特許第6147922号(P6147922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147922
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】射出成形用ポリエチレン
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/02 20060101AFI20170607BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20170607BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   C08F210/02
   C08L23/08
   B29C45/00
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-520153(P2016-520153)
(86)(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公表番号】特表2016-533411(P2016-533411A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2014070319
(87)【国際公開番号】WO2015055393
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年4月5日
(31)【優先権主張番号】13188689.7
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500289758
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】バーンド・ホッカー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・リンドナー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ビッソン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルド・マンバッハ
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−534813(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/022941(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/020622(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 210/00−210/18
B29C 45/00−45/84
C08L 23/00−23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンと1−アルケンの共重合体、またはエチレン単独重合体及びエチレンと1−アルケンの前記共重合体の混合物を含むポリエチレンであって、該ポリエチレンは7〜15のモル質量分布幅(MWD)(M/M)、23℃でISO 1183により決定される0.942〜0.944g/cmの密度、50,000g/mol〜150,000g/molの重量平均モル質量(M)、1.0〜3.0g/10minのMIE、110〜150g/10minのMIF、及び40〜50のMIF/MIE比を有し、ここで、MIEは190℃、荷重2.16kgにおける溶融質量流量であり、MIFは190℃、荷重21.6kgにおける溶融質量流量であり、両溶融質量流量はいずれもISO 1133に準拠して決定されるポリエチレン。
【請求項2】
13C−NMRで決定される際に0.7〜20CH/1000炭素原子を有する請求項1に記載のポリエチレン。
【請求項3】
前記ポリエチレンの総重量を基準として>3.5重量%の量である少なくとも1つのC−C20−α−オレフィン単量体種を含む請求項1に記載のポリエチレン。
【請求項4】
前記ポリエチレンは、少なくとも0.6ビニル基/1,000C原子のビニル基含有量を有する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のポリエチレン。
【請求項5】
前記ポリエチレンは0.3〜7dl/gのη(vis)値を有し、ここで、η(vis)は135℃のデカリンでISO 1628−1及び3に準拠して決定される固有粘度である請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のポリエチレン。
【請求項6】
潤滑剤、抗酸化剤及び/又は安定化剤のような非重合体添加剤をさらに含む請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン。
【請求項7】
請求項1ないし請求項のいずれか一項によるポリエチレンを含む射出成形品。
【請求項8】
前記射出成形品は、少なくとも5Lの容積のコンテナである請求項に記載の射出成形品。
【請求項9】
