(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147846
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】ブローフィルシール容器用3回路充填システム並びに対応する方法及び充填装置
(51)【国際特許分類】
B67C 7/00 20060101AFI20170607BHJP
B65B 3/06 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
B67C7/00
B65B3/06
【請求項の数】27
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-503588(P2015-503588)
(86)(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公表番号】特表2015-512359(P2015-512359A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】US2013034419
(87)【国際公開番号】WO2013149042
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2015年6月5日
(31)【優先権主張番号】13/434,566
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501477831
【氏名又は名称】アール.ピー. シェーラー テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・シー・コランジェロ
【審査官】
西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04353398(US,A)
【文献】
特開昭63−044492(JP,A)
【文献】
米国特許第06112780(US,A)
【文献】
特開平02−139303(JP,A)
【文献】
特開2010−179939(JP,A)
【文献】
特開2005−280883(JP,A)
【文献】
特開2000−283910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/00−11/06
B65B 1/00− 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブローフィルシール(BFS)容器を充填するためのシステムであって、
パージ流体を開放されたBFS容器へと選択的に送るように構築された第1の流体回路と、
製品を前記開放されたBFS容器へと選択的に送るように構築された第2の流体回路と、
前記開放されたBFS容器と大気とに流体連通している通気経路を有する第3の流体回路であって、前記パージ流体が前記BFS容器へと導入されるときは、少なくとも前記BFS容器からの前記パージ流体を含むバルク流体を案内するように構築された第3の流体回路と、
を備え、
前記第2の流体回路は、前記第1の流体回路が前記パージ流体を選択的に送らないときに、製品を選択的に送り、前記第1の流体回路が前記パージ流体を選択的に送るときに、製品を選択的に送らないこと、
前記第1の流体回路は、前記バルク流体の洗浄度に基づいて、パージ流体を前記開放されたBFS容器へと送ることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記第1の流体回路は、前記バルク流体の洗浄度が所定の洗浄度レベルを満たさないときに、パージ流体を前記開放されたBFS容器へと送ることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の流体回路は、前記バルク流体の洗浄度が前記所定の洗浄度レベルを満たすかまたは超えるときに、パージ流体を前記開放されたBFS容器へと送らないことを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記通気経路と流体連通しているモニタリング装置であって、前記バルク流体の少なくとも一部を受けて、前記第3の流体回路から放出される前記バルク流体をモニタリングするように構築されたモニタリング装置をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記モニタリング装置は、前記モニタリング装置によってモニタリングされるバルク流体中の粒子の大きさを検出する粒子大きさ検出器を含むことを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記モニタリング装置は、バルク流れ中の粒子の大きさを決定し、前記第2の流体回路は、前記モニタリング装置によって決定された粒子の大きさに基づいて、パージ流体を前記開放されたBFS容器へと送ることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の流体回路は、前記検出された粒子の大きさが所定の大きさより大きいときに、パージ流体を前記開放されたBFS容器へと送ることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の流体回路は、前記検出