特許第6148086号(P6148086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148086
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】バルブ装置及び塗工装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/22 20060101AFI20170607BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20170607BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   F16K11/22 Z
   B05C11/10
   B05C5/02
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-139054(P2013-139054)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-10706(P2015-10706A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119254
【氏名又は名称】株式会社テクノスマート
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】那須 徹
(72)【発明者】
【氏名】西野 和秀
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−047245(JP,A)
【文献】 特開2011−083719(JP,A)
【文献】 実開平03−061962(JP,U)
【文献】 実開平07−035775(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/24
F16K 3/00− 3/36
F16K 1/00− 1/54
B05C 5/00− 5/04; 7/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と、夫々の一端部に流出口が配されている2個の流出流路と、各流出流路の他端部に連通しており、各流出流路に交差する方向に配され、前記流入口を通して流入した液体を各流出流路へ流入させるための連通流路とが設けられているケーシング、
前記2個の流出流路の中途に配されており、前記2個の流出流路を開閉するための2個の弁座、並びに、
該2個の弁座に対して離着することによって、前記2個の流出流路を開閉すべく、前記2個の弁座に係る着座位置と離座位置との間での進退が可能な2個の弁体
を備えるバルブ装置において、
前記ケーシングには、前記2個の流出流路の前記他端部に臨み、前記2個の弁体の前記着座位置への後退によって前記2個の流出流路から逆流した液体が退避する2個の退避部が設けられており、
前記2個の弁体に対向配置されており、前記2個の弁体の進退に伴って前記2個の流出流路に接離する方向に前記2個の退避部を往復する2個の往復体
を備えることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
対向する前記弁体及び往復体は、夫々同径の円柱状又は円盤状になしてあることを特徴とする請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
各往復体の内部に空洞が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記2個の往復体を前記2個の弁体に着脱可能に連結する2個の連結軸を更に備え、
各退避部は、開閉可能又は前記ケーシングに着脱可能に設けてあることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のバルブ装置。
【請求項5】
塗工液を貯留する貯留部と、
該貯留部に貯留されていた塗工液を基材に塗工する塗工部と、
前記貯留部及び塗工部の間に介在する請求項1乃至4の何れか一項に記載のバルブ装置と、
該バルブ装置が有する2個の弁体を、夫々の進退が互いに逆になるよう進退させる2個の弁体駆動部と
を備え、
前記貯留部に貯留されている塗工液は、前記バルブ装置の流入口を通して前記バルブ装置の連通流路に流入し、前記バルブ装置の一方の流出口を通して前記塗工部に供給され、他方の流出口を通して前記貯留部に還流するようにしてあり、
前記塗工部への供給と前記貯留部への還流とは排他的に行なわれるようにしてあることを特徴とする塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サックバック機能を実現するためのバルブ装置及び塗工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状又は板状等の基材に塗工液を塗工する塗工装置が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の塗工装置(文中「間欠塗工装置」)は、タンクとダイヘッドとを備える。タンクは塗工液を貯留する。基材は、ダイヘッドに対して相対的に搬送される。ダイヘッドは、タンクに貯留されていた塗工液を基材の片面へ吐出することによって、基材の片面に塗工液を膜状に塗工する。
【0003】
ダイヘッドから基材の片面へ間欠的に塗工液を吐出する間欠塗工を行なう場合、タンクとダイヘッドとの間には、間欠バルブ(文中「間欠供給装置」)が配される。
タンクから間欠バルブへは、連続的に塗工液が圧送される。
塗工を行なわない期間(以下、非塗工期間という)においては、間欠バルブはダイヘッドへの塗工液の供給を断つ。このとき、間欠バルブは自身に圧送された塗工液をタンクに還流させる。
【0004】
塗工を行なう期間(以下、塗工期間という)においては、間欠バルブは自身に圧送された塗工液をダイヘッドに供給する。このとき、間欠バルブはタンクへの塗工液の還流を断つ。
塗工期間から非塗工期間に切り替える際、間欠バルブはダイヘッドへの塗工液の流出を断つと共に、既にダイヘッドに流入していた塗工液を間欠バルブへ逆流させる(サックバック)。この結果、非塗工期間の開始時に、既にダイヘッドに流入していた塗工液が基材へ無用に吐出されてしまうことが抑制される。
【0005】
特許文献1に記載の間欠バルブは、コ字状のケーシングを備えている。具体的には、ケーシングには、互いに平行な第1及び第2の流出流路が並設されている。第1及び第2の流出流路は、各流出流路に直交する連通流路によって連通している。
以下では、第1の流出流路から流出した塗工液がダイヘッドに供給され、第2の流出流路から流出した塗工液がタンクに還流する場合を説明する。
【0006】
第1の流出流路には、第1の流出流路を開閉するための第1の弁体及び第1の弁座が配されている。同様に、第2の流出流路には第2の弁体及び第2の弁座が配されている。各弁体は、弁座に係る着座位置と離座位置との間で進退する。ただし、第1及び第2の弁体の進退方向は互いに逆方向である。このため、一方の弁体が弁座から離座した場合、他方の弁体は弁座に着座する。換言すれば、一方の流出流路が開いたとき、他方の流出流路は閉じる。故に、塗工液のダイヘッドへの供給とタンクへの還流とは排他的に行なわれる。
【0007】
つまり、塗工期間においては、タンクから圧送されてきた塗工液は、連通流路へ流入し、第1の流出流路を経て、ダイヘッドに供給される。また、非塗工期間においては、タンクから圧送されてきた塗工液は、連通流路へ流入し、第2の流出流路を経て、タンクに還流する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−83719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
