および横の幅方向53によって境界を定められる面56と実質的に平行である。他の実施形態において、注入口流れ方向52および流出口流れ方向は、両方ともカバーシート材料の前進ウェブ306を移送するシステムの縦方向55および横の幅方向53によって境界を定められる面56と実質的に平行である。いくつかの実施形態において、スラリー流出口開口部104は、縦方向55および横の幅方向53によって境界を定められる面56と実質的に平行になり得る。いくつかの実施形態において、スラリー分配器は、幅方向53のまわりを回転することによって実質的な流れの向け直しを経ずに、スラリーの流れが注入口流れ方向52から流出口流れ方向54にスラリー分配器において向け直されるように、形成テーブルに対して構成され配置され得る。いくつかの実施形態において、スラリー分配器は、形成テーブルに対するスラリーの流れが、幅方向53におけるその移動の少なくとも約25パーセントを有する速度分布を含む注入口流れ方向52から、縦方向55におけるその移動の少なくとも約80パーセントを有する速度分布を含む流出口流れ方向54に、スラリー分配器において向け直されるように構成され配置され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、スラリー分配器は、約45度以下の角度にわたって幅方向53のまわりで回転することによってスラリーを向け直すことによって、スラリーの流れが、注入口流れ方向52から流出口流れ方向54に、スラリー分配器において向け直されるように、形成テーブルに対して構成され配置され得る。このような回転は、スラリー注入口開口部102および注入口流れ方向52が、機械軸55、機械横断軸53、および機械軸55および機械横断軸53に対して相互に垂直である縦軸57によって形成される面56に対する垂直オフセット角度ωで配置されるように、スラリー分配器を構成するによって、いくつかの実施形態において達成することができる。実施形態において、スラリー注入口開口部102および注入口流れ方向52は、スラリーの流れが、機械軸55のまわりで向け直され、注入口流れ方向52から流出口流れ方向54に、スラリー分配器における縦軸57に沿って移動するように、0から約60度までの範囲内の垂直オフセット角度ωで配置され得る。実施形態において、入口区間106、連結区間108、遷移区間110、および形成ダクト112のうちの少なくとも1つは、機械軸55のまわり、および縦軸57に沿った、スラリーの向け直しを容易にするように構成され得る。実施形態において、スラリーの流れは、注入口流れ方向52から、垂直オフセット角度ωに対して実質的に垂直な軸および/または約45度から約150度の範囲内の他の1つ以上の回転機械横断軸のまわりの方向角θの変更を通じて、流出口流れ方向54が縦方向55と概して整列するように、流出口流れ方向54に、向け直すことができる。
【0032】
ダクト112は、スラリーがダクト112を通過するにつれて、スラリーの流れが減速させられるように、注入口開口部102からの流出口開口部104への方向221において増加する流れ断面積(cross sectional flow area)を有する。図示する実施形態において、例えば、スラリー分配器100の断面積は、注入口102に対して流出口104において約340%増加するが、但し、任意の好適な変様も想定される。他の実施形態において、流出口104に対する注入口102の断面積の比は、製造ラインの速度、分配器100によって分配されるスラリーの粘性率、分配器100により作られるボード製品の幅などを含む1つ以上の要素に基づいて変更することができる。
【0033】
動作の間に、スラリーの流れは、ミキサ304からスラリー注入口102にて提供される。スラリーの流れは、スラリー出口104を通って出る前に、様々な分配器区間106、108、112の内面部分を通過する。スラリー分配器100の断面積は、注入口102から流出口104までスラリー経路に沿って、スラリー経路を通過するスラリーの流れが、流出口104を出る前に減速するように、段階的に増加する。スラリー314は、スラリー分配器100からカバーシート材料の前進ウェブ306上に堆積され、カバーシート材料の第2のウェブは、壁ボードプレフォームを形成するために堆積したスラリー上に加えられる。当業者が十分に理解するように、ボード製品は、それが設置された後に、前進ウェブ306がボードの「フェースライナ(face liner)」として機能するように、典型的には「下向きに(face down)」形成される。
【0034】
分配器100の使用によって、遷移区間110および形成ダクト112の適切な成形を通じてスラリーの減速および方向性の操作は、流出口104にて低減された空気スラリーの分離(air−slurry separation)および許容でき且つ制御可能な材料分配による低WSRを有する、より粘着性のスラリーの使用を可能にする。本明細書で用いられるように、スラリーの空気分離は、スラリー内に空気ポケットを形成する状態(それは、スラリーの内部に高圧および低圧エリアをもたらす場合があり、完成品における好ましくない密度差に帰着するかもしれない)を記述するのが目的である。
