特許第6148048号(P6148048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マーベル・イスラエル・(エム・アイ・エス・エル)・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6148048-印刷フィルターを備えるパッケージ 図000002
  • 特許6148048-印刷フィルターを備えるパッケージ 図000003
  • 特許6148048-印刷フィルターを備えるパッケージ 図000004
  • 特許6148048-印刷フィルターを備えるパッケージ 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148048
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】印刷フィルターを備えるパッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   H01L23/12 301Z
   H01L23/12 B
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-60182(P2013-60182)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-232632(P2013-232632A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】61/614,772
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509336211
【氏名又は名称】マーベル・イスラエル・(エム・アイ・エス・エル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Marvell Israel (M.I.S.L.) Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル ヴィルナー
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−266402(JP,A)
【文献】 特開2008−004853(JP,A)
【文献】 特開2007−150180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/12−23/15
25/00−25/07
25/10−25/11
25/16−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)に電気的に結合された第1の信号端子と、
外部電子コンポーネントに電気的に結合された第2の信号端子と、
絶縁層に配置され、前記第1の信号端子と前記第2の信号端子との間で電気信号を転送し、前記SERDESのボーレートの約半分のカットオフ周波数のローパスフィルター特性を持つようパターニングされた配線と
を備える回路パッケージ。
【請求項2】
前記配線は、誘導特性を持つようにパターニングされた誘導部分を有する請求項1に記載の回路パッケージ。
【請求項3】
前記誘導部分は、スパイラルインダクタを形成するようにパターニングされている請求項に記載の回路パッケージ。
【請求項4】
前記配線は、容量特性を持つようにパターニングされた容量部分を有する請求項1からのいずれか1項に記載の回路パッケージ。
【請求項5】
前記容量部分は、フィンガー容量を形成するようにパターニングされている請求項に記載の回路パッケージ。
【請求項6】
上部に前記SERDESが配置された状態で前記回路パッケージに実装される集積回路(IC)チップをさらに備える請求項1からのいずれか1項に記載の回路パッケージ。
【請求項7】
ICチップ上のシリアライザ/デシリアライザ(SERDES)と外部電子コンポーネントとの間で送信されるべき電気信号を受信する段階と、
絶縁層に配置された配線を介して、前記シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)に電気的に結合された第1の信号端子と前記外部電子コンポーネントに電気的に結合された第2の信号端子との間で前記電気信号を転送する段階と、
前記SERDESのボーレートの約半分のカットオフ周波数のローパスフィルター特性を持つようパターニングされた前記配線によって前記電気信号をフィルタリングする段階と
を備える方法。
【請求項8】
前記SERDESのボーレートの約半分のカットオフ周波数のローパスフィルター特性を持つようパターニングされた前記配線によって前記電気信号をフィルタリングする段階は、誘導特性を持つようパターニングされた誘導部分を有する前記配線によって前記電気信号をフィルタリングする段階を有する請求項に記載の方法。
