特許第6147897号(P6147897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 資生堂の特許一覧
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6147897
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】水中油型乳化唇用化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20170607BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20170607BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/06
   A61K8/891
   A61Q1/04
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-129445(P2016-129445)
(22)【出願日】2016年6月29日
【審査請求日】2016年8月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】湊 彩や香
(72)【発明者】
【氏名】冨田 希子
(72)【発明者】
【氏名】蛭間 有喜子
(72)【発明者】
【氏名】中田 博子
【審査官】 小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−136611(JP,A)
【文献】 特開2011−140481(JP,A)
【文献】 特開2004−168759(JP,A)
【文献】 特開2011−111443(JP,A)
【文献】 特開2014−088360(JP,A)
【文献】 特開2002−047129(JP,A)
【文献】 特表2013−537214(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0161806(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0002864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)、(B)を含むことを特徴とする水中油型乳化唇用化粧料。
(A)(a1)および(a2)を含む油相
(a1)水添ポリイソブテンを含む非揮発性炭化水素油 5〜70質量%
ただし、水添ポリイソブテンの配合量は、唇用化粧料中5質量%以上である
(a2)25℃で(a1)と混合した時に分離するメチルフェニルシリコーン 5〜70質量%
(B)(b1)および(b2)を含む水相
(b1)水性成分 10〜80質量%
(b2)色材 0.01〜10質量%
【請求項2】
請求項1に記載の化粧料において、(A)油相中に(a3)油溶性増粘剤を含まない、もしくは、(a3)油溶性増粘剤を含み、その配合量が化粧料中1質量%以下であることを特徴とする水中油型乳化唇用化粧料。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化粧料において、水添ポリイソブテンの配合量が、非揮発性炭化水素油中15質量%以上であることを特徴とする水中油型乳化唇用化粧料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料において、(a2)メチルフェニルシリコーンがジフェニルジメチコンまたはトリメチルペンタフェニルトリシロキサンであることを特徴とする水中油型乳化唇用化粧料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料において、(b2)色材に水溶性染料を含むことを特徴とする水中油型乳化唇用化粧料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料において、親水性ポリマーまたは親水性界面活性剤を含み、(b2)成分に有機顔料を含むことを特徴とする水中油型乳化唇用化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型乳化唇用化粧料に関し、特にみずみずしさ、べたつきのなさ、つや、透明性、つやの持続性に優れた水中油型乳化唇用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の唇用化粧料は、つやを付与するため、油性化粧料が数多く開発されている。しかし、油分中に色材を入れると、油分の透明性が下がるという欠点があった。