タンクの内部部品である請求項に記載の射出成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大型の中空物品の射出成形のための新規なポリエチレンに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形は、小型の物品から大型の物品までの成形に適した成形技術である。モールドはバレル内で回転スクリューを含む専用の射出成形機で発生する。モールドは圧力によって連続的にまたはモールドバッファで注入される。
【0003】
射出成形可能な物品が大きく、かつ形状が複雑であると、空洞部を完全に充填するために圧力は非常に高くなければならない。射出成形された大型の中空物品の反りが最小になるように、ポリエチレンの注入中に高圧レベルを克服し、均一な温度分布を発生させるためにしばしば複数のホットランナーが用いられる。
【0004】
スクリュー閉鎖体を製造するのに特に適した射出成形用ポリエチレンの例がWO2005/103096に開示されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、例えばタンク用射出成形ハーフシェルに対する有益な特性均衡を有し、大きく反る傾向を回避し、かつ大型の中空物品の製造に一般的に求められる射出成形圧力を低下させることができる新たな改善された射出成形ポリエチレン材料を創案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は本発明の新規なポリエチレンによって達成される。
【0007】
したがって、本発明は、エチレンと1−アルケンの共重合体、またはエチレン単独重合体及びエチレンと1−アルケンの前記共重合体の混合物を含むポリエチレンを提供し、該ポリエチレンは7〜15のモル質量分布幅(MWD)(M/M)、23℃でISO 1183に準処して決定される0.942〜0.954g/cm、好ましくは0.942〜0.944g/cmの密度、20,000g/mol〜500,000g/molの重量平均モル質量(M)、1.0〜3.0g/10minのMIE、100〜200g/10min、好ましくは110〜150g/10minのMIF、及び40〜50のMIF/MIE比を有し、ここで、MIEは190℃、荷重2.16kgにおける溶融質量流量であり、MIFは190℃、荷重21.6kgにおける溶融質量流量であり、両溶融質量流量はいずれもISO 1133に準拠して決定される。
【0008】
本発明による共重合体内の適切な1−アルケンの例は、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテンまたは1−オクテンのようなC−C20−α−オレフィンである。
【0009】
1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンが特に好ましい。
【0010】
本発明によると、共重合体は、エチレンと少なくとも1つの共単量体との共重合体であるものと理解されるべきであり、すなわち本発明による「共重合体」は、三元重合体及びそれより高い複数の共単量体共重合生成物も含む。単独重合体とは異なり、共重合体はエチレン以外にも前記共重合体の総重量を基準として好ましくは少なくとも>3.5重量%の共単量体を含む。ただし、好ましい一実施形態においては、「共重合体」はエチレンと実質的に1種の共単量体のみからなる真の2元共重合生成物である。「実質的に1種」とは、好ましくは>97重量%の共単量体が一種類の共単量体分子に該当することを意味する。
【0011】
好ましくは、本発明のポリエチレンは、20〜70%、さらに好ましくは20〜50%未満のCDBIを有する。CDBI(composition distribution breadth index)は組成分布幅の指数である。これはWO93/03093に説明されている。CDBIは平均モル(molar)総共単量体含有量の±25%の共単量体含有量を有す共単量体分子の重量%、すなわち共単量体含有量が平均共単量体含有量の50%内である共単量体分子の占有率として定義される。CDBIはTREF(temperature rising elution fraction)分析(Wild et al. J. Poly. Phys. Ed. Vol. 20. (1982)またはUS特許no.5,008,204)によって決定される。或いは、CDBIはより最近のCRYSTAF分析によって決定できる。
【0012】
好ましくは、本発明のポリエチレンは、40,000g/mol〜200,000g/mol、さらに好ましくは50,000g/mol〜150,000g/molの重量平均モル質量(M)を有する。好ましくは、本発明のポリエチレンのz平均モル質量(M)は1Mio.g/mol未満の範囲であり、さらに好ましくは200,000g/mol〜800,000g/molである。z−平均モル質量(M)の定義は、例えばPeacock, A. (ed.), Handbook of PEで定義されており、High Polymers Vol. XX(Raff and Doak, Interscience Publishers, John Wieley & Sons, 1965, S. 443)に発表されている。
【0013】
