(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明の一態様を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0025】
図1は、本実施形態に係る熱交換器の一例を示す概略斜視図である。熱交換器1は、
図1に示すようにチューブ2とアウタフィン3とを交互に複数積層した積層体4を備える。熱交換器1は、例えば、エバポレータ、ヒーターコア又はヒートポンプサイクルのエバポレータ・ヒーターコア兼用の熱交換器である。
【0026】
チューブ2の長手方向の一方の端部は、一方のタンク部5aを有し、チューブ2の長手方向の他方の端部は、他方のタンク部5bを有する。チューブ2は、内部に冷媒通路(不図示)を更に有する。冷媒通路は、一方のタンク部5a及び他方のタンク部5bに連通する。一方のタンク部5a及び他方のタンク部5bは、冷媒を各チューブ2内の冷媒通路に分配し、収集する。
【0027】
チューブ2のうち2本以上は、内部に貯蔵部(不図示)を更に有する。貯蔵部は、蓄熱材を貯蔵できる。また、貯蔵部は、冷媒通路に連通しない。
【0028】
アウタフィン3は、例えばアルミニウム合金又は銅合金よりなる、波状に曲折された薄板のコルゲートタイプである。本発明は、アウタフィン3の構造に制限されない。
【0029】
積層体4は、チューブ2を、アウタフィン3を挟んで複数積層して形成される。積層体4では、チューブ2内の冷媒通路を通過する冷媒又は蓄熱材と、アウタフィン3を通過する送風空気との間で熱移動が生じる。本発明は、チューブ2及びアウタフィン3の数に制限されない。
【0030】
積層体4は、貯蔵部を含む、互いに連通しない複数の充填空間(不図示)を有する。各充填空間は、例えば、蓄熱材が充填された空間と蓄熱材が充填されていない空間とするか、又はそれぞれ異なる種類の蓄熱材が充填された空間とすることができる。
【0031】
次に、チューブ2を形成する各プレートについて説明する。
【0032】
図2は、第一例の閉塞プレートの一例を示す正面図である。第一例の閉塞プレート110は、アルミニウム合金又は銅合金などの金属製であり、例えば、略方形の外形を有する。第一例の閉塞プレート110は、
図2に示すように、中間プレートを挟む側の面(
図2に図示した面)111に、閉塞プレート110の周囲に設けられた周壁112と閉塞プレート110の長手方向に沿って並列に設けられた二対の仕切壁113(113a,113b)とを有する。仕切壁113(113a,113b)は、例えば、正面視で波線状である。
図2では、仕切壁113(113a,113b)を二対設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば、仕切壁113(113a,113b)を一対設けるか、又は仕切壁113(113a,113b)を三対以上設けてもよい。
【0033】
周壁112及び仕切壁113(113a,113b)は、1枚の金属板をプレス加工することによって形成することが好ましい。
【0034】
第一例の閉塞プレート110は、対をなす仕切壁113(113a,113b)の間に形成された窪みである冷媒通路114と、中央2本の仕切壁113bの間に形成された窪みである中央貯蔵部115と、両脇の仕切壁113a及び周壁112の間に形成された窪みである端貯蔵部116とを有する。中央貯蔵部115及び端貯蔵部116は冷媒通路114の周囲に沿って配置されるため、冷媒通路114内の冷媒と中央貯蔵部115及び端貯蔵部116内の蓄熱材との間で効率的な熱移動が可能となる。
【0035】
第一例の閉塞プレート110は、一方の端部及び他方の端部に、冷媒通路114と連通する貫通孔117を有する。
【0036】
第一例の閉塞プレート110は、一方の端部及び他方の端部に、中央貯蔵部115と連通する貫通孔118を有する。
【0037】
図3は、第二例の閉塞プレートの一例を示す部分拡大した正面図である。
図4は、第三例の閉塞プレートの一例を示す部分拡大した正面図である。
図5は、第四例の閉塞プレートの一例を示す部分拡大した正面図である。
図6は、第五例の閉塞プレートの一例を示す部分拡大した正面図である。次に、第二例〜第五例の閉塞プレート120,130,140,150について、それぞれ図面を参照しながら説明する。第二例〜第五例の閉塞プレート120,130,140,150は、中央貯蔵部115の両端部の構造以外は、基本的な構造及び材質を
図2に示す第一例の閉塞プレート110と同じくする。このため、第一例の閉塞プレート110と共通する部分については説明を省略し、相違する部分についてだけ説明する。
図3〜
図6では、閉塞プレートの長手方向の中央部分を省略している。また、
図3〜
図6では、第一例の閉塞プレート110と共通する部分には、
図2と共通の符号を付した。
【0038】
第二例の閉塞プレート120は、
図3に示すように、一方の端部に、中央貯蔵部125と連通する貫通孔118を有し、他方の端部に、中央貯蔵部125と連通しない貫通孔128を有する。
【0039】
第三例の閉塞プレート130は、
図4に示すように、一方の端部及び他方の端部に、中央貯蔵部135と連通する凹部138を有する。なお、凹部138と貫通孔118,128とは、凹部138が孔をあけない点で相違する。
【0040】
第四例の閉塞プレート140は、