された粒子の大きさが前記所定の大きさ以下のときに、パージ流体を前記開放されたBFS容器へと送らないことを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記所定の大きさは0.2ミクロンであることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の流体回路は、所定の時間長さの間、前記パージ流体の流れを前記開放されたBFS容器へと送ることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記パージ流体の流れの所定の時間長さは、バルク流体の洗浄度に基づくことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
ブローフィルシール(BFS)容器を充填するための方法であって、
パージ流体を第1の流体回路を通じて開放されたBFS容器へと選択的に送るステップと、
製品を第2の流体回路を通じて前記開放されたBFS容器へと選択的に送るステップと、
バルク流体を第3の流体回路を通じて案内するステップであって、バルク流れは、前記パージ流体が前記BFS容器へと導入されるときは、少なくとも前記パージ流体を含み、前記第3の流体回路は、前記BFS容器および大気と流体連通している通気通路を有するステップと、
を備え、前記製品は、前記パージ流体が前記第1の流体回路を通じて選択的に送られないときに、前記第2の流体回路を通じて前記BFS容器へと選択的に送られ、液体製品は、前記パージ流体が前記第1の流体回路を通じて選択的に送られるときに、前記第2の流体回路を通じて選択的に送られないこと、
前記パージ流体は、前記バルク流体の洗浄度に基づいて、前記開放されたBFS容器へと送られることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記パージ流体は、前記バルク流体の洗浄度が少なくとも所定の洗浄度レベルより低いときに、前記開放されたBFS容器へと送られることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パージ流体は、前記バルク流体の洗浄度が前記所定の洗浄度レベルを満たすかまたは超えるときに、前記開放されたBFS容器へと送られないことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の流体回路から放出される前記バルク流体をモニタリングするステップをさらに備えることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記モニタリングするステップは、前記バルク流れ中の粒子の大きさを検出することを含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記パージ流体は、前記バルク流れ中で検出された粒子の大きさに基づいて、前記開放されたBFS容器へと送られることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パージ流体は、前記検出された粒子の大きさが所定の大きさより大きいときに、前記開放されたBFS容器へと送られることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記パージ流体は、前記検出された粒子の大きさが前記所定の大きさ以下のときに、前記開放されたBFS容器へと送られないことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記所定の大きさは0.2ミクロンであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記パージ流体は、所定の時間長さの間、前記開放されたBFS容器へと送られることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記パージ流体の流れの前記所定の時間長さは、前記バルク流体の洗浄度に基づくことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
BFS容器用の充填装置であって、
開放されたBFS容器に取り外し可能に連結されるように構築された充填ヘッドであって、パージ流体を前記開放されたBFS容器へと選択的に送るための第1の流体回路、製品を前記開放されたBFS容器へと選択的に送るための第2の流体回路、および、少なくとも前記BFS容器からの前記パージ流体から構成されるバルク流れを案内するための第3の流体回路を有する充填ヘッドと、
前記第1の流体回路と流体連通し、パージ流体供給部への接続のために構築され、パージ流体を前記第1の流体回路へと送るのを選択的に制御する第1の弁と、
前記第2の流体回路と流体連通し、製品供給部への接続のために構築され、製品を前記第2の流体回路へと送るのを選択的に制御する第2の弁と、
を備え、前記パージ流体が、バルク流体の洗浄度に基づいて、前記開放されたBFS容器へと送られる充填装置。
【請求項24】
前記第1の流体回路、前記第2の流体回路、および前記第3の流体回路の各々は、前記開放されたBFS容器に流体連結されるように構築されたそれぞれの充填ヘッドにおいてそれぞれ終端となることを特徴とする、請求項23に記載の充填装置。
【請求項25】
