(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147977
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】LED照明器具およびLEDユニット
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20170607BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20170607BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20170607BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20170607BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20170607BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20170607BHJP
F21V 5/00 20150101ALI20170607BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20170607BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/00
F21S2/00 211
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V3/00 320
F21V3/02 200
F21V5/00 510
F21V5/00 630
F21V23/00 190
F21V23/00 160
F21V7/00 510
【請求項の数】37
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-211724(P2012-211724)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-67846(P2014-67846A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100115369
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 司
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 友春
(72)【発明者】
【氏名】小野 晃輝
【審査官】
金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−109478(JP,A)
【文献】
特開2012−174808(JP,A)
【文献】
特開2009−295892(JP,A)
【文献】
特開2007−324256(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0105837(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 3/02
F21V 5/00
F21V 7/00
F21V 19/00
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基板と、
上記基板の上記主面に支持された複数のLEDチップと、
上記基板の上記主面上に形成され、上記複数のLEDチップと導通する配線パターンと、
上記基板の上記主面上に設けられており、上記複数のLEDチップを囲む枠状の堰部と、
を備えたLED照明器具であって、
上記配線パターンは、上記堰部と上記複数のLEDチップとの間に位置する部分を有する1以上のパッド部を有しており、
平面視において上記堰部に囲まれているとともに上記パッド部の少なくとも一部を覆い且つ上記LEDチップと離間して設けられた保護層を備え、
上記保護層は、上記堰部側から上記堰部と反対側の端部に向かう傾斜を備えており、
上記傾斜は、上記保護層において、上記堰部に接する端部から上記堰部と反対側の端部まで一様に続いていることを特徴とする、LED照明器具。
【請求項2】
上記保護層は、上記堰部の内部に接している、請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項3】
上記パッド部のうち上記堰部によって囲まれた部分において上記基板の上記主面と同じ方向を向く面は、上記保護層に覆われている、請求項1または2に記載のLED照明器具。
【請求項4】
上記パッド部のうち上記複数のLEDチップに臨む端面は、上記保護層に覆われている、請求項1ないし3のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項5】
上記パッド部は、上記基板と上記堰部との間に介在する部分を有する、請求項1ないし4のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項6】
上記配線パターンは、上記堰部の外側に位置する端子部を有する、請求項1ないし5のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項7】
上記配線パターンは、上記複数のLEDチップを挟んで、2つの上記パッド部を有する、請求項1ないし6のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項8】
上記配線パターンは、上記堰部に囲まれた領域において、上記2つのパッド部のみを有する、請求項7に記載のLED照明器具。
【請求項9】
上記保護層は、上記複数のLEDチップを挟んで上記2つのパッド部を各別に覆う2つの部分を有する、請求項7または8に記載のLED照明器具。
【請求項10】
上記保護層は、樹脂材料およびこの樹脂材料に混入された白色材料からなる、請求項1ないし9のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項11】
