(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第2構成繰り返し単位の一又は複数のエチレン性不飽和カチオン性モノマーが、ジアリルジメチルアンモニウムナイトレート、四級化ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートナイトレート、四級化ビニルイミダゾールナイトレートからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
少なくとも一の銀化合物が硝酸銀を含み、少なくとも一のポリオールがエチレングリコールを含み、反応混合物に添加される硝酸銀の総量が、反応混合物1リットル当たり1.5×10−2モル〜1モルであり、且つ反応が、反応混合物の質量に基づいて、0.1質量%〜20質量%のコポリマーの存在下で実施される、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される以下の用語は次のような意味を有する。
本明細書において電気伝導性ポリマーに言及して使用される「ドープされた」とは、電気伝導性ポリマーが電気伝導性ポリマーに対するポリマー対イオンと組み合わされていることを意味し、このポリマー対イオンは、本明細書において「ドーパント」と呼ばれ、典型的にはポリマー酸である。このポリマー酸は、本明細書では「ポリマー酸ドーパント」と呼ばれ、
「ドープされた電気伝導性ポリマー」は、電気伝導性ポリマーと、電気伝導性ポリマーのポリマー対イオンとを含むポリマーブレンドを意味し、
「電気伝導性ポリマー」は、カーボンブラック又は導電性金属粒子といった電気伝導性充填剤を添加しなくとも、本質的に又は天然に、電気伝導能を有する任意のポリマー又はポリマーブレンドを意味し、典型的には、1cm当たり10
−7ジーメンス(「S/cm」)以上のかさ特異的コンダクタンスを呈する任意のポリマー又はオリゴマーを意味し、別途指示されない限り、本明細書において、「電気的伝導性ポリマー」と言った場合、任意の随意的ポリマー酸ドーパントが含まれ、
「電気伝導性」は伝導性及び半伝導性を含み、
「電子機器」は、一又は複数の半導体材料を含む一又は複数の層を含み、この一又は複数の層を通して制御された電子の動きを利用する機器を意味し、
本明細書において電子機器に言及して使用される「層」は、機器の所望のエリアを覆うコーティングを意味し、ここでこのエリアは大きさによって限定されず、すなわち、層によって覆われるエリアは、例えば、装置全体と同じ大きさでも、実際の視覚的ディスプレイといった装置の特定の機能エリアと同じ大きさでも、又は単一のサブピクセルと同じ大きさでもよい。
【0013】
本明細書で使用される以下の用語は次のような意味を有する:
「アルキル」は、一価の、直鎖状、分枝状、又は環状の飽和炭化水素基を意味し、典型的には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ヘキシル、オクチル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ベヘニル、トリコンチル(tricontyl)、及びトラコンチルといった、一価の、直鎖状又は分枝状の飽和(C
1−C
40)炭化水素基を意味し、
「シクロアルキル」は、飽和炭化水素基を意味し、典型的には、一又は複数の環式アルキル環を含む飽和(C
5−C
22)炭化水素基を意味し、環の一又は複数の炭素原子は、一の炭素原子につき一又は二の(C
1−C
6)アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロへプチル、シクロオクチルなどで置換されていてもよく、
「ヘテロアルキル」は、アルキル基内の一又は複数の炭素原子が、窒素、酸素、又は硫黄といったヘテロ原子によって置換されているアルキル基を意味し、
「ヘテロ環式」は、環炭素原子のうちの一又は複数が、窒素、酸素、又は硫黄といったヘテロ原子によって置換されている環状炭化水素基を意味し、
「アルキレン」は、例えば、メチレン、及びポリ(メチレン)を含む二価のアルキル基を指し、
「アルケニル」は、不飽和の直鎖状又は分枝状炭化水素基を意味し、典型的には、例えば、エテニル、n−プロペニル、及びイソ−プロペニルを含む一又は複数の炭素−炭素二重結合を含有する不飽和の直鎖状、分枝状の(C
2−C
22)炭化水素基を意味し、
「アリール」は、不飽和が3つのコンジュゲートした炭素−炭素二重結合によって表される、一又は複数の6員炭素環を含有する不飽和炭化水素基を意味し、ここで、環の炭素のうちの一又は複数が、一又は複数のヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、又はアルキルハロ置換基、例えば、フェニル、メチルフェニル、トリメチルフェニル、ノニルフェニル、クロロフェニル、トリクロロメチルフェニル、ナフチル、及びアントリルで置換されていてもよく、
「アラルキル」は、一又は複数のアリール基で置換されたアルキル基を意味し、典型的には、一又は複数の(C
6−C
14)アリール置換基、例えば、フェニルメチル、フェニルエチル、及びトリフェニルメチルで置換された(C
1−C
18)アルキルを意味し、
有機基に関して「(C
x−C
y)」(x及びyはそれぞれ整数)と言う場合、基が、1つの基についてx個からy個の炭素原子を含有しうることを意味する。
【0014】
本明細書における、「アクリレート」、「アクリル」、「アクリルアミド(acrylamide)」、「アクリルアミド(acrylamido)」、又は「アリル」といった基の名称の前に「(メタ)」を付加することによる、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリルアミド」、「(メタ)アクリルアミド」、及び「(メタ)アリル」といった用語の形成は、このような基のメチル置換及び/又は非メチル置換されるホモログを示す。例えば、本明細書において使用される用語「エチル(メタ)アクリレート」は、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、又はこれらの混合物を意味する。
【0015】
有機又は無機部分に言及して本明細書で使用される場合、以下の用語は次のような意味を有する:
「カチオン」とは、部分が正味の正の電荷を有していることを意味し、
「アニオン」とは、部分が正味の負の電荷を有していることを意味し、
「両性」及び「両性イオン」とは、部分が正味の電荷を有していないが、又は特定のpH条件下においては、局所的な負の電荷及び局所的な正の電荷を有しうることを意味し、
「非イオン性」とは、部分が、正味の電荷も、局所的な負の電荷も、局所的な正の電荷も有さないことを意味する。
【0016】
ポリマー又はコポリマー分子に言及して本明細書で使用される場合、以下の用語は次のような意味を有する:
「構成繰り返し単位」は、最小の構成単位を意味し、その繰り返しはポリマー又はコポリマー分子の鎖又はブロックを構成し、
「構成単位」は、ペンダント原子又は基を含む一の原子又は原子の基を意味し、存在する場合、ポリマー若しくはコポリマー分子の基本構造、又はポリマー若しくはコポリマー分子のブロック又は鎖を含み、
「鎖」は、二の境界構成単位間に一又は複数の構成単位の直鎖状又は分枝状配列を含むポリマー又はコポリマー分子の全部又は一部を意味し、それらの各々はポリマー又はコポリマー分子の末端基、枝分かれ部位、又はそれ以外に指定される特徴的機能のいずれかであり、
コポリマーに関して「ブロック」と言う場合、同じコポリマーの隣接する部分には存在しない少なくとも一の特徴を有する二以上の構成単位を含むコポリマーの一部を意味する。
【0017】
大量のナノ構造材料に関して本明細書で言及される寸法は、バルク材に含有される個々のナノ構造をサンプリングすることにより得られた平均寸法であり、長さは光学顕微鏡法を用いて得られ、直径は電子顕微鏡法を用いて決定される。この方法を使用して、約150のナノ構造のサンプルを測定することにより長さが決定され、約10のナノ構造のサンプルを測定することにより直径が決定される。次いで、試験されるナノ構造について、以下のように平均直径、平均長、及び平均アスペクト比が決定される。別途特に示されない限り、ナノ構造の寸法は、測定されたナノワイヤー群の算術平均として提供される。ナノワイヤーのような異方性ナノ構造の場合、長さは、長さで重み付けされた平均長としても提供され、これはまず、各ナノワイヤーの長さを取得し、それを測定されるすべてのナノワイヤーの長さの合計で除すことにより、単一のナノワイヤーがすべてのナノワイヤーの長さの合計に寄与する割合(%)である量W
1を導き、次いで、測定されるナノワイヤーの各々について、ナノワイヤーの長さにそれぞれのW
1値を乗ずることにより重み付けされた長さを導き、最後に、測定されるナノワイヤーの重み付けされた長さの算術平均を取得し、ナノワイヤー群の長さで重み付けされた平均長を導くことにより決定される。異方性ナノ構造のアスペクト比は、ナノワイヤー群の長さで重み付けされた平均長を、異方性ナノ構造群の平均直径で除することにより決定される。
【0018】