【請求項9】
誘導特性を持つようパターニングされた誘導部分を有する前記配線によって前記電気信号をフィルタリングする段階は、スパイラルインダクタを形成するようパターニングされた前記誘導部分を有する前記配線によって前記電気信号をフィルタリングする段階を含む請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記SERDESのボーレートの約半分のカットオフ周波数のローパスフィルター特性を持つようパターニングされた前記配線によって前記電気信号をフィルタリングする段階は、容量特性を持つようパターニングされた容量部分を有する前記配線によって前記電気信号をフィルタリングする段階を有する請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記容量特性を持つようパターニングされた前記容量部分を有する前記配線によって前記電気信号をフィルタリングする段階は、フィンガー容量を形成するようパターニングされた前記容量部分を有する前記配線によって前記電気信号をフィルタリングする段階を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
絶縁層に配置され、シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)に結合された第1の結合部材と別のデバイスに結合された第2の結合部材との間で電気信号を転送し、前記SERDESのボーレートの約半分のカットオフ周波数のローパスフィルター特性を持つようパターニングされた配線を備えるパッケージ基板。
【請求項13】
前記配線は、誘導特性を持つようパターニングされた誘導部分を有する請求項12に記載のパッケージ基板。
【請求項14】
前記配線は、容量特性を持つようパターニングされた容量部分を有する請求項12または13に記載のパッケージ基板。
【請求項15】
パッケージ基板を製造する方法であって、
誘電基板を設ける段階と、
前記誘電基板上に、1本以上の配線を、前記配線を介して送信される電気信号をフィルタリングする特定のフィルター特性が提供されるようなパターンで形成する段階であって、前記1本以上の配線は、前記1本以上の配線に結合されたシリアライザ/デシリアライザ(SERDES)のボーレートの約半分のカットオフ周波数のローパスフィルター特性を持つようにパターニングされる、段階
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2012年3月23日出願の米国仮出願第61/614,772号、発明の名称「印刷フィルターを使用するシリアル/パラレルパッケージバンド幅」の利益を主張し、その全体を、本明細書に参照として組み込むものとする。
【背景技術】
【0002】
本明細書において提供される背景についての記載は、開示内容の背景を全般的に提示することを目的とする。本願において名前を提示された発明者の本背景技術の項目に記載される仕事と、出願時に先行技術としての条件を満たさない本記載の側面とは、明示的にも黙示的にも本開示内容に対する先行技術と自認するものでない。
【0003】
一般的に、集積回路(IC)チップは、デュアルインラインパッケージ(DIP)、ピングリッドアレイ(PGA)パッケージ、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ等のチップパッケージの中に取り付けられる。チップパッケージは、印刷回路基板(PCB)に実装することができる。チップパッケージおよびPCBは、たとえば、半田バンプ、金属配線、半田ボール等の多様な結合部材を有しており、ICチップはPCB上のその他のデバイスに結合される。結合部材は、ICチップとPCB上のその他のデバイスとの間で、高速にデータ信号を転送するよう要求される。データ信号の信号品位は、結合部材によって、悪影響を及ぼされる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の観点によると、回路パッケージが提供される。回路パッケージは、シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)に電気的に結合された第1の信号端子と、外部電子コンポーネントに電気的に結合された第2の信号端子と、絶縁層に配置された配線とを備える。配線は、第1の信号端子と第2の信号端子との間で電気信号を転送する。配線は、電気信号をフィルタリングする特定のフィルター特性を提供するようパターニングされている。
【0005】
本発明の観点によると、配線は、特定のカットオフ周波数のローパスフィルター特性を有するようパターニングされている。一例では、カットオフ周波数は、SERDESのボーレートの約半分である。