上記樹脂材料はシリコーン樹脂である、請求項10に記載のLED照明器具。
【請求項12】
上記白色材料は、酸化チタンである、請求項10または11に記載のLED照明器具。
【請求項13】
上記保護層は、ガラスからなる、請求項1ないし9のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項14】
上記堰部と上記複数のLEDチップとの間に位置するガラス層を有しており、
上記保護層のうち上記複数のLEDチップに臨む端縁は、上記ガラス層と重なっている、請求項1ないし13のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項15】
上記LEDチップは、上記主面に直接接合されたベアチップである、請求項1ないし14のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項16】
隣合う上記LEDチップどうしがワイヤによって接続されている、請求項14に記載のLED照明器具。
【請求項17】
上記複数のLEDチップのいずれかと上記パッド部とがワイヤによって接続されている、請求項16に記載のLED照明器具。
【請求項18】
上記堰部に囲まれた空間において上記複数のLEDチップおよび上記保護層を覆う封止樹脂を備える、請求項15ないし17のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項19】
上記封止樹脂には、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光材料が混入されている、請求項18に記載のLED照明器具。
【請求項20】
各々が、上記LEDチップ、このLEDチップを覆う蛍光樹脂、および実装端子を有する複数のLEDモジュールを備える、請求項1ないし14のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項21】
上記基板は、セラミックスからなる、請求項1ないし20のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項22】
上記基板は、アルミからなる、請求項1ないし20のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項23】
上記配線パターンは、Agを含む、請求項1ないし22のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項24】
上記保護層は、堰部に沿って全周に形成されている、請求項1ないし23のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項25】
上記複数のLEDチップからの光を透過させるグローブをさらに備えることにより、LED電球として構成されている、請求項1ないし24のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項26】
上記複数のLEDチップを囲むテーパ状のリフレクタをさらに備えることにより、ダウンライトとして構成されている、請求項1ないし24のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項27】
上記パッド部は、上記複数のLEDチップを挟んで第1のパッド部と第2のパッド部との少なくとも2つが備えられ、
上記第1のパッド部と上記第2のパッド部とは、互いに直列に電気的に接続された上記複数のLEDチップを介して接続されている、請求項1ないし26のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項28】
上記保護層は、上記基板の上記主面上において、上記パッド部の少なくとも一部を覆い、且つ上記堰部側から上記堰部と反対側の端部に向かって上記基板の主面からの全ての部分の高さが一様に減少するように形成されている、請求項1ないし27のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項29】
主面を有する基板と、
上記基板の上記主面上に配置されたLEDチップと、
上記基板の上記主面上に設けられており、平面視において上記LEDチップを囲む堰部と、
上記堰部の外部から上記堰部の内部まで延在して設けられた配線と、
上記堰部に囲まれ、上記堰部に密着し、上記LEDチップと離間し、且つ上記配線の少なくとも一部を覆う第1絶縁層と、を有し、
上記第1絶縁層は、上記基板と垂直方向の高さが上記堰部側から一様に減少する傾斜を備えていることを特徴とする、LEDユニット。
【請求項30】
上記第1絶縁層は、上記配線のうち上記LEDチップに対向する端部を覆っている、請求項29に記載のLEDユニット。
【請求項31】
上記LEDチップと上記配線とを接続するワイヤを備えており、
上記第1絶縁層は、上記ワイヤの少なくとも一部を覆っている、請求項29または30に記載のLEDユニット。
【請求項32】
上記LEDチップは、上記基板に対し接合層を介して相対的に固定されており、
上記第1絶縁層は上記接合層と離間して形成されている、請求項29ないし31のいずれかに記載のLEDユニット。
【請求項33】
上記LEDチップと上記第1絶縁層とを覆い且つ上記LEDチップから発せられる光を透過させる第2絶縁層を有している、請求項29ないし32のいずれかに記載のLEDユニット。
【請求項34】
上記堰部は、平面視において上記LEDチップを囲む環状構造となっており、
上記第1絶縁層は、上記堰部の環状構造に沿って上記LEDチップを囲んで形成されている、請求項29ないし33のいずれかに記載のLEDユニット。
【請求項35】
上記第1絶縁層は、樹脂材料およびこの樹脂材料に混入された白色材料からなる、請求項29ないし34のいずれかに記載のLEDユニット。
【請求項36】
上記樹脂材料はシリコーン樹脂である、請求項35に記載のLEDユニット。
【請求項37】