本明細書において使用される場合、用語「ナノ構造」は、通常ナノサイズの構造を指し、その少なくとも一の寸法は2000nm以下であり、典型的には500nm以下であり、さらに典型的には250nm以下、又は100nm以下、又は50nm以下、又は25nm以下である。異方性電気伝導性ナノ構造は、いずれかの異方性形状又は寸法形状を有することができる。本明細書において使用される場合、構造に関する用語「アスペクト比」は、構造の最長の特徴的寸法の、構造の二番目に長い特徴的寸法に対する比を意味する。一実施態様では、異方性電気伝導性ナノ構造は細長い形状を有し、その最長の特徴的寸法、すなわち長さと、二番目に長い特徴的寸法、すなわち幅又は直径を有し、そのアスペクト比は1より大きい。
【0019】
少なくとも一のポリオールは、反応を実施するための液体媒体として、及び銀化合物を銀金属に還元する還元剤として働く。適切なポリオールは、少なくとも2個の炭素原子を含むコア部分を有する有機化合物であり、任意選択的に、N及びOから選択される一又は複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、コア部分は一の分子につき少なくとも2個のヒドロキシ基で置換され、各ヒドロキシ基はコア部分の異なる炭素原子に結合する。適切なポリオールが既知であり、それらには、例として、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びブタンジオール、アルキレンオキシドのオリゴマー、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール(但しこのようなポリアルキレングリコールが反応温度で液体である場合)、トリオール、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、及びトリヒドロキシメチルアミノメタン、及び1分子につき3個を上回るヒドロキシ基を有する化合物、並びにこのような化合物のいずれか2つ以上の混合物が含まれる。一実施態様では、ポリオールはエチレングリコールを含む。
【0020】
還元されると銀金属を生み出すことができる適切な銀化合物は既知であり、それらには、酸化銀、水酸化銀、有機銀塩、及び無機銀塩、例えば、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、ハロゲン化銀、例えば塩化銀、炭酸銀、リン酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、スルホン酸銀、カルボン酸銀、例えば、ギ酸銀、酢酸銀、プロピオン酸銀、ブタン酸銀、トリフルオロ酢酸銀、アセトアセトネート(acetacetonate)銀、乳酸銀、クエン酸銀、グリコール酸銀、トシレート銀、トリス(ジメチルピラゾール)ホウ酸銀、並びにこれら化合物のうちの二つ以上の混合物が含まれる。一実施態様では、還元されると銀金属を生み出すことができる銀化合物は、硝酸銀(AgNO
3)を含む。
【0021】
適切な塩化物及び/又は臭化物イオン源は、塩酸、塩化物塩、例えば塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化第二鉄、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、臭化水素酸、及び臭化物塩、例えば、臭化アンモニウム、臭化カルシウム、臭化第二鉄、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、トリエチルベンジルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、又は、コポリマーが塩化物又は臭化物の対イオンを含む場合はコポリマーの塩化物又は臭化物対イオンを含む。一実施態様では、塩化物イオン源は塩化リチウムを含む。
【0022】
一実施態様では、塩化物又は臭化物イオン源は、コロイド粒子の形態で反応混合物に添加されうる塩化銀及び/又は臭化銀を含む。塩化銀及び/又は臭化銀のコロイド粒子の粒子サイズは約10nm〜約10μm、典型的には約50nm〜約10μmでありうる。
【0023】
少なくとも一のポリオールのpHは、室温(25℃)で任意のpHでよい。少なくとも一のポリオールのpHは、例えば比色滴定、電位差滴定、pHメーターを使用する直接測定などを含む当技術分野において既知の常套的な分析的方法により決定される。典型的には、少なくとも一のポリオールのpHは約1〜約14である。さらに典型的には、少なくとも一のポリオールのpHは約5〜約12である。さらにいっそう典型的には、少なくとも一のポリオールのpHは約7〜約10である。
【0024】
少なくとも一の塩基は、少なくとも一の塩基が溶解、分散、又は懸濁されている反応混合物のpHを上昇させる任意の化合物である。適切な塩基には、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、及びこれらの混合物が含まれる。一実施態様では、少なくとも一の塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、又はこれらの混合物が含まれる。
【0025】
少なくとも一の塩基の量は、典型的には、反応に使用される少なくとも一のポリオールの総量の1pbwにつき、少なくとも一の塩基約5.39×10
−5〜約3.47×10
−4pbwである。少なくとも一の塩基の量は、典型的には、反応に使用される少なくとも一のポリオールの総量の1pbwにつき、少なくとも一の塩基約5.39×10
−5〜約1.30×10
−4pbwである。
【0026】
反応の全過程にわたって反応混合物に添加される銀化合物の総量は、反応混合物1リットルに基づき、典型的には、銀化合物約1.5×10
−3モル〜約1モル(銀化合物がAgNO
3であり、ポリオールがエチレングリコールである場合、エチレングリコール中約0.026wt%〜約17wt%のAgNO
3に相当)、具体的には銀化合物3x10
−2モル〜約1モル(銀化合物がAgNO
3であり、ポリオールがエチレングリコールである場合、エチレングリコール中約0.51wt%〜約17wt%のAgNO
3に相当)である。銀化合物は固体粉末として反応混合物に導入することができ、その総量は、一度に導入されても、又は連続する部分に分けて導入されてもよい。代替的には、銀化合物は、ポリオール1000gにつき約10g〜約100gの銀化合物を含むポリオール中銀化合物の希釈液として、反応混合物の温度の低下をさけるために十分に遅い速度で反応混合物に供給されてもよい。
【0027】
一実施態様では、反応混合物に添加される銀化合物の総量は、反応混合物1リットルに基づき、典型的には、約0.02モル〜約0.22モル(銀化合物がAgNO
3であり、ポリオールがエチレングリコールである場合、エチレングリコール中約0.3wt%〜約3.75wt%のAgNO
3に相当)であり、典型的には約0.06モル〜約0.18モル(銀化合物がAgNO
3であり、ポリオールがエチレングリコールである場合、エチレングリコール中約1wt%〜約3wt%のAgNO
3に相当)であり、さらに典型的には、約0.07モル〜約0.18モル(銀化合物がAgNO
3であり、ポリオールがエチレングリコールである場合、エチレングリコール中約1.25wt%〜約3wt%のAgNO
3に相当)である。一実施態様では、反応混合物に添加される銀化合物の総量は、反応混合物1リットルに基づき、0.1モル超〜約0.22モル(銀化合物がAgNO
3であり、ポリオールがエチレングリコールである場合、エチレングリコール中約1.7wt%〜約3.75wt%のAgNO
3に相当)である。
【0028】
一実施態様では、ナノ構造は、反応混合物1リットル当たり、塩化銀の粒子及び/又は臭化銀の粒子約5.4x10
−5モル〜約5.4×10
−3モルの存在下で作製される。理論によって制限されることを意図しないが、塩化銀の粒子及び/又は臭化銀の粒子は銀ナノ構造の成長を触媒するものであって、銀ナノ構造内部に取り込まれる反応「種」として参画するものではないと考えられる。
【0029】
一実施態様では、少なくとも一のポリオールと少なくとも一の銀化合物とは、約100℃〜約210℃、典型的には約130〜185℃の温度で反応させる。
【0030】
一実施態様では、ポリオールの少なくとも一部は、約100℃〜約210℃、典型的には約130℃〜約185℃約の温度に、典型的には約1分を上回る期間にわたって、さらに典型的には約5分を上回る期間にわたって、塩化物又は臭化物イオン源、及び/又は銀化合物の導入に先立ち予熱される。
【0031】
一実施態様では、塩化銀又は臭化銀の粒子が予備工程においてポリオール内に形成され、この場合銀化合物とポリオールとは、塩化物イオン又は臭化物イオン源の存在下で、典型的には、塩化物又は臭化物イオン1モル当たり、銀化合物が1モルを上回って過剰の、さらに典型的には約1.01モル〜約1.2モル過剰の銀化合物を用いて反応させる。一実施態様では、反応混合物1リットル当たり約5.4×10
−5〜約5.4×10
−4モルの銀化合物を、反応混合物1リットル当たり約5.4×10
−5〜約5.4×10
