特許第6147856号(P6147856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6147856インテグラーゼインヒビターを調製するためのプロセスおよび中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147856
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】インテグラーゼインヒビターを調製するためのプロセスおよび中間体
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/225 20060101AFI20170607BHJP
   C07C 49/84 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 45/68 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 67/27 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 69/738 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 229/34 20060101ALI20170607BHJP
   C07D 215/56 20060101ALI20170607BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170607BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20170607BHJP
   A61K 31/47 20060101ALN20170607BHJP
【FI】
   C07C43/225 CCSP
   C07C49/84 D
   C07C45/68
   C07C67/27
   C07C69/738 Z
   C07C229/34
   C07D215/56
   !C07B61/00 300
   !A61P43/00 111
   !A61K31/47
【請求項の数】26
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2015-525605(P2015-525605)
(86)(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公表番号】特表2015-524822(P2015-524822A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】US2013053295
(87)【国際公開番号】WO2014022707
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年7月25日
(31)【優先権主張番号】61/679,475
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】サイオン, ドミニカ
(72)【発明者】
【氏名】トマシ, キャリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィットコム, マーク チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ダウディー, エリック ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フー, ウェンイー
(72)【発明者】
【氏名】マクラウド, パトリシア
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−539101(JP,A)
【文献】 特表2003−514812(JP,A)
【文献】 SATO, Motohide et al.,Novel HIV-1 Integrase Inhibitors Derived from Quinolone Antibiotics,Journal of Medicinal Chemistry,2006年,49(5),1506-1508
【文献】 SORBERA, L. A.; Serradell, N.,GS-9137: anti-HIV agent HIV integrase inhibitor,Drugs of the Future ,2006年,31(4),310-313
【文献】 De PAULIS, Tomas et al.,Potential neuroleptic agents. 4. Chemistry, behavioral pharmacology, and inhibition of [3H]spiperone binding of 3,5-disubstituted N-[(1-ethyl-2-pyrrolidinyl)methyl]-6-methoxysalicylamides,Journal of Medicinal Chemistry,1986年,29(1),61-69
【文献】 インド特許出願第3042MUM2012号明細書
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化58】
から選択される化合物。
【請求項2】
前記化合物は、
【化59】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物は、
【化60】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式13:
【化61】
の化合物またはその塩を調製する方法であって、該方法は、式8:
【化62】
の化合物を該式13の化合物またはその塩に変換することを含む、方法。
【請求項5】
式8:
【化63】
の化合物を調製する方法であって、該方法は、式5:
【化64】
の化合物をアシル化して、該式8の化合物を提供することを含む、方法。
【請求項6】
前記式5の化合物は、アセチルハロゲン化物でアシル化される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アシル化は、ルイス酸の存在下で実施される、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ルイス酸は、三塩化アルミニウムである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式9:
【化65】
(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物を調製する方法であって、該方法は、式8:
【化66】
の化合物をアシル化して、該式9の化合物を提供することを含む、方法。
【請求項10】
Rは、エチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記式8の化合物は、炭酸ジエチルでアシル化される、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アシル化は、塩基を利用する、請求項9〜11のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記塩基は、金属アルコキシドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
9:
【化67】
(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物を調製するための方法であって、
請求項5〜8のいずれか1項に記載の式8の化合物を調製する方法および該式8の化合物を該式9の化合物に変換することを含む、
方法
【請求項15】
10:
【化68】
(式中、RおよびRは、各々、(C〜C)アルキルであり、そしてRは、(C〜C)アルキルである)の化合物またはその塩を調製するための方法であって、
請求項9または請求項14に記載の式9の化合物を調製するための方法および該式9の化合物を該式10の化合物またはその塩に変換することを含む、
方法
【請求項16】
およびRは、各々、メチルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
11:
【化69】
(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物またはその塩を調製するための方法であって、
請求項15または請求項16に記載の式10の化合物またはその塩を調製するための方法および該式10の化合物またはその塩を該式11の化合物またはその塩に変換することを含む、
方法
【請求項18】
12:
【化70】
(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物またはその塩を調製するための方法であって、
請求項17に記載の式11の化合物またはその塩を調製するための方法および該式11の化合物またはその塩を該式12の化合物またはその塩に変換することを含む、
方法
【請求項19】
13:
【化71】
の化合物またはその塩を調製するための方法であって、
請求項18に記載の式12の化合物またはその塩を調製するための方法および該式12の化合物またはその塩を式13の化合物またはその塩に変換することを含む、
方法
【請求項20】
前記式8の化合物、請求項7に記載方法によって調製される、請求項4に記載の方法。
【請求項21】
前記式8の化合物を前記式13の化合物またはその塩に変換することは、
式8:
【化66】

の化合物をアシル化して、式9:
【化67】

(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物を提供すること、
該式9の化合物を式10:
【化68】

(式中、RおよびRは、各々、(C〜C)アルキルである)の化合物またはその塩に変換すること、
該式10の化合物またはその塩を式11:
【化69】

(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物またはその塩に変換すること、
該式11の化合物またはその塩を式12:
【化70】
(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物またはその塩に変換すること、および
該式12の化合物またはその塩を式13:
【化71】

