特許第6147921号(P6147921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6147921高出力レーザービームを使用したダウンホール深トンネル掘削ツール及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147921
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】高出力レーザービームを使用したダウンホール深トンネル掘削ツール及び方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/11 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   E21B43/11
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-519503(P2016-519503)
(86)(22)【出願日】2014年5月2日
(65)【公表番号】特表2016-524061(P2016-524061A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】US2014036553
(87)【国際公開番号】WO2014200630
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2016年2月4日
(31)【優先権主張番号】13/914,250
(32)【優先日】2013年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】バターセ,サミーハ,イサ
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04199034(US,A)
【文献】 米国特許第04282940(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0102343(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0326659(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0206505(US,A1)
【文献】 米国特許第04227582(US,A)
【文献】 特開2007−021574(JP,A)
【文献】 特開平11−226770(JP,A)
【文献】 特開2009−028762(JP,A)
【文献】 特開2012−024831(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/113244(WO,A1)
【文献】 実開昭48−084095(JP,U)
【文献】 特開平08−192289(JP,A)
【文献】 特開昭56−041092(JP,A)
【文献】 特開平03−285784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
B28D 1/00−7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素含有層を貫通するためのダウンホールレーザーツールであって、
高出力レーザービームを発生させるように構成されたレーザー表面ユニットであって、光ファイバーケーブルと電気通信し、前記光ファイバーケーブルは、前記高出力レーザービームを伝導するように構成され、前記光ファイバーケーブルは、高温及び高圧に耐えるように構成された絶縁ケーブル、前記高出力レーザービームを伝導するように構成された保護レーザーファイバーケーブル、前記高出力レーザービームを受信するように構成されたレーザー表面端部、前記光ファイバーケーブルから生レーザービームを放射するように構成されたレーザーケーブル端部を備える、レーザー表面ユニットと、
既存の坑井内部に配置された外部ケーシングであって、前記既存の坑井が、炭化水素含有層内部へ延在する、外部ケーシングと、
前記外部ケーシング内部に配置されたハードケースであって、前記光ファイバーケーブルが、前記ハードケース内部に収容される、ハードケースと、
前記外部ケーシング内部に位置付けられた回転システムであって、前記ハードケースの端部に連結された回転ケーシング、前記回転ケーシングから延在する回転ヘッドを備え、前記ハードケースの軸を中心に回転するように構成される、回転システムと、を備え、
前記回転ヘッドは、前記生レーザービームを方向付けるように構成された集束システムと、平行レーザービームを前記炭化水素含有層内へ発射するように構成されたダウンホールレーザーツールヘッドと、を備え、
前記集束システムは、前記生レーザービームを方向付けるように構成されたビーム操作装置と、集束レーザービームを作製するように構成された集束レンズと、前記平行レーザービームを作製するように構成されたコリメータと、を備え、
前記ビーム操作装置は、前記光ファイバーケーブルの前記レーザーケーブル端部に近接して位置付けられ、前記集束レンズは、前記生レーザービームを受信するように位置付けられ、前記コリメータは、前記集束レーザービームを受信するように位置付けられ、
前記ダウンホールレーザーツールヘッドは、前記集束システムに近接した第1のカバーレンズと、前記ダウンホールレーザーツールヘッドから前記平行レーザービームを発射するように位置付けられたレーザー口と、前記第1のカバーレンズの前記レーザー口側に近接した流体ナイフと、前記レーザー口に近接した前記ダウンホールレーザーツール内部のパージノズルと、前記レーザー口と近接した吸引ノズルと、前記レーザー口に隣接した温度センサと、を備え、
前記第1のカバーレンズは、前記集束システムを保護するように構成され、前記流体ナイフは、前記第1のカバーレンズを拭き取るように構成され、前記パージノズルは、前記平行レーザービームの経路から塵を除去するように構成され、前記吸引ノズルは、前記平行レーザービームの前記経路から塵及び蒸気を収集するように構成される、ダウンホールレーザーツール。
【請求項2】
前記ハードケースに取り付けられ、前記ハードケースを前記外部ケーシングに対して定位置に保持するように構成される、安定化パッドを更に備える、請求項1に記載のダウンホールレーザーツール。
【請求項3】
前記ビーム操作装置は、反射鏡である、請求項1又は2のいずれかに記載のダウンホールレーザーツール。
【請求項4】