【0006】
一実施形態では、配線は、誘導特性を持つようパターニングされた誘導部分を有する。たとえば、誘導部分は、スパイラルインダクタを形成するようパターニングされている。別の実施形態では、配線は、容量特性を持つようパターニングされた容量部分を有する。たとえば、容量部分は、フィンガー容量を形成するようパターニングされている。
【0007】
本発明の観点によると、方法が提供される。本方法は、ICチップ上のシリアライザ/デシリアライザ(SERDES)と外部電子コンポーネントとの間で送信されるべき電気信号を受信する段階と、絶縁層に配置された配線を介して、第1の信号端子と第2の信号端子との間で電気信号を転送する段階とを備える。第1の信号端子はSERDESに電気的に結合され、第2の信号端子は外部電子コンポーネントに電気的に結合される。本方法は、電気信号をフィルタリングする特定のフィルター特性を有するようパターニングされた配線によって電気信号をフィルタリングする段階をさらに備える。
【0008】
本発明の観点によると、パッケージ基板が提供される。パッケージ基板は、絶縁層と、絶縁層に配置された配線とを備える。配線は、シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)に結合された第1の結合部材と別のデバイスに結合された第2の結合部材との間で電気信号を転送する。配線は、電気信号をフィルタリングする特定のフィルター特性を提供するようパターニングされている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
例として提示される本発明の多様な実施形態を、以下の図面を参照して詳細に記載するが、図面において、同様な参照符号によって同様な部材を示す。
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る集積回路(IC)パッケージの例100の簡略図を示す。
【0011】
図2】本発明の実施形態に係る回路200の概略図を示す。
【0012】
図3】本発明の実施形態に係る挿入損失−周波数特性のプロットを示す。
【0013】
図4】本発明の実施形態に係るシステムに印刷フィルターを実装するプロセスの例を概観したフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る集積回路(IC)パッケージの例100の図を示す。ICパッケージ100は、ICパッケージ100内に、パッケージ基板130と、パッケージ基板130上に取り付けられたICチップ110とを備える。ICパッケージ100は、印刷回路基板(PCB)120上に実装することができる。ICパッケージ100は、ICチップ110上の回路をPCB120上のその他のデバイス(不図示)に電気的に結合する半田バンプ、金属配線、ビア、半田ボール等の多様な結合部材を有する。一つの実施形態では、結合部材は、信号品位を高める特有のフィルター特性をそれぞれ提供する多様なフィルター部材を含んで構成される。一つの実施形態では、結合部材のうち、金属配線等の少なくともいくつかは、結合部材の本来的な一部としてフィルター部材を形成するようパターニングされており、別個にフィルター部材を付加する必要がなくなっている。
【0015】
ICチップ110は、信号処理のための多様な回路を含んでいる。一例では、ICチップ110は、信号を生成する信号生成回路を含む。生成される信号は、アナログ信号、デジタル信号等の任意の適切な信号であってよい。生成された信号は、ICチップ110の外部に送信することができる。別の例では、ICチップ110は、信号処理回路を含む。ICチップ110は、外部信号を受信し、信号処理回路は、受信した外部信号を処理する。外部信号は、アナログ信号、デジタル信号等の任意の適切な信号であってよい。
【0016】
さらに、ICチップ110は、ICチップ110の外部に信号を送信し、および/または、ICチップ110にやって来る信号を受信する入出力(I/O)構造を含む。たとえば、ICチップ110は、ICチップ110上の回路に電気的に接続されたI/Oパッド(不図示)を含む。さらに、半田バンプ112〜114がI/Oパッド上に形成され、ICチップ110への/からの信号送信を補助する。図1の例では、ICチップ110は、差動信号を生成もしくは処理するシリアライザ/デシリアライザ(SERDES)111を含む。一例では、SERDES111は、半田バンプに電気的に結合されて、ICチップ110の外部に差動信号を出力し、または、ICチップ110にやって来る作動信号を受信する。一例では、SERDES111は、半田バンプ112に電気的に結合され、差動信号のうち一つを出力または受信する。差動信号の他方の信号を出力および受信する結合部材は、明瞭性を期して、図1では省略している。