−4モルの塩化物及び/又は臭化物イオン源の存在下で反応させることにより、反応混合物中に塩化銀及び/又は臭化銀種粒子を形成する。一実施態様では、塩化銀又は臭化銀の粒子は、約100℃〜約210℃の温度で、典型的には約130℃〜約185℃の温度で形成される。塩化銀又は臭化銀粒子の形成は、典型的には約1分以上、さらに典型的には約1分〜約10分の期間にわたって実施される。
【0032】
一実施態様では、第2の反応工程において、反応混合物1リットル当たり約1.5×10
−3〜約1モルの銀化合物が添加される。成長工程は、約100℃〜約210℃、典型的には約130℃〜約185℃の温度で実施される。反応の第2の反応工程は、典型的には約5分以上、さらに典型的には約5分〜約4時間、さらにもっと典型的には約10分〜約1時間の期間にわたって実施される。
【0033】
一実施態様では、塩化銀又は臭化銀の粒子は、ポリオール中に、銀ナノ構造の形成と同時に単一の工程で形成され、この場合銀化合物とポリオールとは、塩化物又は臭化物イオン源の存在下で、典型的には顕著にモル過剰な銀化合物を用いて反応させる。単一工程の形成反応は、約100℃〜約210℃、典型的には約130℃〜約185℃で実施される。単一工程の形成反応は、典型的には、約5分以上、さらに典型的には約5分から約4時間、さらにもっと典型的には約10分〜約1時間の期間にわたって実施される。
【0034】
反応は、大気圧下で、又は窒素若しくはアルゴン雰囲気といった不活性雰囲気下で実施される。一実施態様では、反応は窒素雰囲気下で実施される。
【0035】
コポリマーは、有機保護材として機能すると考えられている。コポリマーの量は、反応混合物に添加される銀化合物の量に基づき、銀化合物1pbw当たり、典型的には約0.1〜約20重量部(「pbw」)、さらに典型的には約1〜約5pbwのコポリマーである。
【0036】
一実施態様では、反応は、反応混合物の重量に基づいて、約0.01wt%〜約50wt%、典型的には約0.1wt%〜約20wt%、及びさらに典型的には約0.5wt%〜8wt%のコポリマーの存在下で実施される。
【0037】
一実施態様では、少なくとも一の銀化合物は硝酸銀を含み、少なくとも一のポリオールはエチレングリコールを含み、反応混合物に添加される硝酸銀の総量は、反応混合物1リットルにつき1.5×10
−3モル〜約1モルの硝酸銀であり、反応は、反応混合物の重量に基づいて、約0.01wt%〜約50wt%、典型的には約0.1wt%〜約20wt%、さらに典型的には約0.5wt%〜8wt%のコポリマー存在下で実施される。
【0038】
コポリマーの第1の構成繰り返し単位の少なくとも一のペンダント基として適切な飽和又は不飽和の、5員、6員、又は7員アシルアミノ又はジアシルアミノ含有複素環式環部分は、例えば、ピロリドニル、ピロリジンジオニル、アザシクロヘキサノイル、アザシクロヘキサジオニル、アザシクロヘプタノイル、及びアザシクロヘプタジオニルを含む。
【0039】
一実施態様では、コポリマーの第1の構成繰り返し単位は各々が独立にピロリドニル部分又はピロリジンジオニル部分を含む。一実施態様では、コポリマーの第1の構成単位の各々はピロリドニル部分を含む。
【0040】
一実施態様では、第1の構成繰り返し単位は各々が独立に構造(I):
R
1−R
2− (I)
によるペンダント基を含み、
ここで:
R
1は、飽和又は不飽和の、5員、6員、又は7員アシルアミノ又はジアシルアミノ含有複素環式環部分、典型的にはピロリドニル、2,5 ピロリジンジオニル、アザシクロヘキサノイル、アザシクロヘキサジオニル、アザシクロヘプタノイル(azacycloheptanonyl)、アザシクロヘプタジオニル、さらに典型的にはピロリドニル又は2,5 ピロリジンジオニルであり、
R
2は、二価の結合基、典型的にはポリ(アルキレンオキシ)、−O-C(O)−、−NH−C(O)−及び−(CH
2)
n−(nは1〜10の整数、典型的には1〜3の整数)から選択される二価の結合基であるか、又は不在である。
【0041】
第1の構成繰り返し単位は、既知の合成技術により、例えば、例として炭化水素ポリマー骨格、ポリエステルポリマー骨格、又は多糖ポリマー骨格のようなポリマー骨格への一又は複数の5員、6員、又は7員の飽和又は不飽和アシルアミノ又はジアシルアミノ含有複素環式環部分の移植法により、又は後述されるような非イオン性モノマーの、例えば後述されるようなイオン性モノマーとの共重合により、作製されうる。
【0042】
一実施態様では、本発明のコポリマーの第1の構成繰り返し単位は、モノマーの一分子当たり、少なくとも一の反応性官能基と、少なくとも一の5員、6員、又は7員飽和又は不飽和アシルアミノ又はジアシルアミノ含有複素環式環部分とを含む第1のモノマーから得られる。
【0043】
適切な反応性官能基には、例えば、ヒドロキシル基、イソシアネート基、エポキシド基、アミノ基、カルボキシレート基、及びα,β−不飽和基、例えば−CH
2=CH
2、又は-H(CH
3)C=CH
2が含まれる。
【0044】
一実施態様では、第1のモノマーは、構造(II):
R
1−R
2−R
3 (II)
による一又は複数の化合物を含み、
ここで:
R
1及びR
2は上述の通りであり、
R
3は反応性官能基、典型的には−CH
2=CH
2、及び−H(CH
3)C=CH
2から選択される反応基である。
【0045】
一実施態様では、本発明のコポリマーの第1の構成繰り返し単位は、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、及びこれらの混合物から選択される第1のモノマーから得られる。典型的には、本発明のコポリマーの第1の構成繰り返し単位はビニルピロリドンから得られる。
【0046】
本発明のコポリマーの第2の構成繰り返し単位として適切な構成繰り返し単位は、第1の構成繰り返し単位とは構成成分が異なる任意の構成繰り返し単位でよい。
【0047】
一実施態様では、第2の構成繰り返し単位はそれぞれ、(i)イオン性有機質部分及び非イオン性有機質部分から選択され、且つ(ii)飽和又は不飽和の、5員、6員、又は7員、アシルアミノ又はジアシルアミノ含有複素環式環部分ではない、第2の構成繰り返し単位一つにつき少なくとも一のペンダント部分を含む。
【0048】
一実施態様では、第2の構成繰り返し単位はそれぞれ、イオン性有機質部分から選択される第2の構成繰り返し単位一つにつき少なくとも一のペンダント部分を含む。適切なイオン性有機質部分は、カチオン性部分、アニオン性部分、及び両性/両性イオン部分を含む。
【0049】
一実施態様では、第2の構成繰り返し単位の一又は複数は、少なくとも一のペンダントカチオン性部分を含む。
【0050】
適切なカチオン性部分は、一級、二級、又は三級アミノ窒素原子、又は四級窒素原子を含む窒素有機質部分を含む。四級窒素原子を含むこのような実施態様では、カチオン性部分は典型的には、スルホン酸アニオンなどの有機アニオン及びハロゲンアニオン又は硝酸アニオンなどの無機アニオンから選択される対アニオンに結合した塩の形態である。一実施態様では、第2の構成繰り返し単位の一又は複数は、それぞれ、四級アンモニア性窒素原子を含む少なくとも一のペンダントカチオン性部分と、対アニオン、典型的には塩化物、臭化物、又は窒化物対アニオン、若しくはこれらの混合物とを含む。
【0051】
一実施態様では、第2の構成繰り返し単位の一又は複数は、各々が独立に、第2の構成繰り返し単位一つにつき:
一の基につき少なくとも一の一級、二級、又は三級アミノ窒素原子、又は四級窒素原子を含む非環基、並びに
環員として四級窒素原子でありうる少なくとも一の窒素原子を含む、5員又は6員複素環式環含有基から選択されるものを含む。
【0052】
第2の構成単位の少なくとも一の窒素カチオン性基として適切な5員又は6員複素環式環含有基には、例えば、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリマジニル(pyrimadinyl)、又はピリダジニル基、典型的には四級化ピロリジニル、四級化ピロリニル、四級化イミダゾリジニル、四級化ピロリル、四級化イミダゾリル、四級化ピラゾリジニル、四級化ピラゾリニル、四級化ピペリジニル、四級化ピペラジニル、四級化ピリジニル、四級化ピラジニル、四級化ピリマジニル(pyrimadinyl)、又は四級化ピリダジニル基が含まれる。
【0053】
一実施態様では、第2の構成繰り返し単位の一又は複数は、少なくとも一のペンダントアニオン性有機質部分を含む。適切なアニオン性部分には、例えば、カルボン酸、スルホン酸、硫酸塩、リン酸塩、及びホスホン酸塩部分、例えば、カルボン酸アルキル部分、スルホン酸アルキル部分、スルホン酸アルカリル部分、及びアルキル硫酸塩部分、並びにそれらの塩が含まれる。いくつかの実施態様では、アニオン性部分は、無機カチオン又は有機カチオン、例えばアンモニウムカチオン、一級、二級、又は三級アミノ窒素を含むカチオン、四級窒素原子を含むカチオン、アルカリ金属カチオン、又はこれらの混合物でありうる対カチオンに結合した塩の形態である。
【0054】