一方、みずみずしさを付与するため、水中油型乳化唇用化粧料も開発されている。例えば、水、アルキルセルロース、C10〜C26アルコール、特定のエステル、不揮発性油、安定剤を含む化粧品組成物が知られている(特許文献1)。この化粧品組成物は、水性成分が揮発した後に、つやが持続しないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013−537214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記従来技術の課題に鑑み行われたものであり、みずみずしさ、べたつきのなさ、つや、透明性、つやの持続性に優れた水中油型乳化唇用化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが前述の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、(a1)水添ポリイソブテンを含む非揮発性炭化水素油、(a2)25℃で(a1)と混合した時に分離するメチルフェニルシリコーンを含む油相と、(b1)水性成分、(b2)色材を含む水相を乳化することにより、みずみずしさ、べたつきのなさ、つや、透明性、つやの持続性に優れた水中油型乳化唇用化粧料を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明にかかる水中油型乳化唇用化粧料は、次の(A)、(B)を含むことを特徴とする。
(A)(a1)および(a2)を含む油相
(a1)水添ポリイソブテンを含む非揮発性炭化水素油 5〜70質量%
ただし、水添ポリイソブテンの配合量は、唇用化粧料中5質量%以上である
(a2)25℃で(a1)と混合した時に分離するメチルフェニルシリコーン 5〜70質量%
(B)(b1)および(b2)を含む水相
(b1)水性成分 10〜80質量%
(b2)色材 0.01〜10質量%
前記化粧料において、(A)油相中に(a3)油溶性増粘剤を含み、その配合量が化粧料中1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%未満、配合しないことが最も好適である。
前記化粧料において、水添ポリイソブテンの配合量が、非揮発性炭化水素油中15質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、55質量%以上であることが特に好ましい。
前記化粧料において、(a2)メチルフェニルシリコーンがジフェニルジメチコンまたはトリメチルペンタフェニルトリシロキサンであることが好適である。
前記化粧料において、(b2)色材に水溶性染料を含むことが好適である。
前記化粧料において、親水性ポリマーまたは親水性界面活性剤を含み、(b2)成分に有機顔料を含むことが好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる水中油型乳化唇用化粧料は、(a1)水添ポリイソブテンを含む非揮発性炭化水素油、(a2)25℃で(a1)と混合した時に分離するメチルフェニルシリコーンを含む油相と、(b1)水性成分、(b2)色材を含む水相を乳化した化粧料であり、みずみずしさ、べたつきのなさ、つや、透明性、つやの持続性に優れた水中油型乳化唇用化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
((A)油相)
(A)油相は、(a1)水添ポリイソブテンを含む非揮発性炭化水素油、(a2)25℃で(a1)と混合した時に分離するメチルフェニルシリコーン、を特定量含むことが必要である。
【0009】
(a1)非揮発性炭化水素油は、唇用化粧料塗布後、(b1)水性成分が揮発した後に、唇に密着し、つやを与える油分である。
非揮発性炭化水素油として、水添ポリイソブテンを含むことが必要である。
【0010】
水添ポリイソブテンの配合量は、非揮発性炭化水素油中15質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、55質量%以上であることが特に好ましい。非揮発性炭化水素油中の水添ポリイソブテンの配合量が少なすぎると、密着性に劣る場合がある。
【0011】
水添ポリイソブテン以外の非揮発性炭化水素油としては、例えば、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、流動パラフィン、スクワラン、水添ポリデセン、ワセリン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0012】
水添ポリイソブテン以外の非揮発性炭化水素油としては、液状非揮発性炭化水素油が好ましい。また、液状非揮発性炭化水素油の粘度は、10,000〜100,000mPa・sであることが好ましい。粘度が10,000mPa・s未満では、密着性に劣る場合がある。粘度が100,000mPa・sを超えると、使用性が重くなる場合がある。
【0013】