前記充填ヘッドの各々は、前記第1の流体回路に対応する第1の管と、前記第2の流体回路に対応する第2の管と、前記第3の流体回路に対応する第3の管と、を軸線方向に形成しており、前記第1の管、前記第2の管、および前記第3の管は、前記充填ヘッドの各々を貫いており、且つ同軸であり、それぞれの流体回路に各々流体連結されることを特徴とする、請求項24に記載の充填装置。
【請求項26】
前記第2の弁は、前記製品供給部と前記第2の管との間で流体連通しているダイアフラムとして構築されることを特徴とする、請求項25に記載の充填装置。
【請求項27】
開位置と閉位置との間で前記ダイアフラムを選択的に変位させるソレノイドをさらに備え、前記開位置においては、製品は前記第2の管を通じて流れることができるようになり、前記閉位置においては、製品は前記第2の管を通じて流れることができなくなることを特徴とする、請求項26に記載の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権主張]
本出願は、2012年3月29日に出願された米国特許出願第13/434,566号の優先権の利益を主張するものであり、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の例示の態様は、前処理して充填するシステムと、薬物などの製品で充填する前に無菌状態を改善し、容器を前処理するブローフィルシール容器を充填する方法とに関する。より詳細には、本開示は、システム装置と、注射可能な薬物を収容するために使用されるブローフィルシール(BFS)容器を前処理するために特に適した方法と、に関連する。
【背景技術】
【0003】
BFS技術は、プラスチック容器が連続運転で形成、充填、および封止される自動化された工程に関する。BFS技術は、操作者の操作を減らして経済的な容器密閉処理を提供し、点眼薬や呼吸器系の治療製品を充填して包装するためにしばしば使用される。
【0004】
プラスチックバイアルを製作するための典型的なBFS工程では、固体高分子顆粒(ポリプロピレン樹脂ペレット)が、圧力および温度を上昇させることで融解し均質化される。融解したポリプロピレンは、「パリソン」と呼ばれる筒体へと形成される。筒体が所定の長さに達すると、型がパリソンの周囲を密閉し、パリソンが切断され、開放されたバイアルを作り出す。パリソンは、プラスチックを融解させ副産物として煙を生じさせる高温ナイフで切断される。充填ノズルが、液体を各々の開放されたバイアルに導入する。充填すると、開放されたバイアルは封止され、型が開き、製品を収容する封止されたバイアルを分配する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
BFS技術の能力をさらに向上させることができれば、有利である。本開示は、いくつかの利点のうちで特に、クラス100(ISO 5)の基準が一例である高い洗浄基準を満たすことができる方法で、BFS容器を前処理して充填するためのシステムおよび方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ブローフィルシール(BFS)容器を充填するためのシステムが提供される。システムは、パージ流体を開放されたBFS容器へと選択的に送るように構築された第1の流体回路を備える。第2の流体回路が、製品を開放されたBFS容器へと選択的に送る。第3の流体回路は、開放されたBFS容器と大気とに流体連通している通気経路を有し、パージ流体がBFS容器へと導入されるときは、少なくとも容器からのパージ流体を含むバルク流体を案内する。第2の回路は、第1の流体回路がパージ流体を選択的に送らないときに、製品を選択的に送り、第1の回路がパージ流体を選択的に送るときに、製品を選択的に送らない。
【0007】
別の態様では、本発明は、BFSを前処理する運転を実施する方法に関する。
【0008】
この簡単な概要は、本発明の本質が素早く理解できるように提供されている。本発明の好ましい実施形態のより完全な理解は、添付の図面と関連している以下の詳細な説明を参照することで、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の態様による、前処理して充填する装置を備えるシステムの実施形態の概略図である。
【
図1B】本発明の態様による、前処理して充填する装置を備えるシステムの実施形態の概略図である。
【
図2】側面、上面、および端面を示す、本発明の態様によるマニホールドの等角図である。
【
図3】
図2で示す側面から見た、
図2のマニホールドの立面図である。
【
図5】
図2で示す端面から見た、
図2のマニホールドの立面図である。
【
図6】
図4の線6-6に沿って切り取られた、
図2〜
図5のマニホールドの断面図である。
【
図8】本発明の態様によるBFS容器を前処理するための方法の実施形態のための工程流れ図である。
【
図9】前処理する前に、BFS容器と共に示した
図6のマニホールドの一部の展開した断面図である。
【
図10】製品で満たされた
図9のBFS容器と共に示した
図6のマニホールドの一部の展開した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
システム、方法、および装置が、BFS容器を前処理して充填するために提供されている。
【0011】