【0017】
パッケージ基板130は、ICチップ110をPCB120にインターフェースする。具体的には、パッケージ基板130は、ICチップ110上の半田バンプ112〜114に適合するランド等のバンプ受容構造を含む。ICチップ110上の半田バンプは、パッケージ基板130上のバンプ受容構造に位置合わせすることができ、それにより、半田バンプ112〜114を電気的に接続された状態にすることができる。
【0018】
さらに、パッケージ基板130は、ICパッケージ100をPCB120に電気的に結合させる半田ボール151〜153を含む。一例では、PCB120は、半田ボール151〜153に適合するランド(不図示)を有する。ランドは、印刷回路基板120上のその他のデバイスに電気的に接続される。一実施形態では、半田ボール151〜153は、ランドに位置合わせされ、電気接続を形成する。
【0019】
パッケージ基板130は、電気的に接続された状態の半田バンプ112〜114を半田バンプ151〜153に結合させるビア、金属配線等の結合部材を含む。本発明の観点によると、結合部材は、特定のカットオフ周波数(たとえば、3dB減衰周波数)を有するローパスフィルター特性等の特定のフィルター特性を有するように構成される。
【0020】
I/Oパッド、半田ボール、半田バンプ、金属配線、ビア等の結合部材は、導電性の材料から形成される。導電特性に加えて、結合部材は、容量特性等の寄生特性を本来的に有する。結合部材の本来的な寄生特性によって、信号転送における周波数応答が平坦でなくなるかもしれず、信号品位が低下するかもしれない。一例では、結合部材における容量の不連続性によって、周波数特性に、挿入損失−周波数特性、反射減衰−周波数特性等の曲がり管状の挙動(knee behavior)が生じ、また、曲がり管(knee)の前では周波数応答が平坦でなくなる。
【0021】
本発明の観点によると、パッケージ基板130の結合部材は、送信するべき電気信号にしたがって周波数特性を整形するよう意図的に構成されている。一例では、SERDES111は、動作中、5Gbps(ギガビット/秒)等のボーレート(Baud rate)で動作するよう構成されている。一例では、パッケージ基板130の結合部材は、ボーレートに基づいて決定されるカットオフ周波数を有するローパスフィルター特性を有するよう構成されている。一例では、カットオフ周波数は、ボーレートの約半分に、たとえば、2.5GHzになるよう決定される。したがって、2.5GHzより低い周波数では、周波数応答は、比較的に平坦である。
【0022】
図1の例では、パッケージ基板130は、半田バンプ112を半田ボール152に結合し、たとえば、SERDES111とPCB120上の別のデバイスとの間で電気信号を送信する信号送信経路として形成された結合部材を含む。信号送信経路の一部、たとえば、金属配線141−143は、信号送信経路の周波数特性が、一例では、約2.5GHzのカットオフ周波数を有するローパスフィルター特性となるよう整形するべく意図的に構成されている。
【0023】
具体的には、一例では、パッケージ基板130は、絶縁層によって分離された複数の金属層を含む。金属層は、金属配線にパターニングされる。さらに、パッケージ基板130は、各金属層の金属配線を相互に接続し、信号送信経路を形成するビアを含む。図1の例では、金属配線141−143は、パッケージ基板130内の中間金属層に存在する。この例では、金属配線141−143は、第1ビア161および第2ビア171に接続される。第1ビア161は、金属配線141−143を半田ボール152に結合された下層の金属層の配線に接続し、第2ビア171は、金属配線141−143を上層の金属層の配線に接続する。下層金属層および上層金属層の配線は、明確性を期して、図示していない。
【0024】
金属配線141−143の各部は、それぞれ異なる態様でパターニングされ、それぞれ異なるインピーダンス特性を有する。図1の例では、金属配線141−143は、第1部141、第2部142、および第3部143を有する。第1部141は、螺旋状のパターンを有しており、スパイラルインダクタを形成する。第3部143も、螺旋状のパターンを有し、スパイラルインダクタを形成する。本発明の実施形態によると、パッケージ基板130は、各スパイラルインダクタの上下における平面に開口131および133を有する。第2部142は、フィンガー状のパターンを有し、別のフィンガー状パターン144に容量結合され、フィンガー容量を形成する。一例では、フィンガー状パターン144は、接地されるよう構成される。一実施形態では、フィンガー状パターン144は、接地された平面に存在する。
【0025】