上記白色材料は、酸化チタンである、請求項35または36に記載のLEDユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明器具
およびLEDユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDチップが光源として用いられたLED照明器具が普及し始めている。特許文献1には、LED照明器具の一例が開示されている。このLED照明器具は、基板上において平面的に配置された複数のLEDチップと、これらのLEDチップを覆うカバーを有している。このカバーは、半透明であり、LEDチップからの光を拡散させつつ透過させる。
【0003】
上記LED照明器具は、従来の白熱電球の代替品として用いられるものであり、従来の白熱電球と同等程度の輝度を発揮しつつ、従来の白熱電球よりも省電力化を図ることが意図されている。このため、上記複数のLEDチップからの光をより効率良く上記カバーを透して出射することが重要である。上記基板やこの基板上に形成された配線パターンなどが、酸化や硫化によって変質すると、上記複数のLEDチップからの光を不当に吸収してしまうことがある。これは、上記LED照明器具の高輝度化を妨げる原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−70972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、高輝度化を図ることが可能なLED照明器具を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供されるLED照明器具は、主面を有する基板と、上記基板の上記主面に支持された複数のLEDチップと、上記基板の上記主面上に形成され、上記複数のLEDチップと導通する配線パターンと、上記基板の上記主面上に設けられており、上記複数のLEDチップを囲む枠状の堰部と、を備えたLED照明器具であって、上記配線パターンは、上記堰部と上記複数のLEDチップとの間に位置する部分を有する1以上のパッド部を有しており、上記パッド部の少なくとも一部を覆う保護層を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保護層は、上記堰部に接している。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記パッド部のうち上記堰部によって囲まれた部分において上記基板の上記主面と同じ方向を向く面は、上記保護層に覆われている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記パッド部のうち上記複数のLEDチップに臨む端面は、上記保護層に覆われている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記パッド部は、上記基板と上記堰部との間に介在する部分を有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記堰部の外側に位置する端子部を有する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記複数のLEDチップを挟んで、2つの上記パッド部を有する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記堰部に囲まれた領域において、上記2つのパッド部のみを有する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保護層は、上記複数のLEDチップを挟んで上記2つのパッド部を各別に覆う2つの部分を有する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保護層の表面は、上記堰部から離間するほど上記基板に近づくように傾斜している。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保護層は、樹脂材料およびこの樹脂材料に混入された白色材料からなる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記樹脂材料はシリコーン樹脂である。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記白色材料は、酸化チタンである。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保護層は、ガラスからなる。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記堰部と上記複数のLEDチップとの間に位置するガラス層を有しており、上記保護層のうち上記複数のLEDチップに臨む端縁は、上記ガラス層と重なっている。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップは、上記主面に直接接合されたベアチップである。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、隣合う上記LEDチップどうしがワイヤによって接続されている。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDチップのいずれかと上記パッド部とがワイヤによって接続されている。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記堰部に囲まれた空間において上記複数のLEDチップおよび上記保護層を覆う封止樹脂を備える。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記封止樹脂には、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光材料が混入されている。