特許第6147807号(P6147807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147807
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】低温硬化性ポリウレットジオン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/79 20060101AFI20170607BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20170607BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20170607BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170607BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   C08G18/79 080
   C08G18/18
   C09D175/04
   C09D7/12
   B05D7/24 302T
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-115949(P2015-115949)
(22)【出願日】2015年6月8日
(62)【分割の表示】特願2013-501241(P2013-501241)の分割
【原出願日】2011年3月15日
(65)【公開番号】特開2016-6177(P2016-6177A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2015年7月2日
(31)【優先権主張番号】12/727,295
(32)【優先日】2010年3月19日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503349707
【氏名又は名称】バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(73)【特許権者】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】マイロン・ダブリュー・シェイファー
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥラー・イーキン
(72)【発明者】
【氏名】キャロル・エル・キニー
(72)【発明者】
【氏名】ドロタ・グレシュタ−フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ティ・マーツ
(72)【発明者】
【氏名】デン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】デボラ・イー・ハイエス
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ジェイ・トーマス
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−132754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/79
B05D 7/24
C08G 18/18
C09D 7/12
C09D 175/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリイソシアネートから製造されたポリウレットジオン、
b)ポリオール、および
c)アミン触媒
を含み、前記ポリウレットジオンは、5〜45重量%のウレットジオン基、10〜55重量%のウレタン基および2重量%未満の遊離イソシアネート基を含有し、重量%は、ウレットジオン基、ウレタン基およびイソシアネート基を含有する樹脂の全重量を基準とし、前記触媒は、基−N=C−N−を含有し、非プロトン性であり、20を越えるpKaを有し、および液体被覆組成物への添加により、被覆組成物の液体から固体への相変化を25℃および1atmにて1週間以内に生じさせる、20〜70℃にて硬化する液体被覆組成物。
【請求項2】
a)は、10〜90重量%の量で存在し、および
b)は、10〜90重量%の量で存在し、
重量%は、a)およびb)の全重量を基準とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アミン触媒は、0.05〜5重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アミン触媒は、式I:
【化10】
〔式中、Rは、直鎖または分枝アルキルを表すか、またはRと組み合わせて、
【化11】
および
【化12】
からなる群から選択される連結セグメントであり、
は、H、直鎖または分枝アルキル、ジメチルアミンを表すか、またはRと組み合わせて、
【化13】
および
【化14】
からなる群から選択される連結セグメントであり、
は、Na、直鎖または分枝アルキルを表すか、またはRと組み合わせて、
【化15】
および
【化16】
からなる群から選択される連結セグメントであり、
は、直鎖または分枝アルキルを表し、またはRと組み合わせて、
【化17】
および
【化18】
からなる群から選択される連結セグメントであり、および
およびRは共に、N−ヘテロ環式環を形成してよく、およびRおよびRは共に、N−ヘテロ環式環を形成してよい〕
で示される構造を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アミン触媒は、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデス−7エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デス−5−エン、1,4,5,6−テトラヒドロ−1,2−ジメチルピリミジン、1,2,4−トリアゾールのナトリウム誘導体および2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリウレットジオンは、ウレットジオン基含有ポリイソシアネートと、少なくとも1つのポリオール、任意にイソシアネートのためのブロック剤との反応により製造される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ポリイソシアネートは、4〜20個の炭素原子を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ポリイソシアネートは、(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ポリイソシアネートは、ジイソシアネートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ポリイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ポリウレットジオンは、イソシアヌレート基、ビウレット基およびイミノオキサジアジンジオン基からなる1以上の基を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ポリオールは、10〜180のヒドロキシル価を有するポリマーポリオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリルポリマーおよびポリカーボネートポリオールから選択される、請求項12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性ポリウレチジオン組成物、より具体的には、低温にて硬化するポリウ
