(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のコーティング膜は、強度を得るために高分子化すると、柔軟性(可とう性)や伸び特性が不十分になるという問題がある。さらに、これらのコーティング膜は、柔軟性のあるビニルエーテル骨格およびポリオール骨格を有するため、コーティング膜の表面硬度が十分ではない。したがってビニルエーテルを硬化させて得られるコーティング膜は、柔軟性および伸び特性と、強度および硬度とを両立させることが困難であった。
【0007】
本発明者は、式(A1)の化合物および式(A2)の化合物を開発した。さらに、開発したそれぞれの化合物と光開始剤とを混合した後、光を照射することでコーティング膜を調製し、強度および伸び特性との評価を行った。しかしながら、それぞれ得られたコーティング膜は、柔軟性および伸び特性と、強度および硬度とを両立させることに改良の余地があった。
そこで、さらに検討した結果、本発明者は、これら式(A1)の化合物と式(A2)の化合物と、光重合開始剤とを含むビニルエーテル系樹脂組成物を硬化させ、得られたコーティング膜を評価したところ、このコーティング膜が優れた強度と伸び特性とを有することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】
本発明の課題は、コーティング膜に用いた際に、優れた強度と伸び特性とを有するビニルエーテル系樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を達成するため鋭意研究した結果、特定の構造を持つ化合物の混合物に、光重合開始剤を加えて樹脂組成物を調製し、次いでこの樹脂組成物を基材に塗布後、光を照射し硬化させることで、強度と伸び特性とを共に有するコーティング膜を提供できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
【0012】
[1]式(A1)の化合物と、式(A2)の化合物と、光重合開始剤とを含み、
前記化合物(A1)と前記化合物(A2)との質量比の範囲が、(A1)/(A2)=10/90〜50/50であることを特徴とするビニルエーテル系樹脂組成物である。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
[式(A1)および式(A2)中、−X
1−、−X
2−は、それぞれ独立に、−C
4H
8−、−C
2H
4−、−C
2H
4OC
2H
4−、−C
2H
4OC
2H
4OC
2H
4−、−C
3H
6−、−C
3H
6OC
3H
6−、−C
3H
6OC
3H
6OC
3H
6−または式(1)の置換基を表す。式(A1)および式(A2)中、−Z−は、式(2)の置換基を表す。式(A1)中、−Y
1−は、式(a)の構造を、また、式(A2)中、−Y
2−は、式(b)の構造をそれぞれ表す。]
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
[式(a)中、nは、正の整数を表す。]
【0018】
【化6】
[式(b)中、−R−は、炭素数3〜50の直鎖状炭化水素基、分岐鎖状炭化水素基および環状炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも一つの炭化水素基を表す。−R−は、構成する原子の一部にヘテロ原子を含んでもよい。また、mは、正の整数を表す。]
【0019】
[2]ビニルエーテル系樹脂組成物100質量%に対し、光重合開始剤が1〜5質量%である[1]に記載のビニルエーテル系樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コーティング膜に用いた際に、優れた伸び特性を有するビニルエーテル系樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のビニルエーテル系樹脂組成物を詳細に説明する。なお、本明細書において、ビニルエーテル系樹脂組成物を単に樹脂組成物と称することがある。
【0022】
本発明のビニルエーテル系樹脂組成物は、式(A1)の化合物と、式(A2)の化合物と、光重合開始剤とを含むビニルエーテル系樹脂組成物である。
式(A1)の化合物は、下記式に示すポリテトラメチレンエーテルグリコール系ポリオール化合物の構造(a)を含み、また、式(A2)の化合物は、下記式に示すポリカーボネート系ポリオール化合物を含む。
さらに、化合物(A1)と化合物(A2)との質量比の範囲は、(A1)/(A2)=10/90〜50/50である。
【0024】
【化8】
[式(A1)および式(A2)中、−X
1−、−X
2−は、それぞれ独立に、−C
4H
8−、−C
2H
4−、−C
2H
4OC
2H
4−、−C
2H
4OC
2H
4OC
2H
4−、−C
3H
6−、−C
3H
6OC
3H
6−、−C
3H
6OC
3H
6OC
3H
6−または式(1)の置換基を表す。式(A1)および式(A2)中、−Z−は、式(2)の置換基を表す。式(A1)中、−Y
