特許第6148194号(P6148194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148194
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 5/20 20060101AFI20170607BHJP
   H04N 1/409 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   G06T5/20
   H04N1/40 101D
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-59548(P2014-59548)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-184854(P2015-184854A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】502002186
【氏名又は名称】株式会社ジオ技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100165663
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 光宏
(72)【発明者】
【氏名】岸川 喜代成
(72)【発明者】
【氏名】冨高 翼
(72)【発明者】
【氏名】阿田 昌也
(72)【発明者】
【氏名】木村 達治
【審査官】 松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−129105(JP,A)
【文献】 特開2013−054499(JP,A)
【文献】 特開2007−298332(JP,A)
【文献】 特開2008−090808(JP,A)
【文献】 特開2001−083243(JP,A)
【文献】 特開2006−285310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 5/20
H04N 1/409
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データにフィルタ処理を施す画像処理装置であって、
所定サイズのメッシュに区切られた前記画像データを記憶する画像データ記憶部と、
前記メッシュに適用される複数種類のテクスチャデータを記憶するテクスチャデータ記憶部と、
前記テクスチャデータに前記メッシュ単位でフィルタ処理を施すフィルタ処理部とを備え、
前記フィルタ処理部は、
該フィルタ処理を施す対象メッシュに対し、該フィルタ処理に使用する周辺メッシュを設定する周辺メッシュ設定部と、
前記対象メッシュ内のいずれかの着目ピクセルの画素値と、該着目ピクセルの位置に応じて定まる前記各周辺メッシュ内の周辺ピクセルの画素値とを用いた所定の演算によって、前記着目ピクセルの画素値を決定する画素値演算部とを備え
前記画像データ記憶部または前記テクスチャデータ記憶部は、前記メッシュに、いずれかの前記テクスチャデータを対応づけるメッシュ属性を記憶しており、
前記周辺メッシュ設定部は、前記対象メッシュのメッシュ属性によって前記フィルタ処理に使用する周辺メッシュを変化させる画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記画素値演算部は、前記着目ピクセルとメッシュ内での相対位置が同一となる周辺ピクセルを用いる画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像処理装置であって、
前記画像データ記憶部または前記テクスチャデータ記憶部は、前記メッシュに、いずれかの前記テクスチャデータを対応づけるメッシュ属性を記憶しており、
前記画素値演算部は、前記対象メッシュおよび周辺メッシュのメッシュ属性の少なくとも一方に応じて前記演算を変化させる画像処理装置。
【請求項4】
地図を表示するための地図データを生成する地図データ生成システムであって、
請求項1〜3いずれか記載の画像処理装置を備え、
前記画像データは、前記地図の地表面を表す地表面データであり、
前記テクスチャデータは、前記地表面の種別に応じた外観のパターンを表すパターンデータであり、
さらに、前記画像処理装置によって前記フィルタ処理を施した後の各メッシュのパターンデータを、前記地図データの地表面用のテクスチャデータとして格納する地図データ格納部を備える地図データ生成システム。
【請求項5】
地図を表示するための地図表示システムであって、
請求項1〜3いずれか記載の画像処理装置を備え、
前記画像データは、前記地図の地表面を表す地表面データであり、
前記テクスチャデータは、前記地表面の種別に応じた外観のパターンを表すパターンデータであり、
前記画像処理装置は、前記地図を表示する際に、前記フィルタ処理を施し、
さらに、前記画像処理装置によって前記フィルタ処理を施した後の各メッシュのパターンデータを、前記地図データの地表面用のテクスチャデータとして用いて前記地図を表示する地図表示部を備える地図表示システム。
【請求項6】
コンピュータによって、画像データにフィルタ処理を施す画像処理方法であって、