図5に示すように、一方の端部及び他方の端部に、中央貯蔵部145と連通しない貫通孔128を有する。
【0041】
第五例の閉塞プレート150は、
図6に示すように、一方の端部及び他方の端部に、中央貯蔵部155と連通しない凹部158を有する。なお、凹部158と貫通孔118,128とは、凹部138が孔をあけない点で相違する。
【0042】
図7は、中間プレートの一例を示す正面図である。中間プレート200は、アルミニウム合金又は銅合金などの金属製であり、閉塞プレート110と同一の外形を有する。
【0043】
中間プレート200は、
図2に示す閉塞プレート110の貫通孔117に対応する位置に、貫通孔207を有する。また、中間プレート200は、
図2に示す閉塞プレート110の貫通孔118に対応する位置に、貫通孔208を有する。
【0044】
中間プレート200は、第1の孔201、第2の孔202、第3の孔203及び第4の孔204を有することが好ましい。本発明は、各孔の個数に制限されない。また、
図3では、第1の孔201、第2の孔202及び第4の孔204は円形であり、第3の孔203は長方形であるが、本発明は、各孔201,202,203,204の形状に制限されない。
【0045】
中間プレート200では、各孔を、1枚の金属板を打抜き加工によって形成することが好ましい。
【0047】
図8は、第1チューブの構造を説明するための図である。第1チューブは、
図8に示す中間プレート200を第1閉塞プレート110Aと第2閉塞プレート110Bとの間に挟んだ構造を有する。第1チューブでは、第1閉塞プレート110A及び第2閉塞プレート110Bは、いずれも
図2に示す第一例の閉塞プレート110である。第1チューブは、
図8に示す第1閉塞プレート110Aの周壁112及び仕切壁113の頂部を中間プレート200の一方の面に当接し、かつ、第2閉塞プレート110Bの周壁112及び仕切壁113の頂部を中間プレート200の他方の面に当接して、各プレート同士をろう付け(接合)することによって形成する。
【0048】
図9は、第1チューブの冷媒通路及びタンク部だけを図示した図である。冷媒通路114は、第1冷媒通路114A及び第2冷媒通路114Bを備える。第1冷媒通路114Aは、
図8に示す第1閉塞プレート110Aと中間プレート200との間に形成される。また、第2冷媒通路114Bは、
図8に示す第2閉塞プレート110Bと中間プレート200との間に形成される。第1冷媒通路114Aと第2冷媒通路114Bとは、互いに逆位相を有する。第1冷媒通路114Aと第2冷媒通路114Bとの重なり部分に、
図7に示す中間プレート200の第1の孔201を配置することで、第1冷媒通路114Aと第2冷媒通路114Bとの間で冷媒の流通が可能となる。
【0049】
タンク部5a,5bは、
図2に示す閉塞プレート(第1閉塞プレート)110の貫通孔117と、
図7に示す中間プレート200の貫通孔207と、
図2に示す閉塞プレート(第2閉塞プレート)110の貫通孔117とを重ねて形成される。
【0050】
図10は、第1チューブの貯蔵部及びその両端部だけを図示した図である。第1チューブは、貯蔵部として中央貯蔵部115と端貯蔵部116とを有する。
【0051】
中央貯蔵部115は、第1中央貯蔵部115A及び第2中央貯蔵部115Bを備える。第1中央貯蔵部115Aは、第1閉塞プレートと中間プレートとの間に形成される。また、第2中央貯蔵部115Bは、第2閉塞プレートと中間プレートとの間に形成される。第1中央貯蔵部115Aと第2中央貯蔵部115Bとは、互いに逆位相を有する。第1中央貯蔵部115Aと第2中央貯蔵部115Bとの重なり部分に、
図7に示す中間プレート200の第2の孔202を配置することで、第1中央貯蔵部115Aと第2中央貯蔵部115Bとの間で蓄熱材の流通が可能となる。
【0052】
中央貯蔵部115の一方の端部及び他方の端部には、充填部6が設けられる。充填部6は、
図2に示す第一例の閉塞プレート(第1閉塞プレート)110の貫通孔118と、
図7に示す中間プレート200の貫通孔208と、
図2に示す第一例の閉塞プレート(第2閉塞プレート)110の貫通孔118とを重ねて形成される。このため、充填部6は、中央貯蔵部115と連通するとともに両隣に積層するチューブとも連通する。
【0053】
端貯蔵部116は、第1端貯蔵部116A及び第2端貯蔵部116Bを備える。第1端貯蔵部116Aは、第1閉塞プレートと中間プレートとの間に形成される。また、第2端貯蔵部116Bは、第2閉塞プレートと中間プレートとの間に形成される。第1端貯蔵部116Aは第2中央貯蔵部115B及び第2端貯蔵部116Bに端部を重ねた状態で配置される。また、第2端貯蔵部116Bは第1中央貯蔵部115A及び第1端貯蔵部116Aに端部を重ねた状態で配置される。第1端貯蔵部116Aと第2中央貯蔵部115Bとの重なり部分及び第2端貯蔵部116Bと第1中央貯蔵部115Aとの重なり部分に、
図7に示す中間プレート200の第3の孔203を配置することで、第1端貯蔵部116Aと第2中央貯蔵部115Bとの間及び第2端貯蔵部116Bと第1中央貯蔵部115Aとの間で蓄熱材の流通が可能となる。第1端貯蔵部116Aと第2端貯蔵部116Bとの重なり部分に、
図7に示す中間プレート200の第4の孔204を配置することで、第1端貯蔵部116Aと第2端貯蔵部116Bとの間で蓄熱材の流通が可能となる。
【0054】
図11は、第1チューブの模式図である。
図11は、次のルールに準じて、
