特許第6148093号(P6148093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148093
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】建物の床構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20170607BHJP
   E04F 15/024 20060101ALI20170607BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   E04F15/02 101C
   E04F15/024 606A
   E04F15/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-147456(P2013-147456)
(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公開番号】特開2015-21224(P2015-21224A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】武藤 吾一
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−117551(JP,A)
【文献】 特開平08−042166(JP,A)
【文献】 特開2007−063863(JP,A)
【文献】 特開2000−145181(JP,A)
【文献】 特開2001−107585(JP,A)
【文献】 特開平06−073802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
E04F 15/00
E04F 15/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横並びに設けられた複数の根太の上に床面材が設置されている建物の床構造であって、
前記複数の根太には、隣り合う2つの床面材のうち一方の床面材が固定された第1根太と、他方の床面材が固定された第2根太とが含まれており、
前記第2根太は、当該第2根太を貫通して設けられる固定具を用いて前記第1根太に固定され、かつ当該第1根太よりも小さい高さ寸法を有しており、
建物の床部において前記第2根太が前記第1根太に前記固定具を用いて固定される場合に前記第2根太を下方から支持することで前記第1根太に対して同第2根太を上下方向に位置決めする位置決め手段が設けられていることを特徴とする建物の床構造。
【請求項2】
前記根太が複数組み合わされた床フレームを有し且つ該床フレームの上に前記床面材が設置されることで形成された床パネルが、横並びに複数設けられ、これら床パネルには、前記第1根太を含む第1床フレームを有している第1床パネルと、前記第2根太を含む第2床フレームを有している第2床パネルとが含まれており、
前記位置決め手段は、前記第1床パネル側に対して固定された固定部と、前記第2根太が載せられる載置部を有していることを特徴とする請求項1に記載の建物の床構造。
【請求項3】
前記第1床パネルにおいては、前記第1床フレームの上に第1床面材が設置されており、
前記第2床パネルにおいては、前記第2床フレームの上に第2床面材が設置されており、
前記第2床面材は、前記第2根太が前記載置部の上に載せられることで、当該第2床面材の上面が前記第1床面材の上面よりも低い位置に配置されるものであることを特徴とする請求項2に記載の建物の床構造。
【請求項4】
前記第1根太と前記第2根太とは、前記第1床パネルと前記第2床パネルとの境界部に沿って延び、且つそれぞれの側面同士が重ねられた状態で、互いに固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の建物の床構造。
【請求項5】
前記固定部は前記第1根太よりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の建物の床構造。
【請求項6】
上下に隣り合う上階部と下階部との間に前記第1床パネル及び前記第2床パネルが設けられており、
前記第1根太は、前記下階部の間仕切壁である下階壁部の上に設置されており、
前記固定部は前記下階壁部よりも前記第2根太側に配置されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の建物の床構造。
【請求項7】
前記固定部は、前記下階壁部の側面に固定されていることを特徴とする請求項6に記載の建物の床構造。
【請求項8】
前記第1根太の上には、前記上階部の間仕切壁であり且つ前記下階壁部と平行に延びている上階壁部が、前記下階壁部に上下に重なる位置に設置されており、
前記第2根太は、前記下階壁部及び前記上階壁部のいずれとも上下に並ばない位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の建物の床構造。
【請求項9】
前記第2床パネルの上には浴室ユニットが設置されており、
前記第1床パネルは、前記浴室ユニットへの出入りが可能な脱衣室の床面を形成していることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の建物の床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物において、複数の根太が横並びに設けられ、それら根太の上に床面材が設置されることで床部が形成されていることがある。例えば、スチールハウスにおいて、対向配置された基礎に掛け渡された状態で根太が設けられており、その根太が床面材を下方から支持している構成がある(例えば特許文献1参照)。この構成では、根太が基礎の上に載せられており、上下方向における根太の位置決めが基礎の上面により行われていることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−287231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、隣り合う根太が互いに連結され、それら根太のうち一方だけが基礎等の建物構造体の上に載せられている構成では、建物構造体の上に載せられていない方の非載せ根太を、建物構造体の上に載せられている方の載せ根太に固定する際に、非載せ根太を例えばクレーン等の重機により吊り下げて載せ根太に対して位置合わせを行う必要がある。