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、各々が、上記LEDチップ、このLEDチップを覆う蛍光樹脂、および実装端子を有する複数のLEDモジュールを備える。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板は、セラミックスからなる。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板は、アルミからなる。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、Agを含む。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保護層は、堰部に沿って全周に形成されている。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDチップからの光を透過させるグローブをさらに備えることにより、LED電球として構成されている。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDチップを囲むテーパ状のリフレクタをさらに備えることにより、ダウンライトとして構成されている。
【0033】
このような構成によれば、上記配線パターンの上記パッド部のうち上記堰部に囲まれた領域にある部分が、上記保護層によって覆われている。これにより、上記パッド部が酸化や硫化によって変質することを抑制することが可能である。したがって、上記LEDチップからの光が上記パッド部に吸収されてしまうことを回避可能であり、上記LED照明器具の高輝度化を図ることができる。
【0034】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1実施形態に基づくLED照明器具を示す正面図である。
【
図3】
図1のLED照明器具を示す要部平面図である。
【
図4】
図1のLED照明器具を示す要部平面図である。
【
図6】
図1のLED照明器具を示す要部拡大断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に基づくLED照明器具を示す要部拡大断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に基づくLED照明器具を示す平面図である。
【
図10】
図8のLED照明器具を示す要部平面図である。
【
図11】
図8のLED照明器具を示す要部拡大平面図である。
【
図12】
図11のXII−XII線に沿う要部拡大断面図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に基づくLED照明器具を示す要部拡大断面図である。
【
図14】本発明の第5実施形態に基づくLED照明器具を示す要部拡大断面図である。
【
図15】本発明の第6実施形態に基づくLED照明器具を示す要部拡大断面図である。
【
図16】本発明の第7実施形態に基づくLED照明器具を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0037】
図1〜
図6は、本発明の第1実施形態に基づくLED照明器具を示している。本実施形態のLED照明器具101は、基板200、複数のLEDチップ300、配線パターン400、保護層500、堰部600、封止樹脂610、グローブ710、支持部材720、放熱部材730、電源部740、および口金760を備えており、従来の白熱電球の代替品として用いられるものである。なお、
図4においては、理解の便宜上、封止樹脂610を省略している。
【0038】
グローブ710は、複数のLEDチップ300をその内部空間に収容しており、球形殻状とされている。グローブ710は、たとえばポリカーボネート樹脂などに拡散剤が混入された、乳白色の半透明な樹脂からなる。
【0039】
支持部材720は、たとえばアルミなどの金属からなり、基板200およびグローブ710を支持している。基板200およびグローブ710は、支持部材720に対して、たとえば接着剤あるいは接着テープを用いた接合、または互いの一部どうしを係合させること、などによって取り付けられている。支持部材720は、放熱部材730に対して、接合、嵌合、またはボルト締めなどの手段によって取り付けられている。
【0040】
放熱部材730は、たとえばアルミなどの金属からなり、全体として略円筒形状とされている。放熱部材730の内部空間には、電源部740が収容されている。放熱部材730の外面には、放熱効果を促進するための複数のフィンが形成されている。このような複数のフィンを有さない、平滑な外面を有する放熱部材730を採用してもよい。
【0041】
口金760は、たとえばJIS規格に準拠した一般的な電球用の照明器具に取り付けるための部分であり、放熱部材730に取り付けられている。本実施形態においては、口金760は、JIS規格に定められた仕様を満たす構成とされている。口金760は、電源部740に対して配線によって接続されている。
【0042】
基板200は、たとえばセラミックスからなり、
図3および
図4に示すようにたとえば矩形状である。基板200の厚さは、たとえば0.5〜2.0mmである。基板200は、主面201を有している。主面201は、グローブ710側を向いている。
【0043】
複数のLEDチップ300は、基板200の主面201上にたとえばマトリクス状に配置されており、主面201によって支持されている。各LEDチップ300は、たとえばGaN系半導体からなり、たとえば青色光を発する。本実施形態においては、
図5および
図6に示すように、LEDチップ300は、いわゆるベアチップの状態で接合層310によって主面201に直接接合されている。LEDチップ300の下面には電極などが形成されていないため、本実施形態においては、接合層310は、導通性材料であってもよいし、絶縁性材料であってもよい。各LEDチップ300の上面には2つの電極(図示略)が形成されている。隣り合うLEDチップ300の上記電極どうしは、ワイヤ390によって接続されている。これにより、複数のLEDチップ300のうち所定個のLEDチップ300どうしが、直列に接続されている。
