(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148123
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】温風暖房機
(51)【国際特許分類】
F24H 3/04 20060101AFI20170607BHJP
F23N 5/26 20060101ALI20170607BHJP
F23K 5/14 20060101ALI20170607BHJP
F24C 5/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
F24H3/04 305A
F23N5/26 101B
F23K5/14 505
F24C5/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-181396(P2013-181396)
(22)【出願日】2013年9月2日
(65)【公開番号】特開2015-48993(P2015-48993A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】加賀見 隆
(72)【発明者】
【氏名】近藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】田村 昭洋
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−140468(JP,A)
【文献】
特開2004−144356(JP,A)
【文献】
特開平07−035330(JP,A)
【文献】
特開2008−232615(JP,A)
【文献】
特開2002−340336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/04
F23K 5/14
F23N 5/26
F24C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼を行うバーナ部と、このバーナ部に燃料を送油する電磁ポンプと、累積灯油使用量と一日の灯油使用量を記憶する記憶部と、一日の灯油使用量を積算する積算部と、前記記憶部の累積灯油使用量に一日の灯油使用量を加算して新たな累積灯油使用量を算出する演算部と、時刻を計時する計時部と、累積灯油使用量、一日の灯油使用量を表示する数字表示部と、累積灯油使用量、一日の灯油使用量を表示させる使用量表示スイッチと、機器本体の制御を行う制御装置とを備えた温風暖房機に於いて、前記制御装置は、毎時間所定の時刻になると記憶部の一日の灯油使用量のデータを書き換えると共に、毎日所定の時刻になると記憶部の累積灯油使用量のデータを書き換え、更に機器本体への通電状態がON状態からOFFに状態になった時、記憶部の累積灯油使用量と一日の灯油使用量のデータの更新及びリセットと、積算部で積算されている一日の灯油使用量のリセットを行うことを特徴とする温風暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温風を吹き出して室内を暖房する温風暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいては、電磁ポンプによって燃焼部へ供給された灯油の量の積算値を記憶し、その積算値を表示させることができるようにしたものがあった。(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−140468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、表示する灯油使用量が累積使用量のみで、例えば累積使用量と一日の使用量のようにいくつかの灯油使用量を表示することが出来なかった。
【0005】
又、この従来のものでは、使用者のスイッチ操作によって初期化できる灯油使用量の積算値と使用者のスイッチ操作では初期化できない灯油使用量の積算値とを記憶し、EEPROM等の不揮発性メモリーにも記憶することによって、電源が断たれても積算値が保持されるようにしたものであるが、使用者によって記憶する全ての灯油使用量を初期化して使用者の希望するタイミングから灯油使用量を積算して記憶することが出来なかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、燃焼を行うバーナ部と、このバーナ部に燃料を送油する電磁ポンプと、累積灯油使用量と一日の灯油使用量を記憶する記憶部と、一日の灯油使用量を積算する積算部と、前記記憶部の累積灯油使用量に一日の灯油使用量を加算して新たな累積灯油使用量を算出する演算部と、時刻を計時する計時部と、累積灯油使用量、一日の灯油使用量を表示する数字表示部と、累積灯油使用量、一日の灯油使用量を表示させる使用量表示スイッチと、機器本体の制御を行う制御装置とを備えた温風暖房機に於いて、前記制御装置は、毎時間所定の時刻になると記憶部の一日の灯油使用量のデータを書き換えると共に、毎日所定の時刻になると記憶部の累積灯油使用量のデータを書き換え
、更に機器本体への通電状態がON状態からOFFに状態になった時、記憶部の累積灯油使用量と一日の灯油使用量のデータの更新及びリセットと、積算部で積算されている一日の灯油使用量のリセットを行うものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、一日の灯油使用量と累積灯油使用量とを記憶部に記憶し、毎時間所定の時刻になると記憶部の一日の灯油使用量のデータを書き換えると共に、毎日所定の時刻になると記憶部の累積灯油使用量のデータを書き換えるので、使用者がなんら操作することなく自動的に一日の灯油使用量と累積灯油使用量のデータが更新されるものである。