一実施態様では、第2の構成繰り返し単位の一又は複数は、少なくとも一のペンダント両性/両性イオン有機質部分を含む。適切な両性/両性イオン有機質部分には、例えば、四級窒素原子などのカチオン性基、及びスルホン酸基又はカルボン酸基などのアニオン性基の両方を含む部分が含まれ、これらの各々は独立に、例えばスルホベタイン部分又はカルボキシベタイン部分といった同じ部分の一部として、逆帯電した対イオンに結合した塩の形態である。
【0055】
一実施態様では、第2の構成繰り返し単位の一又は複数は、各々が独立に、少なくとも一のペンダント非イオン性有機質部分を含む。適切な非イオン性部分には、ヒドロカルビル部分、例えばアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル、及びアラルキル部分、ヒドロキシアルキル部分、及びポリ(アルキレンオキシド)部分が含まれる。
【0056】
一実施態様では、イオン性構成繰り返し単位のイオン部分は各々が独立に、少なくとも一の四級化窒素原子、例えば式(III):
R
20−R
21− (III)
による部分を含む非環部分を含み、
ここで:
R
20は、飽和又は不飽和の、5員、6員、又は7員、アシルアミノ又はジアシルアミノ含有複素環式環部分ではないイオン性有機質部分又は非イオン性有機質部分であり、
R
21は、二価の結合基、典型的には、ポリ(アルキレンオキシ)、−O-C(O)−、−NH−C(O)−及び−(CH
2)
m−(mは1〜10の整数であり、典型的には1〜3の整数である)から選択される二価の結合基であるか、又は不在である。
【0057】
一実施態様では、コポリマーは、一の繰り返し単位につき少なくとも一のカチオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位を含む。一実施態様では、コポリマーは、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一のアニオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位を含む。一実施態様では、コポリマーは、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一の両性/両性イオン部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位を含む。一実施態様では、コポリマーは、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一の非イオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位を含む。一実施態様では、コポリマーは、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一のカチオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位と、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一のアニオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位とを含む。一実施態様では、コポリマーは、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一のカチオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位と、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一の両性/両性イオン部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位とを含む。一実施態様では、コポリマーは、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一のカチオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位と、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一の非イオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位とを含む。一実施態様では、コポリマーは、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一のアニオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位と、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一の両性/両性イオン部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位とを含む。一実施態様では、コポリマーは、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一のアニオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位と、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一の非イオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位とを含む。一実施態様では、コポリマーは、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一の両性/両性イオン部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位と、各々が独立に一の繰り返し単位につき少なくとも一の非イオン性部分を含む一又は複数の第2の構成繰り返し単位とを含む。
【0058】
第2の構成繰り返し単位は、既知の合成技術により、例えば、炭化水素ポリマー骨格、ポリエステルポリマー骨格、又は多糖ポリマー骨格のようなポリマー骨格へのイオン性又は非イオン性有機質部分の移植法により、又は後述されるような第2のモノマーの、例えば上述の第1のモノマーとの共重合によって、作製されうる。
【0059】
一実施態様では、本発明のコポリマーの第2の構成繰り返し単位は、第1のモノマーと共重合可能な第2のモノマーであって、一のモノマー分子につき、少なくとも一の反応性官能基と、少なくとも一の窒素カチオン性基とを含む第2のコポリマーから得られ、前記少なくとも一の窒素カチオン性基は:
一の基につき少なくとも一の一級、二級、又は三級アミノ窒素原子、又は四級窒素原子を含む非環基、並びに
例えば、環員として、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリマジニル(pyrimadinyl)、又はピリダジニル部分などの、四級窒素原子でありうる少なくとも一の窒素原子を含む5員又は6員複素環式環含有基
から選択される。
【0060】
一実施態様では、一の基当たり少なくとも一の一級、二級、又は三級アミノ窒素原子、又は四級窒素原子を含む非環基は、環員として四級窒素原子でもよい少なくとも一の窒素原子を含む5員又は6員の複素環式環を形成するために、第1のモノマーとの共重合と同時に又はその後に環化可能な非環部分である。
【0061】
一実施態様では、本発明のコポリマーの第2の構成繰り返し単位は、一のモノマー分子につき少なくとも一の反応性官能基と、(i)イオン性有機質部分及び非イオン性有機質部分から選択され、且つ(ii)飽和又は不飽和の、5員、6員、又は7員、アシルアミノ又はジアシルアミノ含有複素環式環部分ではない、少なくとも一の基とを含む第2のモノマーから得られる。
【0062】
適切な反応性官能基は、第1のモノマーに関して上述したものである。
【0063】
一実施態様では、第1のモノマーは、構造(IV):
R
20−R
21−R
22 (IV)
による一又は複数の化合物を含み、
ここで:
R
20及びR
21は各々が上述の通りであり、
R
22は反応性官能基、典型的には−CH
2=CH
2、及び−H(CH
3)C=CH
2から選択される反応基である。
【0064】
適切なカチオン性モノマーには、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジ(t−ブチル)アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピロリン、ビニルピラゾリジン、ビニルピラゾリン、ビニルピペリジン、ビニルピペラジン、ビニルピリジン、ビニルピラジン、ビニルピリマジン(vinylpyrimadine)、ビニルピリダジン、トリメチルアンモニウム エチル(メタ)アクリレート塩、ジメチルアンモニウム エチル(メタ)アクリレート塩、ジメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート塩、ベンゾイルベンジル ジメチルアンモニウム エチル(メタ)アクリレート塩、トリメチル アンモニウム エチル(メタ)アクリルアミド塩、トリメチル アンモニウム プロピル(メタ)アクリルアミド塩、ビニルベンジル トリメチル アンモニウム塩、ジアリルジメチル アンモニウム塩が含まれる。