レチジオン−ポリオール組成物に関する。本発明はまた、低温硬化プロセスによるポリウ
レチジオン−ポリオール組成物を用いる被覆法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアネートは、ポリマーポリオールのような活性水素含有ポリマーのための周
知の低温硬化剤である。しかしながら、ポリイソシアネートを取り扱う場合、特にポリイ
ソシアネートを含有する硬化性組成物を取り扱う場合に特別の設備を用いなければならな
い。取り扱いの問題は、ポリイソシアネートを低分子量アルコールのようなブロック剤で
ブロックしてウレタンを形成することにより対処することができる。しかしながら、高い
硬化温度を硬化反応に用いなければならない。また、ポリイソシアネートは、熱硬化によ
り遊離イソシアネートを解離することが知られているウレットジオンを形成するために二
量化し得る。しかしながら、また、高い硬化温度が必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、
a)ポリイソシアネートから製造されたポリウレットジオン
b)ポリオール、および
c)アミン触媒
を含み、触媒が、基−N=C−N−を含有し、非プロトン性であり、20を越えるpKa
を有し、および液体被覆組成物への添加により、被覆組成物の液体から固体への相変化を
25℃および1atmにて1週間以内に生じさせる低温(20〜70℃)硬化性液体組成
物を提供する。
【0004】
本発明はまた、
a)被覆組成物を基材上へ堆積する工程
b)被覆組成物を基材上で合体させて被覆物を形成する工程、
c)被覆物を20〜70℃の温度へ暴露して該被覆物を架橋反応により硬化する工程を
含み、該被覆組成物は、
i ポリイソシアネートから製造されたポリウレットジオン
ii ポリオール、および
iii アミン触媒
を含み、触媒が、基−N=C−N−を含有し、非プロトン性であり、20を越えるpKa
を有し、および液体被覆組成物への添加により、被覆組成物の液体から固体への相変化を
25℃および1atmにて1週間以内に生じさせる、基材上に堆積した液体組成物の硬化
方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明の目的について、本発明は、特記する場合を除き、種々の選択的な変
形および工程順序が想定され得る。実施例中、または特記する場合を除き、本明細書およ
び特許請求の範囲に用いられる成分の量を表す全ての数字は、全ての場合において用語「
約」によって修飾されると理解される。従って、特記のない限り、以下の明細書および添
付の特許請求の範囲に記載に示された数値パラメーターは、本開示により得られる所望の
特性に応じて変化し得る。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようと
する試みではなく、各数値パラメーターは少なくとも、多くの公表有効数字を考慮して、
および通常、四捨五入法を適用することにより解釈されるべきである。本発明の広範囲に
記載の数値範囲およびパラメーターは、近似値であるにも拘わらず、特定の実施例に記載
の数値は、可能な限り正確に報告する。しかしながら、任意の数値は、その各試験測定に
見出される標準法から必然的に生じる誤りを本質的に含む。
【0006】
また、本明細書に記載の任意の数値範囲は、それに包含される全ての副範囲を含むもの
と理解されるべきである。例えば「1〜10」の範囲は、記載最小値の1および記載最大
値の10の間(これらの値を含む)で、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大
値を有する、全ての副範囲を含むものとする。
【0007】
本出願では、特記のない限り、単数形の使用には複数形が含まれ、複数形には単数形が
包含される。さらに、本出願では、「および/または」は特定の例においては明確に使用
され得るが、特記のない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。
【0008】
用語「ポリマー」はまた、コポリマーおよびオリゴマーを含むことが意図される。
【0009】
触媒の塩基度は、pKa単位により表される。pKaは、アセトニトリル溶媒中で決定
する。触媒を含む二つ(2)の塩基を、決定に用いる。pKa値における差は、Beer
の法則により平衡分光光度的に監視することにより決定する。このような方法の例は、t
he Journal of Organic Chemistry 2005、第70
巻、第1019〜1028頁に記載されている。
【0010】
アクリルおよびメタクリルは、(メタ)アクリルとして示される。
【0011】
脂肪族および脂環式は、(シクロ)脂肪族として記載される。
【0012】
本発明のウレットジオンは、典型的には、先行技術において既知の方法によりポリイソ
シアネートの触媒二量化により得られる。
【0013】
適当なポリイソシアネートの例としては、ジイソシアネート、例えば直鎖脂肪族ポリイ
ソシアネート、脂環式ポリイソシアネートおよびアルカリルポリイソシアネート等が挙げ
られる。特定の実施例としては、1,4−ジイソシアナトブタン、4,4’−ジイソシア
ナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1
,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,3−および1,4−ビスイソシアナトメ
チルシクロヘキサン、1,3−および1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)お
よびその混合物が挙げられる。
【0014】
二量化触媒の例は、トリアルキルホスフィン、アミノホスフィンおよびアミノピラジン
、例えばジメチルアミノピリジンおよびトリス(ジメチルアミノ)ホスフィン等、ならび
に任意の他の当業者に既知の二量化触媒である。
【0015】
二量化反応の結果は、当業者に既知の方法において、用いる触媒、プロセス条件、およ
び用いるポリイソシアネートに依存する。特に、1分子当たり平均1個を越えるウレット
ジオン基を含有する生成物を形成することが可能であり、ウレットジオン基の数は、分布
の影響を受ける。
【0016】