、M及びMWDの定義は「Handbook of PE」, ed. A. Peacoock, p. 7−10(Marcel Dekker Inc., New York/Basel 2000)に記載されている。平均値(M、M)及びこれにより求められるM/Mの決定は、DIN 55672−1:1995−02(1985年2月発行)に説明されている方法を用いて高温ゲル浸透クロマトグラフィーで行われた。言及したDIN標準によって用いられる特定条件は以下のとおりである。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)であり、装置と溶液の温度は135℃であり、TCBでの使用に適した濃度検出器としてPolymerChar(スペインバレンシアパテルナ 46980)製のIR−4赤外線検出器が用いられる。さらなる詳細は実施例に記載されている。
【0014】
また、好ましくは分子量分布の標準決定のためのGPCによって決定される際に、<1Mio.g/molのモル質量を有する本発明のポリエチレンの重量分率は95.5重量%より高く、さらに好ましくは96重量%より高く、特に好ましくは97重量%より高い。これは通常のモル質量分布測定過程において、例えばドイツOber−Hlbersheim所在の「HS−Entwicklungsgesellschaft fur wissenschaftliche Hard− und Software mbH」社製のWIN−GPCソフトウェアを用いて決定される。
【0015】
射出成形のためには非常に良好な流動性を有するポリエチレンが処理に有利であることが明らかであるが、特にポリエチレンが非常に長い鎖を有する場合には溶融状態の良好な流動性を得ることは難しい。なぜなら、それによって反りが非常によく発生するためである。本発明のポリエチレンはそのような長いポリエチレン鎖を許容しながらも依然として高い流動性及び中空体の小さな反りを提供する。
【0016】
本発明のポリエチレンは、高温ゲル浸透クロマトグラフィー分析(HT−GPCによるM、Mの決定に関する上記段落で言及した、DIN 55672−1:1995−02(1995年2月発行)に説明されている方法による重合体用高温GPCであり、上述のような特定の差異があることになる)にて決定される際に、単一モード型または多重モード型、すなわち少なくとも二重モード型であっでもよい。GPC−多重モード型重合体の分子量分布曲線は、重合体の部分画分の分子量分布曲線の重畳として見なすことができ、したがってその分布曲線は個々の画分に対する曲線と比較して、2つ以上の互いに異なる最大値を示すか或いは明らかに広くなる。このような分子量分布曲線を示す重合体をGPC分析に対してそれぞれ「二重モード型」または「多重モード型」という。このようなGPC−多重モード型重合体は、例えばWO92/12182に説明されているような多重ステップシーケンスにおける多重ステージ工程の様々な工程により製造されることができる。
【0017】
好ましい一実施形態において、好ましくは、少なくとも2つのシングルサイト触媒の混合系を用いることに関して、本発明のポリエチレンはGPCで決定される際に実質的に単一モード型の分子量分布曲線を有し、それによってGPCで単一モード型になる。なぜなら、重合体の部分画分の個々の分子量分布が重なり合って互いに異なる二つの最大値が現れるようにそれ以上解像されないためである。本発明におけるモード性(modality)とは、前記質量分布の微分関数の値が0(すなわち、傾きが0)である場合の数として定義され、微分値は0の関数値を有する前記点でモル質量を増加させるために正の符号から負の符号に変わる。質量分布曲線は完全に鐘状になる必要はなく、よって該曲線は単に「実質的に」単一モード型である。最も好ましくは、このような単一モード型分布は、現場で混合またはハイブリッド触媒系、好ましくは混合シングルサイト触媒との単一容器内の反応で得られ、このような反応によって、互いに異なる触媒生成物の特に均質な現場混合物が得られ、この混合物の均質性は一般的に従来の混合技術からは得られない。
【0018】
本発明のポリエチレンは、好ましくは少なくとも0.6ビニル基/1,000炭素原子、例えば0.6〜2ビニル基/1,000炭素原子、より好ましくは0.9〜10ビニル基/1,000炭素原子、最も好ましくは1〜5ビニル基/1,000炭素原子、特に1.2〜2ビニル基/1,000炭素原子を有する。1,000炭素原子当たりのビニル基の含有量はASTM D 6248−98に準拠してIRで測定される。かかる目的のために、「ビニル基」という表現はCH=CH基を言い、ビニリデン基と内部オレフィン基はその表現に含まれない。ビニル基は通常、エチレン挿入後の重合体終結反応によって生じ、ビニリデン末端基は通常、共単量体挿入後の重合体終結反応後に形成される。最低モル質量を有する20重量%のポリエチレンに、少なくとも0.9ビニル基/1,000炭素原子、さらに好ましくは1〜3ビニル基/1,000炭素原子、特に好ましくは1.3〜2ビニル基/1,000炭素原子が存在することが好ましい。これは互いに異なる画分のIR測定と結合される溶媒−非溶媒分別(fractionation)(後にW. Holtrup, Markomol. Chem. 178, 2335 (1977)に記載されているようなHoltrup分別と呼ばれる)によって決定することができ、ビニル基はASTM D 6248−98に準拠して測定される。130℃でキシレンとエチレングリコールジエチルエーテルが分別用溶媒として用いられる。5gの重合体が用いられ、8個の画分に分けられる。
【0019】
本発明のポリエチレンは、好ましくは少なくとも0.005ビニリデン基/1,000炭素原子、特に0.1〜1ビニリデン基/1,000炭素原子、最も好ましくは0.14〜0.4ビニリデン基/1,000炭素原子を有する。決定はASTM D 6248−98に準拠してIR測定で行われる。