【0005】
ここで、載せ根太と非載せ根太とで高さ寸法が同じであれば、上下方向について載せ根太に対する非載せ根太の位置合わせを行う際に、非載せ根太の上面及び下面の両方が載せ根太の上面及び下面と同一平面になるようにすることが、作業者が載せ根太と非載せ根太の境界部を上側及び下側のいずれから視認している場合でも容易である。ところが、載せ根太と非載せ根太とで高さ寸法が異なっている場合には、載せ根太及び非載せ根太の境界部について上側及び下側の少なくとも一方に段差が形成されてしまうため、上下方向について乗せ根太に対する非載せ根太の位置合わせを行う作業の困難性が高くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建物の床構造において、互いに連結された根太の高さ位置の違いを利用して床部の段差部分を形成する場合に、その段差の高さ寸法を適正に設定することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0008】
第1の発明の建物の床構造は、横並びに設けられた複数の根太の上に床面材が設置されている建物の床構造であって、前記複数の根太には、隣り合う2つの床面材のうち一方の床面材が固定された第1根太と、他方の床面材が固定された第2根太とが含まれており、前記第2根太は、前記第1根太に固定され、該第1根太よりも小さい高さ寸法を有しており、建物の床部において前記第2根太が前記第1根太に取り付けられる場合に前記第2根太を下方から支持することで前記第1根太に対して同第2根太を上下方向に位置決めする位置決め手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、建築現場において建物の床部を構築する際に、第1根太に対する第2根太の相対的な高さ位置が位置決め手段により設定されるため、第2根太を第1根太に固定する作業を容易化できる。例えば、第1根太が基礎や構造壁、柱といった建物構造体の上に載せられている一方で、第2根太が建物構造体の上に載せられていない構成において、第2根太を位置決め手段により支持させるという容易な作業を行うことで、第2根太を所望の高さ位置に設置することができる。
【0010】
しかも、位置決め手段により第2根太が支持されるため、第1根太に対して第2根太を固定する際に、第2根太をクレーン等の重機により吊り下げ支持しておく必要や、専用の工具を用いて第2根太を第1根太に対して仮固定しておく必要がない。したがって、第1根太に対して第2根太を仮固定する際の作業負担を低減できる。
【0011】
以上により、第1根太と第2根太との高さ位置の違いを利用して、脱衣室と浴室との境界部や、玄関と廊下との境界部といった床部の段差部分を形成する場合に、その段差の高さ寸法を好適に設定することができる。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、前記根太が複数組み合わされた床フレームを有し且つ該床フレームの上に前記床面材が設置されることで形成された床パネルが、横並びに複数設けられ、これら床パネルには、前記第1根太を含む第1床フレームを有している第1床パネルと、前記第2根太を含む第2床フレームを有している第2床パネルとが含まれており、前記位置決め手段は、前記第1床パネル側に対して固定された固定部と、前記第2根太が載せられる載置部を有している。
【0013】
複数の根太を含んで床パネルが形成されている建物では、床部の工業化を図ることができる一方で、根太よりも大きくて重い床パネルを建築現場にて設置する必要が生じ、複数の根太を個別に設置する場合に比べて、建築現場での作業負担が大きくなることが懸念される。
【0014】
これに対して、第2の発明によれば、床パネルの第2根太を位置決め手段の載置部に載せるという容易な作業を行うことで、上下方向について第1根太に対して第2根太の位置決めを行うことができるため、根太単体に比べて大きくて重い床パネルを建築現場にて設置する場合において、その作業負担を効果的に低減できる。しかも、位置決め手段において、第2根太の高さ位置を定める固定部が第1床パネル側に固定されているため、第1床パネルに対する第2床パネルの相対的な高さ位置、つまり、第1根太に対する第2根太の相対的な高さ位置を適正に設定することを容易化できる。
【0015】
第3の発明では、第2の発明において、前記第1床パネルにおいては、前記第1床フレームの上に第1床面材が設置されており、前記第2床パネルにおいては、前記第2床フレームの上に第2床面材が設置されており、前記第2床面材は、前記第2根太が前記載置部の上に載せられることで、当該第2床面材の上面が前記第1床面材の上面よりも低い位置に配置されるものである。
【0016】
第3の発明によれば、第2床パネルが第2床面材を有しているため、第2床パネルの上に浴室ユニット等の建物設備を設置する場合に、その建物設備を第2床パネルに対して適正に固定することができる。しかも、第2床面材が第1床面材よりも低い高さ位置に配置されていることを利用して、第1床面材に対する建物設備の相対的な高さ位置を適正に設定できる。例えば、建物設備として浴室ユニットが第2床パネルの上に設置され、第1床パネルにより脱衣室の床が形成された場合、第1床面材と第2床面材とが同じ高さ位置に配置された構成に比べて、脱衣室の床面と浴室ユニットの床面との段差が小さくなるため、脱衣室から浴室に出入りする際に段差を跨ぐための身体的な負担を低減できる。
【0017】