【0065】
一実施態様では、本発明のコポリマーの第2の構成繰り返し単位は、ジアリルジメチルアンモニウム塩、例えばジアリルジメチルアンモニウムナイトレート、四級化ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩、例えば四級化ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートナイトレート、及び四級化ビニルイミダゾール塩、例えば四級化ビニルイミダゾールナイトレートから選択されるカチオン性モノマーから得られる。
【0066】
適切なアニオン性モノマーには、例えば、アクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、及びスチレンスルホナート、並びにこれらの混合物及び塩が含まれる。
【0067】
適切な両性/両性イオンモノマーには、例えば、スルホベタイン(メタ)アクリレート、スルホベタイン(メタ)アクリルアミド、スルホベタイン(メタ)アリル化合物、スルホベタインビニル化合物、カルボキシベタイン(メタ)アクリレート、カルボキシベタイン(メタ)アクリルアミド、カルボキシベタイン(メタ)アリル化合物、及びカルボキシベタインビニル化合物、例えば、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタクリルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム ベタイン、N−(3−アクリルアミドプロピル)−N,N−ジメチルアンモニオ酢酸、又はN−(3−アクリロアミドプロピル)−N,N−ジメチル−N−(カルボキシメチル)アンモニウムブロミドが含まれる。
【0068】
適切な非イオン性モノマーには、例えば、(メタ)アクリルアミド、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸のエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、又はヒドロキシアルキルエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレン、及び/又はポリプロピレンオキシド(メタ)アクリレート(すなわち、ポリエトキシ化及び/又はポリプロポキシル化(メタ)アクリル酸)、ビニルアルコール、ビニルアセテート、ビニルベルサテート、ビニルニトリル、アクリロニトリル、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、及びこれらの混合物が含まれる。
【0069】
一実施態様では、コポリマーは、1000個の構成繰り返し単位に基づき:
500〜999の、典型的には800〜999の、さらに典型的には900〜990の、第1の構成繰り返し単位と、
1〜500の、典型的には1〜200の、さらに典型的には10〜100の、第2の構成繰り返し単位と
を含む。
【0070】
一実施態様では、コポリマーは、さらに多くの第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一のカチオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。一実施態様では、コポリマーは、一又は複数の第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一のアニオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。一実施態様では、コポリマーは、一又は複数の第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一の両性/両性イオン部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。一実施態様では、コポリマーは、一又は複数の第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一の非イオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。一実施態様では、コポリマーは、一又は複数の第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一のカチオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一のアニオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。一実施態様では、コポリマーは、一又は複数の第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一のカチオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一の両性/両性イオン部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。一実施態様では、コポリマーは、一又は複数の第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一のカチオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一の非イオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。一実施態様では、コポリマーは、一又は複数の第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一のアニオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一の両性/両性イオン部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。一実施態様では、コポリマーは、一又は複数の第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一のアニオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一の非イオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。一実施態様では、コポリマーは、一又は複数の第1のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一の両性/両性イオン部分を含む一又は複数の第2のモノマーと、各々が独立に、一のモノマー分子につき少なくとも一の非イオン性部分を含む一又は複数の第2のモノマーとを含むモノマー混合物を重合することにより作製される。
【0071】
一実施態様では、コポリマーは、モノマー1000モルに基づいて:
(a)各々が独立に、一分子について少なくとも一の 反応性官能基と、少なくとも一のペンダント飽和又は不飽和、5員、6員、又は7員アシルアミノ又はジアシルアミノ含有複素環式環部分を含む、800〜999モルの一又は複数の第1のモノマー、並びに
(b)各々が独立に、一分子について少なくとも一の反応性官能基と、一分子について少なくとも一の一級、二級、又は三級アミノ窒素原子、又は四級窒素原子とを含む少なくとも一のペンダント有機質部分とを含む1〜200モルの一又は複数の第2のモノマー
を含むモノマー混合物を重合することにより作製される。
【0072】
本発明のコポリマーは、典型的には、1モルにつき5000グラム(g/モル)以上の重量平均分子量、典型的には約10000〜約2000000g/mol、及びさらに典型的には約10000〜500000g/mol、さらにもっと典型的には約10000〜約100000g/molの重量平均分子量を有する。
【0073】
一実施態様では、コポリマーはランダムコポリマーであり、ランダムに配置された第1の構成繰り返し単位及び第2の構成繰り返し単位の鎖を含む。一実施態様では、コポリマーはブロックコポリマーであり、二以上の連続する第1の構成繰り返し単位のブロック及び二以上の構成繰り返し単位のブロックを含む。
【0074】
適切なコポリマーを作製する方法は当該分野において既知である。一実施態様では、本発明によるポリマーは、既知の遊離ラジカル重合方法によるエチレン性不飽和モノマーの共重合により作製される。一実施態様では、コポリマーは、制御された遊離ラジカル重合技術、例えば、原子移動ラジカル重合(「ATRP」)の既知の制御された遊離ラジカル重合法、可逆的付加開裂移動(「RAFT」重合)、又はザンサートの交換を介した高分子設計(「MADIX」重合)によって作製される。
【0075】
第2のモノマーが、環員として少なくとも一の四級化又は四級化可能な質素原子を含む5員又は6員複素環式環を形成するために環化可能な反応基を含む場合、複素環式環構造を形成するための環化は、例えば、四級化又は四級化可能な窒素原子含有ジアリルモノマーの同時重合及び環化により、第1のモノマーとの共重合と同時に実施されるか、又はこのような重合後に実施される。
