(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148096
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】給排気装置
(51)【国際特許分類】
F23L 17/04 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
F23L17/04 605Z
F23L17/04 D
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-151184(P2013-151184)
(22)【出願日】2013年7月20日
(65)【公開番号】特開2015-21679(P2015-21679A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】近藤 茂雄
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−140141(JP,U)
【文献】
特開2008−032280(JP,A)
【文献】
実開昭51−123250(JP,U)
【文献】
実開昭59−023548(JP,U)
【文献】
特開2012−154545(JP,A)
【文献】
特開平08−128623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼後の排気及び燃焼用の空気の給気を、壁の貫通穴を貫通する給排気筒本体と給排気筒トップを備えた給排気装置を介して屋外より行うようにし、前記給排気筒本体と前記給排気筒トップはそれぞれ前記給排気筒本体の給気筒と排気筒、前記給排気筒トップの給気筒と排気筒を有し、前記給排気筒本体の給気筒と前記給排気筒トップの給気筒、前記給排気筒本体の排気筒と前記給排気筒トップの排気筒がそれぞれ嵌合してなる二重筒構造の給排気装置に於いて、前記給排気筒トップの給気筒と排気筒との間の給気路入口部に対向する排気筒内には、内壁から中央部に向かって突出し且つ排気ガスの流れに沿って配置された複数の伝熱フィンを設け、該伝熱フィンにおいて前記給排気筒トップの排気筒の軸線方向であって排気ガスの流れ方向下流側の端面を、前記給排気筒トップの排気筒内において前記給気路入口部の開口端面と同一面上となる位置よりも排気ガスの流れ方向下流側に位置させた事を特徴とする給排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋外給排気式の石油燃焼器具やガス燃焼器具に用いる給排気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の給排気装置に於いては、内側の排気筒と外側の給気筒との間の給気路入口部が、突出構造の為に雪や氷が堆積し易く、堆積すると給気路入口部で閉塞されて燃焼部への給気不足となり、異常燃焼となるので、室外側のフランジに発熱体を取り付けて、該フランジ及び仕切板に付着した雪や氷は発熱体に通電し、排気筒内を通り排気トップに先端部を位置させた駆動桿を手動で操作することで、除去するようにしたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−128623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、発熱体への通電が必要であり、何時通電を開始するのかが問題であり、外気温が低い時や吹雪等の天候によって通電を開始した場合、通電時間が長くなったり、切り忘れ等も考えられ、電力が無駄に消費されて不経済であったり、又人為的な操作で手間がかかったり、センサを付けて自動的にしても制御が複雑となったり、高価になる等の課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為に、燃焼後の排気及び燃焼用の空気の給気を、壁の貫通穴を貫通する給排気筒本体と給排気筒トップを備えた給排気装置を介して屋外より行うようにし、前記給排気筒本体と前記給排気筒トップはそれぞれ前記給排気筒本体の給気筒と排気筒、前記給排気筒トップの給気筒と排気筒を有し、前記給排気筒本体の給気筒と前記給排気筒トップの給気筒、前記給排気筒本体の排気筒と前記給排気筒トップの排気筒がそれぞれ嵌合してなる二重筒構造の給排気装置に於いて、前記給排気筒トップの外方の給気筒と内方の排気筒との間の給気路入口部に対向する排気筒内には、内壁から中央部に向かって突出し且つ排気ガスの流れに沿って配置された複数の伝熱フィンを設け
、該伝熱フィンにおいて前記給排気筒トップの排気筒の軸線方向であって排気ガスの流れ方向下流側の端面を、前記給排気筒トップの排気筒内において前記給気路入口部の開口端面と同一面上となる位置よりも排気ガスの流れ方向下流側に位置させたものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のようにこの発明によれば、給排気装置内を流れて屋外に排出される高温の排気ガスを利用して、給気路入口部に堆積する雪や氷を溶かすようにしたものであり、即ち、排気筒内の給気路入口部と対向する部分に排気ガスの流れと平行となるように複数の伝熱フィンを設け
、伝熱フィンにおいて給排気筒トップの排気筒の軸線方向であって排気ガスの流れ方向下流側の端面を、給排気筒トップの排気筒内において給気路入口部の開口端面と同一面上となる位置よりも排気ガスの流れ方向下流側に位置させたことで、排気ガスの熱を伝熱フィンで受熱しこの熱を給気路入口部と対向する排気筒