の化合物またはその塩に変換すること
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項22】
Rは、エチルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記式8の化合物は、炭酸ジエチルでアシル化される、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アシル化は、塩基を利用する、請求項21〜23のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記塩基は、金属アルコキシドである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
およびRは、各々、メチルである、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2012年8月3日に出願された米国仮出願第61/679,475号に対する優先権、および上記米国仮出願の利益を主張し、その開示は、これにより、その全体が参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
特許文献1は、HIVインテグラーゼインヒビターとして有用である特定の4−オキソキノロン化合物を提供する。上記化合物は、抗HIV剤として有用であることが報告されている。
【0003】
特許文献2は、これらの4−オキソキノロン化合物(すなわち、6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−[(S)−1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル]−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノロン−3−カルボン酸)のうちの1つの特定の具体的な結晶性形態を提供する。上記具体的な結晶性形態は、上記化合物の他の物理的形態と比較して、優れた物理的および化学的安定性を有することが報告されている。
【0004】
特許文献3および特許文献4は、特許文献1および特許文献2に報告されている4−オキソキノロン化合物を調製する方法を記載している。
現在のところ、特許文献1において、および特許文献2において報告されている4−オキソキノロン化合物を調製する改善された方法の必要性が存在する。特に、実施することがより簡単もしくはより安価であるか、またはより少ない合成ステップを必要とするか、または増大した収量を提供するか、または毒性もしくは費用のかかる試薬の使用を排除するか、または出発材料が、より使用し易い、もしくはより精製し易い、新しい合成方法の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2004/046115号
【特許文献2】国際公開第2005/113508号
【特許文献3】国際公開第2009/036161号
【特許文献4】国際公開第2008/033836号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、国際特許出願公開第WO 2004/046115号において、および国際特許出願公開第WO 2005/113508号において報告されている4−オキソキノロン化合物を調製するために有用な、新しい合成プロセスおよび合成中間体を提供する。式13の化合物は、1つのそのようなキノロン化合物である。特に、本発明の新しい合成プロセスおよび中間体は、式13の化合物を調製するために使用される中間体(例えば、式9の化合物)を調製するために有用である。
【0007】
従って、1つの実施形態において、本発明は、
【化1】
から選択される化合物を提供する。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、化合物:
【化2】
を提供する。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、化合物:
【化3】
を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、式13:
【化4】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、上記方法は、式8:
【化5】
の化合物を式13の化合物またはその塩に変換することをに含む。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、式13:
【化6】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、上記方法は、式4:
【化7】
の化合物を式13の化合物またはその塩に変換することを含む。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、式13:
【化8】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、上記方法は、式5:
【化9】
の化合物を式13の化合物またはその塩に変換することを含む。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、式13:
【化10】
の化合物またはその塩を調製する方法を提供し、上記方法は、式2:
【化11】
(式中、Rは、ハロゲンである)の化合物を式13の化合物またはその塩に変換することを含む。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、式9:
【化12】
(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物を調製する方法を提供し、上記方法は、式8:
【化13】
の化合物をアシル化して、式9の化合物を提供することを含む。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、式8:
【化14】
の化合物を調製する方法を提供し、上記方法は、式5:
【化15】
の化合物をアシル化して、式8の化合物を提供することを含む。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、式5:
【化16】
の化合物を調製する方法を提供し、上記方法は、式4:
【化17】
の化合物を式5の化合物に還元することを含む。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、式5:
【化18】
の化合物を調製する方法を提供し、上記方法は、式6:
【化19】
の化合物をアリール化して、式5の化合物を提供することを含む。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、式4:
【化20】
の化合物を調製する方法を提供し、上記方法は、式2:
【化21】
(式中、Rは、ハロゲンである)の化合物を式4の化合物に変換することを含み、式2の化合物が式3:
【化22】
の化合物と反応させられて、式4の化合物を提供することを特徴とする。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、式4:
【化23】
の化合物を調製する方法を提供し、上記方法は、式1:
【化24】
の化合物またはその塩をアリール化して、式4の化合物を提供することを含み、式1の化合物またはその塩が式3:
【化25】
の化合物でアリール化されて、式4の化合物を提供することを特徴とする。
【0020】
本発明は、4−オキソキノロン化合物を調製するために有用である本明細書中に開示される他の合成プロセスおよび合成中間体も提供する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
【化58】

から選択される化合物。
(項目2)
前記化合物は、
【化59】

である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
前記化合物は、
【化60】

である、項目1に記載の化合物。
(項目4)
式13:
【化61】

の化合物またはその塩を調製する方法であって、該方法は、式8:
【化62】

の化合物を該式13の化合物またはその塩に変換することを含む、方法。
(項目5)
式8:
【化63】

の化合物を調製する方法であって、該方法は、式5:
【化64】

の化合物をアシル化して、該式8の化合物を提供することを含む、方法。
(項目6)
前記式5の化合物は、アセチルハロゲン化物でアシル化される、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記アシル化は、ルイス酸の存在下で実施される、項目5または項目6に記載の方法。
(項目8)
前記ルイス酸は、三塩化アルミニウムである、項目7に記載の方法。
(項目9)
式9:
【化65】

(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物を調製する方法であって、該方法は、式8:
【化66】

の化合物をアシル化して、該式9の化合物を提供することを含む、方法。
(項目10)
Rは、エチルである、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記式8の化合物は、炭酸ジエチルでアシル化される、項目9または項目10に記載の方法。
(項目12)
前記アシル化は、塩基を利用する、項目9〜11のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記塩基は、金属アルコキシドである、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記式8の化合物を式9:
【化67】

(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物に変換することをさらに含む、項目5〜8のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記式9の化合物を式10:
【化68】

(式中、RおよびRは、各々、(C〜C)アルキルである)の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、項目9または項目14に記載の方法。
(項目16)
およびRは、各々、メチルである、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記式10の化合物またはその塩を式11:
【化69】

の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、項目15または項目16に記載の方法。
(項目18)
前記式11の化合物またはその塩を式12:
【化70】

