特許第6147917号(P6147917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147917
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】布地止着用ボタン
(51)【国際特許分類】
   A44B 1/08 20060101AFI20170607BHJP
   A44B 1/20 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   A44B1/08 610A
   A44B1/20
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-513260(P2016-513260)
(86)(22)【出願日】2014年4月3日
(65)【公表番号】特表2016-518210(P2016-518210A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2014056733
(87)【国際公開番号】WO2014183922
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2016年10月19日
(31)【優先権主張番号】13168005.0
(32)【優先日】2013年5月16日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515315657
【氏名又は名称】マイティ・スタイリー・エスエル
【氏名又は名称原語表記】MIGHTY STYLEY SL
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・フランシスカス・オーガスト・アルフレッド・モーセン
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭64−001505(JP,U)
【文献】 特開2002−330802(JP,A)
【文献】 特開2004−173732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 1/00−1/44
A41F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地を止着するための、胴部(10)を含むボタン(1)であって
合によりボタン(1)を布地に取り付ける構成を有する装着手段(2)が前記胴部(10)の中央位置(5)に設けられ、
前記ボタン(1)の胴部(10)が、前記胴部(10)の下面(13)の平面と平行方向で見た場合に傾斜する幅部分(w)を有し、
前記ボタン(1)の、前記胴部(10)の周縁部(11)あるいはその付近に装着手段(3)が更に設けられ、前記胴部(10)の前記幅部分(w)が前記周縁部(11)あるいはその付近で前記装着手段(3)の位置(6)に向けてテーパ付けされることを特徴とするボタン。
【請求項2】
ボタン(1)の、前記周縁部(11)あるいはその付近の単一の位置(6)に装着手段(3)が設けられる請求項1に記載のボタン。
【請求項3】
ボタン(1)の胴部(10)が、前記胴部(10)の下面(13)の平面に直交する方向から見た場合に周縁部(11)あるいはその付近の装着手段(3)の位置(6)の方向に傾斜する高さ(h)を有する請求項1又は2に記載のボタン。
【請求項4】
ボタン(1)が胴部(10)の長さ(l)の少なくとも半分に沿ってテーパ付けされ、前記長さ(l)が、胴部(10)の周縁部(11)及び中心(5)あるいはその付近の装着手段(3)を貫いて伸延するライン(100)に沿って測定された長さである請求項1、2又は3に記載のボタン。
【請求項5】
胴部(10)が直線状又は平面上にテーパ付けされる請求項1〜4の何れかに記載のボタン。
【請求項6】
周縁部(11)あるいはその付近の装着手段(3)が、ボタン(1)の胴部(10)の上面(12)及び下面(13)間を伸延する少なくとも1つの貫通孔を含む請求項1〜5の何れかに記載のボタン。
【請求項7】
胴部(10)の、周縁部(11)あるいはその付近に単一の貫通孔が設けられる請求項6に記載のボタン。
【請求項8】
胴部(10)の、貫通孔付近の周縁部(11)に、上面(12)及び下面(13)間を伸延する凹所(8)を含む請求項7に記載のボタン。
【請求項9】
周縁部(11)あるいはその付近の装着手段(3)が、胴部を貫いて伸延する2つの端部(3a、3b)を有する通路を含み、前記2つの端部(3a、3b)が、胴部(10)の下面(13)及び又は周縁部(11)位置に位置付けられる請求項1〜5の何れかに記載のボタン。