【0020】
本発明のポリエチレンは、好ましくは0.7〜20分岐/1,000炭素原子、より好ましくは0.7〜10分岐/1,000炭素原子、特に好ましくは1.5〜8分岐/1,000炭素原子を有する。1,000炭素原子当たりの分岐は、James C. RandallのJMS−REV. Macromol. Chem. Phys. C29(2&3), 201−317(1989)に記載されているように13C−NMRで測定され、1,000炭素原子当たりのCH基の総含有量を言う。
【0021】
重合体の13C−NMR高温スペクトルは、120℃のフーリエ変換モードにおいて100.61MHzで作動するBruker DPX−400分光器で得られる。
【0022】
ピークSδδ[C.J. Carman, R.A. Harrington及びC.E. Wilkes, Macromolecules, 10, 3, 536(1977)]炭素は29.9ppmでの内部参照として用いられる。サンプルは8%wt/vの濃度で120℃の1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2に溶解される。H−13Cカップリングを除去するために、90°パルス、15秒のパルス間遅延及びCPD(WALTZ 16)で各スペクトルが得られる。6000または9000Hzのスペクトル範囲を用いて約1500〜2000個のトランジェント(transient)が32Kデータ点に格納される。スペクトルの割り当てはKakugo [M. Kakugo, Y. Naito, K. Mizunuma及びT. Miyatake, Macromolecules, 15, 4, 1150, (1982)]、及びJ.C. Randal, Macromol. Chem Phys., C29, 201(1989)を参照できる。
【0023】
NMRサンプルが不活性ガス下で管内に配置され、適切であれば溶融される。溶媒信号はNMRスペクトルで内部標準としての役割をし、その化学的移動はTMSに対する値に変換される。
【0024】
前記分岐は、好ましくは短鎖分岐(SCB)、一般的にC−C側鎖である。
【0025】
1−アルケンとして1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンと共重合されるポリエチレンは、0.001〜20エチル、ブチルまたはヘキシル短鎖分岐/1,000炭素原子、最も好ましくは2〜6エチル、ブチルまたはヘキシル分岐/1,000炭素原子を有することが特に好ましい。
【0026】
本発明のポリエチレンは、与えられた重合体鎖の分子量に本質的に独立した結晶化挙動に基づいて共単量体含有量を決定するTREF分析で実質的に多重モード型、好ましくは二重モード型分布を有することが非常に好ましい。
【0027】
TREF−多重モード型分布は、重合反応中に少なくとも2つの互いに異なる分岐化率及び共単量体挿入率を示す少なくとも2つ以上の互いに異なる最大値がTREF分析によってリゾルブされるようになることを意味する。TREF分析は、結晶化挙動に基づき、本質的に分子量に依存しない短い側鎖分岐化頻度に基づいて共単量体分布を分析する(Wild, L., Temperature rising elution fractionation, Adv. Polymer Sci. 8: 1−47, (1990)、また、本願に参照として組み込まれるUS5,008,204の説明参照)。TREFに対する代案として、同一の目的のためにより最近のCRYSTAF技術を利用することができる。一般的に、好ましい実施形態において、本発明のポリエチレンは、好ましくは互いに異なるシングルサイト触媒で合成される少なくとも2つ、好ましくは実質的に2つの互いに異なる重合体の部分画分、すなわち好ましくは非メタロセン触媒で合成され、低い共単量体含有量、高いビニル基含有量及び好ましくはさらに広い分子量分布を有する第1部分画分、並びに好ましくはメタロセン触媒で合成され、高い共単量体含有量を有する第2部分画分を含む。
【0028】
一般的に、第1または非メタロセン部分画分のz−平均分子量は、第2またはメタロセン部分画分のz−平均分子量より小さく、または究極的には実質的に同一になる。好ましくは、TREF分析によれば、高い共単量体含有量(及び低い結晶度)を有する5〜40重量%、最も好ましくは20〜40重量%のポリエチレンが2〜40分岐/1,000炭素原子の分岐化度を有し、及び/又は低い共単量体含有量(及び高い結晶度)を有する5〜40重量%、最も好ましくは20〜40重量%のポリエチレンが2未満の分岐/1,000炭素原子、より好ましくは0.01〜2未満の分岐/1,000炭素原子の分岐化度を有する。同様に、本発明のポリエチレンがGPC分析で多重モード型、すなわち少なくとも二重モード型分布を示す場合、最高モル質量を有する好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは20〜30重量%のポリエチレンが1〜40分岐/1,000炭素原子、さらに好ましくは2〜20分岐/1,000炭素原子の分岐化度を有すると言える。
【0029】
さらに、最低モル質量を有する最大15重量%、さらに好ましくは最大5重量%のポリエチレンが5未満の分岐/1,000炭素原子、さらに好ましくは2未満の分岐/1,000炭素原子の分岐化度を有することも好ましい。