の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記式12の化合物またはその塩を式13:
【化71】

の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
項目9〜13または15〜19のうちのいずれか一項に記載される方法のうちの任意ものによって、前記式8の化合物またはその塩を前記式13の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、項目4に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
以下の定義は、そうでないと記載されない限り使用される。ハロゲン、ハロゲン化物、またはハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。アルキルは、直鎖基または分枝鎖基の両方を示すが、個々のラジカル(例えば、プロピル)への参照は、直鎖ラジカルのみを含み、分枝鎖異性体(例えば、イソプロピル)は、具体的に言及される。
【0022】
キラル中心を有する化合物が、光学活性形態およびラセミ形態において存在し得、ならびに光学活性形態およびラセミ形態において単離され得ることが当業者によって認識される。いくつかの化合物は、多形を示し得る。本発明は、本明細書中に記載される化合物の任意のラセミ形態、光学活性形態、多形形態、互変異性体形態、または立体異性体形態、あるいはそれらの混合物を調製するプロセスを包含することが理解されるべきであり、どのように光学活性形態を調製するかは、当該分野において周知である(例えば、再結晶技術によるラセミ形態の分割によって、光学活性な出発材料からの合成によって、キラル合成によって、またはキラル固定相を用いたクロマトグラフ分離によって)。
【0023】
本明細書中に表される化合物が絶対立体配置で示されていても示されていなくてもよいことも理解されるべきである。化合物が立体配置結合(例えば、実線、実線−くさび、または破線、または破線−くさびの結合)で描かれる場合、示される特定の立体異性体(例えば、ジアステレオ異性体、または鏡像異性体)であることが意味される。従って、適用可能である場合、1つの実施形態において、本明細書中に表される化合物の立体異性体は、その立体異性体において約>99%富化される。別の実施形態において、本明細書中に表される化合物の立体異性体は、その立体異性体において約>98%富化される。別の実施形態において、本明細書中に表される化合物の立体異性体は、その立体異性体において約>95%富化される。別の実施形態において、本明細書中に表される化合物の立体異性体は、その立体異性体において約>90%富化される。別の実施形態において、本明細書中に表される化合物の立体異性体は、その立体異性体において約>80%富化される。別の実施形態において、本明細書中に表される化合物の立体異性体は、その立体異性体において約>70%富化される。別の実施形態において、本明細書中に表される化合物の立体異性体は、その立体異性体において約>60%富化される。別の実施形態において、本明細書中に表される化合物の立体異性体は、その立体異性体において約>50%富化される。
【0024】
本明細書中で識別される化合物が、安定な酸性塩または塩基性塩を形成するために十分に塩基性または酸性である場合、本発明はまた、そのような化合物の塩を提供する。そのような塩は、例えば、そのような化合物を精製するために、中間体として有用であり得る。有用な塩の例としては、酸で形成される有機酸付加塩(例えば、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、およびα−グリセロリン酸塩)が挙げられる。適切な無機塩も形成され得、それには、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、および炭酸塩が挙げられる。
【0025】
塩は、当該分野において周知である標準手順を用いて、例えば、十分に塩基性の化合物(例えば、アミン)を、アニオンを提供する適切な酸と反応させることによって得られ得る。例えば、カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、もしくはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウムもしくはマグネシウム)塩も作製され得る。
【0026】
ラジカル、置換基、および範囲について以下に列挙される具体的で好ましい値(value)は、例示のためのみであり、それらは、ラジカルおよび置換基について、他の定義される値または定義される範囲内の他の値を除外しない。
【0027】
特に、(C〜C)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、またはヘキシルであり得る。
【0028】
についての具体的な値は、Clである。
【0029】
Rについての具体的な値は、エチルである。
【0030】
Rについての具体的な値は、メチルまたはエチルである。
【0031】
Rについての具体的な値は、メチルである。
【0032】
についての具体的な値は、メチルである。
【0033】
についての具体的な値は、メチルである。
【0034】
スキーム1は、式9の化合物を調製するために有用である本発明の一般的な方法を概説する。本明細書中に記載される式9の化合物を調製する方法は、文献(国際特許出願公開第WO 2004/046115号および国際特許出願公開第WO 2005/113508号)に記載される式9の化合物を調製するために使用される方法よりもより少ないステップを必要とし、より効率的であり、従って、以前の方法と比較して顕著な改善を表している。さらに、本明細書中に記載される式9の化合物を調製する方法において使用される出発材料は、有利な特性を有し、それには、使用の容易さ、および精製の容易さが挙げられる。
【化26】
式4の化合物の調製(スキーム2)。
【化27】
【0035】
国際公開第WO 2004/031159号は、2−フルオロ−3−クロロ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミドおよび2,4−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミドからの式4の化合物の調製を記載している。本発明は、WO 2004/031159の方法と比較して、化合物4を作製する改善された方法を含む(スキーム2)。現在の方法の利点としては、化合物1を化合物4に変換するためのより少ないステップと、化合物1、化合物2(例えば、化合物2a)、および化合物3を、これらの化合物のより複雑な誘導体と比較して、直接使用することとが挙げられる。例えば、WO 2004/031159中で議論される方法は、化合物3の有機金属中間体(すなわち、2,4−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミド)を必要とする。そのような有機金属誘導体は、特定の望ましくない特性を有し得る。対照的に、本発明は、化合物3を直接利用し、このことはまた、有機金属試薬を調製する余分なステップを排除する。さらに文献の方法は、化合物4を調製するために、化合物1または化合物2のアミド誘導体(すなわち、2−フルオロ−3−クロロ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド)の使用を必要とし、対照的に、本方法は、化合物1および化合物2(例えば、化合物2a)を直接利用する。
【0036】