【請求項10】
少なくとも部分的に布地から作製した、詳しくは衣服である製品であって、前記布地が、請求項1〜9の何れかに従う少なくとも1つのボタン(1)が設けられたものである製品。
【請求項11】
長手方向に伸延され且つボタン(1)を受けるように構成されたスリットを更に含み、前記ボタン及び相当するスリットが、前記ボタンの胴部(5)の周縁部(11)あるいはその付近の装着手段(3)がスリットの長手方向上にあるように配向される請求項10に記載の製品。
【請求項12】
周縁部(11)あるいはその付近の装着手段(3)の位置でのボタン(1)と布地との間の距離が、ボタンの中心(5)部分におけるそれより短い請求項10あるいは11に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地、例えば衣服を止着するボタンに関する。前記ボタンは胴部を含み且つ、例えば、前記ボタンを布地に縫合により取り付け得るように構成された装着手段が設けられる。本発明は更に、少なくとも部分的には布地から製造された、少なくとも1つのボタンを含む、例えば衣服である製品に関する。
【背景技術】
【0002】
布地の各セクションを止着するそのようなボタンは既知のものであり且つ、例えば衣服用に広範に用いられている。ボタンは一般に平坦な胴部を有し、この胴部には、ボタンを布地に結合させる糸を受ける通し孔等の装着手段が設けられる。大抵のボタン胴部は円盤形状であるが異なる形状のボタンを利用できる。
【0003】
JP2002330802Aの前提部には、その中央部付近に装着手段を有し且つ、この装着手段から遠い先端部位置で終端する傾斜された幅部分を備える胴部を有するボタンが記載される。
【0004】
DE37327Cは、その周縁部を相互錠止させて連飾を形成する複数のボタンに関するものである。このボタンには別のボタンのリングを受ける開口が設けられ、前記リングは連飾を形成するための糸を受ける構成を有する。
【0005】
US1232633Aには、モーニングコートや燕尾服等の衣服の“へり”を、それらのへりを重ね合わせ、片方のへりに装着したボタンを他方のへりのボタンホールに止める代わりに、それらのへりに“リンク”される構成を有するボタンが記載される。このボタンには中央シャンク部が設けられ、この中央シャンク部は、衣服のボタンホールを通して挿入されるとボタンの縁部位置で衣服にクランプし得るように形成されると共に、ボタン自体の縁部付近に装着された可撓性のリンクを有し、このリンクは衣服の前記他方のへり上でボタンにループ掛けされるようになっている。
JP2004173732Aには、脚部と、装着手段を設けたベース部とを有する丸形又は円盤状胴部を持つボタンが記載される。
US2543056Aには、装着手段としての中央孔と、胴部の周囲縁部により近い入口開口とを設けたボタン平面を有する丸形胴部を有するボタンが記載される。
【0006】
ボタンを、このボタンの形状を有するボタンホールに挿通させることで布地どうしが互いに結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】JP2002330802A
【特許文献2】DE37327C
【特許文献3】US1232633A
【特許文献4】JP2004173732A
【特許文献5】US2543056A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、解決しようとする課題は、中でも、手際よく外せて効率的な、使用が簡単なボタンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は請求項1に従うボタンにより解消される。詳しくは、本発明に従うボタンによれば、ボタンの胴部の周縁部あるいはその近辺に装着手段を設けたことを特徴とするボタンが提供される。ボタン止着状態で前記装着手段が布地の相手側のセクションのスリット形状のボタンホール上又はその付近に来るよう、ボタンをその縁部位置付近で布地に取り付けることで、ボタンを、2つの布地セクションを引き離すことで手際よく外すことができる。前記装着手段は、ボタンを引き外す動作の適用時にボタンをボタンホールを通して案内する。
【0010】
ボタン縁部あるいはその付近の装着手段は、前記案内機能上、ボタン縁部を布地方向に部分的に配向又は偏向させる構成を有することが好ましい。前記装着手段は、ボタンの、特には半分を、ボタンホールを通して引き外し方向にボタンを案内する構成を有することが好ましい。前記装着手段はボタンの半分位置に伸延されるのが好ましい。