好ましいウレットジオン化合物は、HDIおよび/またはIPDIの触媒による二量化
から製造する。
【0017】
ウレットジオンは、必要に応じて、ウレットジオン基に加えてイソシアヌレート基、ビ
ウレット基および/またはイミノオキサジアジンジオン基を含有し得る。ウレットジオン
は、NCO官能性化合物であり、典型的には、ウレットジオンを延長してポリウレットジ
オンプレポリマーを形成するために、更なる反応、例えば遊離NCO基のブロック、また
はNCO基と2以上の官能価を有するNCO反応性化合物と更に反応させる。これは、よ
り高分子量のウレットジオン基を含有する化合物を与え、これは、選択割合に応じてNC
O基を含有してもよく、NCO基を含有しなくてもよく、またはブロックされたイソシア
ネート基を含有してもよい。
【0018】
例えば適当なブロック剤は、アルコール、ラクタム、オキシム、マロネート、アルキル
アセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン
、例えばブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチ
ル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、ジエチルマロネート、エチルアセトアセ
テート、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、カプロラクタム、N−ter
t−ブチルベンジルアミンおよびシクロペンタノンであり、これらのブロック剤の混合物
である。
【0019】
2以上の官能価を有するNCO反応性化合物の例は、ポリオール、例えば以下に記載の
ポリオール等である。一実施態様では、NCO反応性化合物は、全ての遊離NCO基とウ
レットジオン中で反応させるのに十分な量で用いる。「遊離NCO基」とは、ウレットジ
オン環の一部として存在しない全てのNCO基を意味する。
【0020】
得られるポリウレタンは、典型的には、少なくとも2個、例えば2〜10個のウレット
ジオン基を含有する。より典型的には、ポリウレットジオンは、5〜45%ウレットジオ
ン基、10〜55%ウレタン基および2%未満イソシアネート基を含有する。パーセンテ
ージは、ウレットジオン基、ウレタン基および/またはイソシアネート基を含有する樹脂
の全重量に基づく重量パーセントである。
【0021】
本発明の実施に有用なポリオールは、低分子量物質または高分子量物質のいずれかであ
ってよく、一般に、ASTM指定E−222−67、方法Bにより決定される、約100
0および10の間、好ましくは約500および50の間の平均ヒドロキシル価を有する。
用語「ポリオール」は、1分子当たり平均2以上の第1級ヒドロキシル基を有する物質が
挙げられる。
【0022】
ポリオールは、低分子量ジオール、トリオールおよび高級アルコールおよびポリマーポ
リオール、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリ
オールおよびヒドロキシ含有(メタ)アクリルポリマー等が挙げられる。
【0023】
本発明に有用な低分子量ジオール、トリオールおよび高級アルコールは、先行技術にお
いて既知である。それらは大部分がモノマーであり、200以上、通常1500〜200
の範囲内のヒドロキシ価を有する。このような物質としては、脂肪族ポリオール、特に2
〜18個の炭素原子を含有するアルキレンポリオールが挙げられる。実施例としては、エ
チレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、脂環式ポリオ
ール、例えばシクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。トリオールおよび高級アルコ
ールの例としては、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールが挙げられる。
また、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールのようないずれかの結合を含
有するポリオールは有用である。
【0024】
極めて適当なポリマーポリオールは、10〜180のような200未満のヒドロキシル
価を有するポリマーポリオールである。ポリマーポリオールの例としては、ポリアルキレ
ンエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが挙げられ、ヒドロキシル含有ポリカプ
ロラクトン、ヒドロキシ含有(メタ)アクリルポリマー、ポリカーボネートポリオールお
よびポリウレタンポリマーを含む。
【0025】
ポリエーテルポリオールの例は、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オ
キシエチレン)グリコールおよびエチレングリコールとプロピレンオキシドおよびエチレ
ンオキシドの混合物との反応生成物である。
【0026】
また、ポリオール、例えばグリコール、例えばエチレングリコール、1,4−ブタング
リコール、1,6−ヘキサンジオール等または高級ポリオール、例えばトリメチロールプ
ロパン、ペンタエリトリトール等のオキシアルキル化から形成されたポリエーテルポリオ
ールは有用である。一の一般に使用されるオキシアルキル化法は、ポリオールをアルキレ
ンオキシド、例えばエチレンオキシドと酸性または塩基性触媒の存在下で反応させること
によるものである。
【0027】
ポリエステルポリオールは、本発明の実施において、ポリマーポリオール成分として用
いることもできる。ポリエステルポリオールは、有機ポリカルボン酸またはその無水物と
有機ポリオールとのポリエステル重縮合により製造することができる。通常、ポリカルボ
ン酸およびポリオールは、脂肪族または芳香族二塩基酸およびジオールである。
【0028】
ポリエステルの製造に通常用いるジオールは、アルキレングリコール、例えばエチレン
グリコールおよびブチレングリコール等、ネオペンチルグリコールおよび他のグリコール
、例えばシクロヘキサンジメタノール、カプロラクトンジオール(例えばカプロラクトン
およびエチレングリコール)、ポリエーテルグリコール、例えばポリ(オキシテトラメチ
レン)グリコール等が挙げられる。しかしながら、他の種々の型のジオールおよび記載の
高官能価のポリオールを用いることもできる。このような高級ポリオールとしては、例え
ばトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール等、並びに高
分子量ポリオール、例えば低分子量ポリオールをオキシアルキル化することにより製造さ
れた高分子量ポリオール等が挙げられる。このような高分子量ポリオールの例は、トリメ
チロールプロパン1モル当たり20モルのエチレンオキシドの反応生成物である。
【0029】
ポリエステルの酸成分は、モノマーカルボン酸または1分子当たり2〜18個の炭素原