(a1)非揮発性炭化水素油の配合量は、化粧料全量に対して5〜70質量%であることが必要である。また、10質量%以上が好ましい、さらに15%以上が最も好ましい。(a)成分の配合量が5質量%未満では、密着性が劣り、つや持続がしにくくなる場合がある。また、65質量%以下が好ましい。70質量%を超えると、べたつきが生じる場合がある。
【0014】
(a2)メチルフェニルシリコーンは、25℃で(a1)と混合した時に分離することが必要である。(a2)成分は、唇用化粧料塗布後、(b1)水性成分が揮発した後に、(a1)成分と分離して表層を形成してべたつきを抑えると共に、つやを持続させるものである。
【0015】
「分離」の有無は、以下の条件で測定された。
(測定条件)
(a1)と(a2)を、(a1):(a2)=1:1(質量比)で用いて、90℃に加温し、攪拌混合し、次いで静置し、混合物が25℃になった場合に、境界が均一に2層に分離しているものを「分離する」とし、半透明な状態、または、境界がなく透明な相溶した状態を「分離しない」とした。
【0016】
なお、(a2)成分として二種以上のメチルフェニルシリコーンを用いる場合、分離の有無は、それらの配合割合により異なる。このため、分離の有無は、(a2)成分の配合割合に応じて確認する必要がある。
【0017】
メチルフェニルシリコーンとしては、例えば、ジフェニルジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン等が挙げられる。これらのうち、ジフェニルジメチコンまたはトリメチルペンタフェニルトリシロキサンを含むことが好ましい。
そして、これらのメチルフェニルシリコーンを、(a2)成分全体として上記分離条件を満たすような割合で配合したものであれば良い。
【0018】
本発明の唇用化粧料を唇に塗布した後、外相の(B)相中の(b2)成分は唇を色づけし、(b1)成分は揮発する。その後、唇用化粧料と唇のシェアにより、ただちに(a1)成分と(a2)成分は分離し、(a1)成分は唇上に密着し、(a2)成分は表層に分離するため、色移りしにくく、つや持続効果を発現する。このような唇用化粧料が物についた際には、通常透明である(a2)成分のみが付着する。したがって、本発明にかかる唇用化粧料は、長時間にわたってつや持続効果を発現することもできる。
【0019】
(a2)25℃で(a1)と混合した時に分離するメチルフェニルシリコーンの配合量は、化粧料全量に対して5〜70質量%であることが必要である。また、10質量%以上が好ましく、15%以上がさらに好ましい。(a2)成分の配合量が5質量%未満では、塗布時に分離しにくくなりつや持続効果を発現しない場合がある。また、65質量%以下が好ましい。70質量%を超えると、(a1)成分の配合量が少なすぎて、唇との密着性が劣り、つや持続効果が発現しない場合がある。
【0020】
(a1)、(a2)以外のほかの油分が混合されてもその量がある範囲内であれば、使用温度範囲で相分離状態を維持することができる。したがって、相分離した状態を維持できる範囲において、また、つや持続効果を損なわない範囲において、水添ポリイソブテンと相溶する油分を配合することができる。好ましくは、密着性とつや持続効果の観点から(A)相全量中40質量%以下が好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0021】
このような油分としては、一般に唇用化粧料に用いられる油分はいずれも使用可能である。例えばグリセリルジイソステアレート、トリメチロールプロパントリー2−エチルイソステアレート、イソプロピルミリステート、セチル−2−エチルヘキサノエート、グリセリルトリイソステアレート、2−ヘプチルウンデシルパルミテート、メチルポリシロキサン、トリイソステアリン酸グリセリン、ジイソステアリルマレート、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、シクロペンタシロキサン、リンゴ酸ジイソステアリル、イソドデカン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリエチルヘキサノイン、ジイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン、カルナバロウ、コメヌカロウ、キャンデリラロウ等が挙げられ、これらの中から1種または2種以上が任意に選択される。
【0022】
(a3)油溶性増粘剤は、一般的な油性の唇用化粧料に安定剤として用いられる成分である。しかし、本発明にかかる水中油型乳化唇用化粧料において、(a3)油溶性増粘剤を配合する場合、配合量は、化粧料全量に対して1質量%以下が好ましく、0.1質量%未満がさらに好ましく、配合しないことが特に好ましい。(a3)成分を配合すると、(a1)成分と(a2)成分がうまく分離せず、つや持続効果を発現しない場合がある。