図10に示す中央貯蔵部115及びその両端部を単純化した図である。
図11において、ダンベル形状は、
図10の中央貯蔵部115及びその両端部を表す。上端及び下端の突状部分は、
図10の中央貯蔵部115の一方の端部及び他方の端部を表し、第1チューブ11では、いずれも充填部6である。塗りつぶされていない丸Oは、隣に積層するチューブに連通することを意味する。また、ダンベル形状を縦断する点線は、中間プレート200を表す。点線よりも左側が
図10の第1中央貯蔵部115Aを表し、点線よりも右側が
図10の第2中央貯蔵部115Bを表す。
【0055】
図12は、第2チューブの模式図である。
図13は、第3チューブの模式図である。
図14は、第4チューブの模式図である。
図15は、第5チューブの模式図である。次に、第2チューブ〜第5チューブについて、模式図を用いて説明する。
図12〜
図15に示す模式図は、
図11に示す模式図と共通のルールで作成している。このため、
図11で説明したルールについては説明を省略し、新たに登場するルールについてだけ説明する。
【0056】
第2チューブ12は、第1閉塞プレート及び第2閉塞プレートとしていずれも
図3に示す第二例の閉塞プレート120を用いたチューブである。
図12において、塗りつぶした四角Tは、中央貯蔵部125と連通していないことを意味する。
【0057】
第2チューブ12は、一方の端部に充填部6を有し、他方の端部に連絡部7を有する。充填部6は、
図3に示す第二例の閉塞プレート(第1閉塞プレート)120の貫通孔118と、
図7に示す中間プレート200の貫通孔208と、
図3に示す第二例の閉塞プレート(第2閉塞プレート)120の貫通孔118とを重ねて形成される。このため、充填部6は、中央貯蔵部125と連通するとともに両隣に積層するチューブとも連通する。また、連絡部7は、
図3に示す第二例の閉塞プレート(第1閉塞プレート)120の貫通孔128と、
図7に示す中間プレート200の貫通孔208と、
図3に示す第二例の閉塞プレート(第2閉塞プレート)120の貫通孔128とを重ねて形成される。このため、連絡部7は、中央貯蔵部125と連通せずに両隣に積層するチューブと連通する。
【0058】
第3チューブ13は、第1閉塞プレートとして
図4に示す第三例の閉塞プレート130を用い、第2閉塞プレートとして
図2に示す第一例の閉塞プレート110を用いたチューブである。
図13において、塗りつぶした丸Fは、隣に積層するチューブに連通しないことを意味する。
【0059】
第3チューブ13は、一方の端部及び他方の端部に、第1閉塞部8を有する。第1閉塞部8は、
図4に示す第三例の閉塞プレート(第1閉塞プレート)130の凹部138と、
図7に示す中間プレート200の貫通孔208と、
図2に示す第一例の閉塞プレート(第2閉塞プレート)110の貫通孔118とを重ねて形成される。このため、第1閉塞部8は、貯蔵部115,135と連通するとともに両隣に積層するチューブのうち片方だけ(第三例の閉塞プレート側)に連通しない。
【0060】
第4チューブ14は、第1閉塞プレート及び第2閉塞プレートとしていずれも
図5に示す第四例の閉塞プレート140を用いたチューブである。
【0061】
第4チューブ14は、一方の端部及び他方の端部に連絡部7を有する。連絡部7は、
図5に示す第四例の閉塞プレート(第1閉塞プレート)140の貫通孔128と、
図7に示す中間プレート200の貫通孔208と、
図5に示す第四例の閉塞プレート(第2閉塞プレート)140の貫通孔128とを重ねて形成される。このため、連絡部7は、中央貯蔵部145と連通せずに両隣に積層するチューブと連通する。また、第4チューブ14は、
図14に示すように中央貯蔵部145が空洞であるか、又は中央貯蔵部145を有さなくてもよい。中央貯蔵部145を有さない形態は、例えば、
図5に示す仕切壁113bを中央貯蔵部145を設けた部分まで拡張する形態である。中央貯蔵部145を有さないとき、連絡部7は、単に「両隣に積層するチューブと連通する」部分である。
【0062】
第5チューブ15は、第1閉塞プレートとして
図6に示す第五例の閉塞プレート150を用い、第2閉塞プレートとして
図5に示す第四例の閉塞プレート140を用いたチューブである。
【0063】
第5チューブ15は、一方の端部及び他方の端部に、第2閉塞部9を有する。第2閉塞部9は、
図6に示す第五例の閉塞プレート(第1閉塞プレート)150の凹部158と、
図7に示す中間プレート200の貫通孔208と、
図5に示す第四例の閉塞プレート(第2閉塞プレート)140の貫通孔128とを重ねて形成される。このため、第2閉塞部9は、貯蔵部145,155と連通せずに両隣に積層するチューブのうち片方だけ(第五例の閉塞プレート側)に連通しない。また、第5チューブ15は、
図15に示すように中央貯蔵部145,155が空洞であるか、又は中央貯蔵部145,155を有さなくてもよい。中央貯蔵部145,155を有さない形態は、例えば、
図5及び
図6に示す仕切壁113bを中央貯蔵部145,155を設けた部分まで拡張する形態である。中央貯蔵部145,155を有さないとき、第2閉塞部9は、単に「両隣に積層するチューブのうち片方だけに連通しない」部分である。
【0064】