子を有する無水物から主に構成される。酸の中でも、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、マレイン酸、グルタル酸、クロレンド酸、テトラクロロフタル酸および他の種々
の型のジカルボン酸が有用である。また、高級ポリカルボン酸、例えばトリメリット酸お
よびトリカルバリル酸等を用い得る(酸が上述の場合、無水物を形成するその酸の無水物
を、酸の代わりに用いることができる)。また、酸の低級アルキルエステル、例えばグル
タミン酸ジメチル等を用いることができる。
【0030】
多塩基酸およびポリオールから形成されたポリエステルポリオールに加えて、ポリカプ
ロラクトン型ポリエステルを用いることもできる。これらの生成物は、ε−カプロラクト
ンのような環式ラクトンと、上記のような第1級ヒドロキシルを有するポリオールとの反
応から形成される。このような生成物は、Hostettlerへの米国特許第3169
949に記載される。
【0031】
ポリエーテルおよびポリエステルポリオールに加えて、ヒドロキシ含有(メタ)アクリ
ルポリマーまたは(メタ)アクリルポリオールを、ポリオール成分として用いることがで
きる。
【0032】
(メタ)アクリルポリマーの中でも、約2〜20重量%第1級ヒドロキシ含有ビニルモ
ノマー、例えばヒドロキシアルキルアクリレートおよび2〜6個の炭素原子をアルキル基
中に有するメタクリレート等および80〜98重量%の他のエチレン性不飽和共重合性物
質、例えばアルキル(メタ)アクリレート等のポリマーである(重量%は、モノマー仕込
みの全重量を基準とする)。
【0033】
適当なヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートの例は、ヒドロキシエチルおよびヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
【0034】
適当なアルキルアクリレートおよび(メタ)アクリレートの例は、ラウリルメタクリレ
ート、2−エチルヘキシルメタクリレートおよびn−ブチルアクリレートである。
【0035】
アクリレートおよびメタクリレートの他に、ヒドロキシアルキルと共重合することがで
きる他の共重合性モノマーは、エチレン性不飽和物質、例えばモノオレフィンおよびジオ
レフィン炭化水素、ハロゲン化モノオレフィンおよびジオレフィン炭化水素、有機酸およ
び無機酸の不飽和エステル、不飽和酸のアミドおよびエステル、ニトリルおよび不飽和酸
等である。このようなモノマーの例としては、スチレン、1,3−ブタジエン、アクリル
アミド、アクリロニトリル、α−メチルスチレン、α−メチルクロロスチレン、ビニルブ
チレート、酢酸ビニル、塩化アルキル、ジビニルベンゼン、イタコン酸ジアリル、トリア
リルシアヌレートおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
通常、これらの他のエチレン性不飽和物質は、上記アクリレートおよびメタクリレート
との混合物中で用いる。これらのポリオールは、任意の上記ポリオールと少量のポリイソ
シアネートの反応(1:1を越えるOH/NCO当量比)により製造することができ、遊
離第1級ヒドロキシル基は、生成物中に存在する。上記の高分子量ポリオールに加えて、
上記のような高分子量ポリオールおよび低分子量ポリオールの混合物を用い得る。ポリウ
レタンポリオールを製造するために用いる有機イソシアネートは、140〜1500、好
ましくは168〜318の分子量を有する有機ポリイソシアネート、例えば4,4’−ジ
イソシアナトシクロヘキシルメタン(HMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(H
DI)、1−メチル−2,4(2,6)−ジイソシアナトシクロヘキシルメタンまたは1
−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン(
IPDI)およびこれらの混合物等、好ましくは、好ましくは4,4’−ジイソシアナト
シクロヘキシルメタン(HMDI)、2,4−および/または2,6−ジイソシアナトト
ルエン(TDI)、1−メチル−2,4−および/または−2,6−ジイソシアナトシク
ロヘキサンおよび4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、キシリレンジ
イソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン、1
,12−ジイソシアナトドデカン、2,3,3−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ
ート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタン
ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート、α,α,α’,α’
−テトラメチル−m−またはp−キシリレンジイソシアネート、およびトリフェニルメタ
ン4,4’,4’’−トリイソシアネートならびにこれらの混合物であり得る。適してい
るのは、モノマートリイソシアネート、例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタ
メチレンジイソシアネート等である。また、ポリイソシアネート成分は、HDI、IPD
Iおよび/またはHMDIに基づく既知のラッカーポリイソシアネートを含有し得る。
【0037】
本発明によれば、ポリイソシアネート成分は、ポリイソシアネート付加物の形態であり
得る。適当なポリイソシアネート付加物は、イソシアヌレート基、ウレットジオン基、ビ
ウレット基、イミノオキサジアジンジオン基、カルボジイミド基および/またはオキサジ
アジントリオン基を含有するポリイソシアネート付加物である。ポリイソシアネート付加
物は、2〜6、好ましくは2〜4の平均官能価、および5〜30重量%、好ましくは10
〜25重量%、より好ましくは15〜25重量%のNCO含有量を有し、次のものが挙げ
られる:
【0038】
1)DE−PS2616416、EP−OS3765、EP−OS10589、EP−O
S47452、US−PS4288586およびUS−PS4324879に記載の通り
製造し得るイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート。
【0039】
2)ジイソシアネートのイソシアネート基の一部を、適当な触媒、例えばトリアルキルホ
スフィン触媒の存在下でオリゴマー化することにより製造し得、および他の脂肪族および
/または脂環式ポリイソシアネート、特に上記(1)に記載のイソシアヌレート基含有ポ
リイソシアネートとの混合物中で用い得るウレットジオンジイソシアネート。
【0040】
3)共反応体、例えば水、第三級アルコール、第一級および第二級モノアミンおよび第一
級および/または第二級ジアミン等を用いることにより、米国特許第3124605号、
第3358010号、第3644490号、第3862973号、第3906126号、
