特許第6147673号(P6147673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6147673独立して軸方向移動及び回転運動するスプールバルブ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147673
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】独立して軸方向移動及び回転運動するスプールバルブ
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/356 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   F01L1/356 E
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-548913(P2013-548913)
(86)(22)【出願日】2012年1月6日
(65)【公表番号】特表2014-502702(P2014-502702A)
(43)【公表日】2014年2月3日
(86)【国際出願番号】IB2012050078
(87)【国際公開番号】WO2012095772
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2014年10月9日
(31)【優先権主張番号】1100632.7
(32)【優先日】2011年1月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513177369
【氏名又は名称】メカダイン インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】メスレー, イアン
【審査官】 菅家 裕輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0119402(US,A1)
【文献】 特開昭63−243577(JP,A)
【文献】 実公昭60−3366(JP,Y2)
【文献】 特開2009−138611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/356
F16K 11/00 − 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する入力部材と2つの出力部材を接続するためのツインフェイザーを制御し、且つ、前記2つの出力部材の各々の位相角が前記入力部材と相対変位して独立して変化させることを可能にするスプールバルブであって、
前記スプールバルブは、
前記ツインフェイザーと使用可能なスリーブ(12)であって、前記スリーブが、その内側ボアに通じている複数の流体チャネル(125、126、127、128)を備えているスリーブ(12)と、
スプール(14)と、を備え
前記スプール(14)は、前記スリーブ(12)の前記ボアに収容される寸法を有し、且つ、前記入力部材と相対変位して前記出力部材の位相角を変化させるために前記スプール(14)と前記ツインフェイザーとの間で流体連通するように所定の様式で前記流体チャネル(125、126、127、128)を開閉するために前記スリーブ(12)と相対変位して移動可能な寸法を有し、
前記スプール(14)及び前記流体チャンネル(125、126、127、128)は、前記スリーブ(12)と相対変位する前記スプール(14)の軸方向変位が前記出力部材の1つの位相角を制御する働きをし、前記スリーブ(12)と相対変位するスプールの回転が他の出力部材の位相角を制御する働きをするように構成され、
複数の環状溝(121、122、123、124)は、外側スリーブ(12)の軸方向長の少なくとも一部分に沿って離間配置され、且つ、前記ツインフェイザー(30)のボア及び前記スリーブ(12)によって規定され、
各環状溝(121、122、123、124)は、前記流体チャンネルの一部分を形成する1又は複数の開口部(125、126、127、128)を有する、スプールバルブ。
【請求項2】
前記外側スリーブ(12)に配置した、前記外側スリーブ(12)と前記ツインフェイザーの前記ボアとの間をシールするシールリング(200)を備える、請求項1に記載のスプールバルブ。
【請求項3】
前記ツインフェイザーの前記ボアと相対変位する軸方向及び回転方向のうちの少なくとも1つの方向に前記スプール(14)を弾性的に付勢するためのスプリング(18)を備える、請求項1又は2に記載のスプールバルブ。
【請求項4】
前記スプール(14)は、
円周方向に離間配置された複数の開放端軸方向溝(142a、142b、142c)と、
前記開放端軸方向溝(142a、142b、142c)の間に配置され前記スプール(14)長の一部分だけに延在する、円周方向に離間配置された複数の独立した軸方向溝(144a、144b)と、を備える、請求項1から3のいずれかに記載のスプールバルブ。
【請求項5】
前記スプール(14)は、ボア(141)を備え、
各独立した溝(144)は、前記スプールのボア(141)とそれぞれの独立した溝(144)との間で流体連通する開口部(146)を備える、請求項4に記載のスプールバルブ。
【請求項6】
前記スプール(914)は、前記スプール(914)の前記外面で円周方向に離間配置され且つ前記独立したスロット(944)と少なくとも実質的に軸方向に整列している複数のスロット(950)を備える、請求項5に記載のスプールバルブ。
【請求項7】
前記スプール(914)は、前記スプール(914)の前記外面の円周周り全体に延在し且つ複数の開放端軸方向溝(942)と相互に接続しつつ前記複数の独立した溝(944)及びスロット(952)からの独立が保たれている径方向溝(954)を備える、請求項6に記載のスプールバルブ。
【請求項8】
