(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項3に記載の組成物であり、前記親和性リガンドが、前記PDE4D7の発現産物に対して特異的なオリゴヌクレオチドのセット、及び、前記PDE4D7の発現産物に対して特異的なプローブである、組成物。
前記ホルモン抵抗性前立腺癌が、前記少なくとも1つの参照遺伝子に対して前記サンプルにおいて少なくとも5分の1であるPDE4D7の発現レベルによって同定される、請求項1に記載のアッセイ。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明者
等は次のことを見出した。即ち、PDE4D7はある特定の前立腺癌
関連細胞タイプ及び
ヒト患者組織で強くダウンレギュレー
トされること
、従って
、PDE4D7
は前立腺癌
に対するバイオマーカーとして使用され得るということである。PDE4D7は
、PDE4D7変性剤又はPDE4D7発現変性剤
と同様に
、医薬
物として、特に前立腺癌治療のための医薬
物として
さらに使用され得る。
【0037】
以下本発明は具体的な実施態様に
関して説明されるが、この説明は
限定的な意味で解釈されるものではない。
【0038】
本発明
の例示的実施態様を
詳細に説明する前に、本発明を理解するため
の重要な定義を与える。
この明細書及び特許請求の範囲で使用される
場合、
不定冠詞を有する単数
形は、記載上明記されない限り対応する複数
形をも含む。
【0039】
本発明に
関連して、用語「約」
及び「略」とは、
くだんの特徴の技術的効果
を依然として確実
にすると当業者であれば理解し得る範囲の精度を意味する。通常この用語は示される数字から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、さらに
より好ましくは±5%の変動を示す。
【0040】
用語「含む」は限定的意味ではないこと
が理解されるべきである。本発明の目的において、用語「からなる」は用語「含む」の好ましい実施
形態であると
考慮され
る。以下で
群が少なくと
もある数の実施態様を含むと定義される場合、これはまた好ましくはこれらの実施態様のみからなる
群を含むことを意味する。
【0041】
さらに、明細書及び特許請求の範囲での用語「第一」、「第二」、「第三」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などは類似のエレメントを区別するために用いられるものであり、必ずしも数字の順
又は時間の順を説明する
ためのものではない。そのように使用される用語は適当な条件下で交換可能であり、
本明細書において記載される本発明の実施態様は
本明細書で記載又は説明される順とは異なる順序でも
作動可能である、ということ
が理解されるべきである。
【0042】
用語「第一」、「第二」、「第三」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」など
が方法又は使用のステップに関する場合、これらのステップ間にはなんらの時間又は時間間隔
の首尾一貫性が存在するものではなく、即ち、これらのステップは同時に実施されてもよい。又は
、本明細書に
おいて定められたか又は定められるように、特に
本願において明記されていない限り、これらのステップ間には、秒、分、時間、日、週、月又は年
さえの時間間隔が存在してもよい。
【0043】
本発明は
本明細書において説明される具体的な方法、手順、タンパク質、バクテリア、ベクター、試薬などに限定されず、変更され得るということ
が理解されるべきである。
本明細書において使用される技術用語は具体的な実施態様を説明するためだけのものであり、添付の特許請求の範囲にのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないこと
も理解されるべきである。特に明記されない限り、
本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は当業者により通常理解される意味と同様の意味を持つ。
【0044】
上記の通り、本発明はひとつの側面において、前立腺癌マーカーとして
使用するためのホスホジエステラーゼ4D7(PDE4D7
)に関する。用語「ホスホジエステラーゼ4D7」又は「PDE4D7」は、
ヒトホスホジエステラーゼPDE4
Dのスプライスバリアント7、即ち
ヒトホスホジエステラーゼPDE4D7遺伝子、好ましくはGenbank Accession No:AF536976(version AF536976.1、G
I:22901883 as of 3 March 2009)に定められる配列、より好ましくは配列表の配列番号1(SEQIDNO:1)で定められる
ヌクレオチド配列(これはPDE4D7転写物の上記Genbank Accession number
の配列に対応する)に関連し、
さらに、配列表の配列番号2(SEQIDNO:2)で定められる
対応するアミノ酸配列(これはPDE4D7転写物によ
りコードされるPDE4D7ポリペプチドの上記Genbank Accession numberの配列に対応する)に関連する。
上記用語はまたPDE4D7と高度
な相同性を示す
ヌクレオチド配列、例えば、配列表の配列番号1
に定められる配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する核酸配列を含む。又は、配列表の配列番号2
に定められる配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。又は、配列表の配列番号2
に定められる配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するアミノ酸配列
をコードする核酸配列を含む。又は、配列表の配列番号1
に定められる配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有する核酸配列によ
りコードされるアミノ酸配列を含む。
【0045】
本明細書において使用される
場合、用語「
ヒトホスホジエステラーゼPDE4D7遺伝子」、「PDE4D7遺伝子」又は「PDE4D7マーカー遺伝子」は、ホスホジエステラーゼ4D
をコードする遺伝子に関する。好ましくは、この用語は
スプライスバリアント7
として、例えばGenbank Accession No:AF536976(version AF536976.1、G
I:22901883 as of 3 March 2009)又は配列表の配列番号1で定義される
特定のエクソンの組合せとして、ホスホジエステラーゼ4D
を発現する遺伝子に関する。この用語はまた、
バリアント7としてスプライスされるホスホジエステラーゼ4D
をコードするmRNA転写物から誘導されるDNA
分子、好ましくはcDNA
分子に関する。
【0046】
本明細書において使用される
場合、用語「マーカー」又は「PDE4D7マーカー」は、
本明細書において上で定義された遺伝子
、遺伝子的単位又は配列(
ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列又はタンパク質配列)に関し、
その発現レベルが、癌
性細胞
若しくは癌
性組織中
、或いは、癌性細胞若しくは癌性組織又はその一部若しくは断片を含むいかなるタイプのサンプル中で、コントロールレベル又は状態と比較して変更され、好ましくは低減される。この用語はまた、
上記遺伝子的単位又は配列の
いかなる発現生成物、特にPDE4D7mRNA転写物、
上記PDE4D7転写物又はその
バリアント又は断片によ
りコードされるポリペプチドに関し、同様に
本明細書において記載されたそれらの類似誘導体に関する。
本明細書において使用される
場合、用語「発現レベル」とは、PDE4D7転写物の量に関し及び/又は既定の細胞数又は既定の組織部分から誘導されるPDE4D7タンパク質の量、好ましくは標準
的な核酸(例えばRNA)又はタンパク質抽出手順で得られうるPDE4D7転写物及び/又はPDE4D7タンパク質の量に関する。適切な抽出方法は当業者に知られている。
【0047】
本明細書において使用される
場合、用語「コントロールレベル」
(又は「コントロール状態」)とは、発現レベルに関するものであり、
上記発現レベル
は、疾患状態が癌性ではないことが知られている
一人又は複数の対
象から前もって集められ
且つ保存されている
1つ又は複数のサンプルを用いて試験サンプル
と同時に
及び/又は類似の
若しくは匹敵する条件下で決定され得るものである。用語「疾患状態」又は「癌性疾患状態」は、非癌性
細胞状態と終末期癌細胞状態(を含む)との間の細胞又は分子
状態の
いかなる状態又はタイプ
も意味する。好ましくはこの用語は、非癌性細胞状態
(を除く)と終末期癌性細胞
状態(を含む)との間の
生物体中での異なる癌性増殖/
発生の段階又は腫瘍
発生のレベルを含む。このような
発生の段
階は、
例えば段階0及びIからIV等、UICCによ
り定義される悪性腫瘍のTNM(腫瘍、節、転移)
分類システムの全ての段階を含み得る。この用語はまた、TNM段階0の前
の段階も含む。例えば当業者に知られた癌バイオマーカーが変更
された発現又は発現パターンを示す際の
発生の段階を含む。
【0048】
上記の発現レベルは好ましくは、
本明細書において上で定義されたPDE4D7の発現レベルで
あり得る。
或いは又はこれに加えて、発現レベルはまた、
好ましくはPDE4D7と関連した細胞中で発現されるいかなる他の適切な遺伝子又
は遺伝子的成分
の発現レベルであって
もよい。例えば他のホスホジエステラーゼの発現レベル、ハウスキーピング遺伝子
、例えばGAPDHやPBGDなどの発現
レベルで
あり得る。
【0049】
用語「癌性」は、本発
明に関連して、本明細書において上で定義された癌性疾患状態に関する。癌性のコントロールに
関連して好ましいコントロールレベルは、悪性、ホルモン感受性腫瘍におけるPDE4D7
の発現である。
【0050】
用語「非癌性」は、本発明に
関連して、良性でも悪性でも増殖が検出されない状態を意味する。かかる検出の適切な手段は
当技術分野において知られている。非癌性コントロールに
関連して好ましいコントロールレベルは正常状態、即ち健康又は非癌性組織でのPDE4D7
の発現であり、又は良性前立腺腫瘍組織中のPDE4D7
の発現である。
本明細書において使用される
場合、用語「良性前立腺腫瘍」は、癌の3つの全ての悪性特徴を欠く前立腺腫瘍であり、即ち無限に積極的には成長せず、周りに組織に侵入せず、かつ転移しないものである。通常良性前立腺腫瘍は、
軽度な非
進行性の前立腺新生物又は肥大症を意味し
、癌の侵入性を有しない。さらに良性前立腺腫瘍は通常包み込まれており
、従って
、悪性化することが防止されている。良性腫瘍又は健康
な状態は、当業者に知られた
いかなる適切な、独立した分子、組織又は生理学的方法で決定され得る。
【0051】
又は
、コントロールレベルは統計的方法により、疾患
状態が知られている対
象からのサンプル中の本発明のPDE4D7マーカー遺伝子のすでに決定された
1つ又は複数の発現レベルを分析して得られる結果に基づいて決定することができる。さらに、コントロールレベルは、すでに試験された対
象又は細胞からの発現パターン
のデータベースから導くこともできる。さらに、試験される生物サンプル中の本発明
のマーカー
遺伝子の発現レベルは、多数の参照サンプルから決定された多数のコントロールレベルと比較され得る。患者由来の生物サンプルと類似のタイプの組織から誘導される参照サンプルから決定されるコントロールレベルの使用が好ましい。特に好ましくは、疾患
状態が
本明細書において上で定義された非癌性である
一人又は複数人の対
象から得られた
1つ又は複数のサンプルを用いることである。即ち良性でも悪性でも増殖が見られない健康状態を表す。本発明の他の実施態様では、コントロールレベルは、前立腺癌
、例えばホルモン非依存性又はホルモン抵抗性前立腺癌であると診断された対
象から得られる参照サンプルから決定され得る。
【0052】
又は、参照サンプルは、
細胞株、例えば不死化癌
細胞株から誘導される、又は
、組織異種移植片から誘導され
る材料を含むこともできる。好ましくは、前立腺癌
細胞株から
誘導される材料
、又は
、ヒト前立腺組織、特に良性の腫瘍由来
ヒト前立腺組織
を有する組織異種移植片から
誘導される材料が、本発明による参照サンプルに含まれ得る。好ましい
癌細胞株の例としては、PC346P、PC346B、LNCaP、VCaP、DuCaP、PC346C、PC3、DU145、PC346CDD、PC346Flul、PC346Flu2
の細胞株が挙げられる。好ましい異種移植片の例としては、PC295、PC310、PC−EW、PC82、PC133、PC135、PC324及びPC374が挙げられる。好ましくは
細胞株及び異種移植片
のパネル
全体が使用され得る。例えば
ヒトPC346パネルである。さらに好ましくはMarquesらの2006、Eur.Urol、49(2):245−57に記載されている
細胞株及び異種移植片である。
【0053】
さらに好ましい
代わりの例として、参照サンプルが
、臨床環境において得られる患者の組織、又は組織パネル
若しくは組織収集物から得ら
れ得る。
サンプルは、例えば、外科的手術を受けている男性患者から得られてもよい。サンプルは
、いかなる適切な組織タイプ、例えば前立腺組織又はリンパ節から得られ
てもよい。患者
の組織収集物の好まし
い例は、外科的前立腺手順(例えば前立腺切除)からのものである。
【0054】
さらに、本発明の
PDE4D7マーカーの発現レベルの標準値を
、知られた疾患状態を持つ母集団で使用することが好ましい。標準値は、当該技術分野で知られる
いかなる方法で
も得られる。例えば
、平均±2SD(標準偏差)又は平均±3SD
の範囲が
、標準値として使用され得る。
【0055】
さらに、コントロールレベルはまた、疾患
状態が癌性であることが知られた
一人若しくは複数人の対
象からすでに収集されて保存された
1つ又は複数のサンプルを用いることによ
って、試験サンプルと同時
に、及び/又は
、類似
若しくは匹敵する条件で決定され得る。ここで対
象はある種の癌タイプ、例えば前立腺癌
、特にホルモン依存性、ホルモン感受性又はホルモン抵抗性の前立腺癌であると
独立して診断された対
象である。
【0056】
本発明に
関連して、癌性ではないと知られている生物サンプルから決定されるコントロールレベルは、「正常コントロールレベル」とされる。このコントロールレベルが癌性生物サンプル
、例えば前立腺癌
、特にホルモン依存性、ホルモン感受性又はホルモン抵抗性癌であると独立して診断された対
象からのサンプルから決定される場合には、これは「癌性コントロールレベル」とされる。
【0057】
用語「前立腺癌」とは、男性
の生殖器系における前立
腺の癌
に関し、前立腺細胞が変異し制御されることなく複製し始めるものである。通常
、前立腺癌は前立腺特異的抗原(PSA)のレベルを上昇させる。本発明のひとつの実施態様では、用語「前立腺癌」はPSAレベルが4.0を超える値を示す癌である。他の実施態様で、この用語は、2.0を超えるPSAレベルを示す癌に関する。用語「PSAレベル」は、血液中の前立腺特異的抗原(PSA)のng/mlでの濃度に関する。
【0058】
用語「ホルモン依存
性前立腺癌」とは、前立腺癌又は前立腺癌
細胞株の成長及び/又は増殖が男性ホルモン刺激に依存するものを意味する。
【0059】
用語「ホルモン感受性前立腺癌」とは、前立腺癌又は前立腺癌
細胞株の成長及
び増殖が男性ホルモン刺激に感受性を持つものを意味する。用語「感受性」とは、前立腺癌又は前立腺癌
細胞株が、男性ホルモンの存在
下で生化学的又は細胞
的反応パターンを示すが、成長及び/又は増殖に男性ホルモンを必要としない
状況を意味する。
【0060】
用語「ホルモン抵抗性前立腺癌」とは、前立腺癌又は前立腺癌
細胞株の成長及び増殖が男性ホルモン刺激に抵抗性であるものを意味する。この用語はまた、後期の前立腺癌進展段階に関す
るものであり、抗ホルモン
、好ましくは
、本明細書において上で定義された抗アンドロゲンの投与
をもはや
受け入れられないものを意味する。
本明細書において使用される
場合、用語「男性ホルモン」とはアンドロゲンを意味し、好ましくはテストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオール又はアンドロステロンを意味する。
【0061】
さらなる側面では、
本発明は、前立腺癌又は前立腺癌の進展
を診断、検出、モニタ
ー又は予見するためのマーカー
としてのPDE4D7の使用に関する。
【0062】
本明細書において使用される
場合、用語「前立腺癌の診断」とは、本発明のPDE4D7マーカーの発現レベルが
、本明細書において上で定義されたコントロールレベルと比較して、好ましくは
、本明細書において上で定義された正常コントロールレベルと比較された場合に、
変更、好ましくは低減又はダウンレギュレー
トされる場合に、対
象又は個人が前立腺癌に罹っていると考えられることを意味する。用語「診断」とはまた、
上記比較の手順を通じて到達される結論を意味する。
【0063】
本発明
に関連して用語「
変更された」又は「
変更された発現レベ
ル」とは、
従って、発現レベルの変化を意味する。発現レベルが「変化する(される)」と
みなされるのは、例えば分析されるサンプル中のPDE4D7遺伝子
の発現が、コントロールレベルから例えば5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、又は50%を超えて異なる
場合であるか、又はコントロールレベルと比べて少なくとも0.1倍、少なくとも0.2倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍
以上である
場合である。コントロールレベルは、
本明細書において上で定義された正常コントロールレベル又は癌性コントロールレベルのいずれかでよい。癌性コントロールレベル
との比較
が実行される
ことになる場合、正常コントロールレベル
との追加の比較が好ましい。この追加の比較は
変更の傾向を決定することを可能にする。即ち発現レベルの増加又は減少が観察される。
【0064】
用語「
変更する(される)」とは、試験サンプルをコントロールレベルと比較した場合
の、好ましくはPDE4D7マーカーの発現レベルの減少
若しくはダウンレギュレーション、又はPDE4D7マーカー
発現の完全な抑制を意味する。コントロールレベルは
、本明細書において上で定義された正常コントロールレベル又は癌性コントロールレベルのいずれかでよい。本発明の好ましい実施態様では
、コントロールレベルはホルモン依存性前立腺腫瘍又は組織
から誘導されるか若しくはそれらに関与する、より好ましくはホルモン感受性前立腺腫瘍又は組織から
誘導されるか
若しくはそれらに関与する癌性コントロールレベルである。本発明
に関連して用語「減
少され
た発現レベル」又は「ダウンレギュレー
トされた発現レベル」又は「発現レベルの減少」(これは同意語として使用され得る)とは、
従って、分析される状況
、例えば患者のサンプルから
誘導可能な状況と参
照点とのPDE4D7
の発現レベルの減少を意味し、参
照点とは、正常コントロールレベル又は当業者に知られた
いかなる適切な癌段階、好ましくはホルモン依存性、より好ましくはホルモン感受性腫瘍段階から
誘導可能な癌性コントロールレベルのいずれかであり得る。発現レベルは、PDE4D7
の遺伝子発現がコントロールレベルか
ら、例えば5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%又は50%を超えて減少する場合、又はコントロールレベル
と比較して、好ましくはホルモン依存性又はホルモン感受性腫瘍
コントロールと比較して少なくとも0.1倍、少なくとも0.2倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍以上である場合に、「減少する」又は「ダウンレギュレー
ト」されてい
るとみなされる。
【0065】
さらなる実施態様において、対
象から得られるサンプルと
、本明細書において上で定義された参
照(癌性)との全体の遺伝子
発現パターンの追加の類似性は、対
象が癌に罹っていることを示す。本発明の他の実施態様において、診断は、追加の癌バイオマーカー発現レベルの
解明と組み合わせることができる。例えばPSAなどのバイオマーカーの発現が試験され得る。
【0066】
癌
、特に前立腺癌は、本発明のPDE4D7マーカーの発現レベルが
変更される、好ましくは
、本明細書において上で定義されるコントロールレベル
、例えば
、本明細書において上で定義される正常コントロールレベルに比べて減少又はダウンレギュレー
トされる場合には、診断されるべきものとして考えられ得る。
【0067】
特に好ましい実施態様において、前立腺癌は、
本明細書において上で定義されるように、PDE4D7
発現レベルが、試験サンプル中でコントロールレベルと比較して、好ましくはホルモン依存性腫瘍コントロール又はホルモン感受性前立腺腫瘍コントロールから
誘導されるコントロール発現レベルと比べて、20%
から80%の
値だけ、好ましくは30%、40%、50%、60%又は70%
の値だけ減少する場合に、診断されるべきものと考えられ得る。さらに好ましい実施態様において、ホルモン抵抗性前立腺癌は、
本明細書において上で定義されるように、PDE4D7
の発現レベルが、試験サンプル中で、コントロールレベルと比較して20%
から90%の
値だけ、好ましくは30%、40%、50%、60%、70%又は80%
の値だけ減少する場合に、診断されるべきものと考えられ得る。コントロールレベルは、正常
コントロールレベル又は癌性コントロールレベル、好ましくはホルモン依存性又はホルモン感受性前立腺癌から
誘導可能な癌性コントロールレベルのいずれかでよい。
【0068】
本明細書において使用される
場合、用語「前立腺癌
の検出」とは、