ボタン縁部の複数位置に沿って装着手段を設け得るが、装着手段をボタンの周縁部あるいはその付近の一カ所に設けることが好ましい。そうすればボタンは設計上簡単に外せる形状となる。
【0011】
ボタンの胴部の中央位置には更に装着手段が設けられる。これらの中央の装着手段は、例えば、ボタンにおいて伝統的に使用されてきた結合手段に相当するものであり、複数の貫通孔あるいはシャンクを含み得る。この実施態様では、伝統的な装着手段がボタンの中央部内あるいはその周囲に、例えば一定パターンで位置付けられ、他方、ボタン縁部付近あるいは縁部位置の前記装着手段はボタン中央から半径方向外側に離れた、好ましくは一カ所に伸延される。
【0012】
ボタンの胴部は、ボタン外し中にボタンをボタンホールを通してボタンを更に案内するための、装着手段方向に傾斜されたテーパ付け部分をその縁部付近に有することが好ましい。テーパ付け、即ち、幅及び又は高さ低減は、ここでは止着位置でのボタンの、スリット状ボタンホールの長手方向におけるものであることが好ましい。
【0013】
詳しくは、ボタンの胴部は、この胴部の下面の平面と平行に見える方向で、縁部あるいはその付近の装着手段位置に向けてテーパ付けされた幅を有する。換言すれば、胴部の幅は、胴部の縁部あるいはその付近の装着手段に向けて減少される。伝統的なボタンは円盤形状であり、その外側縁部は円形であるが、本発明に従うボタンはテーパ付けされた外側縁部を有し、この外側縁部のテーパ付けセクションは以下に説明されるように実質的に直線的に伸延されることが好ましい。
【0014】
ボタンの底部は一般に実質的に平坦面であることから、ボタンの幅はこの平坦面に関して形成される。しかしながら、より一般的にはボタンの胴部は高さ、幅及び長さを有し、高さは幅や長さより実質的に小さい。長さは胴部の縁部あるいはその付近の装着手段を貫いて伸延するラインに沿って形成される。幅は長さに直角方向に伸延する。
好ましい実施態様によればボタンの胴部は、この胴部の下面の平面に直角の方向で縁部あるいはその付近の装着手段位置に向けてテーパ付けされた、案内を更に改善するための高さ部分を有する。言い換えると、胴部のこの高さ部分は縁部付近の装着手段に向けて低くなって行く。
【0015】
胴部が、縁部あるいはその付近の装着手段から胴部の中心までを伸延するラインに沿って測定される胴部長さの少なくとも半分、好ましくは半分以上に沿ってテーパ付けされれば案内は更に改善される。胴部が実質的に直線的あるいは平面的にテーパ付けされれば案内は更に良好化される。
ボタンは胴部を貫いて伸延する孔を使用して布地に効率的に装着され得る。従って、更に他の好ましい実施態様によれば、周縁部あるいはその付近の装着手段は、ボタンの胴部の上側表面と下面との間を伸延する少なくとも1つの貫通孔を含む。貫通孔は糸を受ける構成を有する。
【0016】
胴部は、ボタンの縁部あるいはその付近に、隣り合って位置付けられた2つの貫通孔を含み得る。これによりボタンの縫い付けが容易化され得る。
しかしながら、胴部の周縁部あるいはその付近に単一の貫通孔を設けても良い。その場合は、ボタンを布地に取り付ける糸がこの貫通孔に通され且つボタンの外側縁部に沿ってループ掛けされる。これにより、ボタンを引張して外す間にボタンが引張方向のボタンホールをずっと効率的に貫いて送られるため、ボタン外し効率が更に向上する。
胴部の貫通孔付近の周縁部には、ボタンの外側縁部に沿わせた糸を見えにくくするための、前記上下の各側面間を延びる凹所が含まれ得る。前記凹所は糸を受けるように構成され、その構成上、好ましくは糸が凹所内に埋め込まれるような形状とされる。
【0017】
本発明のボタンの他の好ましい実施態様では、周縁部あるいはその付近の装着手段は胴部を貫いて伸延する2つの端部を有する通路を含み、前記端部は胴部の下面及び又は周縁部に位置付けられる。本実施態様では上側表面は端部を含まず、かくして、縁部付近の装着手段は見えない又は非常に見えにくい。前記通路は適切に湾曲され得る。
本発明の他の好ましい実施態様では、胴部は、胴部の縁部あるいはその付近の装着手段及び胴部の中心を貫いて伸びるラインに直角の横断面で見た場合に、一方の表面から他方の表面の側縁部に向けて高さが低くなるように伸延する傾斜面を有する。この傾斜面により、ボタンは外される際にスリットを通して案内されるように回転動作する。他方の表面に関する傾斜面の角度は実質的に90°より小さい、好ましくは45°より小さい角度であることが好ましい。傾斜表面は好ましくはライン、特には長手方向軸から前記縁部方向に伸延され、より好ましくは側縁部及び前記ライン間の距離の少なくとも半分に沿って伸延される。