前記コンピュータが実行するステップとして、
所定サイズのメッシュに区切られた前記画像データにアクセスするステップと、
前記メッシュに適用される複数種類のテクスチャデータにアクセスするステップと、
前記テクスチャデータに前記メッシュ単位でフィルタ処理を施すステップとを備え、
前記フィルタ処理を施すステップは、
該フィルタ処理を施す対象メッシュに対し、該フィルタ処理に使用する周辺メッシュを設定するステップと、
前記対象メッシュ内のいずれかの着目ピクセルの画素値と、該着目ピクセルの位置に応じて定まる前記各周辺メッシュ内の周辺ピクセルの画素値とを用いた所定の演算によって、前記着目ピクセルの画素値を決定するステップとを備え、
さらに、前記画像データまたは前記テクスチャデータは、前記メッシュに、いずれかの前記テクスチャデータを対応づけるメッシュ属性を記憶しており、
前記周辺メッシュを設定するステップは、前記対象メッシュのメッシュ属性によって前記フィルタ処理に使用する周辺メッシュを変化させるステップである画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータによって、画像データにフィルタ処理を施すコンピュータプログラムであって、
所定サイズのメッシュに区切られた前記画像データにアクセスする機能と、
前記メッシュに適用される複数種類のテクスチャデータにアクセスする機能と、
前記テクスチャデータに前記メッシュ単位でフィルタ処理を施す機能とをコンピュータに実現させ、
前記フィルタ処理を施す機能は、
該フィルタ処理を施す対象メッシュに対し、該フィルタ処理に使用する周辺メッシュを設定する機能と、
前記対象メッシュ内のいずれかの着目ピクセルの画素値と、該着目ピクセルの位置に応じて定まる前記各周辺メッシュ内の周辺ピクセルの画素値とを用いた所定の演算によって、前記着目ピクセルの画素値を決定する機能であり、
さらに、前記画像データまたは前記テクスチャデータは、前記メッシュに、いずれかの前記テクスチャデータを対応づけるメッシュ属性を記憶しており、
前記周辺メッシュを設定する機能は、前記対象メッシュのメッシュ属性によって前記フィルタ処理に使用する周辺メッシュを変化させる機能であるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像のフィルタ処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図のリアリティを向上させるためには、地表面にも無地ではなく色柄を付すことが考えられる。色柄を付すとは、その土地の田畑、山林、河川などの種別や用途に合わせて、その外観を表す模様等を付すということである。模様等は、予めテクスチャパターンとして用意しておき、これを地表面のポリゴンに貼り付ける方法によって表すことができる。地表面のポリゴンデータは、地表面を所定サイズのメッシュに区切り、メッシュごとに高さを与えることによって整備されているため、地表面の色柄もメッシュ単位で設定することが有益である。
しかし、メッシュ単位で色柄を付した場合、隣接するメッシュのテクスチャパターンが異なる場合において、特に地図を拡大したとき、異なるメッシュ同士の境界線が直線的に視認され、その結果、不自然な地図となることがある。
このような不自然さを解消する技術として、画像データにガウスフィルタその他のフィルタ処理を施すことが知られている。
特許文献1は、フィルタ処理に類似した技術として、より高い解像度へ変換した画像データについてエッジ部の有無を判定し、判定結果を基に補正処理としてエッジ強調処理とノイズ除去処理とのいずれか一方または両方を行う補正処理を行う技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−69344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、フィルタ処理を施すと、メッシュの境界だけでなく、地用面に付したテクスチャパターン自体にもフィルタ処理が施される結果、色柄がぼやけてしまい、大きく崩れることがあった。そこで、より地図のリアリティを向上させるためには、メッシュ単位で設定された色柄は活かしつつ、隣接するメッシュの境界が目立たないようなフィルタ処理を施すことが望まれる。かかる課題は、地図に限定されるものではなく、画像内に複数種類のテクスチャパターンを使い分けて適用する場合に共通の課題であった。
本発明は、かかる課題に鑑み、画像一般におけるフィルタ処理として、テクスチャパターンは活かしつつ、隣接するテクスチャパターンの境界が目立たなくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、画像データにフィルタ処理を施す画像処理装置であって、
所定サイズのメッシュに区切られた前記画像データを記憶する画像データ記憶部と、
前記メッシュに適用される複数種類のテクスチャデータを記憶するテクスチャデータ記憶部と、
前記テクスチャデータに前記メッシュ単位でフィルタ処理を施すフィルタ処理部とを備え、
前記フィルタ処理部は、
該フィルタ処理を施す対象メッシュに対し、該フィルタ処理に使用する周辺メッシュを設定する周辺メッシュ設定部と、