前記スプール(14、914)の前記ボア(141)に配置されるフィードスリーブ(16、916)を更に備え、
前記フィードスリーブ(16、916)は、前記スプール(14;914)と相対変位して前記フィードスリーブ(16;916)の位置に応じて前記流体チャネルと流体連通可能である、請求項5から7のいずれかに記載のスプールバルブ。
【請求項9】
前記フィードスリーブ(916)は、離間配置された2セットの開口部(960a、960b)を備え、
前記セットのそれらは、前記フィードスリーブ(916)の前記内側ボアと前記スプール(914)との間で流体連通するように前記フィードスリーブの外円周りに及んでいる、請求項8に記載のスプールバルブ。
【請求項10】
前記フィードスリーブは、前記フィードスリーブにおける前記内側ボアの1又は複数の部分に入る流体を制御可能な1又は複数の一方弁(1096a、1096b)を備える、請求項8又は9に記載のスプールバルブ。
【請求項11】
回転する入力部材と2つの出力部材を操作可能に接続するタイプであり、且つ、前記2つの出力部材の各々の位相角が前記入力部材と相対変位して独立して変化させることを可能にするツインフェイザーであって、請求項1から10のいずれかに記載のスプールバルブを備えるツインフェイザー。
【請求項12】
前記スプールを回転及び軸方向へ移動させるためのアクチュエーターを更に備え、
前記スプールバルブは、前記アクチュエーターの一部として形成される外側スリーブを備える、請求項11に記載のツインフェイザー。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のツインフェイザーを有する内燃機関のためのバルブ機構であって、前記バルブ機構は、第1セットのカムローブと共に回転するように接続された外管と、第2セットのカムローブと共に回転するように接続された内側シャフトとを、有する同軸カムシャフトに搭載され、
前記内側シャフト及び前記外管は、前記フェイザーの2つの出力部材に接続し、
前記フェイザーの入力部材は、使用中、前記エンジンのクランクシャフトによる回転を得るために接続している、バルブ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、スプールバルブに関するものであり、特に、回転する入力部材と2つの出力部材を操作可能な状態で接続するツインフェイザー(phaser)を制御し、且つ、2つの出力部材の各々の位相角が入力部材と相対変位して独立して変化させることを可能にするためのスプールバルブに関する。
【0002】
発明の背景
ツインフェイザーは、内燃機関における、エンジンクランクシャフトから、エンジンにおける互いに異なる2セットのガス交換バルブを操作するカムシャフトローブまでの駆動系に用いられる。この2つのセットは、それぞれ、吸気バルブと排気バルブとしてもよい。あるいは、気筒当たり複数バルブを有するエンジンで、両バルブのセットは、同一タイプのバルブ(例えば吸気バルブ)であってもよい。本発明は、主に、ツインフェイザーの構造に関するものであり、2つの出力部材は如何なる特定の応用に縛られるものではない。
【0003】
様々な設計のフェイザーとして、機械、電気又は油圧で操作する先行技術が提案されている。本発明は、油圧制御フェイザーだけに関するものであり、その例はベーン(vane)型フェイザーである。ベーン型フェイザーにおいて、相対的位相角が変化する2つの部材のうちの1つに接続する放射状ベーンは、他の部材によって規定される弓形空隙の中で2つの作動チャンバーを区分けしている。
【0004】
2つの出力の各々には油圧供給ラインと戻りラインを必要とするため、油圧制御されるツインフェイザーは独立した4つの油供給路を一般的に必要とする。4つの油供給路をカムフェイザーに接続することは、通常、比較的困難なことである。理由は、カム/フェイザーの可動部品とエンジンの固定部品との間に、4つの密封インターフェースを必要とするためである。
【0005】
同じ問題は、油圧作動する(即ち、外部圧力供給に依存する)フェイザーだけでなく、他のタイプのフェイザー(例えば、トルク反転から生じる、フェイザーの作動チャンバーにおける差圧に依存するフェイザー及び、EP1216344に記載のクラッチ形式フェイザー)にも生じる。
【0006】
「油圧制御」という用語は、これら全てのフェイザータイプを含むことを意図している。
【0007】
カムフェイザーへの4つの油供給路又は制御ラインの接続は、油供給マニフォールドを使用して成し遂げたり、フロントカバーに搭載したり、カムフェイザーの正面に接続したりすることができる(例えば、US 6,247,436及びGB 2,401,150に記載)。しかしながら、時には、これを実装する空間がなく、特に、オーバーヘッドカムシャフトへ適用する際にはその空間がない。更に、フロントカバーの通路を通じて加圧油を供給することは、場合によっては望ましくない可能性がある。
【0008】
油供給路を構築し、それがカムベアリングに形成された溝及び通路を経てカムシャフトを通過するようにすることも以前から提案されている。後述するように、この手法にもある種の問題が生じている。
【0009】
US 7,610,890(Mahle)の図11には、フロントカムシャフトベアリングに組込まれた、隣接する4本の放射状溝が示されている。この案は、4つ供給路を収容する非常に大きい又は長いフロントカムベアリングと、これがベアリング面として常に機能するのに十分な領域とを必要とする。
【0010】
US7,503,293(Mahle)の図1には、どのように同軸カムシャフトの2つのフロントベアリングを使用して油をツインフェイザーへ送るかが示されている。このレイアウトにおいては、ピン7が移動する、管6のスロットから油が漏れる可能性があるため、漏出の可能性が高い。この案の複雑さは、コストにも関係してくる。
【0011】
US2007/0295,296出願(Mahle)の図2には、4つの油供給を伝えるための更に別の代替案が示されている。