第4の発明では、第2又は3の発明において、前記第1根太と前記第2根太とは、前記第1床パネルと前記第2床パネルとの境界部に沿って延び、且つそれぞれの側面同士が重ねられた状態で、互いに固定されている。
【0018】
第4の発明によれば、第1床パネルと第2床パネルとを、第1根太と第2根太との固定により強固に連結することができる。このため、第1床パネル及び第2床パネルのうち一方だけが構造壁等の建物構造体に載せられている構成であっても、他方の床パネルを一方の床パネルにより好適に支持することができる。
【0019】
第5の発明では、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記固定部は前記第1根太よりも低い位置に配置されている。
【0020】
第5の発明によれば、位置決め手段の固定部が第1根太よりも低い位置に配置されているため、その固定部が第1根太と第2根太との間に入り込んだ状態にならない。これにより、第1床パネルと第2床パネルとの並び方向において、第1床パネルに対する第2床パネルの相対的な位置が固定部が挟まっている分だけずれるということを回避できる。
【0021】
第6の発明では、第2乃至第5のいずれかの発明において、上下に隣り合う上階部と下階部との間に前記第1床パネル及び前記第2床パネルが設けられており、前記第1根太は、前記下階部の間仕切壁である下階壁部の上に設置されており、前記固定部は前記下階壁部よりも前記第2根太側に配置されている。
【0022】
第6の発明によれば、位置決め手段の固定部が下階壁部よりも第2根太側に配置されているため、その固定部が下階壁部と第1根太との間に入り込んだ状態にならない。これにより、上下方向において、下階壁部に対する第1根太の相対的な位置が固定部が挟まっている分だけずれるということを回避できる。
【0023】
第7の発明では、第6の発明において、前記固定部は、前記下階壁部の側面に固定されている。
【0024】
第7の発明によれば、位置決め手段の固定部が、水平方向において第1根太と第2根太との間に入り込まず、且つ上下方向において下階壁部と第1根太との間に入り込んだ状態にならない。したがって、下階壁部を基準として第2床パネル(第2根太)の設置位置が固定部の存在によってずれることを、水平方向及び上下方向の両方について抑制できる。
【0025】
第8の発明では、第7の発明において、前記第1根太の上には、前記上階部の間仕切壁であり且つ前記下階壁部と平行に延びている上階壁部が、前記下階壁部に上下に重なる位置に設置されており、前記第2根太は、前記下階壁部及び前記上階壁部のいずれとも上下に並ばない位置に配置されている。
【0026】
第1根太と第2根太とで高さ寸法が異なる場合、それら根太の境界部分には段差が形成されるため、下階壁部と上階壁部との間に第1根太と第2根太との境界部が配置されると、下階壁部に第1根太及び第2根太の両方を固定することや、第1根太及び第2根太の両方の上に上階壁部を載せることが困難になる。
【0027】
これに対して、第8の発明によれば、下階壁部と上階壁部との間に第1根太と第2根太との境界部が配置されていないため、下階壁部に第1根太を固定すること、及び第1根太の上に上階壁部を載せることが容易になる。しかも、この場合でも、位置決め手段が設けられているため、第1根太に対して第2根太を適正な位置に配置できる。
【0028】
第9の発明では、第2乃至第8のいずれかの発明において、前記第2床パネルの上には浴室ユニットが設置されており、前記第1床パネルは、前記浴室ユニットへの出入りが可能な脱衣室の床面を形成している。
【0029】
第9の発明によれば、浴室ユニットが第2床パネルの上に設置され、第1床パネルにより脱衣室の床が形成されているため、例えば第1床面材と第2床面材とが同じ高さ位置に配置された構成に比べて、脱衣室の床面と浴室ユニットの床面との段差が小さくなる。したがって、脱衣室から浴室に出入りする際に段差を跨ぐための身体的な負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】建物の構成を示す図
図2】浴室と脱衣室との境界部分周辺の縦断面図
図3】脱衣室床パネルと浴室床パネルとの境界部分周辺の縦断面図
図4】浴室床パネルの設置手順を示す図
図5】別の脱衣室床パネルと浴室床パネルとの境界部分周辺の縦断面図
図6】別の脱衣室床パネルと浴室床パネルとの境界部分周辺の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の床構造を、枠組壁工法により構築された二階建てのスチールハウスにおいて具体化している。図1は建物10の構成を示す図、図2は浴室15と脱衣室16との境界部分周辺の縦断面図、図3は脱衣室床パネル42Aと浴室床パネル42Bとの境界部分周辺の縦断面図である。なお、図1においては、(a)に建物10の二階部分12の平面図を示し、(b)に(a)のA−A線断面図を示し、(b)においてはユニットバス48の図示を省略している。図2においては、(a)に図1(a)のB−B線断面図を示し、(b)に従来の図を示している。
【0032】
図1(a),(b)に示すように、住宅等の建物10は、下階部としての一階部分11と、下階部に上下に隣り合う上階部としての二階部分12とを有している。二階部分12は、浴室15と、その浴室15の隣に配置された脱衣室16と、脱衣室16を挟んで浴室15とは反対側に配置された廊下17とを有している。浴室15は、建物10の外壁21及び内壁22により区画されている。
【0033】
内壁22は、一階部分11及び二階部分12のそれぞれにおいて屋内空間を複数に仕切る間仕切壁とされている。内壁22は、二階部分12において浴室15と脱衣室16とを仕切る浴室側壁部31aと、脱衣室16と廊下17とを仕切る廊下側壁部31bとを有している。浴室側壁部31aと廊下側壁部31bとは、脱衣室16を挟んで対向しており、浴室側壁部31aには、脱衣室16から浴室15への出入りを可能とする浴室出入口23が設けられ、廊下側壁部31bには、脱衣室16から廊下17への出入りを可能とする廊下出入口24が設けられている。