前記ビーム操作装置は、ビームスプリッタである、請求項1〜3のいずれかに記載のダウンホールレーザーツール。
【請求項5】
前記第1のカバーレンズと前記流体ナイフとの間に前記第1のカバーレンズに近接して位置付けられた第2のカバーレンズを更に備える、請求項1〜4のいずれかに記載のダウンホールレーザーツール。
【請求項6】
前記集束レンズは、前記光ファイバーケーブルの前記レーザーケーブル端部に近接して位置付けられ、前記コリメータは、前記集束レーザービームを受信するように位置付けられ、前記ビーム操作装置は、前記平行レーザービームを受信するように位置付けられる、請求項1〜5のいずれかに記載のダウンホールレーザーツール。
【請求項7】
1つの回転ケーシングから延在する複数の回転ヘッドを更に備える、請求項1〜6のいずれかに記載のダウンホールレーザーツール。
【請求項8】
複数の回転システムを更に備える、請求項1〜7のいずれかに記載のダウンホールレーザーツール。
【請求項9】
前記ダウンホールレーザーツールヘッドは、先細のレーザー口を有する、請求項1〜8のいずれかに記載のダウンホールレーザーツール。
【請求項10】
ダウンホールレーザーツールを用いて炭化水素含有層を貫通するための方法であって、
ダウンホールレーザーツールを既存の坑井内へ延在させるステップであって、前記ダウンホールレーザーツールは、光ファイバーケーブルに接続されたレーザー表面ユニットと、前記光ファイバーケーブルを包囲するハードケースと、前記ハードケースを包囲する外部ケーシングと、前記外部ケーシング内部に位置付けられた回転システムと、前記回転システムから延在する回転ヘッドと、を備え、
前記回転ヘッドは、集束システムと、ダウンホールレーザーツールヘッドと、を備え、
前記集束システムは、ビーム操作装置と、集束レンズと、コリメータと、を備え、
前記ダウンホールレーザーツールヘッドは、第1のカバーレンズと、流体ナイフと、パージノズルと、吸引ノズルと、温度センサと、を備える、延在させるステップと、
前記レーザー表面ユニットをランモードで動作させるステップであって、レーザー表面ユニットに接続された前記光ファイバーケーブルは、前記ランモード中に生レーザービームを前記回転システムの前記回転ヘッドの前記集束システムに伝導し、
前記ランモードは、所望の貫通深さが平行レーザービームによって到達されるときに終了する、動作させるステップと、
前記光ファイバーケーブルから前記ビーム操作装置に前記生レーザービームを放射するステップであって、前記ビーム操作装置は、前記生レーザービームの経路を前記集束レンズに向かって再び方向付ける、放射するステップと、
前記生レーザービームを前記集束レンズ内で集束させて、集束レーザービームを作製するステップと、
前記集束レーザービームを前記コリメータ内で視準して、平行レーザービームを作製するステップと、
前記平行レーザービームを前記第1のカバーレンズに通過させるステップと、
前記流体ナイフを用いて前記第1のカバーレンズを拭き取るステップと、
前記レーザー表面ユニットの前記ランモード中に、前記パージノズルを用いて前記平行レーザービームの前記経路をパージするステップと、
前記レーザー表面ユニットの前記ランモード中に、前記平行レーザービームを用いて前記炭化水素含有層を昇華させて、前記所望の貫通深さまでトンネルを作製するステップと、
前記レーザー表面ユニットの前記ランモード中に、前記吸引ノズルを用いて塵及び蒸気を吸引するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記回転システムを回転させて、前記炭化水素含有層の新たな領域を標的化するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記回転システムは、複数の回転ヘッドを備える、請求項10又は11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記ランモードは、循環モードを備え、
前記循環モードは、オン周期とオフ周期との間で前記レーザー表面ユニットを循環させるステップを更に含み、
前記生レーザービームは、前記オン周期中に前記レーザー表面ユニットから前記集束システムに伝導される、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記オン周期中に、前記パージノズルを用いて前記平行レーザービームの前記経路をパージするステップと、
前記オフ周期中に、前記吸引ノズルを用いて前記塵及び蒸気を吸引するステップと、を更に含む、請求項10〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記ランモードは、連続モードを備え、
前記レーザー表面ユニットは、所望の貫通深さが到達されるまで連続して動作する、請求項10〜14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素含有層を貫通するための方法及び装置に関する。より具体的には、本発明は、ネットワークを構築する目的のために、ダウンホールレーザーツールを使用して炭化水素含有層を昇華させるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
坑井刺激は、産出のために層から坑井への炭化水素の流れを促進する方法に着目する石油工学の一分野である。標的化された層から炭化水素を産出するために、層内の炭化水素は、産出されるために層から坑井へと流れて、表面へと流れる必要がある。層から坑井への流れは、層透過性によって実行される。層透過性が低い場合、流れを促進するために刺激が適用される。刺激は、坑井の周辺及び層内に適用されて、層内にネットワークを構築することができる。
【0003】
刺激のための第1のステップは一般的に、ケーシングを穿穴し、セメントで固定して、層に到達することによる。ケーシングを穿穴する1つの方法は、指向性爆薬の使用である。指向性爆薬は、標的放出区域まで坑井内へ降下される。指向性爆薬の放出は、鋼ケーシング、セメントを貫通し、また層内へと貫通する短いトンネルを作製する。
【0004】
指向性爆薬の使用は、幾つかの欠点を有する。例えば、指向性爆薬は、トンネルの周辺に小さい区域を作り出し、それは透過性を低減し、したがって産出を低減する。指向性爆薬の高速度衝撃は、岩石層を粉砕し、層の孔溝を塞ぐ微細粒子を産出し、流れ及び産出を低減する。トンネル内に溶解物が形成する可能性が存在する。指向性爆薬によって作製されるトンネルの幾何学及び方向は、制御することができない。トンネルの貫通深さ及び直径には制限がある。表面での爆発物の取り扱い中に関わる危険性が存在する。