次に、本実施形態に係る熱交換器の製造方法を説明する。本実施形態に係る熱交換器の製造方法は、チューブを、アウタフィンを挟んで複数積層して、貯蔵部を含む、互いに連通しない複数の充填空間を形成する充填空間形成工程と、充填空間の少なくとも1個に蓄熱材を充填する充填工程とを備える。充填空間形成工程には、チューブとアウタフィンとを適宜積層したのち、ろう付けして接合する工程を含む。
【0065】
チューブは、第1チューブ11、第2チューブ12及び第3チューブ13のうち少なくともいずれか一種を含むことが好ましい。
【0066】
図16は、第1チューブ及び第3チューブを用いた熱交換器の第一例を示す模式図であり、(a)は蓄熱材の充填を開始前の状態、(b)は蓄熱材の充填をしている途中の状態、(c)は蓄熱材の充填を完了した状態を示す。以降、
図11〜
図15のチューブの模式図を用いて、チューブの積層状態を示す。チューブは、
図16に示すように、第1チューブ及び第3チューブを含むことが好ましい。
【0067】
まず、
図16(a)に示すように、第1チューブ11を複数積層し、複数積層した第1チューブ11の間に、1本の第3チューブ13を配置する。そうすると、充填空間は、第3チューブ13の左側に積層した第1チューブ11からなる第1空間S1と第3チューブ13及び第3チューブの右側に積層した第1チューブ11からなる第2空間S2とに分割される。
【0068】
次に、
図16(b)に示すように、第1空間S1に、チューブの長手方向の一方の端部(
図16(b)の左上側)L1から第1蓄熱材Aを充填し、第2空間S2に、チューブの長手方向の一方の端部(
図16(b)の右上側)R1から第2蓄熱材Bを充填する。本発明は蓄熱材を充填する順番に制限されず、第1空間S1、第2空間S2の順に充填するか、第2空間S2、第1空間S1の順に充填するか、又は第1空間S1及び第2空間S2に同時に充填してもよい。
【0069】
本実施形態に係る熱交換器の製造方法では、充填工程は、充填空間の圧力を下げる排気工程と、排気工程によって負圧にした充填空間に蓄熱材を充填する工程と、を有することが好ましい。充填空間を排気する方法は、特に制限はないが、例えば、真空ポンプによる方法である。充填空間を負圧にすることで、蓄熱材をより効率的に充填することができる。ここで、負圧とは、圧力が大気圧よりも低いことをいう。
【0070】
図16(c)に示すように、2種類の蓄熱材A,Bを配置することができる。
図16では、第1空間S1及び第2空間S2の両方に蓄熱材を充填した形態を示したが、第1空間S1又は第2空間S2のいずれか一方に蓄熱材を充填せず、空にしてもよい。なお、蓄熱材を充填した後は、チューブの長手方向の一方の端部L1及びR1などを接着剤等で埋めて、蓄熱材が流れ出ることを防止することが好ましい。
【0071】
図17は、第1チューブ及び第3チューブを用いた熱交換器の第二例を示す模式図であり、(a)は蓄熱材の充填を開始前の状態、(b)は蓄熱材の充填をしている途中の状態、(c)は蓄熱材の充填を完了した状態を示す。まず、
図17(a)に示すように、第1チューブ11を複数積層し、複数積層した第1チューブ11の間に、2本の第3チューブ13をそれぞれ間隔をあけて配置する。そうすると、充填空間が、第3チューブ及び第3チューブ13の左側に積層した第1チューブ11からなる第1空間S1と、2本の第3チューブ13間に積層した第1チューブ11からなる第2空間S2と、第3チューブ13及び第3チューブの右側に積層した第1チューブ11からなる第3空間S3とに分割される。次に、
図17(b)に示すように、第1空間S1に、チューブの長手方向の一方の端部(
図17(b)の左上側)L1から蓄熱材Aを充填し、第3空間S3に、チューブの長手方向の一方の端部(
図17(b)の右上側)R1から蓄熱材Aを充填する。
図17(c)に示すように、蓄熱材Aを充填した第1空間S1及び第3空間S3と蓄熱材を充填していない第2空間S2とを交互に配置することができる。
【0072】
本発明は蓄熱材を充填する順番に制限されない。蓄熱材を充填する順番は、第1空間S1、第2空間S2の順に充填するか、第2空間S2、第1空間S1の順に充填するか、又は第1空間S1及び第2空間S2に同時に充填してもよい。また、
図17では、第1空間S1及び第3空間S3に同じ種類の蓄熱材Aを充填した形態を示したが、第1空間S1又は第3空間S3のいずれか一方に、蓄熱材Aとは異なる種類の蓄熱材を充填してもよい。
【0073】
図18は、第1チューブ、第2チューブ及び第3チューブを用いた熱交換器の第一例を示す模式図であり、蓄熱材の充填を完了した状態を示す。チューブは、
図18に示すように、第1チューブ11、第2チューブ12及び第3チューブ13を含むことが好ましい。まず、
図18に示すように、第2チューブ12を、充填部6と連絡部7とを交互に配置して複数積層し、第1チューブ11を複数積層し、第2チューブ12及び第1チューブ11の間に第3チューブ13を配置する。そうすると、充填空間が、第2チューブ12からなる第1空間S1及び第2空間S2と第3チューブ13及び第1チューブ11からなる第3空間S3とに分割される。次に、第1空間S1に、チューブの長手方向の一方の端部(
図18の左上側)L1から第1蓄熱材Aを充填し、第2空間S2に、チューブの長手方向の他方の端部(
図18の左下側)L2から第2蓄熱材Bを充填し、第3空間S3に、チューブの長手方向の一方の端部(
図18の右上側)R1から第3蓄熱材Cを充填する。そうすると、3種類の蓄熱材A,B,Cを配置することができる。
【0074】