【0012】
油圧コントロールシステムの設計にとって、フェイザーへの油供給路の数は少ないほうが好ましい。単一出力カムフェイザーに関しては、油制御/スプールバルブを(シリンダーヘッドかシリンダーブロックのどこかにそれを備えるのではなく)カムフェイザーの本体に組み込む場合、油供給路を一つだけ必要とされていた。
【0013】
US6571,757には、カム-トルク作動カムフェイザーに関するかかる組み込み型スプール設計が示されている。シングルスプールバルブはフェイザーの軸に設置され、その軸位置はフロントカバーに搭載されたアクチュエーターによって制御される。スプールバルブを軸方向へ動かすことによって、種々の油チャネルに接続し、フェイザーを進めたり遅らせたりする。
【0014】
この種の設計は、単一出力フェイザーに適しているが、二出力装置にとっては比較的複雑である。理由は、フロントアクチュエーターが、2つの直列スプールバルブの軸位置を独立して制御する必要があるためである。後方のスプールバルブにアクセスしつつフェイザー外囲部の範囲内に2つの直列スプールバルブを実装可能にすることは、困難である。
【0015】
本発明に最も近い先行技術は、US7,444,968であると考えられる。これには、二重独立トルク作動フェイザーに関するツインスプール設計が示されている。
【0016】
本発明の目的
本発明は、カムシャフトに搭載するための油圧制御ツインフェイザーに関するものである。油圧油は、フェイザーを制御するために、フェイザーにおけるカムシャフト側から供給される。このフェイザーは、フェイザーにおける互いに独立した2つの出力部材の位相角を制御するために、カムシャフトの向かい側から制御入力を介して作動可能である。
【0017】
発明の開示
本発明では、以下のものが提供される。入力部材と2つの出力部材を接続するタイプのツインフェイザーを制御し、且つ、上記2つの出力部材の各々の位相角が上記入力部材と相対変位して独立して変化させることを可能にするスプールバルブであって、上記スプールバルブは、上記ツインフェイザーと使用可能な付随ボアに収容される寸法を有するスプールを備え、上記スプールは、上記ツインフェイザーと使用可能な付随ボアと、上記ボアに通じている複数の流体チャネルと、スプールと、を備え、上記スプールは、上記ボアに収容される寸法を有し、且つ、上記入力部材と相対変位して上記出力部材の位相角を変化させるために上記スプールと上記ツインフェイザーとの間で流体連通するように所定の様式で上記流体チャネルを選択的に開閉するために上記ボアと相対変位して移動可能な寸法を有し、上記スプール(14)及び上記流体チャンネルは、上記ボアと相対変位する上記スプールの軸方向変位が上記出力部材の1つの位相角を制御する働きをし、上記ボアと相対変位するスプールの回転が他の出力部材の位相角を制御する働きをするように構成される、スプールバルブ。
【0018】
また、本発明では、以下のものが提供されている。回転する入力部材と2つの出力部材を接続し、2つの出力部材の各々の位相角が入力部材と相対変位して独立して変化させることを可能にするツインフェイザーであって、上記ツインフェイザーは、前の段落で記載したスプールバルブを備える。
【0019】
また、本発明では、前の段落に記載のツインフェイザーを備える、内燃機関用バルブ機構が提供される。
【0020】
本発明において、スプールバルブは、フェイザーの制御ポートの2つの群(供給ライン及び戻りライン)の油圧接続を制御するために用いる。バルブスプールは、2つの自由度(即ち、軸方向移動及び回転)を有する。各々の自由度は、フェイザーにおける2つの出力部材のそれぞれを制御するのに役立つ。2つの自由度は、互いに完全独立している。故に、スプールは、如何なる軸方向の位置においても回転することができ、如何なる角位置においても軸方向に移動できる。これによって、単一バルブスプールの位置及び方向が、互いに独立して、フェイザーの両出力部材の位相角をセットすることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、使用可能な付随ボアは、スプールを収容するものであり、フェイザー内に回転可能に収容されるスリーブによって規定され、スプールバルブの構成部品(即ち、スプール及び周囲のスリーブ)は、フェイザーの残りの部分が回転しつつも互いに相対変位しての移動及び定位置での保持が可能になる。
【0022】
本発明の他の実施態様では、使用可能な付随ボアは、スプールを収容するものであり、フェイザーによって規定され、中間スリーブを有さない。この場合、スプールは、使用中、フェイザーと共に回転し、フェイザーを回転させたまま、アクチュエーター(又は、2つの別々のアクチュエーター)を用いてフェイザーの本体と相対変位してその軸及び角位置を変化させる。
【0023】
図面の簡単な説明一例として、添付の図面を参照し、本発明を更にここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、ツインフェイザーに関するスプールバルブアセンブリの分解図である。
図2図2は、図1に示されるスプールバルブアセンブリの外側スリーブの斜視図である。
図3図3は、図1に示されるスプールバルブアセンブリのバルブスプールの斜視図である。
図4図4は、組み立てた状態の図1から3のスプールバルブアセンブリを通る断面図であり、バルブ外側スリーブと相対変位してバルブスプールの軸方向変位の結果を示している。
図5図5は、組み立てた状態の図1から3のスプールバルブアセンブリを通る断面図であり、バルブ外側スリーブと相対変位してバルブスプールの軸方向変位の結果を示している。
図6図6は、組み立てた状態の図1から3のスプールバルブアセンブリを通る断面図であり、バルブ外側スリーブと相対変位してバルブスプールの軸方向変位の結果を示している。
図7図7a及び7bは、外側スリーブと相対変位するバルブスプールの回転の結果を示している断面図である。