1−は、式(a)の構造を、また、式(A2)中、−Y
2−は、式(b)の構造をそれぞれ表す。]
【0027】
【化11】
[式(a)中、nは、正の整数を表す。]
【0028】
【化12】
[式(b)中、−R−は、炭素数3〜50の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜50の分岐鎖状炭化水素基および炭素数3〜50の環状炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも一つの炭化水素基を表す。−R−は、構成する原子の一部にヘテロ原子を含んでもよい。また、mは、正の整数を表す。]
【0029】
本発明に用いる式(A1)の化合物および式(A2)の化合物は、いずれもビニルエーテル基を2つ持つ。そのため、式(A1)の化合物および式(A2)の化合物と重合開始剤とを含む本発明の樹脂組成物を、基材に塗布後、光照射することでコーティング膜を容易に得ることができる。
【0030】
本発明者は、本発明のビニルエーテル系樹脂組成物を硬化させて得られるコーティング膜が、ポリオール化合物の構造(a)および(b)を有することで優れた伸び特性を、また、ジイソシアネートの構造を有することで強度を、ともに有すると考えている。
【0031】
本発明に用いる化合物(A1)は、ポリオール化合物の構造とジイソシアネートの構造とを有する。本発明者は、本発明の樹脂組成物を硬化させて得られるコーティング膜が、化合物(A1)が有するポリテトラメチレンエーテルグリコール系ポリオール構造により、柔軟性と優れた伸び特性とを示すと考えている。
なお、式(a)中、nは正の整数である。nは、1〜200が好ましく、化合物(A1)の製造の容易さの観点より1〜50がより好ましい。
【0032】
本発明に用いる化合物(A2)は、ポリオール化合物の構造とジイソシアネートの構造とを有する。本発明者は、本発明の樹脂組成物を硬化させて得られるコーティング膜が、化合物(A2)が有するポリカーボネート系ポリオール構造により、強度と硬度とを有すると考えている。
なお、式(b)中、mは正の整数である。mは、1〜200が好ましく、化合物(A2)の製造の容易さの観点より1〜50がより好ましい。
【0033】
本発明に用いる化合物(A1)と化合物(A2)との質量比の範囲は、(A1)/(A2)=10/90〜50/50である。本発明者は、前記質量比がこの範囲内であれば、本発明の樹脂組成物を硬化させて得られるコーティング膜が、化合物(A1)が有する特性である十分な柔軟性と優れた伸び特性とを有し、また、化合物(A2)が有する特性である強度および硬度とを有すると考えている。
【0034】
本発明に用いる化合物(A1)および化合物(A2)のそれぞれの重量平均分子量は、好ましくは
1,000〜500,000、より好ましくは1,000〜100,000である。
【0035】
本発明者は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール系ポリオール化合物の構造(a)を含む化合物(A1)とポリカーボネート系ポリオール化合物の構造(b)を含む化合物(A2)とを含み、さらに、化合物(A1)と化合物(A2)との質量比が特定の範囲であるビニルエーテル系樹脂組成物を硬化させることで、柔軟性および伸び特性と、強度および硬度とを両立するビニルエーテル系樹脂組成物を得ることを見出し、発明を完成させた。本発明者は、本発明の樹脂組成物の硬化物が、化合物(A1)のみを含むビニルエーテル系樹脂組成物の硬化物および化合物(A2)のみを含むビニルエーテル系樹脂組成物の硬化物と比べて、柔軟性および伸び特性と、強度および硬度とがきわめて優れていることを見出した。本発明の詳細なメカニズムは不明であるが、化合物(A1)と化合物(A2)とを含む本発明の樹脂組成物の硬化物は、背反する物性と考えられる、伸び特性と強度とをともに有することにくわえ、その伸び特性が化合物(A1)単体および化合物(A2)単体の硬化物からは予想できないほど優れている。
したがって、本発明の樹脂組成物は、コーティング膜に用いた際にきわめて有用である。
【0036】
本発明のビニルエーテル系樹脂組成物は、光重合開始剤を含む。
本発明に好適に用いることができる光重合開始剤は、たとえば、アリールスルホニウム塩誘導体(ダウケミカル社製のサイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6974;ADEKA社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172;サンアプロ社製のCPI−100P、CPI−110P、CPI−110A、CPI−210S;三和ケミカル社製のTS−91、TS−01;BASF社製のイルガキュア PAG270、PAG290、GSID26−1;Lamberti社製のEsacure1187、Esacure1188等)、アリルヨードニウム塩誘導体(ローディア社製のPHOTOINITIATOR 2074;BASF社製のイルガキュア PAG250等)、オキシムスルホン酸誘導体(BASF社製のイルガキュア PAG103、PAG108、PAG121、PAG203、CGI725、CGI1905、CGI1906、CGI1907)、アレン−イオン錯体誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤およびその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。