BFS容器の形成および充填を通じて、例えば、パリソンを形成したり、充填の前にパリソンを膨らませたりといったために、無菌の空気が使用される。多くの作業において、粒子汚染および/または周囲空気へと曝してしまう可能性が最も高い3つの段階は、(1)パリソンが切断される段階、(2)パリソンが充填ノズルの下で移動される段階、および、(3)充填ノズルが容器を封止する前に取り外される段階である。
【0012】
重要な領域(critical area)は、殺菌された薬剤製品、容器、および密閉体が、製品を無菌状態に維持するように特別に設計または制御されなければならない環境条件に曝される領域として定義される(21 C.F.R. §211.42(c)(10))。このような領域で行われる作業には、充填作業および密閉作業の前および最中の殺菌材料の取り扱い(例えば、無菌の接続、無菌成分の添加など)が含まれる。
【0013】
この領域は、曝される製品が汚染に弱く、その後、じかに接する容器においても殺菌されることはないため、重要である。したがって、製品を無菌状態に維持するためには、無菌で作業が実施される環境(例えば、機器の設定、充填)が適切な品質で制御および維持されることが不可欠である。
【0014】
環境品質の一様態は、空気中の粒子含量である。粒子は、外部からの汚染物質として製品に入るおそれがあり、また、微生物の運搬手段として機能することで生物学的に製品を汚染し得るため、大きな影響をもたらす。潜在的な汚染物質には、プラスチックの押出、切断、および封止の工程中に発生する粒子、ならびに、前述のように切断中に発生する煙が含まれる。
【0015】
一実施形態例では、曝露される殺菌された容器/密閉体のすぐ近くにある空気であって充填/密閉作業中における空気は、作業場所から通常1フィート以内の代表位置において数える場合において、充填/密閉作業中に、空気流内において、粒子サイズ0.5μm以上の範囲で1立方メートルあたり3520個以下の数の粒子を有するとき、適切な粒子品質であると考えられる。この空気清浄度の度合いは、クラス100(ISO14644-1、ISO 5)としても知られている。当然ながら、空気清浄度のこの測定は、例示的なものであり、本発明を限定するものとして考慮されることはなく、適用可能であれば、他の清浄度の基準を達成するように実践され得る。
【0016】
図1Aは、本発明の第1の態様による前処理して充填するシステム10aの実施形態を示している。システム10aは、BFS容器202と流体連通しているマニホールド100を備えている。システム10aは、製品を流体供給部401からBFS容器202へと案内する製品回路112aを備えている。システム10aは、空気または他の加圧ガスを空気供給部402からBFS容器202または他の場所へと案内する空気回路114aも備えている。システム10aは、流体をBFS容器202から周囲位置または他の位置へと案内する通気回路116aをさらに備えている。したがって、製品回路112a、空気回路114a、および通気回路116aは、すべてBFS容器と流体連通している。
図1Bに示す実施形態では、マニホールド100は、製品および空気を、マニホールド100に連結された充填ノズル102を通じてBFS容器202へと選択的に送るように構築されている。システム10bも、BFS容器202が製品または空気で満たされているとき、充填ノズル102の通気管116を通じてBFS容器202を通気するように構築されている。任意選択的に、
図1Aおよび
図1Bに示すシステム10aおよびシステム10bは、BFS容器202から排出される流体をモニタリングするために、マニホールド100に流体連結されたモニタリング装置300を備える。また、任意選択的に、流体のこのようなモニタリングは、マニホールド100を通じて流体および空気の制御に使用される。
【0017】
従来、BFSマニホールドは、製品回路および空気回路のみを備えており、通気回路は備えていなかった。代わりに、このような従来の構成では、加圧空気が開放されたBFS容器に所定の期間だけ導入され、その後、BFS容器を製品で充填する前に容器の洗浄度を確かめることなく、製品が製品回路を通じて容器に導入される。2つの回路構造のみを備えるこのような従来システムのため、前述のように、容器内の流体は、加圧空気が導入されている間は同時に放出されない。その結果、加圧空気の導入の前に容器内に存在する何らかの汚染物質が、空気の流れが遮断された後でも容器内に残ってしまう可能性がある。そのため、従来の2回路充填システムを採用すると、容器に製品を充填するときに、汚染物質がBFS容器に残ったままになってしまうおそれがある。このような汚染物質は、BFS容器が患者に静脈内投与される薬物で充填される場合、有害になり得る。
【0018】
一方、本発明の一態様による3回路の前処理して充填するシステムは、追加で第3の通気回路を備えており、その回路は、製品で充填される前、BFS容器の内部のよりしっかりとしたフラッシングを可能にする。このようなフラッシングは、静注薬物に適したBFS容器内部の洗浄を提供できる。
【0019】
図2は、本発明の別の態様による
図1のマニホールド100の実施形態の等角図であり、側面、上面、および端面を示している。マニホールド100は複数の充填ノズル102を備えており、それら充填ノズル102の各々は、前述のように、容器202が開いて型にある加工の段階に達している対応するBFS容器202(