【0035】
図5を参照すると、0.75インチ(1.9cm)の厚さを有する壁ボードの製造のための構成されたスラリー分配器200の1つの実施形態の断面を示す。図示する実施形態において、注入口開口部102は、3インチの径202を有する円形である。注入口102は、約6インチの長さ204を有する円錐台形状を有する。注入口102の径は、注入口の径202から、図示する実施形態において約4インチである拡大した径206まで増加する。連結区間108は、約6インチの直線状の円筒断面210を含む、約18インチの全長208を有する。この実施形態において、長さ204、210を有する組み合わせた直線状の区間は、スラリーにおける開口部102の上流の機器によってもたらされるいかなる方向性の不均衡も減衰することができるように、注入口102の径202の約4倍である。
【0036】
遷移区間110において、スラリー分配器200の断面は、注入口102から流出口104への流れ方向に、円形から概して矩形に段階的に変化する。遷移区間110は、少なくとも長さ208の一部に沿った外部の直線状の壁240によって、および弯曲212の内側半径(それは図示する実施形態において約13インチである)を有する内部の湾曲壁242によって、少なくとも部分的に境界を定められる。この地点において、スラリー分配器200の断面積は、注入口開口部102に対して約70%増加している。遷移区間112の注入口部分は、約1インチの高さ214(図3を参照)および(図1におけるウェブ306の移動の方向で概して測定された)約12インチの幅216をもつ、概して矩形の断面形状を有する。図5に示すように、開口部104の幅218は、放物線状のガイド表面220を露出するのに十分に広い。
【0037】
遷移区間110は、スラリー流れの流れ方向を約90度で向け直す形成ダクト112に接続される。図3および図4に最も良く示すように、ダクト112は、スラリーが流出口104に接近するにつれて、その幅が約24インチの出口幅218まで変化する概して矩形断面を有する。十分に理解され得るように、スラリー分配器200の断面積は、ダクト112に沿って2倍になる。
【0038】
ダクト112は、外部の湾曲壁または放物線状のガイド表面220によって、および弯曲をもつ内部の傾斜壁222によって、少なくとも部分的に境界を定められる。曲線状または放物線状のガイド表面220は、注入口方向250から出口方向252に、スラリーの流れを向け直すように構成される。例えば、スラリーの流れは、注入口方向250および出口方向252が互いに概して垂直で、約90度の角度の境界を定めるように向け直すことができる。
【0039】
外部の湾曲壁または放物線状のガイド表面220は、は図示する実施形態において形状Ax2+Bの放物線によって境界を定められる、図5に示す断面の面において概して放物形を有する。別の実施形態において、外壁220の形状に高次曲線を用いてもよい。または、その代わりに、壁220は、概して湾曲壁の境界をまとめて定めるために、それらの端部にて配置された直線状または線形の区間から構成される概して曲線状の形状を有してもよい。さらに、外壁の比形態係数を定めるために用いるパラメータは、スラリー分配器が使用される処理の特定のオペレーティングパラメータに依存され得る。例えば、外壁の特定形状を決定する場合に考慮してもよいパラメータは、用いるスラリーの粘性率、製造ラインの速度、スラリー堆積の質量または流量、スラリー密度、およびその他同種のものを含む。図示する実施形態において、ダクト112との遷移区間110の外部の交点に位置する地点227に一致する原点により、A=0.03およびB=−19.95である。流出口開口部104の幅218は、放物線状のガイド表面220の実質的な部分に整列され、ガイド表面220の実質的な部分を露出するように構成される。
【0040】
図5に示すように、スラリーは、所定の速度分布を有する流出口開口部104を介してスラリーがスラリー分配器200を出るように、放物線状のガイド表面220によって向け直され得る例えば、スラリーは、流出口開口部104の幅218にわたって実質的に等速度を有することができる。湾曲ガイド面220および/または流出口開口部104の形状は、スラリーのための所望の散布パターンを実現する速度分布を調整するために変更され得る。
【0041】
内部の傾斜壁222は、流出口開口部104によって境界を定められた流出口面に対して鈍角228にて延伸する。図示する実施形態において、内部の傾斜壁222は、図5に示すような約14.4インチの長さ226を有し、流出口104の外周によって境界を定められた面に対して約112.6度の鈍角228で配置される。