【0076】
第2のモノマーは、環員として四級化可能な窒素原子を含み、このとき窒素は重合反応後に四級化される。
【0077】
一実施態様では、コポリマーは、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、又はビニルピロリドン及びビニルカプロラクタムと、一又は複数のエチレン性不飽和カチオン性モノマーとの遊離ラジカル重合により作製されたランダムコポリマーである。
【0078】
一実施態様では、コポリマーは、約80pbw〜100pbw未満、典型的には約90pbw〜約99pbwのビニルピロリドンと、0を上回って約20pbwまで、典型的には約1〜約10pbwのジアリルジメチルアンモニウム塩とを含むモノマー混合物の遊離ラジカル重合により作製されるランダムコポリマーである。
【0079】
一実施態様では、少なくとも一の銀化合物は硝酸銀を含み、少なくとも一のポリオールはエチレングリコールを含み、反応混合物に添加される硝酸銀の総量は、反応混合物1リットルにつき1.5×10
−3モル〜約1モルの硝酸銀であり、反応は、反応混合物の重量に基づいて、約0.01wt%〜約50wt%、典型的には約0.1wt%〜約20wt%、さらに典型的には約0.5wt%〜8wt%のランダムコポリマーの存在下で実施され、このランダムコポリマーは、約80pbw〜100pbw未満、典型的には約90pbw〜約99pbwのビニルピロリドン、及び0を上回って約20pbwまで、典型的には約1〜約10pbwのジアリルジメチルアンモニウム塩を含むモノマー混合物の遊離ラジカル重合により作製される。
【0080】
本発明の方法は、典型的には、高収率の銀ナノワイヤーを生成する。一実施態様では、銀供給量の70wt%以上がナノワイヤーに変換され、銀供給量の30wt%未満が等方性ナノ構造に変換される、典型的には、銀供給量の80wt%以上がナノワイヤーに変換され、銀供給量の20wt%未満が等方性ナノ粒子に変換される、さらに典型的には銀供給量の90wt%を上回る量がナノワイヤーに変換され、銀供給量の10wt%未満が等方性ナノ構造に変換される。一実施態様では、銀供給量の99wt%以上がナノワイヤーに変換され、銀供給量の1wt%未満が等方性ナノ構造に変換される。
【0081】
一実施態様では、銀ナノ構造は、約10nm〜約2μm、典型的には約10nm〜約150nm、さらに典型的には約10nm〜約60nmの直径を有し、約5μm〜約300μm、典型的には約10〜約200μmの長さを有する「銀ナノワイヤー」として知られる細長い銀ナノ構造を含む。
【0082】
一実施態様では、銀ナノ構造は、約10nm〜約150nm、典型的には約10nm〜約60nmの直径と、100より大きい、又は150より大きい、又は200より大きい、又は300より大きいアスペクト比、即ち直径に対する長さの比とを有する銀ナノワイヤーを含む。
【0083】
一実施態様では、本発明の方法により作製されるナノワイヤーは、本発明の方法のコポリマー構成成分がポリ(ビニルピロリドン)で置換された類似の方法により作製されるナノワイヤーのアスペクト比より、平均で大きなアスペクト比を呈する。一実施態様では、本発明の方法により作製されるナノワイヤーは、本発明の方法のコポリマー構成成分がポリ(ビニルピロリドン)で置換された類似の方法により作製されるナノワイヤーのアスペクト比より、少なくとも2倍、典型的には少なくとも3倍だけ、平均で大きなアスペクト比を呈する。
【0084】
生成物混合物は、ポリオール、コポリマー、及び銀ナノ構造を含み、銀ナノ構造は、銀ナノワイヤーを含み、等方性銀流離などの銀ナノワイヤー以外の銀ナノ構造を含むことができる。
【0085】
銀ナノ構造は、生成物混合物のポリオール及びコポリマー構成成分から、例えば重力分離、遠心分離、又は濾過により単離することができる。一実施態様では、銀ナノ構造は次いで、単離されたナノワイヤーからポリオール及びコポリマーの残留物を除去するために、水、アルコール、典型的には(C
1−C
3)アルカノール、又は水とアルカノールの混合物中で洗浄される。
【0086】
本発明の方法により製造される銀ナノワイヤーは、極性非プロトン性有機液体、例えばアセトン又はアセトニル中に銀ナノ構造を分散させた後、重力分離又は遠心分離により液体からナノワイヤーを単離することにより、生成物混合物中に存在する可能性のある他のナノワイヤー以外の銀ナノ構造の構成成分から分離される。銀ナノワイヤーは、極性非プロトン性液体から集塊及び沈殿する傾向があり、等方性銀ナノ構造は、極性非プロトン性有機液体中に懸濁されたままになる傾向がある。
【0087】
一実施態様では、生成物混合物は重力分離され、分離された生成物混合物の銀ナノワイヤー断片は、アセトン中に再分散されて重力分離され、分離されたアセトン分散の銀ナノワイヤー断片は、水、アルコール、又はこれらの混合物中に再分散される。
【0088】
本発明の方法に使用されるコポリマーの残留物は、銀ナノ構造生成物から除去するために、典型的には、水、又は水及びアルコール洗浄を複数回反復する必要のある先行技術の方法のポリ(ビニルピロリドン)ホモポリマーより簡単に、銀ナノ構造から取り除かれる。例えば、コポリマー残留物は、典型的には単一回の水/アルコール洗浄工程において銀ナノ構造から除去されるが、銀ナノ構造からのポリ(ビニルピロリドンホモポリマー残留物の除去には、典型的に、同様の水/アルコール洗浄工程を5〜10会反復することが必要である。銀ナノワイヤーの分散からのコポリマー又はホモポリマーの量の低減又は排除は、極めて導電性の高い電気伝導性ポリマーフィルムを容易に作製するために銀ナノワイヤーを使用するうえで大いに役立つ。本発明の分散の銀ナノワイヤーを使用して、ナノワイヤーの表面からビニルピロリドン残留物のコーティングを除去して、銀ナノワイヤー網のナノワイヤー間における金属と金属との接触を可能にするために先行技術の方法に必要とされる余分な工程、例えば銀ナノワイヤー網の繰り返し洗浄工程又は加熱処理又は加熱と圧縮を必要とせずに、電気伝導性の高いポリマーフィルムを作成することができる。
【0089】
一実施態様では、銀ナノワイヤーは、水、(C
1−C
6)アルカノール、又はこれらの混合物を含む液体媒体に分散された銀ナノワイヤーを含む分散の形態で提供される。分散の液体媒体中にアルカノール構成成分を含むことは、分散の銀ナノ構造構成成分の酸化の還元に役立つ。
【0090】
一実施態様では、ナノワイヤー分散は、分散が、銀ナノワイヤー1000000pbwにつき100pbw未満、又は10pbw未満、又は5pbw未満、又は1pbw未満のコポリマーを含む水性媒体に分散された銀ナノワイヤーを含む。一実施態様では、分散は、検出可能なコポリマーの量を含まない。
【0091】
本発明の方法により作製される銀ナノワイヤーは、電気伝導性ポリマーとの組み合わせにおいて、電気伝導性フィルムの構成成分として有用である。適切な電気伝導性ポリマーには、電気伝導性ポリチオフェンポリマー、電気伝導性ポリ(セレノフェン)ポリマー、電気伝導性ポリ(テルロフェン)ポリマー、電気伝導性ポリピロールポリマー、電気伝導性ポリアニリンポリマー、電気伝導性融合複素環式ヘテロ芳香族ポリマー、及びこれらポリマーのいずれかのブレンドが含まれる。一実施態様では、電気伝導性ポリマーは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェンを含むPEDT:PSS又は「PEDOT」として知られるドープされた電気伝導性ポリマーと、ポリ(スチレンスルホン酸)を含む水溶性のポリマー酸ドーパント又は「PSS」とを含む。このような電気伝導性ポリマーフィルムは、典型的には、高い伝導性と高い光透過性を呈し、電子機器の層として有用である。適切な電子機器には、一又は複数の半導体材料の層を含み、このような一又は複数の層を通して制御された電子の動きを利用する任意の機器、例えば:電気エネルギーを放射に転換する機器、例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、又は照明パネル、電子処理によりシグナルを検出する機器、例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスター、光スイッチ、フォトトランジスター、光電管、赤外(IR)検出器、又はバイオセンサーなど、放射を電気エネルギーに転換する機器、例えば、光起電装置、又は太陽電池、及び一又は複数の半導体層を有する一又は複数の電子コンポーネント、例えばトランジスター又はダイオードを含む機器が含まれる。
【0092】
一実施態様では、本発明の方法は、より高濃度の銀化合物、例えば硝酸銀の反応混合物中おける使用を可能にし、これにより、本発明の方法のコポリマー構成成分の代わりにポリ(ビニルピロリドン)ホモポリマーが使用される類似の方法より濃度の高い銀ナノ構造、典型的にはナノワイヤーを有する生成物混合物の生産が可能になる。
【0093】
一実施態様では、本発明の方法は、本発明の方法のコポリマー構成成分の代わりにポリ(ビニルピロリドン)ホモポリマーが使用される類似の方法より高いアスペクト比を有する銀ナノワイヤーの生産を可能にする。