塗工期間から非塗工期間へ切り替わる場合、離座位置にあった第1の弁体が着座位置へ後退し、着座位置にあった第2の弁体が離座位置へ前進する。この結果、既に第1の流出流路に流入していた塗工液の少なくとも一部は、連通流路へ逆流する。この結果、第1の流出流路から第2の流出流路への塗工液の流動が発生する。
非塗工期間から塗工期間へ切り替わる場合、離座位置にあった第2の弁体が着座位置へ後退し、着座位置にあった第1の弁体が離座位置へ前進する。この結果、既に第2の流出流路に流入していた塗工液の少なくとも一部は、連通流路へ逆流する。この結果、第2の流出流路から第1の流出流路への塗工液の流動が発生する。
【0010】
いわば、塗工期間と非塗工期間とが切り替わる都度、塗工液が一方の流出流路と他方の流出流路との間を流動する。このような塗工液の流動は無駄なものであり、間欠バルブの応答性を悪化させる大きな要因である。
とはいえ、従来の塗工装置においては、基材の相対的な搬送速度が低い(例えば20m/min 程度である)ため、間欠バルブの応答性の悪さが塗工精度に悪影響を及ぼす可能性は低い。
しかしながら、基材の塗工効率を向上させるために、基材の相対的な搬送速度を高める(例えば40m/min 〜50m/min 程度にする)と、間欠バルブの応答性の悪さが塗工精度に悪影響を及ぼす虞がある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、応答性を向上させることができるバルブ装置及び塗工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るバルブ装置は、流入口と、夫々の一端部に流出口が配されている2個の流出流路と、各流出流路の他端部に連通しており、各流出流路に交差する方向に配され、前記流入口を通して流入した液体を各流出流路へ流入させるための連通流路とが設けられているケーシング、前記2個の流出流路の中途に配されており、前記2個の流出流路を開閉するための2個の弁座、並びに、該2個の弁座に対して離着することによって、前記2個の流出流路を開閉すべく、前記2個の弁座に係る着座位置と離座位置との間での進退が可能な2個の弁体を備えるバルブ装置において、前記ケーシングには、前記2個の流出流路の前記他端部に臨み、前記2個の弁体の前記着座位置への後退によって前記2個の流出流路から逆流した液体が退避する2個の退避部が設けられており、前記2個の弁体に対向配置されており、前記2個の弁体の進退に伴って前記2個の流出流路に接離する方向に前記2個の退避部を往復する2個の往復体を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るバルブ装置は、対向する前記弁体及び往復体は、夫々同径の円柱状又は円盤状になしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るバルブ装置は、各往復体の内部に空洞が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るバルブ装置は、前記2個の往復体を前記2個の弁体に着脱可能に連結する2個の連結軸を更に備え、各退避部は、開閉可能又は前記ケーシングに着脱可能に設けてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る塗工装置は、塗工液を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留されていた塗工液を基材に塗工する塗工部と、前記貯留部及び塗工部の間に介在する本発明のバルブ装置と、該バルブ装置が有する2個の弁体を、夫々の進退が互いに逆になるよう進退させる2個の弁体駆動部とを備え、前記貯留部に貯留されている塗工液は、前記バルブ装置の流入口を通して前記バルブ装置の連通流路に流入し、前記バルブ装置の一方の流出口を通して前記塗工部に供給され、他方の流出口を通して前記貯留部に還流するようにしてあり、前記塗工部への供給と前記貯留部への還流とは排他的に行なわれるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、一方の流出流路が開放され、他方の流出流路が閉鎖されている場合、流入口を通してケーシングに流入した塗工液(液体)は、連通流路及び一方の流出流路へこの順に流入し、次いで、一方の流出口を通して流出する。
一方の流出流路を閉鎖すべく、一方の弁体が着座位置へ後退した場合、既に一方の流出流路に流入していた塗工液が逆流する。逆流した塗工液は、一方の弁体の後退に伴って一方の往復体が一方の流出流路から離隔することによって、一方の退避部へ退避する。
【0018】
一方の流出流路の閉鎖に伴い、他方の流出流路を開放すべく、他方の弁体が離座位置へ前進した場合、少なくとも、流入口を通して新たに連通流路に流入した塗工液は、他方の流出流路へ流入する。他方の退避部に退避していた塗工液は、他方の弁体の前進に伴って他方の往復体が他方の流出流路へ接近することによって、他方の流出流路へ流入する。他方の流出流路に流入した塗工液は、他方の流出口を通して流出する。
【0019】
つまり、2個の流出流路を開閉する際(即ち、塗工期間と非塗工期間とを切り替える際)に、一方の流出流路と他方の流出流路との間で塗工液が流動することが抑制される。換言すれば、バルブ装置の応答性を悪化させる要因となる塗工液の無駄な流動の発生が抑制される。
【0020】
本発明にあっては、対向配置された弁体と往復体とが、夫々円柱状又は円盤状になしてある。弁体と往復体とは同径である。このため、弁体の進退によって流動する塗工液の量と、往復体の往復によって流動する塗工液の量と(例えば流出流路から逆流する塗工液の量と、退避部へ退避する塗工液の量と)を対応させることができる。このため、バルブ装置の応答性を更に向上させることができる。
【0021】
本発明にあっては、往復体の内部が空洞であるため、中実の往復体に比べて、往復体は軽量である。このため、往復体を往復させる往復体駆動部の負担を軽減することができる。
【0022】
本発明にあっては、連結軸を介して弁体の進退と往復体の往復とを連動させることができる。このため、弁体を進退させる弁体駆動部と往復体を往復させる往復体駆動部とを1個の駆動部で兼用することができる。従って、塗工装置を小型化することができる。
【0023】
また、往復体及び退避部が不要である場合は、これらを取り外すことによって、これらを備えていないバルブ装置を容易に得ることができる。
更に、塗工条件(例えば塗工液の粘度、又は必要とされる塗工精度等)に応じて、往復体及び退避部を最適なものに交換することができる。つまり、塗工条件に適合するバルブ装置を容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のバルブ装置及び塗工装置による場合、塗工期間と非塗工期間とを切り替える際に、2個の流出流路間での無駄な流動の発生を抑制することができる。従って、バルブ装置の応答性を向上させることができる。この結果、基材の相対的な搬送速度が高くても塗工精度の悪化を抑制することができる。つまり、基材の塗工効率と塗工精度とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態1に係るバルブ装置としての間欠バルブの構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る塗工装置(非塗工期間から塗工期間への切り替え時)の構成を模式的に示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る塗工装置(塗工期間から非塗工期間への切り替え時)の構成を模式的に示すブロック図である。
図4】従来の塗工装置(非塗工期間から塗工期間への切り替え時)の構成を模式的に示すブロック図である。
図5】従来の塗工装置(塗工期間から非塗工期間への切り替え時)の構成を模式的に示すブロック図である。
図6】本発明の実施の形態2に係るバルブ装置としての間欠バルブ(シャトルあり)の構成を略示する断面図である。