【0044】
堰部600は、たとえば白色のシリコーン樹脂からなり、複数のLEDチップ300を囲むように主面201上に形成されている。堰部600の高さは、たとえば0.5〜1.0mmである。本実施形態においては、堰部600は、矩形枠状に形成されている。
【0045】
配線パターン400は、基板200の主面201上に形成されており、複数のLEDチップ300に電力を供給する経路となるものである。配線パターン400は、たとえば厚さが5〜30μm程度のAgからなり、白色あるいは銀色を呈している。配線パターン400の構成としては、このほかにたとえばAg/Pt、Cu/Ni/Ag、Ni/Au/Ag、Ni/Pd/Agのように複数種類の金属層を積層させた構成を採用してもよい。本実施形態においては、配線パターン400は、2つのパッド部410と2つの端子部420とを有している。
【0046】
2つの端子部420は、主面201上において堰部600の外側に設けられており、堰部600を挟んで互いに反対側に位置している。
図3に示すように、各端子部420には、ケーブル750の一端がたとえば半田付けされている。ケーブル750は、配線パターン400と電源部740とを接続している。
【0047】
図4〜
図6に示すように、2つのパッド部410は、主面201上において複数のLEDチップ300を挟んで互いに反対側に設けられている。各パッド部410は、堰部600の辺に沿って延びる帯状とされている。パッド部410は、堰部600に囲まれた領域に位置する部分と、堰部600と主面201との間に介在する部分とを有している。また、パッド部410は、堰部600によって囲まれた領域において、主面201と同じ方向を向く上面411と、複数のLEDチップ300に臨む端面412とを有している。
【0048】
複数のLEDチップ300のうちパッド部410に隣接するものは、ワイヤ390によってパッド部410に接続されている。これにより、複数のLEDチップ300は、各々が互いに直列に接続された所定個のLEDチップ300からなる複数組が互いに並列に接続された構成となっている。
【0049】
堰部600に囲まれた領域においては、配線パターン400は、2つのパッド部410のみを有しており、それ以外の部位は形成されていない。
【0050】
保護層500は、たとえばシリコーン樹脂に白色材料が混入された材料からなる。上記シリコーン樹脂としては、たとえばメチル系シリコーン樹脂またはフェニル系シリコーン樹脂が挙げられる。また、上記白色材料としては、酸化チタンが挙げられる。このような材料からなる場合、保護層500は、比較的高い反射率を有する。具体的には、酸化チタンの混合比率を70〜80重量%程度とした場合、保護層500の反射率は95%程度である。
図4〜
図6に示すように、保護層500は、2つのパッド部410を各別に覆う2つの部分に分離されている。保護層500は、表面501および端縁502を有する。保護層500は、パッド部410の上面411を覆うことを意図して形成されており、特に本実施形態においては、上面411のすべてが保護層500によって覆われている。すなわち、平面視において、パッド部410の上面411は、保護層500の表面501に内包されている。また、保護層500は、パッド部410の端面412を覆うことを意図して形成されており、特に本実施形態においては、端面412のすべてが保護層500によって覆われている。すなわち、平面視において、保護層500の端縁502は、その全長にわたってパッド部410の端面412よりも複数のLEDチップ300寄りに位置している。
【0051】
図6によく表れているように、保護層500は、パッド部410の上面411から堰部600の内側面にわたってこれらに接するように形成されている。堰部600の内側面は、その高さの1/3程度から全高にわたって保護層500によって覆われる。保護層500の形成は、たとえば液状あるいはペースト状のシリコーン樹脂材料に酸化チタンなどの白色材料が混入されたものを、堰部600の内側面に沿って塗布した後に、これを焼成することによってなされる。
【0052】
封止樹脂610は、堰部600によって囲まれた空間に充填されており、複数のLEDチップ300、複数のワイヤ390、および保護層500を覆っている。封止樹脂610は、たとえば透明なシリコーン樹脂あるいはエポキシ樹脂などに蛍光材料が混入された材質からなる。上記蛍光材料としては、たとえばLEDチップ300からの青色光によって励起されることにより黄色光を発するものが採用される。これにより、LED照明器具101からは、白色光が発せられる。また、上記蛍光材料としては、LEDチップ300からの青色光によって励起されることにより赤色光を発するものと緑色光を発するものとを混ぜて用いてもよい。
【0053】
次に、LED照明器具101の作用について説明する。
【0054】
本実施形態によれば、
図4〜
図6に示すように、配線パターン400のパッド部410のうち堰部600に囲まれた領域にある部分が、保護層500によって覆われている。これにより、パッド部410が酸化や硫化によって変質することを抑制することが可能である。したがって、LEDチップ300からの光がパッド部410に吸収されてしまうことを回避可能であり、LED照明器具101の高輝度化を図ることができる。
【0055】
さらに、本実施形態においては、パッド部410の上面411のすべてが保護層500によって覆われている。これにより、上面411を反射に適した状態に保つことができる。また、パッド部410の端面412が、保護層500によって覆われている。これにより、端面412の変質を抑制し、光の不当な吸収を防止することができる。
【0056】