【0042】
図5のスラリー分配器200は、内部の傾斜壁222内に形成された隙間232を通ってダクト112の内部に流体的に接続される二次的なスラリー注入口230を含む。第2の注入口開口部232は、形成ダクト112と流体的に連通する。動作の間に、スラリー注入口202を通って供給されるスラリーの流れを増強するために、特に、広い幅の製品、高WSR、または製造におけるより速いライン速度のために構成された実施形態用に、二次的なスラリー注入口230を通って、スラリーの付加的な流れを供給してもよい。
【0043】
形成ダクト112と流体的に連通する第2の注入口開口部232を含むスラリー分配器の実施形態において(図5を参照)、スラリー分配器200の第2の注入口232は、石膏スラリーミキサ304と流体的に連通して配置され、且つ水性石膏スラリーの第2の流れをミキサ304から受け入れるように構成され得る。このような実施形態において、ミキサ304およびスラリー分配器200の主注入口102を接続する送出導管303は、水性石膏スラリーの二次流れを第2の注入口開口部232に供給する1つ以上のブランチを含むことができる。さらに他の実施形態において、補助の送出導管は、ミキサ304とスラリー分配器200の第2の注入口開口部232との間に供給することができる。
【0044】
スラリー分配器を通過するスラリーの減速およびフロー成形は、スラリー内の空気分離を抑止するのを支援する際に有効であるが、スラリー分配器100、200の追加機能を、連続生産プロセスにおいて散布器の流出口を出た後のスラリーの分配を向上させるために用いてもよい。図示する実施形態において、スラリー分配器100および200を、所望の形状を形成することができる、可塑的に形成可能または変形可能な材料で作ることができる。これらの形状は維持することができるし、物質の可塑性の成形特性は、散布器の動作の間に散布器のある断面の所望の形状を保持することができることを保証するように構成されてもよい。したがって、散布器の断面を形成するために異なる装置または形成金型を用いてもよいし、または、その代わりに、反復プロセスを用いて散布器を手動で形成してもよい。
【0045】
図示する実施形態において、分配器100、200は、散布器の一部(例えば開口部104を取り巻くフレーム114)の形成を可能にする鋼材などの薄板金で作られる。フレーム114の形成は、オペレータによって手動で行われてもよいし、または、その代わりに、少なくともフレーム114の一部分の周囲に取り付けた、適切な成形板(図示せず)の取り付けによって境界を定められ固定されてもよい。このような1つの実施形態において、フレーム114の材料は、成形板の様々な所望の形状特徴に押しつけられることによって、または、さもなければ成形板の様々な所望の形状特徴に促されることによって、形成することができる。
【0046】
流出口開口部104用にとして非矩形形状に決める場合、スラリー分配を向上させるために流出口の最終形状に影響を及ぼし得る様々な態様を考慮することができる。例えば、(図1に示したような)連続壁ボード製造プロセスにおける基材の前進ウェブ306の中心線に対するスラリー出口104の位置決めは、ウェブ306の側端面307からさらに離れた開口部の側面に隣接する、より広い幅の開口部を形成することを要するかもしれない。その代わりに(またはさらに)、スラリー出口の形状は、線対称であってもよいが、ウェブの速度および勾配に応じて、端部または前進ウェブの中央のいずれかにおいてスラリーの大部分を送り出すように構成される。
【0047】
図6図8は、流出口104の形状を形成するときに用いてもよい、無限に近い数の構成のうちの極わずかを図示する。ベースラインが矩形の開口部404を、図6に示す。開口部404は、横方向おける長さ、または例えば24インチの幅208、および約1インチの高さ409を有する開口部404は、実質的に均一の厚さを有する開口部404を通じてスラリーの流れを供給するように構成される。
【0048】
形成開口部(shaped opening)504を、図7に示す。図示するように、形成開口部504のその中央近くの高さ511は、そのエッジ506における開口部504の高さ509未満である。この実施形態において、上下壁508、510は、開口部504を通過するスラリーの大部分が開口部の中央よりもエッジ506に沿って分配されるように、互いに湾曲する。
【0049】
付加的な形成開口部604を図8に示す。開口部604は、そのエッジ606に隣接する開口部の高さ609が開口部604の中央における高さ611未満である、樽状の断面を有する。十分に理解することができるように、開口部604のこの特定形状は、互いに離れて、上下壁608、610を外側に曲げることによって得ることができる。形成開口部404、504、604は、線対称であるが、以前に記述したように、特定の用途のために非対称形状を用いてもよい。
【0050】