【0030】
また、本発明のポリエチレンにおいてCHより大きい側鎖の分岐の少なくとも70%は、最高モル質量を有する50重量%のポリエチレンに存在することが好ましい。ポリエチレンにおいて最低または最高モル質量を有する部分は、上記で説明及び言及したような溶媒−非溶媒分別(後にHoltrup分別と呼ばれる)方法によって決定される。上記で言及した8個の画分は次いで13C−NMR分光検査法で検査される。多様な重合体画分における分岐化度は、James C. RandallのJMS−REV. Macromol. Chem. Phys. C29(2&3), 201−317(1989)に説明されているような13C−NMRによって決定することができる。分岐化度は共単量体包含率を示す。
【0031】
好ましくは、本発明のポリエチレンのη(vis)値は0.3〜7dl/g、さらに好ましくは1〜1.5dl/g、または選択的にさらに好ましくは1.3〜2.5dl/gである。η(vis)は135℃のデカリンで毛細管粘度測定によりISO 1628−1及び−3に準拠して決定される固有粘度である。
【0032】
本発明のポリエチレンはISO 13949に準拠して測定される際に、好ましくは3未満、特に>0〜2.5以下の混合質を有する。この値は、圧出機での事前溶融なしに反応器から直接取られたポリエチレン、すなわちポリエチレン粉末に基づくものである。該ポリエチレン粉末は、好ましくは単一反応器内での重合で得られる。反応器から直接得られるポリエチレン粉末の混合質は、光学顕微鏡下で試料の薄片(「ミクロトーム切片」)を評価して試験することができる。非均質性がムラまたは「白点」の形態で現れる。ムラまたは「白点」は、低粘性基質(matrix)にある主に高い分子量を有する高点性粒子である(例えば、U.Burkhardtなどの「Aufbereiten von Polymeren mit neuartigen Eigenschaften」、VDI−Verlag, Dusseldorf 1995, p.71を参照)。このような混入物の大きさは300μmに達し得る。該混入物は応力亀裂を引き起こして脆性破壊をもたらす。重合体の混合質がより良好であるほど、観察されるこれらの混入物はより少なくかつより小さくなる。したがって、これらの混入物の数とサイズを計算し、重合体の混合質に対する等級を設定された評価法により決定する。
【0033】
本発明のポリエチレンは好ましく0〜2長鎖分岐/10,000炭素原子、特に好ましくは0.1〜1.5長鎖分岐/10,000炭素原子の長鎖分岐化度(λ)(ラムダ)を有する。この長鎖分岐化度(λ)(ラムダ)は、例えばACSシリーズ521, 1993, Chromatography of Polymers, Ed. Theodore Provider; Simon Pang and Alfred Rudin: Size−Exclusion Chromatographic Assessment of Long−Chain Branch Frequency in Polyethylenes, page254−269に説明されているような光散乱で測定することができる。
【0034】
当業界で一般的に用いられる添加剤のいずれも本発明のポリエチレンに存在することができる。
【0035】
例えば潤滑剤、抗酸化剤及び/又は安定化剤のような非重合体添加剤がある。
【0036】
一般的に、添加剤と本発明のポリエチレンの混合は、好ましくは二軸押出機のような圧出機によって直接行われてもよいが、公知の任意の方法によって行われてもよい。本発明のポリエチレンは下記で説明される触媒系及び特にその好ましい実施形態を用いて得られる。好ましくは、本発明による前記ポリエチレンを提供するためにシングルサイト触媒または触媒系が用いられる。より好ましくは、本発明は、少なくとも2つの互いに異なるシングルサイト重合触媒A)及びB)を含む触媒組成物を用い、その中、A)は少なくとも1つのメタロセン重合触媒、好ましくはハフノセンであり、B)は非メタロセン遷移金属錯体に基づく少なくとも1つの重合触媒であり、好ましくは、B)は鉄錯体成分であり、さらに好ましくは該鉄錯体が三座配位子を有する。
【0037】
好適なメタロセン及び特にハフノセン触媒A)がWO2005/103096に言及及び開示されており、開示内容は特に一般式(VII)のハフノセンに関して本願に組み込まれる。
【0038】
ハフノセン触媒が特に好ましいが、ハフニウム原子は、2つのシクロペンタジエニル、インデニルまたはフルオレニルリガンドと錯体を形成し、各リガンドは1つ以上のC−C−アルキル基及び/又はC−Cアリール基で選択的に置換され、ハフニウム原子の自由原子価はハロゲン、好ましくは塩素またはC−Cアルキル基またはベンジル基またはこれらの組合物で飽和される。
【0039】
特定の例としてば以下のとおりである。
ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(3−ブテニルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(1,3−di−tert−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(フェニルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(1,3−ジメチル−シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、及び