保護層500には、白色材料として酸化チタンが混入されている。これにより、保護層500の表面501は、たとえば反射率が95%程度の高反射率を有する面となっている。これにより、保護層500に向かってきた光のほとんどを反射することが可能である。たとえば長期間の使用を経過したことにより、パッド部410のうち保護層500によって覆われた部分が仮に変質したとしても、この変質した部分に光が吸収されることを防止することができる。パッド部410の変質を抑制するには、保護層500の主原料としてフェニル系のシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
【0057】
保護層500の表面501を堰部600から離間するほど基板200に近づくように傾斜させることにより、LEDチップ300から向かってきた光を、LED照明器具101外に向けてより効率良く反射することができる。保護層500をパッド部410の上面411から堰部600の内側面にわたって接する構成とすることにより、保護層500の表面501を傾斜した面に仕上げやすい。
【0058】
堰部600に囲まれた領域においては、配線パターン400は、2つのパッド部410以外の部分は有していない。このため、複数のLEDチップ300が配置されている領域は、基板200が露出した構成となっている。たとえばセラミックスからなる基板200は、変質のおそれが小さく、主面201は比較的高反射率を有する状態を保ちやすい。したがって、LED照明器具101の高輝度化に適している。
【0059】
LEDチップ300をいわゆるベアチップと称される構成とし、このLEDチップ300を基板200の主面201に直接接合することによりLEDチップ300からの熱をより効率良く基板200へと伝えることが可能である。これは、LEDチップ300により高出力の電力を供給するのに適しており、LED照明器具101の高輝度化に有利である。
【0060】
図7〜
図16は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0061】
図7は、本発明の第2実施形態に基づくLED照明器具を示している。本実施形態のLED照明器具102においては、複数のLEDチップ300がサブマウント基板301を有するものとして構成されている。このような構成のLED照明器具102の場合、LEDチップ300の発光層は、主面201に対して比較的離間した位置に配置されることとなる。このため、保護層500の端縁502が、サブマウント基板301に接する構成としてもよい。
【0062】
このような実施形態によっても、LED照明器具102の高輝度化を図ることができる。また、LEDチップ300において基板200の主面201に接合されているサブマウント基板301は、それ自体が発光するものではない。このため、仮に保護層500を形成するための液状またはペースト状の樹脂材料がサブマウント基板301に接する領域まで流出しても、LEDチップ300の発光を阻害するおそれが少ない。
【0063】
図8〜
図12は、本発明の第3実施形態に基づくLED照明器具を示している。本実施形態のLED照明器具103は、リフレクタ810、筐体820、コネクタ830、およびホルダ840を備えることにより、たとえば天井の開口部に取り付けられるダウンライトとして構成されている。
【0064】
リフレクタ810は、
図9において上下方向に開口しており、その一方の開口を塞ぐように基板200が取り付けられている。リフレクタ810の内側面は、基板200から遠ざかるほど断面寸法が大となるコーン状とされている。リフレクタ810はたとえばアルミからなる。
【0065】
筐体820は、基板200に対してリフレクタ810とは反対側に設けられている。筐体820は、たとえばアルミからなり、本実施形態においては、円筒形状あるいは角柱形状とされている。
【0066】
コネクタ830は、LED照明器具103が天井に設置されるときに、建造物側のコネクタ(図示略)と接続されるものである。ホルダ840は、たとえばステンレス(SUS301)製のプレートを折り曲げ加工したものである。ホルダ840は、LED照明器具103を天井に取り付ける際に、天井の一部と係合することにより、LED照明器具103を保持する。
【0067】
図10に示すように、本実施形態においては、基板200は、長方形状とされており、円形枠状の堰部600が形成されている。2つの端子部420には、コネクタ830あるいは図示しない電源部から延びるケーブルが半田付けされる。本実施形態のパッド部410は、円形枠状の堰部600に沿った形状とされることにより、円弧形状とされている。
【0068】
複数のLEDチップ300は、主面201上において複数列に配置されている。
図10および
図11に示すように、パッド部410の端面412は、複数のLEDチップ300の配置に沿うように階段状とされている。
【0069】
図11及び
図12に示すように、LED照明器具103は、ガラス層620を備えている。ガラス層620は、基板200の主面201上に形成されており、複数のLEDチップ300とパッド部410との間に配置されている。ガラス層620は、パッド部410の端面412から離間しているものの、端面412に沿った階段状とされている。ガラス層620の厚さは、たとえば30〜50μmである。
【0070】
保護層500は、上述したLED照明器具101,102と同様の材質からなる。本実施形態においては、保護層500の端縁502がガラス層620に重なっている。LED照明器具103の製造工程においては、基板200の主面201上に配線パターン400、ガラス層620および堰部600を形成する。ガラス層620の形成は、たとえば液状あるいはペースト状のガラス材料を印刷した後に、これを焼成することによって行う。この後に、複数のLEDチップ300の接合および複数のワイヤ390のボンディングを行う。そして、堰部600に沿って上述した液状あるいはペースト状の樹脂材料を塗布する。この際、この樹脂材料は、堰部600から広がろうとすると、ガラス層620によってせき止められる格好となる。この樹脂材料をたとえば焼成することにより保護層500が形成される。このような製造工程を経ることによって、保護層500の端縁502がガラス層620と重なることとなる。
【0071】