図7】本発明の実施の形態2に係るバルブ装置としての間欠バルブ(シャトルなし)の構成を略示する断面図である。
図8】本発明の実施の形態3に係るバルブ装置としての間欠バルブの構成を略示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。以下の説明では、図において矢符で示す前後及び左右を使用する。
【0027】
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るバルブ装置としての間欠バルブ3の構成を示す断面図である。
図2及び図3は、本発明の実施の形態1に係る塗工装置4の構成を模式的に示すブロック図である。図2は、非塗工期間から塗工期間への切り替え時における塗工装置4を示し、図3は、塗工期間から非塗工期間への切り替え時における塗工装置4を示している。図2及び図3には、間欠バルブ3の構成を略示する断面図が含まれている。
まず、塗工装置4について説明する。
塗工装置4は、帯状の基材Wを搬送しながら、基材Wの片面に間欠的に塗工する。
基材Wは、例えば帯状の金属箔又はプラスチックフィルムを用いてなる。塗工液(塗布液)は、例えば3000cps 〜10000cps程度の粘度を有する。基材Wの搬送速度は、例えば40m/min 〜50m/min 程度である。
【0028】
塗工装置4は、制御部40、第1及び第2の弁体駆動部41,42、本実施の形態に係る貯留部としてのタンク43、圧送部としてのポンプ44、塗工部としてのダイヘッド45、バックアップロール46、リターンバルブ47、2個の圧力検出部481,482、及び間欠バルブ3を備えている。
【0029】
タンク43には、塗工液が貯留されている。
ポンプ44は、タンク43に貯留されている塗工液を間欠バルブ3へ圧送する。
ポンプ44によって圧送された塗工液は、間欠バルブ3を経て、ダイヘッド45に供給されるか、タンク43に還流する。ダイヘッド45への塗工液の供給と、タンク43への塗工液の還流とは、排他的に行なわれる。
リターンバルブ47は、タンク43へ還流する塗工液の流量を調節するためのものである。
圧力検出部481,482は、間欠バルブ3の内部の圧力を検出する。圧力検出部481,482の検出結果に応じて、ポンプ44の出力、又は間欠バルブ3の内部の圧力を調節する図示しない圧力弁の開閉等が制御される。
【0030】
バックアップロール46には、基材Wの一面が露出し、基材Wの他面がバックアップロール46に接触するようにして、基材Wが掛回される。基材Wは、バックアップロール46の回転に伴って連続的に搬送される。
ダイヘッド45は、バックアップロール46に対向配置されている。ダイヘッド45とバックアップロール46との間には、バックアップロール46に掛回されている基材Wの一部が配される。
ダイヘッド45は、間欠バルブ3からダイヘッド45へ塗工液が供給されている間、供給された塗工液を、基材Wの一面へ吐出する。間欠バルブ3からダイヘッド45へ塗工液が供給されていていない場合、ダイヘッド45による塗工液の吐出は行なわれない。間欠バルブ3からダイヘッド45へ塗工液が間欠的に供給されることによって、ダイヘッド45から基材Wの一面へ塗工液が間欠的に吐出される。この結果、基材Wの一面には、塗工液の膜が基材Wの搬送方向に断続的に形成される。
【0031】
第1の弁体駆動部41は、モータ411及びカム412を有している。カム412は、モータ411の出力軸に取り付けられている。モータ411が作動している場合、モータ411が出力する回転運動は、カム412によって往復直線運動に変換される。第1の弁体駆動部41は、往復直線運動を後述する第1の連結軸14に与える。この結果、第1の弁体駆動部41は、後述する第1の弁体11を進退させる弁体駆動部、兼、後述する第1のシャトル13を往復させる往復体駆動部として機能する。
第2の弁体駆動部42は、モータ421及びカム422を有している。第2の弁体駆動部42は、第1の弁体駆動部41と同様の構成である。第2の弁体駆動部42は、往復直線運動を後述する第2の連結軸24に与える。この結果、第2の弁体駆動部42は、後述する第2の弁体21を進退させる弁体駆動部、兼、後述する第2のシャトル23を往復させる往復体駆動部として機能する。
【0032】
制御部40は、第1及び第2の弁体駆動部41,42夫々の動作を制御する。具体的には、制御部40は、モータ411,421夫々の回転開始/回転終了と回転量と回転速度とを制御する。このとき、制御部40は、カム412,422の位相差が180 °になるよう制御する。この結果、第1及び第2の弁体駆動部41,42は、互いに逆方向の往復直線運動を第1及び第2の連結軸14,24に与える。
なお、第1及び第2の弁体駆動部41,42は、モータ411,421及びカム412,422を有する構成に限定されるものではない。例えば、第1及び第2の弁体駆動部41,42は、ボールねじを用いてなる構成でもよい。
制御部40と第1及び第2の弁体駆動部41,42とは、後述する第1及び第2の連結軸14,24に互いに逆方向の往復直線運動を与える構成であれば、本実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0033】
次に、間欠バルブ3について説明する。
間欠バルブ3は、第1及び第2の弁体11,21、第1及び第2の弁座12,22、本実施の形態に係る2個の往復体としての第1及び第2のシャトル13,23、第1及び第2の連結軸14,24、第1及び第2のパッキン18,28、並びにケーシング30を有する。
ケーシング30は、複数個の部材を組み合わせてなる。具体的には、ケーシング30は、第1及び第2のケーシング分体31,32を有する。第1及び第2のケーシング分体31,32自体の構造は同一である。
第1及び第2のケーシング分体31,32夫々は、複数個の部材を組み合わせてなる。具体的には、第1及び第2のケーシング分体31,32夫々は、本体部331、流出部332、及び退出部333を有する(図1参照)。
【0034】
各本体部331は、前後方向の横姿勢に配された円筒状部材である。本体部331の開口周縁部の側壁外面には、フランジが突設されている。また、本体部331の側壁外面における軸長方向中央部には、管状部33a,33bが一体に設けられている。管状部33a,33bは、互いに離反する方向に、且つ、本体部331の側壁外面に垂直に突設されている。図1では、管状部33a,33bの内、左方へ突出しているものを管状部33aとし、右方へ突出しているものを管状部33bとしている。管状部33a,33b夫々の内部は、本体部331の内部に連通している。本体部331の側壁内面には、2個の段部が設けられている。この段部は、本体部331の軸長方向両端部と管状部33a,33bの基端部開口との間に配されている。段部が形成されていることにより、本体部331の軸長方向両端部の内径は、軸長方向中央部の内径よりも長い。
【0035】
各流出部332は、前後方向の横姿勢に配された有底円筒状部材である。流出部332の側壁外面における底部近傍には、本体部331のフランジに対応するフランジが突設されている。流出部332の底壁外面には、管状部33cが垂直に突設されている。管状部33cの内部は、流出部332の内部に連通している。管状部33cの先端部開口は、本発明の実施の形態に係る流出口として機能する。
【0036】
流出部332は、自身の先端部開口が本体部331の内部に臨み、自身の底壁が外部に露出する向きで、本体部331の前端部に取り付けられている。流出部332の側壁外面は、本体部331の側壁内面に接触している。流出部332のフランジは、本体部331の前側のフランジに対面配置されている。流出部332の先端面は、本体部331の前側の段部に対面している。流出部332の先端面と本体部331の段部との間隙は、環状のシール部材によって密閉される。このシール部材としては、第1又は第2の弁座12,22が兼用される。本体部331及び流出部332のフランジ同士は、環状の密閉接続具341によって接続される。このとき、フランジ同士の間隙が密閉される。