対応するジメチルハフニウム化合物。
【0040】
適切な触媒B)は、好ましくは少なくとも2つのアリールラジカルを有する三座配位子を有する鉄錯体であり、好ましくは、前記アリールラジカルのそれぞれはオルト位置でハロゲンまたはtert.アルキル置換分を有する。
【0041】
前記鉄錯体B)の好ましい実施形態に関しては、本願に参照として組み込まれるWO 2005/103096におけるそれぞれの開示内容を参照できる。
【0042】
特に適切な三座配位子は2,6−ビス[1−(フェニルイミノ)エチル]ピリジンであり、好ましくは対応する化合物であり、二つのフェニル基はいずれもオルト位置でハロゲンまたはtert.アルキル置換分、特に塩素またはtert.ブチル基で置換され、鉄原子の自由原子価はハロゲン、好ましくは塩素またはC−C10アルキル基またはC−C10アルケニル基またはC−C20アリール基またはこれらの組合物で飽和される。
【0043】
化合物B)の製造は、例えばJ. Am. Chem. Soc. 120,p.4049ff.(1998),J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1998, 849、及びWO98/27124に説明されている。
【0044】
錯体B)の好ましい例は以下のとおりである。
2,6−ビス[1−(2−tert.ブチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
2,6−ビス[1−(2−tert.ブチル−6−クロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
2,6−ビス[1−(2−クロロ−6−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
2,6−ビス[1−(2,4−ジクロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
2,6−ビス[1−(2,6−ジクロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
2,6−ビス[1−(2,4−ジクロロフェニルイミノ)メチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
2,6−ビス[1−(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
2,6−ビス[1−(2,4−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
2,6−ビス[1−(2,4−ジブロモフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
2,6−ビス[1−(4,6−ジメチル−2−クロロ−フェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)ジクロリド;
またはそれぞれの三塩化物、二臭化物または三臭化物。
【0045】
最も好ましくは、単に1つのハフノセンA)が単に1つの錯体B)と共に単一反応器でエチレンの同種重合または共重合時の同じ反応条件下で触媒として使用され、A)は好ましくは錯体B)の場合より高いMを生成する。より一層好ましい実施形態において、両成分A)及びB)は担持される。この場合、二つの成分A)及びB)は互いに異なる担体に加えられるか、または共に共同担体に加えられてもよい。最も好ましくは、多様な触媒センターの比較的近い空間的近接を保障し、それによって形成された互いに異なる重合体の良好な混合を保障するために上記成分が共同担体に加えられる。担体材料の好ましい種類と詳細事項及び触媒以外の活性剤成分(換言すれば共触媒という)の使用に関しては、本願に参照として組み込まれるWO2005/103096におけるそれぞれの開示内容を参照できる。
【0046】
共触媒成分の使用は重合工程と同様にエチレン重合の技術で良く知られており、これに対してはWO2005/103096をさらに参照できる。
【0047】
担体材料としては、シリカゲル、塩化マグネシウム、酸化アルミニウム、メソポーラス材料、アルミノシリケート、ハイドロタルサイト、及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンまたは極性官能基を有する重合体、例えばエテンとアクリルエステル、アクロレインまたはビニルアセテートの共重合体のような有機重合体を用いることが好ましい。
【0048】
シリカのような無機担体は、例えば吸着した水を除去するために熱処理が施されてもよい。
【0049】
一般的に、このような乾燥処理は50〜1000℃、好ましくは100〜600℃の範囲の温度で行われ、100〜200℃における乾燥は好ましくは減圧下で及び/又は不活性ガス(例えば窒素)で覆った状態で行われ、または固体の所望の構造を得て、及び/又は表面上に所望のOH濃度を設定するために、無機担体は200〜1000℃の温度で焼成されてもよい。前記担体はまた、金属アルキル、好ましくはアルミニウムアルキル、クロロシランまたはSiC1、またはその他の異なるメチルアルミノキサンのような一般的な乾燥剤を用いて化学的に処理することもできる。適切な処理方法は例えばWO 00/31090に説明されている。
