(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技機本体に設けられた遊技盤の遊技領域に入賞口が設けられ、当該入賞口への入賞に応じた遊技対価が付与され、前記入賞口に入賞しなかった遊技球が前記遊技領域の下端に設けられたアウト口から機裏側に排出される遊技機であって、
前記遊技領域に遊技球を打ち出す球発射手段と、
前記球発射手段より打ち出された遊技球を検出する第1球検出手段と、
前記アウト口と連絡する球回収通路に設けられ、前記遊技領域に打ち出され前記アウト口から排出又は前記入賞口に入賞した遊技球を検出する第2球検出手段と、
機裏側に設けられ前記入賞口へ入賞したすべての入賞球を集める集合樋が前記球回収通路と連通しており、前記入賞口へ入賞した遊技球の通過を検出する第3球検出手段と、入賞後の遊技球の前記集合樋の通過を検出する第4球検出手段と、
前記球発射手段によって発射可能な遊技者の持ち球数を演算する演算部と、前記演算部による演算結果をクレジット数として記憶するクレジット記憶部を有する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1球検出手段が遊技球の発射を検出しかつ前記第2球検出手段が前記アウト口から排出又は前記入賞口に入賞した前記遊技球の通過を検出した場合のみ、前記演算部において前記クレジット記憶部に記憶されたクレジット数から前記遊技領域に打ち出された遊技球数の減算処理が行われ、前記第1球検出手段が遊技球の発射を検出し、前記第3球検出手段及び第4球検出手段が入賞した前記遊技球を検出しかつ前記第2球検出手段が前記遊技球の前記球回収通路の通過を検出した場合のみ、前記演算部において前記クレジット記憶部に記憶されたクレジット数に入賞に応じた遊技対価の加算処理が行われ、前記クレジット記憶部においてクレジット数の更新が行われることを特徴とする遊技機。
前記制御手段は、遊技者本人を確認するための本人情報やクレジット情報を記憶させた記録媒体を前記遊技機に装着したまま球発射動作が実行された場合に限って、前記記録媒体に書き込まれたクレジット情報を更新する請求項1又は請求項2記載の遊技機。
【背景技術】
【0002】
例えばパチンコ機に代表される遊技機は、遊技機本体の前面に設けられた球受皿から供給される遊技球を球発射装置によって遊技盤の遊技領域に向けて打ち出し、この遊技球が遊技領域に設けられた複数の入賞口(始動入賞口や一般入賞口)のいずれかに入ると、所定数の遊技球が賞球として球受け皿に払い出されるようになっている。
【0003】
また、近年遊技球が遊技機内で循環して使用される封入循環方式の遊技機が提案されている。この封入循環方式の遊技機では、遊技者のハンドル操作に応じて内部に予め封入されている遊技球が球発射装置に送られ、ここで遊技領域に向かって打ち出される。打ち出された球はガイドレールに案内されて遊技盤上の遊技領域に入り、障害物である多数の遊技釘に弾かれながら遊技盤面を落下して、その落下中に所定の入賞具に遊技球が入賞すると、賞球の払い出しが行われる。また、入賞具に入らなかった遊技球は、遊技盤の下方に位置するアウト口から回収され、所定の循環通路を通して球発射装置に供給される。そして、再度、球発射装置によって打ち出され、同じ遊技球が循環使用されてパチンコ遊技が行われる。
【0004】
遊技球は、遊技者がプリペイドカード等により代金を投入すると、その投入額に応じて遊技者に貸し出され、表示器にクレジット(持ち球数)としてその貸出数が表示される。発射装置により遊技球が遊技領域内に発射されると、発射された球数分だけクレジットを減算され、入賞具に遊技球が入賞したり、ファール球が検出されたりすると、払い出し賞球数およびファール球数分だけクレジットが加算される。このクレジットが零になると、遊技者に貸し出される遊技球がなくなり、遊技者は遊技を終了するか、新たに遊技球を購入しなければならない。
【0005】
遊技開始後のクレジット数は、クレジット提示部に表示される。遊技球が発射するたびにクレジットが1個減算され、発射されたがファール球が発生すると1個加算する処理が行われるが、これを逐一クレジット提示部に表示するのはクレジットが増減して見難くなる。このため、遊技球が発射されるたびに提示遅延時間を設けて、提示遅延時間に相当する所定時間が経過後、クレジット提示部に表示されるクレジット数を更新するようにしている(特許文献1参照)。