【0037】
各退出部333は、前後方向の横姿勢に配された円筒状部材である。退出部333の軸長方向一端部における開口周縁部の側壁外面には、本体部331のフランジに対応するフランジが突設されている。
【0038】
退出部333は、軸長方向一端部開口が本体部331の内部に臨み、軸長方向他端部開口が外部に露出する向きで、本体部331の後端部に取り付けられている。退出部333の側壁外面は、本体部331の側壁内面に接触している。退出部333のフランジは、本体部331の後ろ側のフランジに対面配置されている。退出部333の軸長方向一端部先端面は、本体部331の後ろ側の段部に対面している。退出部333の軸長方向一端部先端面と本体部331の段部との間隙は、環状のシール部材によって密閉される。このシール部材としては、第1又は第2のパッキン18,28が兼用される。本体部331及び退出部333のフランジ同士は、環状の密閉接続具342によって接続される。このとき、フランジ同士の間隙が密閉される。退出部333の内部は、第1又は第2のシャトル13,23が後述する第1又は第2の退避部17,27から退出するための退出空間33dとして機能する。換言すれば、退出空間33dは、第1又は第2のシャトル13,23が第1又は第2の退避部17,27から退出するために後方へ突出する場合の突出代である。塗工液が退出空間33dを流れることはない。
【0039】
間欠バルブ3の製造者は、本体部331、流出部332、及び退出部333等を用いて組み立てたケーシング分体を2個準備し、一方のケーシング分体を第1のケーシング分体31として用い、他方のケーシング分体を第2のケーシング分体32として用いる。
製造者は、第1及び第2のケーシング分体31,32を、夫々の管状部33cを前側に向けて左右方向に並置する。図1図3では、左側に第1のケーシング分体31が配され、右側に第2のケーシング分体32が配されている場合が例示されている。このとき、製造者は、第1のケーシング分体31における管状部33bと第2のケーシング分体32における管状部33aとを、互いの先端部開口を臨ませて、環状の密閉接続具343を用いて密閉接続させる。この結果、第1のケーシング分体31の内部と第2のケーシング分体32の内部とは、接続されている管状部33b,33aの内部を通して連通する。
【0040】
第1のケーシング分体31における管状部33aは、環状の密閉接続具344によって、給液管431の一端部に密閉接続される。給液管431の中途にはポンプ44が介在している。給液管431の他端部はタンク43に接続されている。従って、管状部33aの先端部開口は、タンク43に貯留されている塗工液(液体)をケーシング30の内部へ流入させるための流入口10として機能する。
【0041】
第1のケーシング分体31における管状部33cは、図示しない密閉接続具によって、排液管432の一端部に密閉接続される。排液管432の中途にはリターンバルブ47が介在している。排液管432の他端部はタンク43に接続されている。従って、この管状部33cの先端部開口は、ケーシング30の内部からタンク43へ塗工液が流出(還流)するための第1の流出口16として機能する。
第1のケーシング分体31における本体部331の前半部分(更に詳細には、本体部331の前半部分における段部から管状部33a,33b夫々の突設位置まで)及び流出部332夫々の内部は、前端部に第1の流出口16が配されている第1の流出流路15として機能する。
第1のケーシング分体31における本体部331の後半部分(更に詳細には、本体部331の後半部分における段部と管状部33a,33b夫々の突設位置との間の範囲)の内部は、第1の流出流路15の後端部に臨む第1の退避部17として機能する。
【0042】
第2のケーシング分体32における管状部33cは、図示しない密閉接続具によって、吐液管451の一端部に密閉接続される。吐液管451の他端部は、ダイヘッド45に接続されている。従って、この管状部33cの先端部開口は、ケーシング30の内部からダイヘッド45へ塗工液が流出するための第2の流出口26として機能する。
第2のケーシング分体32における本体部331の前半部分及び流出部332夫々の内部は、前端部に第2の流出口26が配されている第2の流出流路25として機能する。つまり、第2の流出流路25は、第1の流出流路15に対応する部分である。
第2のケーシング分体32における本体部331の後半部分の内部は、前端部が第2の流出流路25の後端部に臨む第2の退避部27として機能する。つまり、第2の退避部27は第1の退避部17に対応する部分である。
【0043】
第1及び第2の流出流路15,25と第1及び第2の退避部17,27との間、並びに、接続されている管状部33b,33aの内部は、連通流路20として機能する。連通流路20は、第1及び第2の流出流路15,25夫々の後端部に連通しており、第1及び第2の流出流路15,25夫々に交差(本実施の形態では直交)する方向に配されている。流入口10を通して流入した塗工液は、連通流路20を経て、第1又は第2の流出流路17,27へ流入する。
第2のケーシング分体32における管状部33bは、密閉具345によって密閉されている。
以上の結果、ケーシング30の内部に設けられている空間は、概ねH字状をなしている。
【0044】
圧力検出部481,482は、第2のケーシング分体32における管状部33b,33cの内部の圧力を検出する。この管状部33cの内部の圧力は、基材Wへ吐出される塗工液の圧力を示している。管状部33bの内部の圧力は、ケーシング30の内部の圧力を代表している。
【0045】
第1の流出流路15には、第1の弁体11及び第1の弁座12が配されている。第1の退避部17には、第1のシャトル13及び第1のパッキン18が配されている。第1の弁体11と第1のシャトル13とは、第1の連結軸14によって連結されている。第1の弁体11には通液溝11a,11a,…が設けられている。第1のシャトル13には空洞13a及び円筒状部13bが設けられている。
第2の流出流路25には、第2の弁体21及び第2の弁座22が配されている。第2の退避部27には、第2のシャトル23及び第2のパッキン28が配されている。第2の弁体21と第2のシャトル23とは、第2の連結軸24によって連結されている。第2の弁体21には通液溝21a,21a,…が設けられている。第2のシャトル23には空洞23a及び円筒状部23bが設けられている。
【0046】
第1及び第2の弁体11,21と第1及び第2の弁座12,22と第1及び第2のシャトル13,23と第1及び第2のパッキン18,28と第1及び第2の連結軸14,24とは、夫々同一の構成である。従って、以下では第1の弁体11及び第1の弁座12等に関する詳述を行ない、第2の弁体21及び第2の弁座22等に関する詳述は省略する。
【0047】
第1の連結軸14は、前後方向の横姿勢に配されている。第1の連結軸14の前端部は、第1の流出流路15の内部に位置している。第1の連結軸14の後端部は、ケーシング30の外部にて、第1の弁体駆動部41のカム412に連結されている。このため、第1の連結軸14は、前後方向に往復直線運動を行なう。
第1の弁座12は、環状の弾性部材を用いてなるパッキンである。第1の弁座12の一部は、流出部332の先端面と本体部331の段部との間隙を埋めている。第1の弁座12の他部は、第1の流出流路15の内周面から突出するように配されている。
第1の弁体11は、前後方向の横姿勢に配された円柱状になしてある。第1の弁体11の周面の内、後半部分には、周方向に等配された複数本の通液溝11a,11a,…が形成されている。各通液溝11aは、長さ方向が第1の弁体11の軸長方向に沿う。
【0048】