生物体での癌性疾患又は症状の存在が決定され得ること、又は癌性疾患又は症状が
生物体で同定され得ることを意味する。癌性疾患又は症状を決定又は同定することが、本発明のPDE4D7マーカーの発現レベルと
、本明細書において定義された正常コントロールレベルとを比較することで遂行され得る。癌
、特に前立腺癌は、PDE4D7マーカーの発現レベルと、
本明細書において上で定義された癌性コントロールレベルとが同程度である場合
に検出され得る。本発明の好ましい実施態様において、前立腺癌は、PDE4D7マーカーの発現レベル
と、確立された前立腺癌細胞又は
細胞株、例えば
、本明細書において上で示した前立腺癌
細胞株の癌性コントロールレベル
と同程度である場合
に検出され得る。
【0069】
本明細書において使用される
場合、用語「前立腺癌のモニタ
リング」とは、診断された又は検出された癌性疾患又は症状に伴うものであり、例えば処置手順の間又はある
期間であり、通常2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、5年、10年又は
いかなる他の
期間の間実行されるものである。用語「伴う」とは、
本明細書において上で定義された疾患状態
、特に、
これらの疾
患状態の変化が、サンプル中の本発明のPDE4D7マーカーの発現レベルを
、正常又は
本明細書において上で定義される癌性コントロールレベル、好ましくはホルモン依存性腫瘍コントロー
ル又はホルモン感受性前立腺腫瘍
コントロールから誘導されるコントロール
発現レベルとを、
それぞれいかなるタイプの
周期的期間
、例えば毎週、2週毎、毎月
、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11
若しくは12
ヶ月
毎、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9
若しくは10
年毎の周期的期間で、
例えば、2週間、3週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月間、1,5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20年
間等、いかなる期間
の間、比較することで検出され得ることを意味する。癌性コントロールレベルは、癌
発生の異なる段階、例えばTNM分類システムの段階0及びIからIVに応じてサンプルから導かれ得る。本発明の好ましい実施態様では、この用語は、診断された前立腺癌、より好ましくはホルモン依存性及びホルモン感受性前立腺癌に伴う
ものに関する。さらなる実施態様では、モニタ
リングはまた
、ホルモン抵抗性前立腺癌に伴うもの、例えば治療手順の間に伴い使用され得る。モニタ
リングはまた、追加の遺伝子
若しくは遺伝子的成分、例えばGAPDH
若しくはPBGDなどのハウスキーピング遺伝子
、又は
、他のホスホジエステラーゼ
、好ましくはPDE4D
5の発現を検出することを含む。
【0070】
本明細書において使用される
場合、用語「前立腺癌の予見」とは、診断され
るか又は検出される
癌性疾患の進行又は
予後を
予期することを意味する。例えばある期間、治療の間又は治療後など
に行うものである。この用語は
また、生存機会又は疾患からの回復の決定を意味し、同様に対
象の予想される生存期
間を予期することを意味する。予見はまた、特に
、例えば6ヶ月、1年、2年、3年、5年、10年又は
いかなる他の期間で
の、
将来への対
象の生存可能性の
確立を含む。
【0071】
本明細書において使用される場合、用語「前立腺癌の進展」とは、前立腺癌
発生の異なる段階への変化を意味し、健康状態から始まって末期癌への段階であって、例えばTNM分類の段階0及びIからIV、又は
いかなる他
の段階
若しくはそのサブ段階の変化を意味する。通常かかる変化は、試験サンプル中のPDE4D7
の発現レベルが、同じ個人からの以前の試験サンプルの値と比べて、例えばホルモン依存性前立腺
腫瘍若しくは腫瘍コントロール又はホルモン感受性
前立腺腫瘍若しくは腫瘍コントロール
から誘導されるサンプルと比較して
変更される、好ましくは減少
されることを伴うものである。前立腺癌
の進展は、
本明細書において上で定められているように、試験サンプル中のPDE4D7
の発現レベルが
、同じ個人からの以前の試験サンプルの値と比較して、3%から50%の値
だけ減少
する、好ましくは10%、15%、20%又は25%
の値だけ減少する場合に、検出され
る又は診断され
るとして考慮され得る。
変更は
いかなる期間にわたり検出され得る。好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12
ヶ月間、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20年間
にわたり検出され得る。即ち、上記の値は、
第一の時点で
のPDE4D7
の発現レベルと
、上記の時間経過後の第二の時点での値
とを比較することで計算され得る。進展は、ひとつの
特定の実施態様では、ホルモンの
抵抗性前立腺癌への進展である。
【0072】
本発明の特に好ましい実施態様では、用語「前立腺癌の進展」とは、ホルモン依存
性前立腺癌又はホルモン感受性前立腺癌状態からホルモン抵抗性前立腺癌
状態への変化を意味する。
【0073】
ホルモン依存
性前立腺癌又はホルモン感受性前立腺癌状態からホルモン抵抗性前立腺癌
状態への進展は、
本明細書において上で定められているように、試験サンプル中のPDE4D7
の発現レベルが、ホルモン感受性前立腺癌又はホルモン依存
性前立腺癌を患っている
と診断された同じ個人
からの以前の試験サンプル中の値と比べて、3%から50%の値
だけ減少
する、好ましくは10%、15%、20%又は25%
の値だけ減少する場合に、検出され
る又は診断され
るとして考慮され得る。この進展はまた、この比較が他の個人からの試験サンプル、組織収集物からの試験サンプル、データベースからの値などを元に実施される場合に、検出されるべきと考慮され得る。
【0074】
変更は
、いかなる期間にわたり検出され得る。好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12
ヶ月間、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20年間
にわたり検出され得る。即ち、上記の値は、
第一の時点で
のPDE4D7
の発現レベルと
、上記の時間経過後の第二の時点での値
とを比較することで計算され得る。
【0075】
さらなる実施態様において本発明は、前立腺癌、より好ましくはホルモン抵抗性前立腺癌
発生の素因の診断及び検出に関する。
本発明に関連して、
「前立腺癌
発生の素因」
、特に
「ホルモン抵抗性前立腺癌
発生の素因」とは、前立腺癌、特にホルモン抵抗性前立腺癌
発生のリスク
の状態を意味する。好ましくは
、ホルモン抵抗性前立腺癌
発生の素因は、
本明細書において上で定められたPDE4D7
の発現レベルが
、本明細書において上で定められた癌性コントロールレベルより低い場合に存在し、例えば明らかにホルモン感受性前立腺癌を患っている対
象の組織又はサンプルからの参照発現レベルよりも低い場合に存在する可能性がある。
本明細書において使用される場合、用語「より低い」とは
、PDE4D7
の発現レベルが約40%から80%、好ましくは約50%
、癌性コントロールレベルより減少していることを意味する。
【0076】
又は、
本発明に関連して癌
発生の素因は、
本明細書において上で定義されたPDE4D7の発現レベルが与えられ
る状況、及
び、例えばPSAなどの
さらに他の癌マーカーが発現レベル
又は発現パターンの
変更を示さない場合に存在する可能性がある。さらに適切な癌マーカーは当業者に知られている。
【0077】
従って、前立腺癌、特にホルモン抵抗性前立腺癌の素因は、上のひとつの状況が観察される場合に診断
される又は検出され
ると考慮され得る。
【0078】
試験
生物学的サンプル
の発現レベルとコントロールレベルとの差は、さらなるコントロール核酸の発現レベルに
基準化され得る。例えばハウスキーピング遺伝子であり
、その発現レベル
は、細胞の癌性又は非癌性
状態に
応じて相違しないことが知られているものである。このような
例証的なコントロール遺伝子の例としては、
特に、β−アクチン、グリセ
ルアルデヒド3−リン
酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)及びリボソームタンパク質P1が挙げられる。
基準化はまた、他のホスホジエステラーゼ、好ましくは
ヒトホスホジエステラーゼであり
、異なる腫瘍段階でも発現パターンが変化しないもの、
を用いて実行されてもよい。好ましいホスホジエステラーゼは、PDE4D5又はPDE4Dファミリの
いかなる他のイソフォーム、例えばPDE4D1、PDE4D2、PDE4D3、PDE4D4、PDE4D6、PDE4D8又はPDE4D9が挙げられる。
【0079】
本発明
に関連して、
用語「診断する」及び「予見する」はまた、
予期及び
見込みの分析を含むことが意図される。マーカーとしてのPDE4D7は従って
、疾患についての調査
監視などの治療的介入又は
診断基準を含む、治療方法に関する
意思決定を行う際に
臨床的に用いられ得る。本発明によれば、対
象の状態を検査
するための中
間結果が与えられ得る。この中間結果は、追加の情報と組み合わせ、医者、看護師又は他の医療技術者が、対
象がその疾患に罹っていることを診断する助けとなり得る。又は、本発明は対
象由来の組織での癌性細胞を検出し
、この対
象がこの疾患に罹っていることを診断するために有用な情報を
医者に提供するために利用され得る。
【0080】
本発明により、診断、モニターされるべき対
象又は
個体、
或いは、前立腺癌、前立腺癌の進展又は、前立腺癌の
素因が検出され
るか又は予見されるべき対
象又は
個体は動物
であり、好ましくは哺乳類、より好ましくは
ヒトである。
【0081】
特に好ましくは、PDE4D7を
、前立腺癌
又は前立腺癌の進展の診断、検出、モニタ
リング又
は予見のため
のマーカーとして使用する際に、当業者に知られている分子イメージング装置、例えば磁気共鳴イメージング(MRI)及び/又は磁気光子共鳴イメージング(MPI)技術などを使用することである。例えばPDE4D7は、
ヒト対
象内の診断マーカーをオンラインで検出することのできるMRI又はMPIなどの方法で、前立腺癌又は前立腺癌の進展の診断、検出、モニタ
リング又は予見のため
のマーカーとして使用され得る。
【0082】
さらなる側面において、
本発明は、個人の前立腺癌又は前立腺癌の進展
又は前立腺癌の素因の診断、検出、モニタ
リング又は予見のための組成物に関する。本発明
による組成物は、PDE4D7発現生成物又はタンパク質に
対する核酸又はペプチド
親和性リガンドを含
んでもよい。
【0083】
本明細書において使用される場合、用語「PDE4D7発現生成物
に対する核酸親和性リガンド」とは、PDE4D7転写物又はPDE4Dの
スプライスバリアント7から導かれるDNA分子、より好ましくは配列表の配列番号1で示されるDNA配列又は配列表の配列番号1で示される配列の相補的DNA配列又は対応するRNA配列へ特異的に結合することができる核酸分子を意味する。核酸親和性リガンドはまた、配列番号1で示される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を持つDNA配列、
又は、配列番
号2で示される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を持つアミノ酸配列
をコードするDNA配列又はそれらの配列の
いかなる断片に
も特異的に結合することができるものである。
【0084】
本明細書において使用される場合、用語「PDE4D7
タンパク質に対するペプチド親和性リガンド」とは、PDE4D7タンパク質に特異的に結合することができるペプチド分子を意味する。ペプチド分子は
、好ましくは
、配列表の配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質又はポリペプチドに特異的に結合する
ことができるものである。ペプチド親和性リガンドはまた、配列番号1で示される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を持つDNA配列によ
りコードされるアミノ酸配列を含むタンパク質又はポリペプチド、又は
、配列番号2で示される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を持つアミノ酸配列を含むタンパク質又はポリペプチド、又はそれらの配列の
いかなる断片に
も特異的に結合することができるものである。用語
「ペプチド」とは、2個以上のアミノ酸を含む
いかなるタイプのアミノ酸配列を
も意味し、例えばポリペプチド構造、タンパク質構造又はそれらの機能的類似体を意味する。さらにペプチドはまた
さらなる化学
的部分又は機能と組み合わされてもよい。
【0085】
本明細書において使用される場合、用語「発現生成物」とは、PDE4D7転写物又はPDE4D遺伝子の発現により生成されたmRNA分子を意味する。より好ましくは
、本明細書において上で定められた処理されたPDE4D転写物を意味し、例えば配列表の配列番号1の配列による
ものである。
【0086】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の組成物は、PDE4D7発現生成物に特異的
なオリゴヌクレオチド
のセット、PDE4D7発現生成物に特異的なプローブ、PDE4D7発現生成物又はPDE4D7タンパク質に特異的なアプ
タマー、PDE4D7タンパク質に特異的な抗体及びPDE4D7タンパク質に特異的な抗体変異体、を含む群から選択される、核酸及びペプチド親和性リガンドを含む。
【0087】
本発明の組成物は、例えば
、PDE4D7発現生成物に特異的なオリゴヌクレオチド
のセット及び/又はPDE4D7発現生成物に特異的なプローブを含むことができる。
本明細書において使用される場合、用語「PDE4D7発現生成物に特異的なオリゴヌクレオチド」は、PDE4Dの
スプライスバリアント7のセンス又はアンチセンス鎖に相補的であるヌクレオチド配列を意味する。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、配列表の配列番号1に示されるDNA配列に又は配列番号1に示される配列の相補的DNA配列
に相補的であ
る。オリゴヌクレオチド配列はまた、配列番号1に示されるDNA配列
と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%
又は99%の同一性を持つDNA
配列、又は
、配列番
号2に示される配列
と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%
又は99%の同一性を持つアミノ酸配列
をコードするDNA配列
に相補的で
もあ
る。
【0088】
オリゴヌクレオチドは、当業者に知られた、配列番号1又はその相補鎖からの
いかなる適切な長さ及び配列
も有することができる。通常オリゴヌクレオチドは、長さ8から60ヌクレオチド、好ましくは10
から35
ヌクレオチド、より好ましくは長さが11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32
又は33ヌクレオチドのものである。PDE4D7発現生成物に特異的
なオリゴヌクレオチド配列は、当業者に知られたソフトウェア
ツールを用いて定めることができる。
【0089】
本発明のさらなる実施態様で、オリゴヌクレオチド配列は、PDE4D7遺伝子のエクソン1又
はエクソン2に局在する配列、PDE4D7遺伝子のエクソン1及びエクソン2の境界に局在する配列
、又は
、PDE4D7遺伝
子のエクソン2
のみに局在する配列、好ましくは
、PDE4D7の
ひと続きの271ユニークヌクレオチ
ド、即ちPDE4Dのエクソン1の3’末端での42ヌクレオチドとエクソン2の5’末端
での229ヌクレオチド
に相補的であり得
る。例えば、フォワードプライマーとして使用可能なオリゴヌクレオチドはPDE4D7遺伝子のエクソン1及びエクソン2の間の
境界に局在され、リバースプライマ
ーとして使用可能なオリゴヌクレオチドはPDE4D7遺伝子のエクソン2に局在され得る。
【0090】
本発明の好ましい実施態様において、
上記オリゴヌクレオチドの
セットは
、配列番号3及び4に記載された配列を持つ。さらに好ましくは
、配列番号7及び
/又は配列番号8に記載され
た配列を有するか又は含むオリゴヌクレオチドである。
【0091】
本明細書において使用される場合、用語「PDE4D7発現生成物に特異的
なプローブ」とは、PDE4
Dのスプライスバリアント7のセンス又はアンチセンス鎖に相補的なヌクレオチド配列を意味する。好ましくは、このプローブは配列番
号1に示されるDNA配列又は配列番
号1で示される配列の相補的DNA配列に相補的であ
る。このプローブ
配列はまた、配列番
号1の配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるDNA配列
、又は
、配列番号2の配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列
をコードするDNA配列
に相補的であり得
る。
【0092】
このプローブは、配列番号1
に記載の配列又はその相補物の配列から導かれ得るものとして
、当業者に知られる
いかなる適切な長さ及び配列
も持ち得る。通常プローブは6から300ヌクレオチド
の長さを持
ち得る。好ましくは15から60ヌクレオチドの
長さであり、より好ましくは20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチド
の長さである。PDE4D7発現生成物に特異的なプローブ配列は、当業者に知られるソフトウェア
ツールを利用して定めることができる。
【0093】
本発明のさらなる実施態様で、プローブ配列は、PDE4D7遺伝子のエクソン1又はエクソン2に局在する配列、好ましくはPDE4D7の
ひと続きの271ユニークヌクレオチ
ド、即ちPDE4Dのエクソン1の3’末端での42ヌクレオチドとエクソン2の5’末端
での229ヌクレオチド
に相補的であり得
る。このプローブは、
例えばリアルタイムPCR等の定量的PCR反応に対して使用されることになる場合、フォワード及びリバースプライマーの結合位
置間の位置に局在されるように設計され得る。好ましくは、この
プローブは、プライマーオリゴヌクレオチドの一つの近傍に局在されるように設計され得る。より好ましくは、この
プローブはフォワードプライマーの近傍に局在され得る。
【0094】
本発明の好ましい実施態様において、このプローブは配列番号5又は配列番号9に記載の配列を持つ。
【0095】
本発明の組成物は、さらに又は代えて、PDE4D7発現生成物又はタンパク質に特異的なアプタマーを含む。
本明細書において使用される場合、用語「
PDE4D7発現生成物に特異的なアプタマー」とは、短い核酸分子
、例えば、RNA、DNA、PNA、CNA、HNA、LNA又はANA又は
当業者には知られたいかなる他の
適した核酸形であり
、PDE4D
スプライスバリアント7に特異的に結合することが
できるものであり、好ましくはPDE4Dの
スプライスバリアント7から導かれるDNA分子を意味する。さらに好ましくは、核酸アプタマー分子は
、配列番号1に記載のDNA配列又はその二重鎖
の類似体に特異的に結合する
ことができるものである。本発明
による核酸アプタマーはまた、PDE4D7転写物に対応するRNA、好ましくは、配列番号1に記載のDNA配列に
対応するRNA分子
に結合し得るものである。
【0096】
核酸アプタマーは
、さらに
、配列番号1に記載の配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるDNA配列と特異的に結合可能であり、又は
、配列番号2に記載の配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列
をコードするDNA配列と特異的に結合可能であり、又はこれらのDNA
配列に対応するRNA分子と特異的に結合可能であ
る。
【0097】
PDE4Dの
スプライスバリアント7
に対する核酸アプタマーの特異性は、その
スプライスバリアントにのみ存在する配列に特異的に結合することで与えられ
てもよく、例えば、PDE4Dのエクソン2
、又は
、エクソン1及びエクソン2の境界に存在する配列である。本発明の具体的な実施態様では
、PDE4Dの
スプライスバリアント7
に対する核酸アプタマーの特異性は、PDE4D7の
ひと続きの271ユニークヌクレオチド内に局在する配列に特異的に結合することで与えられ
てもよい。即ちPDE4Dのエクソン
1の3’末端の42ヌクレオチド及び
エクソン2の5’末端
の229ヌクレオチドである。核酸アプタマーは、当業者に知られた
いかなる適した方法によ
っても生成され得る。例えば、インビトロ選択又はSELEX方法による。好ましくは、核酸アプタマーは、Ellington及びSzostakの1990、Nature、346:818−822により与えられるガイダンスに基づいて生成及び/又は設計され得る。本発明による核酸アプタマーはさらに、追加の
部分と組み合わされてもよい。例えば、ビオチン又は
リボザイム要素などの酵素的機能などの相互作用部分
と組み合わされてもよい。
【0098】
本明細書において使用される場合、用語「PDE4D7タンパク質に特異的なアプタマー」とは、PDE4D7タンパク質
と相互作用し
且つ特異的に結合
し得る短いペプチドを意味する。ペプチドアプタマーは好ましくは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質又はポリペプチドに特異的に結合し得るものである。ペプチドアプタマーはまた、配列番号1に記載の配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のDNA配列によ