1つの実施形態において、本発明は、式1の化合物またはその塩を式4の化合物に変換する方法を提供する。特定の実施形態において、式1の化合物またはその塩を式4の化合物に変換する方法が本明細書中で提供され、上記方法は、有機金属試薬を用いない。1つの局面において、式4の化合物は、式1の化合物またはその塩をハロゲン化剤と反応させて、式2の化合物を提供すること、およびルイス酸の存在下で式2の化合物を式3の化合物と接触させて、式4の化合物を提供することによって得られ、ここで接触ステップは、化合物3の有機金属中間体を用いない。別の実施形態において、本発明は、式2の化合物を式4の化合物に変換する方法を提供し、ここでRは、ハロである。Rについての具体的な値は、クロロである(すなわち、化合物2a)。別の実施形態において、本発明は、式1の化合物またはその塩を式4の化合物に変換する方法を提供し、ここでa)式1の化合物またはその塩は、式2の化合物に変換され、b)式2の化合物は、式4の化合物に変換される。
【0037】
式1の化合物またはその塩は、カルボキシ基を酸ハロゲン化物基に変換するために利用可能である多様な適切なハロゲン化剤によって、式2の化合物(式2aの化合物が挙げられる)に変換され得る。例えば、式1の化合物またはその塩は、カルボキシ基を酸塩化物基に変換するために利用可能である多様な適切な試薬によって、式2aの化合物に変換され得、この試薬としては、塩化オキサリル/N,N−ジメチルホルムアミド、塩化チオニル/N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルモノクロロシラン、および五塩化リンが挙げられるが、これらに限定されない。適切な溶媒としては、非プロトン有機溶媒(例えば、ハロゲン化有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、またはそれらの混合物)および芳香族溶媒(例えば、トルエン))が挙げられる。反応は、約10℃〜約30℃の温度で都合よく実施され得る。式2の化合物(例えば、式2aの化合物)は、式2の化合物の単離なしで式4の化合物に変換され得る(例えば、式2の化合物が直接利用され得る)。従って、(上に記載されるように)式2の化合物が調製された溶媒および試薬を含む溶液または混合物としての式2の化合物は、下の段落に記載されるように、式4の化合物に変換され得る。式2の化合物はまた、必要に応じて単離され得、必要に応じて精製され得、その後、下の段落に記載されるように、式4の化合物に変換され得る。
【0038】
式2の化合物(例えば、式2aの化合物)は、上の段落に記載されるように、式2の化合物(例えば、それが調製された溶媒を伴う溶液または混合物として)を、溶媒中の式3の化合物とルイス酸との混合物(例えば、スラリー)または溶液に添加することによって、式4の化合物に変換され得る。
【0039】
式3の化合物とルイス酸との混合物(例えば、スラリー)または溶液は、最初に有機溶媒においてルイス酸の混合物を調製することによって調製され得る。適切なルイス酸としては、塩化アルミニウム、無水塩化鉄、塩化インジウム(III)、塩化スズ(IV)、塩化ビスマス、コバルト(III)アセチルアセトネート、イッテルビウムトリフレート、硫酸鉄(III)、二塩化二酸化モリブデン(VI)、Amberlyst−15、ビスマス(III)トリフレート、亜鉛トリフレート、塩化スズ(II)、塩化亜鉛、スカンジウムトリフレート、酸化亜鉛、スズ(II)トリフレート、インジウム(III)トリフレート、ガリウム(III)トリフレート、およびハフニウムトリフレートが挙げられるが、これらに限定されない。適切な溶媒としては、有機溶媒(例えば、芳香族溶媒(例えば、トルエン)、およびハロゲン化有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、またはそれらの混合物))が挙げられる。溶媒へのルイス酸の添加は、多様な温度(例えば、約0℃〜約30℃)で都合よく実施されることにより、混合物(例えば、スラリー)または溶液を提供し得る。溶媒中のルイス酸の混合物(例えば、スラリー)または溶液は、次に、必要に応じて約0℃〜5℃に冷却され得、その時点で式3の化合物が添加される。本発明の特定の実施形態において、温度は、ルイス酸−溶媒への式3の化合物の添加中、約28℃に維持されるか、または約28℃より下に維持される。本発明の特定の実施形態において、温度は、式2の化合物の添加前に0℃〜5℃に調整される。
【0040】
式2の化合物(上に記載される溶液として、または単離された化合物としてのいずれか)は、次に、溶媒中の式3の化合物とルイス酸との混合物(例えば、スラリー)または溶液に添加され得る。本発明の特定の実施形態において、式2の化合物と式3の化合物との反応の温度は、約28℃に維持されるか、または約28℃より下に維持される。
【化28】
【0041】
式1の化合物またはその塩はまた、式3の化合物と合わせることによって、および適切な脱水アシル化試薬を用いることによって、式4の化合物に変換され得る(スキーム3)。適切な脱水アシル化試薬としては、例えば、五酸化リン/HMDS、五酸化リン/二酸化ケイ素メタンスルホン酸/五酸化リン、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ポリリン酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物/ビスマス(III)トリフレートまたはスカンジウムトリフレート、トリフルオロ酢酸無水物/三フッ化ホウ素ジエチルエーテレートまたはテトラヒドロフレート、トリフルオロメタンスルホン酸無水物/三フッ化ホウ素ジエチルエーテレートまたはテトラヒドロフレート、トリフルオロ酢酸無水物/リン酸が挙げられる。適切な溶媒としては、非プロトン有機溶媒(例えば、ハロゲン化有機溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン)、およびニトロメタン)が挙げられる。反応は、約0℃〜約50℃の温度で都合よく実施され得る。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、式4の化合物を式13の化合物またはその塩に変換する方法をさらに提供し、上記方法は、
a)例えば、スキーム4、6、および7において概説され、本明細書中で以下に記載されるステップによって、式4の化合物を式9の化合物に変換することと、
b)例えば、スキーム8〜12において概説され、本明細書中で以下に記載されるステップのうちの任意のものによって、式9の化合物を式13の化合物またはその塩に変換することと
を含む。
式5の化合物の調製(スキーム4)。
【化29】
【0043】