第1の弁体11の前半部分が第1の弁座12の内部に嵌合した場合、第1の弁体11の周面と第1の弁座12の内周との間は密閉される。この結果、第1の流出流路15が閉鎖される。従って、流入口10と第1の流出口16との間の塗工液の通流が不可能になる。つまり、第1の弁体11の前半部分が第1の弁座12の内部に嵌合した場合とは、第1の弁体11が第1の弁座12に対して着座した場合である。
第1の弁体11の後半部分が第1の弁座12の内部に嵌合した場合、第1の弁体11の周面と第1の弁座12の内周との間には、通液溝11a,11a,…による空隙が生じる。この結果、第1の流出流路15が開放される。従って、流入口10から第1の流出口16への塗工液の通流が可能になる。つまり、第1の弁体11の後半部分が第1の弁座12の内部に嵌合した場合とは、第1の弁体11が第1の弁座12に対して離座した場合である。
【0049】
第1の弁体11は、第1の連結軸14の前端部に取り付けられている。具体的には、第1の弁体11の軸心部分には前後方向の貫通孔が形成されており、この貫通孔に、第1の連結軸14が嵌め込まれている。
第1の弁体駆動部41によって第1の連結軸14が往復直線運動を行なうと、第1の弁体11は、第1の流出流路15の内部にて、着座位置と離座位置との間で進退する。図2に示す第1の弁体11は、着座位置にある。図3に示す第1の弁体11は、離座位置にある。着座位置は、離座位置よりも後ろ側である。着座位置における第1の弁体11の後端部は、第1の流出流路15の内部にある。本明細書では、第1の弁体11の着座位置側から離座位置側への移動を前進という。また、第1の弁体11の離座位置側から着座位置側への移動を後退という。第1の弁体11の前進方向は、第1の流出流路15における塗工液の第1の流出口16への流動方向(順流方向)に対応する。第1の弁体11の後退方向は、第1の流出流路15における塗工液の逆流方向に対応する。
【0050】
第1のパッキン18は、環状の弾性部材を用いてなる。第1のパッキン18の一部は、退出部333の先端面と本体部331の段部との間隙を埋めている。第1のパッキン18の他部は、第1の退避部17の内周面から突出するように配されている。
第1のシャトル13は、前後方向の横姿勢に配された有底円筒状になしてある。故に、第1のシャトル13には空洞13aが設けられている。このため、第1のシャトル13は、円柱状になしてある場合よりも軽量である。第1のシャトル13の外径と第1の弁体11の外径とは等しい。
【0051】
第1のシャトル13は、軸長方向前端部が第1の退避部17の内部に位置し、軸長方向前端部が退出空間33dの内部に位置する状態で、常に第1のパッキン18の内部に嵌合している。このとき、第1のシャトル13の周面と第1のパッキン18の内周との間は密閉される。この結果、第1の退避部17に流入した塗工液が、退出空間33dへ漏出し、更にはケーシング30の外部へ漏出することはない。
第1のシャトル13の底壁内面には、前後方向の円筒状部13bが突設されている。第1のシャトル13の軸心と円筒状部13bの軸心とは同軸に配されている。
【0052】
第1のシャトル13は、底壁外面を第1の弁体11に向けた姿勢で、第1の連結軸14の長さ方向中央部に取り付けられている。具体的には、第1の連結軸14は、円筒状部13bの内部に嵌め込まれている。この結果、第1のシャトル13の底壁外面(即ち前端面)は、第1の弁体11の後端面に対面している。
【0053】
第1の弁体駆動部41によって第1の連結軸14が往復直線運動を行なうと、第1のシャトル13は、第1の流出流路15に接離する方向に往復移動する。図2に示す第1のシャトル13は、第1の流出流路15から最離隔する最離隔位置にある。図3に示す第1のシャトル13は、第1の流出流路15に最接近する最接近位置にある。最離隔位置及び最接近位置のいずれにおいても、第1のシャトル13の前端部は第1の退避部17の内部にある。本明細書では、第1のシャトル13の第1の流出流路15へ接近する方向への移動を前進という。また、第1のシャトル13の第1の流出流路15から離隔する方向への移動を後退という。
第1の弁体11と第1のシャトル13とは、同じタイミングで同じ方向に同じ距離(例えば2mm又は3mm)だけ進退する。
【0054】
第1のシャトル13による最離隔位置から最接近位置への前進に伴い、第1のシャトル13が第1の退避部17の内部を占拠するため、第1の退避部17の内部において、塗工液が流入可能な空間(以下、第1の退避部17の流入可能空間という)が減少する。第1のシャトル13が最接近位置にある場合、第1の退避部17の流入可能空間は最も小さい。
第1のシャトル13による最接近位置から最離隔位置への後退に伴い、第1のシャトル13の一部が退出空間33dへ退出するため、第1の退避部17の流入可能空間が増大する。第1のシャトル13が最離隔位置にある場合、第1の退避部17の流入可能空間は最も大きい。
【0055】
ここで、本実施の形態の間欠バルブ3の挙動について説明する。
ポンプ44は、タンク43に貯留されている塗工液を、間欠バルブ3へ連続的に圧送する。圧送された塗工液は、流入口10を通して連通流路20へ流入する。
【0056】
まず、塗工期間について説明する。
塗工期間においては、第1の弁体11は着座位置にあり、第2の弁体21は離座位置にある(図2参照)。
このため、連通流路20に流入した塗工液は、開放されている第2の流出流路25を経て、第2の流出口26を通してダイヘッド45に供給される。この結果、基材Wの一面に、塗工液が塗工される。
【0057】
第1の流出流路15は閉鎖されているため、第1の流出口16を通した塗工液の流出(即ちタンク43への塗工液の還流)は行なわれない。
また、塗工期間においては、第1のシャトル13は最離隔位置にあり、第2のシャトル23は最接近位置にある。
このため、第1の退避部17の内部には塗工液が存在するが、第2の退避部27の内部には塗工液はほとんど存在しない。
塗工液の流動方向は、流入口10から連通流路20を経て第2の流出流路25の後端部に至るまでが右方向であり、第2の流出流路25を経て第2の流出口26に至るまでが前方向である。連通流路20と第1の流出流路15並びに第1及び第2の退避部17,27との間における塗工液の流動は、ほとんど生じない。
【0058】
次に、非塗工期間について説明する。
非塗工期間においては、第1の弁体11は離座位置にあり、第2の弁体21は着座位置にある(図3参照)。
このため、連通流路20に流入した塗工液は、開放されている第1の流出流路15を経て、第1の流出口16を通してタンク43に還流する。
【0059】
第2の流出流路25は閉鎖されているため、第2の流出口26を通した塗工液の流出(即ちダイヘッド45への塗工液の供給)は行なわれない。この結果、基材Wの一面における塗工液の塗工が休止する。
また、非塗工期間においては、第1のシャトル13は最接近位置にあり、第2のシャトル23は最離隔位置にある。
このため、第2の退避部27の内部には塗工液が存在するが、第1の退避部17の内部には塗工液はほとんど存在しない。
塗工液の流動方向は、流入口10から連通流路20を経て第1の流出流路15の後端部に至るまでが右方向であり、第1の流出流路15を経て第1の流出口16に至るまでが前方向である。連通流路20と第2の流出流路25並びに第1及び第2の退避部17,27との間における塗工液の流動は、ほとんど生じない。
【0060】
次に、塗工期間から非塗工期間へ切り替える場合について説明する。
塗工期間から非塗工期間へ切り替える際、図3に示すように、第1の連結軸14が前方へ直線運動を行ない、第2の連結軸24が後方へ直線運動を行なう。これに伴い、第1の弁体11は着座位置から離座位置へ前進し、第1のシャトル13は最離隔位置から最接近位置へ前進する。また、第2の弁体21は離座位置から着座位置へ後退し、第1のシャトル13は最接近位置から最離隔位置へ後退する。この結果、第1の流出流路15が開放され、第2の流出流路25が閉鎖される。また、第1の退避部17の流入可能空間が減少し、第2の退避部27の流入可能空間が増大する。
【0061】