りコードされるアミノ酸配列を含むタンパク質又はポリペプチ
ド、又は
、配列番号2に記載の配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を含むタンパク質又はポリペプチドと特異的に結合し得るものである。通常ペプチドアプタマーは可変のポリペプチドループであり、例えば10から20
のアミノ酸
を含む。本発明に
関連して、ペプチドアプタマーは好ましくは、
1つ又は両方の末端にて足場構
造に付加され得
る。足場構造は、
いかなる分子、好ましくはタンパク質であって
もよく、優れた溶解性を有するものである。適切な足
場分子は当業者に知られているものである。本発明
に関連して使用されることになる好ましい足
場分子は、バクテリアタンパク質チオレドキシンAである。このアプタマーペプチドループは好ましくはこの足
場分子の
還元活性
部位内に挿入され得る。又は、スタフィロコッカスタンパク質A及びそのドメイン及びそれらのドメインの誘導体(タンパク質Z又はリポカリンなど
)が、本発明
に関連して足場構造として使用され得る。
【0099】
ペプチドアプタマーは、当業者に知られた
いかなる適切な方法で
も生成され得る。例えば、酵母ツーハイブリッド法により可能である。
【0100】
本発明の他の好ましい実施態様において、
上記組成物は、PDE4D7タンパク質に特異的
な抗体を含むか又はさらに含んでよい。好ましくはモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である。また好ましくは、抗体変異体又は断片であって、例えば、単鎖抗体、二重
特異性抗体、
低分子化抗体、モノクローナ
ルPDE4D7特異
的抗体に基づく単鎖Fv断片(sc(Fv))、Sc(Fv)
2抗体、Fab断片又はF(ab’)
2断片、小モジュラー免疫医薬(SMIP)、結合領域免疫グロブリン融合タンパク質、
ラクダ化抗体、V
HH含有抗体などが挙げられる。
抗体は、一価、二価、三価又は多価であってもよい。抗体は、例えばマウス、ヒト若しくはキメラ、又は、ヒト化マウスの抗体等、いかなる起源のものであってもよい。本発明の特定の実施態様において、NB−300−652(Novus Biologicals,Inc.)又はGTX14629(GeneTex,Inc.)のような市販の抗PDE4D7抗体が、当該組成物に含まれてもよく、又は、診断上で使用されてもよい。
【0101】
抗体は、当業者に知られた
いかなる適切
な方法で
も製造され得る。ポリクローナル抗体は
、選択された抗原を用いて
動物を免疫化することによって製造することができる。また
、定められた特異性を持つモノクローナル抗体は、例えばKoehler及びMilsteinによ
って開発されたハイブリドーマ技術(Koehler及びMilstein、1976、Eur.J.Immunol、6:511−519)を用いて製造することができる。
【0102】
本明細書において上で定められたように、親和性リガンドは、種々のマーカーでラベ
ルされ
てもよく、
又は、種々のマーカーでラベ
ルされた第二の親和性リガンドにより検出され
て、
検出、可視
化及び/又は定量化
を可能にし得る。これは、
いかなる適切なラベルを用いて
も達成可能であり、このラベルは、PDE4D7発現生成物又はPDE4D7タンパク質と相互作用可能な親和性リガンドと共役され、
又は、いかなる第二の親和性リガンドと当業者に知られた
いかなる適切な技術及び方法
も使用して共役され
得る。用語「第二の親和性リガンド」とは、
本明細書において上で定められた親和性リガンド(即ち、2つの相互作用
親和性リガンドを
用いたシステム
に関連して使用される場合では「第一の親和性リガンド」である)に結合可能な分子を意味する。結合
相互作用は好ましくは特異的結合である。
【0103】
第一の及び/又は第二の親和性リガンドへ共役可能なラベルの例には、蛍光色素又は金属(例えば、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリ
トリン、フルオレスカミン)、
発色団色素(例えば、ロドプシン)、化学発光化合物(例えば、ルミ
ナール、イミダゾール)及び生物発光タンパク質(例えば、ルシフェリン、ルシフェラーゼ)、ハプテン(例えば、ビオチン)が挙げられる。
【0104】
特に好ましい実施態様では、
本明細書において上で定められたプローブ、特にPDE4D7発現生成物に特異的
なプローブとして使用される
ことになる親和性リガンドは、6−FAM、HEX、TET、ROX、Cy3、Cy5、テキサスレッド又はローダミンなどの蛍光ラベルでラベ
ルされ
、及び/又は
、同時に
、TAMRA、Dabcyl、Black Hole Quencher、BHQ−1又はBHQ−2などの消光ラベルでラベ
ルされ得る。
種々の他の有用な蛍光及び発色剤についてはStryerの1968、Science、162:526−533に記載されている。親和性リガンドは
、また
、酵
素(例えば、
西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータラクタマーゼ)、放射性同位体(例えば、
3H、
14C、
32P、
33P、
35S、
125I、
11C、
13N、
15O、
18F、
64Cu、
62Cu、
124I、
76Br、
82Rb、
68Ga又は
18F)又は粒子(例えば金)
でラベルされ得る。
【0105】
異なるタイプのラベルは、
例えば、アミン反応又はチオール反応などの種々
の化学
を用いて親和性リガンドと共役され得る
。しかし、アミ
ンやチオ
ール以外の他の反応基もまた使用可能であり、例えばアルデヒド、カルボン酸及びグルタミンが挙げられる。
【0106】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の核酸親和性リガンド又はペプチド親和性リガンドは造影剤とし
て機能
するように変更され得る。
【0107】
本明細書において使用される場合、用語「造影剤」とは、PDE4D7マーカーと特異的に相互作用可能な分子化合物であり、人又は動物の体外に設けられる装置で検出され得るものを意味する。好ましくは、かかる造影剤は磁気共鳴イメージング(MRI)又は磁気光
子イメージング(MPI)での使用に適するものである。用語「特異的に相互作用する」とは、人又は動物の体内に存在する細
胞表面のPDE4D7マーカーと、その細胞で発現される他のタンパク質とよりも優位に相互作用し得る分子化合物の性質を意味する。造影剤組成物として
も用いられ
得る好ましい造影剤は、
本明細書において上で定められた配列番号1のヌクレオチド配列、配列番号2のアミノ酸配列、又はそれらの誘導体
若しくは類似変異体を持つ分子を特異的に検出することができ
る。好ましくは、造影剤は
、本明細書において上で定められたPDE4D7発現生成物又はPDE4D7タンパク質に特
異的
なアプタマーであり、また
、本明細書において上で定められたPDE4D7タンパク質に特異的な抗体である。
【0108】
PDE4D7マーカーを特異的に認識することができるこれらの性質とは別に、造影剤は通常さらに、使用される
特異的検出技術により検出され得る
さらなる分子を
含む。
本明細書において使用される場合、用語「機能
するよう変更される」とは、
従って、当業者に知られた
いかなる適切
な変更であり、分子イメージング方法(特にMRI又はMPI)での造影剤
の使用
を可能にするために必要な変更
を意味する。例えば、蛍光
分光法を検出手段として用いる場合には、このような分子は検出可能なマーカー分子として蛍光体を含
んでもよく、特定の波長で励起され
得るものである。
又は、放
射活性ラベル
、例えば、
本明細書において上で定められた放射性同位
体が適用され得る。MRIに適した本発明による好ましい造影剤については、
上記抗体などの造影剤は、MRIで検出され得るマーカー分子
を含
んでもよい。そのような検出可能なラベルは、例えば、USPIOS及び
19Fluorを含む。
【0109】
本発明の具体的な実施態様では、組成物はさらに付属成分を含
んでもよく、例えば、PCRバッファ、dNTP、ポリメラーゼ、二価カチオン又は一価カチオンなどのイオン、ハイブリダイゼーション溶液、第二の親和性リガンド(例えば、第二の抗体)、検出色素及び
いかなる他の適切な
化合物又は
液体(当業者に知られた、
本明細書において上で定められた親和性リガンド又は造影剤
のいずれかに基づく検出を実施するために必要な
もの)などが挙げられる。
【0110】
他の側面において
、本発明は
、本明細書において上で定められたPDE4D7発現生成物又はタンパク質
に対する核酸又はペプチド親和性リガンド
の、
本明細書において上で定められた個人の前立腺癌又は前立腺癌の進展
又は前立腺癌の
素因を診断、検出、モニター又は予見するための
組成物の調製における使用に関する。
【0111】
好ましい実施態様では本発明は、
本明細書において上で定められたPDE4D7発現生成物
に特異的
なオリゴヌクレオチド
のセット及び/又はPDE4D7発現生成物
に特異的
なプローブ
の、
本明細書において上で定められた個人の前立腺癌又は前立腺癌の進展
又は前立腺癌の
素因を診断、検出、モニター又は予見するための組成物
の調製における使用に関する。他の好ましい実施態様において
、本発明は、
本明細書において上で定められたPDE4D7発現生成物
又はタンパク質に特異的
なアプタマー
の、
本明細書において上で定められた個人の前立腺癌又は前立腺癌の進展、
又は前立腺癌の
素因を診断、検出、モニター又は予見するための組成物
の調製における使用に関する。
【0112】
さらなる好ましい実施態様において本発明は、
本明細書において上で定められたPDE4D7
タンパク質に特異的
な抗体又はPDE4D7タンパク質
に特異的
な抗体変異体
の、
本明細書において上で定められた個人の前立腺癌又は前立腺癌の進展
又は前立腺癌の
素因を診断、検出、モニター又は予見するための組成物
の調製における使用に関する。
【0113】
本発明の好ましい実施態様において
、本明細書において上で定められた組成物は診断用組成物である。
【0114】
他の側面において本発明は、前立腺癌又は前立腺癌の進展
又は前立腺癌の
素因を
検出、診断
、モニター又は予見するための診断キットに関する。このキットは
、PDE4D7発現生成物に特異的
なオリゴヌクレオチド
のセット、及び/又は
、PDE4D7発現生成物に特異的
なプローブ
、及び/又は
、PDE4D7発現生成物又はタンパク質に特異的
なアプタマー
、及び/又は
、PDE4D7タンパク質に特異的
な抗体
、及び
、PDE4D7タンパク質に特異的
な抗体変異体を含む。
【0115】
通常本発明の診断キットは、
本明細書において上で定められたPDE4D7の特異的検出を可能とする一つ
又はそれ以上の試薬を含む。診断キットの試薬又は成分は、本発明によれば、一つ
又はそれ以上の容器又は別々の物
に含まれ得る。試薬の性質はキットが意図する検出方法によ
って決定される。PDE4D7mRNA
の発現レベル
での
(即ちPDE4D7発現生成物を介した)検出が意図される場合、この含まれる
ことになる試薬は
、本明細書において上で定められたPDE4D7発現生成物
に特異的
なオリゴヌクレオチド
のセット、及び/又は
、PDE4D7発現生成物
に特異的
なプローブであ
ってもよく、これらは場合により
、例えば本明細書において上で定められたラベルを用いて、当技術分野で知られた方法でラベ
ルされて
もよい。さらに又はこれに代えて、PDE4D7発現生成物
に特異的
なアプタマーが含まれ得る。PDE4D7タンパク質レベル
にて検出することが意図される場合、含まれる
ことになる試薬は、
本明細書において上で定められたPDE4D7タンパク質に特異的な抗体又は抗体変異体の抗原結合断片を含む
抗体又は化合物であってもよい。さらに又はこれに代えて、PDE4D7タンパク質
に特異的
なアプタマーを含むこともできる。
或いは、診断キットが、本明細書において上で定められた造影剤を含んでもよい。
【0116】
特異的タンパク質の存在はまた、PDE4D7と特異的に相互作用する他の化合物(例えば
特異的基質又はリガンド)を用いて検出され得る。
【0117】
好ましくは、本発明の診断キットは、PDE4D7発現生成物又はPDE4D7タンパク質
に対する検出試薬を含む。この試薬は
、例えば、
バッファ溶液、ラベル又は洗浄液等を含む。さらに、キットは、ある量の既
知の核酸分子又はタンパク質を含み、キットの較正
のため又は内部
制御として使用され
得る。通常、PDE4D7発現生成物
の検出
に対する診断キットは、付属成分を含
んでもよく、例えば、PCRバッファ、dNTP、ポリメラーゼ、二価カチオン又は一価カチオンなどのイオン、ハイブリダイゼーション溶液などである。PDE4D7タンパク質
の検出
に対する診断キット
もまた、
第二の親和性リガンドのような付属の成分を含
んでもよく、例えば、第二の抗体、検出色素及び
いかなる他の適切な
化合物又は
液体(当業者に知られた
、タンパク質検出を実施するために必要な
もの)などが挙げられる。かかる成分は当業者に知られており、実施される検出方法に
応じて変わり得る。さらに、このキッ
トは指示書
を含んでもよく、及び/又は
、得られる結果の関連性に関する情報
を提供
してもよい。
【0118】
他の側面において本発明は、
個人の前立腺癌又は前立腺癌の進展を
検出、診断、モニター又は予見するための方法に関し、少なくとも、サンプル中のPDE4D7
のレベルを決定するステップを含む。
用語「PDE4D7
のレベルを決定する」とは、PDE4D7発現生成物(例えば、
1つ又は複数のPDE4D7転写物)の存在又は量を決定すること、
並びに/或いは、1つ又は複数のPDE4D7タンパク質の存在
及び/又は量を決定することを意味する。
用語「PDE4D7のレベル」とは、従って、PDE4D7発現生成物(例えば、1つ又は複数のPDE4D7転写物)の存在又は量、及び/又は、1つ又は複数のPDE4D7タンパク質の存在又は量の決定を意味する。PDE4D7発現生成物
(例えば、1つ又は複数のPDE4D7転写物)或いは1つ又は複数のPDE4D7タンパク質の存在又は量を決定することは
、当技術分野で知られた
いかなる方法を用い
ても達成することができる。
【0119】
本発明の好ましい実施態様では、PDE4D7発現生成物(例えば、
1つ又は複数のPDE4D7転写物)
、並びに/或いは、1つ又は複数のPDE4D7タンパク質の存在
又は量の決定は、核酸又はタンパク質レベルの
測定により、又は
、PDE4D7の生物活性の決定により達成さ
れる。従って
、1つ又は複数のPDE4D7発現レベルは、PDE4D7遺伝子によ
りコードされるmRNAの検出、PDE4D7転写物によ
りコードされるPDE4D7タンパク質
の検出、及び/又は
、PDE4D7タンパク質の生物活性の検出を含む方法により決定され得る。
【0120】
例えば、PDE4D7発現の核酸レベルの測定は
、アガロース又はポリアクリルアミドゲル
においてサンプルから得られる核酸分子(例えば、RNA又はcDNA)を分離し、続いて
、本明細書において上で定められたPDE4D7特異的オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせることで評価され得る。
又は、発現レベルは、サンプルから得られた核酸をラベ
ルし、続いて
、配列決定ゲル
上で分離することで決定され得る。核酸サンプルをゲル上に、患
者及びコントロール又は標準
の核酸
が隣接したレーンにあるように置
いてもよい。発現レベルの比較は視覚的又はデンシトメータにより達成され得る。mRNA又は発現生成物の検出方法は当業者に知られている。通常はノーザンブロット分析がこの目的で使用され
得る。
【0121】
又は、PDE4D7発現の核酸レベルは、DNAアレイ又はマイクロアレイ方法で検出され得る。通常、試験されるべき対
象からの核酸サンプルは処理されて
、好ましくは蛍光ラベル
でラベルされる。その後かかる核酸分子は、本発明のPDE4D
7マーカー
遺伝子又は知られたバイオマーカー又は癌マーカー遺伝子に
対応する固定化キャプチャプローブと
のハイブリダイズ処理方法で使用され得る。マイクロアレイ分析を実施するため
の適切な方法は当業者に知られている。
【0122】
標準の設定では、DNAアレイ又はマイクロアレイは、
多くの遺伝子を検出する固定化高密度プローブを含む。このアレイ上のプローブはマーカー遺伝子の配列の一以上の部分
に相補的であるか、
又は、マーカー遺伝子の全コード
領域に相補的である。本発明では、ポリヌクレオチドがPDE4D7発現と他の遺伝子の発現とを
特異的に区別することができる限り、
いかなるタイプのPDE4D7
関連ポリヌクレオチドも、DNAアレイ
に対するプローブとして使用され得る。通常、cDNA、PCR生成物及びオリゴヌクレオチドがプローブとして有用である。好ましくは、PDE4Dの
スプライスバリアント7の特異的部分を含むプローブがプローブとして使用され得る。PDE4D7発現の決定に加えてまた、他の遺伝
子(例えば、
さらなるバイオマーカー又は癌マーカー
遺伝子)
の発現の決定も遂行され得る。
【0123】
DNAアレイ又はマイクロアレイに基づく検出方法は通
常、次のステップを含む:(1)サンプルからmRNAを単離し
、場合によりmRNAをcDNAへ変換し、続いてこのRNA又はcDNAをラベ
ルする
ステップ。RNA
を単離
する方法、それをcDNAへ変換する方法、さらに核酸をラベ
ルする方法はマイクロアレイ技術の手順書に記載されている。(2)ステップ1からの核酸をマーカー遺伝子
に対するプローブとハイブリダイズさせる
ステップ。サンプルからの核酸は色素
(例えば、蛍光色素Cy3(赤)又はCy5(青))でラベ
ルされ得る。一般的に、コントロールサンプル
が異なる色素でラベ
ルされる。(3)サンプルからの核酸とプローブとのハイブリダイ
ゼーションを検出し、少なくとも定性的に、より好ましくは定量的に、PDE4D7及び/又は追加の試験されるマーカー遺伝子についてサンプル中のmRNA
の量を決定する
ステップ。サンプル
とコントロールとの発現
レベルの差は
、シグナル強度の違い
に基づき推定され得る。これらは
、適切な、しかし限定されるものではないソフトウェア(例えばAffymetrixから提供される)を用いて測定及び分析することができる。
【0124】
DNAアレイ上にスポットされる、使用されるマーカー遺伝子
に対応するプローブの数には制限はない。また、マーカー遺伝子は2つ又はそれ以上のプローブで表わ
すことができ、このプローブは遺伝子の異なる部分
とハイブリダイズする。プローブは、選択されたマーカー遺伝子につき設計される。このプローブは通
常、5
〜50ヌクレオチド残基を
含むオリゴヌクレオチドである。
より長いDNAを、PCRによって又は化学的に合成することができる。そのようなオリゴヌクレオチドを合成する及び基板上に加える方法は、マイクロアレイの分野においてよく知られている。マーカー遺伝子以外の遺伝子もまた、DNAアレイにスポットされ得る。例えば、その発現レベルが大きく変化しない遺伝子
に対するプローブ
をDNAアレイにスポットしてアッセイ結果を
基準化するか、又は、複数のアッセイ
若しくは異なるアッセイの
アッセイ結果を比較することができる。
【0125】
又は、PDE4D7発現の核酸レベルは、定量的RT−PCR方法、好ましくはPDE4D7mRNA転写物の逆転写に続くリアルタイムPCR方法で
検出されてもよい。通常は、第一のステップとして、当業者に知られる
いかなる適切な方法に
よっても転写物
はcDNA分子へ逆転写
される。定量的又はリアルタイムPCR方法は
、続いて
、上で説明したように得られた第一のDNA鎖に基づいて実施され得る。
【0126】
好ましくは、
このタイプの主要なFRETに基づくプローブとして
のTaqman又は分子ビーコンプローブが定量的PCR検出のために使用され得る。どちらの場合でも、プローブ、好ましくは
本明細書において上で定められたPDE4D7プローブが
、内部プローブとして
役立ち、これは
、関心ある標的領域に
隣接する一組の対向プライマー、好ましくは
本明細書において上で定められたPDE4D7オリゴヌクレオチドのセットと
組み合わせて使用される。
標的セグメントが増幅されると、プローブは
、選択的にその生成物にプライマー
部位間の
同定配列にて結合
することができ、それにより
標的の頻度の増加に相対してFRETシグナル
を増加させる。
【0127】
好ましくは、本発明による定量的PCR方法に使用される
ことになるTaqmanプローブは、FRET対を持つ両末端がラベ
ルされる約22から30塩基の
上記のPDE4D7オリゴヌクレオチドを含
んでもよい。通常
、5’末端がフルオレセイン(例えばFAM)などのより短
い波長
の蛍光体を持ち、および3’末端は
、一般的には、より長
い波長の蛍光消光体(例えばTAMRA)又は非蛍光消光化合物(例えばBlack Hole Quencher)
でラベルされる。好ましくは、定量的PCRのために使用される
ことになるプローブ、特に
、本明細書において上で定められたPDE4D7プローブは、レポータ色素に隣接する5’末端に
てグアニン(G)を持たないものであり、これはプローブが分解した後
のレポータ蛍光の消光を
回避するためである。
【0128】
本発明による定量的PCR方法に使用される
ことになる分子ビーコンプローブは好ましくは、PCR生成物を検出し定量化するためにFRET相互作用を用い
る。これは
、5’末端
が蛍光ラベ
ルされ
、3’末端
が消光ラベ
ルされている
各プローブとの相互作用である。このプローブのヘアピン又は幹ループ構造は
、好ましくは
、2つの短い自己結合末端を持つ幹と、約20から30塩基の
長い内部
標的特異的領域を持つループを含むものである。
【0129】
本発明
に関連して適用され得る
別の検出メカニズムは、ループ構造のみを持ち短い相補的幹領域を持た