第1部141および第3部143のインダクタンス値および第2部142の容量値は、適切に調整することができる。一例では、螺旋状パターンにおけるループの数、半径、および/または厚さを調整して、インダクタンス値を調整することができる。別の例では、フィンガー状パターンにおけるフィンガーの数、長さ、および/または厚さを調整して、容量値を調整することができる。
【0026】
本発明の観点によると、金属配線141−143は、半田バンプ112と半田ボール152との間の信号送信経路の特性を支配するようにパターニングされる。一実施形態では、金属配線141−143および信号送信経路のその他の結合部材は、一緒にローパスフィルターを形成する。フィルター特性は、第1部141および第3部143のそれぞれにおけるループの数、半径、および/または厚さと、第2部142におけるフィンガーの数、長さ、および/または厚さとを適切に調整することにより、調整することができる。
【0027】
金属配線141−143は、任意の適切な技術で形成することができることに注意されたい。一例では、パッケージ基板130は、印刷回路基板製造プロセスと似たプロセスを使用して製造される。この例では、金属配線141−143は、コーティングプロセス、リソグラフィプロセス、およびエッチングプロセスを使用して形成される。具体的には、コーティングプロセスでは、基板の表面に銅薄膜を塗布する。リソグラフィプロセスでは、フォトレジスト層を銅薄膜の上に適用する。フォトレジスト層を、所望の銅パターン、たとえば、部141および143には螺旋状パターン、部142にはフィンガー状パターンを規定するマスクにしたがって露光する。次に、フォトレジスト層を現像し、非所望部におけるフォトレジストの部分を除去して、銅の非所望部分を露光する。さらに、エッチングプロセスで、銅の非所望部分をエッチングし、フォトレジストで保護された所望部分を残す。最後に、残ったフォトレジストを剥離する。
【0028】
インダクタおよび容量は、その他の適切なパターニングおよび技術で形成することができることに注意されたい。一例では、容量は、互い違いに配置された2つのフィンガー状パターンから形成される。別の例では、インダクタは、円形のループではなく、正方形のループから形成される。別の例では、インダクタおよび容量は、それぞれ異なる金属層に形成される配線から形成することができる。また、金属配線141−143は、任意の数のインダクダおよび任意の数の容量が形成されるようにパターニングすることができる。
【0029】
図1では、パッケージ基板130に3つの誘電層もしくは絶縁層を示したが、パッケージ基板130は、任意の適切な数の誘電層を含むことができることに注意されたい。
【0030】
また、図1は、差動信号のうち一方についての結合部材だけを示したが、差動信号のうち他方についての結合部材も同様に構成することができ、明瞭性を期して省略されていることに注意されたい。さらに、図示を簡略にするべく、図1に示す部材は、原寸通りに図示されていないことに注意されたい。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係る図1の金属配線141−143によって形成される回路200の概略図を示す。回路200は、第1部141によって形成されるスパイラルインダクタに対応する第1インダクタL1と、第3部143によって形成されるスパイラルインダクタに対応する第2インダクタL2と、第2部142および部144によって形成されるフィンガー容量に対応する容量Cとを備える。
【0032】
第1インダクタL1は、ノードN1とN2との間に結合され、第2インダクタL2は、ノードN2とN3との間に結合され、容量Cは、ノードN2とN4との間に結合される。ノードN1は、その他の適切な結合部材を介して、パッケージ100の外部デバイスに結合され、ノードN3は、その他の適切な結合部材を介して、ICチップ110上のSERDES111に結合される。ノードN4は、適切に接地される。
【0033】
本発明の実施形態によると、回路200は、半田バンプ112と半田ボール152との間の信号送信経路の特性を支配する。信号送信経路のその他の部分の容量特性もしくは誘導特性は無視することができ、または、インダクタL1およびL2ならびに容量Cに統括することができる。
【0034】
回路200は、ローパスフィルター特性を有しており、フィルター特性は、インダクタL1およびL2のインダクタンス値と、容量Cの容量値とに依存する。一例では、インダクタンス値および容量値は、スパイラルインダクタのループ数およびフィンガー容量のフィンガー数を調整することにより調整することができる。一実施形態では、スパイラルインダクタのループ数およびフィンガー容量のフィンガー数は、回路200が特性のカットオフ周波数を有するように調整される。
【0035】