【0005】
刺激の第2の工程は、典型的には、指向性爆薬によって作製されたトンネルを通して流体をポンプで汲み上げることを含む。流体は、層及び岩石を破壊及び破砕させる層の破壊圧を超える速度にてポンプで汲み上げられ、これは水圧破砕と呼ばれる。水圧破砕は主に、水圧破砕流体と呼ばれる水性流体を使用して実行される。水圧破砕流体は、層、特に頁岩を損傷する可能性がある。水圧破砕は、層内に破砕を作り出し、層と坑井との間にネットワークを作り出す。
【0006】
水圧破砕もまた、幾つかの欠点を有する。まず、上述の通り、水圧破砕は層を損傷する可能性がある。それに加えて、破砕の方向を制御することができない。破砕は、再び閉じることが知られている。パイプ中の水の高い圧力のため、表面に危険性が存在する。水が不足している地域では、水圧破砕に必要な数百万ガロンの水を獲得することは、困難である。水圧破砕流体に添加される成分に関する、環境への懸念が存在する。
【0007】
それに加えて、上記に説明される2工程破砕システムは、費用がかさむ可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、所望の貫通深さまで炭化水素含有層を貫通するための方法及び装置に関する。より具体的には、本発明は、炭化水素含有層の貫通における使用のためのダウンホールレーザーツールに関する。
【0009】
本発明の一実施形態では、炭化水素含有層を貫通するためのダウンホールレーザーツールは、高出力レーザービームを発生させるように構成されるレーザー表面ユニットを含む。レーザー表面ユニットは、光ファイバーケーブルと電気通信する。光ファイバーケーブルは、高出力レーザービームを伝導するように構成される。光ファイバーケーブルは、高温及び高圧に耐えるように構成された絶縁ケーブル、高出力レーザービームを伝導するように構成された保護レーザーファイバーケーブル、高出力レーザービームを受信するように構成されたレーザー表面端部、光ファイバーケーブルから生レーザービームを放射するように構成されたレーザーケーブル端部を含む。本ダウンホールレーザーツールは、既存の坑井内部に配置された外部ケーシングであって、炭化水素含有層内部に延在する、外部ケーシングと、外部ケーシング内部に配置されたハードケースであって、光ファイバーケーブルが、ハードケース内部に収容される、ハードケースと、外部ケーシング内部に位置付けられた回転システムとを含む。回転システムは、ハードケースの端部に連結された回転ケーシングと、回転ケーシングから延在する回転ヘッドとを含む。回転システムは、ハードケースの軸を中心に回転するように構成される。回転ヘッドは、生レーザービームを方向付けるように構成された集束システムと、平行レーザービームを炭化水素含有層内へ発射するように構成されたダウンホールレーザーツールヘッドとを含む。集束システムは、生レーザービームを方向付けるように構成されたビーム操作装置と、集束レーザービームを作製するように構成された集束レンズと、平行レーザービームを作製するように構成されたコリメータとを含む。ビーム操作装置は、光ファイバーケーブルのレーザーケーブル端部に近接して位置付けられ、集束レンズは、生レーザービームを受信するように位置付けられ、コリメータは、集束レーザービームを受信するように位置付けられる。ダウンホールレーザーツールヘッドは、集束システムに近接した第1のカバーレンズと、ダウンホールレーザーツールヘッドから平行レーザービームを発射するように位置付けられたレーザー口と、第1のカバーレンズのレーザー口側に近接した流体ナイフと、レーザー口に近接したダウンホールレーザーツール内部のパージノズルと、レーザー口と近接した吸引ノズルと、レーザー口に隣接した温度センサとを含む。第1のカバーレンズは、集束システムを保護するように構成される。流体ナイフは、第1のカバーレンズを拭き取るように構成される。パージノズルは、平行レーザービームの経路から塵を除去するように構成される。吸引ノズルは、平行レーザービームの経路から蒸気を収集するように構成される。
【0010】
ある特定の実施形態では、本ダウンホールレーザーツールは、ハードケースに取り付けられ、ハードケースを外部ケーシングに対して定位置に保持するように構成される、安定化パッドを含む。
【0011】
本ダウンホールレーザーツールのある特定の実施形態では、ビーム操作装置は、反射鏡である。
【0012】
本ダウンホールレーザーツールのある特定の実施形態では、ビーム操作装置は、ビームスプリッタである。
【0013】
ある特定の実施形態では、本ダウンホールレーザーツールは、第1のカバーレンズと流体ナイフとの間に第1のカバーレンズに近接して位置付けられた第2のカバーレンズを更に含む。
【0014】
本ダウンホールレーザーツールのある特定の実施形態では、集束レンズは、光ファイバーケーブルのレーザーケーブル端部に近接して位置付けられ、コリメータは、集束レーザービームを受信するように位置付けられ、ビーム操作装置は、平行レーザービームを受信するように位置付けられる。
【0015】
ある特定の実施形態では、本ダウンホールレーザーツールは、1つの回転ケーシングから延在する複数の回転ヘッドを更に含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、本ダウンホールレーザーツールは、複数の回転システムを更に含む。
【0017】
ある特定の実施形態では、本ダウンホールレーザーツールヘッドは、先細のレーザー口を有する。
【0018】