前記対象メッシュ内のいずれかの着目ピクセルの画素値と、該着目ピクセルの位置に応じて定まる前記各周辺メッシュ内の周辺ピクセルの画素値とを用いた所定の演算によって、前記処理対象ピクセルの画素値を決定する画素値演算部とを備える画像処理装置として構成することができる。
【0006】
所定サイズのメッシュに区切られた画像データとは、画像データとメッシュとが一義的に対応していることを意味する。例えば、一つの画像を、メッシュ単位の小さい画像に分割し、メッシュごとに画像ファイルとして構成してもよい。また、画像を分割せず、画像の領域上にメッシュを対応づけるようにしてもよい。
【0007】
周辺メッシュは種々の方法で設定可能であり、単純に対象メッシュに隣接する全メッシュを周辺メッシュとしてもよいし、その一部を周辺メッシュとしてもよい。また、対象メッシュに隣接するメッシュだけでなく、さらにその外側に隣接するメッシュを周辺メッシュとするなど、周辺メッシュとできるメッシュの範囲も任意に設定可能である。周辺メッシュの数も任意に設定可能である。
【0008】
本発明によれば、処理対象ピクセルの画素値を決定するために、着目ピクセルと周辺ピクセルという異なるメッシュのピクセルを用いてフィルタ処理の演算を行う。従って、一つのメッシュ内で隣接するピクセル間にフィルタ処理が施される訳ではないため、メッシュに適用されるテクスチャデータで表されるパターン(以下、「テクスチャパターン」ということもある)を大きく変化させることはない。従って、テクスチャパターンを活かしつつ、メッシュ間の境界を目立たせなくすることが可能となる。
【0009】
本発明において、処理対象ピクセルの画素値を決定するための演算において、引用する周辺ピクセルの位置は、着目ピクセルの対象メッシュ内での位置座標により、一定の規則性によって定まるものであれば足り、着目ピクセルの対象メッシュ内での位置座標と周辺ピクセルの周辺メッシュ内での位置座標とが必ずしも同一である必要はない。例えば、着目ピクセル内での2次元の位置座標x、yを入れ替えた座標値によって周辺ピクセルを設定してもよい。
周辺メッシュは、必ずしも、対象メッシュに隣接するメッシュに限られる必要はない。周辺メッシュを広く設定し、引用する周辺ピクセルの数を増やすこともできる。
フィルタ処理の演算においては、着目ピクセルの画素値と周辺ピクセルの画素値との平均値を求めるわけであるが、その際、演算において、着目ピクセルの画素値と周辺ピクセルの画素値に各々重み値を乗じてもよい。着目ピクセルの画素値に対する重み値を大きくし、周辺ピクセルの画素値に対する重み値を小さくすれば、演算の結果得られた画素値は、元の着目ピクセルの画素値と大きくかけ離れないこととなる。
【0010】
本発明の画像処理装置においては、
画素値演算部は、着目ピクセルとメッシュ内での相対位置が同一となる周辺ピクセルを引用するものとしてもよい。
こうすることにより、フィルタ処理において、周辺メッシュに付されたもとのテクスチャパターンも活かした処理とすることができる。
【0011】
本発明の画像処理装置においては、
画像データ記憶部またはテクスチャデータ記憶部は、前記メッシュに、いずれかの前記テクスチャデータを対応づけるメッシュ属性を記憶しており、
周辺メッシュ設定部は、対象メッシュのメッシュ属性によってフィルタ処理に使用する周辺メッシュを変化させるものとしてもよい。
ここで、メッシュ属性とは、各メッシュにいずれのテクスチャパターンを用いるかを対応づける情報、即ち、それぞれのメッシュの外観をどのようにすべきかを特定する情報である。周辺メッシュは、メッシュ属性ごとに個別に設定するようにしてもよいし、メッシュ属性をグループ化し、このグループごとに設定するようにしてもよい。
メッシュ属性によって、フィルタ処理に使用する周辺メッシュを変化させることにより、メッシュ属性に応じてフィルタ処理の影響が及ぶ範囲を変化させることができ、多様な表現を実現することが可能となる。
【0012】
本発明においては、
画像データ記憶部またはテクスチャデータ記憶部は、各メッシュに、いずれかのテクスチャデータを対応づけるメッシュ属性を記憶しており、
画素値演算部は、対象メッシュおよび周辺メッシュのメッシュ属性の少なくとも一方に応じて演算を変化させるものとしてもよい。
例えば、メッシュの属性によって各ピクセルの画素値に乗ずべき重み係数の値を変化させるようにしてもよいし、フィルタ処理に用いる演算式自体を変化させてもよい。これにより、メッシュの属性に応じて多様なフィルタ処理を施すことができる。
【0013】
本発明は、種々の画像データに適用可能であり、地図の表示におけるフィルタ処理に特化してもよい。即ち、
画像データ記憶部には地図の地表面を表す地表面データが、テクスチャデータ記憶部には地表面の種別に応じた外観のパターンを表すパターンデータが記憶され、さらに、画像処理装置によってフィルタ処理を施した後の各メッシュのパターンデータを、地図データの地表面用のテクスチャデータとして格納する地図データ格納部を備える地図データ生成システムとすることもできる。
地表面データは、一般に、所定サイズのメッシュに区切って、メッシュごとに高さを与える形で構成されているため、テクスチャを適用しやすい利点がある。また、所定サイズのメッシュに予め区切られているため、本発明のフィルタ処理を適用するのにも適している。