【0018】
ボタン外しを更に容易化するには、第1表面から第2表面の側縁部に向けて高さが低くなるように伸延する第1傾斜面と、第2表面から第1表面の反対側の側縁部に向けて高さが低くなるように伸延する第2傾斜面とを有することが好ましい。この場合、ボタンは対向する2つの傾斜面を有する。断面の1点に沿って見た2つの前記表面の平面は実質的に平行に延びることが好ましい。換言すれば、前記表面が他方の表面に関して伸延する角度は実質的に同一であることが好ましい。ボタンを外そうとしてボタンを引っ張ると、前記2つの傾斜面がボタンに回転動作を誘起させてボタンをスリットに通し易くする。
【0019】
横断面で見て、一方の表面が他方の表面に関してある角度を成し、この角度が装着手段の縁部付近の小さい第1値から装着装置の縁部から遠い方向のもっと大きい第2値に増大する場合にボタンがスムーズに外れる作用が得られる。追加的な装着手段付近の場所、即ち胴部の傾斜先端部位置における角度は小さく、例えば5〜15°、好ましくは約10°であり、この角度が前記傾斜先端位置から側縁部に沿った方向で、例えば40〜50°、好ましくは約45°に増大される。ボタンをスリットを通して移動させるとボタンは角度が増大するに従い徐々に回転し、かくしてボタンは効率的に外され得る。
【0020】
本発明に従うボタンは、ボタンを、胴部の幅の傾斜に従うボタン外し方向に引っ張ることで効率的に外され得る。しかしながら、対向する2方向に引張する間のボタン外しを容易化させるために、胴部の第1縁部位置の第1装着手段と実質的に対向する第2装着手段を周縁部あるいはその付近に更に設け、胴部の幅を前記縁部あるいはその付近の第2装着手段の位置に向けて傾斜させることも好ましい。これにより胴部は、好ましくはその中心と、縁部位置の2つの装着手段とを通して延びるラインに沿って見た場合に2つの方向にテーパ付けされる。これによりボタンは前記中心を通して延びる対称軸に関してミラー対称性を有することが好ましい。そのようなボタンはその胴部の形状自体に、ボタン外しを容易化する上で有益な効果があるため、追加的な装着手段を設けないようにしても良い。
【0021】
先に記載されたように両方向への引っ張り時にボタン外しを容易化させる回転動作を誘起させるためには、傾斜、即ち、幅方向に傾斜する両端部に、回転動作を誘起する傾斜面を設けるのが好ましい。詳しくは、胴部が4つの側縁部セクションを含み、2つの第1側縁部セクションが第1縁部位置の第1装着手段方向に伸延され、2つの側縁部セクションが第1縁部位置の第2装着手段方向に伸延され、胴部の好ましくは対向する2つの側縁部セクション位置に傾斜面を含むことが好ましい。これにより胴部は少なくとも、第1側縁部セクションと、前記第1側縁部セクションと対向する第2側縁部セクション位置とにおいて傾斜面を含むものとなる。
【0022】
2つの傾斜面が底面に直角な前記ラインを通して伸延する平面に関してミラー対称であればボタン外し作用は更に改善される。第1或いは第2側縁部の各々に傾斜面を設け、第1側縁部セクション位置の各傾斜面の平面が平行で且つ第2側縁部セクション位置の各傾斜面の平面が平行になるように配向させ得る。
【0023】
傾斜面は、縁部あるいはその付近に追加的な装着装置を持たないボタン、あるいは下面の平面に傾斜する幅部分を有さないボタン、即ち、例えば、一般に使用されるような丸形ボタンでも使用され得る。これらのボタンは外す、特にはこれらボタンを収受するスリットを通してボタンを案内するのが困難な点が問題である。
【0024】
従って、本発明によれば更に、布地、例えば衣服用のボタンであって、胴部を含み、前記胴部の中央位置には装着手段が設けられ、前記装着手段は、例えば縫合によりボタンを布地に装着させるような構成を有し、前記胴部が、胴部の下面の平面に平行な平面内の、前記装着手段を貫いて伸びるラインに直角な横断平面から見た場合に、一方の表面から他方の表面の側縁部方向に高さが低くなるように伸延する傾斜面を有し、前記傾斜面が、前記側縁部と前記ラインとの間の距離の少なくとも半分に沿って伸延されるボタンが提供される。前記傾斜面は胴部の回転動作を誘起させ、この回転動作が先に記載されたようにボタン外しを容易化させる。ボタンは丸形の、あるいは、例えば、テーパ付けされた幅部分を有する胴部を含み得、前記胴部は中心を貫いて伸びる前記ラインの方向にテーパ付けされる。胴部は、先に説明した理由から、第1表面から第2表面の側縁部方向に高さが低くなるように伸延する第1傾斜面と、前記第2表面から前記第1表面の対向する側縁部方向に高さが低くなるように伸延する第2傾斜面とを有するのがやはり好ましい。同じく先に説明した理由から、横断面で見た場合に、前記傾斜面が他方の表面に関してある角度を形成し、前記ある角度が、装着手段を設けた縁部付近における小さい第1値から前記装着手段を設けた縁部から離れる方向でもっと大きい第2値に増大することが好ましい。