図9を参照すると、本開示の原理によるスラリー分配器700は、局部的に図示する矩形の流出口730の開口部704のサイズおよび形状を変更するように構成されたプロファイリングシステム732を含むことができる。プロファイリングシステム732は、板770と、流出口730に隣接する形成ダクト728に板を固定する複数の取り付けボルト772と、板にねじ的に固定された一連の調整ボルト774とを含む。取り付けボルト772は、流出口730隣接する形成ダクト728に板770を固定するために用いられる。板770は、流出口730の幅718に沿って実質的に延伸する。図示する実施形態において、板770は、角鉄の長さの形状である。他の実施形態において、板770は、異なる形状を有することができ、異なる物質を備えることができる。
【0051】
調整ボルト774は流出口730の幅に沿って互いに規則的で一定間隔に配置された関係にある。調整ボルト774は、板770に、ねじ式に係合される。調整ボルト774は、流出口730の開口部704のサイズおよび/または形状を局部的に変更するように流出口730の外表面上のボルトが作用することを可能にするために、独立して調整可能である。流出口730は、その形状が、例えば調整ボルト774、775などによって、横の幅方向のその幅に沿って可変であるように構成されるように、弾性的な可撓性材料から作られる。
【0052】
スラリー分配器700から分配される水性焼石膏スラリーの流れ方式を変化させるように、流出口730を局部的に変更するためにプロファイリングシステム732を用いることができる。例えば、中央の調整ボルト775は、機械横断軸53内のスラリーの流れの均等性を向上させるだけでなく、散布することを容易にするために、垂直の縦方向55から離れてエッジ流れ角を増加させるために幅方向53に沿って流出口730の横の中心中間点794を締めつけるために下方へ締めることができる。
【0053】
横の機械横断軸53に沿って流出口730のサイズを変更し、且つ流出口730を新しい形状に維持するために、プロファイリングシステム732を用いることができる。板770が新しい形状に流出口730を促す際に調整ボルト774、775によって行われる調整に呼応して、調整ボルト774、775によって加えられた反力に耐え得るように、板770を適当に強固な物質から作ることができる。スラリー分配器700からスラリーの抜け出るパターンがより一定になるように、流出口730から放出されるスラリーの流れプロファイルにおける変化をさらに支援するために、プロファイリングシステム732を用いることができる。
【0054】
他の実施形態において、隣接する調整ボルト間の間隔が変化するように、調整ボルトの数を変更することができる。分配流出口730の幅が異なる他の実施形態において、隣接するボルトの所望の間隔を得るために、調整ボルトの数も変更することができる。さらに他の実施形態において、隣接するボルト間の間隔は、例えば、分配流出口730の側端面797、798にて、さらに大きく局部的に変化する制御を提供するために、横軸53に沿って変更することができる。
【0055】
概して、本明細書に開示されるようなスラリー分配器のための様々な実施形態の最大寸法は、製造される製品の種類、例えば、製作される製品の厚さおよび/または幅、用いる製造ラインの速度、分配器を通じてのスラリーの堆積速度、および同種のものに応じて拡大または縮小され得る。例えば、図示する実施形態において、ウォールボード製造プロセスにおける使用のための矩形のスラリー流出口(図5)の幅218(高々54インチの公称幅で従来提供される)は、9〜54インチ間、他の実施形態においては約18インチ〜約30インチの間のいかなる範囲で変動することができる。概して図3において符号214として示す、ダクト112のそのエッジおよび高さにおける流出口開口部の高さは、3/16インチから2インチまで間、他の実施形態においては約3/16インチ〜約1インチの間のいかなる範囲で変動することができる。流出口開口部の矩形の高さに対する矩形の幅の比は、約4.5〜約288まで、他の実施形態においては約18〜約160までになり得る。204および210の組み合わせた長さ(図5)が12〜24インチ以上である一方で、スラリー注入口の径202は、2〜4インチ間のいかなる範囲にもなり得る。組み合わせた横の長さ216、226(図5)は、12〜48インチのいかなる範囲にもなり得る。これらの範囲は、すべて、近似であり、各特定の用途用に個々に選択され、変更することができる。
【0056】
本開示の原理により構成されたスラリー分配器は、いかなる好適な材料も備えることができる。いくつかの実施形態において、スラリー分配器は、例えば、流出口のサイズおよび形状をプロファイルシステムを用いて変更することを可能にする適切な物質を含むことができる、任意の適切な実質的に硬質材料を備えることができる。例えば、極めて高い分子量(UHMW)のプラスチックまたは金属容器などの適切な硬質プラスチックを用いることができる。他の実施形態において、本開示の原理により構成されたスラリー分配器は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)またはウレタンを含む、適切な軟質プラスチック物質などの可撓性材料から作ることができる。