【0023】
油溶性増粘剤としては、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル、エチルセルロース等のアルキルセルロース、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル等が挙げられる。
【0024】
((B)水相)
(B)水相は、(b1)水性成分と(b2)色材を特定量含むことが必要である。
【0025】
(b1)水性成分は、通常化粧料に配合可能な成分を配合することができる。
(b1)水性成分としては、例えば、水、水膨潤性増粘剤、保湿剤、防腐剤、分散剤、pH調整剤、消泡剤、保湿剤等が挙げられる。
【0026】
(b1)水性成分の配合量は、化粧料全量に対して10〜80質量%であることが必要である。また、15質量%以上が好ましい。(b1)成分の配合量が10質量%未満では、みずみずしさ等の使用感に劣る場合や、(b2)色材を配合しづらくなる場合がある。また、60質量%以下が好ましい。80質量%を超えると、(A)油相が少なすぎてつやに劣る場合がある。
【0027】
(b2)色材は、油相に配合すると油相の透明性を損なってしまうため、本願発明では水相に配合することを必要としている。油相に配合した場合、油相の透明性が下がる、また、外観と塗布の色差が大きくなる傾向にある。
(b2)色材としては、例えば、水溶性染料、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。
【0028】
水溶性染料としては、赤色227号、黄色4号、黄5号、青色1号、赤色230(1)号等が挙げられる。
【0029】
無機顔料としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、焼セッコウ、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、の無機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色系顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボン、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料等が挙げられる。
【0030】
有機顔料としては、例えば、赤色202号、赤色205号、赤色220号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、赤色3号、赤色104号、赤色227号、赤色401号、橙色205号、黄色4号、黄色202号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキ等が挙げられる。
【0031】
(b2)色材として有機顔料を配合する場合、分散剤として、親水性ポリマーまたは親水性界面活性剤を配合することが必要である。分散剤がない場合には、水相中に有機顔料をうまく配合することができない。
【0032】
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコールポリビニルピロリドン等が挙げられる。
親水性界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ステアリン酸PEG−40、ステアリン酸PEG−55、ベヘネス−10、ベヘネス−20、ベヘネス−30等が挙げられる。
これらの分散剤のうち、ポリビニルアルコール、ポリソルベート60、ベヘネス−20、ステアリン酸PEG−55を配合することが好ましい。
【0033】
(b2)色材の配合量は、化粧料全量に対して0.01〜10質量%であることが必要である。また、0.1質量%以上が好ましい。(b2)成分の配合量が0.01質量%未満では、十分に唇が色づかない場合や、外観と塗布の差が大きくなる場合がある。また、5質量%以下が好ましい。10質量%を超えると、みずみずしさが劣る場合がある。
【0034】
本発明の水中油型乳化唇用化粧料の水相に、(b1)成分および(b2)成分以外に、高級アルコールを配合すると、安定性が向上するため、配合することが好ましい。水中油型化粧料において、通常、高級アルコールは油相に添加されるが、本発明の水中油型乳化唇用化粧料では、油相に添加した場合には、優れたつや持続効果が得られない。
【0035】
高級アルコールは、炭素数6以上の1価のアルコールである。これらのうち、炭素数12以上の1価のアルコールを配合することが好ましい。具体的には、べヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
【0036】