【0009】
また
、機器本体への通電状態がON状態からOFFに状態になった時、記憶部の累積灯油使用量と一日の灯油使用量のデータの更新及びリセットと、積算部で積算されている一日の灯油使用量のリセットを行うので、停電や電源コンセントを抜いた時でも、それまでの積算部で積算されている一日の灯油使用量が記憶部の累積灯油使用量に加算され、その時点での累積灯油使用量を正確に記憶することができるものである。
【0010】
又、機器本体への通電状態がON状態からOFFに状態になった時、記憶部と積算部の一日の灯油使用量がリセットされることにより、一日の灯油使用量が重複して累積灯油使用量に加算されるのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】同データ更新時の作動を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明の一実施形態における温風暖房機を図に基づいて説明する。
1は温風暖房機本体で、2は前面上部に備えられた操作部、3は温風を案内するルーバ4が取り付けられた温風吹出口、5は背面の温風取入口6にファンガード7を介して取り付けられた対流ファン、8は前記温風取入口6と温風吹出口3とを連通する送風ボックス、9は前記送風ボックス8内にバーナヘッド10を突出して設けられたバーナ部、11は前記バーナヘッド10を囲堯して燃焼空間を形成する燃焼筒、12は前記送風ボックス8内で前記燃焼筒11の真上に配設された遮熱板である。
【0013】
前記機器本体1の外装体は、前面を覆う前パネル13と、上面を覆う上面板14と、側面及び背面を覆う背面板15とを置き台16の上に固定して構成されている。
【0014】
17は灯油などの液体燃料を供給するカートリッジ式タンク、18はこのカートリッジ式タンク17からの燃料を一時的に溜め置く固定タンク、19は固定タンク18内の燃料量が所定量以下になるとオンするフロートスイッチ、20は固定タンク18内の燃料を送油管21及び送油ノズル22を介してバーナ部9へ圧送する電磁ポンプ、23は燃焼用空気を送風管24を介して送風する燃焼ファンである。
【0015】
25は液体燃料を気化する気化器、26は前記気化器25を燃料が気化可能な温度まで加熱する気化ヒータ、27は前記気化器25の温度を検知する気化温度センサ、28はバーナヘッド8の外周に設けられた炎孔網、29は燃焼熱を気化器25へ回収する熱回収リング、30は気化ガスにスパーク放電して点火する点火器、31は炎の状態を監視するフレームロッドである。
【0016】
32はこの機器本体1の制御を行う制御装置であって、マイコン(図示せず)を中心に構成され、EEPROM等の不揮発性メモリーからなり、累積灯油使用量と一日の灯油使用量を記憶する記憶部33と、一日の灯油使用量を積算する積算部34と、前記記憶部33の累積灯油使用量に一日の灯油使用量を加算して新たな累積灯油使用量を算出する演算部35と、時刻を計時する計時部36と、停電時や機器本体1の電源がOFFされた時に前記記憶部33及び演算部35と計時部36とに電源を供給する蓄電部37とを備えたものである。
【0017】
38は前記操作部2に設けられた操作部基盤で、操作部2に設けられた各種スイッチや表示ランプがこの操作部基盤38を介して前記制御装置32に接続されており、前記操作部2には機器の自動運転/停止を指示する運転スイッチ39と、運転開始からの時間をカウントして所定時間(3時間)経過すると自動消火させる消し忘れタイマー手段(図示せず)のカウント時間をリセットして再度所定時間(3時間)のカウントを開始させる延長スイッチ40と、運転スイッチ39に近接して設けられた自動運転ランプ41と、室温や設定温度、時刻、累積灯油使用量、一日の灯油使用量を表示する数字表示部42と、給油、累積灯油使用量、一日の灯油使用量という文字を表示する給油文字表示部43と、累積灯油使用量、一日の灯油使用量を表示させる使用量表示スイッチ44と、各スイッチの操作時や何等かの警告時に音を発するブザー45とが設けられており、前記数字表示部42と給油文字表示部43は液晶表示器46に設けられているものである。
【0018】
前記使用量表示スイッチ44は、ON操作する毎に給油文字表示部43に累積灯油使用量と一日の灯油使用量を交互に表示させると共に、ON操作した際、そのまま所定時間長押しすると、その時累積灯油使用量が表示されていれば記憶部33の累積灯油使用量のデータをリセットしてゼロにし、又、長押しした時、一日の灯油使用量が表示されていれば、記憶部33と積算部34との一日の灯油使用量のデータをリセットしてゼロにすることが出来るものである。
【0019】
47は操作部2と温風吹出口3との間の中央部に設けられたカラー表示器で、発光部基盤48に赤色LED49と緑色LED50を3個ずつ環状交互に配置して赤色及び緑色の二色に発光する発光部51と、この発光部51の光を周囲に拡散する拡散レンズ52とにより構成されており、運転中は視覚的に後退作用のある後退色の緑色に点灯し、且つ自動消火の一定時間前より緑色で点滅することにより消火を予告し、また残り燃料量が所定量以下となり消火する際には視覚的に進出作用のある進出色である赤色に点灯・点滅することで、より目に付きやすい色にて使用者に給油を促すものである。
【0020】
次に、本実施例の作動について説明する。
まず、運転スイッチ39がON操作されると、制御装置32は気化器25の気化ヒータ26に通電を開始し、気化温度センサ27が気化器25の温度が燃料が気化可能な温度まで上昇したのを検知すると、制御装置32は電磁ポンプ20を駆動して気化器25に燃料を供給すると共に、燃焼ファン23を駆動して気化器25に燃焼用空気を送風するものである。