第3903127号、第4051165号、第4147714号または第4220749
号に開示の方法により製造し得るビウレット基含有ポリイソシアネート。
【0041】
4)DE−A19611849に記載の特別なフッ素含有触媒の存在下で製造し得るイミ
ノオキサジアジンジオン基および任意にイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネー
ト。
【0042】
5)ジ−またはポリイソシアネートを、DE−PS1092007、US−PS3152
162およびDE−OS2504400、同2537685および同2552350に記
載の既知のカルボジイミド化触媒の存在下でジ−またはポリイソシアネートをオリゴマー
化することによって製造し得るカルボジイミド基含有ポリイソシアネート。
【0043】
6)オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート、例えば2モルのジイソシ
アネートおよび1モルの二酸化炭素の反応生成物。
【0044】
好ましいポリイソシアネート付加物は、イソシアヌレート基、ウレットジオン基、ビウ
レット基および/またはイミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネート付
加物、特にイソシアヌレート基および任意にウレットジオン基またはイミノオキサジアジ
ンジオン基を含有するポリイソシアネートである。
【0045】
硬化反応のための触媒は、アミン化合物であり、基−N=C−N−を含有し、非プロト
ン性であり、20を越えるpKaを有し、液体被覆組成物への付加により、被覆組成物の
液体から固体への相変化を25℃および1atmにて1週間以内に生じさせる。本明細書
および以下の請求項に用いる通り、「非プロトン性」とは、第1級または第2級アミンへ
結合する水素がないことを意味する。
【0046】
一実施態様では、触媒は、式I:
【化1】
〔式中、Rは、直鎖または分枝アルキル、好ましくはt−ブチル、好ましくはt−ブチ
ルを表すか、またはRと組み合わせて、
【化2】
および
【化3】
からなる群から選択される連結セグメントであり、
は、H、直鎖または分枝アルキル、好ましくはメチル基、ジメチルアミンを表すか、
またはRと組み合わせて、
【化4】
および
【化5】
からなる群から選択される連結セグメントであり、
は、Na、直鎖または分枝アルキル、好ましくはメチルを表すか、またはRと組み
合わせて、
【化6】
および
【化7】
からなる群から選択される連結セグメントであり、
は、直鎖または分枝アルキル、好ましくはメチルを表し、またはRと組み合わせて

【化8】
および
【化9】
からなる群から選択される連結セグメントであり、および
式中、RおよびRは共に、N−ヘテロ環式環を形成し得、およびRおよびRは共
に、N−ヘテロ環式環を形成し得る〕
で示される構造を有する。
【0047】
適当な触媒としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデス−7エン、7−
メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デス−5−エン、1,4,5,6
−テトラヒドロ−1,2−ジメチルピリミジン、1,2,4−トリアゾール、ナトリウム
誘導体および2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジンからなる
群から選択される触媒が挙げられる。
【0048】
理論に縛られることを意図しないが、強塩基触媒は、ヒドロキシル基と反応してウレタ
ン架橋を形成する遊離イソシアネート基を形成するウレットジオン解離の従来使用される
より高い温度反応とは対照的に、ヒドロキシルと、アロファネート架橋の形成により生じ
るウレットジオン結合との反応により架橋を促進することが考えられる。適切な触媒によ
り、アロファネート基形成は、20〜70℃、例えば20〜35℃の温度にて生じる。
【0049】
ポリウレットジオンおよびポリオールの相対量は、その各分子量に応じて幾分変化し得
る。典型的には、それぞれ、ポリウレチジオンおよびポリオールの樹脂固形分に基づいて
10〜90重量%の範囲内の量で存在させることができる。ヒドロキシルとウレットジオ
ンの当量比は、典型的には0.5〜1.5:1である。触媒は、典型的には、ポリウレチ
ジオンおよびポリオールの樹脂固形分重量を基準に約0.05重量%〜5重量%の量で組
成物中に存在させる。
【0050】
記載の成分に加えて、上記組成物は、任意の種々の成分を含有し得る。これらの例は、
充填剤および強化剤、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸塩、タルク、カオリン、マイカおよ
び硫酸バリウムである。他の添加剤、例えば可塑剤、潤滑剤およびレオロジー添加剤およ
び溶媒または希釈剤を、組成物中に含ませ得る。存在させる場合には、これらの任意の成
分は、組成物の全重量を基準として50重量%まで構成し得る。
【0051】
本発明の組成物はまた、着色剤を含有する。本発明では、用語「着色剤」は、色および
/または他の不透明性および/または他の視覚効果を組成物へ付与する任意の物質を意味
する。着色剤は、任意の適当な形態、例えば離散粒子、分散体、溶液および/またはフレ
ーク等で被覆物へ添加することができる。単一の着色剤または2以上の着色剤の混合物を
、本発明の被覆物中に用いることができる。
【0052】
例となる着色剤としては、顔料、染料および染色剤(tints)、例えば塗料工業で
用いられるものおよび/またはDry Color Manufacturers As
sociation(DCMA)に記載のもの等、ならびに特別な効果の組成物が挙げら
れる。着色剤としては、例えば不溶性であるが使用条件下で可溶性である微細に分割され
た固形粉末が挙げられる。着色剤は、有機または無機であってよく、凝集していても凝集
していなくてもよい。着色剤は、被覆物中へ、研磨ビヒクル、例えばアクリル研磨ビヒク
ル等の使用により組み込むことができ、その使用は、当業者へ知られている。
【0053】
例となる顔料および/または顔料組成物としては、これらに限定されないが、カルバゾ
ールジオキサジン粗製顔料、アゾ、モノアゾ、ジスアゾ、ナフトールAS、塩型(レーキ
)、ベンズイミダゾール、縮合物、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリンおよび
多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チ
オインジゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、
ピラントロン、アンタントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロ
ン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、カーボ