高級アルコールの配合量は、化粧料全量に対して0.1〜3質量%であることが好ましい。また、0.5質量%以上が好ましい。高級アルコールの配合量が少なすぎると、配合による安定化効果が得られない場合がある。また、2質量%以下が好ましい。高級アルコールの配合量が多すぎると、みずみずしさが劣る場合がある。
【0037】
(A)および(B)以外の成分として、好ましく配合される界面活性剤としては、油相の相分離への影響が少ないHLB4以上の活性剤が挙げられる。
HLB4以上の活性剤としては、ポリソルベート60、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ステアリン酸PEG−40、ステアリン酸PEG−55、ベヘネス−10、ベヘネス−20、ベヘネス−30、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸グリセリル(SE)、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸PEG−5グリセリル等が好ましい。
【0038】
界面活性剤の配合量は、化粧料全量に対して1〜10質量%であることが好ましい。また、2質量%以上が好ましい。界面活性剤の配合量が少なすぎると、うまく乳化できない場合がある。また、8質量%以下が好ましい。界面活性剤の配合量が多すぎると、みずみずしさに劣る場合がある。
【0039】
本発明の水中油型乳化唇用化粧料は、リップグロス等の液状口紅、固形口紅、リップ美容液、リップコンシーラーなどに応用することができる。
【実施例】
【0040】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、配合量は特記しない限り質量%で示す。
はじめに、本発明で用いた評価方法について示す。
【0041】
評価(1):分離性
90℃に加温し、攪拌混合し、該油分混合物が25℃になって、一定期間経過後の油分混合状態を、以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
○:境界がはっきりとした2層に分離している。
△:境界がぼんやりとした2層に分離している。
×:境界がなく相溶した状態である。
【0042】
評価(2):使用感(透明性、みずみずしさ、べたつきのなさ、つや)
専門パネル20名が唇に試料を塗布し、塗布直後の透明性、みずみずしさ、べたつきのなさ、つやを評価した。
(評価基準)
◎:専門パネル20名中15名以上が使用感に優れていると評価した。
○:専門パネル20名中10名以上、15名未満が使用感に優れていると評価した。
△:専門パネル20名中5名以上、10名未満が使用感に優れていると評価した。
×:専門パネル20名中5名未満が使用感に優れていると評価した。
【0043】
評価(3):つや持続効果
専門パネル20名が唇に試料を塗布し、塗布2時間後に、つや持続効果を評価した。
(評価基準)
◎:専門パネル20名中15名以上がつや持続効果を有すると評価した。
○:専門パネル20名中10名以上、15名未満がつや持続効果を有すると評価した。
△:専門パネル20名中5名以上、10名未満がつや持続効果を有すると評価した。
×:専門パネル20名中5名未満がつや持続効果を有すると評価した。
【0044】
評価(4):高温安定性
50℃の恒温槽に4週間保管し、分離等の異常が見られないか評価を行った。
○:分離等は見られない。
△:若干の油浮き・離水が見られる。
×:油浮き・離水が多く見られる。
【0045】
評価(5):外観色と塗布色の色差
専門パネル20名が唇に試料を塗布し、試料の外観の色と、塗布した唇の色を評価した。
○:専門パネル20名中15名以上が外観色と塗布色の差がないと評価した。
×:専門パネル20名中15名未満が外観色と塗布色の差がないと評価した。
【0046】
水中油型乳化化粧料は、油性化粧料よりもみずみずしさを有する一方、配合可能な油相の量が少なくなってしまう。そこで、唇用化粧料とした際、唇へのつやを付与するための油性成分の種類について検討を行った。
本発明者らは、下記表1に示す各試料を、上記評価基準(1)〜(3)に基づき評価した。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
(*1):NJ COL 200A(新日本理化社製)
(*2):脱臭ポリブテンP(日興リカ社製)
(*3):KF−54(信越化学工業社製)
(*4):DOW CORNING(R) PH-1555 HRI COSMETIC FLUID (東レ・ダウコーニング社製)
(*5):BELSIL PDM 20(旭化成ワッカーシリコーン社製)
(*6):AQUALON N22 0100 ethylcellulose(アシュランド社製)
【0049】
表1に示した通り、油性成分の種類により、有する使用感が異なっていた。