【0050】
触媒成分A)及びB)のための共同活性剤(共触媒)としては、例えばモノ−メチルアルミノキサン(MAO)のようなアルミノキサンを用いることが好ましい。
【0051】
触媒成分A)は好ましくは、最終触媒系において触媒成分A)からの遷移金属の濃度が担体1g当たり1〜200μmol、好ましくは5〜100μmol、特に好ましくは10〜70μmolになる量で加えられる。触媒成分B)は、好ましくは、最終触媒系において触媒成分B)からの鉄の濃度が担体1g当たり1〜200μmol、好ましくは5〜100μmol、特に好ましくは10〜70μmolになる量で加えられる。
【0052】
活性剤(共触媒)に対する触媒成分A)のモル比は1:0.1〜1:10000、好ましくは1:1〜1:2000であっでもよい。活性剤(共触媒)に対する触媒成分B)のモル比も通常1:0.1〜1:10000、好ましくは1:1〜1:2000である。
【0053】
好ましくは、触媒成分A)、触媒成分B)及び活性剤(共触媒)を溶媒、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する炭化水素、特にキシレン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはこれらの混合物中に懸濁された状態で前記担体と接触させ、前記二つの触媒成分と活性剤をすべて同じ担体上に担持させる。
【0054】
エチレンを単独でまたは1−アルケンと重合させるための工程は、一般的に0〜200℃、好ましくは20〜200℃、特に好ましくは25〜150℃の温度、及び0.005〜10MPaの圧力で行うことができる。重合はオレフィンの重合に用いられる一般的な反応器において、バルクで、懸濁状態で、気相でまたは超臨界媒体で公知の方式で行われることができる。
【0055】
平均滞留時間は、通常0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。重合を行うために有利な圧力及び温度範囲は、通常は重合方法に依存する。
【0056】
重合工程の中で、特に気相流動床反応器内における気相重合、特にループ反応器と攪拌式タンク反応器内における溶液重合、及び懸濁(スラリー)重合が好ましい。
【0057】
モル質量調節剤として水素が好ましく用いられる。
【0058】
また、静電防止剤のような一般的な添加剤も重合に用いることができる。
【0059】
重合は、最も好ましくは単一反応器、特に気相反応器またはスラリー反応器で行われる。
【0060】
ポリエチレンは従来の射出成形機で処理することもできる。得られた成形品の仕上がりは均質であり、注入速度を増加させるか、又はモールドの温度を上げることによりさらに改善することができる。
【0061】
したがって、本発明はまた、本発明のポリエチレンを含む射出成形品を提供する。
【0062】
このような射出成形品は大きな容積を有するコンテナ、特にタンク、好ましくは、少なくとも5Lの容積、さらに好ましくは5〜100Lの容積、最も好ましくは10〜100Lの容積のコンテナであっでもよい。
【0063】
さらにこのような射出成形品はタンクの内部部品、例えばスロッシュバッフルであっでもよい。
【0064】
特に、「含む」に関して、本願では好ましくは、前記射出成形品が本発明の50重量%〜100重量%のポリエチレンを含むことを意味する。
【0065】
本発明によると、唯一の重合体成分として本発明のポリエチレンまたは本発明のポリエチレンの混合物を含む射出成形品が特に好ましい。
【0066】
射出成形された2つのハーフシェルを共にシーリングしてコンテナを得る場合に、該ハーフシェルは良好な平面性によって容易にシーリングできるため、反りが非常に低い本発明のポリエチレンが特に有利である。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するために含まれたものである。当業者であれば理解できるように、以下の実施例に開示されている技術は本発明者によって発見された、本発明の実施において十分に機能する技術を示すものであって、本発明の実施のための好ましい形態を構成すると考えることができる。しかし、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示されている特定の実施形態で様々な変更を行うことができると共に、依然として同等の結果が得られることが分かるであろう。
【0068】
特に断らない限り、以下の試験方法を用いて詳細な説明と実施例に記載されている特性を決定する。
【0069】
密度[g/cm]は23℃でISO 1183に準処して決定された。
【0070】
モル質量分布と平均値(M,M,M)及びこれにより求められるM/Mの決定は、本質的にDIN 55672−1:1995−02(1995年2月発行)に説明されている方法を用いて高温ゲル浸透クロマトグラフィーによって行われた。言及したDIN標準を勘案して、適用する方法論的差異は以下のとおりである。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)であり、装置と溶液の温度は135℃であり、TCBに用いられる濃度検出器として、PolymerChar(スペインバレンシアパテルナパテル 46980)製のIR−4赤外線検出器を用いた。
【0071】