【0006】
また、入賞球センサをハンディ無線などから発信する電波によって動作することで賞球を不正に獲得する不正行為を防ぐため、入賞球流路に第1入賞センサとそれより下流側に第2入賞センサを設けて、両者の検出信号を比較して発生信号が時間的に一致した場合には不正信号を出力する遊技機も提案されている(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
遊技球を不正に搾取するゴト行為の手口は日を追うごとに巧妙になってきており、例えば、遊技球に透明な釣り糸等を接着した糸付き球を遊技領域に打ち出し、この糸付き球を外部から往復操作して入賞口の開口に出し入れすることで、恰も遊技球が入ったかのような状態を作り出して賞球を獲得する糸ゴトと呼ばれる不正行為が行われている。また、糸付き球を直接入賞口に入賞させずに、入賞口の近傍に糸付き球を留まらせ、後続の球と共にぶどう状の塊をつくり、その塊を利用して入賞口に入賞させる不正行為も行われている。
特許文献1に示すような表示クレジット提示部に表示されるクレジット数を、遊技球の発射が検知されてから提示遅延時間に相当する所定時間が経過後、クレジット提示部を更新する手法によれば、発射された遊技球のうちファール球の有無は確認することができるがひも付き不正球による不正行為までは検出することができない。
また、糸ゴト行為は、糸の付いた本物の遊技球を入賞口の内部まで誘導して検知センサで検出させるというものであり、糸を巧みに操作して糸付き球を入賞口の内部で上下動することにより、正規の遊技球と似たような挙動が実現可能となる。このため、特許文献2に開示された遊技機のように、単に2つの検知センサを配置しただけでは、このような糸ゴト行為を防止することはできない。
【0009】
本発明の目的は、上述した従来技術の課題を解決し、遊技領域に発射された遊技球がアウト口又は入賞口を介して全て回収されたことを把握することにより、遊技者の所有する遊技対価を確実に認識することができ、さらには不正に遊技対価を獲得する不正行為を確実に防止できる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の構成を備えている。
遊技機本体に設けられた遊技盤の遊技領域に入賞口が設けられ、当該入賞口への入賞に応じた遊技対価が付与され、前記入賞口に入賞しなかった遊技球が前記遊技領域の下端に設けられたアウト口から機裏側に排出される遊技機であって、前記遊技領域に遊技球を打ち出す球発射手段と、前記球発射手段より打ち出された遊技球を検出する第1球検出手段と、前記アウト口と連絡する球回収
通路に設けられ、前記遊技領域に打ち出され前記アウト口から排出又は前記入賞口に入賞した遊技球を検出する第2球検出手段と、
機裏側に設けられ前記入賞口へ入賞したすべての入賞球を集める集合樋が前記球回収通路と連通しており、前記入賞口へ入賞した遊技球の通過を検出する第3球検出手段と、入賞後の遊技球の前記集合樋の通過を検出する第4球検出手段と、前記球発射手段によって発射可能な遊技者の持ち球数を演算する演算部と、前記演算部による演算結果をクレジット数として記憶するクレジット記憶部を有する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1球検出手段が遊技球の発射を検出しかつ前記第2球検出手段が前記アウト口から排出又は前記入賞口に入賞した前記遊技球の通過を検出した場合のみ、前記演算部において前記クレジット記憶部に記憶されたクレジット数から前記遊技領域に打ち出された遊技球数の減算処理が行われ、
前記第1球検出手段が遊技球の発射を検出し、前記第3球検出手段及び第4球検出手段が入賞した前記遊技球を検出しかつ前記第2球検出手段が前記遊技球の前記球回収通路の通過を検出した場合のみ、前記演算部において前記クレジット記憶部に記憶されたクレジット数に入賞に応じた遊技対価の加算処理が行われ、前記クレジット記憶部においてクレジット数の更新が行われることを特徴とする。
ここで遊技対価(価値)とは、例えば、遊技に使用可能な遊技媒体(遊技球)を直接払い出される賞球数に限らず、遊技者に対して一定の価値を付与することのできる手段、例えば、入賞に応じて得点を付与し、当該得点に応じた対価を遊技者に供与することも含む概念をいう。
【0011】