ずに作製されたプローブへも向けられる。本発明に
関連して使用可能で
もある、他のFRET系定量的PCR方法は、2つのハイブリダイ
ゼーションプローブの使用に基づくものであり、これは
、標的上の隣接する
部位に結合し、第一のプローブがその3’末端に
て蛍光ドナーラベルを持ち、第二のプローブがその5’末端に
て蛍光アクセプタラベルを持つものである。
【0130】
PDE4D7タンパク質又はその
いかなる断片、
相同体又は誘導体のタンパク質レベルの測定は、当技術分野で知られて
いる
いかなる適切な検出技術
を介しても実施され得る。好ましくは、PDE4D7
及びその誘導体のタンパク質レベルは、免疫
学的に
決定され得る。例えば、PDE4D7タンパク質に特異的
な抗体、好ましくは
本明細書において上で記載された抗体を用いて決定され得る。又は
、本明細書において上で定められた抗体
変異体又は断片が使用され得る。本発明はまた、
本明細書において上で定義されるPDE4D7タンパク質
に特異的
なアプタマーなどのペプチド親和性リガンドの使用を
構想する。
【0131】
PDE4D7タンパク質
のタンパク質レベルの
決定は、例えば
、ポリアクリルアミドゲル上で
サンプルからタンパク質を分離し、続い
てウェスタンブロット分析で特異的に結合する抗体を用いてPDE4D7タンパク質の同定を行う
ことによって達成することができる。又は、タンパク質は2次元ゲル電気泳動システムで分離され得る。2次元ゲル電気泳動は当技術分野でよく知られており、通常
、第一の次元に沿って等電点電気泳動
を行い、続いて第二の次元に沿ってSDS−PAGE電気泳動を行うものである。2DSDS−PAGEゲルの分析は
、ゲル上のタンパク質スポットの強度を決定することによって実施され得るか、又は、免疫検出方法を用いて実施され得る。他の実施態様では、タンパク質サンプルは質量
分析により分析される。
【0132】
本発明に
関連して、PDE4D7特異的抗体は
、支持体上に設けられて固定化され得る。分析
されることになるサンプル又は組織から得られるタンパク質は
、後に、上記抗体と混合され
得る。検出反応が次に
、例えば、
本明細書において上で定められた第二の親和性リガンド、好ましくは特異的抗体を用いて実施され
てもよい。
【0133】
本発明
に関連して使用可能な、特に本発明の診断目的で使用できる免疫
学的試験は、例えば、
競合的及び非
競合的
なアッセイシステム
を含み、例えば、ウェスタンブロット、RIA(ラジオリンク免疫アッセイ)などのラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素
結合免疫
吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、
免疫沈殿アッセイ、沈降反応、ゲル
拡散沈降反応、
免疫拡散アッセイ、
凝集アッセイ(例えば、ラテックス
凝集)、補体結合アッセイ、
免疫放射線測定アッセイ、蛍光免疫アッセイ(例えば、FIA(蛍光リンクイムノアッセイ)
)、化学ルミネッセンスイムノアッセイ、電気化学ルミネッセンスイムノアッセイ(ECLIA)及びタンパク質Aイムノアッセイなどの技術を用いたアッセイシステムが挙げられる。このようなアッセイは
ルーチン的な技術であり当業者に
よく知られている技術である。
【0134】
さらに、
抗原への
抗体の結合親和性及び抗原−抗体相互作用の
オフレートは、
競合結合アッセイにより決定され
得る。
競合結合アッセイの
一例はラジオイムノアッセイであり、ラベル
された抗原(例えば、
3H又は
125I)を適切な抗体と、ラベ
ルされていない多量の抗原と共にインキュベートし、ラベ
ルされた抗原へ結合する抗体を検出すること
を含む。
関心のある抗体の
特定の抗原に対する親和性及び結合の
オフレートは、
いかなる適切
な分析方法によ
ってもデータから決定され得る。例えば、ス
キャッチャードプロット分析が挙げられる。第二の
抗体との
競合はまた、ラジオイムノアッセイを用いて決定され得る。この場合には抗原は、ラベル
された化合物(例えば、
3H、
125I)に共役する適切な抗体と、ラベ
ルされていない多量の
第二の抗体
の存在下でインキュベートされ得る。
【0135】
さらに、PDE4D7タンパク質に特異的
なアプタマー、好ましくは
本明細書において上で定義されたアプタマーが、PDE4D7タンパク質の検出方法で使用され得る。かかるアプタマーは好ましくは、タンパク質−リガンド相互作用の検出を可能とするようにラベ
ルされ
得る。
【0136】
PDE4D7の生物活性の決定は、PDE4D7
の対応する
1つ又は複数の機能に特異的な分子又は酵素アッセイを適用して実施され得る。好ましくは、ホスホジエステラーゼによるcAMPの変換に基づく読み出しシステムが使用され得る。適切な技術は当業者に知られている。さらなる好ましい実施態様では、PDE4D7の生物活性を
決定するためのアッセイは、他のPDE4Dスプライス
バリアント、他のPDE4イソ型及び/又は他のPDE、好ましくはcAMPの変換を行うことができる他のPDEなど
の活性の抑制との組み合わせで実施され得る。そのような活性
の抑制は当業者に知られる
いかなる適切な方法で
も実施され得る。好ましくは、適切なアンチセンスヌクレオチド、siRNA分子又はmiRNA分子
の使用を介して、より好ましくは特異的にハイブリダイズするアンチセンスヌクレオチド、特異的siRNA又はmiRNA分子
の使用を介して実施され得る。
【0137】
さらに好ましい実施態様では、PDE4D7
の生物活性は、
特異的なPDE4D7インヒビターを用いて試験され得る。かかるインヒビターの使用は、例えば、cAMP
基質の変換に基づく読み出しシステムと組み合わせられ得る。通常
、使用される
ことになるPDE4D7インヒビターはアンチセンス分子、siRNA分子又はmiRNA分子
を含む。
【0138】
PDE4D7の
レベルはまた、組織学的又は細胞生物学的手順を含む方法で検出され得る。通常、可視
化技術
、例えば、光学顕微鏡又は免疫蛍光顕微鏡、さらにフローサイトメトリー又はルミノメトリーなどが使用され得る。細胞のPDE4D7タンパク質の存在は、例えば、
本明細書において上で定められたサンプルから試験される
ことになる細胞を除去することで検出
又は決定され得る。
組織切片又は生検サンプルも、これらの方法に使用され得る。その後、PDE4D7
に対する親和性リガンド
が適用され
得る。好ましくは、抗体又はアプタマーである。通常
、かかる親和性リガンドはラベ
ルされ、好ましくは
、本明細書において上で定められた蛍光ラベル
でラベルさ
れる。かかる手順により、PDE4D7を定量的に検出することを可能としさらに、その分布や発現の相対レベルを決定することができる。
【0139】
そのような手順は、可視化方法の使用を含む。適切な可視化
方法は当業者に知られている。通常
、使用される
ことになる方法は、蛍光測定、発光測定及び/又は酵素技術を含む。蛍光は通常、蛍光ラベルを特定の波長の光
に曝露して、その後
、放出された特定の波長
の光を検出及び/又は定量
化することによって、検出及び/又は定量化される。発光タグ付き親和性リガンドの存在は、化学反応の際に出てくる光
によって検
出及び
/又は定量
化することができる。酵素反応の検出は化学反応により生じる
サンプル中の色のシフトによるものである。
【0140】
さらに好ましい実施態様では、PDE4D7
のレベルは
、適切な分子イメージング技術により
決定され得る。例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)又は磁気光
子イメージング(MPI)
を用いて、及び/又は
、適切な造影剤
、例えば、
本明細書において上で定義された造影剤を用いて決定され得る。
【0141】
さらに
好ましい実施態様では、本発明の前立腺癌又は前立腺癌の進展の検出、診断、モニタ
リング又は予見のための方法は、測定された
核酸若しくはタンパク質レベル又は測定された生物活性をコントロールレベルと比較する追加のステップを含む。
本明細書において使用される場合、用語「コントロールレベル」とは、
本明細書において上で定められたPDE4D7マーカー又は他の適切なマーカー(癌性コントロール又は非癌性コントロー
ル)の発現を意味する。コントロールレベルの状態、性質、量及び条件は必要に応じて
調整されてもよい。好ましくは、非癌性コントロールレベルが使用され得る。
本明細書において使用される場合、用語「比較する」とは、データ
を査定、計算、評価
又は処理するいかなる適した方法も意味する。
【0142】
さらに他の実施態様で
は、さらなる追加のステップとして、上記比較するステップの結果に基づいて、前立腺
癌又は前立腺癌の進展
の存在若しくは状態を決定する
ことを含む。前立腺癌マーカーとして
のPDE4D7に
関連して本明細書において上で提供された対応する
定義に従った上記の方法で、前立腺癌は診
断又は予見され
てもよく、
又は、前立腺癌の進展が診
断又は予見され
てもよい。
【0143】
他の実施態様において、本発明は、前立腺癌又は前立腺癌の進展の検出、診断、モニタ
リング又は予見のための方法に関し、この方法は少なくとも次のステップ:
(a)
PDE4D7発現生成物又はPDE4D7タンパク質の発現について、少なくとも
一人の前立腺癌の疑いのある個人から
得られた少なくともひとつのサンプ
ルを試験するステップ;
(b)
PDE4D7発現生成物又はPDE4D7タンパク質の発現について、少なくとも
一人の癌を患っていない個人から
得られた少なくともひとつの
コントロールサンプ
ルを試験するステップ;
(c)ステップ(a)及び(b)の発現における差を決定
するステップ;及び
(d)ステップ(c)で得られた結果に基づき、前立腺癌又は前立腺癌の進展の存在
若しくは段階につき判断するステップ
;
を含む。
【0144】
ひとつの実施態様において、
この診断
の方法のステップ(a)、(b)、(c)及び/又は(d)は、人又は動物の体外で実施され得る。例えば、患者又は個人から得られたサンプル
内で行
われ得る。
【0145】
他の側面において本発明は、ホルモン抵抗性前立腺癌についての、
又は、ホルモン抵抗性前立腺癌
に向かう進展
についての診断、モニタ
リング又は予見のための方法に関し、
上記方法はホルモン感受性及びホルモン抵抗性前立腺癌を区別し、
上記方法は次のステップ:
(a)サンプル中のPDE4D7
のレベルを決定するステップ;
(b)サンプル中の参照遺伝子の発現
のレベルを決定するステップ;
(c)測定されたPDE4D7
の発現レベルを
上記参照遺伝子の発現レベルに
基準化するステップ;
及び、
(d)
上記基準化された発現レベルを、ホルモン感受性前立腺癌を除外するために
選ばれた既定
のカットオフ値と比較するステップ
;
を含
み、
上記カットオフ値未満の
基準化された発現レベルはホルモン抵抗性前立腺癌を示し、
上記カットオフ値は、約1
から7、好ましくは約5である。
【0146】
PDE4D7
のレベルは、
本明細書において上で定められた核酸、タンパク質又
は活性
レベルで決定され得る。好ましくは
、1つ又は複数のPDE4D7転写物及び/又はタンパク質の量の決定である。さらに
、サンプル中の参照遺伝子のレベルが決定され得る。
本明細書において使用される場合、用語「参照遺伝子」とは、
いかなる適した遺伝子であり、例えば、
選択される生物体における、いかなる安定して発現され持続的に検出され得る遺伝子、遺伝子産物、発現産物、タンパク質又
はタンパク質変異体を意味する。この用語はまた、発現されたタンパク質、ペプチド、ポリペプチド
、同様に
、それらの
変異体
等の遺伝子産物をも意味する。本発明は従ってまた、参照遺伝子から誘導された参照タンパク質をも含む。また参照遺伝子からの全ての種類の転写誘導物を
も含み、同様にそれらの誘導物又はそれらのリンクされる二次的パラメータをも含
む。それに代えてまたはそれに加えて、他の参照パラメータもまた、参照目的で使用され得る。例えば、代謝濃度、細胞サイズなどである。
【0147】
発現は
、好ましくは同じサンプルで実施され
てもよく、即ちPDE4D7のレベル及び参照遺伝子のレベルは同じサンプルで決定される。試験
が同じサンプルで実施される場合、
本明細書において記載される単一又は多重検出
方法が実施され得る。好ましくは、
多重検出に対して、配列番号7、8及び9の配列を持つオリゴヌクレオチド及びプローブが使用され得る。多重検出の実施のために
、プライマー及び/又はプローブ
オリゴヌクレオチドの濃度は変更され得る。さらに、バッファ、イオンなどのさらなる成分の濃度及び存在も変更され得る。例えば、製造者の指示内容に比べて増加又は減少させ
られ得る。
【0148】
本発明の具体的な実施態様では、ひとつ以上の参照遺伝子又は安定発現遺伝子の発現
が決定され得る。例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、30以上の参照遺伝子の発現が決定され得る。かかる測定の結果は
、別々に計算されるか、
又は、平均発現インデックスを得るために組み合わされ得る。さらに
、参照遺伝子発現のパターンが決定され
てもよく、及び/又は
、続くステップ
に対する根拠として使用され
てもよい。かかるパターンは
、特定の癌
、特に前立腺癌の
段階又は状態における遺伝子の知られた発現態様に基づくことができる。
【0149】
さらに、発現結果は
、参照
例又はデータベースからのすでに知られた結果と比較することができる。比較はさらに、結果の統計
学的
関連性を改善するために
基準化手順を含
んでもよい。
【0150】
本発明の他の実施態様で、サンプル中の参照遺伝子の発現
のレベルを決定する代わりに、さらなる癌マーカー又は非定常的発現遺伝子の発現が決定されてもよい。例えば、ホルモン抵抗性前立腺癌で減少することが知られている、又はホルモン感受性前立腺癌で増加することが知られている
遺伝子の発現が決定され得る。
【0151】
さらなる実施態様でまた、両方の発現決定が実施されて
もよ
く、即ち参照遺伝子及びさら
なる癌
又はバイオマーカー
の遺伝子
の発現の決定
が実施されてもよい。
【0152】
発現結果は
、当業者に知られる
いかなる適切な方法によ
っても基準化され得る。例えば、標準スコア、スチューデントtテスト、スチューデント化残
差テスト、標準化モーメントテスト又は係数分散テスト
のような基準化統計学的方法などが挙げられる。通常は
、当業者に知られる
そのようなテスト又は対応する式
が使用され、発現データを標準化して、遺伝子発現レベルでの実際の変動
と測定手順による変動とを区別することができる。
【0153】
ステップ(a)及び(b)
で得られる発現結果及び/又はステップ(c)で得られる
基準化結
果に基づいて、PDE4D7発現
に対するカットオフ値との比較が実施され得る。
カットオフ値であって、該値未満のPDE4D7の発現レベルがホルモン抵抗性前立腺癌を指示し、
その結果ホルモン感受性前立腺癌又は腫瘍型を除外する
カットオフ値は、約0.75
から8、0.75
から7.5、0.75
から7、0.75
から6.5、0.75
から6、0.75
から6、0.75
から5.5、0.75
から5.5、1.0
から8、1.25
から8、1.5
から8、1.75
から8、2
から8、2.25
から8、2.5
から8、2.75
から8、3
から8、3.25
から8、3.5
から8、3.75
から8、4
から8、4.25
から8、4.5
から8、4.75
から8
、又は
、5
から8である。より好ましい
カットオフ値は
、約5、例えば、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1又は5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、又は5.1である。特に好ましい
実施態様において、カットオフ値は
、参照遺伝子
としてのハウスキーピング遺伝子
と共に用いるものである。
さらにより好ましくは、上記カットオフ値は、参照遺伝子としてのGAPDH及び/又はPBGDと共に用いるものである。
【0154】
本発明の好ましい実施態様では、
カットオフ値は、
例えば血清又は血漿などの血液サンプル中、
尿サンプル中、又は、尿沈査サンプル中のPDE4D7についての
カットオフ値である。本発明の特に好ましい実施態様では、
カットオフ値は
、尿中での
、本明細書において上で定められたPDE4D7タンパク質又はポリペプチド又は
いかなるその誘導体などについての
カットオフ値である。本発明の他の特に好ましい実施態様では、
カットオフ値は、尿中に含まれる細胞、又は尿中に含まれる細胞から分泌されたエキソソーム
中での、本明細書において上で定められたPDE4D7タンパク質又はポリペプチド又はいかなるその誘導体などについての
カットオフ値である。
本発明のさらにより好ましい実施態様では、カットオフ値は、尿沈査サンプル中での、及び、尿沈査サンプル中に含まれる細胞での、又は、尿沈査サンプル中に含まれる細胞から分泌されたエキソソーム中での、本明細書において上で定められたPDE4D7タンパク質又はポリペプチド又はいかなるその誘導体などについてのカットオフ値である。
【0155】
測定され及び/又は
基準化されたPDE4D7発現が
上記カットオフ値を超える場合には、
個人がホルモン抵抗性前立腺癌には罹っていないことを示すものと判断される。この値はさらに、
個人がホルモン抵抗性前立腺癌以外の前立腺癌
、特にホルモン依存性前立腺癌又はホルモン感受性前立腺癌に罹っていることを意味し得る。
【0156】
他の側面で本発明は、データ取得方法に関し、
上記方法は
少なくとも次のステップ:
(a)PDE4D7の発現
について個人を試験するステップ;及び
(b)ステップ(a)で決定された発現をコントロールレベルと比較するステップ
;
を含む。
【0157】
PDE4D7の発現
に対する試験は、
本明細書において上で記載
されたステップにより実施され得る。好ましくは、試験は
、PDE4D7の核酸又はタンパク質
レベルの測定
として、又は
、PDE4D7の生物活性の決定、より好ましくは、かかる測定
に対して本明細書において上で記載された選択
肢により実施され得る。試験は
、個人で、即ちインビボで、又は
個人の外部即ちエクスビボ又はイン
ビトロで実施され得る。データ取得の方法に
関連して使用される場合、用語「コントロールレベル」とは、
本明細書において上で定められた癌性コントロールマーカー又は非癌性コントロールにおけるPDE4D7マーカー又は他の適切
なマーカーの発現を意味する。このコントロールレベルの
状態、性質、量及び
条件は
、必要に応じて調整され得る。好ましくは、非癌性コントロールレベル
が使用され得る。より好ましくは、ホルモン感受性前立腺癌段階から得られるコントロールレベルが使用され得る。発現レベルをコントロールレベルと比較することは、
データを査定、計
算、評価
又は処理
するいかなる適切な方法に従って実施されてもよく、特に2つのデータセット間の違いを検出する
ことを目的とする。差についての有意
性の統計的評価がさらに行われ
てもよい。適切な統計手法は当業者に知られている。得られたデータ及び情報は
、保
存、蓄積
、又は
、当業者に知られた
適切な情
報学又はコンピュータ方法
若しくはツールで処理され
てもよく、及び/又は
、適切な方法で、技術者がこのデータを
、ひとつ以上の続く
推論又は結論ステップのために用いることができるように提示
することができる。
【0158】
他の側面において、本発明は、前立腺癌又は前立腺癌の進展について検出、診断、モニター又は予見するためのイムノアッセイに関し、
上記イムノアッセイは
少なくとも次のステップ:
(a)PDE4D7
の発
現について個人から得られるサンプルを試験するステップ;
(b)PDE4D7
の発現
についてコントロールサンプルを試験するステップ;
(c)ステップ(a)及びステップ(b)の発現の差を決定するステップ;及び
(d)ステップ(c)で得られる結果に基づいて、前立腺癌又は前立腺癌の進展の存在又は段階を決定するステップ
;
を含む。
イムノアッセイは好ましくは、PDE4D7
に特異的
に結合する抗体
の使用
に基づく。例えば、
本明細書において記載
される一つ以上のPDE4D7
抗体が挙げられる。又は
、イムノアッセイは
、いかなる他の
適した試薬を
用いても、又はそれと組み合わせて
も実施され得る。例えば、
上記アッセイは
、本明細書において記載される核酸
の検
出又
は酵素的試験方法
と組み合わせることができる。
【0159】
さらなる側面で本発明は、ホルモン感受性及びホルモン抵抗性前立腺癌
を区別するためのイムノアッセイに関し、
上記イムノアッセイは次のステップ:
(a)サンプル
中のPDE4D7
のレベルを決定するステップ;
(b)サンプル中の参照遺伝子の発現
のレベルを決定するステップ;
(c)測定されたPDE4D7の発現レベルを参照遺伝子
の発現に対して
基準化するステップ;及び
(d)
基準化された発現レベルを、ホルモン感受性前立腺癌を除外するため
に選ばれた既定
のカットオフ値と比較するステップ
;
を含み、
上記カットオフ値未満の
基準化発現レベルはホルモン抵抗性前立腺癌であることを示し、
上記カットオフ値は、約1
から7である。好ましくは、
カットオフ値は約5である。
【0160】
PDE4D7のレベルは好ましくは、
本明細書において上で記載されたタンパク質又
は活性
レベルで決定され得る。好ましくは、PDE4D7特異的抗体を用いてPDE4D7タンパク質
の量を決定することである。例えば、
本明細書において記載されるひとつ以上のPDE4D7抗体が挙げられる。又は
、イムノアッセイは
、いかなる他の適切な試薬を
用いても実施することができるか、又は、他の部分の決定
と組み合わせ
ることができる。例えば、
上記アッセイは
、本明細書において記載される核酸
の存在若しくは量の検出又は酵素的試験方法
と組み合わせ
ることができる。
【0161】
さらに、サンプル中の
、本明細書において上で定められた参照遺伝子のレベル
が決定され得る。参照遺伝子の検出のために、遺伝子発現生成物(即ちタンパク質)