本発明は蓄熱材を充填する順番に制限されない。蓄熱材を充填する順番は、例えば、第1空間S1、第2空間S2、第3空間S3の順に充填するか、第2空間S2、第1空間S1、第3空間S3の順に充填するか、第3空間S3、第2空間S2、第1空間S1の順に充填するか、第1空間S1、第2空間S2及び第3空間S3のうち一つ又は二つの充填空間に同時に充填した後、残りの充填空間に充填するか、又は第1空間S1、第2空間S2及び第3空間S3をすべて同時に充填してもよい。また、
図18に示す熱交換器は、第1空間S1、第2空間S2又は第3空間S3のいずれか一つ又は二つに蓄熱材を充填せず、空にしてもよい。また、
図18に示す熱交換器は、第1空間S1、第2空間S2又は第3空間S3の中から選択した二つの充填空間に、同じ種類の蓄熱材を充填してもよい。二つの充填空間に同じ種類の蓄熱材を充填する形態は、例えば、第1空間S1及び第3空間S3に第1蓄熱材Aを充填し、第2空間S2に第2蓄熱材Bを充填する形態、第2空間S2及び第3空間S3に第1蓄熱材Aを充填し、第1空間S1に第2蓄熱材Bを充填する形態、第1空間S1及び第2空間S2に第1蓄熱材Aを充填し、第3空間S3に第2蓄熱材Bを充填する形態である。
【0075】
図18では、第1空間S1の貯蔵部と第2空間S2の貯蔵部とが交互に配置された形態を示したが、本発明はこれに限定されない。
図18に示す熱交換器において、第2チューブ12のうち少なくとも1本を上下逆に配置する変形を行うと、貯蔵部の所属が第1空間S1から第2空間S2に又は第2空間S2から第1空間S1に変わる。そうすると、第1空間S1の貯蔵部を並べて配置したり、第2空間S2の貯蔵部を並べて配置したりすることができる。
【0076】
図19は、第2チューブを用いた熱交換器の第一例を示す模式図であり、(a)は蓄熱材の充填を開始前の状態、(b)は蓄熱材の充填をしている途中の状態、(c)は蓄熱材の充填を完了した状態を示す。チューブは、
図19に示すように、第2チューブ12を含むことが好ましい。まず、
図19(a)に示すように、第2チューブ12を、充填部6及び連絡部7を交互に配置して複数積層する。そうすると、充填空間が、第1空間S1及び第2空間S2に分割される。次に、
図19(b)に示すように、第1空間S1に、チューブの長手方向の一方の端部(
図19(b)の右上側)R1から蓄熱材Aを充填し、第2空間S2に、チューブの長手方向の他方の端部(
図19(b)の左下側)L2から蓄熱材Bを充填する。そうすると、
図19(c)に示すように、2種類の蓄熱材A,Bを交互に配置することができる。本発明は蓄熱材を充填する順番に制限されない。蓄熱材を充填する順番は、第1空間S1、第2空間S2の順に充填するか、第2空間S2、第1空間S1の順に充填するか、又は第1空間S1及び第2空間S2に同時に充填してもよい。
【0077】
図20は、
図19に示す熱交換器の充填方法の変形例を示す図である。熱交換器は、
図20に示すように、例えば、第1空間S1に蓄熱材を充填せず、空にしてもよい。蓄熱材を充填した第2空間S2の貯蔵部の間に、蓄熱材を充填していない第1空間S1の貯蔵部を配置することができる。さらに、第2チューブ12のうち少なくとも1本の上下を逆に配置すると、貯蔵部の所属が第1空間S1から第2空間S2に又は第2空間S2から第1空間S1に変わり、第1空間S1の貯蔵部を並べて配置したり、第2空間S2の貯蔵部を並べて配置したりすることができる。
【0078】
図21は、
図19に示す熱交換器の変形形態例を示す模式図であり、蓄熱材の充填を完了した状態を示す。
図21では、左から2本目のチューブ12X及び最右のチューブ12Yを上下逆に配置した形態を示した。
図21に示すように、特定の蓄熱材(
図21では第1蓄熱材A)を充填した充填空間の貯蔵部を並べて配置することができる。
【0079】
図22は、
図21に示す熱交換器の充填方法の変形例を示す図である。熱交換器は、
図22に示すように、例えば、第1空間S1に蓄熱材を充填せず、空にしてもよい。蓄熱材を充填していない充填空間の貯蔵部を、任意の位置に配置することができる。
【0080】
チューブは、第4チューブ及び第5チューブのうちいずれか一種を更に含むことが好ましい。
【0081】
図23は、第1チューブ、第2チューブ及び第5チューブを用いた熱交換器の第一例を示す模式図であり、蓄熱材の充填を完了した状態を示す。チューブは、
図23に示すように、第1チューブ11、第2チューブ12及び第5チューブ15を含むことが好ましい。
図23に示すように、第2チューブ12を、充填部6及び連絡部7を交互に配置して複数積層し、第1チューブ11を複数積層し、第2チューブ12と第1チューブ11との間に、第5チューブ15を配置する。そうすると、
図23に示すように、3種類の蓄熱材A,B,Cを配置することができる。また、第5チューブ15を任意の位置に配置して、蓄熱材を配置しない部分を形成することができる。
【0082】
図24は、第2チューブ及び第4チューブを用いた熱交換器の第一例を示す模式図であり、蓄熱材の充填を完了した状態を示す。チューブは、
図24に示すように、第2チューブ12及び第4チューブ14を含むことが好ましい。
図24に示すように、2種類の蓄熱材A,Bを配置することができる。また、第4チューブ14を任意の位置に配置して、蓄熱材を配置しない部分を形成することができる。
【0083】