第2のケーシング分体32においては、第2の弁体21及び第2のシャトル23の後退により、第2の流出流路25の塗工液は連通流路20へ逆流し、連通流路20の塗工液は第2の退避部27へ退避する。つまり、第2の流出流路25から第2の退避部27への後ろ方向の流れが発生する。第2の弁体21及び第2のシャトル23は同径であり、両者の後退距離は同じであるため、連通流路20へ逆流した塗工液の量と第2の退避部27へ退避した塗工液の量とは同程度である。このため、第2の流出流路25から塗工液が連通流路20へ逆流することによる塗工液の左方向への流動(即ち塗工液の流入口10側への逆流)の発生が抑制される。
【0062】
一方、第1のケーシング分体31においては、第1の弁体11及び第1のシャトル13の前進により、第1の退避部17の塗工液は連通流路20へ流入する。連通流路20の塗工液は第1の流出流路15へ流入し、第1の流出流路15を経て第1の流出口16から流出する。つまり、第1の退避部17から第1の流出流路15への前方向の流れが発生する。
流入口10を通して新たに流入した塗工液は、連通流路20及び第1の流出流路15を経て第1の流出口16から流出する。
塗工液の流動方向は、流入口10から連通流路20を経て第1の流出流路15の後端部に至るまでが右方向であり、第1の流出流路15を経て第1の流出口16に至るまでが前方向である。つまり、塗工期間から非塗工期間へ切り替える際の塗工液の流動方向は、非塗工期間における塗工液の流動方向と同じである。
【0063】
ポンプ44からは適量の塗工液が常に圧送されているため、一旦第2の流出流路25へ流入した塗工液が逆流して第1の流出流路15へ流入する必要はない。仮に、第2の流出流路25から第1の流出流路15への流動が生じると、この流動は、流入口10から第1の流出口16への塗工液の円滑な流動を阻害する。つまり、第2の流出流路25から第1の流出流路15への塗工液の流動は、無駄であるばかりか間欠バルブ3の応答性を悪化させる(低くする)要因になる。
【0064】
ここで、第1の流出口16が吐液管451を介してダイヘッド45に接続され、第2の流出口26が排液管432を介してタンク43に接続されている場合を考える。
間欠バルブ3の応答性が低いと、第1の流出口16を通した塗工液の円滑な流出が阻害される。このため、ダイヘッド45への塗工液の供給量、延いては、ダイヘッド45からの塗工液の吐出量が無用に減少する。この結果、塗工装置4による精密な塗工が阻害される。
【0065】
ところで、第2の弁体21の後退によって、第2の弁体21の前側の圧力は減少する。このような減圧は、ダイヘッド45から第2の流出口26を通して第2の流出流路25へ至る塗工液の逆流を発生させる。即ち、間欠バルブ3のサックバック機能が実現する。
また、第1の弁体11の前進によって、第1の弁体11の後ろ側の圧力は減少する。このような減圧は、通液溝11a,11a,…を通した塗工液の逆流を発生させるため、間欠バルブ3の応答性を悪化させる要因になる。しかしながら、第1のシャトル13の前進によって、第1の弁体11の後ろ側が加圧される。第1の弁体11及び第1のシャトル13は同径であり、両者の前進距離は同じであるため、第1のシャトル13の前進による加圧が、第1の弁体11の前進による減圧をちょうど相殺する。故に、間欠バルブ3の応答性が向上する。
【0066】
次に、非塗工期間から塗工期間へ切り替える場合について説明する。
非塗工期間から塗工期間へ切り替える際、図2に示すように、第1の連結軸14が後方へ直線運動を行ない、第2の連結軸24が前方へ直線運動を行なう。これに伴い、第1の弁体11は離座位置から着座位置へ後退し、第1のシャトル13は最接近位置から最離隔位置へ前進する。また、第2の弁体21は着座位置から離座位置へ前進し、第2のシャトル23は最離隔位置から最接近位置へ前進する。この結果、第1の流出流路15が閉鎖され、第2の流出流路25が開放される。また、第1の退避部17の流入可能空間が増大し、第2の退避部27の流入可能空間が減少する。
【0067】
第1のケーシング分体31においては、第1の弁体11及び第1のシャトル13の後退により、第1の流出流路15の塗工液は、連通流路20へ逆流し、連通流路20の塗工液は第1の退避部17へ退避する。つまり、第1の流出流路15から第1の退避部17への後ろ方向の流れが発生する。第1の弁体11及び第1のシャトル13は同径であり、両者の後退距離は同じであるため、連通流路20へ逆流した塗工液の量と第1の退避部17へ退避した塗工液の量とは同程度である。このため、第1の流出流路15から塗工液が連通流路20へ逆流することによる塗工液の右方向への流動の発生が抑制される。
【0068】
一方、第2のケーシング分体32においては、第2の弁体21及び第2のシャトル23の前進により、第2の退避部27の塗工液は連通流路20へ流入する。連通流路20の塗工液は第2の流出流路25へ流入し、第2の流出流路25を経て第2の流出口26から流出する。つまり、第2の退避部27から第2の流出流路25への前方向の流れが発生する。
流入口10を通して新たに流入した塗工液は、連通流路20及び第2の流出流路25を経て第2の流出口26から流出する。
塗工液の流動方向は、流入口10から連通流路20を経て第2の流出流路25の後端部に至るまでが右方向であり、第2の流出流路25を経て第2の流出口26に至るまでが前方向である。つまり、非塗工期間から塗工期間へ切り替える際の塗工液の流動方向は、塗工期間における塗工液の流動方向と同じである。
【0069】
ポンプ44からは適量の塗工液が常に圧送されているため、一旦第1の流出流路15へ流入した塗工液が敢えて第2の流出流路25へ流入する必要はない。仮に、第1の流出流路15から連通流路20へ逆流した塗工液が、流入口10を通して流入してきた塗工液と共に右方向へ流動すると、連通流路20における圧力が無用に増大する。つまり、第1の流出流路15から第2の流出流路25への塗工液の流動は、無駄であるばかりか間欠バルブ3の応答性を悪化させる(過剰に高くする)要因になる。
間欠バルブ3の応答性が過剰に高いと、連通流路20における圧力が無用に増大する。このため、ダイヘッド45への塗工液の供給量、延いては、ダイヘッド45からの塗工液の吐出量が無用に増大する。この結果、塗工装置4による精密な塗工が阻害される。
【0070】
ところで、第2の弁体21の前進によって、第2の弁体21の後ろ側の圧力は減少する。このような減圧は、通液溝21a,21a,…を通した塗工液の逆流を発生させるため、間欠バルブ3の応答性を悪化させる要因になる。しかしながら、第2のシャトル23の前進によって第2の弁体21の後ろ側が加圧される。第2の弁体21及び第2のシャトル23は同径であり、両者の前進距離は同じであるため、第2のシャトル23の前進による加圧が、第2の弁体21の前進による減圧をちょうど相殺する。故に、間欠バルブ3の応答性が向上する。
【0071】
以上のような間欠バルブ3を備える塗工装置4においては、間欠バルブ3の応答性が向上されているため、基材Wの搬送速度が制限されない。従って、基材Wの搬送速度は、40m/min 〜50m/min 程度の高速でもよく、20m/min 程度の低速でもよい。基材Wの搬送速度が高い場合には、基材Wの塗工効率が向上する。しかも、基材Wの搬送速度の高低によらず、塗工精度を向上させることができる。
なお、塗工装置4は、基材Wの両面に塗工する構成でもよい。
また、塗工装置4は、基材Wの片面に連続的に塗工してもよい。
【0072】
間欠バルブ3は、例えば基材Wの特性又は塗工液の粘性等の塗工条件に応じて、第1の弁体11(又は第2の弁体21)の着座位置及び離座位置を、最適なものに変更することが可能な構成でもよい。例えば第2の弁体21の場合、具体的には、制御部40がモータ421の回転量を適宜に制御することによって、第2の連結軸24の前後移動量を調節する。この結果、第2の弁体21が停止すべき位置(即ち着座位置及び離座位置)が変更される。