なお、優れた硬化性を示し、かつ得られるコーティング膜の臭気を抑えることができるため、本発明に用いる光重合開始剤は、サンアプロ社製のCPI−100P、CPI−110P(ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート)、CPI−210S(リン系アニオン含有トリアリールスルホニウム塩)、三和ケミカル社製のTS−91(トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスファート)、BASF社製のイルガキュア PAG290、ローディア社製のPHOTOINITIATOR 2074が特に好ましい。
【0037】
本発明のビニルエーテル系樹脂組成物が含む光重合開始剤は、ビニルエーテル系樹脂組成物100質量%に対し、光重合開始剤が1〜5質量%であることが好ましい。ビニルエーテル系樹脂組成物100質量%に対し、光重合開始剤が1質量%以上であれば、本発明の樹脂組成物は、光を照射する際に十分硬化し、また、光重合開始剤が5質量%以下であれば、本発明の樹脂組成物は、光を照射する際に未反応の光重合開始剤が残らず、強度低下等が起きないため、コーティング用途に好ましく用いることができる。
【0038】
本発明の樹脂組成物は、化合物(A1)および化合物(A2)以外のビニルエーテルモノマーを含んでもよい。このようなビニルエーテルモノマーは、たとえばエチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテルが挙げられる。
【0039】
本発明の樹脂組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、各種樹脂、レベリング剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重合禁止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増感剤等を含有することができる。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、ポリプロピレンフィルム等の基材に塗布し、光を照射し硬化させることで、伸び特性を有し、かつ膜の強度が大きいコーティング膜を得ることができる。したがって、本発明の樹脂組成物は、コーティング膜として有用である。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
【0042】
本発明に用いた化合物(A1)および化合物(A2)の重量平均分子量(以下Mwと略す)は、GPCを用いた標準ポリスチレン換算法により算出し求めた。Mwは、GPC分析システム装置としてHLC−8220 GPC(東ソー株式会社製)を、カラムとして直列に2本接続したTSKgel SuperMultiporeHZ−H(東ソー株式会社製)を、検出器として示差屈折率計(RI)(東ソー株式会社製 HLC−8220装置組込)を、移動相としてテトラヒドロフラン(流速0.35mL/分)をそれぞれ用いて、カラム温度40℃の条件で求めた。
【0043】
(合成例1)
[化合物(A1)の作製]
温度計、攪拌機および還流冷却管を備えた反応容器内に、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学株式会社製 商品名 PTMG1000)100質量部、イソホロンジイソシアネート44.4質量部、およびジブチルスズジラウレート0.01質量部を入れ、攪拌下で、前記反応容器の内容物温度を60℃に昇温させ2時間反応させた。その後、ジブチルスズジラウレート0.09質量部および4−ヒドロキシブチルビニルエーテル22.1質量部を投入し、さらに2時間反応させた。冷却後、透明液体である化合物(A1)169質量部を得た。
なお、反応終了は、反応液の一部を取り出し赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm
−1のピークが消失したことにより確認した。化合物(A1)のMwは4,040であった。
【0044】
(合成例2)
[化合物(A2)の作製]