上記構成によれば、遊技球が遊技領域に発射された後、アウト口から排出又は入賞口に入賞した遊技球の通過を待って、演算部においてクレジット記憶部に記憶されたクレジット数から遊技領域から機裏側に排出されるアウト球及び入賞球数を減算処理し、クレジット記憶部においてクレジット数の更新が行われるので、例えば糸付き球を入賞口の近傍で滞留させて遊技球の塊を作り、その塊を利用して入賞口に入賞させるような不正行為が行われたとしても、制御手段はクレジットの演算処理を行わないので、不正に遊技対価を獲得するという不正行為を防止することができる。
また、入賞口へ入賞した遊技球が集合樋を通過して球回収通路の通過を待って制御手段は演算部においてクレジット記憶部に記憶されたクレジット数に入賞に応じた遊技対価の加算処理を実行させてクレジット記憶部においてクレジット数の更新が行われるので、糸付き球を入賞口の内部で上下動させるような不正行為により遊技対価が増加するクレジット数の更新が行われないので、簡易な制御動作で不正行為を有効に防止することができる。
【0012】
また、前記球発射手段から発射された遊技球が前記遊技領域に届かずファール球回収通路を通過して戻されたファール球を検出するファール球検出手段を備え、前記制御手段は、前記第2検出手段が前記遊技球の通過を検出した後、発射球数から前記ファール球検出手段により検出されたファ
ール球数を減じた実質発射球数と前記第2検出手段で検出された前記遊技領域に打ち出された遊技球数を照合して一致した場合のみ、前記演算部において前記クレジット記憶部に記憶されたクレジット数から前記遊技領域に打ち出された遊技球数の減算処理が行われ、不一致である場合には不正警告を行うことが望ましい。
これにより、制御手段は、アウト口から遊技球が排出されると、発射球数からファ
ール球を減じた実質発射球数と第2検出手段が検出したアウト球数とを照合し、一致する場合には正規の遊技動作と判断して演算部においてクレジット記憶部に記憶されたクレジット数から遊技領域に打ち出された遊技球数の減算処理を行い、不一致である場合には演算を行わず不正行為が行われたものとして不正警告を行うので、簡易な制御動作で不正行為を有効に防止することができる。
【0014】
前記制御手段は、遊技者本人を確認するための本人情報やクレジット情報を記憶させた記録媒体を前記遊技機(球貸し機を含む)に装着したまま球発射動作が実行された場合に限って、前記記録媒体に書き込まれたクレジット情報を更新することが望ましい。
これにより、遊技機本体に記録媒体が装着されることなく不正入賞行為が行われ、当該記録媒体に書き込まれるクレジット情報が改ざんされるおそれがなくなる。
【発明の効果】
【0015】
上述した遊技機を用いれば、遊技領域に発射された遊技球がアウト口又は入賞口を介して全て回収されたことを把握してからクレジット数を演算処理することにより、遊技者の所有する遊技対価を確実に認識でき、不正入賞により遊技対価を獲得する不正行為を確実に防止することができる。特に、糸の付いた遊技球を使い入賞口の近傍に遊技球の塊を作り入賞口に入賞させたり、入賞口に対して直接出し入れを繰り返したりして不正入賞により遊技対価を獲得するという不正行為を簡易な制御動作で確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1を参照して本実施形態に係る遊技機の概略構成について説明する。本実施例としては、遊技機の一例としてパチンコ機について説明するものとする。また、遊技対価としては、入賞に応じて賞球が払い出されるパチンコ機を例示するものとする。
【0018】
先ずパチンコ機1の概略構成について説明する。
図1において、パチンコ機1の外形をなす外枠2に対して上下に設けられたヒンジ部4により内枠3が開閉可能に取り付けられ、該内枠3の前面を覆う前面枠5(上前面枠5A,下前面枠5B)がヒンジ部4を中心に開閉可能に取り付けられている。内枠3には前面側に遊技領域が形成される遊技盤6が設けられると共に該遊技盤6の下方には遊技領域7へ向かって遊技球を発射する球発射装置36(球発射手段)が組み付けられている。
【0019】