【0094】
一般に、本発明の方法により作製される銀ナノ構造は、本発明の方法のコポリマー構成成分の残留物はポリ(ビニル(ピロリドン)ホモポリマーの残留物より銀ナノワイヤー構造から容易に除去されるため、本発明の方法のコポリマー構成成分の代わりにポリ(ビニルピロリドン)ホモポリマーが使用される類似の方法より容易に取り除かれる。
【実施例】
【0095】
実施例1A−1E及び比較実施例C1
実施例1A−1Eのポリ(ビニルピロリドン−co−ジアリルジメチルアンモニウム ナイトレート)ランダムコポリマー(「ポリ(VP−co−DADMAN」)は、それぞれビニルピロリドンモノマーをジアリルジメチルアンモニウム ナイトレートモノマー(「DADMAN」)と共重合することにより作製された。
【0096】
DADMANモノマーが、ジアリルジメチルアンモニウム クロリドモノマー(上記構造(b)に示される「DADMAC」)の塩化物対イオンを、以下の反応に従い、硝酸銀を用いて硝酸塩対イオンと交換することにより作製された: C
8H
16N
+Cl
−+AgNO
3→AgCl+C
8H
16N
+NO
3−。塩化物の、硝酸イオンとの交換は、適切な量の硝酸銀水溶液(Cl
−とNO
3−のモル比1:1)を、60wt%のDADMAC水溶液X/0.6g(X=1、2、4、8、又は16)中に加えることにより行われた。
各交換は素早く生じ、遠心分離(2000rpmで5分)によりDAMANモノマー生産物溶液から容易に分離される白色の塩化銀の沈殿物を生み出した。沈殿物は水5mlで一度洗浄し、すべてのモノマーを回収するために再び遠心分離した。次いで、交換されたすべてのモノマー溶液は、後述するように、共重合反応に使用される前に0.2μmのフィルターで濾過された。
【0097】
VP及びDADMANモノマーは、線状ポリ(VP−co−DADMAN)コポリマーを生成するために、以下の一般スキームAに従い、重合開始剤及びチオカルボニルチオ移動剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いた制御されたラジカル重合を使用して共重合された。
【0098】
【0099】
500mlのジャケット付き反応器内において、90gのビニルピロリドン(VP)、0.2mlのチオカルボニルチオ移動剤及びDADMAN水溶液を、窒素下で68℃に加熱した。次いで前記溶液に、以下のスケジュールに従って10gのVPA中、0.5gのAIBN溶液を段階的に加えた:
・ t=0において、前記溶液に2mlのAIBN/VP溶液が添加された。
・ t=20分において、発熱重合反応により温度は約75℃に上昇しており、0.5mlのAIBN/VP溶液が添加された。
・ t=55分において、反応器内の温度は約78℃であり、予め68℃に加熱された150mlの水が、残りのAIBN/VP溶液と共に反応混合物に添加された。
【0100】
水、及び最終的なAIBN/VP溶液の添加後、反応混合物を4時間68℃に維持し、次いでその後6〜10時間にわたって室温まで冷ました。このようにして生成された粘性の生成物溶液を、次いで750mlのアセトン中で沈殿させ、アセトンのアリコート100mlで二回洗浄した。次いで、洗浄された生成物を70℃の真空下で窒素パージすることにより一日間乾燥させ、次いで粉砕して再び乾燥させた後使用に供した。上記重合方法によって得られた理論的な重量平均分子量は、約100000g/molである。この方法の収率は典型的には約75%であった。コポリマー生成物の代表的な1H NMR及びFTIRスペクトルを
図1(a)及び1(b)に示す。
【0101】
比較実施例C1のポリ(ビニルピロリドン)ホモポリマーは、実施例1A−1Eのコポリマーを作製するために使用されたものと同様であるが、但しビニルピロリドンモノマーのみを使用して、すなわち反応混合物にDADMANモノマーを含めずに、作製された。
【0102】
【0103】
実施例2A−2G及び比較実施例C2A−C2C
実施例2A−2Gの銀ナノワイヤーは、コポリマーの構成成分及び反応混合物に添加される硝酸銀の量が変更された、後述の一般的合成方法に従って作製された。いずれの場合も、実施例1A−1Eのポリ(VP−co−DADMAN)コポリマーのそれぞれは保護材として使用された。
【0104】
典型的に、35gのエチレングリコールと0.0055gの塩化リチウムを、窒素パージにより1時間173℃に加熱した。この前処理の最後にポリ(VP−co−DADMAN)コポリマー(典型的に1.5gの量の)を添加した。7.5gのエチレングリコールに溶解させた所与の量(0.3〜1.5g)の硝酸銀からなる供給溶液を使用して、反応混合物に硝酸銀及びさらなるエチレングリコールを導入した。次いで播種工程において、初期量の硝酸銀(0.05g、典型的には7.5gのエチレングリコール中に1gの硝酸銀を含有する0.34mLの供給溶液の形態で)を反応混合物中に供給したところ、反応混合物の色が茶色に変化した。6分後、硝酸銀供給溶液の残りを、シリンジを用いて1.5ml/分の速度で反応混合物に添加した。硝酸銀供給物が添加されると、反応混合物は暗色に変化してグレーとなり、次いで典型的には硝酸銀供給物の添加開始後約7分以内に、反応混合物中においてナノワイヤーが可視となった。添加された硝酸銀の総量に応じて、完了までの反応時間は約15〜約30分であった。
【0105】
反応混合物に使用したエチレングリコール(高純度無水エチレングリコール;Sigma−Aldrich ロットSHBB8374V;「ロットA」)のpHは、希釈及び滴定により8.9と決定された。純粋なエチレングリコールのpHは、V=0mLについて、
図5に示される滴定曲線の縦軸上に読み取ることができる。ロットAのエチレングリコールは本実施例2A−2G及び比較実施例C2A−C2Cと、続く実施例3及び4において使用された。
【0106】
比較実施例C2−A〜C2−Cの銀ナノワイヤーは、実施例2A−2Gの銀ナノワイヤーを作製するために使用された方法と類似であるが、但し比較実施例C1のポリ(VP)ホモポリマーでポリ(VP−co−DADMAN)コポリマーを代替した方法により作製された。
【0107】
各合成について、硝酸銀の完全還元まで反応物を反応させた。実施例2A−2Gのナノワイヤーは、重力分離により反応混合物から単離され、ポリ(VP−co−DADMAN)残留物は水とアルカノールとの混合物で洗浄することによりナノワイヤーから除去された。比較実施例C1−C3のナノワイヤーは、重力分離により反応混合物から単離され、ポリ(VP)残留物のナノワイヤーからの除去には水/アルカノール洗浄工程を複数回(少なくとも5回)繰り返すことが必要であった。いずれの場合も、銀ナノワイヤーは、アセトンと水の混合物中において銀ナノワイヤーを凝集させること、及び凝集した銀ナノワイヤーを回収することにより等方性銀ナノ構造から分離された。
【0108】
光学顕微鏡は、各反応の進行を追うため、及び生成物ナノ構造の物理特性を決定するために使用された。ナノワイヤー合成反応に使用されるポリマー又はコポリマー(及びポリ(VP−co−DADMAN)コポリマーの場合、コポリマーのDADMAN含有量)、並びに実施例2A−2G及び比較実施例C2A-C2Cの銀ナノワイヤーを作製するために使用されたAgNO
3の量、並びにそれぞれの銀ナノワイヤーの平均長の値を、以下の表IIにまとめた。
【0109】
【0110】
結果は、ナノワイヤー合成に使用されたAgNO
3の量とナノワイヤー合成に使用されたコポリマー中のDADMANの量の関数としてナノワイヤーの径を表すプロットにして
図2にもまとめられている。生成物ナノ構造は、「細いナノワイヤー」(直径150nm以下、及び長さ5μm超のナノ構造)、「太いナノワイヤー」(直径150nm超、及び長さ5μm超のナノ構造)、及び/又は「ナノ粒子」(長さ5μm以下のナノ構造)に分類された。プロットは、三つの領域、すなわち、銀ナノ構造生成物が主にナノ粒子である「ナノ粒子」領域と、二つのナノワイヤー領域、すなわち銀ナノ構造生成物が主に細いナノワイヤーである「ナノワイヤー−ゾーンI」及び銀ナノ構造生成物が細いナノワイヤーと太いナノワイヤーの混合物である「ナノワイヤー−ゾーンII」との可視化を可能にしており、境界線「C
thin」がナノ粒子領域とナノワイヤーゾーンIとの間に、境界線「C
thick」がナノワイヤー−ゾーンIとナノワイヤー−ゾーンIIとの間に引かれている。
【0111】
結果を描画した
図2は、ポリ(VP)ホモポリマーの代わりにポリ(VP−co−DADMAN)コポリマーを使用することにより、細い銀ナノワイヤーの生成において硝酸銀の濃度が上昇すること、及び細い銀ナノワイヤーの合成が純粋なポリ(VP)ホモポリマーの3倍までの濃度で達成されること、ポリ(VP−co−DADMAN)コポリマーのDADMAN含有量が0から約2wt%に上昇するとこの効果が劇的に増大し、DADMAN含有量が2wt%から8%へさらに増大するにつれてそれほど劇的ではなくとも増大し続けることを示唆している。DADMAN含有量が8wt%のポリ(VP/DADMAN)コポリマー及びDADMAN含有量が16%のポリ(VP/DADMAN)コポリマーからは概ね同じ結果が得られるように思われることから、DADMAN含有量を8wt%超に増大させてもさらに有意な利益が供されるとは考えられなかった。