ンブラックおよびこれらの混合物が挙げられる。用語「顔料」および「着色充填剤」は、
同じ意味で用いてよい。
【0054】
例となる染料としては、これらに限定されないが、溶媒系および/または水性系である
もの、例えばフタログリーン、酸化鉄、バナジウム酸ビスマス、アントラキノン、ペリレ
ン、アルミニウムおよびキナクリドンが挙げられる。
【0055】
例となる染色剤としては、これらに限定されないが、水系または水混和性キャリア、例
えばDegussa,Inc.から市販のAQUA−CHEM896、Eastman
Chemical,Inc.のAccurate Dispersions部門から市販
のMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTS等が挙げられる。
【0056】
上記の通り、着色剤は、これらに限定されないが、ナノ粒子分散体を含む分散体の形態
であってよい。ナノ粒子分散体としては、所望の視認できる色および/または不透明性お
よび/または視覚効果を生じさせる1以上の高度に分散したナノ粒子着色剤および/また
は着色剤粒子が挙げられる。ナノ粒子分散体としては、150nm未満、例えば70nm
未満または30nm未満等の粒度を有する顔料または染料のような着色剤が挙げられる。
ナノ粒子は、0.5nm未満の粒度を有するストック有機または無機顔料を粉砕すること
により製造することができる。例となるナノ粒子分散体およびこれらを製造するための方
法は、米国特許第6875800B2(参照によりここに組み込む)に認められる。ナノ
粒子分散体は、結晶化、沈殿、ガス相凝縮、および化学磨耗(すなわち、部分溶解)によ
り製造することができる。被覆物内でのナノ粒子の再凝集を最小化するために、樹脂被覆
ナノ粒子の分散体を用いることができる。本発明では、「樹脂被覆ナノ粒子」は、ナノ粒
子およびナノ粒子上に樹脂被覆物を含む分散された保護「複合材料マイクロ粒子」中の連
続相のことである。例となる樹脂被覆ナノ粒子の分散体およびその製造方法は、2004
年6月24に出願された米国特許出願第2005−0287348A1号、2003年6
月24日に出願された米国仮出願第60/482167号および2006年1月20日に
出願された米国特許出願第11337062号(これらを参照によりここに組み込む)で
ある。
【0057】
例となる本発明の組成物中に用い得る特別な効果を有する組成物としては、顔料および/
または組成物としては、1以上の外観効果、例えば反射、真珠光沢、金属的な光沢、燐光
、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズムおよび/また
は色の変化等を生じさせる顔料および/または組成物が挙げられる。更なる特別な効果を
有する組成物は、他の知覚特性、例えば不透明性またはテクスチャ等を与えることができ
る。非限定的な実施態様では、特別な効果を有する組成物は、例えば被覆物を異なった角
度で見た場合に被覆物の色が変化するような色のシフトを生じさせることができる。例と
なる色彩効果組成物は、米国特許第6894086号(参照によりここに組み込む)に認
められる。更なる色彩効果組成物としては、透明被覆マイカおよび/または合成マイカ、
被覆シリカ、被覆アルミナ、透明液体結晶顔料、液体結晶被覆物、および/または緩衝が
物質の下塗りおよび空気の間の屈折率の差に起因せずに物質内の屈折率の差により生じる
任意の組成物が挙げられる。
【0058】
一般には、着色剤は、所望の視覚および/または色彩効果を付与するのに十分な任意の
量で存在させることができる。着色剤は、本発明の組成物の全重量を基準とする重量%に
より、本発明の組成物の1〜65重量%、例えば3〜40重量%または5〜35重量%含
み得る。
【0059】
本発明の組成物は、種々の目的のために、例えば印刷インキとしておよび紙、木材、金
属またはプラスチックの被覆物として用いることができる。
【0060】
特に重要であるのは、保護および装飾被覆物、例えばあらゆる種類の基材、例えば建物
、フェンス、クリップボードパネル上での外部被覆物、および石、コンクリートまたは金
属上の被覆物等を製造するための、車両、例えば乗用車、鉄道または航空機等の被覆物の
ための本発明の組成物の使用である。本発明の組成物は、同様に、自動車OEM仕上げお
よび自動車再仕上げにおいて、および車体、乗用車のプラスチックパーツおよび車体積載
乗用車部品の仕上げのために用い得る。本発明の開始剤は、プライマー、ベースコートま
たはクリアコートにおける多層被覆系に用いることができる。着色トップコートにおける
その使用も可能である。
【0061】
基材には、組成物を100%固体組成物であり得る液体としてまたは溶液としてまたは
溶媒または希釈剤中の分散体として塗布することができる。溶媒または希釈剤の選択およ
び濃度は、主に、被覆物成分および被覆法の選択に依存する。溶媒または希釈剤は、不活
性であるべきである。言い換えれば、成分と化学反応させるべきではなく、硬化法におい
て被覆作業後に除去可能となるべきである。適当な溶媒または希釈剤の例は、ケトン、エ
ーテルおよびエステル、例えばメチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペ
ンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン
、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール
、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチル、n−ブチルアセテートおよびエチル3−エト
キシプロピオネートである。溶媒または希釈剤は、典型的には、組成物の前重量を基準と
して0〜30重量%の量で存在させる。
【0062】
既知の被覆法を用いて、例えばスピンコート、ディップコート、ナイフコート、カーテ
ンコート、刷毛塗り、噴霧、特に静電塗装、リバースロールコートにより、被覆組成物は
、基材へ均一に塗布し得る。被覆組成物は、プライマー、カラーコートまたはクリアコー
トとして用いることができる。
【0063】
基材への組成物の適用後に、得られる被覆物を硬化する。硬化は、周囲温度または周囲
温度を僅かに超える温度、典型的には20〜70℃、および20〜35℃にて行うことが
できる。
【0064】
被覆厚みは、典型的には0.5〜46ミクロンである。
【実施例】
【0065】
物質
ウレットジオン:
〔EtHex Dimer〕
Desmodur(登録商標) N 3400(Bayer MaterialScie
nce LLC、ピッツバーグ、ペンジシルバニアから市販のHDIから製造されたウレ
ットジオン基およびイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート)から製造されたポ
リウレットジオンプレポリマー/2−エチル−1,3−ヘキサンジオール/2−エチルヘ
キサノールを、2.8:1のジオールとモノオール当量比を用いて任意の存在する遊離イ