図25は、第1チューブ及び第4チューブを用いた熱交換器の第一例を示す模式図であり、蓄熱材の充填を完了した状態を示す。チューブは、
図25に示すように、第1チューブ11及び第4チューブ14を含むことが好ましい。
図25に示すように、第4チューブ14を任意の位置に配置して、蓄熱材を配置しない部分を形成することができる。
【0084】
図26は、第1チューブ、第4チューブ及び第5チューブを用いた熱交換器の第一例を示す模式図であり、蓄熱材の充填を完了した状態を示す。チューブは、
図26に示すように、第1チューブ11、第4チューブ14及び第5チューブ15を含むことが好ましい。
図26に示すように、2種類の蓄熱材A,Bを配置することができる。また、また、第4チューブ14又は第5チューブ15を任意の位置に配置して、蓄熱材を配置しない部分を形成することができる。
【0085】
図27は、第1チューブ、第3チューブ及び第4チューブを用いた熱交換器の第一例を示す模式図であり、蓄熱材の充填を完了した状態を示す。チューブは、
図27に示すように、第1チューブ11、第3チューブ13及び第4チューブ14を含むことが好ましい。
図27に示すように、2種類の蓄熱材A,Bを配置することができる。また、第4チューブ14を任意の位置に配置して、蓄熱材を配置しない部分を形成することができる。
【0086】
図28は、第2チューブ、第4チューブ及び第5チューブを用いた熱交換器の第一例を示す模式図であり、蓄熱材の充填を完了した状態を示す。チューブは、
図28に示すように、第2チューブ12、第4チューブ14及び第5チューブ15を含むことが好ましい。
図28に示すように、4種類の蓄熱材A,B,C,Dを配置することができる。また、第4チューブ14又は第5チューブ15を任意の位置に配置して、蓄熱材を配置しない部分を形成することができる。
【0087】
本発明は、図示した第1チューブ〜第5チューブの組み合わせ、比率及び配列に制限されず、本発明の効果を奏する限りにおいて種々の変形をしてもよい。
【0088】
蓄熱材は、接触する物質の温度を所定の温度に保持する物質をいう。蓄熱材は、保持温度が常温以下である場合に蓄冷材と呼ばれたり、包括的に蓄熱・蓄冷材と呼ばれたりすることもある。本発明でいう蓄熱材は、蓄冷材、蓄熱・蓄冷材を含む。蓄熱材は、例えば、比熱を利用した顕熱蓄熱材、融解・凝固などの相変化を利用した潜熱蓄熱材、化学反応による吸熱・発熱を利用した化学蓄熱材である。このうち、単位質量あたりの熱量が顕熱蓄熱材よりも大きい点及び化学的な安定性が化学蓄熱材よりも高い点で、潜熱蓄熱材であることが好ましい。潜熱蓄熱材は、例えば、パラフィンである。パラフィンは、一般式がC
nH
2n+2である鎖状の炭化水素化合物又は一般式がC
nH
2n(ただしn≧3)である環式の炭化水素化合物を含む物質である。本実施形態では、パラフィンは、化学的安定性がより高い点で、鎖状の炭化水素化合物を主成分とすることがより好ましい。パラフィンは、炭素数(一般式中nの数)の大小又は炭素鎖の構造が直鎖状、分枝状若しくは環状であるかによって融点(凝固点)が異なる。このため、目的とする保持温度に応じた相変化温度を有するパラフィンを任意に選択できる。複数の充填空間に、相変化温度が異なる蓄熱材を配置する形態としては、例えば、低融点パラフィン(例えば融点:3〜10℃)と、低融点パラフィンよりも融点が高い高融点パラフィン(例えば融点:77〜85℃)とを組み合わせて用いることで、冷房及び暖房の両方に対応した熱交換器とすることができる。
【0089】
図29は、第1チューブの変形形態例のうち、中間プレートを有さない形態の一例を説明するための図である。第1チューブ〜第5チューブが、1枚の中間プレートを、第1閉塞プレートと第2閉塞プレートとで挟んだ構造を有する形態を示したが、本発明はこの構造に限定されない。第1〜第5チューブは、
図29に示すように、中間プレートを備えず、第1閉塞プレートと第2閉塞プレートとを貼り合せた構造としてもよい。
図29に示す第1閉塞プレート110A及び第2閉塞プレート110B´は、いずれも
図2に示す第一例の閉塞プレート110である。なお、
図29では、第2閉塞プレート110B´は、
図2に示した閉塞プレート110の長手方向の向きを逆にして図示している。第1チューブは、
図29に示すように第1閉塞プレート110A及び第2閉塞プレート110Bを、
図2に示した長手方向の向きに対して相互に逆にして、内側となる面119同士を向かい合わせにし、各プレートの周壁112の頂部同士及び仕切壁113の頂部同士を相互に当接して、各プレート同士をろう付け(接合)することによって形成する。そうすると、第1閉塞プレート110Aと第2閉塞プレート110B´との間に、冷媒通路114及び貯蔵部115,116が形成される。
図29では、
図2に示した第2閉塞プレート110Bの長手方向の向きを逆さとしたが、第1閉塞プレート110Aの長手方向の向きを逆さとしてもよい。そして第2〜第5チューブについても、所定の第1閉塞プレート又は第2閉塞プレートの長手方向の向きを相互に逆にする以外は、第1チューブと同様にして形成することができる。チューブが中間プレートを備えないことで、チューブの材料を減らし、軽量化することができる。また、チューブの厚さ(チューブ高さ)を薄くして、熱交換器の通気抵抗を低減することができる。
【0090】
図30は、第1チューブの変形形態例のうち、中間プレートを複数枚有する形態の第一例を説明するための図である。第1チューブ〜第5チューブは、