の周壁に伝熱して該排気筒が加熱され、
給気路入口部付近に堆積する雪や氷を溶か
して給気の邪魔にならないようにし、又燃焼停止中に堆積した雪や氷も排気ガスを集中させることで、燃焼開始からの短時間で瞬時に溶かすことが出来、常に良好な給排気が行え異常燃焼の心配がないものであり、しかも本来排気される排気ガスを利用した極めて簡単で安価な構成で実現させたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の一実施形態を示す給排気装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の一実施形態を図面に基づいて説明すと、給排気装置1は、室内と室外を仕切る壁2に設けた貫通孔3を介して、屋内側からは給排気筒本体4と屋外側からは給排気筒トップ5を嵌合させてなり、給排気筒トップ5は屋外に突出して備えられている。
【0009】
給排気筒本体4は、排気路6を形成する内側排気筒7と、その外側に給気路8を形成するための外側給気筒9を備え屋外側の端部を開放した二重筒構造である。そして、給排気筒本体4の屋内側端部に来る内側排気筒7及び外側給気筒9を室内に設置した燃焼器具(図示せず)と接続するためのターミナル部10が設けられている。
【0010】
このターミナル部8には、前記燃焼器具の給気菅及び排気管が接続される排気筒接続口11と給気筒接続口12が設けられている。また、外側給気筒9には、その屋外方向の先端部から給気筒接続口12の近傍にまで連続して雌ねじ部13が形成されている。
【0011】
給排気筒トップ5は、排気路6を形成する外側排気筒14と、その外側に給気路8を形成する内側給気筒15を構え、屋内側の端部を開放した二重筒構造である。また、給排気筒トップ5の屋外側の端部には燃焼器具から排出された燃焼排ガスを屋外へ排出するための排気口16と正面からの風を遮蔽する風除けフランジ17が設けられており、給排気筒トップ5の内側給気筒15から燃焼用空気を供給する給気路入口部18がそれぞれ設けられている。
【0012】
そして、給排気筒トップ5の外側排気筒14の内側に給排気筒本体4の内側排気筒7が密接して嵌合し、同時に給排気筒トップ5の内側給気筒15が給排気筒本体4の外側給気筒9の内側に嵌合し、壁2を給排気筒本体4と給排気筒トップ5とで挟み込んで給排気装置1が構成されている。また、外側排気筒14と内側給気筒15と間隔を存して、その端部をスペーサ19により連結し給気するのに十分な給気路入口部18を形成している。
【0013】
外側排気筒14の先端側に備えられたスプリングストッパ20の弾性係止片部20aは、斜め後方へ跳ね上がった状態で外側給気筒9内周の雌ねじ部13に係合できるようになっている。給気筒本体4と給排気筒トップ5を壁2から引き抜く際には、給排気筒トップ5を屋外側へ回動させることでスプリングストッパ20の弾性係止片部20aを雌ねじ部13の溝に沿って回動し給気筒本体4と給排気筒トップ5を分離することが出来るようになっている。また、その給排気装置1全体の長さは、給排気筒本体4と給排気筒トップ5のねじこみ深さの調節により調整出来、壁2の厚さの違いに対応してどのような厚さの壁2にも取り付けることが出来るものである。
【0014】
21は給排気筒トップ5の外側排気筒14内で給気路入口部18と対向する位置に取り付けられた伝熱フィンで、内壁から中央部に向かって突出し且つ排気ガスの流れに沿って平行に45度の角度間隔で複数の8枚配置されており、排気ガスの熱を受熱して集熱し給気路入口部18と対向する外側排気筒14の周壁を加熱することで、給気路入口部18付近に堆積する雪や氷を溶解して給気の邪魔にならないようにするものである。
【0015】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
先ず燃焼器具を運転開始すれば、屋外からの空気が給気路入口部18を流通し給排気装置1に於ける給排気筒本体4の内側排気筒7と外側給気筒9の間と給排気筒トップ5の外側排気筒14と内側給気筒15の間の空間の給気路8とを通過して屋内の燃焼器具に燃焼用空気が供給され、燃焼器具からの排気ガスが給排気装置1における給排気筒本体4の内側排気筒7から給排気筒トップ5の外側排気筒14を流通し、給排気筒トップ5の屋外側先端部における排気口16から屋外へ排気されるものである。
【0016】
又給排気筒トップ5の外側排気筒14内の給気路入口部18付近では、外側排気筒14内の排気路6を流通して来た排気ガスは、伝熱フィン21間を流通することで、該伝熱フィン21がこの排気ガスの熱を受熱し、この熱を外側排気筒14に伝熱することにより、給気路入口部18付近に堆積する雪や氷を確実に溶解することが出来るものであり、給気路入口部18が閉塞されることで給気不足となって異常燃焼することもなく、常に安心して使用出来るものであり、しかも、屋外に排気される排気ガスの熱を極めて簡単な構成で利用するようにしたことで、極めて安価に実現したものである。
【符号の説明】
【0017】
1 給排気装置
2 壁
3 貫通孔
4 給排気筒本体
5 給排気筒トップ
7 内側排気筒(排気筒)
9 外側給気筒(給気筒)
14 外側排気筒(排気筒)
15 内側給気筒(給気筒)
18 給気路入口部
21 伝熱フィン