1つの実施形態において、本発明は、式4の化合物を式5の化合物に還元する方法を提供する(スキーム4)。式4の化合物は、多様な異なる還元剤で還元されることにより、式5の化合物を提供し得る。適切な還元剤としては、塩化アルミニウム/ボランtert−ブチルアミン複合体、塩化アルミニウム/水素化アルミニウムリチウム、トリフルオロ酢酸/テトラメチルジシロキサン、メタンスルホン酸/テトラメチルジシロキサン、トリフルオロ酢酸/ヨウ素、リン酸/ヨウ素、酢酸/ヨウ素、酢酸−トリフルオロ酢酸/ヨウ素、テトラメチルジシロキサン/塩化アルミニウム、トリエチルシラン/トリフルオロ酢酸、テトラメチルジシロキサン/トリフルオロ酢酸/五酸化リン、テトラメチルジシロキサン/塩化チタン、およびヨウ化亜鉛/シアノ水素化ホウ素ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。別の適切な還元剤は、三フッ化ホウ素(例えば、三フッ化ホウ素エーテレート)/水素化ホウ素ナトリウムである。また、本発明に含まれるのは、任意の適切なホウ素剤であり、それには、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテレート、三フッ化ホウ素メチルスルフィド、三フッ化ホウ素脱水物、三フッ化ホウ素tert−ブチルメチルエーテル、三フッ化ホウ素酢酸、三フッ化ホウ素アセトニトリル、三フッ化ホウ素リン酸、三フッ化ホウ素イソホロンジアミン、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル、アルミナ上の三フッ化ホウ素ジエーテレート、および三フッ化ホウ素エチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。適切な溶媒としては、有機溶媒、例えば、極性プロトン溶媒および極性非プロトン溶媒、ハロゲン化溶媒および芳香族溶媒(例えば、トルエン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、エタノール、クロロベンゼン、ジクロロメタン、エタノール、およびニトロメタン)が挙げられる。特定の溶媒が、特定の還元剤について好ましいことが容易に理解されるべきである。反応は、約−20℃〜約30℃の温度で都合よく実施され得る。式5の化合物は、スキーム6において以下に記載される5から8への変換のために、適切な溶媒(例えば、式5の化合物が調製された溶媒)において、単離された形態で、または溶液として都合よく使用され得る。
【化30】
【0044】
式5の化合物はまた、式6の化合物を式5の化合物に変換することによって調製され得る(スキーム5)。従って、1つの実施形態において、本発明は、式6の化合物を式5の化合物に変換する方法を提供する。最初に式6の化合物を活性化化合物(例えば、亜鉛化合物)(例えば、化合物7)に変換し、次に、化合物7が式5の化合物に変換されることによって、式6の化合物は、式5の化合物に変換され得る。化合物7の調製のための適切な試薬としては、亜鉛試薬(例えば、Zn/TMSCl/1,2−ジブロモエタン)が挙げられるが、これに限定されない。化合物7を化合物5に変換するための適切な試薬としては、触媒(例えば、パラジウム触媒(例えば、Pddba))が挙げられるが、これに限定されない)、およびリガンド(例えば、ホスフィンベースのリガンド(例えば、トリフェニルホスフィン)が挙げられるが、これに限定されない)が挙げられる。適切な溶媒としては、有機溶媒、例えば、極性非プロトン溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)が挙げられるが、これに限定されない。反応は、約0℃〜約65℃の温度において、都合よく実施され得る。
【0045】
別の実施形態において、本発明は、式5の化合物から式13の化合物またはその塩への変換の方法をさらに提供し、上記方法は、
a)例えば、スキーム6および7に概説され、本明細書中で以下に記載されるステップによって、式5の化合物を式9の化合物に変換することと、
b)例えば、スキーム8〜12に概説され、本明細書中で以下に記載されるステップのうちの任意のものによって、式9の化合物を式13の化合物またはその塩に変換することと
を含む。
式8の化合物の調製(スキーム6)。
【化31】
【0046】
1つの実施形態において、本発明は、式5の化合物をアシル化して、式8の化合物を提供する方法を提供する。式5の化合物は、多様な異なるルイス酸を用いて、アセチルハロゲン化物(例えば、塩化アセチル)でアシル化され得る。適切なルイス酸としては、塩化アルミニウム、無水塩化鉄、塩化インジウム(III)、塩化スズ(IV)、塩化ビスマス、コバルト(III)アセチルアセトネート、イッテルビウムトリフレート、硫酸鉄(III)、二塩化二酸化モリブデン(VI)、Amberlyst−15、ビスマス(III)トリフレート、亜鉛トリフレート、塩化スズ(II)、塩化亜鉛、スカンジウムトリフレート、酸化亜鉛、スズ(II)トリフレート、インジウム(III)トリフレート、ガリウム(III)トリフレート、ハフニウムトリフレートが挙げられる。適切な溶媒としては、有機溶媒、例えば、非プロトン有機溶媒、ハロゲン化溶媒、および芳香族溶媒(例えば、トルエン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、およびニトロメタン)が挙げられる。反応は、約−20℃〜約30℃の温度で都合よく実施され得る。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、式8の化合物から式13の化合物またはその塩への変換の方法をさらに提供し、上記方法は、
a)例えば、スキーム7に概説され、本明細書中で以下に記載されるステップによって、式8の化合物を式9の化合物に変換することと、
b)例えば、スキーム8〜12に概説され、本明細書中で以下に記載されるステップのうちの任意のものによって、式9の化合物を式13の化合物またはその塩に変換することと、
を含む。
式9の化合物の調製(スキーム7)。
【化32】
【0048】
1つの実施形態において、本発明は、式8の化合物をアシル化して、式9の化合物を提供する方法を提供し、式中、Rは、(C〜C)アルキルである(スキーム7)。Rについての具体的な値は、エチルである。Rについての別の具体的な値は、メチルである。式8の化合物は、多様な異なるアシル化試薬および塩基でアシル化され得る。適切なアシル化試薬としては、ジアルキルカーボネート、例えば、((C〜C)アルキルO)(C=O)(例えば、炭酸ジエチル)が挙げられる。適切な塩基としては、有機塩基および無機塩基(例えば、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムt−アミレート、カリウムt−アミレート、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド)が挙げられる。適切な溶媒としては、有機溶媒、例えば、非プロトンおよびプロトン有機溶媒、ならびに芳香族溶媒(例えば、tert−ブチルメチルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、トルエン/テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル/テトラヒドロフラン、n−ブタノール、ジメチルスルホキシド)が挙げられる。反応は、約10℃〜約50℃の温度で都合よく実施され得る。
【0049】
別の実施形態において、本発明は、例えば、スキーム8〜12に概説され、本明細書中で以下に記載されるステップのうちの任意のものによって、(式8の化合物からの)式9の化合物から式13の化合物またはその塩への変換の方法をさらに提供する。
式13の化合物の調製(スキーム8)。
【0050】
式9の化合物は、式13の化合物に変換され得、式中、RおよびRは、各々、独立して(C〜C)アルキルであり、Rは、(C〜C)アルキルであり、国際特許出願第WO2009/036161号(8頁〜26頁)において、および国際特許出願第WO2008/033836号(9頁〜34頁)に記載される手順に従う。国際特許出願第WO2009/036161号(特に8頁〜26頁)および国際特許出願第WO2008/033836号(特に9頁〜34頁)の内容全体は、本明細書中で参考として援用される。スキーム8は、全体としてこれらの手順を概説し、スキーム9〜12は、個々のステップを記載している。
【化33】
式10の化合物の調製(スキーム9)。
【化34】
【0051】