図30に示すように、複数枚の中間プレートを、第1閉塞プレートと第2閉塞プレートとで挟む構造であってもよい。
図30では、中間プレートとして第1中間プレート210A及び第2中間プレート210Bと、第1閉塞プレート160Aと、第2閉塞プレート160Bとを有する形態を示した。
【0091】
図30に示す第1中間プレート210Aと第2中間プレート210Bとは構成を同じくするため、代表して第1中間プレート210Aについて説明する。第1中間プレート210Aは、一方の面211aに、プレートの周囲に設けられた周状接合面212とプレートの長手方向に沿って並列に設けられた5本の仕切面213とを有する。仕切面213は、
図30では正面視で直線状(長方形状)としたが、波線状など不定形であってもよい。また、仕切面213は、
図30では5本設けたが、本発明はこれに限定されず、本数を増減してもよい。第1中間プレート210Aは、周状接合面212と仕切面213との間又は仕切面213同士の間に形成された窪みである貯蔵部214を有する。第1中間プレート210Aは、一方の端部及び他方の端部に、タンク部を形成する貫通孔217と貯蔵部214に連通する貫通孔218とを有する。
【0092】
図30に示す第1閉塞プレート160Aと第2閉塞プレート160Bとは構成を同じくするため、代表して第1閉塞プレート160Aについて説明する。第1閉塞プレート160Aは、中間プレートを挟む側の面161に、プレートの周囲に設けられた周壁162と、プレートの長手方向に沿って設けられた仕切壁163と、タンク部を形成する貫通孔167と、中間プレート210A,210Bの貫通孔218に対応する位置に形成された貫通孔168とを有する。第1閉塞プレート160Aは、周壁162と仕切壁163との間に形成された窪みである冷媒通路164を有する。冷媒通路164は、中間プレート210A,210Bを重ねたときに貯蔵部214全体が収まる面積を有し、かつ、貯蔵部214の底部の外面が冷媒通路164の底部の内面に接する深さを有する。さらに、第1閉塞プレート160Aは、中間プレート210A,210Bの仕切面213の長手方向の端部213aに対応する位置に形成された凹部169を更に有する。
【0093】
図31は、
図30のチューブを形成したときのA−A部分の破断面図である。
図32は、
図30のチューブを形成したときのB−B部分の破断面図である。第1チューブは、第1中間プレート210A及び第2中間プレート210Bを、一方の面211a同士を向かい合わせにして、各プレートの周状接合面212同士及び仕切面213同士を相互に当接し、更に、第1閉塞プレート160A及び第2閉塞プレート160Bの周壁162及び仕切壁163の頂部を第1中間プレート210A及び第2中間プレート210Bの他方の面211bにそれぞれ当接して、各プレート同士をろう付け(接合)することによって形成する。そうすると、
図31に示すように、第1中間プレート210Aと第2中間プレート210Bとの間に貯蔵部214が形成され、第1閉塞プレート160Aと第1中間プレート210Aとの間及び第2閉塞プレート160Bと第2中間プレート210Bとの間に冷媒通路164が形成される。
【0094】
図31に示すように、貯蔵部214の底部の外面が冷媒通路164の底部の内面に接することで、冷媒通路164と貯蔵部214とがチューブの側面に沿って交互に配置されるため、冷媒によるアウタフィンの冷却及び蓄熱材によるアウタフィンの冷却をいずれも効率的に行うことができる。さらに、
図32に示すように、凹部169を有することで、貯蔵部214の底部の外面が冷媒通路164の底部の内面に接する構造であっても、貯蔵部214同士の間の冷媒通路164に冷媒を流通させることができる。
【0095】
第2〜第5チューブについても、第1中間プレート210A及び第2中間プレート210Bを所定の構造を有するプレートに変更する以外は、第1チューブと同様にして形成することができる。第2チューブでは、所定の構造を有するプレートとして、
図30に示す第1中間プレート210A及び第2中間プレート210Bの他方の端部の貫通孔218を、貯蔵部214に連通しない貫通孔に変更した中間プレート(不図示)を用いる。第3チューブでは、所定の構造を有するプレートとして、
図30に示す第1中間プレート210Aと
図30に示す第2中間プレート210Bとのうちどちらか1枚について、一方の端部及び他方の端部の貫通孔218を、貯蔵部214に連通する凹部に変更した中間プレート(不図示)とを用いる。第4チューブでは、所定の構造を有するプレートとして、
図30に示す第1中間プレート210A及び第2中間プレート210Bの一方の端部及び他方の端部の貫通孔218を、貯蔵部214に連通しない貫通孔に変更した中間プレート(不図示)を用いる。第5チューブでは、所定の構造を有するプレートとして、
図30に示す第1中間プレート210Aの一方の端部及び他方の端部の貫通孔218を、貯蔵部214に連通しない貫通孔に変更した中間プレート(不図示)と、
図30に示す第2中間プレート210Bの一方の端部及び他方の端部の貫通孔218を、貯蔵部214に連通しない凹部に変更した中間プレート(不図示)とを用いる。
【0096】
図33は、第1チューブの変形形態例のうち、中間プレートを複数枚有する形態の第二例を説明するための図である。
図33では、中間プレートとして第1中間プレート220A及び第2中間プレート220Bと、第1閉塞プレート170Aと、第2閉塞プレート170Bとを有する形態を示した。