非揮発性炭化水素油であるアルコールと、シリコーン油や油性増粘剤(エチルセルロース)を混合した場合には、組み合わせにより分離性に劣るもの(試験例1−6、1−8)、つやに劣るもの(試験例1−6、1−8等)、べたつきのなさに劣るもの(試験例1−8)となってしまった。
しかしながら、非揮発性炭化水素油である水添ポリイソブテンとジフェニルジメチコンやトリメチルペンタフェニルトリシロキサンの組み合わせでは、分離性および使用性に優れていた(試験例1−9、1−10)。
【0050】
したがって、本発明にかかる水中油型乳化唇用化粧料において、油相中に(a1)水添ポリイソブテンを含む非揮発性炭化水素油と、(a2)25℃で(a1)と混合した時に分離するメチルフェニルシリコーンを含むことが必要である。
【0051】
次に、水性成分の(a1)成分および非揮発性炭化水素油(b1)、メチルフェニルシリコーン(b2)の配合量が使用感、つや持続効果に与える影響について、検討を行った。
本発明者らは、下記表2、3に示す各試料(液状口紅)を常法で製造し、上記評価方法(2)、(3)で評価した。結果を表2、3に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
(*7):DK ESTER S-160N (第一工業製薬社製)
(*8):NIKKOL SS-10V (日本サーファクタント工業社製)
(*9):P.V.A EG-40 (日本合成化学社製)
(*10):D&C RED#7 CA LAKE C19-011 (サンケミカル社製)
(*11):DIPROPYLENE GLYCOL (誠興物産社製)
【0054】
【表3】
【0055】
水性成分・非揮発性炭化水素油・メチルフェニルシリコーンの配合量により、つや、つや持続効果、みずみずしさ、べたつきのなさに差が見られた。これら成分を最適条件で組み合わせた場合にのみ、みずみずしさ・べたつきのなさ・つや・つや持続に優れることがわかった。
【0056】
以上のことから、水性成分は、10〜80質量%であることが必要であり、15質量%以上60質量%以下が好ましいこと、非揮発性炭化水素油の配合量は、化粧料全量に対して5〜70質量%であることが必要であり、10〜65質量%が好ましく、さらに15〜65質量%が好ましいこと、メチルフェニルシリコーンの配合量は、化粧料全量に対して5〜70質量%であることが必要であり、10〜65質量%が好ましく、さらに15〜65質量%が好ましいこと、がわかった。
【0057】
次に、非揮発性炭化水素油中の水添ポリイソブテンの配合量が使用感、つや持続効果に与える影響について、検討を行った。
本発明者らは、下記表4、5に示す各試料を、上記評価方法(1)〜(3)で評価した。結果を表4、5に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】

【0060】
(*12):KAYDOL (日本ヴォパック社製)
(*13):SYNCELANE 4(日光ケミカルズ社製)
(*14):VASELINE-E(日興リカ社製)
【0061】
表4、表5によれば、水添ポリイソブテンの配合量が少なくなるほどつや持続効果が低くなる傾向が見られた。
【0062】
以上のことから、水添ポリイソブテンの配合量は、非揮発性炭化水素油中15質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、55質量%以上であることが特に好ましい。
【0063】
次に、油性増粘剤が(a1)成分および(a2)成分の分離性に与える影響について、検討を行った。
本発明者らは、下記表6に示す各試料を、上記評価方法(1)で評価した。結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
【0065】
(*15):レオパールKL(千葉製粉社製)
【0066】
表6に示した通り、油相中の油性増粘剤の配合量を多くするにつれて、(a1)成分および(a2)成分の分離性に影響を与えることが明らかになった。
【0067】
次に、(a3)油性増粘剤を実際の水中油型乳化唇用化粧料へ配合した場合について、検討を行った。
本発明者らは、下記表7に示す各試料(液状口紅)を、常法で調製した。そして、各試料を上記評価方法(3)で評価した。結果を表7に示す。
【0068】
【表7】
【0069】
(*17):SYNTHETIC ALCOHOL 99 DEGREE OF ALCOHOLICITY(日本合成アルコール工業社製)
(*18):HISOLVE EPH (東邦化学工業社製)
(*19):SODIUM METAPHOSPHATE(国産化学社製)
(*20):BENTONE 38VCG (エレメンティス社製)
(*21):BEHENYL ALCOHOL 65(日光ケミカルズ社製)