図1)を、前処理して充填するのを容易にする。マニホールド100は、以下でさらに説明する複数のソレノイド組立体104を備えている。
図2で示す実施形態では、各々のソレノイド104は1つの充填ノズル102に対応している。しかしながら、当業者であれば、
図2に示すソレノイド104および充填ノズル102の配置が例示であること、および、他の構築も可能であることを諒解されよう。
【0020】
図3は、
図2で示す側面から見た、
図2のマニホールドの立面図である。マニホールド100は、マニホールド100の端部に製品入口106を備えている。製品入口106は、製品供給部401(
図1)に接続するための接続具108を備えている。製品入口106は、製品を製品供給部401からマニホールド100内へと案内し、マニホールド100は製品を充填ノズル102の各々に分配する少なくとも1つの内部製品通路を備えている。複数の通気ポート110も、マニホールド100の側面に形成されている。
【0021】
図4は、製品入口106同士の間に配置された複数のソレノイド104を示すマニホールド100の平面図である。
図5は、端面から見た
図3のマニホールド100の立面図である。充填ノズル102の先端には、モールドストップ(mold stop)と呼ばれる環状フランジ170が設けられており、その環状フランジ170は、開放されたまだ充填されていないBFS容器202(
図1)の周縁を封止する。容器202を充填して封止する前に、前処理工程が実施されて、容器の形成において以前の製作段階の間に導入された可能性のある何らかの汚染物質を、容器から除去する。
【0022】
図6は、
図4の切断線6-6に沿って切り取られたマニホールド100の図である。各々の充填ノズル102は、マニホールド100のノズルブロック122から延在している。一実施形態では、充填ノズル102は、3つの同心の管112、114、116を備えており、それら管の各々は、対応する流体回路の一部を備えている。各々の管112、114、116は、充填ノズル102を少なくとも部分的に通って延在している。充填ノズル102の第1の中心の管112は、製品をマニホールド100からBFS容器202内へと案内する製品管である。第2の管114は、製品管112を同心で包囲しており、加圧空気(または他のガス)をマニホールド100から容器202内へと案内する空気管である。第3の管116は、空気管114を同心で包囲しており、一実施形態において、下記で説明するように、排出ガスを容器202からマニホールド100内へと案内する通気管である。
【0023】
製品管112、空気管114、および通気管116は、充填ノズル102を通って、マニホールド100の「ブロック」と呼ばれる対応する接続部へと、同軸で延在している。マニホールドの各々のブロックは、充填ノズル102の管112、114、116をマニホールド100の1つまたは複数の対応するポートへとそれぞれ流体連結する内部通路を備えている。製品管112は、大まかには、充填ノズル102の自由端から、製品供給部401へと流体連結するように構築された計測ブロック118へと延在している。空気管114は、大まかには、充填ノズル102の自由端から、空気供給部402へと流体連結するように構築された充填管保持ブロック120へと延在している。通気管116は、大まかには、充填ノズル102の自由端から、マニホールド100の側面に形成された通気ポート110(
図3)へと流体連結されたノズルブロック122へと延在している。
【0024】
通気管116は、ノズルブロック122に形成された通気通路124へと延在している。通気通路124は、通気管116の軸線を実質的に横断して延在している。
図2〜
図5に示すマニホールド100の実施形態では、通気通路124は、各々の充填ノズル102を越えて延在し、マニホールド100の側面に沿ってノズルブロック122に形成された通気ポート110(
図3)と流体連通している。通気管116、通気通路124、および通気ポート110は、BFS容器202からの流体を、充填ノズル102と通気通路124とを通じてマニホールド100の外へと案内する通気回路の一部を形成する。
【0025】
製品管112および空気管114は、ノズルブロック122を軸線方向に貫通している。少なくとも1つのシールが、空気管114と通気通路124との間の流体連通を妨げるために、以下にさらに詳細に説明するように、ノズルブロック122と空気管114との間に存在している。
【0026】
充填管保持ブロック120は、充填ノズル102と反対側のノズルブロック122の側面において、ノズルブロック122に連結されている。
図2〜
図6では示していないが、充填管保持ブロック120は、加圧空気または他のガスの供給部へと流体連結するように構築されている。このような流体接続部には、ねじ付き接続具、ねじ無しの接続具、または、通常の当業者によって理解されるような他の種類のものが含まれ得る。充填ノズル102の空気管114は、大まかには、充填ノズル102の自由端から充填管保持ブロック120に形成された空気通路126へと延在している。
図6に示すように、空気通路126は、空気管114の軸線を実質的に横断して延在している。空気通路126、空気管114、および、ガスの加圧供給部は、空気をBFS容器202へと送るための空気回路の一部を形成している。
【0027】