ソシアネート基を実質的に消費するのに十分な量で製造した。樹脂を、平均ウレットジオ
ン当量1430を有する50%固体にてブチルアセテート(BA)中で調製した。
【0066】
〔TMPDダイマー〕
Desmodur(登録商標) N 3400(Bayer MaterialScie
nce LLC、ピッツバーグ、ペンジシルバニアから市販のHDIから製造されたウレ
ットジオン基およびイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート)から製造されたポ
リウレットジオンプレポリマー/2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(
TMPD)/2−エチルヘキサノールを、2.8:1のジオールとモノオール当量比を用
いて任意の存在する遊離イソシアネート基を実質的に消費するのに十分な量で製造した。
樹脂を、平均ウレットジオン当量1430を有する50%固体にてブチルアセテート(B
A)中で調製した。
【0067】
ポリオール:
〔アクリルポリオール〕
(PA)PPG Industriesからのアクリルポリオール、以下の実施例Aに従
って製造。
〔Desmophen(登録商標)XP 2586〕
(PC)Bayer MaterialScienceからのポリカーボネートポリオー
ル、100%固体、平均ヒドロキシル当量500。これは、本研究中に、Desmoph
en C 2100に改名した。
〔Desmophen(登録商標) S−1019−120〕
(PE)Bayer MaterialScienceからのポリエステルポリオール、
100%固体、平均ヒドロキシル当量500。
【0068】
触媒:
1−メチルイミダゾール、99%:(Melm)Sigma Aldrichから、10
0%固体、1.03g/mL。
【0069】
1.8−ジアザビシクロ(5.4.0)−ウンデス−7−エン:(DBU) Air P
roductsから、100%固体、1.02g/mL。
【0070】
1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノン−5−エン:(DBN)Sigma Al
drichから、100%固体、1.12g/mL。
【0071】
7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)−デス−5−エン:(MeT
BD)Flukaから、100%固体、1.07g/mL。
【0072】
2,3−ジメチルテトラヒドロピリミジン:(Addocat1872)Rhein C
hemieから、100%固体、0.96g/mL。
【0073】
1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)−デス−5−エン:SigmaAldri
chから(TBD)、100%固体、0.78g/mL。
【0074】
1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)−オクタン:(DBO)Sigma Aldri
chから、粉末。
【0075】
ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液:Sigma Aldrichからの
(Triton(登録商標) B)、メタノール中に40%固体、0.79g/mL。
【0076】
オクタン酸第一錫:(T−9)Acrosから、100%固体、1.29g/mL。
【0077】
ジブチル錫ジラウレート:(T−12)Air Productsから、100%固体、
1.03g/mL。
【0078】
トリブチルホスフィン:(TBP)Sigma Aldrichから、100%固体、0
.81g/mL。
【0079】
ジルコニウム(IV)アセチルアセトン酸:(Zirc AcAc)Sigma Ald
richから、粉末。
【0080】
亜鉛ジエチルジチオカルバメート:(Zinc DEDTC)Sigma Aldric
hから、粉末。
【0081】
Nacure A218:King Industries,Incからの金属塩、n−
ブタノール中25%固体、1.01g/mL。
【0082】
テトラブチルホスホニウムメタン−スルホネート:(TBPMe−S)Sigma Al
drichから、100%固体、0.78g/mL。
【0083】
テトラブチルアンモニウムアセテート、97%:(tBAmAc)Sigma Aldr
ichから、粉末。
【0084】
カリウムtert−ブトキシド:(K−tBox)Sigma Aldrichから、粉
末。
【0085】
1,2,4−トリアゾール、ナトリウム誘導体:(triazole)Sigma Al
drichから、粉末。
【0086】
ドデシルベンゼンスルホン酸:(Nacure 5076)King Industri
es,Incから、イソプロパノール中70%固体、0.99g/mL。
【0087】
1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、97%:(HMeDSi)Sigm
a Aldrichから、100%固体、0.78g/mL。
【0088】
K−Kat XC 6212:(6212)King Industriesからのジル
コニウムキレート、100%固体。
【0089】
K−Kat XK 605:(605)King Industriesからのアミンを
有する亜鉛化合物の水溶液、水中に80%固体。
【0090】
Nacure XC 8212:(8212)King Industriesからのア
ミンブロックトスルホン酸での亜鉛錯体、イソプロパノール中52%固体。
【0091】
Borchi Kat 22:(K22)Lanxessからのオクタン酸亜鉛、100
%固体。
【0092】
Addocat PP:(PP)Rhein Chemieからの第3級脂肪族アミンブ
レンド、100%固体。
【0093】
2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン:Flukaからの(
TMG)、100%固体。
【0094】
溶媒:
酢酸ブチル(nBA)
ジメチルスルホキシド(DMSO)
第3級ブタノール(tBuOH)
トルエン
【0095】
実施例A:(アクリルポリオール)
本実施例は、アクリルポリオール成分の製造を説明する。撹拌器、熱電対、凝縮器および
ポンプを有する添加漏斗を有する反応容器に、269.2グラム(g)のエチル−3−エ
トキシプロピオネート(Eastman Chemical ProductsからのE
ktaPro EEP)、15.2gn−ブチルアセテートおよび5.5gトリフェニル
亜リン酸塩およびを仕込み、約160℃に加熱し還流した。次に2つの供給(ここではA
およびBとして識別する)を、それぞれ3および4時間にわたり容器の内容物を還流条件
にて維持しながら容器へ添加する。供給Aは、ToneM−201(カプロラクトンメタ
クリレート)548.6g、メチルメタクリレート274.4gおよびスチレン274.