式9の化合物またはその塩は、対応する式10の化合物に変換され得、式中、RおよびRは、各々、独立して(C〜C)アルキルであり、Rは、(C〜C)アルキルである。Rについての1つの具体的な値は、メチルである。Rについての1つの具体的な値は、メチルである。Rについての具体的な値は、エチルである。Rについての別の具体的な値は、メチルである。1つの局面において、RおよびRは、メチルであり、Rは、エチルである。式9の化合物は、ホルメート基ドナー(例えば、ジメチルホルムアミドジアルキルアセタール(例えば、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール))での処理によって、活性化アルキリデンアナログ(例えば、式10の化合物)に変換され得る。反応は、おおよそ室温で、または高温(例えば、約100℃±50℃)で実施され得る。この反応は、酸触媒(例えば、アルカン酸、安息香酸、スルホン酸、または鉱酸など)の添加によって加速され得る。約500ppm〜1%の酢酸が都合よく使用され得る。反応の進行は、任意の適切な技術によって(例えば、HPLCによって)監視され得る。式10の化合物は、単離され得るか、またはそれは、以下に記載されるように、式11の化合物を調製するために、直接使用され得る。
式11の化合物の調製(スキーム10)。
【化35】
【0052】
化合物10は、(S)−2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール(S−Valinol、約1.1当量)と合わせられて、化合物11を提供し得る。反応の進行は、任意の適切な技術によって(例えば、HPLCによって)監視され得る。式11の化合物は、単離され得るか、または以下に記載されるように、式12の化合物を調製するために、直接使用され得る。
式12の化合物の調製(スキーム11)。
【化36】
【0053】
式11の化合物は、シリル化試薬(例えば、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドまたはヘキサメチルジシラザン)での処理によって、環化されて、式12の化合物を提供し得る。反応は、極性非プロトン溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンまたはアセトニトリル)において行われ得る。塩(例えば、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、または塩化マグネシウム)は、反応を加速させるために、必要に応じて添加され得る。反応は、都合のよい反応時間を得る必要がある場合、高温(例えば、約100℃±20℃の温度)で行われ得る。反応の進行は、任意の適切な技術によって(例えば、HPLCによって)監視され得る。後処理中、シリル化試薬と化合物11のアルコール部分との反応に起因して形成する任意のシリルエーテルを加水分解するために、酸が使用され得る。代表的な酸としては、鉱酸、スルホン酸、またはアルカン酸が挙げられる。使用され得る1つの具体的な酸は、水性塩酸である。加水分解の完了時、化合物12は、任意の適切な方法によって(例えば、クロマトグラフィーによって、または結晶化によって)単離され得る。上記変換において、シリル化試薬は、一時的にアルコールを保護し、その後、除去される。これは、別個の保護ステップおよび脱保護ステップの必要性を排除し、それにより、変換の効率を増大させる。
式13の化合物の調製(スキーム12)。
【化37】
【0054】
式12の化合物は、適切な塩基(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、または水酸化リチウム)での処理によって、式13の化合物に変換され得る。例えば、約1.3当量の水酸化カリウムが、都合よく使用され得る。この反応は、任意の適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノールもしくはイソプロパノール、またはそれらの混合物など)において行われ得る。溶媒は、水も含み得る。イソプロパノールと水との混合物が都合よく使用され得る。反応の進行は、任意の適切な技術によって(例えば、HPLCによって)監視され得る。最初に形成されるカルボン酸塩は、酸(例えば、塩酸または酢酸)での処理によって中和され得る。例えば、約1.5当量の酢酸が、都合よく使用され得る。中和後、式13の化合物は、任意の適切な技術を用いて(例えば、クロマトグラフィーによって、または結晶化によって)単離され得る。
【0055】
式13の化合物は、式13の化合物を含む溶液に種結晶を添加することによって、結晶化され得る。国際特許出願公開第WO 2005/113508号は、6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−[(S)−1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル]−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノロン−3−カルボン酸の特定の具体的な結晶性形態を提供する。国際特許出願公開第WO 2005/113508号の内容全体は、本明細書中で参考として援用される(特に、この国際特許出願公開における12頁〜62頁を参照のこと)。具体的な結晶性形態は、上記国際特許出願公開において、結晶形IIおよび結晶形IIIとして識別される。結晶形IIは、X−線粉末回折計によって測定される場合、6.56、13.20、19.86、20.84、21.22、および25.22の回折角度2θ(°)において特徴的な回折ピークを有するX−線粉末回折パターンを有する。結晶形IIIは、X−線粉末回折計によって測定される場合、8.54、14.02、15.68、17.06、17.24、24.16、および25.74の回折角度2θ(°)において特徴的な回折ピークを有するX−線粉末回折パターンを有する。国際特許出願公開第WO 2005/113508号はまた、約162.1℃の外挿開始温度を有する6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−[(S)−1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル]−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノロン−3−カルボン酸の結晶性形態をどのように調製するか、ならびに約70%以上の結晶の純度を有する種結晶をどのように調製するかを記載している。従って、6−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−1−[(S)−1−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル]−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノロン−3−カルボン酸の種結晶は、必要に応じて、国際特許出願公開第WO 2005/113508号に記載されるように調製され得る。有利には、上記スキーム8に例示されるプロセスは、式13の化合物の粗製混合物を提供し、この粗製混合物は、さらなる精製なしで(例えば、別の多形(例えば、結晶形II)の事前の形成なしで、または事前の精製の、ある他の形態なしで)、直接結晶化されて、結晶形IIIを提供し得る。
列挙される実施形態
【0056】
以下の列挙される実施形態は、本発明のいくつかの局面の代表的なものである。
1.
【化38】
から選択される化合物。
2. 上記化合物は、
【化39】