の量が決定され得る。好ましくは、当業者に知られるひとつ以上
の適切な抗体を用いることによってである。又は
、参照遺伝子の決定が
、いかなる他の
適した試薬を用いて
も実施され得る。又は
、本明細書において記載される核酸の存在又は量
の検出若しくは酵素的試験方法と組み合わ
され得る。
【0162】
ステップ(a)及び(b)
で得られる発現結果及び/又はステップ(c)で得られる
基準化結
果に基づいて、PDE4D7発現
に対するカットオフ値との比較が実施され得る。
カットオフ値であって、イムノアッセイにおいて該値未満のPDE4D7の発現レベルがホルモン抵抗性前立腺癌を指示し、
その結果、ホルモン感受性前立腺癌又は腫瘍型を除外する
カットオフ値は、約0.75
から8、0.75
から7.5、0.75
から7、0.75
から6.5、0.75
から6、0.75
から6、0.75
から5.5、0.75
から5.5、1.0
から8、1.25
から8、1.5
から8、1.75
から8、2
から8、2.25
から8、2.5
から8、2.75
から8、3
から8、3.25
から8、3.5
から8、3.75
から8、4
から8、4.25
から8、4.5
から8、4.75
から8
、又は
、5
から8である。より好ましい
カットオフ値は
、約5、例えば、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1又は5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、又は5.1である。
【0163】
カットオフ値は
、本明細書において以下に記載される、血液サンプ
ル、例え
ば血清又は血漿サンプル、尿サンプル又は
尿沈査サンプル
中のPDE4D7についてのカットオフ値であってもよい。
【0164】
測定
される及び/又は
基準化されるPDE4D7発現が
、示されるカットオフ値を超える場合
、これは、
個人がホルモン抵抗性前立腺癌に罹っていないことを示すものと考えられる。この値はさらに、
個人がホルモン抵抗性前立腺癌以外の前立腺癌、特にホルモン依存性前立腺癌又はホルモン感受性前立腺癌に罹っていることを示し得る。
【0165】
さらなる側面で本発明は、前立腺癌治療を受けるべき個人を同定する方法に関し、
上記方法は次のステップ:
(a)PDE4D7
の発現
について個人から
得られるサンプル
を試験するステップ;
(b
)参照遺伝子
の発現について上記サンプルを試験する、及び/又は
、PDE4D7
の発現
についてコントロールサンプルを試験するステ
ップ;
(c)ステップ(a)の発現
のレベルを
、ステップ(b)のレベ
ルに相対的に分類するステップ;及び
(d)
個人のサンプルがPDE4D7発現の減少
したレベルを有する
として分類される場合に、
上記個人を
、前立腺癌治療を受けるべきであるとして同定するステップ
;
を含む。
【0166】
PDE4D7
のレベルは
、本明細書において上で記載された核酸、タンパク質又
は活性
レベルで決定され得る。好ましくは、
1つ又は複数のPDE4D7転写物及び/又はタンパク質の量を決定することである。さらに
、サンプル中の
、本明細書において上で記載された参照遺伝子のレベルが決定され得る。参照遺伝子の発現
に対する試験は、PDE4D7
の決定のために使用される同じサンプルで実施され得る。試験が同じサンプルで実施される場合、単一又は多重検出方法が実施され得る。好ましくは、多重検出のために、配列番号7、8及び9
の配列を持つオリゴヌクレオチド及びプローブが使用され得る。多重検出の実施のために、プライマー及び/又はプローブオリゴヌクレオチドの濃度
が変更され得る。さらに、バッファ、イオンなどのさらなる成分の存在及び濃度もまた変更され得る。例えば、製造者の指示と比べて増加又は減少させることができる。又は
、参照遺伝子の
発現に対する試験は異なるサンプルで行
われてもよく、好ましくは、
本明細書において上で定められたコントロールサンプル
で行われてもよい。好ましくは、かかるコントロールサンプルは
、試験サンプルと同じ個人からのコントロールサンプルであり、又は
、異なる
供給源又は個人から得られるコントロールサンプルであり得る。
コントロールサンプルはまた、同じ組織から、
好ましくは前立
腺から得られる
サンプルであるか、又は
、異なる組織
タイプから得られるものであってよい。好ましい他の組織
タイプの例としては、間質前立腺組織、膀胱上皮組織及び尿道上皮組織などが挙げられる。
【0167】
さらに
、参照遺伝子の発現のため
の試験サンプルの試験
、及び
、PDE4D7の発現のためのコントロールサンプルの試験は組み合わされてもよい。
【0168】
さらなる実施態様において
、コントロールサンプルはまた、参照遺伝子の発現
に対して試験されて
もよい
。ひとつ以上のサンプルが参照遺伝子の発現
に対して試験され
る場合、得られる発現結果は
、当業者に知られる
いかなる適切
な統計手法によ
っても比
較及び/又は平均
化又は
基準化され得る。
【0169】
本明細書において使用される場合、用語「ステップ(b)のレベルに相対的にステップ(a)の
発現のレベルを分類する」とは、PDE4D7についての試験サンプル中の発現及びPDE4D7についてのコントロールサンプル中の発現とを
、例えば、適切な
基準化参照に対して
基準化した後に比較することを意味する。比較した結果により、試験サンプルは、コントロールサンプルと同様の発現、コントロールサンプルと比べて増加した発現、又はコントロールサンプルと比べて減少した発現を与えるものとして示される。この用語はさらに、PDE4D7につ
いての試験サンプル中の発現及び参照遺伝子について
の同じ試験サンプル中の発現が
、例えば、
基準化参照としての
さらなる遺伝子に対して
基準化した後に比較されることを意味する。比較の結果により、試験サンプルは、参照遺伝子と同様の発現、参照遺伝子と比べて増加した発現、又は参照遺伝子と比べて減少した発現を与えるものとして示される。
【0170】
発現
結果の分類によれば、個人は、PDE4D7発現レベルが減少する場合に前立腺癌治療を受けるべきと考えられ
得る。発現レベルは、試験サンプル
中のPDE4D7遺伝子発
現が、コントロールサンプル
中のPDE4D7発
現に比較して、例えば5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%
又は50%以上減少する場合に、又は
、コントロールサンプル
中のPDE4D7発現に比較して
、少なくとも0.1倍、少なくとも0.2倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍以上である場合に「減少する」と考えられ、
或いは、PDE4D7遺伝子発現が、コントロールサンプル中の参照遺伝子の発現に比べて
、例えば、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、又は50%以上減少する場合
に、又は
、参照遺伝子の発現に比較して
、少なくとも0.1倍、少なくとも0.2倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍以上減少する場合に「減少する」と考えられる。具体的な実施態様では、参照遺伝子の発現はまた、追加の遺伝子
又はマーカー
、例えば、ハウスキーピング遺伝子
の発現に対して
基準化されるか又は調節され得る。
【0171】
さらなる側面で本発明は、前立腺癌を持
つ個人又は
個人の同齢集団を
層別化するためのイムノアッセイに関し、次のステップ:
(a)PDE4D7の発現
について、個人から得られたサンプル
を試験するステップ;
(b
)参照遺伝子の発現
について上記サンプル
を試験
する、及び/又は
、PDE4D7の発現について、コントロールサンプル
を試験するステップ;
(c)ステップ(a)でのPDE4D7
の発現と
、ステップ(b)での
PDE4D7及び/又は参照遺伝
子の発現と
の差を決定するステップ;及び
(d)ステップ(c)で得られた結果に基づいて
、前立腺癌治療
に対して個人又は
個人の同齢集団を
層別化するステップ
;
を含み、ここで個人のサンプル
のPDE4D7発現
のレベル
は減少してい
る。
【0172】
PDE4D7
の発現の試験は
、好ましくは、
本明細書において上で定められたPDE4D7タンパク質の
量の決定又はPDE4D
7活性
レベルの決定により実施され得る。好ましくは
、PDE4D7特異的抗体
、例えば、
本明細書において記載されるひとつ以上
のPDE4D7抗体を用い
たPDE4D7タンパク質の量の決定
である。
又は、
上記イムノアッセイは、
いかなる他の適切な試薬を用いて
実施されてもよく、又は
、他の物の決定と組み合わ
されてもよい。例えば、アッセイは
、本明細書において記載される核酸の存在
若しくは量
の検出又
は酵素的試験方法と組み合わせることができる。さらに
、サンプル中の
、本明細書において上で記載された参照遺伝子
のレベルが決定されてもよい。参照遺伝子の発現
に対する試験は
、PDE4D7の決
定に使用される同じサンプルを用いて実施され得る。
試験が同じサンプルで実施される場合、単一
検出又は
並行若しくは多重検出
の方法が実施され得る。好ましくは、並行又は多重検出のために、相違してラベ
ルされる第一又は第二の抗体が使用され得る。
【0173】
又は、参照遺伝子の発現
に対する試験は、異なるサンプルでも実施され得る。好ましくは
、本明細書において上で記載の
コントロールサンプルである。好ましくは、かかるコントロールサンプルは、試験サンプル
と同じ個人からの
コントロールサンプル
、又は、異なる
供給源或いは個人からのコントロールサンプルであり得る。コントロールサンプルはさらに、同じ組織、好ましくは前立腺組織又は異なる組織
タイプからのものであって
もよい。好ましい他の組織タイプの例は、間質前立腺組織、膀胱上皮組織
及び尿道上皮組織が挙げられる。さらに
、参照遺伝子の発現の
ための試験サンプル
の試験及びPDE4D7
の発現のためのコントロールサンプルの試験は組み合わせることができる。
【0174】
さらなる実施態様で、
上記コントロールサンプルはまた、参照遺伝子
の発現について試験され得る
。一以上のサンプルが参照遺伝子
の発現
について試験され
る場合、得られる発現結果は、当業者に知られた
いかなる適切な統計方法によ
っても比較及び/又は平均化又は
基準化され得る。
【0175】
本明細書において使用される場合、用語「ステップ(a)
でのPDE4D7
の発現と、ステップ(b)でのPDE3D7
の発現及び/又は参照遺伝子
の発現との差」とは、PDE4D7について
の試験サンプル中の発現とPDE4D7についてのコントロールサンプル中の発現が比較されることを意味し、例えば、適切な
基準化参照に対して
基準化された後で
比較される。この比較の結果により、試験サンプルは、コントロールサンプルと同じ程度の発現、コントロールサンプルと比較して増加した発現、又はコントロールサンプルと比較して減少した発現を与えるものと
して示される。この用語はまた、これに代えて
又は加えて、PDE4D7について
の試験サンプル中の発現と参照遺伝子について
の同じ試験サンプル中の発現が比較されることも意味し、例えば
、基準化参照
としてのさらなる遺伝子に対して
基準化された後で
比較される。その比較の結果により、試験サンプルは、参照遺伝子と同じ程度
の発現、
又は発現
の差を与えるものと
して示される。この差は、参照遺伝子と比較して増加した発現か、又は
、参照遺伝子と比較して減少した発現のいずれかであ
り得る。
【0176】
本明細書において使用される場合、用語「前立腺癌治療
に対して個人又は
個人のコホート(
同齢集団)を
層別化する」とは、ある個人が類似の個人のグループに
属するとして同定されることを意味し、その最適
な治療形
態が前立腺癌治療であり、好ましくは、上記の発現試験の結果によるホルモン抵抗性前立腺癌に対する治療であり、特に
、異なるサンプルにおけるPDE4D7
の発現
レベルと参照遺伝子又
はPDE4D7
の発現レベル
との差によるものである。発現
の差の決定により、個人は、
PDE4D7発現レベルが減少する場合には、その最適な治療形態が前立腺癌治療である類似の個人のグループに
属するとして同定され
てもよい。発現レベルは、試験サンプル中のPDE4D7遺伝子発現が、例えばコントロールサンプル中の
PDE4D7発現と比較して、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、又は50%以上減少する場合に、又は、コントロールサンプル中のPDE4D7発現
と比較して、少なくとも0.1倍、少なくとも0.2倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍又は少なくとも10倍以上減少する場合に、又は、PDE4D7遺伝子の発現が、コントロールサンプル中の参照遺伝子の発現
と比較して、例えば、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%又は50%以上減少する場合に、又は
、参照遺伝子の発現
と比較して、
少なくとも0.1倍、少なくとも0.2倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍以上減少する場合に、
「減少する」と考えられる。
特定の実施態様において、参照遺伝子の発現は、例えばハウスキーピング遺伝子等の追加の遺伝子又はマーカーの発現に基準化又は調整されてもよい。
【0177】
本明細書において上で記載されたように前立腺癌治療
を受けるべきと考えられた個人、又は前立腺癌治療
に対して層別化された個人は、当業者に知られた
いかなる適切な治療的前立腺癌処置を受け
てもよい。通常、
DPE4D7発現の減少により、前立腺癌治療
を受けるべきと考えられた個人、又は該当する処置グループに
層別化された個人は
、ホルモン抵抗性前立腺癌に罹っていると考えられるか、
又は、将来ホルモン抵抗性前立腺癌に
かかる傾向があるものと考えられる。例えば、次の1から24ヶ月
という将来である。従って、同定された又は
層別化された個人は
、本発明による医薬組成物で処置され得る。例えば、
本明細書において以下に記載され
る医薬組成物である。さらなる実施態様では、対応する同定された個人は
、追加の癌治療と組み合わせて本発明
による医薬組成物
で処置され得る。用語「追加の癌治療」とは、当業者に知られた
いかなるタイプの癌治療
も意味する。
好ましくは、ホルモン抵抗性前立腺癌に対して知られる癌治療の形態である。この用語はまた、例えば、
いかなる適切な
化学療法、放射線治療、外科
手術、抗体治療など
の形態も含む。
【0178】
又は
、対応する同定された
か又は
層別化された個人は、
化学療法、放射線治療、外科
手術、抗体治療などの一以上の癌治療のみ
で処置され得る。好ましくは、通常前立腺癌
に対して、より好ましくはホルモン抵抗性前立腺癌
に対して用いられる癌治療である。
【0179】
本発明のさらなる実施態様で、
本明細書において上で記載される治療
を受けるべきかを決定する
分類方法又は
層別化するためのイムノアッセイはまた、個人の処置をモニターするために使用され得る。例えば、ホルモン抵抗性前立腺癌に罹っている
として分類される個人についてである。
上記モニタ
リングプロセスは、長期間にわたる発現決定
として実施され得る
。例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
ヶ月、又は
、1、2、3年又はそれ以上の期間
、処置セッション中又はその後で実施され得る。決定ステップは、適切な間隔で実施され得る。例えば、毎週、2週間毎、3週間毎、毎月、2
ヶ月毎、3
ヶ月毎、6ヶ月毎、12ヶ月毎などである。さらなる本発明の実施態様では、
本明細書において上で記載される
いかなる治療
計画も調節され得る。例えば、モニタ
リングプロセスの結果に応じて、
いかなる適切な方法
でも強化
若しくは減衰又は変更され得る。
【0180】
PDE4D7
の発現
に対する試験は、
本明細書において上で記載のステップに従って実施され得る。好ましくは、試験は
、PDE4D7のタンパク質レベルの測定
として実施
されてもよく、より好ましくは、
そのような測定に対する本明細書において上で
記載された選択
肢に従って実施されてもよい。コントロール又はコントロールサンプルとして
、本明細書において上で記載されたコントロール
を使用できる。
特に好ましい実施態様では、試験ステップは、PDE4D7に特異的に結合する抗体の使用に基づ
いてもよく、例えば、NB300−652又はGTX14629などの市販の抗PDE4D7抗体
の使用に基づいてもよい。
上記イムノアッセイで癌が診断
若しくは予見され
てもよく、又は
、癌の進展が診断
若しくは予見され
てもよい。
或いは、癌マーカーとしてのPDE4D7に関連して本明細書において上で提供された対応する定義によるイムノアッセイで、個人が前立腺癌の治療
を受けるべきと同定され
てもよく、又は
、個人
若しくは個人の
同齢集団が
層別化されてもよい。従って、
上記PDE4D7
の発現の試験又は決定が遂行され
得る、
或いは、核酸
若しくはタンパク質レベルの測定によ
り、又は
、PDE4D7
の生物活性の決定により
さらに遂行され得
る。類似の測定は、参照遺伝子に関して実施されて
もよい。
【0181】
特に本発明の好ましい実施態様において、参照遺伝子はハウスキーピング遺伝子又は異なるホスホジエステラーゼである。
ヒトにおいて、「ハウスキーピング遺伝子」
の例には、とりわけβアクチン、グリセ
ルアルデヒド3−
リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)及びリボソームタンパク
質P1が挙げられる。これらの遺伝子のほか、
いかなる他の適切な遺伝子
もハウスキーピング遺伝子として使用され得る。ただし、この遺伝子が、安定し
た非変更レベルでの発現又は転写を示す限りであり、特に癌
発生の異なる段階においてであり、より好ましくは前立腺癌
発生の異なる段階においてであり、より好ましくはホルモン感受性前立腺癌からホルモン抵抗性前立腺癌への変化の
段階の際に、である。特に好ましくは、GAPDHの遺伝子、転写物又は発現産物又はタンパク質である。さらに
特に好ましくは、PBGDの遺伝子、転写物又は発現産物又はタンパク質である。ハウスキーピング遺伝子の発現データは、同じ個人の一つ以上のサンプル
から、又は
、さらなる個人、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、1000、5000、10000又はそれ以上の個人か
ら得られ
てもよい。発現データはまた
、当業者に利用可能なデータベースから
又はデータ収集物から得られ
てもよい。
【0182】
本明細書において使用される場合、用語「異なるホスホジエステラーゼ」とは、PDE4D7ではない他のホスホジエステラーゼを意味する。かかるホスホジエステラーゼで参照遺伝子として適するものは、選択された
生物体
において、安定して発現され
且つ持続的に検出可能な遺伝子産物、発現産物、タンパク質又はタンパク質変異体
を提供するべきである。特に好ましくは、PDE4Dファミリのホスホジエステラーゼであり、例えば、PDE4D1、PDE4D2、PDE4D3、PDE4D4、PDE4D5、PDE4D6、PDE4D8及びPDE4D9が挙げられる。より好ましくは、PDE4D5ホスホジエステラーゼである。
【0183】
従って、GAPDH、PBGD及び特にPDE4D
5との
基準化及び/又は比較が、上記の
カットオフ値に基づく診断方法及びイムノアッセイ、
個人の区別又は
層別化のための
同定方法又はイムノアッセイに
対して好ましく使用され得る。対応する決定ステップは、別々の反応で実施されてもよく、又は、特に好ましくは、多重反応で実施されてよい。多重検出の遂行のために、プライマー及び/又はプローブオリゴヌクレオチド
の濃度は変更され得る。さらに
、バッファ、イオンなどの
さらなる成分の濃度
及び存在を変更してもよい。例えば、製造者の指示よりも増加又は減少させてもよい。本発明のさらなる実施態様では、
本明細書において上で記載のPDE4D7
の発現に基づく前立腺癌治療
を受けるべきとされる個人を同定する方法は
、さらに、ひとつ以上の類似の
同定方法であって
、ひとつ以上の異なるバイオマーカーの発現に基づく
同定方法
と組み合わ
せてもよい。好ましくは、前立
腺特異
的抗原(P
SA)のレベルの決定である。従って、
PSAのレベルが10、20、30又は好ましくは5.0を超える場合、個人はホルモン抵抗性前立腺癌に罹っていると考えられ
るか、又は近い将来(
即ち、次の1、2、3、4、5、6、12ヶ月
以内に)ホルモン抵抗性前立腺癌を
発生させる恐れがある
と考えられ得る。
【0184】
本発明
の好ましい実施態様では、上記の診断、検出、モニタ
リング又は予見は
、個人から得られ
るサンプルで実施される
ことになる。
本明細書において使用される場合、用語「個人から得られるサンプル」とは、個人から、当業者に知られ
た適切な方法で得られる
いかなる生物材料
に関する。本発明
に関連して使用されるサンプルは、好ましくは、医学的に許容される方法で、より好ましくは核酸(特にRNA)又はタンパク質が保存されるような方法で集められる
べきある。
【0185】
生物
サンプルには、身体組織及び液体(例えば、血液、汗、痰や唾液、精液および尿だけでなく、糞便又は糞便サンプルなど)が挙げられ
得る。さらに、生物
サンプルには、
上皮細胞、好ましくは癌性上皮細胞又は癌性であると疑われる組織から得られる上皮細胞からの
細胞抽出物
又は上記細胞を含む細胞集団が含まれ
得る。
さらにより好ましくは、生物
サンプルは、腺組織からの細胞集団
を含有してもよく、例えば、サンプルは
、男性個人の前立腺から得られ
てもよい。さらに、細胞は必要な場合
、得られた身体組織及び液体から精製され
てもよく、その後
、生物
サンプルとして使用され得る。
【0186】
サンプルは
、特に最初の処理の後は、プールしてよい。しかし
、非プール
のサンプルも使用可能である。