【0025】
本発明の他の実施態様によれば、ボタンを引っ張る力を加える際に対応するスリットを容易に通過し、かくして効率的に外せる、布地、例えば衣服を止着させるための使い易いボタンであって、胴部を含み、前記胴部が、例えば縫合によりボタンを衣服に装着するように構成された装着手段を備え、前記ボタンの前記胴部が、胴部の下面の平面に平行な方向から見てテーパ付け方向に沿って減少する傾斜する幅部分を有し、前記装着手段が、前記胴部の中心位置から前記ラインに沿った縁部方向に可動であるボタンが提供される。前記装着手段が縁部方向に可動であることから、ボタンはスリットを通して効率的に付勢され、かくして容易に外され得る。装着手段はボタンを外すために付加される引張力により可動であることが好ましい。装着手段は引張されると縁部方向にずれ、かくして前記縁部をスリット方向に付勢し且つ、更に引張されるとこのスリットを通してボタンを案内する。
【0026】
装着手段は、例えばリング形状の部材構成を有し、好ましくは、ボタンの胴部の下面上あるいは下側表面に平行な平面内を可動であることが好ましい。前記下面には、装着手段を受け且つ案内するための、例えば、案内手段、例えば溝を設け得る。
【0027】
装着手段は、この装着手段を中央位置方向に偏倚させる偏倚手段を含むことが好ましい。この偏倚手段により、装着手段は無負荷時は中央位置に伸延してボタンの偶発的な外れを防止し、引張力の付加時には縁部方向にずれる。引張力を解放すると装着手段はずれて中央位置に戻る。装着手段は、この装着手段を中央方向に偏倚させるための、例えばバネ形態の弾性手段を含むことが好ましい。糸を受ける、例えばリング形態の装着手段は、例えば、特にはバネ形態の偏倚手段を介して胴部内に結合される。装着手段は更に、糸を受けるためのバネ内に配置された穴形態のものであり得る。好ましくはバネ形態のものである偏倚手段は、溝形態の案内手段内に配置され得る。
【0028】
更には本発明によれば、少なくとも部分的には布地から作製される、特には衣類である製品であって、前記布地には本発明に従う少なくとも1つのボタンが設けられる製品が提供される。
本発明の更に好ましい実施態様によれば、長手方向に伸延し且つボタンを受ける構成を有するスリットを含む製品であって、前記ボタン及び対応するスリットが、ボタンの胴部の周縁部あるいはその付近の装着装置が前記スリットの長手方向上を配向される製品が提供される。これにより、先に記載されたようにボタン外し作用が更に効率化される。
【0029】
ボタン外しに際してボタンをボタンホール方向に更に配向させるため、更に好ましい実施態様では、縁部あるいはその付近の装着手段の位置におけるボタンと布地との間の距離が、ボタンの中央位置における前記距離より短い。
【0030】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、製品に設けたスリットを通してボタンを外す際のボタン用の通路を提供するために、前記スリットには、スリットの一部、例えばスリットの端部をボタンを容易に外せるよう拡幅する拡幅手段が設けられる。拡幅手段は、ボタン外し時にボタンがスリットを通過する位置に設けることが好ましい。拡幅手段は少なくとも1つのスリットを含むことが好ましい。好ましくは複数であるスリットは主たるスリットより狭幅であることが好ましい。拡幅手段のスリットの長さは、好ましくは主たるスリット長の5〜30%、より好ましくは5〜15%である。スリットは主たるスリットと整列して設け得るが、スリットの長手方向軸に関する角度下に拡幅手段に従い伸延させることが好ましい。これにより胴部の幅はスリットを通過し得るものとなる。
【0031】
製品は、前記拡幅手段をその閉鎖位置に偏倚させるように前記拡幅手段に関連する、ボタンが誤って外れないようにする弾性手段を含むことが好ましい。拡幅手段は、ボタンを外す際にスリットを拡幅させてボタンが通過できるようにする構成を有する。前記拡幅手段に関連する、例えば、上述したようにスリット形態の弾性手段を設けることにより、スリットは弾性手段の偏倚力に抗して引張力が付加され、かくして主たるスリットを拡幅させるまで閉鎖状態に維持される。弾性手段は、例えば、前記拡幅手段を、例えばスリット形態で包囲する弾性の布地を含み得る。