【0034】
また、内壁22は、一階部分11において、浴室側壁部31aの下方に設けられた浴室側下方壁部32aと、廊下側壁部31bの下方に設けられた廊下側下方壁部32bとを有している。一階部分11は、浴室15の下方に配置された第1室33と、脱衣室16の下方に配置された第2室34と、廊下17の下方に配置された第3室35とを有しており、浴室側下方壁部32aは、第1室33と第2室34とを仕切り、廊下側下方壁部32bは、第2室34と第3室35とを仕切っている。また、浴室側下方壁部32aと廊下側下方壁部32bとは、第2室34を挟んで対向している。浴室側壁部31aと廊下側壁部31bとが並んでいる方向において、浴室側壁部31aと浴室側下方壁部32aとは互いに上下に重なる位置に配置されており、廊下側壁部31bと廊下側下方壁部32bとは互いに上下に重なる位置に配置されている。
【0035】
外壁21は、一階部分11に配置された一階外壁部37と、二階部分12に配置された二階外壁部38とを有している。一階外壁部37は、一階部分11において第1室33を挟んで浴室側下方壁部32aに対向しており、二階外壁部38は、二階部分12において浴室15を挟んで浴室側壁部31aに対向している。
【0036】
一階部分11と二階部分12との間には、二階部分12の床面を形成する二階床部40が設けられている。二階床部40の下方には、一階部分11の天井面を形成する天井面材41が設けられている。天井面材41は、石膏ボード等により形成されており、二階床部40により吊り下げ支持されている。この場合、天井面材41は、第1室33、第2室34及び第3室35のいずれにおいても設置されている。
【0037】
二階床部40は、横並びに配置された複数の床パネル42を有している。床パネル42は、床下地としての床フレーム43と、床フレーム43の上に設置された床面材44とを有している。床面材44は、パーティクルボードや合板等の下地面材と、下地面材の上に重ねられたフローリング材等の仕上面材とを含んで形成されており、矩形状の板材である。
【0038】
床フレーム43は、複数の根太45,46を有しており、これら根太45,46を組み合わせて矩形枠状に形成されている。根太45,46のうち外側根太45は、床面材44の周縁部に沿って延びており、床フレーム43の外郭を形成するように複数組み合わされている。複数の外側根太45には、互いに直交する方向に延びている側根太と端根太とが含まれており、側根太及び端根太はそれぞれ一対ずつ設けられている。内側根太46は、外側根太45の内側に配置されており、複数の外側根太45のうち一対の端根太に掛け渡されている。
【0039】
外側根太45及び内側根太46は、いずれも溝形鋼により形成されている。内側根太46は、互いに並列に配置された2つの溝形鋼を有しており、これら溝形鋼は、それぞれのウェブの外側面を重ね合わせた状態で固定されている。内側根太46においては、各溝形鋼の溝部が側方各溝形鋼はそれぞれの溝部を反対側に向けて配置されている。これに対して、外側根太45は、1つの溝形鋼により形成されており、その溝部を内側根太46側に向けて配置されている。なお、1つの床パネル42において、内側根太46及び外側根太45の各高さ寸法は同じにされている。
【0040】
複数の床パネル42には、二階床部40において脱衣室16の床部分を形成する脱衣室床パネル42Aと、浴室15の床部分を形成する浴室床パネル42Bと、廊下17の床部分を形成する廊下床パネル42Cとが含まれている。脱衣室床パネル42A及び浴室床パネル42Bは、隣り合う位置に配置されており、それらパネル42A,42Bの境界部において互いに連結されている。また、廊下床パネル42Cは、脱衣室床パネル42Aを挟んで浴室床パネル42Bとは反対側に配置されており、脱衣室床パネル42Aに連結されている。
【0041】
なお、脱衣室床パネル42Aは、脱衣室床フレーム43A及び脱衣室床面材44Aを有し、浴室床パネル42Bは、浴室床フレーム43B及び浴室床面材44Bを有している。
この場合、脱衣室床パネル42Aが第1床パネルに相当し、脱衣室床フレーム43Aが第1床フレームに相当し、脱衣室床面材44Aが第1床面材に相当する。また、浴室床パネル42Bが第2床パネルに相当し、浴室床フレーム43Bが第2床フレームに相当し、浴室床面材44Bが第2床面材に相当する。
【0042】
浴室15には、建物設備としてのユニットバス48が設置されている。ユニットバス48は、浴室床パン49や浴槽、浴室壁、浴室天井が一体化された浴室ユニットであり、浴室床パネル42Bの上に設置されている。ここで、ユニットバス48においては、浴室床パン49の下側に排水管や、浴室床パン49を支える脚部などが設けられており、それによって、浴室15の床面となるユニットバス48の床面(浴室床パン49の上面)は、浴室床パネル42Bから上方に所定寸法だけ離間した位置に配置されることになる。この場合、ユニットバス48の床面が脱衣室16の床面よりも高い位置に配置され、浴室15と脱衣室16との境界部に床面同士の段差が生じてしまう。
【0043】
例えば、図2(b)に示す従来構成のように、脱衣室床パネル42Aの高さ寸法H1と浴室床パネル42Bの高さ寸法H1とが同じとされ、それら床パネル42A,42Bの各上面の高さ位置が同じとされた構成では、ユニットバス48の床面と浴室床パネル42Bとの離間距離が、そのまま浴室15と脱衣室16との境界部における床面同士の段差の高さ寸法になる。
【0044】
これに対して、本実施形態では、図2(a)に示すように、脱衣室床パネル42Aの高さ寸法H1よりも、浴室床パネル42Bの高さ寸法(厚み寸法)H2が小さくされ(H1>H2)、浴室床パネル42Bの上面が脱衣室床パネル42Aの上面よりも低い位置に配置されている。この場合、浴室床パネル42Bと脱衣室床パネル42Aとの高さ位置の差異(H1−H2の値)の分だけ、浴室15と脱衣室16との境界部に生じる床面同士の段差が小さくなっている。このため、脱衣室16から浴室15に出入りする際に段差を跨ぐための身体的な負担を低減できる。