である、実施形態1に記載の化合物。
3. 上記化合物は、
【化40】
である、実施形態1に記載の化合物。
4. 式13:
【化41】
の化合物またはその塩を調製する方法であって、該方法は、式8:
【化42】
の化合物を該式13の化合物またはその塩に変換することを含む、方法。
5. 式8:
【化43】
の化合物を調製する方法であって、該方法は、式5:
【化44】
の化合物をアシル化して、該式8の化合物を提供することを含む、方法。
6. 上記式5の化合物は、アセチルハロゲン化物でアシル化される、実施形態5に記載の方法。
7. 上記アシル化は、ルイス酸の存在下で実施される、実施形態5または実施形態6に記載の方法。
8. 上記ルイス酸は、三塩化アルミニウムである、実施形態7に記載の方法。
9. 式9:
【化45】
(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物を調製する方法であって、該方法は、式8:
【化46】
の化合物をアシル化して、該式9の化合物を提供することを含む、方法。
10. Rは、エチルである、実施形態9に記載の方法。
11. 上記式8の化合物は、炭酸ジエチルでアシル化される、実施形態9または実施形態10に記載の方法。
12. 上記アシル化は、塩基を利用する、実施形態9〜11のうちのいずれか1つに記載の方法。
13. 上記塩基は、金属アルコキシドである、実施形態12に記載の方法。
14. 上記式8の化合物を式9:
【化47】
(式中、Rは、(C〜C)アルキルである)の化合物に変換することをさらに含む、実施形態5〜8のうちのいずれか1つに記載の方法。
15. 上記式9の化合物を式10:
【化48】
(式中、RおよびRは、各々、(C〜C)アルキルである)の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、実施形態9または実施形態14に記載の方法。
16. RおよびRは、各々、メチルである、実施形態15に記載の方法。
17. 上記式10の化合物またはその塩を式11:
【化49】
の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、実施形態15または実施形態16に記載の方法。
18. 上記式11の化合物またはその塩を式12:
【化50】
の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、実施形態17に記載の方法。
19. 上記式12の化合物またはその塩を式13:
【化51】
の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、実施形態18に記載の方法。
20. 実施形態9〜13または15〜19のうちのいずれか1つに記載される方法のうちの任意ものによって、上記式8の化合物またはその塩を上記式13の化合物またはその塩に変換することをさらに含む、実施形態4に記載の方法。
【実施例】
【0057】
次に、本発明を、以下の非限定的な実施例によって例示する。
実施例1:(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−2,4−ジメトキシフェニル)−メタノン(4)の調製。
【化52】
【0058】
3−クロロ−2−フルオロ安息香酸(1当量)を、トルエン(3.23体積)および触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(0.1当量)と合わせ、撹拌してスラリーを形成した。混合物の温度を28℃以下に維持しながら、スラリーに塩化オキサリル(1.1当量)をゆっくり満たした。混合物を19℃〜25℃で撹拌し、酸塩化物への変換をHPLCによって監視した。
【0059】
別個の容器において、塩化アルミニウム(1.3当量)をトルエン(1.85体積)と合わせた。混合物を撹拌してスラリーを形成した。スラリーを0℃〜5℃に冷却し、その後、温度を28℃以下に維持しながら1,3−ジメトキシベンゼン(1.3当量)をゆっくり添加した。1,3−ジメトキシベンゼンの添加後、混合物の内容物を0℃〜5℃に調整した。
【0060】
酸塩化物の形成が完了すると、温度を28℃以下に維持しながら、それを塩化アルミニウムと1,3−ジメトキシベンゼンとの混合物に添加した。添加の完了後、混合物を19℃〜25℃に温め、完全な変換がHPLCによって観測されるまで撹拌した。次に、混合物を冷水(5体積、5℃〜10℃における)にゆっくり移すことによって、反応をクエンチし、一方で、クエンチした混合物の温度を28℃以下に維持した。有機相を分離し、10%ブライン溶液(4体積)で洗浄し、次に、水性塩化ナトリウム−水酸化アンモニウム混合物(4体積の水、0.5体積の塩化ナトリウム、および0.22体積の28%水酸化アンモニウム)で洗浄した。有機相を分離し、減圧蒸留によって濃縮した。減圧下で共蒸発によって、溶媒を2−プロパノールに交換した。ヘプタン(4.39体積)をスラリー混合物に満たし、0℃〜6℃に冷却した。固体を濾過によって収集し、湿潤ケークを2−プロパノールとヘプタンとの混合物で洗浄した。湿潤固体を40℃以下にて減圧下で乾燥させて、約70%の化合物4をオフホワイトから薄い茶色の固体として得た。
【数1】
実施例2:(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−2,4−ジメトキシフェニル)メタノン(4)の調製。
【化53】
【0061】
クロロベンゼン(8体積)と五酸化リン(3.3当量)とを混合して、スラリー混合物を周囲温度で形成した。HMDS(2.7当量)を、1回で添加し、その後、すすぐために、さらなるクロロベンゼン(2体積)を添加した。得られた混合物を80℃に温め、同じ温度で1時間撹拌した。次に、3−クロロ−2−フルオロ安息香酸(1.0当量)と、1,3−ジメトキシベンゼン(1.05当量)と、クロロベンゼン(300mL)とを別個のフラスコ中で混合した。得られたスラリーを110℃〜120℃に加熱し、透明な溶液を得た。バッチ温度を同じ範囲に保持しながら、上で調製したPPSE溶液(CFBAに対して2.5当量)を滴下漏斗を介して30分にわたって添加した。全てのPPSEを添加すると、反応混合物を120℃で16時間加熱した。反応が完了すると、バッチを室温に冷却し、撹拌しながらiBuOH(4体積)およびヘプタン(4体積)で希釈した。水(4体積)を撹拌しながら添加し、バッチの色が濃い紫色から濃いオレンジ色に徐々に変化した。層を分離し、底部層を除去した。上部有機層を、10%NaEDTA水性溶液および水で連続して洗浄した。有機層を約2体積まで濃縮し、iBuOHでフラッシュして、クロロベンゼンのほとんどを除去した。濃縮した粗生成物溶液を室温で撹拌し、播種した。さらなるiBuOHを30分間にわたって添加し、得られたスラリーを室温で一晩撹拌した。スラリーにヘプタンを1時間にわたって添加し、スラリーを室温で2時間撹拌し、次に、0℃〜5℃で1時間撹拌した。スラリーを濾過し、フラスコ中の残留固体を冷母液ですすいだ。湿潤ケークを冷10/90(iBuOH/ヘプタン)で洗浄し、その後、冷ヘプタンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。化合物4を、実施例1の化合物4に合致したH NMR特徴付けデータを有する単離したベージュ色の固体として約60%で得た。
実施例3:1−クロロ−3−(2,4−ジメトキシベンジル)−2−フルオロベンゼン(5)の調製。
【化54】
【0062】