【0057】
本開示の原理によりスラリー分配器を構成させるための任意の適切な技術を用いることができる。例えば、PVCまたはウレタンなどの可撓性材料からスラリー分配器が作られる実施形態において、数個構成金型を用いることができる。数個構成金型の外表面は、スラリー分配器の内部の流れ形状の境界を定めることができる。数個構成金型は、例えばアルミニウムなどの任意の適切な材料から作ることができる。金型は、PVCまたはウレタンなどの可撓性材料の加熱溶液に浸すことができる。その後、浸された材料からモールドを取り除くことができる。
【0058】
所望の形状を備えるために相互に適合するように設計した複数の個別のアルミニウム片で金型を作ることによって、金型ピースは互いに遊離し、まだ暖かい間に溶液から引き抜くことができる。十分な高温にて、可撓性材料は、切り離さずに、成型されたスラリー分配器の小さな領域を通じて、より大きな金型ピースから引き離すのに十分に柔軟である。いくつかの実施形態において、金型ピース面積は、約115%、他の実施形態においては約110%、または、除去間に金型ピースが取り出された成型スラリー分配器の面積未満である。継手ボルトは、金型ピースに連結して整列されるように配置することができる。そのため、接合におけるフラッシュが低減され、そのため、成型スラリー分配器の内部からの金型の除去間に数個構成金型を分解するためにボルトを除去することができる。
【0059】
本開示の原理により構成されたスラリー分配器を、様々な製造プロセスに用いることができる。例えば、1つの実施形態において、前進ウェブにスラリーを供給する方法は、本開示の原理によるスラリー分配器を用いて行うことができる。水性石膏スラリーの流れは、スラリーの流れをその流出口開口部に向け直すように構成された湾曲ガイド面を有する形成ダクトを含むスラリー分配器の注入口を通過する。例えば、ウェブの移動の線に対して概して横の方向から、ウェブの移動の線と実質的に平行な方向に、スラリーの流れを向け直すように、スラリーの流れを、約90度で向け直すことができる。他の実施形態において、スラリーの流れは、約45度〜約150度の範囲内の方向角θの変更を通じて、注入口流れ方向52から流出口流れ方向54に向け直すことができる。スラリーの流れを減速することができるが、その一方で、注入口から流出口への少なくとも流路の一部分に沿って増加する流れ断面積を有する形成ダクトを構成することによって、スラリーの流れは形成ダクトを通過する。いくつかの実施形態において、スラリーの少なくとも1つの付加的な流れは、形成ダクトの二次的な注入口を通じて形成ダクトを通過することができる。
【0060】
水性石膏スラリーの流れは、水性石膏スラリーがウェブ上に堆積するように、流出口を通じて放出される。流出口流れ方向54は、概して前進ウェブの移動の線に沿うことができる。交差する縦方向において流出口を通じて放出する水性石膏スラリーの流れを変更するために、流出口開口部の形状を調整することができる。
【0061】
本明細書に引用した参考文献は、各参考文献が参照によってその全体を本明細書に援用するために個々に具体的に示し、且つ説明したように、すべてが参照によって同一の程度に本明細書に援用される。
【0062】
本明細書に示さない限り、あるいは内容によって明らかに矛盾しない限り、用語「不定冠詞(a)」、「不定冠詞(an)」、「定冠詞(the)」の使用、および本発明を記載する内容における(とりわけ以下のクレームの内容における)同様の参照対象が、単数と複数の双方をカバーするよう構成される。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「包含する(containing)」は、注釈しない限り、開放式の(オープンエンド)ターム(すなわち「〜を含むが、それに限定されない」を意味する)として構成される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されるかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など(such as)」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、本発明の実施に不可欠である、請求項に記載されていない要素を示すものとは解釈されないものとする。
【0063】