【0021】
この時、制御装置32から電磁ポンプ20に駆動パルス電流が出力され、電磁ポンプ20内に設けたフロートが駆動パルス電流の1パルス毎に一回上下動し、それにより駆動パルスの1パルス毎に所定量の燃料が気化器25に供給されるものである。
又、制御装置32はし、電磁ポンプ20に出力する駆動パルス電流のパルス数を検知することで灯油の使用量を算出することができるものである。
【0022】
そして気化器25内で気化した燃料と燃焼用空気が混合して気化ガスが生成され、この気化ガスを点火器30にて着火することにより燃焼が開始されるものである。
そしてこの燃焼ガスに対流ファン5からの空気が混合されて温風吹出口3から温風として吹き出すことにより暖房運転が行われるものである。
【0023】
次に、本実施例の灯油使用量の演算、記憶、表示制御について
図6のフローチャートに基づいて説明する。
まず、制御装置32は、計時部36の計時する時刻が累積灯油使用量の積算値データ更新時刻の午前12時であるかを確認する。(S1)
【0024】
そして(S1)で計時部36の計時する時刻が累積灯油使用量の積算値データ更新時刻の午前12時である時、制御装置32は累積灯油使用量の積算値のデータ更新を開始する。(S2)
【0025】
まず、制御装置32は、記憶部33に記憶されている累積灯油使用量の積算値のデータを読み出して演算部35に入力し(S3)、次に積算部34で積算されている一日の灯油使用量の積算値のデータを読み出して演算部35に入力し、該演算部35は入力された累積灯油使用量の積算値に入力された一日の灯油使用量の積算値を加算して、更新された累積灯油使用量の積算値を算出する。(S4)
【0026】
そして次に制御装置32は、記憶部33に記憶されている累積灯油使用量の積算値のデータを、更新された累積灯油使用量の積算値のデータに書き換え(S5)、更に、記憶部33に記憶されている一日の灯油使用量の積算値のデータをゼロに書き換えるものである。(S6)
【0027】
更に制御装置32は、積算部34で積算されている一日の灯油使用量の積算値のデータをゼロに書き換え(S7)、これにより累積灯油使用量の積算値のデータ更新を終了するものである。(S8)
【0028】
そして次に制御装置32は、機器本体1への通電状態がON状態からOFFに状態になったかを判断し(S9)、機器本体1への通電状態がON状態からOFFに状態になった場合は(S2)に戻り、機器本体1への通電状態がON状態からOFFに状態にならなかった場合は次に機器本体1が運転中かを判断し(S10)、運転中でない場合は(S1)に戻り、運転中の場合は積算部34の一日の灯油使用量の積算を継続して(S11)、(S1)に戻るものである。
【0029】
又、(S1)で計時部36の計時する時刻が累積灯油使用量の積算値データ更新時刻の午前12時ではない時、次に制御装置32は計時部36の計時する時刻が一日の灯油使用量の積算値データ更新時刻の毎時0分であるかを確認する。(S12)
【0030】
そして(S12)で計時部36の計時する時刻が一日の灯油使用量の積算値データ更新時刻の毎時0分ではない時、(S9)に戻り、又、(S12)で計時部36の計時する時刻が一日の灯油使用量の積算値データ更新時刻の毎時0分である時、制御装置32は一日の灯油使用量の積算値のデータ更新を開始する。(S13)
【0031】
まず、制御装置32は、積算部34で積算されている一日の灯油使用量の積算値のデータを読み出して、次に記憶部33に記憶されている一日の灯油使用量の積算値のデータを、その読み出した一日の灯油使用量の積算値のデータに書き換え(S14)、それにより一日の灯油使用量の積算値のデータ更新を終了して(S15)、(S9)に戻るものである。
【0032】
尚、本実施例では(S9)で機器本体1への通電状態がON状態からOFFに状態になった時、記憶部33の累積灯油使用量と一日の灯油使用量のデータの更新及びリセットと、及び積算部34で積算されている一日の灯油使用量のリセットを行うがこれに限定されず、機器本体1への通電状態がON状態からOFFに状態になって更に再度ON状態になった時に記憶部33の累積灯油使用量と一日の灯油使用量のデータの更新及びリセットと、及び積算部34で積算されている一日の灯油使用量のリセットを行ってもよいものである。
【0033】
以上のように、一日の灯油使用量と累積灯油使用量とを記憶部33に記憶し、毎時間所定の時刻になると記憶部33の一日の灯油使用量のデータを書き換えると共に、毎日所定の時刻になると記憶部33の累積灯油使用量のデータを書き換えるので、使用者がなんら操作することなく自動的に一日の灯油使用量と累積灯油使用量のデータが更新されるものである。
【0034】
又、機器本体1への通電状態がON状態からOFFに状態になった時、記憶部33の累積灯油使用量と一日の灯油使用量のデータの更新及びリセットと、積算部34で積算されている一日の灯油使用量のリセットを行うので、停電や電源コンセントを抜いた時でも、それまでの積算部34で積算されている一日の灯油使用量が記憶部33の累積灯油使用量に加算され、その時点での累積灯油使用量を正確に記憶することができるものである。
【0035】
又、機器本体1への通電状態がON状態からOFFに状態になった時、記憶部33と積算部34の一日の灯油使用量がリセットされることにより、一日の灯油使用量が重複して累積灯油使用量に加算されるのを防止できるものである。
【符号の説明】
【0036】
1 機器本体
9 バーナ部
20 電磁ポンプ
32 制御装置
33 記憶部
34 積算部
35 演算部
36 計時部
42 数字表示部
44 使用量表示スイッチ