図8図8a及び8bは、外側スリーブと相対変位するバルブスプールの回転の結果を示している断面図である。
図9図9は、スプールバルブアセンブリの基本設計に対してなすことができる種々の変更形態を示す。
図10図10は、スプールバルブアセンブリの基本設計に対してなすことができる種々の変更形態を示す。
図11図11は、スプールバルブアセンブリの基本設計に対してなすことができる種々の変更形態を示す。
図12図12は、スプールバルブアセンブリの基本設計に対してなすことができる種々の変更形態を示す。
図13図13は、バルブスプールを回転させ、軸方向に移動させるための単一アクチュエーター及びスプールバルブアセンブリとフィットしたツインフェイザーを通る断面図である。
図14図14は、ツインフェイザーの変形実施形態を通る断面であり、別々のアクチュエーターを用いて出力部材の位相角を制御する。第1アクチュエーターは、軸方向にバルブスプールを移動させるのに役立つ一方で、第2はそれを回転させるのに役立つ。
図15図15は、第1アクチュエーターが除かれた図14の実施形態の斜視図である。
図16図16は、図14に示されるツインフェイザーの斜視図である。
図17図17は、図15、16の第2アクチュエーターとスプールバルブアセンブリとの接続を詳細に示している。
図18図18は、本発明の更なる種々の実施形態を通る更な断面図である。
図19図19は、本発明の更なる種々の実施形態を通る更な断面図である。
図20図20は、本発明の更なる種々の実施形態を通る更な断面図である。
図21図21は、図20のツインフェイザーの斜視図である。
図22図22は、図20及び21のツインフェイザーの断面斜視図である。
図23図23は、軸方向に並んでいるツインフェイザーでの使用に適した他のスプールバルブアセンブリの分解図である。
図24図24は、フィットした図23のスプールバルブアセンブリを有する軸方向に積み重ねたツインフェイザーを通る断面を示す図面である。
図25図25は、トルク作動フェイザーでの使用に適したスプールバルブアセンブリの分解図である。
図26図26は、図25のスプールバルブアセンブリを使用するツイントルク作動フェイザー回路を示す概略図である。
図27図27は、トルク作動フェイザーでの使用に適したスプールバルブアセンブリの変形実施形態の断面を示す図面である。
図28図28は、トルク作動フェイザーでの使用に適したスプールバルブアセンブリの他の変形実施形態の断面を示す図面である。
図29図29は、図28のスプールバルブアセンブリを使用するツイントルク作動フェイザー回路を示す概略図である。
【0025】
実施形態の詳細な説明
図1の通り、本発明のスプールバルブ10は、油圧ツインフェイザーを制御するためのものであり、外側スリーブ12、バルブスプール14及びフィードスリーブ16を備える。外側スリーブ12及びバルブスプール14は、図2及び3においては拡大表示されている。
【0026】
外側スリーブ12は、その外面に4つの環状溝121、122、123及び124を有する管である。後で詳しく述べるが、各々の溝は、使用中、油圧ツインフェイザーにある4つの制御ラインのそれぞれと連通する。バルブスプール14によってポート125、126、127及び128がカバーされていない場合、油圧油は、溝121、122、123及び124の各々に対応するポートによって溝と外側スリーブ12の内側との間を流れることができる。
【0027】
バルブスプール14は、外側スリーブ12の内側にフィットするシリンダから形成される。このシリンダは、スリーブ12内にて軸方向にスライドして動くが、スプール14によってカバーされている時はポート125から128のいずれからも流体が流れ出ないようにフィットする。スプールは、その開放端にフィードスリーブ16を収容する中空盲穴141を有する。このシリンダは、その盲端において、外側スリーブ12と相対変位するバルブスプール14の位置をセットするために、アクチュエーターによって作用可能な突起148を有する。
【0028】
バルブスプール14の外面には、シリンダの端から端までの全長にわたって延在する3本の溝142a、142b及び142cが形成されている。これらの溝(包括参照番号142によって指されるもの)は、シリンダ外面周りで円周方向に均一に位置がズレて配置されている。スプール14の外面には、シリンダ長の一部分だけに延在する3つの更なる軸方向溝144が形成されている(図3には、溝144a及び144bの2つだけが示されている)。溝144は、同様に、シリンダ周りに均一に分配され、溝142と交互に配置されている。溝144の各々における開口部146によって、油圧油は盲穴141から溝144内に流入することができる。
【0029】
組立てられたバルブでは、図4から6に示すように、フィードスリーブ16は、加圧下の油圧油がスプールバルブアセンブリ10に入る際に通るものであり、スプール14の開放端においてスライド可能にフィットし、サークリップ162によって外側スリーブ12に保持される。スプール14の両端における環状チャンバー181及び182は、溝142を通じて互い常に連通している。そして、流体は、スプールバルブアセンブリからチャンバー182を通じて流出し、エンジンフロントカバーへ流出することができる。図4から6に示すように、流体は、チャンバー182からフロントエンジンカバーへ流出することができるが、これとは別に、カムシャフトに戻りラインを設けて環状チャンバー181と連通させることも可能である。
【0030】
使用中、2つの出力部材の一番目を制御するツインフェイザーの制御ラインは、溝121及び124とだけ連通する一方で、第二出力部材を制御する更に2つのラインは溝122及び123と連通する。
【0031】
フェイザーの第一出力部材の制御は、図4、5及び6に示されるように、バルブスプール14の軸方向変位によって成し遂げられる。図4は、ポート125及び128がスプール14の外面によってカバーされていることを示している。この位置においては、第一出力部材と関連する何れの作動チャンバーからも油圧油を供給及び排出することができない。従って、その位相角は、出力部材のそれと相対して油圧的に固定されている。