【0045】
脱衣室床パネル42Aと浴室床パネル42Bとの高さ寸法の差異は、これら床パネル42A,42Bの各床フレーム43の高さ寸法により規定されている。この場合、脱衣室床パネル42A及び浴室床パネル42Bは、それぞれの下面同士(根太45,46の下端同士)が同じ高さ位置に配置され、浴室床パネル42Bの根太45,46の高さ寸法は、脱衣室床パネル42Aの根太45,46の高さ寸法よりも小さくされており、これら高さ寸法の差異によって、浴室15と脱衣室16との境界部の段差が形成されている。
【0046】
図1(b)の説明に戻り、脱衣室床パネル42A及び浴室床パネル42Bは、外壁21及び内壁22により支持されている。ここで、外壁21が耐力壁等の構造壁とされているのはもちろんのこと、内壁22の壁部31a,31b,32a,32bが構造壁とされており、特に、一階部分11の下方壁部32a,32bは、二階床部40を下方から支持する支持壁になっている。ちなみに、二階部分12の浴室側壁部31a及び廊下側壁部31bは、二階部分12の天井や屋根を下方から支持する支持壁になっている。この場合、浴室側壁部31aは上階壁部に相当し、浴室側下方壁部32aは下階壁部に相当する。
【0047】
外壁21及び内壁22は、それぞれ壁パネル51が複数組み合わされることで形成されている。壁パネル51は、壁下地としての壁フレーム52と、壁フレーム52に取り付けられた壁面材53とを有している。外壁21及び内壁22において、屋内面を形成する壁面材53は、石膏ボード等の内装材により形成されており、屋外面を形成する壁面材53は、サイディングボード等の外装材により形成されている。壁パネル51においては、壁厚み方向において壁フレーム52の両側に壁面材53が配置されているが、浴室15を挟んで配置されている二階外壁部38及び浴室側壁部31aにおいては、壁フレーム52の浴室15側(ユニットバス48側)に壁面材53が配置されていない。
【0048】
壁フレーム52は、壁幅方向に延びているランナ55と、壁高さ方向に延びているスタッド56とを有しており、これらランナ55及びスタッド56が複数ずつ組み合わされることで矩形枠状に形成されている。ランナ55及びスタッド56は、いずれも溝形鋼により形成されており、壁パネル51の周縁部に沿って延びているランナ55及びスタッド56は、それぞれの溝部を壁フレーム52の内側に向けて配置されている。壁フレーム52の複数のランナ55には、一対のスタッド56の上端部同士を連結する上側ランナ55aと、下端部同士を連結する下側ランナ55bとが含まれており、上側ランナ55aはその溝部を下方に向けて設置され、下側ランナ55bはその溝部を上方に向けて設置されている。
【0049】
建物10においては、二階床部40に横並びに床梁58が設けられている。床梁58は、各床パネル42に横並びに配置されており、二階外壁部38の壁パネル51と一階外壁部37の壁パネル51との間に設置されている。床梁58の屋外側面には、外装材を構成する壁面材53が取り付けられており、その壁面材53が上下の壁パネル51の間において外壁面を形成している。床梁58は、根太45,46と同様に溝形鋼により形成されており、脱衣室床パネル42Aの根太45,46と同じ高さ寸法を有している。床梁58は、互いに並列に配置された2つの溝形鋼を有しており、これら溝形鋼は、それぞれの溝部を向かい合わせた状態で固定されている。床梁58の厚み寸法は、外壁21の壁パネル51の厚み寸法と同じにされている。
【0050】
脱衣室床パネル42Aは、浴室側下方壁部32a及び廊下側下方壁部32bの上に設置されており、これら下方壁部32a,32bに掛け渡された状態になっている。脱衣室床パネル42Aにおいては、その浴室15側の端部が浴室側下方壁部32aの上に載せられており、廊下17側の端部が廊下側下方壁部32bの上に載せられている。この場合、脱衣室床パネル42Aの外側根太45が、下方壁部32a,32bの各上側ランナ55aの上に載せられている。
【0051】
脱衣室16と廊下17との間において、廊下側下方壁部32bの上には、脱衣室床パネル42Aの端部に加えて廊下床パネル42Cの端部が載せられており、これらパネル42A,42Cの境界部が廊下側下方壁部32bの上方に配置されている。廊下側下方壁部32bの上方に配置されている廊下側壁部31bは、脱衣室床パネル42Aと廊下床パネル42Cとの境界部の上に設置されている。ここで、廊下床パネル42Cは、脱衣室床パネル42Aと同じ高さ寸法を有しており、これら床パネル42A,42Cの各上面は連続面を形成している。このため、廊下側壁部31bを、床パネル42A,42Cの境界部を跨いだ状態で設置することが可能になっている。
【0052】
一方、浴室15と脱衣室16との間において、浴室側下方壁部32aの上には、脱衣室床パネル42Aだけが載せられており、浴室床パネル42Bの端部が載せられていない。ここで、上述したように、浴室床パネル42Bと脱衣室床パネル42Aとの境界部には上面同士の段差が形成されているため、浴室側壁部31aをこれら床パネル42A,42Bの境界部を跨ぐように設置すると、浴室側壁部31aの下端面と浴室床パネル42Bの上面との間に離間部分が形成されてしまい、二階床部40に対する浴室側壁部31aの固定強度が低下することが懸念される。これに対して、浴室側壁部31aと浴室側下方壁部32aとが上下に重なっている構成において、浴室側下方壁部32aの上に浴室床パネル42Bを載せないことで、浴室側壁部31aの下端面全体を脱衣室床パネル42Aの上面に載置することが可能になり、それによって、二階床部40に対する浴室側壁部31aの固定強度を好適に確保できる。
【0053】
浴室床パネル42Bは、脱衣室床パネル42Aと外壁21との間に設けられており、これら脱衣室床パネル42Aと外壁21とに掛け渡された状態になっている。浴室床パネル42Bは、屋外側の端面が床梁58の屋内側面に重ね合わされた状態でその床梁58に固定されており、脱衣室16側の端面が脱衣室床パネル42Aの端面に重ね合わされた状態でその脱衣室床パネル42Aに固定されている。