内枠3に組み付けられる遊技盤6の盤面(前面)は窓5aを形成する透明部材5bを通じて目視可能となっている。遊技盤6はその盤面に遊技領域7を有しており、遊技領域7はガイドレール8によって略円形状に区画形成されている。遊技盤6の遊技領域7内に球発射装置36によって発射レール9に沿って打ち出された遊技球が流下する。遊技領域7には図示しないが遊技球の流下態様を変化させる複数の釘が突設されている。なお、ガイドレール8と発射レール9との間にはレール欠落部が形成されており、レール欠落部に連絡し発射レール9によって仕切られたファール球回収通路9aが隣接して形成されている。球発射装置36により発射された遊技球の勢いが不十分で遊技領域7まで到達できなかった遊技球は、ガイドレール8を逆走してレール欠落部に落下した後、ファール球回収通路9aを通じて後述する上球受け皿19Aにファール球として戻される。
【0020】
また、遊技領域7内には、センター役物10と図柄表示装置(液晶表示装置)11が設けられている。図柄表示装置11の両側には一般入賞口12、風車13が設けられている。また、図柄表示装置11の下方には上下一対の始動入賞口14,15と、大入賞口を有するアタッカー16などが設けられており、遊技領域7の最下端部には遊技領域7を流下し一般入賞口12,始動入賞口14,15及びアタッカー16に入賞しなかった遊技球を機裏側に排出するアウト口17が設けられている。
【0021】
上段側の始動入賞口14は可動片を持たない非作動式の入賞口であるが、下段側の始動入賞口15は一対の可動片を有する作動式(電動チューリップ構造)の入賞口となっている。そして、これら始動入賞口14,15のいずれか一方に遊技球が入ると、それを契機として特別図柄表示の電子抽選が行われ、図柄表示装置11の表示画面上で演出用図柄の変動表示および停止表示が行われる。また、始動入賞口15は、スルーチャッカー(図示せず)を遊技球が通過したことを契機として普通図柄表示の電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に始動入賞口15の可動片を一時的に開放して遊技球の入球を許可するようになっている。なお、遊技球が一般入賞口12へ入った場合には、電子抽選は行われず、所定個数の賞球(遊技対価)のみが払い出される。
【0022】
アタッカー16は、始動入賞口14,15に遊技球が入ることを契機に行われる特別図柄表示の電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄表示の抽選結果が当たりの場合、図柄表示装置11の表示画面上で演出用図柄の変動停止を例えば「777」のように特別図柄で停止させると共に、アタッカー装置16の扉が複数回繰り返し開放動作して内部の大入賞口を露呈させる。アタッカー装置16は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入るまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当たりが終了する。なお、始動入賞口14,15及び一般入賞口12,アタッカー16のいずれかの入賞口にも入らなかった遊技球は、遊技領域7の下端に設けられたアウト口17から遊技盤7の裏面側に排出されるようになっている。
【0023】
上前面枠5Aの上方には、LED等の複数の発光部18aを備えた表示ランプ18が設けられ、その左右両側にはサイドランプ18bが設けられている。また、窓部5aには遊技領域7を覆う透明部材(ガラス板)5bが設けられ、該透明部材(ガラス枠)5bを通じて遊技領域7が視認可能となっている。上前面枠5Aの下方には貸球や賞球等の遊技球を一時的に貯留し、該遊技球を球発射装置36へ誘導する上球受け皿19Aが設けられている。
【0024】
下前面枠5Bの中央部には下球受け皿19Bが設けられている。下球受け皿19Bの右側には、球発射装置36によって遊技領域7へ発射される遊技球の発射力を調節するための発射ハンドル20が設けられている。下球受け皿19Bの上端部には遊技状態に応じて遊技者が操作する操作部として球貸しボタン19a、精算ボタン19b、プリペイドカード(記録媒体)の残高を表示する残高表示部19cなどが設けられている。下球受け皿19Bの左側には、スピーカー21が設けられている。スピーカー21は、遊技動作に関する様々な効果音を発したり、ホール係員に対して異常を報知したりする。
【0025】
また、パチンコ機本体の右手縁部には、施錠装置22が設けられている(