温度計、攪拌機および還流冷却管を備えた反応容器内に、プラクセルCD205PL(株式会社ダイセル製:ポリカーボネートジオール)100質量部、イソホロンジイソシアネート92質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部を入れ、攪拌下で、前記反応容器の内容物温度を60℃に昇温させ2時間反応させた。その後、ジブチルスズジラウレート0.21質量部、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)46質量部を投入し、さらに2時間反応させた。反応終了は、反応液の一部を取り出し、赤外線吸収スペクトル(IR)でイソシアネート由来の2250cm
−1のピークが消失したことにより確認した。このようにして、透明液体である化合物(A2)238質量部を得た。化合物(A2)のMwは2,100であった。
【0045】
上記合成例によって得た化合物(A1)および化合物(A2)と、光重合開始剤とを混合し、後述する方法で得たコーティング膜の評価を行った。各実施例および比較例の配合処方と、樹脂組成物の硬化物から得たコーティング膜の評価結果とを表1にまとめた。
【0046】
(実施例2〜6、比較例1〜9)
実施例2〜6において、表1に示した処方の化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、各実施例および比較例のビニルエーテル系組成物を得た。それぞれの組成物の硬化物から得たコーティング膜を用いて各種の評価を行った。
なお、比較例として、カプロラクトン系ジオールの構造を含む化合物を用いて、それを含む組成物の硬化物から得たコーティング膜を用いて各種の評価を行った。比較例7〜9に用いた、カプロラクトン系ジオール構造を含むビニルエーテル化合物は、カプロラクトン系ジオール(株式会社ダイセル製 商品名 プラクセル205U)を合成例1のポリテトラメチレングリコールのかわりに用いて合成した。
【0047】
(コーティング膜の調製)
コーティング膜は、表1に示す各実施例および比較例のビニルエーテル化合物と光重合開始剤とを配合した樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を、塗布膜厚90μmアプリケーターを用いてポリプロピレンフィルム上にコーティングし、照射強度160Wの高圧水銀ランプを用いて、照射量1000mJ/cm
2の条件で硬化させた後、ポリプロピレンフィルムから剥離することでコーティング膜を調製した。得られたコーティング膜は、膜厚70〜80μmであった。
【0048】
(引張強度試験)
伸び特性を評価するための引張強度試験は、JIS K7127に準じ、引張速度10mm/minの条件にて伸度(%)を測定することでおこなった。前記コーティング膜を、幅15mmの短冊型に切断し、引張強度試験の試験片を作製した。伸度の測定は、チャック間距離25mmの条件で行った。測定は、実施例および比較例につきそれぞれ5回繰り返して行い、その平均値を記載した。
伸度が175%以上のものを○、175%未満のものを×と判定した。
【0049】
(柔軟性試験)
柔軟性試験は、引張強度試験と同様にして調製した試験片を用いて行った。柔軟性の評価は、各実施例および比較例の試験片を、5mm径のステンレス棒に試験片を巻きつけた際、試験片が割れや破断等の外観異常がおきるかで行った。測定は各実施例および比較例につきそれぞれ5回繰り返しておこなった。
評価した結果、各実施例、比較例のいずれの試験片も柔軟性試験において外観異常はなかった。
【0050】
(表面硬度試験)
強度を評価するための表面硬度試験は、引張強度試験と同様にして調製した試験片を用いて行った。表面硬度の評価は、JIS K5600に準じ、各実施例および比較例の試験片表面を硬度Bの鉛筆を用いてひっかき、割れ等の外観異常がおきるかでおこなった。測定は実施例および比較例につきそれぞれ5回繰り返しておこなった。
なお、各実施例、比較例の試験片とも表面硬度試験において外観異常はなかった。
【0051】
表1に、各実施例および比較例のビニルエーテル化合物の構成単位の配合と、この化合物に光重合開始剤を加えた組成物に光を照射し硬化して得たコーティング膜の伸度(%)と、判定結果とを示した。
【0052】
表1に示した各評価結果によれば、本発明の樹脂組成物は、比較例で示した化合物(A1)と化合物(A2)との質量比の範囲が10/90〜50/50から外れるビニルエーテル樹脂組成物と比較してきわめて優れた伸び特性を示すことが確認できた。
比較例1〜6は、前記質量比が範囲外の樹脂組成物である。比較例5は化合物(A2)の、また、比較例6は化合物(A1)の、それぞれの単独の樹脂組成物である。
比較例1〜4の樹脂組成物が示す伸度は84〜160%である。
比較例5の単独の樹脂組成物が示す伸度は122%であり、また、比較例6の単独の樹脂組成物の硬化物が示す伸度は66%である。
一方、本発明の樹脂組成物は、いずれも175%以上という、化合物(A1)単独または化合物(A2)単独のそれぞれの樹脂組成物が示す物性からは予想できないほどきわめて優れた伸び特性を有することが確認できた。
以上により、本発明の樹脂組成物は、優れた表面硬度(強度)と伸び特性(伸度)とをともに有することが確認できた。
【0053】
【表1】