【0032】
拡幅手段を設けたボタン用のスリットを設けた製品は従来のボタンと共に使用できる。従って、本発明は製品、特には、少なくとも部分的には布地から作製された衣服であって、前記布地には少なくとも1つのボタンと、前記ボタンを受ける少なくとも1つのスリットとが設けられ、前記スリットには、ボタンを容易に外せるようにするための、スリットの一部、例えば端部を拡幅する拡幅手段を設けた製品が提供される。
【発明の効果】
【0033】
手際よく外せて効率的な、使用が簡単なボタンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、ボタンの平面図である。
図2図2は、図1のボタンの側面図である。
図3図3は、他の実施態様におけるボタンの平面図である。
図4図4は、他の実施態様におけるボタンの平面図である。
図5a図5aは、他の実施態様におけるボタンの平面図である。
図5b図5bは、他の実施態様におけるボタンの平面図である。
図6図6は、他の実施態様の側面図である。
図7図7は、他の実施態様のボタンの底面図である。
図8図8はボタンの断面図である。
図9図9はボタンの断面図である。
図10図10は、他の実施態様のボタンの平面図である。
図11図11A図10に示すボタンの線A−Aに沿った断面図であり、図11 Bは図10に示すボタンの線B−Bに沿った断面図である。
図12図12は、図1のボタンに相当する平面図である。
図13図13Aは、図12のボタンの線A−Aに沿った断面図であり、図13Bは、図12のボタンの線B−Bに沿った断面図である。
図14図14は、異なる実施態様におけるスリットを設けた製品の概略図である。
図15図15は、異なる実施態様におけるスリットを設けた製品の概略図である。
図16図16は、異なる実施態様におけるスリットを設けた製品の概略図である。
図17図17は、本発明に従うボタンの他の実施態様の平面図である。
図18図18は、他の実施態様におけるボタンの底面図である。
図19図19は、図18のボタンの線C−Cに沿った断面図である。
図20図20は、他の実施態様におけるボタンの概略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に従う、胴部10により形成されたボタン1が図1に示される。胴部10の中心5にはボタン1を布地に縫い付ける伝統的な4つの穴2が設けられる。ボタンの縁部11付近には、図2に示されるように上側表面12から下面13へと胴部10を貫いて伸延する追加孔3が設けられる。図2では追加孔3を設けた領域は番号6で示される。
【0036】
図2では胴部10は追加孔3を設けた縁部11方向にテーパ付けされている。追加孔3の位置での胴部10の高さは、番号4で示される反対側の位置でのそれより低い。胴部10は胴部10の長さlの半分以上に沿ってテーパ付けされる。
【0037】
長さlは図1に示されるライン100に沿って測定されたものであり、ボタン1の追加孔3を貫いて中心5まで伸延される。胴部10の幅wもテーパ付けされる。胴部10には2つの直線状セクション14a及び14bも設けられ、これらセクションもまた、ボタン1の長さlの少なくとも半分に沿って伸延される。これにより、弓状セクション15、2つの直線状セクション14a及び14b、追加孔3付近の、図11では番号11で示される付近の弓状セクション、により外縁部11が形成される。胴部10のこの形状により、ボタンホールを通しての案内が向上され得、ボタンは図示が容易化される。
【0038】
図3ではボタン1は追加孔3を布地に装着するための糸7を有している。孔2にも好適な糸を設けることは言うまでもない。ボタン1には縁部領域に単一の孔3のみが設けられることから、糸7のループはあ外縁部11に沿って伸延される。図4に示す本実施態様の縁部11には、糸が縁部11内に埋め込まれるように糸を受ける凹所8が設けられる。
【0039】
図5a及び図5bに示されるような別態様では胴部10にはボタン1を布地に止着させるための2つの追加孔3を設け得る。図5aでは孔3は胴部10の幅方向に隣り合って伸延され、他方、図5bの実施態様では孔3は胴部10の長手方向沿いに隣り合って伸延される。
本発明に従うボタン1の追加的結合部を隠すため、図6に示すように縁部11に湾曲通路3aを設け得る。通路3aは、上面12からは通路3aを通して延びる糸が見えにくくなるように、縁部11を形成する表面間を伸延される。