【0032】
図5で示す通り、バルブスプール14が右方向へ移動すると、加圧下の溝144にポート128が接続し、油圧油用の戻り経路にポート125が接続することになる。特に、戻り流体は、チャンバー181に入り、それがエンジンのフロントカバーへ流出することができるチャンバー182へ溝142を通じて流れる。これとは逆に、図6に示すように、スプール14が左側へ移動すると、加圧下の溝144にポート125が接続し、チャンバー182を介して油排出経路にポート128が接続する。
【0033】
図7a及び図8aは、外側スリーブ12の溝122におけるポート126を通過する面を通る断面図である。一方、図7b及び図8bは、溝123のポート127を通過する面を通る断面図である。これらのポート126及び127は、フェイザーの第二出力部材に関する制御ラインに接続している。これらの図は、外側スリーブ12と相対変位するバルブスプール14の回転の結果を示している。加圧下の3つの短溝144は、実線による影を付して示されており、供給溝として機能する。一方、戻り溝142は、影なしで示されており、排出経路として設けられている。バルブスプール14のある角位置においては、ポート126が供給チャネル144に接続してポート127が排出チャネル142に接続すると第二出力部材の位相角がある程度まで変化することを、図7a及び7bから見てとることができる。これとは反対に、図8a及び8bに示すように、バルブスプール14の回転は、ポート126を排出チャネル142に接続させ、ポート127を供給チャネル144に接続させることができる。これによって、位相角が反対方向に変化する。
【0034】
図9は、シール200をスリーブ12の外面に配置できることを示している。これは、フェイザーのステーター30が回転しつつもスリーブ12が定位置に保持されように複数の制御ポート間での互いの隔離を確実にするためである。
【0035】
油圧油の圧力が偏った力としてバルブスプールに加わるのを防ぐために、図10に示すように、開口部317を通じて短溝144だけと連通する盲穴を備えるフィードスリーブ316を形成することができる。これによって、バルブスプール14の位置に影響を及ぼす供給圧力の変化が防止される。
【0036】
変更形態である図11において、供給管416には、逆止弁417が形成されている。これによって、フェイザーの作動チャンバーは、供給圧力が低下しても加圧状態を維持し、供給圧力を超えるような瞬間的な高圧がフェイザー中に起こることを防止できる。
【0037】
変更形態である図12においては、スプリング18を1つ用いて、トルクをバルブスプール14に加えるトーションスプリングとして機能させ、且つ、図から見て左方向にバルブスプール14を押す圧縮ばねとして機能させている。1又は複数のスプリングを使用する代わりに1つのスプリングで、バルブスプールを回転可能に付勢するために、フェイザーの回転と抵抗に依存できることは注目すべきことでもある。
【0038】
図13は、組立てられたカムシャフト40、ツイン-ベーンフェイザー30、スプールバルブアセンブリ10及びアクチュエーターアセンブリ50を通る断面図を示している。組立てられたカムシャフト40及びツイン-ベーンフェイザー30の設計は、本願明細書において言及されないだろう。理由は、それらの構造が本文脈において重大ではないためである。更に、ツイン-ベーンフェイザーの設計は、US6,725,817及びWO2006/067519において文書で十分に解説されており、それらから実例を見つけられるだろう。
【0039】
同様に、組立てられた同軸カムシャフト(時には、シングルカムフェイザー(SCP)カムシャフトとして称されるもの)の設計は、いくつかの先行特許文献に記載されている。かかる組立てられたカムシャフトは、第1セットのカムローブと共にしっかりと回転する外管を備える。この外管において、外管と相対変位して回転することができる第2セットのカムローブも搭載されている。外管内で回転可能に搭載される内側シャフトは、外管の弓形溝を通過するピンによって、第2セットのカムと共に回転するように接続している。内側シャフト及び外管は、クランクシャフトによって回転する入力部材のフェイザーにおける2つの出力部材に接続している。このようにして、フェイザーは、各セットのカムローブの位相角を、エンジンクランクシャフトと相対変位して独立して調節することができる。
【0040】
スプールバルブアセンブリ10は、カムシャフト軸と同軸である。加圧油は、フロントカムベアリングにある溝24を介してスプールアセンブリに供給され、フェイザーのローターにおける穿孔25を経てスプール内部に供給される。
【0041】
フェイザーにおける2対の油供給ライン(これらが、それぞれの出力部材を制御する)を独立して制御するために、アクチュエーター50を用いてスリーブと相対変位してスプールを軸方向に移動及び回転させる。かかるアクチュエーターは、US5,627,418にて説明されている通り、結合型リニアロータリーアクチュエーターのタイプとすることができる。
【0042】
この実施例におけるスプールアセンブリ10は定位置のままである一方で、それと相対変位してカムシャフト40及びフェイザー30は回転する。スプールアセンブリ10は、封止目的のためにカムノーズにおける閉鎖ランニングクリアランスボアに収容される。この閉鎖ランニングクリアランスとフェイザーから飛び出す可能性との理由から、アクチュエーター50を、上記システムが過度に拘束されないようにフレキシブルマウント52上に搭載してもよいことは予想されることである。
【0043】