【0054】
図1(b)、図3に示すように、浴室床パネル42Bと脱衣室床パネル42Aとは、それぞれの外側根太45同士で固定されている。ここでは、互いに固定された外側根太45のうち、脱衣室床パネル42Aが有しているものを第1根太45Aと称し、浴室床パネル42Bが有しているものを第2根太45Bと称する。第1根太45Aと第2根太45Bとは、それぞれのウェブの外側面を重ね合わせた状態で固定されている。この場合、第1根太45Aの下面と第2根太45Bの下面とは同じ高さ位置に配置されており、これら下面は同一平面を形成している。
【0055】
また、浴室床パネル42Bは、床梁58に固定された第3根太45Cを有している。第3根太45Cは、浴室床フレーム43Bの外側根太45の1つであり、第3根太45Cは、そのウェブの外側面を床梁58の屋内側面に重ね合わせた状態で、その床梁58に固定されている。この場合、第3根太45Cの下面と床梁58の下面とは同じ高さ位置に配置されており、これら下面は同一平面を形成している。
【0056】
なお、脱衣室床パネル42Aと廊下床パネル42Cとの境界部において、これら床パネル42A,42Cの各外側根太45は、第1根太45Aと第2根太45Bとが互いに固定されているのと同様に、互いに固定されている。
【0057】
本実施形態では、浴室床パネル42Bは、浴室側下方壁部32a及び一階外壁部37のいずれにも載せられていないが、浴室床パネル42Bを下方から支持するブラケット61,62の上に載せられている。ブラケット61,62は、建物構造体に固定された固定部64と、浴室床パネル42Bが載せられている載置部65とを有している。固定部64及び載置部65は互いに直交する方向に延びている板部であり、ブラケット61,62は断面L字状の山形鋼により形成されている。
【0058】
ブラケット61,62のうち、第1ブラケット61は、浴室床パネル42Bの脱衣室16側の端部を下方から支持するものであり、第2ブラケット62は、浴室床パネル42Bの屋外側の端部を下方から支持するものである。第1ブラケット61は、建物構造体としての浴室側下方壁部32aに取り付けられている。第1ブラケット61において、固定部64は浴室側下方壁部32aの浴室15側面に固定されており、載置部65は浴室15側に向けて水平方向に延びている。
【0059】
固定部64は、浴室側下方壁部32aの壁フレーム52に固定されている。浴室側下方壁部32aの上端部においては、固定部64が壁フレーム52と壁面材53との間に入り込んだ状態で上側ランナ55aのフランジに重ねられている。この場合、ビス等の固定具が、壁面材53及び固定部64を介して上側ランナ55aに打ち込まれている。
【0060】
載置部65の上面は、上側ランナ55aの上面(浴室側下方壁部32aの上端面)と同じ高さ位置に配置されている。このため、浴室床パネル42Bが載置部65の上に単に載せられるだけで、浴室床パネル42Bの下面が脱衣室床パネル42Aの下面と同じ高さに位置合わせされることになる。
【0061】
載置部65の上には、浴室床パネル42Bの第2根太45Bが載せられており、載置部65は第2根太45Bにビス等の固定具により固定されている。この場合、載置部65に対して浴室床フレーム43Bが相対的に変位することが固定具により規制されるため、載置部65と浴室床フレーム43Bとの擦り音の発生を防止できる。
【0062】
第2ブラケット62は、建物構造体としての一階外壁部37に取り付けられている。第2ブラケット62において、固定部64は一階外壁部37の浴室15側面(屋内側面)に固定されており、載置部65は浴室15側に向けて水平方向に延びている。固定部64は、一階外壁部37の壁フレーム52に固定されている。また、載置部65の上には、浴室床パネル42Bの第3根太45Cが載せられており、載置部65はその第3根太45Cに固定されている。
【0063】
なお、第2ブラケット62について、一階外壁部37の壁フレーム52に対する固定部64の固定構造、及び浴室床パネル42Bの第3根太45Cに対する載置部65の固定構造は、浴室側下方壁部32aに対する第1ブラケット61の固定部の固定構造、及び浴室床パネル42Bの第2根太45Bに対する第1ブラケット61の載置部65の固定構造と同じになっている。
【0064】
次に、二階床部40の浴室床部分の構築手順について図4を参照しつつ説明する。図4は浴室床パネル42Bの設置手順を示す図である。なお、図4においては、壁面材53の図示を省略している。
【0065】
まず、図4(a)に示すように、外壁21及び浴室側下方壁部32aを構築した状態で、工場にて製造した脱衣室床パネル42Aを浴室側下方壁部32aの上に載せ、ビス等の固定具を用いて浴室側下方壁部32aに脱衣室床パネル42Aを固定する。
【0066】
その後、図4(b)に示すように、浴室側下方壁部32aに第1ブラケット61を取り付けるとともに、外壁21の一階外壁部37に第2ブラケット62を取り付ける。ここでは、ビス等の固定具を第1ブラケット61の固定部64を貫通させて浴室側下方壁部32aの上側ランナ55aに打ち込むとともに、別の固定具を第2ブラケット62の固定部64を貫通させて一階外壁部37の上側ランナ55aに打ち込む。
【0067】
そして、図4(c)に示すように、工場にて製造した浴室床パネル42Bを第1ブラケット61及び第2ブラケット62の上に載置(仮置き)し、浴室床パネル42Bを脱衣室床パネル42A及び床梁58に固定する。ここでは、ビス等の固定具を第2根太45Bを貫通させて第1根太45Aに打ち込むとともに、他の固定具を第3根太45Cを貫通させて床梁58に打ち込む。ここで、浴室床パネル42Bの固定作業を行う前に、浴室床パネル42Bをブラケット61,62の上に載せることで位置合わせ及び位置保持の両方が実施されるため、浴室床パネル42Bの位置合わせ及び位置保持を行うことを目的として例えばクレーン等の重機で浴室床パネル42Bを吊り下げておくという必要がない。