図7に示されるような別態様では通路3bが下面13との間に伸延され、通路3bの両端部は下面13上に位置付けられる。通路3bもやはり好適に湾曲される。
【0040】
図8にはボタン1の、図1の線100に直交する、図8では平面100aとして示される平面に沿った断面が示される。図示されるように、ボタン表面13にはテーパ付けされた、即ち、側縁部14a方向に高さhが低くなる傾斜面13aが設けられる。傾斜面13aは縁部表面を形成し、この縁部表面は下面13に対して約45°の角度αを成す。上面12は実質的に平坦に延在される。傾斜面13aは下面13の平面から実質的に上面12の平面方向にテーパ付けされる。この例では傾斜面13aはライン100付近の位置から前記側縁部14a方向に伸延される。しかしながら、高さが低いボタンでは傾斜面13aは、仮に約45°の角度で伸延される場合はライン100までは伸延されない。傾斜面13aはボタン外し時に回転動作を誘起させ、それがボタン外しをずっと容易化させる。
【0041】
他方の側縁部14bは、図8に示されるように通常の縁部14bであり、慣例的に多少丸味付けされ得る。しかしながら、回転動作を更に向上させるために、この他方の側縁部14bにも前記傾斜面13aとは逆向きにテーパ付けした傾斜面12aを設けるのが好ましい。実際、図9に示されるように、上面12にも、下面13の平面の側縁部14bに向けて上面12から下方に伸延する傾斜面12aが設けられる。傾斜面12aも、断面で見て上面12のほぼ半分をカバーする。
【0042】
図10に示されるようなボタン1は、ライン100に沿って任意の方向に引っ張ることで容易に外され得る。胴部には2つの傾斜端部、即ち、追加の装着手段3dを有する傾斜端部11aと、追加の装着手段3eを有する傾斜端部11bとが設けられる。ボタンは、少なくとも平面図で見て、やはりライン100を貫いて伸延する平面101に沿ってミラー対称である。ボタン1は,ボタン1の外縁部を形成する、テーパ付けされた4つの側縁部14c、14dを含む。図10の線Aに沿った断面を示す図11Aに示されるように、左側縁部14cには、図8に示されるような表面に類似する傾斜面13aが設けられる。傾斜面13aは上面12の平面から下面13の平面に向けて伸延される。図11Aに示されるような右側縁部14cに、図10の線Aに沿った断面が図9に示されるような断面に相当するように、図9に番号12aで示されるような傾斜面をも設け得る。
図10では下方、即ち、平面101の反対側に示される、ボタンの下側の右側縁部14dの、上面12位置には少なくとも傾斜面12aが設けられる。随意的には左側縁部14dにも傾斜面13aを設け得る。
【0043】
図12に示されるようなボタン1が図1に示されるようなボタン1に相当する図12及び13を参照して傾斜面13aの形状が説明される。図13Aには図12の線Aに沿ったライン100に直交する断面、即ち、追加の装着手段3を有する縁部又はポイントから遠い位置での断面が示される。前記位置において傾斜面13aの角度は、縁部11付近の位置Bにおけるその角度α1より大きい45°の角度α2である。従って、上面12に関して延びる傾斜面13aの角度は縁部11方向に減少される。これにより、ボタンを外す際にボタンの円滑な回転動作が誘起され、ボタンは容易に外される。上面12位置に設けられた傾斜面12aも類持構成を有し得る。
【0044】
図8、9、13に示されるような傾斜面を、図17に示すような丸形ボタン等のその他の周囲形状を有するボタンでも使用できる。第1側縁部セクション14aには、例えば、図9に示されるような傾斜面13aに類似の第1傾斜面13aを設け得、中心5を貫いて伸延する平面100aに関して反対側の第2側縁部セクション14bには、図9に示されるような傾斜面12aを設け得る。ボタンの縁部11位置には装着手段3を設け得、又は設け得ない。
【0045】
図14〜16を参照するに、製品20、特には衣服片が示され、ボタンを受けるスリット21が設けられている。このスリットは、以下に説明されるように、特には先の図面、あるいは図18及び19の何れかに示されたような任意のボタンと共に好適に作用するが、伝統的形状のボタンと共にも使用できる。
スリット21には、ボタン外しに際してボタンを通し易くする追加のスリット22a及び22bが設けられ、これら追加スリットは製品に引張力が加わる、及び又はボタンがスリット21に入ると開放する。スリット22a、22bが、スリット21の長手方向軸に関して直交してスリット21の両側に伸延される。
【0046】