本発明は、ダウンホールレーザーツールを用いて炭化水素含有層を貫通するための方法も対象とする。本方法は、ダウンホールレーザーツールを既存の坑井内へ延在させることを含む。ダウンホールレーザーツールは、光ファイバーケーブルに接続されたレーザー表面ユニット、光ファイバーケーブルを包囲するハードケース、ハードケースを包囲する外部ケーシング、外部ケーシング内部に位置付けられた回転システム、及び回転システムから延在する回転ヘッドを含む。回転ヘッドは、集束システム及びダウンホールレーザーツールヘッドを含む。集束システムは、ビーム操作装置、集束レンズ、及びコリメータを含む。ダウンホールレーザーツールヘッドは、第1のカバーレンズ、流体ナイフ、パージノズル、吸引ノズル、及び温度センサを含む。本方法は、レーザー表面ユニットをランモードで動作させることを含み、該ランモードは、所望の貫通深さが平行レーザービームによって到達されるときに終了する。レーザー表面ユニットに接続された光ファイバーケーブルは、ランモード中に、生レーザービームを回転システムの回転ヘッドの集束システムに伝導する。本方法は、光ファイバーケーブルからビーム操作装置に生レーザービームを放射することを更に含む。ビーム操作装置は、生レーザービームの経路を集束レンズに向かって再び方向付ける。本方法は、生レーザービームを集束レンズ内で集束させて、集束レーザービームを作製することと、集束レーザービームをコリメータ内で視準して、平行レーザービームを作製することと、平行レーザービームを第1のカバーレンズに通過させることと、流体ナイフを用いて第1のカバーレンズを拭き取ることと、ランモード中にパージノズルを用いて平行レーザービームの経路をパージすることと、ランモード中に平行レーザービームを用いて炭化水素含有層を昇華させて、所望の貫通深さまでトンネルを作製することと、ランモード中に吸引ノズルを用いて塵及び蒸気を吸引することと、を更に含む。
【0019】
ある特定の実施形態では、本方法は、回転システムを回転させて、炭化水素含有層の新たな領域を標的化することを更に含む。
【0020】
ある特定の実施形態では、回転システムは、複数の回転ヘッドを含む。
【0021】
ある特定の実施形態では、ランモードは、循環モードを含み、オン周期とオフ周期との間でレーザー表面ユニットを循環させ、生レーザービームは、オン周期中にレーザー表面ユニットから集束システムへ伝導される。
【0022】
ある特定の実施形態では、本方法はまた、オン周期中にパージノズルを用いて平行レーザービームの経路をパージするステップと、オフ周期中に吸引ノズルを用いて塵及び蒸気を吸引するステップとを含む。
【0023】
ある特定の実施形態では、ランモードは、連続モードを含み、レーザー表面ユニットは、所望の貫通深さが到達されるまで連続して動作する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、特許請求の範囲、及び添付の図面に関してより良く理解されるようになるであろう。しかしながら、図面は、単に本発明の幾つかの実施形態のみを例証するものであり、したがって、他の同等に有効な実施形態を認め得る本発明の範囲を限定すると見なされるものではないことに留意されたい。
【0025】
図1】本発明の実施形態の斜視図である。
【0026】
図2】本発明の実施形態の断面図である。
【0027】
図3】回転ヘッドの実施形態の斜視図及び光ファイバーケーブルの分解図である。
【0028】
図4A】回転ヘッドの実施形態の断面図である。
【0029】
図4B】回転ヘッドの代替的実施形態の断面図である。
【0030】
図4C】回転ヘッドの代替的実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は幾つかの実施形態と共に説明されるが、当業者であれば、本明細書に説明される装置及び方法に対する多数の実施例、変形、及び変更が本発明の範囲及び精神に含まれることが、理解されるべきである。したがって、本明細書で説明される本発明の例示的実施形態は、請求される発明に対して普遍性を損なうことなく、また制限を与えることなく記載される。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に従うダウンホールレーザーツールの斜視図を示す。レーザー表面ユニット10は、既存の坑井4付近の地表上に存在する。既存の坑井4は、炭化水素含有層2内に掘下げられており、セメント6及び坑井ケーシング8を補強として伴う。ダウンホールレーザーツールヘッド(図示なし)は、既存の坑井4内部に存在する。レーザー表面ユニット10は、光ファイバーケーブル20と電気通信する。レーザー表面ユニット10は、光ファイバーケーブル20のレーザー表面端部55に接続される。光ファイバーケーブル20のレーザーケーブル端部(図示なし)は、ダウンホールレーザーツールヘッド(図示なし)に接続されている。ある特定の実施形態では、複数の光ファイバーケーブル20は、レーザー表面ユニット10をダウンホールレーザーツール1に接続してもよい。
【0033】
概して、ダウンホールレーザーツール1の構築材料は、既存の坑井4内部で経験される高い温度、圧力、及び振動に耐え、流体、塵、及び岩屑からシステムを保護する任意の種類の材料のものであり得る。当業者は、好適な材料を熟知しているであろう。
【0034】
レーザー表面ユニット10は、炭化水素含有層2の昇華点を上回るレベルにエネルギーを励起して、高出力レーザービーム(図示なし)を形成する。炭化水素含有層2を昇華させるために必要とされる高出力レーザービームの励起エネルギーは、当業者によって決定され得る。本発明のある特定の実施形態に従って、レーザー表面ユニット10は、異なる炭化水素含有層2に必要とされる異なるレベルにエネルギーを励起するように調整され得る。炭化水素含有層2は、石灰岩、頁岩、砂岩、又は炭化水素含有層において一般的である他の岩石の種類を含み得る。光ファイバーケーブル20は、外部ケーシング15を通して回転システム(図示なし)に高出力レーザービームを生レーザービーム(図示なし)として伝導する。生レーザービームは、回転システムを通過して、平行レーザービーム160を作製する。回転システムは、平行レーザービーム160を発射して、坑井ケーシング8、セメント6、及び炭化水素含有層2を貫通し、例えば、穴又はトンネルを形成する。
【0035】
本発明の一実施形態に従って、平行レーザービーム160は、3次元空間の任意の方向に発射され得る。図示される通り、ダウンホールレーザーツール1は、表面に平行に、及び傾斜して平行レーザービーム160を方向付けることが可能である。
【0036】
レーザー表面ユニット10は、光ファイバーケーブル20を通して伝導され得る高出力レーザービームを発生させることが可能な任意の種類のレーザーユニットであり得る。レーザー表面ユニット10は、例えば、イッテルビウム、エルビウム、ネオジム、ジスプロシウム、プラセオジム、及びツリウムイオンのレーザーを含む。本発明の一実施形態に従って、レーザー表面ユニット10は、例えば、5.34−kWイッテルビウムドープ多層クラッドファイバーレーザーを含む。本発明の他の実施形態では、レーザー表面ユニット10は、最小損失でレーザーを送達することが可能な任意の種類のファイバーレーザーである。レーザー表面ユニット10の波長は、炭化水素含有層2を貫通するために必要に応じて当業者によって決定され得る。
【0037】