本明細書では、発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読んだ上で、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で発明が実施されることを意図する。したがって、本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、好ましい実施の形態で考えられるすべての変形における上記要素のいずれの組み合せも本発明に包含される。
[付記1]
連続生産プロセスで使用されるスラリー分配器であって、
注入口開口部の境界を定める入口区間と、
前記注入口開口部と流体的に連通する形成ダクトと、
前記形成ダクトと流体的に連通する流出口開口部の境界を定める流出口とを備え、
前記形成ダクトは、前記注入口開口部から前記形成ダクトを通じて前記流出口開口部に移動するスラリーの流れを、注入口方向から流出口方向に向け直すように構成された放物線状のガイド表面を含むスラリー分配器。
[付記2]
前記流出口開口部の幅は、横軸に沿って延伸し、前記放物線状のガイド表面の実質的な部分が、前記横軸に沿った前記流出口開口部の幅とともに整列される付記1に記載のスラリー分配器。
[付記3]
前記形成ダクトは、概して矩形断面を有し、且つ前記注入口開口部を通って前記スラリー分配器に入るスラリーの流れが前記流出口開口部を通って出る前に方向角の変更によって向け直されるように前記放物線状のガイド表面の境界を定める、概して曲線状の外壁を有する付記1に記載のスラリー分配器。
[付記4]
前記放物線状のガイド表面は、前記ダクトの外部の湾曲壁によって少なくとも部分的に境界を定められる付記1に記載のスラリー分配器。
[付記5]
前記スラリーの流れは、約45度から約150度までの範囲内の方向角の変更によって、注入口流れ方向から流出口流れ方向に向き直される付記1に記載のスラリー分配器。
[付記6]
前記スラリーの流れは、約80度から約100度までの範囲内の方向角の変更によって、注入口流れ方向から流出口流れ方向に向き直される付記1に記載のスラリー分配器。
[付記7]
前記流出口開口部の前記開口部の形状を局部的に変更するように構成されたプロファイリングシステムをさらに備える付記1に記載のスラリー分配器。
[付記8]
前記形成ダクトと流体的に連通する第2の注入口開口部をさらに備える付記1に記載のスラリー分配器。
[付記9]
前記ダクトは、前記注入口開口部から前記流出口開口部への方向に増加する流れ断面積を有する付記1に記載のスラリー分配器。
[付記10]
前記流出口開口部の流れ断面積は、前記注入口開口部の流れ断面積よりも大きい面積から、前記注入口開口部の流れ断面積の約400%の面積までの範囲内にある付記9に記載のスラリー分配器。
[付記11]
前進ウェブにスラリーを供給する方法であって、
付記1〜10のいずれか1つに記載のスラリー分配器の注入口を通じて、注入口流れ方向の水性石膏スラリーの流れを通すステップであって、前記スラリー分配器は前記放物線状のガイド表面が前記スラリーの前記流れを前記スラリー分配器の流出口開口部への注入口流れ方向から流出口流れ方向に向け直すように、放物線状のガイド表面をもつ形成ダクトを有するステップと、
前記水性石膏スラリーの前記流れを、カバーシート材料の前進ウェブの上の前記流出口流れ方向の前記流出口から放出するステップと
を含む方法。
[付記12]
前記流出口から放出する前記水性石膏スラリーの前記流れの前記流出口流れ方向は、カバーシート材料の前記前進ウェブの移動の線と実質的に平行である付記11に記載の方法。
[付記13]
前記形成ダクトを通じての前記スラリーの少なくとも1つの付加的な流れを、前記形成ダクトの二次的な注入口を通じて通すステップをさらに含む付記11に記載の方法。
[付記14]
前記流出口を通じて放出する前記水性石膏スラリーの前記流れを変更するために前記流出口開口部の形状を調整するステップ
をさらに含む付記11に記載の方法。
[付記15]
水性焼石膏スラリーを形成するために水と焼石膏とを撹拌するように構成されたミキサと、
前記ミキサと流体的に連通する付記1〜10のいずれか1つに記載のスラリー分配器と
を備える石膏スラリーの混合および調合アセンブリ。
[付記16]
前記ミキサと前記スラリー分配器との間に配置され、前記ミキサおよび前記スラリー分配器と流体的に連通する送出導管と、
前記水性焼石膏スラリーの前記流れを制御するために前記送出導管に連結された流れ変更部品と、
前記ミキサおよび前記送出導管の少なくとも1つと流体的に連通する水性発泡体供給ダクトと
をさらに備える付記15に記載の石膏スラリーの混合および調合アセンブリ。
[付記17]
前記形成ダクトと流体的に連通する第2の注入口開口部をさらに備え、前記第2の注入口は、前記ミキサと流体的に連通し、前記ミキサからの前記水性焼石膏スラリーの第2の流れを受け入れるように構成される付記15に記載の石膏スラリーの混合および調合アセンブリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9