一例では、特定のカットオフ周波数は、信号送信経路によって電気信号が送信される速度に基づいて決定される。一例では、カットオフ周波数は、SERDES111のボーレートの約半分である。
【0036】
図3は、本発明の実施形態に係る挿入損失−周波数応答のプロット300を示す。プロット300のX軸は、周波数に対応し、プロット300のY軸は、dB単位の挿入損失に対応する。プロット300は、比較例の挿入損失−周波数特性に対応する第1曲線310と、図1の金属配線141−143を含む信号送信経路の挿入損失−周波数特性に対応する第2曲線320とを含む。
【0037】
比較例では、金属配線は、全体的に真っ直ぐな線形に形成され、信号送信の周波数特性を支配しない。半田バンプ、半田ボール等のその他の結合部材が周波数特性を支配する。このようなその他の結合部材においては容量が不連続となるので、挿入損失−周波数特性310は、曲がり管状の挙動(knee behavior)を示し、曲がり管の前では、周波数応答が平坦ではない。
【0038】
図1の例では、金属配線141−143は、周波数特性を支配するようパターニングされ、ローパスフィルター特性を有する。したがって、挿入損失−周波数特性320では、挿入損失−周波数特性310でよりも少ない曲がり管頻度(knee frequency)が曲がり管が現れ、曲がり管の前では、周波数応答がずっと平坦である。したがって、一例では、挿入損失−周波数特性320のカットオフ周波数(たとえば、−3dBに対応する周波数)はSERDES111のボーレートの約半分であり、挿入損失−周波数特性320は、SERDES111にとって、挿入損失−周波数特性310よりも良好な信号品位を示す。
【0039】
図4は、本発明の実施形態に係るシステムに印刷フィルター(printed filter)を実装するプロセス例を概観したフローチャートを示す。プロセスは、S401で開始され、S410に進む。
【0040】
S410で、SERDES111のボーレートを決定する。一例では、システムにおいてICチップ110とシステムのその他のデバイスとの間での信号送信に使用されるボーレートが、システム仕様に規定されている場合がある。
【0041】
S420で、ボーレートに基づいてフィルター特性を決定する。一例では、印刷フィルターは、ローパスフィルターである。一実施形態では、ローパスフィルターのカットオフ周波数は、ボーレートの約半分となるように決定される。設計における選択事項として、ボーレートに基づいてその他のカットオフ周波数を決定することができることに注意されたい。
【0042】
430で、フィルターのアーキテクチャを調整可能なパラメータにより決定する。一般的に、印刷フィルターは、多様なアーキテクチャを使用して実装することができる。一例では、ローパスフィルターは、抵抗および容量を使用して、または、インダクタおよび容量を使用して、または、回路200のアーキテクチャを使用して、実装することができる。フィルターのアーキテクチャは、実装の難易度、費やされる面積、調整可能なパラメータの値、所望のフィルター特性、時間的要件等の多様な要因に基づいて決定することができる。
【0043】
S440で、フィルターをパッケージ基板に実装する。この例では、フィルターは、印刷回路基板製造プロセスを使用して形成され、たとえば、コーティングプロセス、リソグラフィプロセス、およびエッチングプロセスが使用される。具体的には、コーティングプロセスで、基板の表面に銅薄膜を塗布する。リソグラフィプロセスで、銅薄膜上にフォトレジスト層を適用する。所望の銅パターン、たとえば、部141および143には螺旋状パターン、部142にはフィンガー状パターンを規定するマスクを介して、フォトレジスト層を露光する。次に、フォトレジスト層を現像し、非所望部分におけるフォトレジストの部分を除去して、銅の非所望部分を露光する。さらに、エッチングプロセスで、銅の非所望部分をエッチングし、フォトレジストで保護された所望部分を残す。最後に、残ったフォトレジストを剥離する。
【0044】
S450で、チップ110とパッケージ基板130とをICパッケージ100として互いに組み合わせる。チップ110とパッケージ基板130とは、任意の適切な組み立て技術を使用して互いに組み合わせることができる。
【0045】
S460で、ICパッケージ100およびその他のデバイスをPCB120に実装する。次に、プロセスは、S499に進み、終了する。
【0046】
本発明の観点を例として提案する本発明の特定の実施形態に関連付けて記載したが、これらの例には代替、変更、多様化等を付加することができる。したがって、本明細書に記載される実施形態は、限定ではなく例示として意図されている。以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく付加しうる変更も存在する。
図1
図2
図3
図4