(*22):NIKKOL TS-10V (日本サーファクタント工業社製)
【0070】
試験例5−1によると、水中油型乳化唇用化粧料に油性増粘剤を大量に配合すると、つや持続効果が下がってしまうことがわかった。これは、表6に示した通り、油性増粘剤が(a1)成分および(a2)成分の分離性を悪くしたためである。
これに対して、油性増粘剤が配合されていない試験例5−2の水中油型乳化唇用化粧料は、みずみずしさ、つや、つや持続、透明性に優れていた。
【0071】
以上のことから、本発明にかかる水中油型乳化唇用化粧料は、(a1)水添ポリイソブテンを含む非揮発性炭化水素油、(a2)25℃で(a1)と混合した時に分離するメチルフェニルシリコーンを含む水相と、(b1)水性成分、(b2)色材を含む水相を含むことが必要である。
また、表6および表7および本発明者らの検討の結果、本発明にかかる水中油型乳化化粧料において、(a3)油性増粘剤を配合する場合、その配合量は、1質量%以下が好ましく、0.1質量%未満が好ましく、配合しないことが特に好ましいことがわかった。
【0072】
次に、水中油型乳化唇用化粧料において、水溶性増粘剤の配合量や、高級アルコールを配合する場合の添加位置に関する検討を行った。
本発明者らは、下記表8に示す各試料(液状口紅)を、常法で調製した。そして、各試料を上記評価方法(4)で評価した。結果を表8に示す。
【0073】
【表8】
【0074】
(*23):SODIUM METAPHOSPHATE(国産化学社製)
【0075】
水溶性増粘剤を0.6質量%以上と多く配合した場合には、高温安定性に優れていることがわかった(試験例6−1)。
また、水溶性増粘剤を多く配合しなくても、高級アルコールを水相に添加した場合には、高温安定性に優れていることがわかった(試験例6−4)。
これに対して、高級アルコールを油相に添加した場合には、水相に添加した場合と比較して高温安定性にやや劣ることがわかった(試験例6−3)。
【0076】
したがって、本願発明にかかる水中油型乳化唇用化粧料において、高級アルコールを配合する場合、(B)水相に添加することが好適である。
【0077】
次に、水中油型乳化唇用化粧料において、(b2)色材の添加位置に関する検討を行った。
本発明者らは、下記表9に示す各試料(液状口紅)を、常法で調製した。そして、各試料を上記評価方法(2)で評価した。また、(A)相の透明性について、上記評価方法(5)に基づき評価した。結果を表9に示す。
【0078】
【表9】

【0079】
(b2)色材を水相に添加した場合には、外観と塗布の色差が少なく、つやの透明性が高いことがわかった(試験例7−2)。これに対して、色材を油相に添加した場合には、外観と塗布の色差が大きくなることがわかった(試験例7−1)。
【0080】
以下に、本発明の水中油型乳化唇用化粧料の処方例を挙げる(処方例1〜12:液状口紅、処方例13:固形口紅)。本発明はこれらの処方例によって限定されるものではない。
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】
【0083】
(*24):マイクロクリスタリンワックスP(日興リカ社製)
(*25):エルデュウPS−203R(味の素社製)
(*26):LUSPLAN PI-DA (日本精化社製)
(*27):コスモール 222(S)(日清オイリオグループ社製)
(*28):1.3−ブチレングリコール(ダイセル化学工業社製)
(*29):KELTROL T (CPケルコ社製)
(*30):アデカノール GT−700(株式会社アデカ社製)
(*31):サンジェロース 90L(大同化成工業社製)
(*32):ノムコート HK-P(日清オイリオグループ社製)
(*33):ステアリルアルコール NX(高級アルコール工業社製)
(*34):コノール 30RC(新日本理化社製)
(*35):MYS−40V(日本サーファクタント工業社製)
(*36):ニッコールBB−20 (日本サーファクタント工業社製)
(*37):NIKKOL テギンTV (日本サーファクタント工業社製)
(*38):エステモール 182V(日清オイリオグループ社製)
(*39):エマレックス GM−5(日本エマルジョン社製)
【要約】
【課題】 みずみずしさ、べたつきのなさ、つや、透明性、つやの持続性に優れた水中油型乳化唇用化粧料を提供する。
【解決手段】 次の(A)、(B)を含むことを特徴とする水中油型乳化唇用化粧料。
(A)(a1)および(a2)を含む油相
(a1)水添ポリイソブテンを含む非揮発性炭化水素油 5〜70質量%
(a2)25℃で(a1)と混合した時に分離するメチルフェニルシリコーン 5〜70質量%
(B)(b1)および(b2)を含む水相
(b1)水性成分 10〜80質量%
(b2)色材 0.01〜10質量%
【選択図】 なし