【0187】
本発明の具体的な実施態様において、生物サンプルの内容はまた、濃縮ステップに供することができる。例えば、サンプルは
、特定の細胞タイプ(例えば、前立腺細胞)の
細胞膜又はオルガネラ
に特異的なリガンドに接触させ
られ得る。これら
のリガンドは
、例えば、磁気粒子で機能化されている。磁気粒子で濃縮された材料はその後
、本明細書において上で記載された
か又は以下に記載される検出及び分析ステップ
に対して使用され得る。
【0188】
本発明の具体的な実施態様では、生検又は切断サンプルが得られ
得る及び/又は使用され得る。
そのようなサンプルは、細胞又は細胞可溶化物を含んでもよい。
【0189】
さらに、細胞(例えば、腫瘍細胞)は、
流体又は
液体サンプル(例えば、血液、尿、汗など)をろ過することで濃縮され得る。かかるろ過プロセスはまた、
本明細書において上で記載されたリガンド特異的相互作用
に基づく濃縮ステップと組み合わせることができる。
【0190】
本発明の特に好ましい実施態様では、サンプルには、組織サンプル、尿サンプル、
尿沈査サンプル、血液サンプル、唾液サンプル、精液サンプル、循環腫瘍細胞を含むサンプル又は前立腺
分泌エキソソームを含むサンプルが挙げられ
得る。
【0191】
さらに他の側面で本発明は医薬組成物
に関し、
当該医薬組成物は、次の成分:
(a)PDE4D7
の活性を直接刺激するか
又は変更する化合物、好ましくは、PDE4D7酵素活性のアロステリックアゴニスト;
(b)PDE4D7
の活性を
間接的に刺激するか
又は変更する
化合物;
(c)PDE4D7タンパク質又はそ
の生
物活性同
等物;
(d)PDE4D7
をコードし
且つ発現する核酸;
(e)PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター;
(f)脱メチル化剤;及び
(g)ホスホジエステラーゼ変位因子、好ましくは、ペプチド、ペプチド様物、小分子、抗体又はアプタマー、
を含む
群から選択される少なくとも1つの要素を含む医薬組成物である。
【0192】
本明細書において使用される場合、用語「PDE4D7
の活性を直接刺激するか
又は変更する化合物」とは、PDE4D7と直接相互作用
することによって、PDE4D7
の活性を増加させ
てcAMPを分解することができる
化合物に関する。かかる化合
物は、PDE4D7の
いかなる直
接相互作用
体であって
もよく、PDE4D7の触媒作用に正の効果を与えるものである。かかる化合
物は、好ましくは、PDE4D7の触媒活性のアロステリックアゴニスト(例えば、ホモトロピックアロステリックモデュレータ)であ
ってもよい。PDE4D7の好ましいアロステリックアゴニストは
、cAMP又はcAMPアナログである。本発明の範囲に含まれる他の直接刺激化合物には、イオン、好まし
くは、生物
学的に活性
な一価及び二価
のカチオン(例えば、Ca
2+、Mg
2+など)が挙げられる。
【0193】
本明細書において使用される場合、用語「PDE4D7
の活性を間接的に刺激するか
又は変更する化合物」とは、PDE4D7の直接相互作用
剤と相互作用
すること(「間接相互作用体」)によって、又は、PDE4D7との相互作用を含まない間接的な作用経路を介して、PDE4D7
の活性を増加させ
てcAMPを分解することができる
化合物に関する。かかる化合
物は、PDE4D7の相互作用
体の
いかなる直接相互作用
体であって
もよい。PDE4D7の相互作用
体の直接相互作用
体による効果は、PDE4D7の相互作用
体自体がPDE4D7
の活性に対し
て正の効果を有する場合には正となり
、又は
、PDE4D7の相互作用
体がPDE4D7の活性
に対して負の効果を持つ場合には負
となり得る。通常
、正に作用する間接相互作用
体は
、直接相互作用
体のアゴニスト効果を刺激し
てもよく、例えば、
cAMP生成を増やすことによって、PDE4D7によ
り与えられないcAMPの分解プロセス
を抑制することにより、cAMP又はその類似体などのアロステリックに作用する化合物の濃度の増加を促進
してもよい。
【0194】
又は、かかる正に作用する間接的相互作用
体は、直接結合タンパク質の結合様式の変更を促進し、PDE4D7活性の増加を導く。通常
、負に作用する間接的相互作用
体は
、PDE4D7のインヒビターに
対する抑制効果を持つことができる。かかる相互作用
体の例は
、PDE4D7インヒビターを分解する酵素的活性、又は
、PDE4D7インヒビターに結合してクエンチすることもできるタンパク質である。又は
、かかる相互作用
体は
、PE4D7の分解
を導く活性を抑制することができる。例えば、プロテナーゼインヒビターである。さらなる例及びその実施は
、当業者に知られているものである。
【0195】
又は、PDE4D7活性の間接的刺激は、内因性PDE4D7遺伝子の発現を活性化、保護又は維持する化合物により伝達され得る。かかる化合物の例には、PDE4D7特異的転写因子、PDE4D7特異的mRNA安定化活性又はPDE4D7スプライス因子が挙げられる。さらなる例及びその実施は
、当業者に知られている。
【0196】
医薬組成物に含まれる「PDE4D7タンパク質」は、
本明細書において上で記載のPDE4D7タンパク質であり得る。特に
、ヒトホスホジエステラーゼPDE4Dのスプライス
バリアント7によ
りコードされるタンパク質であ
ってもよく、より好ましくは、Genbank Accession No:AF536976(version AF536976.1、G
I:22901883 as of 3 March 2009)
において定められたアミノ酸配列を有してもよく、さらにより好ましくは、配列番号2に記載のアミノ酸配列
を有してもよい。
これに関して使用される場合、「PDE4D7タンパク質」にはまた、アミノ酸配列であり、配列番号2
に記載の配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、
96%、97%、98%又は99%同一である
アミノ酸配列、
及び、配列番号1
に記載の配列と、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一のヌクレオチド配列によ
りコードされるアミノ酸配列が含まれる。PDE4D7の
相同変異体、特に上記の変異体は、好ましくは、PDE4D7の機能を持つ、即ちcAMP分解機能である。本発明のさらなる実施態様では、PDE4
Dの相同変異体は
、さら
に又はこれに代えて
、細胞内又は組織タイプ内でPDE4D7と類似又は同一の
局在パターンを持つ。
【0197】
さらに好ましい実施態様では、PDE4D7とPDE4D7の
相同変異体の間の領域又は
相同性は
、このタンパク質の
C末端領域に
限局され得る。例えば、
相同変異体は
、PDE4D7に存在するN末端
領域を含
むことができ、
さらに、本明細書において上で示すPDE4D7
に対する相同性の程度を有するタンパク質の残りの部分を含むことができる。
相同変異体のN末端部分は、PDE4D7からの、1から120、1から110、1から100、1から90、1から80、1から70、1から60、1から50、1から40、1から30、1から20又は1から10のアミノ酸を含むことができる。
【0198】
本明細書において使用される場合、用語「PDE4D7の生物活性同
等物」とは、PDE4D7タンパク質であって、PDE4D7の全ての又は大部分の機能を実行することができるタンパク質を意味する。好ましくは、これは
、cAMP
を分解
することができるタンパク質に関連する。本発明のさらなる実施態様では、PDE4D7の生物活性同
等物は
、さらに又はこれに代えて
、細胞
内又は組織タイプ内のPDE4D7
と類似又は同一の
局在パターンを持つ
ことができる。PDE4D7
の生物活性同
等物はまた
、本明細書において上で規定されるPDE4D7変異体を含
んでもよい。
【0199】
本発明によるPDE4D7又はPDE4D7の生物活性同
等物は、当業者に知られた
いかなる適切な方法
によっても組み換え的に製造され得る。本発明は、従ってまた、PDE4D7を製造する方法又はPDE4D7
の生物活性同
等物を製造する方法を含むものである。
【0200】
従って本発明は、
本明細書において上で定められたPDE4D7又はP
DE4D7
の生物活性同
等物
をコードする
ポリヌクレオチドを含むベクター、宿主細胞
、及び
、組み換え技術によるPDE4D
7又はPDE4D7の生物活性同
等物
の生成を
熟考する。
【0201】
適切なベクターには、例えば、ファージ、プラスミド、ウイルス又はレトロウイルスベクターが挙げられ
得る。レトロウイルス
ベクターは、複製
可能又は複製
欠損であってもよい。複製
欠損の場合、ウイルス増幅は一般には、
補完宿主細胞内でのみ生じる。PDE4D7又はPDE4D7
の生物活性同
等物
をコードするポリヌクレオチドは、宿主に伝播させるために選択的マーカーを含むベクター又はキャリア
に結合され得る。対応するポリヌクレオチド挿入
断片は
、操作的に
、適切なプロモーターへ結合され得る。例えば、ファージラムダPLプロモーター、E.Coliのlac、trp、phoA及びtacプロモーター、SV40初期及び後期プロモーター及びレトロウイルスLTRのプロモーター又はPSAプロモーターが挙げられる。他の適切なプロモーターは当業者に知られている。発現構築物はさらに
、転写開始、停止の
部位及び翻訳領域において、翻訳のためのリボソーム結合
部位を含む
ことができる。構築物による発現される転写物のコード部分は、好ましくは、翻訳開始コドンを最初の位置に持ち、かつ翻訳される
ことになるポリペプチドの末端に適切に位置する終始コドン(UAA、UGA又はUAG)を含む。
【0202】
ポリペプチド
又はタンパク質は、グリコシル化
若しくは非グリコシル化され
てもよく、又
さもなければ、修飾され得る。さらに、ポリペプチド又はタンパク質はまた、
一部の場合宿主介在プロセスの結果として
、最初に修飾されるメチオニン残基を含んでいてよい。さらに、ポリペプチド、タンパク質又はペプチドは、アセチル化、ペグ
(PEG)化、
ヘス(HES)化、ホルミル化、
リン酸化、アミド化、知られる保護/ブロック基による誘導体化、特異的化学的切断、タンパク質
切断、細胞性リガンド
若しくは他のタンパク質
に対する結合、又は
、ハプ(HAP)化(即ち、グリシンリッチのホモアミノ酸ポリマー(HAP)
を用いた融合)などで修飾・変性され得る。かかる
修飾・変性は
、当業者に知られる
適切な
技術で実施され
得る。さらに
、ポリペプチド、ペプチド又は変異体は
、ひとつ以上の非古典的アミノ酸を含むことができる。
【0203】
さらに、本発明のPDE4D7又はPDE4D7
の生物活性同
等物は
、当技術分野で知られる技術を用いて
科学的に合成できる。例えばペプチド合成装置
を使用することによって合成できる。
【0204】
本明細書において上で定められた医薬組成物に含まれる「PDE4D7
をコードし発現する核酸」とは、
いかなる適切
なキャリア成分
も意味し、
例えば、本明細書において上で記載されたように、発現可能なPDE4D7遺伝子を含む。好ましくは、かかるキャリア成分は
、Genbank Accession No:AF536976(version AF536976.1、 G
I:22901883 as of 3 March 2009)で定められる配列を含
んでもよく、より好ましくは、配列番号1に記載されるヌクレオチド配列
を含んでもよい。かかるキャリア成分はまた、PDE4D7
に対する高度の
相同性を持
つヌクレオチド配列であって、例えば、配列番号1
に記載の配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を持つ核酸配列
、又は、配列番号2で記載される配列と少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を持つアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むことができる。又は、
上記キャリアは
、PDE4
Dのゲノム配列を含
んでもよく、好ましくは、
配列番号6に相当するENSEMBLデータベースエントリー番号ENSG00000113448(Version ENSG000001
13448.8、Ensembl release53−March 2009)で定められる配
列、又は、Genbank Accession No.AC034234(Version AC034234.4、G
I:18390182 as of 24 March 2009)
と組み合わせてGenbank Accession No.AC008934(Version AC008934.5、GI:17386235 as of 24 March 2009)から得られる配列、又は
、Wangらの2003、Cell Signal、15(9):883−91
から得られる配列
を含んでもよい。より好ましくは、
上記キャリアは
、配列番号6に記載されるPDE4Dのゲノム配列を含むことができる。
【0205】
さらに、
本明細書において上で定めるPDE4D7の生物活性同
等物は
、本発明のキャリアに含まれ得る。
【0206】
PDE4D7
をコードするポリヌクレオチドは好ましくは、
ヒト細胞に伝播させるための選択的マーカーを含むベクター
に結合され得る
。好ましい実施態様では
、ポリヌクレオチド
挿入断片はPSAプロモーターに操作的に結合され得る。
【0207】
本発明の
一実施態様において、
本明細書において上で定められたPDE4D7
をコードし発現する核酸は
、生
きた治療物を介して提供され得る。
本明細書において使用される場合、用語「生
きた治療物」とは、
本明細書において上で定められたPDE4D7
又はPDE4D7
の生
物活性同
等物が
、いかなる適切な生
きたキャリアに
おいても発現されることを意味する。従って、本発明は
、対応するポリヌクレオチドであって、生細
胞において発現する
のに適するものである。本発明はまた、そのような
ポリヌクレオチドを含むベクター、適切な宿主及びその宿主細胞
における組換え技術によるポリヌクレオチドの生成
に関する。
【0208】
用語「生
きたキャリア」とは、当業者に知られる
いかなる適切な生
きた宿主細胞又はウイルス
に関する。適切な宿主の代表例には、限定されるものではないが、大腸菌又は乳酸菌
等の細菌細胞、酵母細胞
等の真菌細胞、原生動物、昆虫細胞又は動物細胞が挙げられる。好ましくは、この用語は、弱
毒化細菌、弱
毒化真菌
細胞又は弱
毒化原生動
物に関する。適切なウイルスの代表例
には、アデノウイルス、レトロウイルス又は
レンチウイルスを含む群のウイルス、好ましくは
、アデノウイルス、レトロウイルス又はレンチウイルスを含む群の
弱毒化ウイルスが挙げられる。好ましい実施態様では、
生菌の細菌細胞、特に
生菌の大腸菌や乳酸菌細胞が使用され得る。より好ましくは、大腸菌Nissle1973
の細胞や
、さらに
より好ましくは
、ラクトバチルスカゼイ
又はラクトバチルスゼアエ393
の細胞が
使用され得る。
【0209】
本明細書において上で定められた医薬組成物に含まれる「PDE4D
7miRNA
に特異的なmiRNAインヒビター」とは、PDE4D7miRNA又はミクロRNA分子に相補的な核酸配列
をコードする核酸分子を意味する。
本明細書において使用される場合、用語「相補的」とは、miRNAインヒビター核酸(センス分子)およびmiRNA(アンチセンス分子
)間
のいかなるミスマッチなしの完全な相補性を意味し、また同様に
、miRNA分子と比較して核酸がいくつかの
塩基のミスマッチを含む及び/又は
さらなる若しくは欠失するヌクレオチド
を含む状況なしの完全な相補性も
意味する。他の実施態様では、
2つの分子は、1つ又は複数の塩基のミスマッチを含むか、又は、(追加又は欠失により)ヌクレオチドの総数が異なる。さらなる実施態様では、「相補的」
なmiRNAインヒビター核酸分子は、少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含み
、これが
、miRNA分子に含まれる配列と完全な相補性を示すものである。
【0210】
通常
、miRNAインヒビター核酸分子は、天然
起源のDNA
若しくはRNA分子
、又は
、合成核酸分子であって
、その配列中にひとつ以上の
修飾ヌクレオチドを含み、これらが同一
タイプか又は
ひとつ以上の異なるタイプ
のものであ
る分子である。
【0211】
例えば
、かかるmiRNAインヒビター核酸分子が、少なくとも一つのリボヌクレオチドバックボーンユニットと少なくとも一つのデオキシリボヌクレオチドバックボーン
とを含む
ということが本発明によって構想される。さらに、miRNAインヒビター核酸分子は
、ひとつ以上の
上記RNA
バックボーンの2’−O−メチル基又は2’−O−メトキシエチル基(これはまた2’−O−メチル化と参照される)
への
修飾を含み、これにより
、培地でのヌクレアーゼ分解を防止し、重要なことにまた、RNA誘導サイレンシング複合体ヌクレアーゼによる
ヌクレオチド鎖切断を防止
し、miRNA
の不可逆的
抑制をもたらす。他の可能な
修飾は、2’−O−メチル化と機能的に同等
なもので、ロック
ド核酸(LNA)を含むものであり、
該核酸は、本明細書において上で記載されるように、ひとつ以上のLNAヌクレオチドモノマーを含む核酸類似体を表す。
【0212】
本発明に
関連して使用される
ことになるmiRNA発現の他のサイレンサーのクラスには、化学的に
操作されたオリゴヌクレオチドで「アンタゴ
mir(antagomirs)」と言われるもの
を含み、
これは、コレステロールへ共役した単鎖RNA分子を表す。この分子は
、19から25のヌクレオチドを含
んでもよい。好ましくは、この分子は
、20、21、22、23又は24のヌクレオチドを含む。より好ましくは、
この分子は
、23
のヌクレオチド(さらなる詳細はKrutzfeldtら、2005、Nature、438:685−689を参照すること。)を含む。
【0213】
本発明の他の実施態様では、
本明細書において上で定められたmiRNAインヒビターは、組織又は細胞へ導入される
ことになる発現ベクターの形で提供され
得る。又は
、かかるベクター
はまた
、本明細書において上記の生
きた治療物中に導入され得る。
【0214】
通常
、RNAは、トランスフェクショ
ン又は一過性発現
のベクター又はキャリ
アの形で与えられる
導入遺伝子から生成され得る。例えば、
競合的miRNAインヒビターは、ひとつ以上の、好ましくは、複数の、
関心あるミクロRNA
に対するタンデム結合
部位を含む強力なプロモーターから発現される転写物として与えられ得る。Ebertらの、2007、Nat.Methods、4:721−726に記載される「ミクロRNAスポンジ」は、この技術の
例示的な非限定的一例である。
【0215】
本明細書において上で定められた医薬組成物に含まれる「脱メチル化剤」は、クロマチン構造を脱メチル化する
ことができる薬剤を意味し、好ましくはプロモーター領域、より好ましくはPDE4D7プロモータ
ーである。
本発明に関連して使用されることになる脱メチル化剤の例は、5−アザ−2’−デオキシシチジン及び5−アザシチジンである。これらは、
DNAメチル化を含むクロマチン構造変化によ
り不適切にサイレンスさせ
られた遺伝子を再活性化し、
さらに、これらの変化を元に戻し、従って、主要な細胞経路を回復させる
ことができるものである。これにより通常、遺伝子を再発現させ
且つ形質転換された状態
の一部の側面
を元に戻すこととなる。5−アザ−2’−デオキシシチジン及び5−アザシチジンは
、通常
、DNAシトシンC5−メチルトランスフェラー
ゼを、DNA中の5−アザ−2’−デオキシシチジン残基と酵素間で安定な複合体を形成することにより
、その結果、メチルトランスフェラーゼ酵素へ結合される際
に安定な遷移
状態の中間体を真似ることにより、不活性化させることとなる。
【0216】
本発明
による医薬組成物に含まれ
得る
さらなる薬剤は、それ自体又は5−アザ−2’−デオキシシチジン及び/又は5−アザシチジンと組み合わせ
られる、トリコスタチンA(TSA)で
ある。
【0217】
本明細書において上で定められた医薬組成物に含まれる「ホスホジエステラーゼ変位因子」とは、ホスホジエステラーゼ
、特にPDE4D7
の、相互作用相手又は相互作用
体との相互作用を
妨害又は
中断させることができる化合物を意味する。かかるプロセスは
、最終的には
、PDE
、特にPDE4D7
の、以前とは異なる相互作
用相手との
関連性を導く
、結果として、PDEの再分布を導くこととなる。かかる新たな
相互作用相手は
、PDE
、特にPDE4D7を隔離し得るものであり、従って細胞挙動を変更する
ものである。例えば、レセプター結合又は他の
下流の活性に
対する影響を強め
る。かかる変位反応に関与し
、及び/又は
、PDE
、特にPDE4D7を隔離可能なタンパク質の相手の例には、AKAPなどのアンカータンパク質、
DISC1、β−アレスチン又はRACK1などの足場タンパク質、XAP2/AIP/ARA9などの制御タンパク質、PKA−Rサブユニット又はEPACなどのcAMP結合タンパク質
、又は
、β1−アドレノセプタなどのレセプターが、ERKなどの酵素と同様に挙げられる。
【0218】
好ましいホスホジエステラーゼ変位因子はペプチド、ペプチド
模倣体、小分子、抗体及びアプタマーである。ホスホジエステラーゼ
変位因子に
関連して「ペプチド」とは、ホスホジエステラーゼ
、特にPDE4D7
において存在するか該分子を表す一連のアミノ酸を意味する。又は
、本明細書において上
で定める相互作用又は隔離するペプチドを意味する。該ペプチドに含まれる一連のアミノ酸の長さは、5から100
のアミノ酸、好ましくは10から50
のアミノ酸、より好まし
くは20から30
のアミノ酸であ
り得る。その長さは
、PDE又は相互作用体タンパク質又はその
一部分と完全に同じ長さであってよく、又
は、配列
変動を有していてもよい。例えば、ペプチド配列は
、修飾されたアミノ酸残基を全