本発明の一実施形態に従って、レーザー表面ユニット10は、所望の貫通深さが到達されるまでランモードで動作する。ランモードは、例えば、循環モード又は連続モードによって定義され得る。ランモードの間隔は、炭化水素含有層2の種類及び所望の貫通深さに基づき得る。循環モードのランモードを必要とするであろう炭化水素含有層2は、例えば、高石英含有量を有する砂岩、ベレア砂岩を含む。連続モードのランモードを必要とする炭化水素含有層2は、例えば、石灰岩を含む。所望の貫通深さは、所望のトンネル深さ、トンネル長さ、又はトンネル直径であり得る。別法として、所望の貫通深さは、穴を含んでもよい。所望の貫通深さは、用途及び炭化水素含有層2の質、例えば、地質学的材料若しくは炭化水素含有層2の岩石の種類など、トンネルの直径、岩石最大水平応力、又は岩石の圧縮強度によって決定される。本発明の一実施形態に従って、ダウンホールレーザーツール1は、炭化水素含有層2内への深い貫通を意図される。深い貫通とは、6インチを超える炭化水素含有層2内への任意の貫通深さを包含することを意味し、1、2、3フィート、又はそれ以上の深さを含み得る。
【0038】
本発明の一実施形態に従って、ランモードが循環モードを構成する場合、レーザー表面ユニットはオン周期とオフ周期との間を循環して、ダウンホールレーザーツール1の過熱を回避し、平行レーザービーム160の経路を一掃する。この文脈において、循環とは、レーザー表面ユニット10が高出力レーザービームを発生させるオン周期と、レーザー表面ユニット10が高出力レーザービームを発生させないオフ周期とを交互に切り替えることを意味する。オン周期の間隔は、オフ周期の間隔と同じでもよく、オフ周期の間隔よりも長くてもよく、オフ周期の間隔よりも短くてもよく、又は任意の組み合わせであってもよい。各オン周期及び各オフ周期の間隔は、所望の貫通深さからか、実験によってか、又はその両方によって決定され得る。本発明の一実施形態に従って、レーザー表面ユニット10は、コンピュータプログラムがレーザーを循環させるように動作するようにプログラム可能である。オン周期及びオフ周期の間隔に寄与する他の要因としては、例えば、岩石の種類、パージ方法、ビーム直径、及びレーザー出力が挙げられる。本発明の一実施形態に従って、炭化水素含有層2の岩石の種類の代表的なものに関する実験は、ダウンホールレーザーツール1を炭化水素含有層2の既存の坑井4内へ降下させる前に行われ得る。かかる実験は、各オン周期及び各オフ周期の最適な間隔を決定するために行われ得る。本発明の一実施形態に従って、オン周期及びオフ周期は、1〜5秒持続し得る。本発明の一実施形態では、レーザービームは、オン周期が4秒間持続し、オフ周期が4秒間持続し、貫通深さが12インチであった場合に、ベレア砂岩の炭化水素含有層2を貫通する。
【0039】
本発明の代替的実施形態では、ランモードは、連続モードである。連続モードでは、レーザー表面ユニット10は、所望の貫通深さが到達されるまでオン周期のままである。本発明の少なくとも1つの実施形態に従って、ランモードの間隔は、連続モードの間隔によって定義される。レーザー表面ユニット10は、保守を必要とする前に何時間も動作することが期待される種類のものである。炭化水素含有層2の特定の岩石の種類は、実験によってか、地質学的方法によってか、又は炭化水素含有層2から採取した試料を分析することによって決定され得る。
【0040】
図2は、本発明の実施形態の断面図を示す。図1に関して上記に説明される特徴に加えて、外部ケーシング15は、既存の坑井4内のダウンホールレーザーツール1を包囲する。外部ケーシング15は、既存の坑井4内部で経験される高い温度、圧力、及び振動に耐えるが、平行レーザービーム160による貫通を可能にする任意の種類の材料であり得る。本発明の一実施形態に従って、ダウンホールレーザーツール1は、動作システム40を含む。
【0041】
動作システム40は、既存の坑井4内部の所望の高度まで降下される。動作システム40は、動作システム40が既存の坑井4内部のその高度をレーザー表面ユニット10に伝達することができ、またレーザー表面ユニット10から高度標的を受信することができるように、レーザー表面ユニット10と電気通信する。動作システム40は、所望の高度に上昇又は降下し得る。動作システム40は、例えば、動作システム40を定位置に駆動するための水圧システム、電気システム、又はモータ式システムを含み得る。動作システム40のための制御装置は、レーザー表面ユニット10の一部として含まれる。回転システム30は、動作システム40に取り付けられる。回転システム30は、回転システム30がレーザー表面ユニット10から位置標的を受信し、また位置情報をレーザー表面ユニット10に提供し得るように、レーザー表面ユニット10と電気通信する。回転システム30は、例えば、回転システム30を回転させるための水圧システム、電気システム、又はモータ式システムを含み得る。本発明の少なくとも1つの実施形態に従って、レーザー表面ユニット10は、特定の高度標的及び位置標的のみに基づいて動作システム40及び回転システム30の配置を制御するようにプログラムされ得る。本発明の一実施形態に従って、動作システム40は、レーザー表面ユニット10から高度標的を受信し、高度標的まで移動する。動作システム40が高度標的に到達する前か、その最中か、又はその後かのいずれかに、回転システム30は、レーザー表面ユニット10から位置標的を受信する。次に、回転システム30は回転して、位置標的と整列する。位置標的と整列した後、回転システム30は、レーザーの動作のために定位置に固定される。本発明の別の実施形態では、回転システム30は、レーザーが動作している間に回転し得る。本発明の一実施形態に従って、回転システム30は、360度回転し得る。
【0042】
回転システム30は、回転ヘッド35及び回転ケーシング90を含む。幾つかの実施形態によれば、ダウンホールレーザーツール1は、複数の回転システム30を含み得る。追加の回転システム30の必要性は、既存の坑井4の深さによって決定され得る。幾つかの実施形態に従って、回転システム30は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の回転ヘッド35を収容する場合もある。各回転ヘッド35は、少なくとも1つの温度センサ240を収容する。温度センサ240は、回転ヘッド35における1つの物理的特性を監視する方法として、レーザー表面ユニット10に温度データを提供する。本発明の一実施形態に従って、ダウンホールレーザーツール1は、温度センサ240によって監視される温度が所定の点を超過するときにレーザーを停止するように構成され得る。所定の点は、ダウンホールレーザーツール1の過熱点を回避するように設定され得る。過熱点は、過熱点の決定に不可欠であり得る他のパラメータに加えて、レーザーの種類及びダウンホールレーザーツール1の構成に基づき得る。過熱の回避は、ダウンホールレーザーツール1の損傷を防止する。