【0068】
また、浴室床パネル42Bにブラケット61,62を固定する。ここでは、ビス等の固定具を第1ブラケット61の載置部65を貫通させて浴室床パネル42Bの第2根太45Bに打ち込むとともに、別の固定具を第2ブラケット62の載置部65を貫通させて浴室床パネル42Bの第3根太45Cに打ち込む。
【0069】
浴室床パネル42Bを固定した後、脱衣室床パネル42Aの上に壁パネル51を立設することで浴室側壁部31aを形成するとともに、浴室床パネル42Bの上にユニットバス48を設置する。
【0070】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0071】
脱衣室床パネル42Aの第1根太45Aに対する浴室床パネル42Bの第2根太45Bの高さ位置が、その第2根太45Bが載置される第1ブラケット61により設定されるため、第1根太45Aに対する第2根太45Bの固定作業を容易化できる。しかも、第1ブラケット61により第2根太45Bが支持されるため、第1根太45Aに第2根太45Bを固定する際に、第2根太45Bをクレーン等の重機により吊り下げ支持しておく必要や、専用の工具を用いて第2根太45Bを第1根太45Aに仮固定しておく必要がない。したがって、第1根太45Aに第2根太45Bを仮固定する際の作業負担を低減できる。
【0072】
以上により、第1根太45Aと第2根太45Bとの高さ位置の違いを利用して、脱衣室16と浴室15との境界部に床面の段差部分を形成する場合に、その段差の高さ寸法を好適に設定することができる。
【0073】
脱衣室床パネル42Aの設置後、浴室床パネル42Bの第2根太45Bを第1ブラケット61の載置部65に載せるという容易な作業を行うことで、第1根太45Aに対する第2根太45Bの高さ位置を設定できる。このため、第2根太45B単体に比べて、第1根太45Aから遠ざかる方向に延びる延出寸法が大きく且つ重い浴室床パネル42Bを建築現場にて設置する場合に、その作業負担を効果的に低減できる。しかも、第2根太45Bが載せられる第1ブラケット61が第1根太45A側に固定されているため、第1根太45Aに対する第2根太45Bの高さ位置を設定する際の作業精度を高めることができる。
【0074】
浴室床パネル42Bが浴室床面材44Bを有しているため、浴室床パネル42Bの上にユニットバス48を設置する作業を容易化できる。しかも、第1根太45Aと第2根太45Bとの段差に合わせて浴室床パネル42Bを脱衣室床パネル42Aよりも低い位置に設置できるため、脱衣室16の床面とユニットバス48の床面との段差を低減できる。
【0075】
第1根太45Aと第2根太45Bとは、それぞれのウェブの外側面同士で固定されているため、脱衣室床パネル42Aに対する浴室床パネル42Bの固定強度を高めることができる。このため、浴室床パネル42Bが浴室側下方壁部32aの上に載せられていなくても、浴室床パネル42Bを適正な状態で設置できる。
【0076】
第1ブラケット61の固定部64が第1根太45Aよりも低い位置に配置されているため、その固定部64が第1根太45Aと第2根太45Bとの間に入り込んだ状態にならない。したがって、浴室15と脱衣室16との並び方向において、脱衣室床パネル42Aに対する浴室床パネル42Bの位置が固定部64が挟まっている分だけ浴室15側にずれるということを回避できる。例えば、固定部64が第1根太45Aに横並びに存在していると、脱衣室床パネル42A及び床梁58(外壁21)の設置後に浴室床パネル42Bを設置する際に、脱衣室床パネル42Aと床梁58との間において浴室床パネル42Bの設置スペースが固定部64の厚み寸法の分だけ小さくなり、その設置スペースに浴室床パネル42Bが入らないということが懸念されるが、固定部64が第1根太45Aに対して上下にずれた位置に配置されていれば、この懸念を解消できる。
【0077】
第1ブラケット61の固定部64が浴室側下方壁部32aよりも第2根太45B側に配置されているため、その固定部64が浴室側下方壁部32aと第1根太45Aとの間に入り込んだ状態にならない。したがって、浴室側下方壁部32aに対する第1根太45Aの相対的な高さ位置が固定部64が挟まっている分だけずれるということを回避できる。例えば、固定部64が第1根太45Aに縦並びに存在していると、脱衣室床パネル42A及び屋根の設置後に浴室側壁部31aを設置する際に、脱衣室床パネル42Aと屋根との間において浴室側壁部31a(壁パネル51)の設置スペースが固定部64の厚み寸法の分だけ小さくなり、その設置スペースに浴室側壁部31aが入らないということが懸念されるが、固定部64が第1根太45Aに対して左右にずれた位置に配置されていれば、この権を解消できる。
【0078】
第1ブラケット61の固定部64が浴室側下方壁部32aに固定されているため、その固定部64が第1根太45Aに横並びになること及び縦並びになることの両方を回避できる。
【0079】
浴室側下方壁部32aと浴室側壁部31aとの間には、第1根太45A(脱衣室床パネル42A)が設けられ、第2根太45B(浴室床パネル42B)が設けられていないため、浴室側下方壁部32aに第1根太45Aを適正に固定することができるとともに、第1根太45Aの上に浴室側壁部31aを適正に設置することができる。しかも、この場合でも、第1ブラケット61の載置部65の上に第2根太45Bが載置されることで、第1根太45Aに対して第2根太45Bを適正な高さ位置に設置できる。
【0080】
第1ブラケット61は、浴室側下方壁部32aと脱衣室床パネル42Aとの間や、脱衣室床パネル42Aと浴室床パネル42Bとの間に挟まった状態になっていないため、第2根太45Bを第1根太45Aに固定した後、浴室側下方壁部32a及び浴室床パネル42Bに対する第1ブラケット61の固定を解除することで、これら浴室側下方壁部32a及び浴室床パネル42Bから取り外すことができる。このため、第1ブラケット61が、浴室側下方壁部32aにおける壁面材53の取り付けや天井面材41の取り付けに支障となることを回避できる。