THF(5体積)および亜鉛末(2.4当量)を窒素下で丸底フラスコに満たした。スラリーを60℃に加熱し、15分間保持した。1,2−ジブロモエタン(0.2当量)を添加し、混合物を60℃で30分間撹拌した。混合物を周囲温度に冷却し、その後、0.4当量のクロロトリメチルシランを添加した。THF中に溶解させた3−クロロ−2−フルオロベンジルブロミド(2.0当量)を2時間にわたって0℃で添加した。撹拌を止め、混合物を一晩静置させて、THF中の溶液として7を得た。次に、0.16当量のPddbaおよび0.35当量のトリフェニルホスフィンをアルゴン下で別個のフラスコに満たした。THF(10体積)および1−ブロモ−2,4−ジメトキシベンゼンを添加し、その後、上で調製した化合物7の溶液を添加した。混合物を65℃に加熱し、一晩撹拌した。混合物を室温に冷却し、水性NHOHでクエンチした。有機相をカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物5を得た:
【数2】
実施例4:1−[5−(3−クロロ−2−フルオロ−ベンジル)−2,4−ジメトキシフェニル]−エタノン(8)の調製。
【化55】
【0063】
化合物4(1当量)をジクロロメタン(1.89体積)と合わせ、撹拌して溶液を形成した。別個の容器中に、塩化アルミニウム(1.02当量)とジクロロメタン(4.91体積)とを合わせて、スラリーを形成した。塩化アルミニウム混合物を−13℃〜−7℃に冷却し、その後、混合物温度を−7℃以下に維持しながらボランtert−ブチルアミン複合体(1.12当量)を添加した。塩化アルミニウム混合物を同じ温度で1時間以上撹拌した。温度を−13℃〜−7℃に維持しながら、化合物4溶液を塩化アルミニウム混合物にゆっくり移した。混合物を同じ温度で約1時間撹拌した後、17℃〜23℃に温めた。還元の進行をHPLCによって監視した。還元が完了すると、反応混合物を0℃〜5℃に冷却し、次に、冷希釈水性HClでクエンチした。混合物を撹拌して二相混合物を形成し、相を分離した。有機相を希釈水性HCl(5体積の水、および0.06体積の37%HCl)で洗浄した。相を分離した後、有機相を濃縮して、DCM中の溶液として化合物5を得た。
【0064】
化合物5DCM溶液を清潔な反応器に移し、−13℃〜−7℃に冷却した。温度を−7℃以下に維持しながら、ジクロロメタン(6体積)を満たし、その後、塩化アルミニウム(1.03当量)を満たした。温度を−10℃以下に維持しながら、塩化アセチル(1.12当量)を混合物にゆっくり満たした。反応混合物を−13℃〜−7℃で撹拌し、アシル化反応の進行をHPLCによって監視した。アシル化の完了後、温度を25℃以下に維持しながら、反応混合物を5体積の冷(2℃〜8℃)水に移した。クエンチした混合物を19℃〜25℃に温め、二相混合物が形成されるまで撹拌した。有機相を分離し、水(3体積)で洗浄した。有機相を分離し、減圧蒸留によって濃縮した。減圧下で共蒸発によって、溶媒を2−プロパノールに交換した。形成されたスラリーを2−プロパノール(1体積)で希釈し、次に、還流まで加熱して、溶液を形成した。ヘプタン(2.9体積)を熱い溶液にゆっくり満たし、0℃〜5℃に冷却してスラリーを形成した。生成物を濾過によって単離した。湿潤ケークを2−プロパノールとヘプタンとの混合物で洗浄し、40℃以下で乾燥させて、約75%の化合物8をオフホワイトから薄いピンク色の固体として得た。
【数3】
実施例5:1−[5−(3−クロロ−2−フルオロ−ベンジル)−2,4−ジメトキシフェニル]−エタノン(8)の調製。
【化56】
【0065】
水素化ホウ素ナトリウム(0.81当量)をテトラヒドロフラン(4.5体積)と合わせて、スラリーを形成した。化合物4(1当量)をスラリーに添加し、混合物を約0℃に冷却した。温度を3℃以下に維持しながら、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン複合体(1.80当量)をゆっくり満たした。添加の完了後、HPLCによって還元の進行を監視しながら、混合物を約28℃に温めた。還元反応が完了し、混合物を約0℃に冷却した後、次に、反応混合物の温度を10℃以下に維持しながら、アセトン(0.32体積、1.27当量)をゆっくり添加することによって、反応をクエンチした。混合物をその温度において少しの間撹拌し、その後、反応混合物の温度を10℃以下に維持しながら、5%水酸化ナトリウム溶液(2.89体積)をゆっくり添加した。混合物を約22℃に温め、短い期間撹拌した。次に、混合物を減圧蒸留によって濃縮し、その後、残留物を酢酸エチルで希釈した。二相混合物を少しの間撹拌し、相を分離した。有機相を10%塩化ナトリウム水性溶液(3体積)で洗浄し、乾燥するまで減圧蒸留によって濃縮した。残留物を酢酸エチルで共蒸発させ、その後、ジクロロメタンで共蒸発させて、化合物5をジクロロメタンストック溶液として提供した。
【0066】
化合物5DCM溶液を清潔な反応器に移し、−13℃〜−7℃に冷却した。温度を−7℃以下に維持しながら、ジクロロメタン(3体積)を満たし、次に、塩化アルミニウム(1.03当量)をこの溶液に添加した。温度を−10℃以下に維持しながら、塩化アセチル(1.12当量)を混合物にゆっくり満たした。反応混合物を−13℃〜−7℃で撹拌し、アシル化反応の進行をHPLCによって監視した。アシル化の完了後、温度を25℃以下に維持しながら、反応混合物を5体積の冷(2℃〜8℃)水に移した。クエンチした混合物を19℃〜25℃に温め、二相混合物が形成されるまで撹拌した。有機相を分離し、水(3体積)で洗浄した。有機相を分離し、減圧蒸留によって濃縮した。減圧下で共蒸発によって、溶媒を2−プロパノールに交換した。形成されたスラリーを2−プロパノール(1体積)で希釈し、次に、還流まで加熱して、溶液を形成した。ヘプタン(2.92体積)を熱い溶液にゆっくり満たし、0℃〜5℃に冷却してスラリーを形成した。生成物を濾過によって単離した。湿潤ケークを2−プロパノールとヘプタンとの混合物で洗浄し、40℃以下で乾燥させて、約85%の化合物8をオフホワイトから薄いピンク色の固体として得た。
実施例6:エチル3−(5−(3−クロロ−2−フルオロベンジル)−2,4−ジメトキシフェニル)−3−オキソプロパノエート(9’)の調製。
【化57】
【0067】
化合物8(1当量)を十分に不活性化された反応器に満たし、その後、THF(7.2体積)およびカリウムt−ブトキシド(2.0当量)を満たした。得られたスラリーを完全に脱ガスした。別個の十分に不活性化された反応器において、炭酸ジエチル(4当量)を脱ガスし、不活性雰囲気下で温度を19℃〜25℃に維持しながら、化合物8の混合物にゆっくり添加した。完了したことがHPLCによって決定されるまで、反応混合物を19℃〜25℃で撹拌した。混合物を約8℃に冷却し、その後、温度を22℃以下に維持しながら37%濃塩酸(0.43体積)でクエンチした。水を混合物に添加し、完全に撹拌した。相を分離し、有機相を10wt%水性塩化ナトリウムで洗浄した。相を分離し、有機相を減圧蒸留によって濃縮した。溶媒を減圧蒸留によって変性エタノールに交換した。エタノールおよび水を添加し、混合物を温めて溶液を形成した。溶液を周囲温度まで徐々に冷却し、次に、0℃〜6℃にさらに冷却した。濾過前に、スラリーを3時間以上同じ温度で寝かせた。湿潤ケークをエタノールと水との混合物で洗浄した後、40℃以下で乾燥させて、約85%の化合物9’を固体として得た。
【数4】
【0068】
全ての刊行物、特許、および特許文書は、あたかも個々に参考として援用されるかのごとく、本明細書中で参考として援用される。本発明は、様々な具体的な実施形態および好ましい実施形態、ならびに技術を参照して記載されてきた。しかし、多くのバリエーションおよび改変が、本発明の趣旨および範囲内にあるままで、なされ得ることが理解されるべきである。