図2参照)。シリンダー錠22aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回すと、外枠2に対して内枠3が開錠されるようになっている。また、シリンダー錠22aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(例えば反時計回り)へ回すと、内枠3に対して前面枠5(上前面枠5A)が開錠されるようになっている。
【0026】
また、パチンコ機1に隣接して、台間サンド(球貸し機)23が設けられる。台間サンド23には、記録媒体(プリペイドカード;図示せず)を挿入するカード挿入口23a、テンキー23bやクレジット数を表示するクレジット表示部23cなどが設けられている。記録媒体には遊技者の本人情報として予め遊技者本人を確認するための暗証番号やクレジット数が記録されている。カード挿入口23aにカードが挿入されると、後述するカードリーダライタ装置23dにより記録情報が読みだされてパチンコ機1の制御手段により更新可能となる。
【0027】
図2において、内枠3の後面側上部には遊技球を貯留する貯留タンク24が設けられている。この貯留タンク24にはパチンコ機1が配置されたホールの遊技島から遊技球が供給されるようになっている。貯留タンク24は、タンクレール25を通じて球払出装置26に接続されている。球払出装置26は、遊技領域7に打ち出されていずれかの入賞口に入賞した場合に所定数の遊技球を賞球(遊技対価)として上球受け皿19Aへ払い出す。また、いずれかの入賞口に入賞した遊技球は、入賞球集合樋27を通じて集められ、球回収通路40から回収されるようになっている。なお、球払出装置26を台間サンド23に設けることで貯留タンク24やタンクレール25を省略することもできる。
【0028】
また、
図2において、パチンコ機1の背面側には、遊技動作を統括制御する主制御基板28、図柄表示装置11とこれを制御する画像処理基板等(図示せず)、球払出装置26の払い出し動作を制御する払出制御基板29、球発射装置36の動作を制御する発射制御基板30、パチンコ機1に電源を供給する電源基板37などが設けられている。主制御基板28は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装された制御基板(メイン基板)とを備えており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータをRAMに読み出して実行することにより、遊技動作を統括制御する。
【0029】
また、
図2に示すように、発射レール9に沿って設けられた球発射位置の近傍には、発射球検出器31(第1球検出手段)が設けられている。発射球検出器31は、球発射装置36より打ち出された遊技球を検出する。また、
図1に示すように、発射レール9の外側に設けられたファール球回収通路9aには、ファール球検出器32が設けられている。また、アウト口17に連絡する球回収通路40にはアウト球検出器33(第2球検出手段)が設けられている。また、一般入賞口12、上下一対の始動入賞口14,15、アタッカー16には、各々入賞球検出器34(第3球検出手段)が設けられている。更には、球回収通路40に通じる入賞球集合樋27には、入賞球確認検出器35(第4球検出手段)が設けられている。入賞球確認検出器35は、各部入賞後のすべての遊技球が入賞球集合樋27に集められて通過したことを検出する。アウト球検出器33は、遊技領域7を流下した遊技球、つまりいずれかの入賞口に入賞した遊技球及びアウト口17から機裏側に排出された遊技球を検出する。
【0030】
上述した各球検出器としては、例えば、通過孔を有する貫通型近接スイッチと呼ばれる公知の磁気センサが用いられる。この近接スイッチは内蔵した高周波発信回路(図示せず)の検出コイルのインピーダンス変化によって遊技球の通過を非接触で検出することができる。
【0031】
ここで、パチンコ機1の制御系を示すブロック構成図について
図3を参照して説明する。以下のブロック構成図は、球発射装置36より発射された遊技球の検出に伴う制御動作を中心に説明するものとする。よって、画像処理動作、球発射動作や賞球払出動作の制御については記載を省略する。
【0032】