このとき、間欠バルブ3は、第1の弁体11(又は第2の弁体21)の移動速度、即ち、着座位置と離座位置との間の移動時間を、最適なものに変更することが可能な構成でもよい。例えば第2の弁体21の場合、具体的には、制御部40がモータ421の回転速度を適宜に制御することによって、第2の連結軸24の前後移動速度を調節する。この結果、第2の弁体21の移動速度が変更される。
【0073】
第2の弁体21の着座位置が変更されると、サックバックの度合いが変化する。例えば、第2の弁体21の新たな着座位置を図3に示すものよりも後方へ変更した場合、ダイヘッド45から第2の流出流路25へ逆流する塗工液の量が増加する。
第1及び第2の弁体11,21の離座位置が変更されると、塗工期間中の流量が変化する。例えば、第2の弁体21の新たな離座位置を図2に示す着座位置よりも前方(又は後方)へ変更した場合、通液溝21a,21a,…の開度が大きく(又は小さく)なる。このため、第2の流出口26から流出する流量が増大(又は減少)する。
【0074】
次に、本実施の形態の間欠バルブ3を備えている塗工装置4と、従来の間欠バルブ300を備えている従来の塗工装置とのハードウェア構成の差異について説明する。両者の本質的な差異は、第1及び第2のシャトル13,23並びに第1及び第2の退避部17,27の有無である。即ち、間欠バルブ3はこれらを有しているが、従来の間欠バルブ300はこれらを有していない。
ここで、従来の間欠バルブ300の挙動について説明する。
【0075】
図4及び図5は、従来の塗工装置の構成を模式的に示すブロック図である。図4は、非塗工期間から塗工期間への切り替え時における従来の塗工装置を示し、図5は、塗工期間から非塗工期間への切り替え時における従来の塗工装置を示している。図4及び図5には、間欠バルブ300の構成を略示する断面図が含まれている。図4及び図5は、図2及び図3に対応する。
以下では、従来の塗工装置と塗工装置4との差異について説明し、その他、塗工装置4に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
第1及び第2の退避部17,27が設けられていないため、ケーシング30の内部に設けられている空間は、概ねコ字状をなしている。
塗工期間及び非塗工期間における間欠バルブ300の挙動は、塗工期間及び非塗工期間における間欠バルブ3の挙動と略同様である。
【0076】
次に、塗工期間から非塗工期間へ切り替える場合について説明する。
塗工期間から非塗工期間へ切り替える際、図5に示すように、第1の連結軸14が前方へ直線運動を行ない、第2の連結軸24が後方へ直線運動を行なう。これに伴い、第1の弁体11は着座位置から離座位置へ前進する。また、第2の弁体21は離座位置から着座位置へ後退する。この結果、第1の流出流路15が開放され、第2の流出流路25が閉鎖される。
【0077】
第1のケーシング分体31においては、第1の弁体11の前進により、塗工液は、連通流路20及び第1の流出流路15を経て第1の流出口16から流出する。
一方、第2のケーシング分体32においては、第2の弁体21の後退により、第2の流出流路25の塗工液は連通流路20へ逆流する。このため、塗工液の左方向への流動(即ち塗工液の流入口10側への逆流)が発生する。つまり、第2の流出流路25から第1の流出流路15への塗工液の無駄な流動が生じる。この結果、間欠バルブ300の応答性が悪化する。
また、第1の弁体11の前進によって、第1の弁体11の後ろ側の圧力が一時的に減少する。このような減圧は、通液溝11a,11a,…を通した塗工液の逆流を発生させるため、間欠バルブ300の応答性を更に悪化させる。
【0078】
次に、非塗工期間から塗工期間へ切り替える場合について説明する。
非塗工期間から塗工期間へ切り替える際、図4に示すように、第1の連結軸14が後方へ直線運動を行ない、第2の連結軸24が前方へ直線運動を行なう。これに伴い、第1の弁体11は離座位置から着座位置へ後退する。また、第2の弁体21は着座位置から離座位置へ前進する。この結果、第1の流出流路15が閉鎖され、第2の流出流路25が開放される。
【0079】
第2のケーシング分体32においては、第2の弁体21の前進により、塗工液は、連通流路20及び第2の流出流路25を経て第2の流出口26から流出する。
一方、第1のケーシング分体31においては、第1の弁体11の後退により、第1の流出流路15の塗工液は連通流路20へ逆流する。このため、塗工液の右方向への流動が発生する。つまり、第1の流出流路15から第2の流出流路25への塗工液の無駄な流動が生じる。この結果、間欠バルブ300の応答性が悪化する。
また、第2の弁体21の前進によって、第2の弁体21の後ろ側の圧力が一時的に減少する。このような減圧は、通液溝21a,21a,…を通した塗工液の逆流を発生させるため、間欠バルブ300の応答性を更に悪化させる。
【0080】
以上のような間欠バルブ300を備える従来の塗工装置においては、間欠バルブ300の応答性が悪いため、基材Wの搬送速度が例えば30m/min 程度までに制限される。従って、基材Wの搬送速度を向上させることによる基材Wの塗工効率の向上が望めない。仮に、基材Wの搬送速度を向上させると、塗工精度が悪化する。
【0081】
ところで、従来の塗工装置が備える第1及び第2の弁体駆動部41,42に比べれば、本実施の形態の塗工装置4が備える第1及び第2の弁体駆動部41,42は、第1及び第2の弁体11,21を移動させる際のモータ411,421の負担が増大している。何故ならば、塗工装置4においては、第1及び第2の連結軸14,24に、第1及び第2の弁体11,21のみならず第1及び第2のシャトル13,23も取り付けられているからである。
とはいえ、空洞13a,23aが設けられている第1及び第2のシャトル13,23は何れも軽量であるため、第1及び第2のシャトル13,23に空洞13a,23aが設けられていない場合に比べれば、モータ411,421の負担の増大は軽減される。
【0082】
仮に、第1及び第2の弁体11,21と第1及び第2のシャトル13,23とが第1及び第2の連結軸14,24によって連結されていない場合、モータ411,421の負担は従来の塗工装置が備えるものと同程度になる。しかしながら、この場合、塗工装置4は、第1及び第2のシャトル13,23を進退させる第1及び第2のシャトル駆動部を、第1及び第2の弁体駆動部41,42とは別に備えていなければならない。しかも、制御部40は、第1の弁体11の進退と第1のシャトル13の進退とを同期させ、第2の弁体21の進退と第2のシャトル23の進退との進退を同期させ、更に、第1の弁体11及び第1のシャトル13の進退と第2の弁体21及び第2のシャトル23の進退とが互いに逆になるように、第1及び第2の弁体駆動部41,42並びに第1及び第2のシャトル駆動部夫々の動作を制御しなければならない。つまり、モータ411,421の負担の軽減と引き替えに、塗工装置4の大型化及び制御の煩雑化を招く。
【0083】
また、本実施の形態の塗工装置4が備える第1及び第2の弁体駆動部41,42は、従来の塗工装置が備える第1及び第2の弁体駆動部41,42に比べれば、第1及び第2の弁体11,21を静止させておくためのモータ411,421の負担が減少している。
例えば第1の弁体11は、塗工液から前方向への圧力を受ける。従来の塗工装置においては、第1の弁体11を着座位置又は離座位置に静止させておくために、モータ411は、少なくとも第1の弁体11に加わる前方向への液圧を打ち消すだけのトルクを発生させる必要がある。一方、本実施の形態の塗工装置4においては、第1のシャトル13が、塗工液から後ろ方向への圧力を受ける。第1の弁体11と第1のシャトル13とは同径であり、しかも第1の連結軸14にて連結されている。このため、第1の弁体11に加わる前方向への液圧は、第1のシャトル13に加わる後ろ方向への液圧によって打ち消される。故に、第1の弁体11を着座位置又は離座位置に静止させておくためにモータ411が発生させるべきトルクは、従来よりも小さい。
【0084】
実施の形態 2.