予備カラムであるSHODEX UT−Gと分離カラムであるSHODEX UT 806 M(3x)及びSHODEX UT 807が直列に互いに連結されて備えられたWATERS Alliance 2000を用いた。溶媒は窒素下で真空蒸留され、0.025重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールによって安定化された。用いられた流量は1ml/minであり、注入は500μlであり、重合体濃度は0.01%<濃度<0.05%w/wであった。分子量の補正は、Polymer Laboratories(現Varian, Inc., Essex Road, Church Stretton, Shropshire, SY6 6AX, UK)製の580g/mol〜最大11600000g/molの単分散ポリスチレン(PS)標準、及び追加的にヘキサデカンを用いて行われた。次いで、補正曲線は汎用補正法(Benoit H., Rempp P.及びGrubisic Z.,& in J. Polymer Sci., Phys. Ed., , 753(1967))によってポリエチレン(PE)に適合するようになった。したがって、用いられたMark−Houwingパラメータは、PSの場合はkPS=0.000121dl/g、αPS=0.706であり、PEの場合はkPE=0.000406dl/g、αPE=0.725であり、135℃のTCBで有効であった。日付の記録、補正及び計算は、NTGPC_Control_V6.02.03及びNTGPC_V6.4.24(hs GmbH,Hauptstraβe 36,D−55437 Ober−Hilbersheim)をそれぞれ用いて行った。
【0072】
重合体試料の周辺応力亀裂抵抗性は国際標準ISO 16770(FNCT)によって水性界面活性剤溶液で決定される。重合体サンプルから、圧縮成形された10mm厚の板が準備された。かみそりを用いて、正方形の断面を有するバー(10xl0x100mm)の四つの側面でノッチを応力方向に垂直に形成した。1.6mmの深さを有する鋭利なノッチを形成するために、M.Fleissner in Kunststoffe 77(1987),pp.45に説明されているノッチ形成装置が用いられる。負加される荷重は引張力を初期靭帯面積で分って計算される。その靭帯面積は残余面積=試片の総断面積−ノッチ面積である。FNCT試片の場合、10×10mm−台形ノッチ面積4×=46.24mm(破壊過程/亀裂伝播のための残余断面)。試験試片はISO 16770に示される標準条件でノニオン界面活性剤ARKOPAL N100の2重量%水溶液で80℃で4MPaの一定の荷重を受ける。試験試片が破裂するまでの時間を検出する。
【0073】
シャルピー衝撃強度(acN)が−30℃でISO 179によって決定された。
【0074】
100tの閉鎖圧力と3mmダイ、250℃の保存温度、1000barの注入圧力、90mm/sのスクリュー速度、30℃のモールド温度、及び2mmの壁厚で、螺旋形フロー試験がDemag ET100−310で測定された。
【0075】
実施例1
各触媒成分の製造
【0076】
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドはCrompton Ltd.より購入できる。
【0077】
2,6−ビス[1−(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)はWO2005/103096の実施例に説明されているように製造された。
【0078】
担体の前処理
【0079】
XPO−2107(Grace製の噴霧乾燥シリカゲル)が600℃で6時間焼成された。
【0080】
混合触媒系の製造
【0081】
混合触媒系はWO2005/103096の実施例1に説明されているように製造された。
【0082】
重合
【0083】
上記で製造された触媒を用いて、WO2005/103096の実施例1に説明されているように0.5mの直径を有する流動床反応器で重合を行ったが、下記のような工程条件の差異がある。
【0084】
重合温度及び圧力は102℃及び24barであった。エチレンは53kg/hの量で反応器に供給され、1−ヘキセンは1600g/hの量で、そして水素は1.7l/hの量で反応器に供給された。
【0085】
重合体は51kg/hで排出された。
【0086】
得られた重合体の特性は表1を示す。
【0087】
【表1】
【0088】
本発明及びその利点について詳細に説明したが、添付の請求の範囲に規定するように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく多様な変化、置換及び変更を本願で行うことができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲は本明細書に記載されている工程、機械、製造、物質の組成、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の開示内容から容易に分かるように、本願で説明した対応する実施形態と実質的に同一の機能を行うか、又は実質的に同一の結果が得られる、現在存在しているか又は追って開発される工程、機械、製造、物質の組成、手段、方法またはステップを本発明によって用いることができる。したがって、添付の請求の範囲は、その範囲内にこのような工程、機械、製造、物質の組成、手段、方法またはステップを含むようになっている。