製品管112は、充填管保持ブロック120を軸線方向に通って延在している。少なくとも1つのシールが、製品管112と空気通路126との間の流体連通を妨げるために、充填管保持ブロック120と製品管112との間に存在している。空気通路126への加圧空気の供給部402は、以下でさらに詳細に説明される充填シーケンスに従って、遠隔から始動および停止できる。
図2〜
図5では示していないが、空気回路での空気流の制御は、通常の当業者であれば理解することになるように、例えば、空気回路の1つまたは複数の弁によって達成できることは理解されよう。
【0028】
計測ブロック118は、ノズルブロック122と反対側の充填管保持ブロック120の側面において、充填管保持ブロック120に連結されている。製品通路130が、製品管112の軸線を実質的に横断して延在するように計測ブロック118に形成されている。製品通路130は、マニホールド100の端へと延在しており、前述のように、製品入口106と流体連通している。
【0029】
計測ブロック118に隣接するのは、ダイアフラム132、および、複数のソレノイド104のうちの対応するものである。ダイアフラム132は、一方の側面で製品通路130と流体連通しており、反対の側面で製品管112と流体連通している。ダイアフラム132は、製品管112の上方の開放端を包囲し、製品通路130から製品管112への製品の流れを制御するために計測ブロック118の上面に対して移動する。
【0030】
各々のソレノイド104は、ダイアフラム132の上方に、電気的に稼働されるピストン134を備えている。電力遮断状態では、ピストン134は
図6に示す位置に留まり、その位置でピストン134はダイアフラム132に据え付けられ、これによって、ダイアフラム132は製品通路130と製品管112との間で計測ブロック118に密封接触する。ソレノイド104が電力供給されると、ピストン134は軸線方向において計測ブロック118から離れるように持ち上がる。製品供給通路130における流体の圧力は、ダイアフラム132を軸線方向において計測ブロック118から離れるように変位させ、製品を製品通路130から製品管112へと流すことができる。ソレノイド104が電力遮断されると、ピストン134は
図6に示す位置へと戻り、ダイアフラム132を計測ブロック118に対して再び封止し、それによって入口106から製品管112への製品の流れを遮断する。
【0031】
図7は、
図6で示したマニホールド100の断面の展開図である。
図7は、通気管116と、空気管114と、製品管112との間のシール構築を、より詳細に示している。
図7に示すように、空気管114および製品管112は、ノズルブロック122を通って延在しており、空気管114は第1のOリング140によってノズルブロック122に対して封止されている。第1のOリング140は、ノズルブロック122に形成された第1の座ぐり142に据え付けられている。第1の環状リング144は、第1の座ぐり142に隣接して形成された第2の座ぐり146に据え付けられている。第2の座ぐり146の直径は第1の座ぐり142より大きい。座ぐり148が第1の環状リング144の上側に形成されており、その座ぐり148に、空気管114を包囲する第2のOリング150が据え付けられている。第1のOリング140および第2のOリング150は、ノズルブロック122と充填管保持ブロック120との間の接続によって、第1の環状リング144で封止されている。
【0032】
空気管114および製品管112は充填管保持ブロック120を通って延在し、空気管114は、第3のOリング152と第2の環状リング154とによって、充填管保持ブロック120に対して封止されている。第3のOリング152は、充填管保持ブロック120に形成された第3の座ぐり156に据え付けられている。第2の環状リング154は、第3の座ぐり156に隣接して形成された第4の座ぐり158に据え付けられている。空気管114の流体は、製品管112の外壁と、第2の環状リング154の下面と、第3のOリング152との間で封止される。第4の座ぐり158の直径は第3の座ぐり156より大きい。座ぐり160が第2の環状リング154の上側に形成されており、その座ぐり160に、製品管112を包囲する第4のOリング162が据え付けられている。第3のOリング152および第4のOリング162は、計測ブロック118と充填管保持ブロック120との間の接続によって、第2の環状リング154で封止されている。
【0033】
ここで、本発明の別の態様による前処理工程を、
図8〜
図10を参照して説明する。BFS容器202の製作中に、煙および他の粒子200が、前述のように、開放されたBFS容器202に蓄積する可能性がある。ステップS701では、モールドストップ170が封止されていないBFS容器202の周縁204と接触するまで、充填ノズル102の先端が、開放された容器202内へと導入される。製品管112を通る製品の流れが停止される間、ステップS702では、空気回路からの空気が、充填ノズル102の空気管114を通じて、開放されたBFS容器内へと導入される。好ましくは、導入される空気は、汚染物質が実質的にない無菌の濾過された空気である。一実施形態では、空気は、1平方インチ当たり約50ポンドの圧力で導入される。
【0034】