【0043】
本発明の一実施形態に従って、複数の光ファイバーケーブル20は、複数の高出力レーザービーム(図示なし)を複数の回転システム30へ同時に伝導し得る。複数の回転システム30の必要性は、用途によって決定され得る。
【0044】
図3は、回転ヘッド35の斜視図を含む。本発明の一実施形態に従って、光ファイバーケーブル20は、ハードケース50、絶縁ケーブル70、及び保護レーザーファイバーケーブル75を含む。光ファイバーケーブル20は、生レーザービーム80を伝導する。ハードケース50は、既存の坑井4内部で経験される高温、高圧、及び振動に耐える任意の材料のものであり得る。絶縁ケーブル70は、生レーザービーム80がレーザー表面ユニット10からレーザー口45へと移動する際の既存の坑井4の温度及び生レーザービーム80の温度に起因する過熱から光ファイバーケーブル20を保護する、任意の種類の材料であり得る。保護レーザーファイバーケーブル75は、光ファイバーケーブルを擦傷、屈曲、破壊、又は既存の坑井4内で経験され得る他の物理的損傷から保護する、任意の種類の材料であり得る。保護レーザーファイバーケーブル75は、例えば、強化可撓性金属を含むことができ、その結果、光ファイバーケーブル20が屈曲するか又は捩れるのに伴い、強化可撓性金属は屈曲する。保護レーザーファイバーケーブル75は、絶縁ケーブル70内部に埋め込まれることができ(図示の通り)、又は絶縁ケーブル70の内面に取り付けられることができる(図示なし)。
【0045】
レーザーケーブル端部25は、回転ヘッド35に接続され得る。他の実施形態では、レーザーケーブル端部25は、回転ケーシング(図示なし)に接続され得る。レーザーケーブル端部25と回転ヘッド35との間の接続は、可撓性であることができ、3次元空間内での回転ヘッド35の移動及び回転を可能にする。他の実施形態では、回転システム30は、ハードケース50の軸を中心に回転する。回転システム30は、図2に関して説明される通りに回転する。ハードケース50に取り付けられた安定化パッド60は、外部ケーシング15(図示なし)内部で光ファイバーケーブル20を安定させるために提供される。光ファイバーケーブル20は、外部ケーシング15内部で中心的に位置付けられてもよく、又は所望により中心から外れていてもよい。安定化パッド60は、光ファイバーケーブル20を外部ケーシング15内部で定位置に固定することが可能な任意の種類のパッド、アンカー、又は保定装置であり得る。安定化パッド60は、既存の坑井4内部で経験される高温、高圧、及び振動に耐える任意の種類の材料であり得る。安定化パッド60は、固定又は安定化の補強が必要とされる光ファイバーケーブル20上の任意の地点に配置され得る。本発明の幾つかの実施形態に従って、複数の安定化パッド60は、光ファイバーケーブル20上で使用され得る。
【0046】
回転ヘッド35は、レーザー口45を含み、それを通して平行レーザービーム160(図示なし)が発射される。回転ヘッド35は、レーザー口45の直径が回転ヘッド35の本体の直径よりも小さくなるように先細になり得る。直径の比率は、当業者によって決定され得る。レーザー口45は、平行レーザービーム160(図示なし)を発射するために遮られていない経路を提供するのに十分に大きければよい。回転ヘッド35を先細にすることは、塵及び蒸気がレーザー口45を通して回転ヘッド35へ侵入することを防止する。蒸気は、塵及び他の粒子状物質を含む場合がある。
【0047】
レーザー口45は、温度センサ240を含む。本発明の一実施形態に従って、レーザー口45は、2つの温度センサ240を含む。当業者はであれば、レーザー口45は、例えば、監視のための必要に応じて1つ、2つ、又はそれ以上の温度センサ240を含み得ることを理解するであろう。温度センサ240は、レーザー口45の温度を監視する。温度センサ240によって収集されるデータは、ダウンホールレーザーツール1を過熱から保護するために使用することができ、又は調節を可能にするために平行レーザービーム160(図示なし)の強度を監視することができる。
【0048】
回転ヘッド35は、既存の坑井4内部で経験される高温、高圧、及び振動に耐える任意の材料であり得る。
【0049】
図4Aは、回転ヘッド35の実施形態の断面図である。絶縁ケーブル70は、ハードケース50(図示なし)内部のケーブル支持体65によって定位置に保持される。絶縁ケーブル70は、生レーザービーム80を発射する。本発明の一実施形態に従って、集束システム100は、回転ヘッド35内部に収容され得る。
【0050】
集束システム100は、概して生レーザービーム80を成形する一組のレンズを含む。集束システム100のレンズは、冷却を必要としない任意の種類の光学レンズであり得る。レンズ間の物理的距離は、炭化水素含有層2内にダウンホールレーザーツール1によって作製されるトンネルの寸法及び形状に影響を及ぼす。集束システム100は、例えば、ビーム操作装置105、集束レンズ120、及びコリメータ130を含み得る。集束システム100は、特定の用途への必要に応じて追加のレンズを含み得る(図示なし)。
【0051】
ビーム操作装置105は、レーザーケーブル端部25に近接したケーブル支持体65に接続される。本発明の幾つかの実施形態では、ビーム操作装置105の位置は、レーザー表面ユニット10の動作の前に設定される。幾つかの実施形態では、ビーム操作装置105の位置は、レーザー表面ユニット10のオフ周期中に調節され得る。他の実施形態では、ビーム操作装置105は、レーザー表面ユニット10のオン周期中に調節され得る。ビーム操作装置105は、生レーザービームの3次元空間内の方向及び角度を方向付ける。角度及び方向は、炭化水素含有層2(図示なし)を貫通するための所望の場所、侵入角度、及び幾何学に基づいて調節され得る。本発明の一実施形態に従って、ビーム操作装置105は、生レーザービーム80の経路を再び方向付ける。ビーム操作装置105は、異なる角度に沿って、x軸に沿って、y軸に沿って、又はその両方で生レーザービーム80の経路を再び方向付ける。ビーム操作装置105は、生レーザービーム80の発射前又は生レーザービーム80の発射中に位置付けられ得る。ビーム操作装置105は、例えば、反射鏡110を含む。