図14から18のフェイザー、スプールバルブアセンブリ及びカムシャフトの内部構造は、本質的には図13のものと同じである。本発明におけるこの実施形態での相違点は、バルブスプール14の回転及び軸方向移動のために、別々のアクチュエーター250及び260を使用していることである。軸方向への移動用アクチュエーター250は、電気的、機械的、油圧的又は空気圧によって作動することができ、戻りスプリング18の作用に逆らってバルブスプール14の末端を押すのに役立つ。
【0044】
スリーブ12と相対変位するバルブスプール14の回転は、第2リニアアクチュエーター260によって成し遂げられる。これは、図15から17により明確に示されている。アクチュエーター260の末端は、バルブスプール14を通じてスライドする長形スロット264を有するプレート262を備えている。プレート262から突出しているピン266は、スリーブ12のスロット268(図2を参照)に係合し、アクチュエーター260が直線方向に動くにつれて、バルブスプール14と相対変位してスリーブが回転する。更に、カムシャフトの回転を利用して、その移動方向へ外側スリーブ12が回転するように付勢させることができる。
【0045】
図18には、トーションスプリング39であってその移動方向へスプールバルブが回転するように付勢させるものが、スプール14とスリーブ12との間に備わる一実施形態が示されている。これは、図12の変更形態に対する変形例であって、1つのスプリングが、軸方向と回転方向の両方にバルブスプール14を付勢するために用いられている。
【0046】
図19の実施形態において、外側スリーブ712は、単一操作にてエンジンに取付けられる一体成型モジュールとしてアクチュエーターアセンブリ750に組み込まれている。かかるモジュールは、フェイザー及びカムシャフトのノーズにスライドして入るものであり、フロントカバーがエンジンに搭載されるとエンジンのフロントカバー内部への永久的な取り付が可能になる。
【0047】
図20から22の実施形態は、外側スリーブが省略されるという点で先に述べたものと異なるものであり、バルブスプール814を収容するボアはフェイザー830のローターによって規定される。二軸アクチュエーターがカムノーズと相対変位して軸方向にスプールを動かし、それを回転させることができる機構842が設けられる。これによって更に得られる利点は、スプールアセンブリがカムフェイザー内に組み込まれるという点である。
【0048】
機構842は、外枠843を備える。外枠は、カムノーズと相対変位するスライドだけが可能である。この枠は螺旋状のスロットカット844を有しており、ピン845はそこを通じて突出している。そして、この枠は、改変された内側スプール814と係合する。
【0049】
外枠843がスプールと相対変位して軸方向に動くと、ピン845はスロット844に沿って回転しその結果、スプール814が回転する。枠及びスプールが同時に軸方向へ動くと、スプールは軸方向へ動くだけで、回転はしない。このように二軸アクチュエーターを用いると、カムノーズと相対変位するスプールの軸及び回転位置を制御することができる。
【0050】
外側スリーブと相対変位して内側スプールを動かすために、他のタイプの線形/回転アクチュエーターを用いる(例:例えば、ステップモータ、空気シリンダ又はソレノイドアクチュエーターを用いる)ことができることはいうまでもない。
【0051】
スプールバルブは、他のタイプのツインフェイザーでの使用にも適している。例えば、軸方向に並んだツインフェイザーに関しては、互いに隣接する複数の出力対を有するスプールの使用は有利である。
【0052】
図23は、軸方向に並んだツインフェイザーでの使用に適したスプールバルブアセンブリ910の変形例に関する分解図を示している。スプールバルブアセンブリ910は、外側スリーブ912、バルブスプール914及びフィードスリーブ916を含む点で、(図1から3に関して記載されている)バルブアセンブリ10と類似している。
【0053】
外側スリーブ912は、その外面に4つの環状溝921、922、923及び924を有する管である。ポートがバルブスプール914によってカバーされていない場合、ポート925、926、927及び928によって、油圧油は溝(921から924)と外側スリーブ912の内部との間を流れることができる。
【0054】
バルブスプール914は、外側スリーブ912の内側にフィットするシリンダから形成される。このシリンダは、スリーブ912内にて軸方向にスライドして動くが、スプール914によってカバーされている時はポート925から928のいずれからも流体が流れでないようにフィットする。スプールは、その開放端を通じてフィードスリーブ916を収容する中空盲穴1を有する。スプール914は、外側スリーブ912と相対変位するスプール914の位置をセットするために、アクチュエーターによって作用可能な突起948を有する。
【0055】
バルブスプール914の外面には、スプールの軸線に平行する方向において、スプールの端から端までの全長にわたって延在する3本の溝942a、942b及び942cが形成されている。これらの溝(包括参照番号942によって指されるもの)は、スプール914の外面周りで円周方向に均一に離間配置されている。
【0056】
ここまでにおいて、スプール914は、図3に記載されているスプール14と類似している。しかしながら、スプール914は、その外面に形成された溝の構成が異なっている。
【0057】
スプール914の外面には、スプール914長の一部分だけに延在する3つの溝944が形成されている(図23には、溝944a及び944bの2つのだけを示すことができる)。複数の溝944は、それらが、隣接する溝942と溝942との間に配置される構成として、スプール914の外面周りで円周方向に離間配置され、スプール914の軸線と平行する方向に延在する。油圧油は、溝944の各々における開口部946によって溝944とスプールの内側ボアとの間を流れることができる。
【0058】