【0097】
図33に示す第1中間プレート220Aと第2中間プレート220Bとは構成を同じくするため、代表して第1中間プレート220Aについて説明する。第1中間プレート220Aは、一方の面221aに、プレートの周囲に設けられた周状接合面222とプレートの長手方向に沿って並列に設けられた5本の仕切面223とを有する。仕切面223は、
図33では正面視で直線状(長方形状)としたが、波線状など不定形であってもよい。また、仕切面223は、
図33では5本設けたが、本発明はこれに限定されず、本数を増減してもよい。第1中間プレート220Aは、周状接合面222と仕切面223との間又は仕切面223同士の間に形成された窪みである冷媒通路224を有する。第1中間プレート220Aは、一方の端部及び他方の端部に、タンク部を形成する貫通孔227と貫通孔228とを有する。
【0098】
図33に示す第1閉塞プレート170Aと第2閉塞プレート170Bとは構成を同じくするため、代表して第1閉塞プレート170Aについて説明する。第1閉塞プレート170Aは、中間プレートを挟む側の面171に、プレートの周囲に設けられた周壁172と、タンク部を形成する貫通孔177と、中間プレート220A,220Bの貫通孔228に対応する位置に形成された貫通孔178とを有する。第1閉塞プレート170Aは、周壁172に囲まれた窪みである貯蔵部174を有する。貯蔵部174は、中間プレート220A,220Bを重ねたときに冷媒通路224全体が収まる面積を有し、かつ、冷媒通路224の底部の外面が貯蔵部174の底部の内面に接する深さを有する。さらに、第1閉塞プレート170Aは、中間プレート220A,220Bの仕切面223の長手方向の端部223aに対応する位置に形成された凹部179を更に有する。また、第1閉塞プレート170Aは、貯蔵部174を長手方向に沿って区画する仕切壁(不図示)を更に有していてもよい。
【0099】
図34は、
図33のチューブを形成したときのC−C部分の破断面図である。
図35は、
図33のチューブを形成したときのD−D部分の破断面図である。第1チューブは、第1中間プレート220A及び第2中間プレート220Bを、一方の面221a同士を向かい合わせにして、各プレートの周状接合面222同士及び仕切面223同士を相互に当接し、更に、第1閉塞プレート170A及び第2閉塞プレート170Bの周壁172の頂部を第1中間プレート220A及び第2中間プレート220Bの他方の面221bにそれぞれ当接して、各プレート同士をろう付け(接合)することによって形成する。そうすると、
図34に示すように、第1中間プレート220Aと第2中間プレート220Bとの間に冷媒通路224が形成され、第1閉塞プレート170Aと第1中間プレート220Aとの間及び第2閉塞プレート170Bと第2中間プレート220Bとの間に貯蔵部174が形成される。
【0100】
図34に示すように、冷媒通路224の底部の外面が貯蔵部174の底部の内面に接することで、貯蔵部174と冷媒通路224とがチューブの側面に沿って交互に配置されるため、冷媒によるアウタフィンの冷却及び蓄熱材によるアウタフィンの冷却をいずれも効率的に行うことができる。さらに、
図35に示すように、凹部179を有することで、冷媒通路224の底部の外面が貯蔵部174の底部の内面に接する構造であっても、蓄熱材を充填する充填工程のとき、冷媒通路224同士の間の貯蔵部174に蓄熱材を流通させることができる。
【0101】
第2〜第5チューブについても、第1閉塞プレート170A及び第2閉塞プレート170Bを所定の構造を有するプレートに変更する以外は、第1チューブと同様にして形成することができる。第2チューブでは、所定の構造を有するプレートとして、
図33に示す第1閉塞プレート170A及び第2閉塞プレート170Bの他方の端部の貫通孔178を、貯蔵部174に連通しない貫通孔に変更した閉塞プレート(不図示)を用いる。第3チューブでは、所定の構造を有するプレートとして、
図33に示す第1閉塞プレート170Aと
図33に示す第2閉塞プレート170Bとのうちどちらか1枚について、一方の端部及び他方の端部の貫通孔178を、貯蔵部174に連通する凹部に変更した閉塞プレート(不図示)とを用いる。第4チューブでは、所定の構造を有するプレートとして、
図33に示す第1閉塞プレート170A及び第2閉塞プレート170Bの一方の端部及び他方の端部の貫通孔178を、貯蔵部174に連通しない貫通孔に変更した閉塞プレート(不図示)を用いる。第5チューブでは、所定の構造を有するプレートとして、
図33に示す第1閉塞プレート170Aの一方の端部及び他方の端部の貫通孔178を、貯蔵部174に連通しない貫通孔に変更した閉塞プレート(不図示)と、
図33に示す第2閉塞プレート170Bの一方の端部及び他方の端部の貫通孔178を、貯蔵部174に連通しない凹部に変更した閉塞プレート(不図示)とを用いる。
【0102】
図30〜
図35に示すように、複数枚の中間プレートを貼り合わせることで中間プレートの内部に蓄熱材の貯蔵部214又は冷媒通路224を形成できるので、例えば
図8に示すように第1閉塞プレート110A及び第2閉塞プレート110Bに冷媒通路114と貯蔵部115,116とを仕切る仕切壁113を形成する必要がない。このため、貯蔵部214,174の位置や容積の変更を容易に行うことができる。