【0052】
生レーザービーム80は、任意の寸法のビームとしてレーザーケーブル端部25から出ることができる。生レーザービーム80の寸法は、光ファイバーケーブル20の寸法に依存し、例えば、岩石の種類、所望の貫通深さ、所望のトンネル寸法、レーザー表面ユニット10の出力を含む要因に基づいて当業者によって選択され得る。本発明の一実施形態に従って、生レーザービーム80は、1’’ビームとして集束システム100へレーザーケーブル端部25から出る。ビーム操作装置105は、集束システム100を通して生レーザービーム80を方向付ける。
【0053】
集束レンズ120は、ビーム操作装置105に近接して位置付けられ得る。集束レンズ120は、回転ヘッド35の内側に固定され得る。集束レンズ120は、生レーザービーム80を集束させて集束レーザービーム150を作製し得る、任意の種類のレンズであり得る。集束レンズ120は、例えば、ガラス、プラスチック、石英、水晶、又はレーザービームを集束させることが可能な他の材料などの任意の材料であり得る。集束レンズ120の形状及び曲率は、ダウンホールレーザーツール1の用途に基づいて当業者によって決定され得る。集束レンズ120は、生レーザービーム80の発散を制御し、それは、トンネル又は穴の形状を制御する。例えば、トンネルは、円錐形、球形、又は楕円形であり得る。
【0054】
集束レーザービーム150は、集束レーザービーム150を視準して平行レーザービーム160を作製するコリメータ130に侵入する。コリメータ130は、集束レンズ120に近接して位置付けられ得る。コリメータ130は、回転ヘッド35の内側に固定され得る。コリメータ130は、例えば、ガラス、プラスチック、石英、水晶、又はレーザービームを視準することが可能な他の材料などの任意の材料であり得る。コリメータ130の形状及び曲率は、ダウンホールレーザーツール1の用途に基づいて当業者によって決定され得る。コリメータは、光波を整列させることが可能であるか、又はレーザービームをより小さい直径にすることもできる。コリメータ130は、固定された直径を有し、真っすぐなトンネル又は穴をもたらす、平行レーザービーム160を作製する。平行レーザービーム160の直径の制御は、トンネルの直径を制御する。
【0055】
平行レーザービーム160は、ダウンホールレーザーツールヘッド200に侵入する。ダウンホールレーザーツールヘッド200は、カバーレンズ250、流体ナイフ210、パージノズル220、吸引ノズル230、及び温度センサ240を含む。平行レーザービーム160は、カバーレンズ250を通過する。カバーレンズ250は、塵及び蒸気が集束システム100に侵入するのを防止することによって、集束システム100を保護する。本発明のある特定の実施形態に従って、ダウンホールレーザーツールヘッド200は、複数のカバーレンズを含み得る。ダウンホールレーザーツールヘッド200は、塵、蒸気、又は他の環境条件からの追加の保護層の必要に応じて、例えば、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のカバーレンズを含み得る。カバーレンズ250は、平行レーザービーム160を操作しない。流体ナイフ210は、カバーレンズ250から塵及び蒸気を拭き取る。流体ナイフ210は、カバーレンズ250に近接している。カバーレンズ250の拭き取りは、集束システム100からレーザー口45までの平行レーザービーム160の遮られた経路を提供する。流体ナイフ210は、例えば、カバーレンズ250を塵及び蒸気が除去された状態に保つことが可能な空気又は窒素を含む任意の気体を放射する。カバーレンズ250は、例えば、ガラス、プラスチック、石英、水晶、又は平行レーザービーム160を操作することなく集束システム100を保護することが可能な他の材料などの、任意の材料であり得る。カバーレンズ250の形状及び曲率は、ダウンホールレーザーツール1の用途に基づいて当業者によって決定され得る。
【0056】
パージノズル220は、カバーレンズ250から炭化水素含有層2までの平行レーザービーム160の経路を一掃する。当業者であれば、ある特定の実施形態では、カバーレンズ250から炭化水素含有層2までの平行レーザービーム160の遮られていない経路を作製することが、流体ナイフ210及びパージノズル220の組み合わされた機能であることを理解するであろう。当業者であれば、パージノズル220は、レーザー口45の前方の領域をパージすることが可能な1つ、2つ、又はそれ以上のノズルであり得ることを理解するであろう。パージノズル220は、レーザー口45及び回転ヘッド35の前方から塵及び蒸気を除去することが可能な任意のパージ媒体を放射する。パージ媒体としては、例えば、液体又は気体が挙げられ得る。液体か又は気体かのパージ媒体の選択は、炭化水素含有層2の岩石の種類及び貯留圧力に基づき得る。最小限の損失を伴って、又は損失を全く伴わずに平行レーザービーム160が炭化水素含有層2に到達することを可能にするパージ媒体もまた、考慮され得る。本発明の一実施形態に従って、パージ媒体は、窒素などの非反応性、非損傷性の気体であろう。気体パージ媒体はまた、低貯留圧力が存在する場合に適切であり得る。パージノズル220は、平行レーザービーム160の経路を遮らないように、流体ナイフ210とレーザー口45との間に回転ヘッド35の内側と同一平面上に存在する。
【0057】
本発明の一実施形態に従って、パージノズル220は、オン周期及びオフ周期の循環で回転ヘッド35をパージする。オン周期は、図1に関して上記に説明される通り、平行レーザービーム160がレーザー表面ユニット10のオン周期によって制御される通りに発射している間に発生する。本発明の別の実施形態では、パージノズル220は、連続モードで動作する。
【0058】
吸引ノズル230は、レーザー口45を包囲する領域から、平行レーザービーム160による炭化水素含有層2の昇華によって作製される塵及び蒸気を吸引する。塵及び蒸気は、表面へ取り除かれて、分析される。塵及び蒸気の分析は、例えば、炭化水素含有層2の岩石の種類及び炭化水素含有層2中に含有される流体の種類の決定を含み得る。本発明の代替的実施形態では、塵及び蒸気は、表面にて一度に処分され得る。吸引ノズル230は、レーザー口45と同一平面上に位置付けられ得る。当業者であれば、吸引ノズル230は、塵及び蒸気の量に応じて1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のノズルを含み得ることを理解するであろう。吸引ノズル230の寸法は、取り除かれる塵及び蒸気の体積、及びダウンホールレーザーツールヘッド200から表面まで輸送するためのシステムの物理的要件に依存する。