このような実施形態によっても、LED照明器具103の高輝度化を図ることができる。また、ガラス層620を設けることにより、保護層500を形成する際に液状またはペースト状の樹脂材料が意図した領域から流出してしまうことを防止することが可能である。特に、ダウンライトとして構成されたLED照明器具103は、さらなる高輝度化を求められること多い。この要請に応えるには、たとえば複数のLEDチップ300を高密度実装化することが必要である。保護層500を意図した範囲に確実に形成可能であることは、LEDチップ300の高密度実装化に有利である。
【0072】
図13は、本発明の第4実施形態に基づくLED照明器具を示している。本実施形態のLED照明器具104は、たとえばLED照明器具103と同様にダウンライトとして構成されている。LED照明器具104においては、基板200がアルミに代表される金属からなる。基板200の主面201上には、ガラス層621が形成されている。ガラス層621は、配線パターン400の全域と主面201との間に介在しており、配線パターン400と基板200とを絶縁させる機能を果たす。ガラス層621は、たとえば上述したガラス層620を形成する工程と同一の工程によって形成される。
【0073】
このような実施形態によっても、LED照明器具104の高輝度化を図ることができる。また、アルミからなる基板200は、比較的熱伝導率が高い。このため、複数のLEDチップ300からの放熱をより促進することができる。ガラス層620は、配線パターン400を設けるために不可欠であるガラス層621と同一の工程で形成することが可能である。これは、LED照明器具104の製造工程が複雑化されることを回避するのに好ましい。
【0074】
図14は、本発明の第5実施形態に基づくLED照明器具を示している。本実施形態のLED照明器具105は、保護層500がガラスからなる。本実施形態においては、保護層500は、その一部が堰部600と配線パターン400のパッド部410との間に介在している。また、保護層500は、複数の開口503を有している。各開口503は、ワイヤ390をパッド部410にボンディングするために設けられている。LED照明器具105の製造工程においては、基板200に配線パターン400を形成した後に、たとえば印刷したガラス材料を焼成することにより、保護層500を形成する。次いで、堰部600を形成する。そして、複数のLEDチップ300の接合および複数のワイヤ390のボンディングを行う。このような実施形態によっても、LED照明器具105の高輝度化を図ることができる。
【0075】
図15は、本発明の第6実施形態に基づくLED照明器具を示している。本実施形態のLED照明器具106は、複数のLEDモジュール320を有している。各LEDモジュール320は、LEDチップ300、2つの実装端子321、リフレクタ322、および蛍光樹脂323を具備して構成されている。このような構成は、LEDモジュール320の一例であって、LEDチップ300を備え、実装可能なモジュールとして構成されているものであればよい。2つの実装端子321は、たとえばCuからなり、一方にLEDチップ300が搭載されている。このLEDチップ300は、いわゆる1ワイヤタイプとして構成されているが、いわゆる2ワイヤタイプ、あるいはフリップチップタイプであってもよい。リフレクタ322は、たとえば白色樹脂からなり、LEDチップ300を囲んでいる。蛍光樹脂323は、リフレクタ322によって囲まれた空間に充填されており、LEDチップ300を覆っている。蛍光樹脂323は、たとえば上述した封止樹脂610と同様の材質からなる。
【0076】
基板200は、たとえばセラミックスからなる。配線パターン400は、堰部600によって囲まれた領域において、パッド部410に加えて、複数のLEDモジュール320が実装されるための複数の小片部を有している。本実施形態においては、封止樹脂610を省略しても白色光が得られる。
【0077】
このような実施形態によっても、LED照明器具106の高輝度化を図ることができる。LEDモジュール320は、それ自体にリフレクタ322を有している。これにより、LEDチップ300からの光をより多くLED照明器具106外へと出射することができる。
【0078】
図16は、本発明の第7実施形態に基づくLED照明器具を示している。本実施形態のLED照明器具107は、保護層500が堰部600に沿って全周にわたって形成されている。それ以外の構成は、LED照明器具103〜106と同様である。このような実施形態によっても、LED照明器具107の高輝度化を図ることができる。
【0079】
本発明に係るLED照明器具は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るLED照明器具の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0080】
LED照明器具101および102は、白熱電球の代替品として構成されており、LED照明器具103〜107は、ダウンライトとして構成されているものとして説明したが、基板200、複数のLEDチップ300、複数のLEDモジュール320、配線パターン400、保護層500、堰部600、ガラス層620,621、および封止樹脂610に関わる構成は、それぞれの実施形態に限定されず、互いの実施形態において適宜適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
101〜107 LED照明器具
200 基板
201 主面
300 LEDチップ
301 サブマウント基板
310 接合層
320 LEDモジュール
321 実装端子
322 リフレクタ
323 蛍光樹脂
390 ワイヤ
400 配線パターン
410 パッド部
411 上面
412 端面
420 端子部
500 保護層
501 表面
502 端縁
503 開口
600 堰部
610 封止樹脂
620 ガラス層
621 ガラス層
710 グローブ
720 支持部材
730 放熱部材
740 電源部
750 ケーブル
760 口金
810 リフレクタ
820 筐体
830 コネクタ
840 ホルダ