【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、サーバからHTTPアダプティブストリーミング動画を受信するための方法が提供され、この方法は、サーバに動作可能に接続されたクライアントにおいて:動画のチャンクを受信すると、サーバからクライアントへの伝送のための現在の伝送速度を決定することと、期待される将来の伝送速度に関係する統計情報を、少なくとも現在の伝送速度の関数として取得することと、統計情報から目標伝送速度を導出することと、目標伝送速度に従ってプログラムの後続チャンクを要求することとを含む。
【0007】
この本発明による方法の1つの利点は、現在の(および任意選択で、最近の)伝送速度の観測およびそれに統計的に関連した期待される将来の伝送速度に基づき、伝送速度の観点からネットワーク性能を予想することである。このことは、特に、クライアントが異なる時点で異なるタイプのネットワーク上で動作することができる場合に有意義である。特に、クライアントとサーバの間のネットワークは、無線リンク(例えば、IEEE802.11WLANリンクや、UMTS、3G、LTEなどの移動体通信リンクなど)および/または有線リンク(例えば、IEEE802.3「Ethernet(登録商標)」リンク、PLCリンク、xDSLリンク、同軸リンクなど)を含んでもよい。(期待される)将来のネットワーク挙動を観測された挙動に関連付ける統計値を考慮に入れることにより、実際に存在するネットワークトポロジーのために、より最適に近い要求戦略を展開することができる。このように、本発明は、簡単に評価できるメトリック、すなわちサーバからクライアントへのネットワークリンク上の伝送速度を使って実装することができる。
【0008】
本発明による方法の一実施形態では、統計情報はヒストグラムを含み、導出することはヒストグラムから所定の分位点を計算することを含む。
【0009】
この実施形態の1つの利点は、この方法により現在の(および、任意で過去の)ネットワーク性能から将来への適切な外挿が得られるだけでなく、将来のネットワーク性能が過大評価されないという一定レベルの確信が示唆されることである。ネットワーク性能の過大評価および、それに関連する、実際の将来のネットワーク性能から見て適時に配信するには大きすぎるチャンクの要求は、バッファアンダランおよびHASストリームのエンドユーザの体感品質の容認しがたい低下(「フリーズ」や、動画イメージが完全に消失する可能性さえある)を招くことがあるので、後者の利点は重要である。
【0010】
事業者および/またはユーザの要件に従って、様々な分位点を選択してもよい。好ましくは、分位点は、少なくとも50%最適事例(この点では、選択された分位点は中央値)、または75%最適事例(つまり、分位点は25パーセンタイル)、さらには95%最適事例(つまり、分位点は95パーセンタイル)、またはそれらの間の適切な分位点を対象とするように選択される。
【0011】
特定の実施形態では、分位点は5パーセンタイル、1パーセンタイル、0.1パーセンタイルのいずれか1つである。
【0012】
これらの実施形態の1つの利点は、ネットワーク性能の問題に起因して中断されることなく、ストリームされたコンテンツの消費が可能であることを極めて高いレベルで保証するために、これらの実施形態を使用できることである。
【0013】
一実施形態では、本発明による方法は、決定した現在の伝送速度を使って統計情報を更新することをさらに含む。
【0014】
この実施形態の1つの利点は、観測されたネットワーク性能のパターンを統計情報として累積的に格納して、その後の目標伝送速度の決定を向上させるという意味で、システムが自己学習を行うことである。好ましくは、現在のセッションの情報を使用するだけではなく、クライアントのセッションのいくつかまたはすべてに渡って知識を積み上げる(また、任意選択で長期に積み上げる)。
【0015】
特定の実施形態では、統計情報はクライアントとは別のネットワークノードから取得され、そのネットワークノードにおいて更新され、そのネットワークノードは複数のクライアントからの統計情報を格納するように構成される。
【0016】
この実施形態の1つの利点は、クライアントの数が多いおかげで、より正確な統計値が収集され、それにより、関与するすべてのクライアントのためにより良い性能が達成されることである。
【0017】
さらに特定な実施形態では、伝送速度の情報は、関連するネットワークのタイプ、時刻、曜日などの補助情報と関連付けてネットワークノードに格納される。
【0018】
この実施形態の1つの利点は、サービスを受けるクライアントの実際の状況に最も適した情報だけを使用することにより、より正確に統計情報を適用できることである。
【0019】
本発明による方法の一実施形態では、統計情報の取得はクライアントが起動すると行われる。
【0020】
この実施形態では、統計値データベース(このデータベースはクライアント内部のコンポーネント上に格納されてもよいし、任意選択で様々なクライアントから統計値を収集する別のネットワークノード上に保存されてもよい)から関連する最新の統計値を取得することは、クライアントデバイスのブートまたは初期化シーケンスの一部である。
【0021】
本発明による方法の一実施形態では、統計情報の取得は時間間隔をおいて行われる。
【0022】
この実施形態では、統計情報は一定の時間間隔でクライアントに提供される。これらの時間間隔は、固定、または所定の様式で時間にわたり可変でもよく、さらにはネットワーク状況において観測または予想される一定の変化によって決まってもよい。統計情報の伝送は、クライアント主導で発生してもよいし(つまり、クライアントが、例えばデータベースをホストしているサーバをポーリングすることにより、データベースから関連情報をプルする)、サーバ主導で発生してもよい(つまり、サーバが統計情報の更新を1つまたは複数のクライアントにプッシュする)。例えば、移動体通信デバイスの場合のように、クライアントデバイスが最初に起動したときと、HASトラフィックを消費し始めるときとの間に大きな時間経過があり得る事態では、この実施形態により、要求されるHASチャンクに必要な品質レベルの計算に古い統計値を使用することが防止される。
【0023】
本発明の一態様によれば、前述の方法を実行するように構成されたコード手段を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0024】
本発明の一態様によれば、サーバからHTTPアダプティブストリーミング動画を受信するための装置が提供され、装置は:装置をサーバに動作可能に接続するように適合されたネットワークインタフェースと、装置を統計値データベースに動作可能に接続するように適合されたデータベースインタフェースと、ネットワークインタフェースおよびデータベースインタフェースに動作可能に接続されたプロセッサとを備え、プロセッサは:サーバから装置への伝送の現在の伝送速度を決定し、期待される将来の伝送速度に関係する統計情報を、現在の伝送速度の関数として統計値データベースから取得し、統計情報から目標伝送速度を導出し、目標伝送速度に従ってサーバからのプログラムの後続チャンクを要求するように構成される。
【0025】
本発明による装置の一実施形態では、統計情報はヒストグラムを含み、導出することはヒストグラムから所定の分位点を計算することを含む。
【0026】
特定の実施形態では、分位点は5パーセンタイル、1パーセンタイル、0.1パーセンタイルのいずれか1つである。
【0027】
本発明による装置の一実施形態では、プロセッサは、決定した現在の伝送速度を統計値データベースに調達するようにさらに構成される。
【0028】
一実施形態では、本発明による装置は、データベースインタフェースに動作可能に接続された統計値データベースをさらに備える。
【0029】
この実施形態では、クライアント装置は、本発明の原理によって動作するために実在の外部データベースエンティティとインタフェースする必要はない。
【0030】
本発明の一態様によれば、前述した装置を備えるセットトップボックスが提供される。
【0031】
本発明による装置、コンピュータプログラム製品およびセットトップボックスの実施形態の技術的効果および利点は、本発明による方法の対応する実施形態の技術的効果および利点について、必要な変更を加えて対応する。
【0032】
本発明の実施形態による装置および/または方法のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付図面を参照しながら次に説明する。