図3において、主制御基板28(制御手段)には、カード情報管理部28a、入賞管理部28b、クレジット情報管理部28c(演算部28c1,メモリ28c2;クレジット記憶部)、クレジット更新部28dが設けられている。カード情報管理部28aは、遊技者が購入した記録媒体に書き込まれた情報(暗証番号、クレジット数等)を管理する。また、記録媒体(プリペイドカード、電子マネーカードなどのカード)の投入の有無や、このカードに書き込まれている記録情報(本人情報、クレジット数)の管理や演算処理およびその情報提示、遊技終了時におけるカード処理等を行う。例えば、カードリーダライタ装置23dよりカード挿入口23aにカードが挿入されたか否かを監視し、カードが挿入されたときには、カードリーダライタ装置23dにより、このカードに記憶されているクレジット情報を読み取り、且つ、必要に応じてカードにクレジット情報等を書き込み、カードを排出する処理を行う。また、下球受け皿19Bの操作(球貸し数の設定、貸し出し、精算など)に応じてクレジットの精算処理等を行うとともに、これらの処理を受けた現在のカードの残高情報を残高表示部19cに表示させる。
【0033】
入賞管理部28bは、一般入賞、始動入賞、大入賞などに応じて払い出される賞球数を管理する。具体的には、入賞管理部28bは、各入賞球検出器34から遊技球の入賞情報(一般入賞、始動入賞、大入賞)を受けて、各入賞情報に対応する賞球クレジットを付与する処理を行う。
【0034】
また、クレジット情報管理部28cは、遊技者が遊技可能な持ち球数を管理する。発射球検出器31、ファール球検出器32、入賞球検出器34、入賞球確認検出器35、アウト球検出器33により遊技球が検知されると、持ち球数(クレジット数)を演算部28c1により演算させ、メモリ28c2に演算部28c1による演算結果をクレジット数として記憶させる。
【0035】
クレジット更新部28dは、制御プログラムにしたがってクレジット数を更新許可すべきか否かを管理する。クレジット更新部28dは、発射球検出器31が遊技球の発射を検出した後、アウト球検出器33がアウト口17から排出され又は一般入賞口12、上下一対の始動入賞口14,15、アタッカー16などの入賞口に入賞した遊技球の通過を検出すると、演算部28c1にメモリ28c2に記憶されたクレジット数から発射球数を減算処理することを許可する。具体的には、アウト球検出器33が遊技球の通過を検出した後、発射球検出器31で検出された発射球数からファール球検出器32に検出されたファ
ール球数を減じた演算結果とアウト球検出器33で検出されたアウト球数とを照合して一致した場合のみ、演算部28c1にメモリ28c2に記憶されたクレジット数から発射球数の減算処理を行わせ、不一致である場合には表示ランプ18の発光部18aを点滅させたりスピーカー21から警告音を発生させたりして不正警告を行う。
【0036】
また、発射球検出器31が遊技球の発射を検出し、入賞球検出器34及び入賞球確認検出器35が入賞した遊技球を検出しかつアウト球検出器33が遊技球の通過を検出すると、発射球検出器31で検出された発射球数からファール球検出器32に検出されたファウル球数を減じた演算結果とアウト球検出器33で検出された球数とを照合して一致した場合のみ、演算部28c1にメモリ28c2に記憶されたクレジット数から発射球数の減算処理を行わせ、各入賞口に応じた遊技対価を付与(加算)する演算処理を行って、メモリ28c2に記憶されたクレジット数を更新することを許可する。
【0037】
主制御基板28には、発射球検出器31より発射されて球数、ファール球検出器32よりファール球数が入力される。また、遊技盤6に設けられた入賞球検出器34及び入賞球確認検出器35から入賞した球数が入力される。更には、アウト球検出器33から球回収通路40に回収された球数が入力される。
或いは台間サンド23に設けられたテンキーより貸し球数が入力され、下球受け皿19Bに設けられた球貸しボタン19a、精算ボタン19bなどから実行指令が入力される。
【0038】
また、主制御基板28からは、台間サンド23に設けられたクレジット表示部23cへ表示するクレジット数が出力され、カードリーダライタ装置23dへ更新したクレジット数が書き込まれる。また、主制御基板28から下球受け皿19Bに設けられた残高表示部19cへ表示される手持ち遊技球(貸し球数)の残高が出力される。
【0039】
以上のように構成されたパチンコ機1において、