BFS容器202内に導入された空気は、ステップS702において、空気回路からの空気の導入の前に、BFS容器202の汚染物質200を、容器202にある任意の流体206と共に排除する。空気が容器202内に導入されている間、空気および何らかの汚染物質200、流体206、または、それら両方を含むバルク流れが、BFS容器202から通気回路を通じて排出される。したがって、実質的に汚染物質のない新たな埋め合わせの空気が容器202内へと導入されている間、汚染物質200は、容器202からパージでき、容器202から遠ざかるように案内できる。この構築は、従来の2回路のシステムと比較して、容器202の内部をより完全に適切な条件とすることを提供する。
【0035】
任意選択的に、容器202と流体連通しているマニホールド100の通気ポート110(
図3)のうちの1つが、汚染物質200であって、特にはバルク流れ中の汚染粒子の大きさをモニタリングするように構築されたガスモニタリング装置300に接続される。例えば、一実施形態では、レーザー粒子スキャナがモニタリング装置300として採用されて、排出されるバルク流れの粒子200の大きさを検出する。さらに、一実施形態では、BFS容器202への空気の流れが、モニタリング装置300の測定信号に基づいて制御される。例えば、上記のレーザー粒子スキャナは、汚染物質200の粒子の大きさを決定するために使用でき、粒子の大きさが所定の大きさ未満である場合(ステップS703におけるYES)、BFS容器202への空気の流れがステップS704で遮断される。あるいは、粒子の大きさが所定の大きさを超える場合(ステップS703におけるNO)、BFS容器202への空気の流れは、測定された粒子の大きさが所定の大きさ未満に下がるまで継続される。当業者によって理解されるであろうように、他の制御の方法および/または装置が、BFS容器202への空気の流れを制御するために採用されてもよい。
【0036】
例えば、別の実施形態では、上記のモニタリング装置300の代わりに、空気回路を通る空気の流れは、流れが所定時間の後に遮断されるように、時限装置(図示せず)によって制御され得る。所定時間は、複数のBFS容器用の前処理工程の間に粒子の大きさをモニタリングすることからまとめて作られた実験上のデータに基づくものであってもよい。例えば、上記のモニタリング装置を用いて複数のBFS容器を前処理することを通じて、BFS容器への空気の導入の開始と、通気回路を通るバルク流れにおける粒子の大きさが閾の粒子の大きさに達する時間との間の時間の長さを指し示すデータを蓄積することが可能であり得る。このような時間長さデータが統計的にまとめられて分析され、適切なパージ流量および時間長さを決定して、空気が空気回路を通じて導入されるとき、BFS容器を出るバルク流体におけるあらかじめ定められた最大限許容可能な粒子の大きさであって、BFS容器内部の洗浄度に相関し得る最大限許容可能な粒子の大きさを確保できる。一実施形態では、空気流は、検出された粒子の大きさが0.2ミクロン未満となるまで、空気回路を通じてBFS容器に導入され、その場合、空気圧が50psiでBFS容器の大きさが5から10ミリリットルのとき、流れの時間長さは約1秒間になることが観測された。
【0037】
図10に示すように、ステップS704においてBFS容器202への空気の流れが遮断されると、ステップS705において、ソレノイド104に通電することによって、製品が、製品回路を通じてBFS容器202内へと導入されて、ピストン134を上昇させ、製品がダイアフラム132の周囲を通って製品通路130から充填ノズル102の製品管112へと流れることができる。製品は適切な条件とされたBFS容器202内へと導入され、マニホールド100内の通気ポート110を通じて大気に開放したままとなっている通気回路を通じて、多量のガスをさらに排除する。
【0038】
BFS容器202がステップS705において製品で充填された後、ステップS706において、充填ノズル102がBFS容器202の開口から引き込まれ、ステップS707において、BFS容器202は、従来にBFS製作方法に従って封止される。
【0039】
本発明の例の態様を、例示の実施形態に関して詳細に示して説明した。しかしながら、当業者であれば、形態および詳細における変更が、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなくその中で行われ得ることは理解されよう。
【符号の説明】
【0040】
10a、10b システム
100 マニホールド
102 充填ノズル
104 ソレノイド組立体
106 製品入口
108 接続具
110 通気ポート
112 製品管
112a 製品回路
114 空気管
114a 空気回路
116 通気管
116a 通気回路
118 計測ブロック
120 充填管保持ブロック
122 ノズルブロック
124 通気通路
126 空気通路
130 製品通路
132 ダイアフラム
134 ピストン
140 第1のOリング
142 第1の座ぐり
144 第1の環状リング
146 第2の座ぐり
148、160 座ぐり
150 第2のOリング
152 第3のOリング
154 第2の環状リング
156 第3の座ぐり
158 第4の座ぐり
162 第4のOリング
170 環状フランジ
170 モールドストップ
200 汚染物質
202 BFS容器
206 流体
300 モニタリング装置
401 流体供給部
401 製品供給部
402 空気供給部