位置に対して25%まで含むことができる。好ましくは、かかる
修飾は、該分子の結合特性や構造
特性を変化させないものである。ペプチドに存在するアミノ酸配列はまた、PDE又は相互作用
体タンパク質の空間領域
を表して
もよく、従って
、分子の一次配列に
おいて隣接
しないアミノ酸
配列
の並立を含むこととなる。
【0219】
ホスホジエステラーゼ変位因子
に関連して「ペプチド
模倣体」とは、ペプチドを真似るように設計された短いタンパク質様
の鎖を意味する。かかるペプチド
模倣体は、分子
の特性を変えるために、既存のペプチド
、例えば
本明細書において上で記載したペプチドを
修飾することから得られ
得るものである。ペプチド
模倣体は、分子の安定性又は結合
能力を変化させる
修飾により得られ
得る。これらの
修飾は、通常、天然では生じないペプチドへの
変化を含む。例えば、本発明
によるペプチド
模倣体は、ペプチドバックボーン
を変更
していてもよく、又は
、非天然
のアミノ酸を含み得る。好ましくは、本発明
によるペプチド
模倣体は
、本明細書において上で定められたホスホジエステラーゼ
分子、特にPDE4D7、又は
、相互作用タンパク質
若しくは隔離タンパク質を
表してもよい。
【0220】
本発明の一つの実施態様では、ペプチド
模倣体は
、PDE
、特にPDE4D7
とその相互作用
体との相互作用をブロックし得る。本発明の他の実施態様では、ペプチド
模倣体は
、PDE
、特にPDE4D7
とその相互作用
体との相互作用を強化し得る。
【0221】
ペプチド
模倣体の
調製方法及び技術、
同様に、ペプチド
模倣体の
試験に対するアッセ
イは当業者に知られている。
【0222】
ホスホジエステラーゼ変位因子
に関連して「小分子」とは、小
さい有機化合物
を意味し、好ましくは生物活性即ち生分子であるが、好ましくはポリマーではない
化合物を意味する。かかる有機化合物は
、いかなる適切な形
態又は化学的性質を含
んでもよい。
この化合物は
、二次代謝物などの天然化合物又は人工化合物であって
もよく、新たに設計
及び製造されたものであって
もよい。本発明の
一実施態様において、小分子は
、PDE
、特にPDE4D7とその相互作用
体との相互作用をブロックすることができる。
本発明の他の実施態様では、
小分子は
、PDE
、特にPDE4D7とその相互作用
体との相互作用を強化することができる。小分子
の同定
及び調製に対する方法及び技術
、同様に
、小分子の
試験に対するアッセ
イは当業者に知られている。
【0223】
ホスホジエステラーゼ
変位因子に関連して「抗体」又は「アプタマー」とは、
本明細書において上で定められたPDE4D7特異的抗体又は抗体変異体又は断片を意味し、又
は、本明細書において上で定められたPDE4D7特異的アプタマー
を意味し、PDE
、特にPDE4D7とひとつ以上の
その相互作用体との相互作用を妨害
するか又は
中断させることができるもの
を意味する。又は
、この用語はまた
、本明細書において上で記載されたひとつ以上のPDE4D7の相互作用体と結合する抗体又はアプタマーを意味し
てもよく、
同様に、PDE
、特にPDE4D7とひとつ以上の相互作用体との相互作用を妨害
するか又は
中断させることができるもの
を意味してもよい。抗体又はアプタマーの製造
又は試験に対する方法
は、
本明細書において上で記載され、及び/又は、当業者に知られている。
【0224】
本発明の
一実施態様において
、医薬組成物はさらに
、追加の化合物を含むことができ、癌細胞に対して活性であり
、例えば、当業者に知られる細胞毒性化合物又は他の
化学療法又は放射線
療法化合物が挙げられる。
【0225】
さらなる実施態様において、本発明は、
本明細書において上で定められたPDE4D7発現生成物又はタンパク質
に特
異的
なアプタマー、PDE4D7の活性を直接刺激する又は
調節する化合物、PDE4D7酵素活性のアロステリックアゴニスト、PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター、アンタゴ
mir、PDE4D7特異的脱メチル化剤、PDE4D7特異的ホスホジエステラーゼ変位因子、PDE4D7特異的ペプチド
模倣体及びPDE4D7特異的小分子又は薬物の同定のためのスクリーニング手順
及び方法
も構想する。かかるスクリーニング手順は次のステップ:
(a)PDE4D7を、分泌タンパク質
若しくは細胞膜上
のタンパク質、又は
、細胞
内成分として
のポリペプチドとして発現する細胞を製造するステップ;
(b)ステップ(a)で製造したポリペプチドを
、相互作用
分子、例えばPDE4D7タンパク質
に特異的
なアプタマー、PDE4D7の活性を直接刺激する又は
調節する化合物、PDE4D7酵素活性のアロステリックアゴニスト
、PDE4D7特異的ホスホジエステラーゼ変位因子、PDE4D7特異的ペプチド
模倣体
又はPDE4D7特異的小分子
若しくは薬物
をおそらく含有する試験サンプルに接触させるステップ;
及び、
(c)
PDE4D7の結合及び/又
はPDE4D7
の活性の
抑制若しくは調節を観察することで相互作用
分子を同定するステップ
;
を含
み得る。
【0226】
又は
、かかるスクリーニング手順は
、次のステップ:
(a)直接または間接的に相互作用する分子
、例えば、PDE4D7転写物
に特
異的
なアプタマー、PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター、アンタゴ
mir、PDE4D7特異的脱メチル化剤、PDE4D7特異的ホスホジエステラーゼ変位因子、PDE4D7特異的ペプチド
模倣体
又はPDE4D7特異的小分子
若しくは薬物
をおそらく含有する試験サンプルと
、PDE4D7を転写物として発現するひとつ以上の細胞と
を接触させるステップ;
(b)
上記配列の発現レベルを検出するステップ;及び
(c)
PDE4D7の結合又はPDE4D7の発現レベルの
調節若しくは減少を観察することで相互作用
分子を同定するステップ
;
を含
み得る。
【0227】
本発明はまた、
本明細書において上で記載されたスクリーニング手順又は方法で得られた又は得られ
得る、PDE4D7発現生成物又はタンパク質
に特
異的
なアプタマー、PDE4D7の活性を直接刺激する又は
調節する化合物、PDE4D7酵素活性のアロステリックアゴニスト、PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター、アンタゴ
mir、PDE4D7特異的脱メチル化剤、PDE4D7特異的ホスホジエステラーゼ変位因子、PDE4D7特異的ペプチド
模倣体及びPDE4D7特異的小分子
若しくは薬
物を含むものである。
【0228】
さらなる側面において本発明は、癌
の治療又は予防
、特に前立腺癌
の治療、好ましくは
、ホルモン抵抗性前立腺癌の
治療のための
、本明細書において上で定められた医薬組成物に関する。
【0229】
さらに他の側面において、本発明は、癌
、特に前立腺癌の治療又は予
防、好ましくはホルモン抵抗性前立腺癌の
治療のための医薬組成物の
調製のための、(a)PDE4D7の活性を直接刺激する又は
調節する化合物
、好ましくは、PDE4D7酵素活性のアロステリックアゴニスト;(b)PDE4D7の活性を間接的に刺激する又は
調節する化合物;(c)PDE4D7タンパク質又は
その生物活性同
等物;(d)PDE4D7
をコードし発現する核酸;(e)PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター;(f
)脱メチル化剤及び/又は(g
)ホスホジエステラーゼ変位因子、好ましくはペプチド、ペプチド
模倣体、小分子、抗体又はアプタマ
ーの使用に関する。
【0230】
他の側面において本発明は、癌
、特に前立腺癌の治療又は予防
、好ましくはホルモン抵抗性前立腺癌の
治療のための方法に関し
、
(a)PDE4D7の活性を直接刺激する又は
調節する化合物、好ましくはPDE4D7酵素活性のアロステリックアゴニスト;(b)PDE4D7の活性を間接的に刺激する又は
調節する化合物;(c)PDE4D7タンパク質又は
その生物活性同
等物;(d)PDE4D7
をコードし発現する核酸;(e)PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター;(f
)脱メチル化剤及び/又は(g
)ホスホジエステラーゼ変位因子、好ましくはペプチド、ペプチド
模倣体、小分子、抗体又はアプタマ
ーを個人
、特に癌
を罹っているか又は癌
にかかると予見される個人に投与するステップを含む。
【0231】
本発明
による医薬組成物は、患者、対
象又は個人に、当業者に知られる種々の
送達系を利用して投与され得る。例えば、リポソーム
におけるカプセル
封入、ミクロ粒子、ミクロカプセル、化合物を発現可能な組み換え細胞、レセプター介在エンドサイトーシス、レトロウイルス又は他のベクターなどの
一部分としての核酸の構築物
を介して投与され得る。
導入方法は、局所
的、経腸
的又は非経口
的であり得る。また、皮内、筋肉内、腹腔内、
静脈内、皮下、鼻腔内、吸入
性、硬膜外及び経口経路
を含んでもよい。組成物は、
いかなる簡便な経路
、例えば、注入又はボーラス注射により、上皮又は粘膜
皮膚層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を
介した吸収
により、又は
、吸入に
より投与され
てもよく、
さらに、他の生物活性剤とともに投与され
てもよい。投与は
、全身的又は局所的であってもよい。局所投与の好ましい方法は
、直接注射である。
【0232】
他の実施態様において、
関心のある部位へ直接注射針をガイドするため
に使用されるイメージング装置を利用して、医薬組成物を直接
内臓、
体腔などに
送達することができる。医薬組成物はまた、外科
的処置の際に疾患部
位へ投与され得る。
さらに他の実施態様では、医薬組成物は
、制御された放出システムを用いて
送達され得る。
【0233】
好ましくは、医薬組成物の剤形は、経口、局所
的又は
全身的投与に適したものである。好ましい実施態様では
、医薬組成物は、局所的、経口
的又は
全身的に投与される。
【0234】
本発明の具体的な実施態様では
、医薬組成物は、
本明細書において上で記載された、個人を
層別化するためのイムノアッセ
イ、又は
、前立腺癌であると
個人を同定する方法が実施された後、特に
、PDE4D7
のレベルが減少したとして
個人を分類
した後で投与され得る。
【0235】
さらなる実施態様で、医薬組成物は
、治療上有効な量の、本明細書において上で定められた本発明の医薬組成物の
成分及び医薬的に許容される担体を含む。用語「医薬的に許容される」とは、
動物、特にヒトにおいて使用するために、規制
機関により承認されているか
、又は
、他の一般的に
認識される薬局方により承認されることを意味する。用語「担体」とは、希釈剤、アジュバント、賦形剤又は
溶剤を意味
し、それらと共に治療薬は投与される。かかる担体は医薬的に許容される。即ち
、投与される量及び濃度で被投与者に非毒性である。
【0236】
一般的に、成分は別々に供与
されるか又は投与単位に一緒に混合されて
もよい。例えば、活性物質の量を示すアンプルやサケットなどの密閉容器に入れた凍結乾燥させた乾燥粉末又は無水の濃縮物として
供与又は混合される。
【0237】
本発明の医薬組成物は、中性の又は塩の形で処方され得る。
【0238】
好ましくは、医薬組成物は、直接投与され
得るか、又は
、当業者に知られる
いかなる適切なアジュバントと
組み合わせても投与され得る。本発明の組成物は、動物
、好ましくは哺乳類に投与され得る。
本明細書において使用される場合、「哺乳類」とは、当業者に
よって一般的に理解されるものと同じ意味
を有するよう意図される。特に「哺乳類」には
ヒトが含まれる。
【0239】
用語「投与される」とは
、治療
上有効な容量
の上記組成物の投与を意味する。「治療
上有効な量」とは、投与されて効果を生じる投与量
を意味し、好ましくは、この効果は
、PDE4D7の誘導
及び増加である。正確な投与量は治療
の目的に依存し、既知の技術を用いて当業者により確認することが可能である。当
技術分野で知られ
且つ上記のように、全身的対局所
的送達、年齢、体重、一般的
な健康状態、性、食餌、投与
の時間、薬物相互作用及び状態の
重症度など
に対する調節が必要とされ得る。また
、当業者によ
る定期的
な実験により確認され得る。
【0240】
本発明
による医薬組成物の活性
成分又は化合物の濃度はさらに、意図される投与計画、意図される使用期間、組成物
の全ての成分の正確な量及び比率
、並びに、当業者に知られたその他の
因子及びパラメー
タなどに合わせて調節され得る。
【0241】
本発明
による活性
物質又は
化合物は
、そのままで投与され得る
か、又は
、他の処置と
組み合わせて投与され得る。好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は
、抗ホルモン処置
、例えば、抗アンドロゲン処置と組み合わせて投与され得る。
【0242】
本発明の医薬組成物はまた、当業者に知られた
いかなる適切な保存剤を含むことができ
る。
【0243】
さらに
、本発明による
調製はまた、作用を補う又は強化するため
に抗酸化剤、フリーラジカル消
去剤、抗紅斑性剤、抗炎症剤又は抗アレルギー性剤
を有する化合物を含むことができる。
【0244】
本発明の他の
好ましい実施態様で
は、
本明細書において上で定められた医薬組成物の活性成分は、適切なキャリアタンパク質に融合させることができる。例えば、IgFcレセプタータンパク質又はポリマー性Igレセプター
に融合させることができる。好ましくは、
本明細書において上で定められたPDE4D7又は
その生物活性同
等物は
、融合タンパク質として提供され得る。融合相手はN−又はC
−末端で提供され得る。
【0245】
本発明
による医薬組成物が、
本明細書において上で定められた生細胞又は生
きた治療物の形で投与される
ことになる場合に、
形質転換され調製された細胞が、当業者に知られる
いかなる適切な形で
も患者
に投与され得る。好ましくは、生
きた治療物が
、微生物を含む組成物の形で投与され得る。例えば、
上記の乳酸菌が10
2から10
12細胞、好ましくは10
3から10
8細胞の
量で投与され得る。
【0246】
本発明のさらなる
好ましい実施態様では、医薬組成物又は
薬物中の2以上の成分の比率は
、当業者の知識により適切に調節され得る。
【0247】
適切なアッセイが場合により、本発明の医薬組成物の成分
に対する最適
な比率及び/又は投与量の範囲を
明らかにするために適用され得る。処
方に適用されるべき
、本明細書において上で定められた医薬組成物の成分間の正確な投与量とそれらの比率は、とりわけ、
投与の経
路及び疾患又は
障害の正確なタイプに依存し、
さらに、医者
の判断及びそれぞれの患者の条件
により決定されるべきである。有効
な投与量又は成分比率は、インビトロ又は(動物)モデル
の試験系から得られる
用量反応曲線から
推定されてもよい。
【0248】
典型的な投与量は、例えば、0.001から1000μgの範囲であ
り得る。しかしこの例
証的な範囲よりも下又は上
の投与量も
構想され、特に
上記の因子を考慮
して構想される。
【0249】
他の側面で本発明は、癌
、特
に前立腺
癌の治療又は予防のための
医療キットに関し、次の
要素:(a)PDE4D7の活性を直接刺激する又は
調節する化合物、好ましくはPDE4D7酵素活性のアロステリックアゴニスト;(b)PDE4D7の活性を間接的に刺激する又は
調節する化合物;(c)PDE4D7タンパク質又はそ
の生物活性同
等物;(d)PDE4D7
をコードし発現する核酸;(e)PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター;(f
)脱メチル化剤
、及
び(g
)ホスホジエステラーゼ変位因子
;を含む群から選択される少なくとも1つの要素を含む。
【0250】
医療キットは、
本明細書において上で定められた医薬組成物
の投
与に関して使用され得るものである。特に
、本発明
によるキットは
、癌
、特に前立腺癌の
治療又は予防のために使用され得る。
【0251】
医療キットの成分は、
本発明によると、ひとつ以上の容器又は別の
物質に含まれ得る。これらは好ましくは、医薬組成物又は薬物として
処方されてもよく、より好ましくは
、本発明の医薬組成物
に関して本明細書において上で記載されたものとして
処方されてもよい。例えば、これらは適切な医薬担体などを含むことができる。特に好ましくは、
本発明の医薬組成物に関して本明細書において上で記載された局所的投与のための処方である。本発明
による医療キットは場合によりまた、文書を含み、この文書には
医療キット及びその成分の
使用又は適用方法が指示されている。好ましくは、本発明の
医療キットに含まれる指示書には
、推奨される処置選択、投与計画などが含まれ
得る。
医療キットはまた、指示リーフレットを含み
、及び/又は
、使用、投与量などについて
の追加の情報を提供することができる。
【0252】
本発明の
医療キットは
、当業者に知られた
いかなる適切な投与計画によ
っても患者に投与され得る。
医療キット
又はキット成分は
、好ましくは、週に一回、より好ましくは2回、3回、4回、5回又は6回与えられ得る。最も好ましくは
、特に指示されない限り、毎日及び
/又は一日2回
或いはそれ以上
与えられ得る。治療の
進行の間に、投与は、
はるかに長い時間間隔で与えられ得る。また必要な場合
、はるかに短い時間間隔で与えら
れ、例えば、一日数回
与えられ得る。好ましい場合には、治療への応答が
、本明細書において記載の方法及び
当業者に知られる
さらなる方法
を使用してモニターされ
てもよく、それにより投与量
が、例えば
、時間、量及び/又は成分など
において最適化され得る。進展は周期的評価によりモニターされ得る。本発明は、
医療キットが
併用療法のアプローチで適用
されること
、即ち、例えば
、本明細書において上で記載された抗生物質、抗ウイルス剤又はIgG
若しくはIgA免疫グロブリン、抗癌剤
、及び
、好ましくは抗ホルモン
剤、より好ましく
は抗アンドロゲンなどの他の医薬物又は薬物と
同時投与
で適用される
ということも構想される。
【0253】
さらに具体的な側面において本発明は、
本明細書において上で定められたPDE4D7の発現の決定のための成分
を、
本明細書において上で定められた前立腺癌
、特にホルモン抵抗性前立腺癌の治療のための
医療キットの成分と
共に含むキットに関する。
【0254】
さらに、本発明の特に好ましい実施態様で、診断、検出、モニター又は予見されるべき癌
、又は
、その進展が診断、検出、モニター又は予見されるべき癌、又は
、上記の医薬組成物で
治療されるべき、
若しくは、本発明
による治療の方法により
治療されるべき癌は、前立腺癌である。
【0255】
本発明の他の特に好ましい実施態様において、診断、検出、モニター又は予見されるべき癌
、又は
、その進展が診断、検出、モニター又は予見されるべき癌、又は
、上記の医薬組成物で
治療されるべき、
若しくは、本発明
による治療の方法により
治療されるべき癌は、ホルモン抵抗性前立腺癌である。用語「ホルモン抵抗性前立腺癌」とは、前立腺癌又は前立腺癌
細胞株の成長及び増殖が
、男性性ホルモン刺激に抵抗性であることを意味する。この用語はまた、後期の前立腺癌
発生段階
に関し、ここではもはや
、本明細書において上で定められた抗ホルモン
、好ましくは抗アンドロゲン
の投与
を受け入れられない段階である。
【0256】
通常
、前立腺癌
の進展は、
内分泌制御からパラ
分泌制御まで、そして最終的には
自己分泌制御への依存性
におけるシフトを伴い、この複雑なプロセスは
、細胞制御の分子レベルで生じる変化の結果であると信じられている。この段階で
腫瘍の転移拡散の可能性があるために
、ホルモン抵抗性前立腺癌は
、本発明
、特に上記
の実施態様
による診断及び治療
に対する第
一目標である。
【0257】
以下の実施例及び図は、例示の目的で提示される。従って、これらの
実施例及び図
は限定
的であると解釈されるべきではない
ことが理解されたい。当業者は、
本明細書に説明される原理
のさらなる変更・変法について明確に想到することができる。
【実施例】
【0258】
実施例1−
ヒト細胞株及び
ヒト組織異種移植片の定量的RT−PCRアッセイ
図1(なお詳細は
、Marquesら、2006、Eur.Urol、49(2):245−57
も参照)に示される
細胞株及び
ヒト組織異種移植片からRNAを単離し、標準方法によりcDNAへ転写
した。
細胞株であるサンプル「PC346Pxenograft」から「346Flu2」
の調製されたcDNA、
及び、異種移植片であるサンプル「PC295」から「PC374」
の調製されたcDNAを、PDE4D7の発現レベル
に対して試験
した。
【0259】
qRT−PCR:材料及び方法
RNAサンプルを
、DNA汚染がないことを確認するためにDNaseで処理した。cDNA合成の前に、RNAサンプルを
、37℃でDNaseI(In Vitrogen)
により30分間処理した。1μgのRNAサンプルを
、次に、Superscript Vilo (In Vitrogen)で処理して
、qPCR分析のための第一鎖DNAを
製造業者の使用手順書に従って合成した。DNAサンプル
を、その後
、37℃でRnaseH1により30分間処理した。
【0260】
得られたDNAを最終濃度50−60ng/μlとなるように希釈し、その
うち5μlを96−穴光学反応プレートのそれぞれの
反応ウェルに添加した。
【0261】
定量的PC
R反応
を、ABI Prism7300装置を用いて、次の手順に従って15μl
の反応容量で行った。
7.5μlのPlatinum qPCR SuperMix−UDG
with ROX(InVitrogen)
2.2μlのヌクレアーゼ不含有水
0.1μlの100pmol/μlプローブ