【0112】
銀ナノワイヤーの直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)及び/又は走査型電子顕微鏡(SEM)により決定することができる。実施例2Aの銀ナノワイヤーのTEM画像を
図6に示す。実施例2Aの銀ナノワイヤーの直径は55nmである。
【0113】
実施例3
実施例3A−3Cの銀ナノ構造は、概ね上述の実施例2A−2Gのナノワイヤーの作製に使用された方法に従って、実施例1Eのポリ(VP−co−DADMAN)コポリマー0.5g(DADMAN含有量16wt%)を使用し、但し反応混合物に添加される硝酸銀の量を変更して作製された。生成されたナノ構造の長さの分布は、光学顕微鏡で取得された写真に画像解析ソフトウェア「ImageJ」を用いて決定された。
【0114】
図3は、実施例3A−3Cのナノ構造生成物のサイズ分布を示す。各合成に使用されたAgNO3の量、並びに
図3のナノ構造生成物を表すために使用された記号を以下の表IIIに列挙する。
【0115】
【0116】
1.25wt%〜2.5w%のAgNO
3濃度の場合、細いナノワイヤーだけが生成され、AgNO
32.5wt%で生成されたナノワイヤーは、AgNO
31.25wt%で生成されたもの(平均長さ約10μm)より有意に長かった(平均長さ約20μm)。AgNO
3濃度3.75wt%では、細いナノワイヤーと太いナノワイヤーの混合物が生成された。
【0117】
実施例4
実施例4A及び4Bの銀ナノワイヤーは、実施例2A−2Gにおいて上述された方法に従い、1wt%のDAMAN含有量を有するポリ(VP−co−DADMAN)を用いて、二つの異なるAgNO
3量で作製された。
【0118】
図4は、実施例4A及び4Bのナノ構造生成物のサイズ分布を示す。各合成に使用されたAgNO
3の量、及び
図4のナノ構造生成物を表すために使用された記号を以下の表IVに列挙する。
【0119】
【0120】
実施例5
1wt%のDADMAN含有量を有するポリ(VP−co−DADMAN)の還元水合成
ポリ(VP−co−DADMAN)の合成は二つの工程からなる:
【0121】
第1の工程は、市販のDADMAC(ジアリルジメチルアンモニウム クロリド)からDADMAN(ジアリルジメチルアンモニウム ナイトレート)を形成するための対イオン交換であった。対イオンを交換するために、6.44gの脱イオン水に溶解させた13.54gのAgNO
3の溶液を、水中21.00gのDADMAC(65wt%)に加えた。AgNO
3のすべてを除去するための、DADMACに対するAgNO
3のモル比は1.05に対して1である(そうでない場合、溶液が黒色になる)。渦撹拌後、二つの相が現れた。水中にDADMANを含有する液体の上清が回収される。AgClの銀白色の固形沈殿物を5mLの水で洗浄し、次いで二回遠心分離することにより、そこからすべてのDADMANモノマーを抽出する。組み合わされた上清を0.20μmのフィルターを通して濾過し、1452gのビニルピロリドン(VP)及び130gの分子ふるいに加えた。モノマーを一時間振とうした後、ふるいを取り除いた。その後溶液を5−Lの三つ口丸底フラスコ反応器に導入した。
【0122】
開始溶液は、2.20gのAIBNを20.8g(約20mL)のVPに加えることにより、別々に調製された。
【0123】
モノマーの混合物を60℃に加熱して撹拌した。6.66gのチオカルボニルチオ移動剤及び2.5gの開始溶液を5−Lのフラスコに加えた。次いで、2.5gの開始溶液を30分毎に加えた。反応温度を57〜62℃に維持した。7.5時間後、500gのメタノールをフラスコに加えて反応物の粘度を低下させ、反応物を12時間まで撹拌した。黄色の粘性の透明液体が得られた。
【0124】
VP及びDADMANはジエチルエーテル中に可溶であり、ポリ(VP−co−DADMAN)は可溶でないため、コポリマーは、この溶媒の選択的沈殿により残りのモノマーから単離された。1の体積のコポリマーに対して2の体積のエーテルが使用された。結果として得られた白色の沈殿物からエーテルを除去し、その後フード内で、次いで真空オーブンの中で乾燥させた。乾燥させたコポリマーを粉砕することにより、白色で黄色がかった微細な粉末が得られた。
【0125】
実施例6
1wt%のDADMAN含有量を有するポリ(VP−co−DADMAN)の代替的還元水の合成
ポリ(VP−co−DADMAN)の合成は二つの工程からなる:
【0126】
第1の工程は、市販のDADMAC(ジアリルジメチルアンモニウム クロリド)からDADMAN(ジアリルジメチルアンモニウム ナイトレート)を形成するための対イオン交換であった。対イオンを交換するために、6.44gの脱イオン水に溶解させた13.54gのAgNO
3の溶液を、水中21.00gのDADMAC(65wt%)に加えた。AgNO
3のすべてを除去するための、DADMACに対するAgNO
3のモル比は1.05に対して1である(そうでない場合、溶液が黒色になる)。渦撹拌後、二つの相が現れた。水中にDADMANを含有する液体の上清が回収される。AgClの銀白色の固形沈殿物を5mLの水で洗浄し、次いで二回遠心分離することにより、そこからすべてのDADMANモノマーを抽出する。組み合わされた上清を0.20μmのフィルターを通して濾過し、1452gのビニルピロリドン(VP)及び130gの分子ふるいに加えた。モノマーを一時間振とうした後、ふるいを取り除いた。その後溶液を5−Lの三つ口丸底フラスコ反応器に導入した。
【0127】
開始溶液は、2.20gのAIBNを20.8g(約20mL)のVPに加えることにより、別々に調製された。
【0128】
モノマーの混合物を60℃に加熱して撹拌した。6.66gのチオカルボニルチオ移動剤及び2.5gの開始溶液を5−Lのフラスコに加えた。次いで、2.5gの開始溶液を30分毎に加えた。反応温度は57〜62℃に維持した。
【0129】
7.5時間後、500gのエチレングリコールをフラスコに加えることにより、反応物の粘度を低下させた。温度を70
oCに上昇させ、一時間後、さらに500gのエチレングリコールを加えた。反応物を12時間まで撹拌した。黄色の粘性の透明液体が得られた。
【0130】
コポリマー懸濁液は、それ以上精製されることなく、銀ナノワイヤー合成にそのままの状態で使用される。
【0131】
実施例7
塩基の添加を必要とするエチレングリコールにポリ(VP−co−DADMAN)を使用して、高いアスペクト比の銀ナノワイヤーが獲得された。
【0132】
反応混合物に使用されたエチレングリコール(高純度無水エチレングリコール;Sigma−Aldrich ロットSHBC6651V;「ロットB」)のpHは、希釈及び滴定により4.6と決定された。純粋なエチレングリコールのpHは、V=0mLについて、
図7に示される滴定曲線の縦軸上に読み取ることができる。ロットBのエチレングリコールは本実施例7及び続く実施例8及び9において使用された。
【0133】
1.8mgの塩化リチウム(LiCl)、2.4mgの水酸化リチウム(LiOH)、及び1wt%のDAMAN含有量を有する0.5gのポリ(VP−co−DADMAN)を、44gのエチレングリコールに加え、窒素雰囲気下で且つ穏やかに撹拌しながら(100〜300rpm)30分間175℃に加熱した。播種工程において、次いで、硝酸銀の初期量(0.45mLのエチレングリコール中に溶解させた14mgのAgNO
3)を反応混合物に加えた。硝酸銀供給溶液(12gのエチレングリコール中に溶解させた0.37gmのAgNO
3を含む)を、次いで反応混合物に1.5mL/分の速度で液滴で供給した。溶液を氷中でクエンチすることにより、供給開始から15分後に反応を止めた。
【0134】
前出の実施例において記載された単離工程に従って、実施例7のナノワイヤーを、重力分離により反応混合物から単離し、ポリ(VP−co−DADMAN)残留物をしっかりと除去した。
【0135】
実施例7のナノワイヤーのSEM画像を
図8に示す。ナノワイヤーの平均直径は約47nmであることが判明し、平均長は約20μmであることが判明した。
図9は、光学顕微鏡で見た実施例7のナノワイヤーの画像を示す。
【0136】
実施例8
実施例8の銀ナノワイヤーは、実施例7の銀ナノワイヤーの作製に使用された方法と類似であるが、但しLiOHを5.8mgの水酸化カリウム(KOH)で置き換えた方法により作製された。
【0137】
図10は、光学顕微鏡で見た実施例8のナノワイヤーの画像を示す。実施例8のナノワイヤーの平均直径は約65nmであることが判明し、平均長は約25μmであることが判明した。
【0138】
実施例9
実施例9の銀ナノワイヤーは、実施例7の銀ナノワイヤーの作製に使用された方法と類似であるが、但しLiOHを4.1mgの水酸化ナトリウム(NaOH)で置き換えた方法により作製された。
【0139】
図11は、光学顕微鏡で見た実施例9のナノワイヤーの画像を示す。実施例9のナノワイヤーの平均直径は約57nmであることが判明し、平均長は約22μmであることが判明した。