4gの混合物から構成される。供給Bは、LuperoxDTA(Atochemからの
フリーラジカル開始剤)65.8gおよびn−ブチルアセテート24.3gから構成され
る。2つの供給AおよびBの添加が完了した後、添加漏斗をそれぞれ30.0gのn−ブ
チルアセテートで洗浄し、容器の内容物を1時間還流させる。その後、加熱を中断し、容
器の内容物を、冷却し、n−ブチルアセテート150.0gを添加する。
【0096】
得られるアクリルポリオールは、1時間110℃にて測定した全固形分が65.8重量
%であり、ポリスチレン標準を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィにより決定
した6600のピーク分子量、10200の重量平均分子量および2016の数平均分子
量を有し、ZのGardner−Holt粘度を有し、1.1の酸価を有し、20のAP
HA色を有し、8.80の重量/ガロンを有し、83.3のヒドロキシル価を有する。
【0097】
原料の製造
ウレットジオンプレポリマーおよび実施例に用いた3つの全てのポリオールはいずれも、
nBAにより40%固体へ減少した。触媒を、表1に示す種々のキャリア溶媒中における
固形分を基準に10%溶液として製造した。実施例に用いた触媒の名称および略称は、同
じく表1に見られる。
【0098】
製造
原料の製造後、ウレットジオンプレポリマーおよびポリオールを、触媒の添加前に8mL
バイアル中で混合した。触媒を、固形分を基準に4%装填にて添加した。例の通り、Et
HexウレットジオンおよびPAポリオールから0.8:1.0のウレットジオンとヒド
ロキシルとの比にてDBU触媒を用いて処方物を製造するために、1440μLのPAポ
リオール溶液を最初に混合した。次いで、782μLのDBU溶液をウレットジオンおよ
びポリオール混合物の上部で添加した。処方物を観察し、反応を以下の通り記録した:
0=反応性なし、1週間後にゲル化または粘度上昇は確認されない。
1=低反応性、1週間以内にゲル化した処方物。
2=中反応性、一夜にてゲル化した処方物。
3=高反応性、基材上にキャストする前にゲル化した処方物。
【0099】
【表1】
【0100】
表2および表3は、それぞれ0.8:1.0および1.2のウレットジオンとポリオー
ル当量での各触媒の処方物反応を示す。表2および表3から、極めて活性の触媒は、トリ
アゾール、1872、DBUおよびMeTBDであることが明らかに示される。
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
表4は、1.0:1.0のウレットジオン対ポリオール当量比での触媒反応を示す。ト
リアゾール、1872、DBU、MeTBDに加えて、TMGが強触媒のように見える。
【0104】
【表4】
【0105】
実施例1(被覆組成物)
【0106】
【表5】
【0107】
BYK−CHEMIEから市販のフロー添加剤(キシレンおよびイソブタノール中に5
2重量%固体)
Sigma−Aldrichからの7−メチル−1,5,7トリアザビシクロ[4.4
.0]デス−5−エン
Desmodur N3400、2-エチルヘキサノエートおよび2−エチル−1,3
−ヘキサンジオールから製造されたBayer Material Science,I
ncからのポリウレチジオン、固形分はn−ブチルアセテート中に50%であり、供給さ
れるウレットジオン当量は1341であった。
【0108】
実施例1の被覆組成物は、n−ブチルアセテートの添加により40.5重量%固体へ希
釈した。試料を、#8四角形延展棒を用いてヒルズデール、ミシガンのACT Test
Panels,Inc.から市販の予備被覆E−Coat6061冷延鋼板パネル上に
塗布した。試料を30分間周囲温度にて硬化した。また、試料を30分間60℃にて硬化
後に試験した。試験の結果を以下に示す。
【0109】
実施例2(被覆組成物)
【0110】
【表6】
【0111】
Degussa Corporationからのポリウレチジオン(40%固体)
【0112】
実施例2処方物を作製し、n−ブチルアセテート溶媒の添加により35.4重量%固体
へ希釈した。試料を、#8四角形延展棒を用いてヒルズデール、ミシガンのACT Te
st Panels,Inc.から市販の予備被覆E−Coat6061下塗り冷延鋼板
パネル上に塗布した。試料を30分間周囲温度にて硬化した。また、試料を30分間60
℃にて硬化後に試験した。試験の結果を以下に示す。
【0113】
【表7】
【0114】
上に詳しく説明したが、この説明は、該目的のためだけのものであり、特許請求の範囲に
よって限定される以外は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、当業者によっ
てそれに変更を加えうることを理解すべきである。