【0059】
本発明の一実施形態に従って、吸引ノズル230は、オン周期及びオフ周期の循環で動作する。オン周期は、平行レーザービーム160及びパージノズル220がレーザー表面ユニット10によって制御される通り、動作していない間に発生する。平行レーザービーム160及びパージノズル220のオフ周期は、平行レーザービーム160がカバーレンズ250から炭化水素含有層2までの遮られていない経路を有するように、吸引ノズル230が経路を一掃することを可能にする。本発明の他の実施形態では、吸引ノズル230は、連続モードで動作する。本発明の別の他の実施形態では、吸引ノズル230は、パージノズル220が液体パージ媒体を放射する場合は動作しないであろう。
【0060】
当業者であれば、流体ナイフ210、パージノズル220、及び吸引ノズル230は、共同して動作して、カバーレンズ250から炭化水素含有層2中の貫通点までの平行レーザービーム160の経路内の塵及び蒸気を排除して一掃することを理解するであろう。当業者であれば、平行レーザービーム160の経路内の塵を排除する必要は、平行レーザービーム160を妨害する、屈曲させる、又は散乱させる可能性に起因することを理解するであろう。
【0061】
図4Bは、回転ヘッド35の他の実施形態の断面図である。先の図を参照すると、集束システム100は、回転ケーシング90(図示なし)の内部にあることができる。本発明の一実施形態に従って、生レーザービーム80は、絶縁ケーブル70から出て、まず集束レンズ120に侵入して、集束レーザービーム150を作製する。集束レーザービーム150は次に、コリメータ130に侵入して、平行レーザービーム160を作製する。集束レンズ120及びコリメータ130の特徴は、図4Aに関して説明される。
【0062】
本発明の一実施形態に従って、反射鏡110は、平行レーザービーム160を第1のカバーレンズ260を通して回転ヘッド35内へ方向付ける。ある特定の実施形態に従って、回転ヘッド35は、複数のカバーレンズを含み得る。回転ヘッド35は、例えば、塵、蒸気、又は他の環境条件からの追加の保護層の必要に応じて提供され得る1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のカバーレンズを含み得る。本発明の別の実施形態では、回転ヘッド35は、2つのカバーレンズ、第1のカバーレンズ260と第2のカバーレンズ270とを収容する。第1のカバーレンズ260及び第2のカバーレンズ270は、上記に説明されるカバーレンズ250に関して説明され得る。
【0063】
当業者であれば、集束レンズ120及びコリメータレンズ130に対するビーム操作装置105の位置は、平行レーザービーム160の特徴に影響を及ぼさないことを理解するであろう。集束システム100の要素の配置は、用途の必要、レンズの更なる補強の必要、既存の坑井4によって決められる回転システムの空間的必要、又は用いられるビーム操作装置の種類によって決定され得る。
【0064】
先の図に関して、図4Cは、本発明の他の実施形態を示す。本発明の一実施形態に従って、ビーム操作装置105は、例えば、ビームスプリッタ115を含み得る。ビームスプリッタ115は、単一のレーザービームを複数のレーザービームに分配することが可能な任意の機器を含み得る。ビームスプリッタ115は、例えば、プリズムを含み得る。ビームスプリッタ115は、用途の要件に応じて、単一のレーザービームを2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のレーザービームに分配するように選択され得る。ビームスプリッタ115はまた、平行レーザービーム160の3次元空間内での方向及び角度を変化させ得る。
【0065】
本発明を詳細に説明してきたが、様々な変化、置換、及び変更が、本発明の原理及び範囲から逸脱することなく、その上に成され得ることが理解されるべきである。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの適切な法的同等物によって決定されるべきである。
【0066】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈による別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0067】
「任意の(optional)」、又は「任意の(optionally)」とは、その後に説明される事象又は状況が、発生してもよく、又は発生しなくてもよいことを意味する。この説明は、事象又は状況が発生する事例、及び発生しない事例を含む。
【0068】
本明細書において、範囲は、概ねある特定の値から、及び/又は概ね別の特定の値までとして表され得る。かかる範囲が表されるとき、別の実施形態は、その範囲内の全ての組み合わせと共に、その特定の値から、及び/又は他の特定の値までであることが理解されるべきである。
【0069】
本出願全体を通して、特許又は出版物が参照される場合、これらの参考文献の開示は、これらの参考文献が本明細書に記載される事項と矛盾する場合を除き、本発明が関する当該技術分野の現状をより完全に説明するために、その全体が参照により本出願に援用されることが意図される。
【0070】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「備える(comprise)」、「有する(has)」、及び「含む(include)」、並びに全てのそれらの文法的変異は、各々、追加の要素又はステップを排除するものではない開いた非限定的な意味を有することを意図される。
【0071】
本明細書において使用されるとき、「第1の(first)」及び「第2の(second)」などの用語は、任意に割り当てられ、単に装置の2つ以上の構成要素を区別することを意図される。用語「第1の」及び「第2の」は、他のいかなる目的も果たさず、該構成要素の名称又は説明の一部でもなく、また必ずしも該構成要素の相対的な場所又は位置を定義する必要もないことが理解されるべきである。更に、用語「第1の」及び「第2の」の単なる使用は、任意の「第3の」構成要素の存在を必要とするものではないが、但し、その可能性は本発明の範囲の下に企図されることが理解されるべきである。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C