【0081】
同様に、第2ブラケット62は、一階外壁部37と浴室床パネル42Bとの間や、浴室床パネル42Bと床梁58との間に挟まった状態になっていないため、第3根太45Cを床梁58に固定した後、一階外壁部37及び床梁58に対する第2ブラケット62の固定を解除することで、これら一階外壁部37及び床梁58から取り外すことができる。このため、第2ブラケット62が、一階外壁部37における壁面材53の取り付けや天井面材41の取り付けに支障となることを回避できる。
【0082】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0083】
(1)上記実施形態では、第1ブラケット61の固定部64が浴室側下方壁部32aに固定されていたが、この固定部64は、浴室床パネル42Bの第1根太45Aに固定されていてもよい。例えば、図5(a)に示すように、第1ブラケット61の固定部64が第1根太45Aのウェブの外側面に固定された構成とする。この構成では、固定部64が第1根太45Aと第2根太45Bとの間に入り込んだ状態になっており、固定部64の厚み寸法の分だけ浴室床パネル42Bが脱衣室床パネル42Aから遠ざかった位置に配置されている。第1根太45Aと第2根太45Bとの固定部分においては、第2根太45B及び固定部64を貫通したビス等の固定具が第1根太45Aのウェブに打ち込まれている。
【0084】
また、この構成では、第1ブラケット61の載置部65の下面が第1根太45Aの下面と同じ高さ位置に配置されており、これによって、第2根太45Bの下面が第1根太45Aの下面よりも高い位置に配置されている。この場合、第1ブラケット61が浴室床パネル42Bよりも下方に突出しておらず、浴室側下方壁部32aにおいて第1ブラケット61と壁面材53とが干渉することがないため、壁フレーム52の上端部に対しても壁面材53が取り付けられている。
【0085】
さらに、図5(b)に示すように、第1ブラケット61の固定部64が第1根太45Aの下側フランジの下面に固定された構成とする。この構成では、固定部64が第1根太45Aと浴室側下方壁部32aとの間に入り込んだ状態になっており、固定部64の厚み寸法の分だけ脱衣室床パネル42Aが浴室側下方壁部32aから上方に離間した位置に配置されている。この場合、浴室側下方壁部32aと脱衣室床パネル42Aとの固定部分においては、上側ランナ55a及び固定部64を下方から貫通したビス等の固定具が第1根太45Aの下側フランジに打ち込まれている。
【0086】
また、この構成では、第1ブラケット61が第1根太45Aと第2根太45Bとの境界部を水平方向に跨いでおり、これら根太45A,45Bの両方が第1ブラケット61の上に載せられている。この場合、第1ブラケット61は、浴室側下方壁部32aの上端面よりも下方には突出しておらず、浴室側下方壁部32aにおいて第1ブラケット61と第1ブラケット61とが干渉することがないため、壁フレーム52の上端部に対しても壁面材53が取り付けられている。
【0087】
加えて、脱衣室床パネル42Aは浴室側下方壁部32aの上に載せられていなくてもよい。例えば、図6(a),(b)に示すように、浴室側下方壁部32aがない構成とする。図6(a)の構成は、図5(a)の構成において浴室側下方壁部32aが設けられていない構成であり、図6(b)の構成は、図5(b)の構成において浴室側下方壁部32aが設けられていない構成である。
【0088】
(2)上記実施形態では、第1根太45Aが脱衣室床パネル42Aに含まれ、第2根太45Bが浴室床パネル42Bに含まれていたが、これら根太45A,45Bが含まれている床パネル42は脱衣室16及び浴室15に設けられていなくてもよい。例えば、集合住宅において、第1根太45Aを含む第1床パネルが住戸に設けられ、第2根太45Bを含む第2床パネルが共用通路に設けられた構成とする。この構成では、住戸の床面が共用通路の床面よりも高い位置に配置されており、第1根太45Aと第2根太45Bとの高さ位置の違いを利用して、住戸と共用通路との境界部において床面同士の段差部分が形成されている。
【0089】
(3)上記実施形態では、二階床部40が、複数の根太45,46や床面材44をユニット化した床パネル42を複数用いて構成されていたが、これら根太45,46や床面材44はユニット化されていなくてもよい。例えば、浴室側下方壁部32aの上に第1根太45Aが設置され、その第1根太45Aに第2根太45Bが固定された後に、第1根太45Aに他の外側根太45や脱衣室床面材44Aが取り付けられてもよい。
【0090】
(4)上記実施形態では、浴室床パネル42Bの第3根太45Cが床梁58に横並びに配置されていたが、第3根太45Cは、床梁58の下方や上方に配置されていてもよい。例えば、第3根太45Cが一階外壁部37の壁パネル51と床梁58との間に入り込んだ構成とする。この構成では、第3根太45Cを一階外壁部37の上に設置することができるため、第2ブラケット62が設けられていなくても第3根太45Cの高さ位置を容易に設定することができる。
【符号の説明】
【0091】
10…建物、15…浴室、16…脱衣室、31a…上階壁部としての浴室側壁部、32a…下階壁部としての浴室側下方壁部、40…二階床部、42…床パネル、42…床パネル、42A…第1床パネルとしての脱衣室床パネル、42B…第2床パネルとしての浴室床パネル、43…床フレーム、43A…第1床フレームとしての脱衣室床フレーム、43B…第2床フレームとしての浴室床フレーム、44…床面材、44A…第1床面材としての脱衣室床面材、44B…第2床面材としての浴室床面材、45…根太としての外側根太、45A…第1根太、45B…第2根太、46…根太としての内側根太、48…浴室ユニットとしてのユニットバス、61…位置決め手段としての第1ブラケット、64…固定部、65…載置部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6