スプール914の外面には、3つのスロット950も形成されている(2つのスロット950a及び950bだけが図23に示すことができる)。スロット950は、隣接する溝942と溝942との間に配置され且つスプール914の軸線方向に平行する溝944に対応するように整列した構成として、スプール914の外面周りで円周方向に離間配置されている。スロット950の各々における開口部952によって、油圧油はスロット950とスプールの内側ボアとの間を流れることができる。
【0059】
スプール914の外面には、その円周周りに延在し且つ溝944とスロット950との間にそれらとは独立して配置される径方向溝954も形成されている。径方向溝954は、それと相互に接続するように長軸方向に延在する溝942を通過する。
【0060】
フィードスリーブ916は、フランジ端部956を有する中空管である。フィードスリーブ916の外面は、その円周周りに延在する2つの環状溝958a及び958bを有する。各環状溝(958a及び958b)は、それぞれ、複数の開口部(960a及び960b)を有する。これらの開口部は、各溝(958a及び958b)の円周周り全体に及びつつ離間配置されている。
【0061】
組立てられたバルブ910において、フィードスリーブ916は、加圧下の油圧油がスプールバルブアセンブリ910に入る際に通過するものであって、スプール914の開放端内でスライド可能にフィットするものである。
【0062】
使用中、スプール914の回転は、ツインフェイザーの第一出力を制御するために、ポート925及び926への流体の流れを制御し且つそこからの流体の流れを制御する。そして、スプール914の軸方向移動は、ツインフェイザーの第二出力を制御するためにポート927及び928への流体の流れを制御し且つそこからの流体の流れを制御する。径方向溝954は、排出チャネルとして機能する溝942と相互に接続している。従って、例えば、スプールがフィードスリーブ916のフランジ末端956の方へ軸方向に移動すると、流体を外側スリーブ912の環状溝923からスプール914の径方向溝954に排出させることができる。
【0063】
図24は、軸方向に並んだ2つの出力ローター(964及び966)を有する、軸方向に並んだツインフェイザー962を通る断面図を示す。組立てられたバルブ910は、カムノーズ968中にフィットしている。図示の位置において、ポートは、関連するフィード及び戻りチャネルが上記並んだローター(964及び966)と流体連通する位置となるように配置されている。
【0064】
バルブアセンブリは、他のタイプのフェイザー(例えば、トルク作動フェイザー)での使用にも適している。トルク作動フェイザーは、前述の圧力作動フェイザーと比較して種々の流体回路を必要とするため、種々のスプールが必要となる。
【0065】
図25は、外側スリーブ1012及びバルブスプール1014を有するトルク作動スプールバルブアセンブリ1010の分解図を示す。
【0066】
外側スリーブ1012は、その外面に6つの環状溝(1070、1071、1072、1073、1074及び1075)を有する管である。使用中、各溝は、トルク作動フェイザーの6つの流体制御チャネルのそれぞれと連通する。ポート1083、1084、1085、1086、1087及び1088がバルブスプール1014によってカバーされていない場合、流体は、溝1070、1071、1072、1073、1074及び1075のそれぞれにおけるポートによって溝とスリーブ1012の内部との間を流れることができる。
【0067】
バルブスプール1014は、スリーブ1012のボア内にフィットするシリンダから形成される。このスプール1014は、スリーブ1012内にて軸方向にスライドして動くが、スプール1014によってカバーされている時はポート(1083から1088)のいずれからも流体が流れ出ないようにフィットする。
【0068】
スプール1014は、外側スリーブ1012と相対変位するスプール1014の位置をセットするために、アクチュエーターによって作用可能な末端突起1048を有する。スプール1014の外面には、その軸線に平行する方向において、スプール1014長の一部分にわたって延在する軸方向溝1044が形成されている。
【0069】
スプールの外面には、スプール1014の外面の円周周り全体に延在する環状溝1054も形成されている。
【0070】
使用中、スプールバルブが組み立てられた状態において、軸方向溝1044は、溝1071と環状スリーブ溝1070及び1072との間を、それぞれ、ポート1083から1085を経て選択的に流体連通するようにスプール1014の外面に適切に配置される。選択的に流体連通するためのポート1083から1085の開閉は、スリーブ1012と相対変位したスプール1014の回転運動によって実施される。
【0071】
使用中、環状溝1054は、溝1074と環状スリーブ溝1073及び1075との間を、それぞれ、ポート1086から1088を経て選択的に流体連通するようにスプール1014の外面に適切に配置される。選択的に流体連通するためのポート1086から1088の開閉は、スリーブ1012と相対変位したスプール1014の軸方向の移動によって実施される。
【0072】
図26は、上記の通り、スプール1010を用いるツイントルク作動フェイザー回路1090を示している概略図である。入力部材1091は、空隙1092及び1093を有し、それぞれ、ベーン1094及び1095が配置されている。
【0073】
使用中、回路1090は、ベーン1094及び1095の角度を制御するために、スプールバルブアセンブリ1010と空隙1092及び1093との間で選択的に流体連通する。回路1090は、スプールバルブアセンブリ1010の流体経路1070'、1071'、1072'、1073'、1074'及び1075'(それぞれ、ポート1070から1075と関連するもの)を通じて流体連通する。
【0074】
油圧によって駆動するベーン型フェイザーと異なり、トルク作動フェイザーは、流体を追加するための加圧供給だけを必要とする。追加の流体は、流体供給源1097から一方向弁1096a及び1096bを介してシステムに入る。