0.1μlの100pmol/μlフォワード
プライマー
0.1μlの100pmol/μlリバースプライマー
それぞれの反応ウェルの合計容量はcDNAを含めて15μlであった。
【0262】
PCR
自体は
、次のプログラムに沿って40
サイクル以上行った。
段階 繰り返し 温度(℃) 時間
1 1 50 2秒
2 1 95 2分
3 40 95 15秒
60 1分
qRT−PCRプライマー及びプローブ(TAQMAN)
次のオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブを
、PDE4D7
に対するRT−PCR
に用いた。
長さ101の産物
を生じるために、フォワードプライマー:5’−TGCCTCTGAGGAAACACTAC−3’(配列番号3)、リバースプライマー:5’−GCTGAATATTGCGACATGAAAG−3’(配列番号4)を用いた。
【0263】
プローブとして
、配列5’−CCAGTAATGAAGAGGAAGACCCTTTCCGC−3’(配列番号5)を使用した。
【0264】
プローブセットは、PDEイソ型のユニークなN末端
領域を
標的とするように設計
した。増幅産物は、ABI Prism
技術でのTaqmanアッセイ
に対する最適範囲となるように設計
した。全てのアッセイは
、データ
完全性を最大
にするために4組で行った。GAPDH参照プローブ
も含み、
これに対して全ての
連続したデー
タを参照
させた。
【0265】
qR
T−PCR:データ分析
異なるRT−PCR実験を
基準化し比較するために、−ddCt方法
を実施
した。Ct値は、それぞれのプローブセットが比較できる
効率で指数関数的に増幅されたところ
の手動で
のカットオフ値観察によって得た。特に次のステップ
を実施
した:
(1)参照及び
関心のある遺伝子間(GAPDH
は関心のある遺伝子から差し引く)のサイクル数の
差(Ct)を計算
し、実験サンプル(ES)dCtを与えるステップ。
(2)ひとつのサンプル
を標準として選択
し、(LNCaP)(C)に対して比較
し、そのdCt
を計算
するステップ。
(3)サイクル数の
差における変化を、dCt(ES)−dCt(C)=ddCtにより誘導するステップ。
(4)最終
的な比較可能な発現値を、それぞれのサイクル後の
2倍のDN
Aを考慮して2−ddCtにより誘導し、それによりLNCaPに比較してmRNAの量を示すステップ。
【0266】
この
演算は、LNCaP(これは値1を持つ)に比べた値を与えた。即ち、1を超える
いかなる値
も、発現の増加として考慮
し、1未満の値
を発現が減少したとして考慮
した。
【0267】
従って、全てのPCR反応
の伸長効率は
特定範囲
内にあり、値1の結果を与えることが仮定さ
れた。
【0268】
異なるRT−PCR実験を
基準化し比較するため
のパーセン
テージによるアプローチ
それぞれのプローブセットにつき
、Ct(サイクル数)値
を得た。これは、指数関数相での増幅曲線を横切るベースラインを見出すことで生成
した。ベースラインは、それぞれの実験で得られた曲線により動的に生成
した。
次に、GOIのCt(横切るか
又はサイクル)値
を、GAPDH標準のCt値から差し引
いた。
【0269】
GOICt
値は常に参照遺伝子よりも大きいとして、Ct(GAPDH)−Ct(GOI)=dCtの式により
、dCt値は
、負の値と
なり、即ち−dCt値とな
った。
【0270】
それぞれのサイクルの
倍加効果に基づいて、絶対値
を、比較発現値=2−dCtにより決定
した。この計算から得られる値が非常に小さいものであることから、取り扱い上その値を1000倍した。
【0271】
この方法で得られたPDE4D7についての発現レベルが
図2から7に示され
ている。特に
図2から4には、−ddCt方法によ
り基準化された、異なる
ヒト前立腺癌
細胞株及び異種移植片(
図1)のPDE4D7cDNAの相対的発現の相違が示されている。一方
図5から7には、個人の
細胞株又は異種移植片組織材料での総PDE4D7発現に対して
基準化された異なる
ヒト前立腺癌
細胞株及び異種移植片(
図1)のPDE4D7cDNAの相対的発現の相違が示されている。
【0272】
図2から7に示されるように
、PDE4D7の発現(又は転写)レベルは、たいていのアンドロゲン依存又はアンドロゲン感受性対アンドロゲン
非依存
細胞株(
図3及び6)又は
ヒト異種移植片(
図4及び7)の間
で有意
に異なっている。
図2及び5
には、
細胞株及び異種移植片の組み合わされた結果が示されている。
【0273】
図2から7に示される結果により、
ヒト前立腺癌
細胞株および組織中のPDE4D7
の転写は、所与の細胞タイプ
におけるアンドロゲンレセプター活性の状態
に依存する。AR及びアンドロゲン/ホルモン刺激への細胞の感受性が存在する場合には、有意のPDE4D7転写
を観察
することができ、一方で活性ARが不在である場合には
、PDE4D7転写は非常に
小さく、即ち実質的に
不在である。
【0274】
実施例2−
ヒト組織サンプルを用いた定量
的RT−PCR
アッセイ
ヒトPDE4D7の相対的遺伝子発現を、ホルモン感受性/応答性
の患者からの前立腺癌組織対ホルモン
耐性/去勢
抵抗性の患者からの前立腺癌組織
において評価した。
【0275】
材料及び方法
PDE遺伝子発現実験
のqPCR測定
において使用したサンプルの詳細は
、表1にまとめられている:
【0276】
【表1】
全てのサンプルは
、男性患者(年齢52から82)から
得た。「組織」
の列は、
段階分けのための、外科
的手術中に採取された組織、前立腺
組織又はリンパ節のいずれかを示す
。「組織タイプ」
の列は
、組織切除
の方法が記載されている。特に記載されていない限り、組織は
、前立腺手術(前立腺切除)の際に切除されたものである。「TURF」とは
、Trans Urethral Resection of the Prostate(前立腺の
経尿道的切除)を示す。cDNA
パネルには
、4つのサンプルが含まれ、ホルモン感受性前立腺癌に罹っている患者からのサンプルであり、8つのサンプルはホルモン抵抗性前立腺癌に罹っている患者からのサンプルであ
り(
「ホルモン耐性状態」の列における「yes」
はホルモン抵抗性
前立腺癌を示す)、かつ
、4つのサンプルはリンパ節転移からのサンプルである。
【0277】
ヒトPDE4D7に使用されたプライマー及びプローブ
配列:
センスプライマー
配列:CGGAATGGAACCCTATCTTGTC(配列番号7)
アンチセンスプライマー
配列:TTGGTCGTTGAATGTTCTCTGAT(配列番号8)
プローブ配列:CCTCTCGCCTTCAGACAGTTGGAACAAGGAGAGG(FAM−ラベル
付き)(配列番号9
)
PDE4D7特異的プライマー(配列番号7及び8)は、FAMプローブ(配列番号9)と
予め混合
して、定量
的リアルタイムPCR(qPCR)を実施し、
さらに、製造者
の指示書(PrimerDesign、UK)により1:20
の希釈で使用した。
ヒトcDNAサンプルは
、標準
のqPCR専用、96−穴ミクロタイタ(MT)プレートに配置した。
【0278】
16の異なる患者からの16組織サンプルは
、96−穴MTプレートに配置
した。
1つのプレートあたり使用された16ウェルにはそれぞれ
、約2−3ngのRNA逆転写されたcDNAが含まれていた。
【0279】
MTプレートの使用
されたウェルのそれぞれに、15μLのApplied BiosystemsのGeneAmp mastermix(2x)、13.5μLのRNAse/DNAse不含有水
、及び
、2μLのPrimerDesign PerfectProbe primermix(PrimerDesign、UK)を添加した。
【0280】
全てのサンプルは
、次
のPCR手順
を用いて分析した:50℃で2分、95℃で10分、95℃で15秒、
蛍光を記録しながら50℃で30
秒、72℃で15秒、及び
、最後の3ステップを50回繰り返した。
【0281】
相対的遺伝子発現値の計算のために、次
の手順
を使用
した:40
若しくはそれ以上又は16未満のC
T値は
、低品質の点から除外
した(ここで試験された遺伝子は平均Ct値が約33であった)。
【0282】
C
T値を
基準化するために、次の方法
を使用された:C
T値を、較正曲線に基づき、相対的遺伝子
コピー数に変換した。較正曲線は
、cDNAの異なる希
釈につき独立して測定した。その後
、PDE4D7発現
は、ハウス
ホールド遺伝子(グリセ
ルアルデヒド−3−
リン酸−デヒドロゲナーゼ(GAPDH)及びポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD))の平均
コピー数でPDE4D7
コピー数を割り算する
こととする。
【0283】
リンパ節
切除組織サンプルを含む、
ヒト前立腺組織(ホルモン応答性対ホルモン抵抗性)
におけるヒトPDE4D7の相対的発現
ヒトPDE4D7イソ型の遺伝子発現レベルは
、上で記載のように
ヒト前立腺組織
に対して決定
した。相対
的発現レベルは
、2つの既定の前立腺組織
において決定
した:「ホルモン応答性」及び「ホルモン耐性」である。
ヒトPDE4D7発現状態の初期
調査のために、一次前立腺癌サンプルと共にリンパ節
切除組織サンプルも含
めた。
【0284】
リンパ節
切除組織サンプルは、一次腫瘍からセンチネルリンパ節へ伝搬され
るに従い侵入的に成長することで特徴付けされる。この意味で、これらのサンプルは
、一次腫瘍細胞とは分子的見地から相違するものであり、制御されない増殖ではあるがなお一次臓器内で成長する
ことで特徴
付けされる。侵入性成長は
、より
侵襲性の成長の振る舞いを意味するが、これはまたホルモン耐性前立腺癌組織にも見られる。
【0285】
スチューデントtテストを実施し、
ヒトPDE4D7遺伝子発現が、ホルモン応答性
ヒト前立腺組織と比較してホルモン抵抗性腫瘍組織において
、平均
して、わずかに減少しているかどうかを調
べた。
【0286】
図8及び9から分かるように、ホルモン抵抗性腫瘍
における発現は、一般に減少する。しかし
、ホルモン感受性前立腺腫瘍
のグループ
における発現からは容易には区別
することはできない。試験された
組織タイプ間での
平均のPDE4D7発現
の差は、従って有意ではないこと
を見出
した(p−値=0.22)。
【0287】
この結果は、グループ1の分析に含まれるサンプルの
一部分のより
侵襲性の振る舞いにより説明可能であると思われる。次のことが
推測される。
侵襲性の疾患がすでに
、アンドロゲン
に対する応答
性を失っている腫瘍細胞中に存在し
、ホルモン耐性又はホルモン抵抗性の振る舞い
の特徴が
本質的に
侵襲性の腫瘍に含まれている
ように存在する、ということである。これらの細胞は従って、アンドロゲン
欠乏条件で選択されると考えられる。このことは、なぜかかる組織タイプが
ヒトPDE4D7
の発現レベルを
減少させる傾向が
すでにあり、これにより標準
Tテストで有意
性が少ないp−値となるかを説明するものと思われる。従って、リンパ節切除
組織サンプルの状態を正しく決定することの難しさ、即ち
、これらの腫瘍にはすでにある程度のホルモン抵抗性腫瘍細胞集団
が含
まれていること
を排除することができないという事実が、得られた結果を引き出したものであ
り得る。
【0288】
リンパ節切除組織サンプルを除いた、
ヒト前立腺組織(ホルモン応答性対ホルモン抵抗性)
におけるヒトPDE4D7
の相対的発現
この問題を
回避するために、相対的発現レベル
を、2つの既定の組織
において決定
した:「ホルモン応答性」及び「ホルモン耐性」であり、ここで
、ヒトPDE4D7発現の調査に対して、一次前立腺癌サンプルのみ
を含めた。即ち
、リンパ節切除からの全てのサンプル
を除外
した。
【0289】
スチューデント
Tテストを実施して、
ヒトPDE4D7遺伝子発現が、ホルモン応答性
ヒト前立腺組織に比較してホルモン抵抗性腫瘍組織中で平均して有意に減少するかどうかを見た。
【0290】
図10及び11から分かるように、ホルモン抵抗性前立腺腫瘍
における発現は減少し、ホルモン感受性前立腺腫瘍グループ
における発現から容易に区別できる。2つの組織間(ホルモン抵抗性腫瘍組織対ホルモン感受性腫瘍組織)
での平均
のPDE4D7発現
の差は有意であった(p=0.032)。
【0291】
図10及び11は、ホルモン抵抗性前立腺腫瘍
におけるPDE4D
7発現が一般的に、ホルモン感受性
前立腺腫瘍に比較して減少することを示す。従って、cAMP−PDE活性の減少
したレベルは、
増強された細胞増
殖に対して有利であることを結論する。次のことは長い間
推測されてきたことである。即ち、アンドロゲンレセプター遺伝子の変異又は遺伝子増幅に続いて、他の細胞シグナル経路
の活性化が
、ホルモン応答性からホルモン
非依存性細胞成長
への
移行を支持することができる、ということである。cAMP−PKA経路は、ホルモン関連成長の
移行を意味するとされてきた経路の一つである。ホルモン感受性からホルモン耐性
ヒト前立腺組織へのPDE4D7発現の変化はこの
見解を支持する。
【0292】
実施例3−PC3増幅に対
するPDE4D7発現の効果
アンドロゲン非依存性
細胞株の増殖に
対するヒトPDE4D7の
異種性の発現の効果を試験するために、いくつかの遺伝子構築物
をPC3細胞に
遺伝子導入し、コントロール
処理した細胞株と比較して細胞成長を試験した。コントロールとして
、無処理のPC3細胞、PDE4D7のドミナントネガティブ
な形
態を用いて遺伝子導入されたPC3
細胞(ここでPDE4D7の触媒活性は
、PDE4D7のコード配列の遺伝子変異によりノックアウトされている
)、同様に、PDE4D1などのPDE4
Dファミリの異なるイソ型
を用いて遺伝子導入したPC3
細胞を使用した。
【0293】
PC3細胞は
、L−グルタミン(最終濃度2mM)及びPenStrep (1%)で補助されたRPMI 1640中
の5%CO2、37C、5%Foetal Bovine Serumにて成長させた。PC3細胞は
、96穴ウェルプレート(MTP)のウェル当たり5000細胞
の濃度で
播種した。
関心のある遺伝子(PDE4D7、ドミナントネガティブPDE4D7及びPDE4D1)
に対する遺伝子導入複合物は、Fugene6Transfection試薬を
製造者の指示書
に従って用いて形成した。
関心のある遺伝子それぞれにつき、約25の独立した
遺伝子導入を、試験の統計的精度を上げるために実施
した(それぞれのバーは、約25の独立した測定を表す)。
【0294】
4時間の
最初のプレーティング時間の後、
遺伝子導入複合体
を成長培地に添加
し、
細胞を60時間増殖さ
せ、その後
、PromegaMTT化合物
を添加
した。細胞増殖
を調査するためのMTTアッセイ手順は
製造者の指示書に従った。
【0295】
吸光度の読み取りを、MithrasLB940プレート読取システムを用い
て行った。
1秒の読み取りを各ウェルから取得した。
【0296】
上記の実験で
実証されるように、アンドロゲン非依存性前立腺癌
細胞株PC3における
ヒトPDE4D7
異種性発現は、インビボでの増殖に対し負の効果を示した。選択された条件での細胞増殖は、無処理の細胞
、PDE4D7の不活性の形態を用いて遺伝子導入された細胞に比較して
、同様に、PDE4D1発現に比較して、ヒトPDE4D7
の発現
によって合計
約15%抑止された。この効果は統計的に有意であった(無処理のPC3に比較してp<0.001)。
【0297】
この実験により、
ヒトPDE4D7の活性
化は、アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞の
細胞増殖に
対して抑制効果があることが
実証されている。細胞増殖
に対する観測された効果は
、統計的に高度
に有意である。
【0298】
実験に使用された
遺伝子導入の
一過性の様式により(即ち、
遺伝子導入の効率に多かれ少なかれ依存して、より少ないPC3が
遺伝子導入され
、従ってPDE酵素を過剰発現する)、より高い
一過性の遺伝子導入の効率がPC3細胞
において達成されると
、より高いレベルの細胞増殖の抑制
に達することができると予想される。
【0299】
本出願は、次のさらなる実施態様の事項を含む:
1.癌
に対するマーカーとして使用するホスホジエステラーゼ4D7(PDE4D7)。
2.癌又は癌
の進展の診断、検出、モニタ
リング又は予見のための組成物であり、PDE4D7発現生成物又はタンパク質
に対する核酸親和性リガンド及び/又はペプチド親和性リガンドを含む、組成物。
3.事項2
に記載の組成物であり、
上記核酸親和性リガンド又はペプチド親和性リガンドが
、造影剤として機能するように変性されている、組成物。
4.事項2
に記載の組成物であり、
上記親和性リガンドが
、PDE4D7発現生成物
に特異的なオリゴヌクレオチド
のセット、PDE4D7発現生成物
に特異的なプローブ、PDE4D7発現生成物又はPDE4D7タンパク質
に特異的
なアプタマー、PDE4D7タンパク質
に特異的
な抗体及び/又はPDE4D7タンパク質
に特異的
な抗体変異体である、組成物。
5.PDE4D7の、癌又は癌
の進展の診断、検出、モニタ
リング又は予見のため
のマーカーとしての使用。
6.癌又は癌
の進展の診断、検出、モニタ
リング又は予見のため
の方法であり、少なくとも
、サンプル中のPDE4D7のレベルを決定するステップを含む、方法。
7.事項6に記載の方法であり、
上記決定
するステップが、核酸又はタンパク質レベルの
測定により、又は
、PDE4D7の生物活性
の決定により遂行される
、方法。
8.事項7に記載の方法であり、
上記方法が、
上記測定された核酸又はタンパク質レベル
、又は
、上記測定された生物活性をコントロールレベルと比較するステップをさらに含む、方法。
9.データ取得方法であり、少なくとも次のステップ:
(a)PDE4D7の発現
について個人
を試験するステップ;
(b)ステップ(a)で決定された
上記発現
を、コントロールレベルと比較するステップ
;
を含む、方法。
10.事項2
に記載の使用、又は
、事項6乃至9のいずれかひとつ
に記載の方法であり、
上記診断、検出、モニタ
リング、予見又はデータ取得が
、個人から得られたサンプルで実施される
ことになる、
使用又は方法。
11.癌又は癌
の進展の診断、検出、モニタ
リング又は予見のためイムノアッセイであり、少なくとも次のステップ:
(a)PDE4D7
の発現につき個人から得られたサンプル
を試験するステップ;
(b)PDE4D7
の発現につきコントロールサンプル
を試験するステップ;
(c)ステップ(a)及び(b)のPDE4D7
の発現の差を決定するステップ;及び
(d)ステップ(c)で得られた結果に基づいて、癌又は癌の進展の存在又は段階を決定するステップ
;
を含
み、上記試験するステップは、PDE4D7に特異的に結合する抗体の使用に基づく、イムノアッセイ。
12.事項10に記載の
使用若しくは方法
、又は
、事項11に記載のイムノアッセ
イであり、
上記サンプルが組織サンプル、尿サンプル、
尿沈査サンプル、血液サンプル、唾液サンプル、精液サンプル又は循環腫瘍細胞を含むサンプルである、使用
若しくは方法
、又は、イムノアッセイ。
13.少なくとも一つの成分を含む医薬組成物であり、
上記成分が:
(a)PDE4D7の活性を直接刺激するか
又は調節する化合物、好ましくはPDE4D7酵素活性
のアロステリックアゴニスト;
(b)PDE4D7の活性を間接的に刺激するか
又は調節する化合物;
(c)PDE4D7タンパク質又はその生物活性同
等物;
(d)PDE4D7
をコードし、発現する核酸;
(e)PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター;
(f)脱メチル化剤;及び
(g)ホスホジエステラーゼ変位因子、好ましくはペプチド、ペプチド
模倣体、小分子、抗体又はアプタマー
;
を含む群から選択される、組成物。
14.癌の治療又は予防のための医薬組成物であ
り:
(a)PDE4D7の活性を直接刺激するか
又は調節する化合物、好ましくはPDE4D7酵素活性
のアロステリックアゴニスト;
(b)PDE4D7の活性を間接的に刺激するか
又は調節する化合物;
(c)PDE4D7タンパク質又はその生物活性同
等物;
(d)PDE4D7
をコードし、発現する核酸;
(e)PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター;
(f)脱メチル化剤;及び
(g)ホスホジエステラーゼ変位因子、好ましくはペプチド、ペプチド
模倣体、小分子、抗体又はアプタマー
;
を含む群から選択される
少なくとも1つの成分を含む、医薬組成物。
15.癌の治療又は予防のための医薬組成物の
調製のための、
(a)PDE4D7の活性を直接刺激するか
又は調節する化合物、好ましくはPDE4D7酵素活性
のアロステリックアゴニスト;
(b)PDE4D7の活性を間接的に刺激するか
又は調節する化合物;
(c)PDE4D7タンパク質又はその生物活性同
等物;
(d)PDE4D7
をコードし、発現する核酸;
(e)PDE4D7miRNA
に特異的
なmiRNAインヒビター;
(f)脱メチル化剤;及び
/又は
(g)ホスホジエステラーゼ変位因子、好ましくはペプチド、ペプチド
模倣体、小分子、抗体又はアプタマー
;
の使用。
16.事項1
に記載のホスホジエステラー
ゼ、事項2乃至4のいずれかに記載の組成物、事項5、10又は1
2に記載の
使用、
事項6乃至10又は12のいずれかに記載の方法、事項11又は1
2に記載のイムノアッセイ、事項13又は14に記載の医薬組成物、又は事項15に記載の使用であり、
上記癌が前立腺癌である、ホスホジエステラーゼ、使用、組成物、方法、イムノアッセイ又は医薬組成物。
17.事項16に記載のホスホジエステラーゼ、使用、組成物、方法、イムノアッセイ又は医薬組成物であり、
上記前立腺癌がホルモン抵抗性前立腺癌である、ホスホジエステラーゼ、使用、組成物、方法、イムノアッセイ又は医薬組成物。