図1に示すように遊技者が発射ハンドル20を操作すると、上球受け皿19Aに貯留された遊技球が1個ずつ発射位置へ誘導されて球発射装置36により発射レール9に沿って発射される。遊技球は、ガイドレール8に案内されて遊技領域7内に進入した遊技球が始動入賞口14,15に入ると、特別図柄表示の抽選結果が行われると共に、球払出装置26の作動により所定個数の遊技球が上球受け皿19Aに払い出される。また、遊技領域7内を流下する遊技球が任意の一般入賞口12に入ると、球払出装置26の作動により所定個数の遊技球の払い出しのみが行われる。いずれの始動入賞口14,15や一般入賞口12にも入らなかった遊技球はアウト口17から遊技盤6の裏面側の球回収通路40に排出される。また、すべての入賞球も入賞球集合樋27へ集められて球回収通路40に排出される。
【0040】
ここで、不正行為を働こうとする者が遊技球に糸を接着・固定し、かかる糸付き球を上球受け皿19Aから球発射装置36に供給して遊技領域7に打ち出した後、外部から糸を手動操作して先端の遊技球の入賞を繰り返して賞球を不正に獲得する不正行為を想定したパチンコ機1の制御動作の一例について、
図4に示すフローチャートに基づいて
図1乃至
図3を参照しながら説明する。
【0041】
図4において、遊技者が予め購入したプリペイドカードを台間サンド23のカード挿入口23aに挿入する(ステップS1;
図1参照)。カードリーダライタ装置23dは、本人である暗証番号の確認を行い(ステップS2)、持ち球の有無を判定する(ステップS3)。上記本人情報や持ち球数は、主制御基板28のカード情報管理部28aに読み込まれる(
図3参照)。この本人情報やクレジット情報を記憶させたプリペイドカードを台間サンド23のカード挿入口23aに挿入したまま球発射動作が実行された場合に限って、主制御基板28は、プリペイドカードに書き込またクレジット情報を更新することができる。これによりプリペイドカードが装着されることなく、不正行為が行われ、当該カードに書き込まれるクレジット情報が改ざんされるおそれがなくなる。
【0042】
持ち球がない場合には、ステップS4に移行して球貸しボタン19aを押して貸し球購入を促す。持ち球がある場合には、ステップS5に移行して持ち球を残高表示部19cに表示する(
図3参照)。
遊技者が発射ハンドル20を操作すると、発射位置にセットされた遊技球が球発射装置36により打ち出される(ステップS6;
図1参照)。
【0043】
遊技球が発射レール9に沿って打ち出されると、先ず発射球検出器31が遊技球の発射を検出したか否かを判定する(ステップS7;
図2参照)。遊技球を検出しない場合は、発射操作を待って判定する。発射球検出器31が遊技球の発射を検出すると、次いでファール球検出器32によりファール球が発生したか否かを判定する(ステップS8)。ファール球を検出した場合には、遊技球がファール球回収通路9a(
図1参照)を通じて上球受け皿19Aに戻されるため、ステップS7に戻って次の遊技球が発射されるのを待つ。
【0044】
ステップS8においてファール球が検出されない場合には、遊技球が正常に遊技領域7に発射されたことになるため、いずれかの入賞口(一般入賞口、始動入賞口等)より入賞球検出器34が入賞球を検出したかを判定する(ステップS9)。入賞球を検出した場合には、ステップS10に進行して入賞球確認検出器35が遊技球を検出したか否かを判定する。入賞球検出器34が遊技球の入賞を検出したが、入賞球集合樋27に回収できない場合即ち入賞球確認検出器35が遊技球を検出できない場合には、不正行為が行われたものと判断できるため、ステップS11に進行して不正警告を行う。具体的には、表示ランプ18を点滅させてホール係員に報知するか、スピーカー21より警告音を発生させてホール係員に報知して遊技動作を終了させる。
【0045】
また、ステップS9において、いずれの入賞口(一般入賞口、始動入賞口等)からも入賞球検出器34が入賞球を検出できない場合には、入賞がなかったものとしてステップS12に進行してアウト球検出器33によりアウト口17を遊技球(アウト球)が通過したか否かを判定する。また、ステップS10において、入賞球確認検出器35が遊技球を検出した場合も、正常に入賞されたものとしてステップS12に進行してアウト球検出器33により球回収通路40を遊技球(アウト球)が通過したか否かを判定する。
【0046】
ステップS12において、アウト球を検出した場合には、ステップS13に進行してクレジット情報管理部28cは、演算部28c1に演算処理を行わせてメモリ28c2を更新する。具体的には、入賞球が検出されなかった場合には、発射球検出器31で検出された発射球数からファール球検出器32に検出されたファ