【0075】
ベーン1094及び1095の角度は、ポート1083から1088(それぞれ、環状溝1070から1075と関連するもの)の開閉を選択的に組合せることによって制御される。これによって、流体は、一方弁1096c、d、e及びfを通じて選択的に流れることができる。その結果、ベーンは、カム駆動トルクの作動下で、それらが必要とする位置へ移動することができる。
【0076】
スリーブ1012と相対変位するスプール1014の回転が、環状溝1071から溝1070又は溝1072への流体連通の提供を制御し、その結果、回路1090の関連部品を通じてベーン1094の角度を制御する。
【0077】
スリーブ1012と相対変位するスプール1014の軸方向の動作は、環状溝1074から溝1073又は溝1075への流体連通の提供を制御し、その結果、回路1090の関連部品を通じてベーン1095の角度を制御する。
【0078】
図27は、トルク作動フェイザーと共に使用するスプールバルブアセンブリの変形実施形態の図であり、追加フィード1097がバルブスプールの内部に存在する。図27を参照すると、スプールバルブアセンブリ1110は、外側スリーブ1012及び内側スプール1114を備える。スリーブ1012は、上述した図25のものと同じである。内側スプール1114は、軸方向溝1144における開口部1147と径方向溝1154における開口部1149を有する以外は、図25に記載の1014と類似する。
【0079】
スプールバルブアセンブリ1110は、内側流体フィードスリーブ1198を更に備え、このスリーブは、組立てられたバルブにおけるスプール1114の中空ボア内でフィットするシリンダから形成される。流体フィードスリーブ1198は、2セットのポート1199a及び1199bを有する中空盲穴も有する。各セットのポート1199a及び1199bは、流体フィードスリーブ1198の円周周りに及んでいる。各ポートは、流体フィードスリーブ1198の壁を通じて半径方向に延在する。
【0080】
ポート1199a及び1199bのセットは、必要に応じて、流体フィードスリーブ1198の中空ボアとスプール1114の環状溝1154及び溝1144との間を、それぞれ流体連通する。
【0081】
また、2つの一方向弁1096a及び1096bは、流体フィードスリーブ1198の中空ボア内においてフィットする。第1一方向弁1096aは、閉鎖されたボアの開放端側にフィットし、流体をボア内へ選択的に入れる。そして、第2一方向弁1096bは、2セットのポート1199aと1199bとの間にフィットし、その結果、流体を第2セットのポート1199b内へ選択的に入れる。
【0082】
使用中、追加の流体は、供給源から流体フィードスリーブ1198内へ一方弁1096a及び1096bを通じて供給される。そして、追加の流体は、ポート1199a及び1199bのセットを経て、それぞれ、環状溝1074及び1071へ供給される。
【0083】
図28は、ツイントルク作動フェイザーでの使用に適したスプールバルブアセンブリ1210の他の変形実施形態を示す。図27に記載のスプールバルブアセンブリ1110と比較して、変形例のスプールバルブアセンブリ1210は、4つの環状溝1270、1271、1272及び1723のみを変形構成として有する外側スリーブ1212を有する。
【0084】
外側スリーブ1212と相対変位するスプール1214の回転運動は、ポート1199b及び軸方向溝1244を経て、内側流体フィードスリーブ1198の中空ボアから環状溝1270又は環状溝1271への流体供給を制御する。
【0085】
外側スリーブ1212と相対変位するスプール1214の軸方向への移動は、ポート1199a、開口部1249及び環状溝1254を経て、内側流体フィードスリーブ1198の中空ボアから環状溝1272又は環状溝1273への流体供給を制御する。
【0086】
図29は、上述した図28の通り、バルブスプールアセンブリ1210を用いるツイントルク作動フェイザー回路1290を示す概略図である。
【0087】
図28及び29の両方を参照すると、入力部材1091は、空隙1092及び1093を有し、それぞれにベーン1094及び1095が配置されている。
【0088】
使用中、回路1290は、ベーン1094及び1095の角度を制御するために、スプールバルブアセンブリ1210と空隙1092及び1093との間で選択的に流体連通する。回路1290は、スプールバルブアセンブリ1210の流体経路1270'、1271'、1272'及び1273'(それぞれ、ポート1270から1273と関連するもの)を通じて流体連通する。
【0089】
流体の追加供給は、流体供給源1097から一方弁1096を経て、内側流体フィードスリーブ1198の中空ボア内へ供給される。
【0090】
ベーン1094及び1095の角度は、ポート1199b及び1199a、開口部1249、軸方向溝1044及び環状溝1054を介する流体経路の開閉と、環状溝1270及び1271並びに1272及び1273におけるそれぞれのポートと相対変位するそれらの位置とを、選択的に組み合わせることによって制御される。この経路は、前述したように、外側スリーブと相対変位するスプール1214の軸移動又は回転運動によって決定される。
【0091】
この実施形態の利点は、環状溝がより少ない(即ち、4つ)ということである。従って、スプールバルブアセンブリ1210は、先に述べたスプールバルブアセンブリ1110よりも長さが著しく短い(図27を参照)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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図11
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