本実施の形態の間欠バルブ3及び塗工装置4は、実施の形態1の間欠バルブ3及び塗工装置4と略同様の構成である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
図6及び図7は、本発明の実施の形態2に係るバルブ装置としての間欠バルブ3の構成を略示する断面図である。第1及び第2のケーシング分体31,32のハードウェア構成は同一であるため、図6及び図7は、第1のケーシング分体31のみを示している。また、図6は、第1のシャトル13がある場合を示し、図7は、第1のシャトル13がない場合を示している。
以下では、図6及び図7と共に実施の形態1の図1を参照しつつ説明する。
【0085】
本実施の形態では、退出部333は本体部331に対して着脱可能であり、第1のシャトル13は第1の連結軸14に対して着脱可能である。また、第1のパッキン18及び密閉接続具342夫々も着脱可能な構成にしてある。
退出部333の着脱は、密閉接続具342の本体部331及び退出部333に対する着脱と、退出部333の本体部331の内部に対する挿脱とによって行なわれる。
第1のパッキン18は、本体部331と退出部333とに着脱可能に挟持される。
第1のシャトル13の着脱は、円筒状部13bに対する第1の連結軸14の挿脱と、第1のシャトル13を第1の連結軸14に固定する固定具346の着脱とによって行なわれる。第1の連結軸14は軸長方向中央部が太く、後端部が細く形成されており、軸長方向中央部と後端部との境界部分に段部を有する。第1のシャトル13は、この段部と固定具346とに着脱可能に挟持される。
【0086】
間欠バルブ3は、本体部331に対して着脱可能な閉塞部材334を更に備えている。閉塞部材334は、前後方向の横姿勢に配すべき有底円筒状をなす。閉塞部材334の底壁の軸心部分には、第1の連結軸14がパッキン335を介して液密且つ往復直線運動可能に挿通される挿通孔が形成されている。閉塞部材334は、底壁を前側に向け、挿通孔に第1の連結軸14を挿通した状態で、第1の退避部17を含む本体部331の後半部分の内部に嵌脱可能に嵌め込まれる。
第1のシャトル13、第1のパッキン18、及び退出部333と、閉塞部材334とは、排他的に第1のケーシング分体31に配される。
【0087】
本体部331に閉塞部材334を取り付ける場合、まず、密閉接続具342が取り外される。次に、退出部333が取り外され、更に、第1のシャトル13及び第1のパッキン18が取り外される。この後、退出部333に替えて閉塞部材334が取り付けられる。最後に、密閉接続具342が再び取り付けられる。
本体部331に閉塞部材334が取り付けられている場合、第1のケーシング分体31において、第1の退避部17が閉塞される。この結果、間欠バルブ3は、従来の間欠バルブ300と同様の作用効果を奏する。
【0088】
一方、本体部331に第1のシャトル13、第1のパッキン18、及び退出部333を取り付ける場合、まず、密閉接続具342が取り外される。次に、閉塞部材334が取り外される。この後、退出部333と共に第1のパッキン18が取り付けられ、次いで、第1のシャトル13が取り付けられる。最後に、密閉接続具342が再び取り付けられる。
閉塞部材334に替えて退出部333が取り付けられると、第1の退避部17が開放される。つまり、第1の退避部17は開閉可能にしてある。
【0089】
以上のような間欠バルブ3は、第1のシャトル13及び第1の退避部17等の要否に応じて、第1のシャトル13及び第1の退避部17等を着脱することができる。このため、第1のシャトル13及び第1の退避部17等の要否に応じて、間欠バルブ3と従来の間欠バルブ300とを両方用意しておく必要はない。
【0090】
なお、第1の退避部17がケーシング30に着脱可能に設けられていてもよい。この場合、本体部331が、前半部分と後半部分とに分割可能に設けられる。第1の退避部17をケーシング30から取り外すときは、本体部331の前半部分から後半部分を取り外せばよい。このとき、本体部331の後半部分と共に、第1のパッキン18及び密閉接続具342も取り外される。更に、第1のシャトル13が取り外される。本体部331の後半部分の取り外しによって、ケーシング30には無用な開口が生じる。この開口は、ケーシング30に対して着脱可能な蓋部材(不図示)によって閉塞される。以上の結果、間欠バルブ3は、従来の間欠バルブ300と同様の作用効果を奏する。
また、第1のシャトル13が第1の連結軸14に対して着脱可能であってもよい。この場合、第1のシャトル13及び第1の連結軸14の一方だけを、構成が同じもの又は異なるものに交換することが可能である。
【0091】
実施の形態 3.
本実施の形態の間欠バルブ3及び塗工装置4は、実施の形態2の間欠バルブ3及び塗工装置4と略同様の構成である。以下では、実施の形態2との差異について説明し、その他、実施の形態2に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
図8は、本発明の実施の形態3に係るバルブ装置としての間欠バルブ3の構成を略示する断面図である。第1及び第2のケーシング分体31,32のハードウェア構成は同一であるため、図8は、第1のケーシング分体31のみを示している。
以下では、図8と共に実施の形態1の図1及び実施の形態2の図6を参照しつつ説明する。
【0092】
本実施の形態の間欠バルブ3は、第1のシャトル13、第1の退避部17、及び/又は第1のパッキン18を、塗工条件に応じた最適なものに交換可能な構成である。具体的には、図6に示す第1のシャトル13、第1の退避部17、及び第1のパッキン18を、図8に示す第1のシャトル131、第1の退避部171、及び第1のパッキン181に交換することが可能である。このために、間欠バルブ3は、第1の退避部171を有する退出部336を更に備えている。第1のシャトル13、第1のパッキン18、及び退出部333と、第1のシャトル131、第1のパッキン181、及び退出部336とは、排他的に第1のケーシング分体31に配される。
【0093】
間欠バルブ3を、図6に示す状態から図8に示す状態へ切り替える場合、まず、退出部333、第1のシャトル13、及び第1のパッキン18が取り外される。次に、第1のシャトル131が第1の連結軸14に取り付けられる。
第1のシャトル131は、第1のシャトル13よりも小径であること以外、第1のシャトル13と同様の構成である。第1のシャトル131の空洞13c及び円筒状部13dは、第1のシャトル13の空洞13a及び円筒状部13bに対応する。第1の連結軸14に対する第1のシャトル131の着脱は、第1の連結軸14に対する第1のシャトル13の着脱と同様である。
【0094】
退出部336は、図6に示す退出部333に対応する。退出部333との差異は、大きく2つである。第1の差異は、退出部336の底部が、第1の退避部17を閉塞することである。第2の差異は、退出部336の底壁の軸心部分に、退出部336の内部に立ち上がる筒状部が突設してあり、この筒状部の内部が第1の退避部171として機能することである。第1の退避部171を除く退出部336の内部は、退出空間33dとして機能する。退出部336は、本体部331に対して着脱可能である。つまり、第1の退避部171はケーシング30に着脱可能に設けてある。
【0095】
退出部336の着脱は、退出部333の着脱と略同様である。ただし、退出部336は、底壁を前側に向け、第1の退避部171に第1の連結軸14及び第1のシャトル131を挿通した状態で、本体部331の後半部分の内部に嵌脱可能に嵌め込まれる。このとき、第1のシャトル131は、第1のパッキン181を介して第1の退避部171に挿通される。第1のパッキン181は、第1の退避部171の内周面と第1のシャトル131の周面との間を密閉する。この結果、第1の退避部171に流入した塗工液が、退出空間33dへ漏出し、更にはケーシング30の外部へ漏出することはない。
退出部336と本体部331との間隙は、第1のパッキン181とは別体の図示しない環状のシール部材によって密閉される。
【0096】
以上のようにすることで、第1のケーシング分体31において、第1のシャトル13及び第1の退避部17とは、第1のシャトル13より小径の第1のシャトル131及び第1の退避部17より狭い第1の退避部171に取り換えられる。
同様に、第2のケーシング分体32において、第2のシャトル23及び第2の退避部27は、第2のシャトル23より小径のもの及び第2の退避部27より狭いもの(以下、小径シャトル及び狭隘退避部という)に取り換えられる。
【0097】
ここで、第1及び第2のシャトル13,23と第1及び第2の退避部17,27とを、第1のシャトル131及び小径シャトルと第1の退避部171及び狭隘退避部とに取り換えた場合について説明する。
この場合、非塗工期間から塗工期間に切り替える際、小径シャトルの前進によって第2の流出流路25に加わる圧力は、第2のシャトル23を用いる場合よりも低くなる。このため、ダイヘッド45からの塗工液の吐出開始時の圧力が過剰に高くなることを抑制することができる。仮に、塗工液の吐出開始時の圧力が過剰に高いと、塗工液の膜厚が部分的に厚くなりるため、膜厚を均一にすることができない。
ただし、間欠バルブ3の応答性は、第1及び第2のシャトル13,23を用いる場合ほどには向上しない。何故ならば、第1の弁体11(又は第2の弁体21)の後退によって逆流した塗工液の少なくとも一部は、第1の退避部171(又は狭隘退避部)に退避することができないからである。
【0098】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、間欠バルブ3又は塗工装置4に、実施の形態1,2に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0099】
10 流入口
11,21 第1及び第2の弁体(弁体)
12,22 第1及び第2の弁座(弁座)
13,23 第1及び第2のシャトル(往復体)
14,24 第1及び第2の連結軸(連結軸)
15,25 第1及び第2の流出流路(流出流路)
16,26 第1及び第2の流出口(流出口)
17,27 第1及び第2の退避部(退避部)
20 連通流路
3 間欠バルブ(バルブ装置)
30 ケーシング
4 塗工装置
41,42 第1及び第2の弁体駆動部(弁体駆動部)
43 タンク(貯留部)
45 ダイヘッド(塗工部)
W 基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8