ール球数を減じた実質発射球数と、アウト球検出器33で検出されたアウト球数を照合し、一致する場合のみ、演算部28c1においてメモリ28c2に記憶されたクレジット数から実質発射球数の減算処理が行われ、メモリ28c2に記憶するクレジット数が更新される。また、入賞球検出器34及び入賞球確認検出器35が入賞した遊技球を検出しかつアウト球検出器33が球回収通路40に排出された遊技球の通過を検出する場合のみ、演算部28c1はメモリ28c2に記憶されたクレジット数から実質発射球数(入賞球数)の減算処理が行われると共に遊技対価(賞球数)の加算処理が行われ、メモリ28c2に記憶するクレジット数が更新される。
【0047】
また、ステップS12において、球発射装置36により遊技領域7へ正常に発射された遊技球が入賞球の有無にかかわらず、アウト口17を通じて排出されなかった場合には、不正行為が行われたものと判断できるためステップS11に進行して不正警告を行う。具体的には、表示ランプ18を点滅させてホール係員に報知するか、スピーカー21より警告音を発生させてホール係員に報知して遊技動作を終了させる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技球が遊技領域7へ正常に発射された後、アウト口17から排出されたすべての遊技球(アウト球)及び入賞口に入賞した遊技球の球回収通路40の通過を待って、演算部28c1においてメモリ28c2に記憶されたクレジット数から減算処理するので、例えば糸付き球を入賞口の近傍で滞留させて遊技球の塊を作り、入賞口に入賞させるような不正行為が行われたとしても、主制御基板28はクレジット数の演算処理を行わない。よって、賞球(遊技対価)を不正に獲得するという不正行為を防止することができる。
【0049】
また、遊技球が遊技領域7へ正常に発射され、いずれか入賞口へ入賞した遊技球が入賞球集合樋27を通じて球回収通路40を通過するのを待って、主制御基板28は演算部28c1においてメモリ28c2に記憶されたクレジット数に賞球数を加算する演算処理を行うので、糸付き球を入賞口の内部で上下動させて賞球(遊技対価)を獲得する不正行為によりクレジット数の更新が行われない。よって、簡易な制御動作で不正行為を有効に防止することができる。
【0050】
主制御基板28における演算処理によるクレジット数の更新は、本人情報やクレジット情報を記憶させたプリペイドカードをパチンコ機1(台間サンド23を含む)に装着したまま球発射動作が実行された場合に限って行われる。これにより、遊技機にプリペイドカードが装着されることなく不正行為が行われ、当該プリペイドカードに書き込まれるクレジット情報が改ざんされるおそれがなくなる。
以上説明したように、遊技領域7に発射された遊技球がアウト口17又は入賞口を介して全て回収されたことを把握してからクレジット数を演算処理することにより、遊技者の所有する遊技対価を確実に認識でき、不正入賞により遊技対価を獲得する不正行為を確実に防止することができる。特に、糸の付いた遊技球を使用して不正入賞により遊技対価を獲得するという不正行為を簡易な制御動作で確実に防止することができる。
【0051】
上述した実施形態では、遊技球はホール島ごとに各パチンコ機1の貯留タンク24や台間サンド23に供給される形態について説明したが、各パチンコ機1の中で遊技球が巡回する封入式循環球遊技機に適用することも可能である。この場合、パチンコ機1に備えていた貯留タンク24、球払出装置26を省略し、台間サンド23に演算処理装置を具備して、球発射装置36により遊技球を遊技領域7内に発射させるとともに、遊技球循環手段によりこの遊技領域7内に発射されて遊技に使用された遊技球を回収して再度球発射装置36に供給して、再び遊技領域7内に発射可能となるように循環させる。また、主制御基板28(制御手段)には循環球管理部が設けられ、球発射検出器31、ファール球検出器32、入賞球検出器34、入賞球確認検出器35、およびアウト球検出器33により検出される遊技球の検出結果に基づいて、球詰まりの有無等を監視し、遊技機の内部で遊技球がスムーズに循環しているか否かが監視される。
また、上述した実施形態では遊技機の一例としてパチンコ機について説明したが、他の遊技機、例えば雀球遊技機やアレンジボール遊技機などに適用してもよい。