次いでスリット22a、22bは、図14に矢印で示される方向に開き、ボタンの通路面積を増大させる。ボタンが誤って外れるのを防止するため、スリット21の両側でスリット22a、22bの裏側に弾性シート23a及び23bが配置される。弾性シート23a及び23bは、外側周囲部分及びスリット22a、22bの周囲部分に沿った縫合ライン24で縫い付けられる。弾性シート23a、23bはスリット22a、22bを互いに近づくように偏倚、即ち図14に矢印で示される方向とは逆方向に偏倚させる。縫合ライン24をスリットを任意のポイント位置で横断させないことが好ましい。
【0047】
図15の製品20は、スリット21の両端部に拡幅手段が設けられ、各拡幅手段が、スリット21の長手方向軸に関してある角度で伸延するずっと短い2つのスリット22a及び22bの形態のものである点で、図14に示される製品とは異なる。各スリット22a、22bはやはり、ボタンが誤って外れないようにするために製品20に縫合ライン24で縫い付けられた弾性シート23により裏当てされる。本実施態様は特に、弾性シート23無しで使用するためにも好適である。その場合、スリット22a、22bの長さは主たるスリット21の長さの5〜15%の範囲であることが好ましい。
追加のスリット22a及び22bはスリットの長手方向軸に関してある角度下に伸延される必要は無い。図16に示されるように、スリット22a、22bは主たるスリット21の端部位置に設けられ、この主たるスリット21と同一方向、即ち、主たるスリットの、例えば水平又は垂直である方向に依存して伸延される。やはり弾性シート23が設けられる。
【0048】
ボタンを容易に外せるようにボタンの中心5の位置に、中央の装着手段に加えて設けられる装着手段3に代えて、図18及び19に示されるように、ボタン1bの胴部10bに関して可動の装着手段21を設け得る。図19ではボタン1bが線Cに沿った断面図で示される。
装着手段は、特に図19に示されるようにリング形状を有し、ボタン1bの下面13に設けた溝16に受けられ、且つボタン1bの長手方向100に沿ってスライドするように構成された突起21が設けられる。
【0049】
装着手段2aは、長手方向軸100上で対向する端部の端部11a、11b付近にバネ15a及び15bで連結される。バネ15a及び15bは、装着手段を中心5に向けて偏倚させる。単一のバネを使用しても良く、その場合は装着手段はこのバネの中央セクションに連結される。ボタン1bの胴部10bは、図10の実施態様と同様に2度、更に傾斜される。
ボタンを外す力を加えると、装着手段2aは、引張力の方向に依存するA又はBで示される方向に移動され、かくして、装着手段はボタン1bの胴部10bの端部11a、11bあるいはその付近の位置に移動される。ボタン1bはこの位置で、ボタン外しを容易化するスリットに容易に案内される。ボタン1bが外されるとバネ15a、15bは装着手段2aを初期の、即ち中央位置方向に押し返す。
【0050】
図20には可動の装着手段2aの別態様が示される。本図ではボタンの胴部10bの底部の一部が示され、リング形状の部材2bがバネ15の中央セクションに装着されている。バネ15は、図18に示されるように傾斜端部11a及び11bであり得る端部11a及び11bを通るライン100上の相対距離位置間に伸延される。バネ15は、このバネ15が胴部10b内に埋め込まれ、他方、リング2bに通した糸にボタンが連結され得るように、図19に示されるような溝16と類似の溝内に配置される。この場合でも、バネは装着手段の動きを許容し、他方、装着手段2bはその初期の、即ち中央位置方向に偏倚される。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0051】
1 ボタン
1b ボタン
2a 装着手段
2b リング/装着手段
3 装着手段/追加孔
3a 湾曲通路/通路
3d 装着手段
3e 装着手段
5 中心
8 凹所
10 胴部
10b 胴部
11 外縁部/縁部
11a 端部/傾斜端部
11b 端部/傾斜端部
12 上面
12a 傾斜面
13 下面/ボタン表面
13a 傾斜面/第1傾斜面
14a 直線状セクション/第1側縁部セクション
14b 側縁部/第2側縁部セクション
14c 側縁部/左側縁部/右側縁部
14d 右側縁部/左側縁部
15 弓状セクション
15a バネ
15b バネ
16 溝
20 製品
21 スリット/装着手段/突起
22a スリット
23 弾性シート
23a 弾性シート
24 縫合ライン
100 ライン/線/長手方向
100a 平面
101 平面
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20