地表面に適用する場合には、テクスチャデータは、例えば、田畑、山林、河川などの外観を表すパターンを用意することができる。
地表面を対象として本発明のフィルタ処理を適用すれば、田畑などの外観を活かしつつ、テクスチャパターン間の境界を目立たなくすることができ、地図の見栄えを大きく向上させることが可能となる。また、上記態様によれば、予めフィルタ処理を施したテクスチャデータが地図データとして格納されるから、地図を表示する際には、フィルタ処理を省略することができ、表示時の処理負荷を軽減することができる。
【0014】
本発明は、同様に、地図の表示におけるフィルタ処理に特化したうえで、
画像データ記憶部には地図の地表面を表す地表面データが、テクスチャデータ記憶部には、地表面の種別に応じた外観のパターンを表すパターンデータが記憶され、画像処理装置は、地図を表示する際に、フィルタ処理を施し、さらに、画像処理装置によってフィルタ処理を施した後の各メッシュのパターンデータを、地図データの地表面用のテクスチャデータとして用いて地図を表示する地図表示部を備える地図データ表示システムとすることもできる。
即ち、地図を表示するときにフィルタ処理を施す態様である。こうすることにより、地図データとして格納しておくテクスチャデータの種類を抑制することができ、データ量を抑制することができる利点がある。
【0015】
本発明においては、上述した特徴を全て備えている必要はなく、その特徴の一部を適宜、省略したり組み合わせたりしてもよい。
本発明は、その他、コンピュータによってする生成方法として構成してもよいし、これをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして構成してもよい。また、かかるコンピュータプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体として構成してもよい。
本発明は、さらに、生成された地図データを用いて地図を描画する地図描画システム、地図描画方法、描画をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム、および該プログラムを記録した記録媒体などの態様で構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例における画像処理装置の構成を示す説明図である。
図2】メッシュとピクセル及びそれらとテクスチャデータとの対応関係を示す説明図である。
図3】地図表示処理のフローチャートである。
図4】フィルタ処理のフローチャートである。
図5図4に続くフィルタ処理のフローチャートである。
図6図5に続くフィルタ処理のフローチャートである。
図7図6に続くフィルタ処理のフローチャートである。
図8】フィルタ処理を施していない地図の出力例を示す説明図である。
図9】既存のフィルタ処理の方法であるガウス処理を施した地図の出力例を示す説明図である。
図10】本発明によるフィルタ処理を施した地図の出力例を示す説明図である。
図11図8中の四角形MB1を抜粋し拡大した出力例を示す説明図ある。
図12図9中の四角形MB2を抜粋し拡大した出力例を示す説明図ある。
図13図10中の四角形MB3を抜粋し拡大した出力例を示す説明図ある。
図14】第2実施例としての地図データ表示システムの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例について、地図の地表面についてメッシュ単位でフィルタ処理を施したうえで表示するための地図表示処理装置としての画像処理装置の例を説明する。この装置は、地表面について各メッシュの属性が記憶された地図データベースに対し、メッシュ単位でフィルタ処理を施し、地図を表示する装置である。
本実施例では、メッシュに付されたインデックスに応じて適用されるテクスチャ画像を地表面テクスチャパターンと呼ぶ。
この地図表示処理装置は、経路探索システム、その他の地図を表示する種々の地図出力システムに利用可能である。
【0018】
A.システム構成:
図1は、実施例における地図表示処理装置100の構成を示す説明図である。地図表示処理装置100は、CPU、RAM、ROMを備えるコンピュータに、図示する種々の機能ブロックを実現するためのコンピュータプログラムをインストールすることによって実現される。本実施例では、3次元地図データ生成システム100は、スタンドアロンで稼働する装置例を示したが、複数のサーバ等をネットワークで接続した分散システムによって実現してもよい。また、各機能ブロックは、ハードウェア的に構成することも可能である。
【0019】
地図データベース130は、フィルタ処理を施す前の原地図における地表面データ131と、それと関連する地表面テクスチャパターン132を格納したデータベースである。地表面データ131は、個別のメッシュを識別するためのメッシュID、地表面テクスチャパターンとの関連付けをするインデックス、標高データなどを格納する(図2)。
地図データベース130は、原地図に関するデータを格納しているのであって、フィルタ処理を施した後のデータは格納していない。地図データベース130は、原地図に関するデータとして、上記のほか建物や橋といった建造物、樹木といった自然物などの地物の3次元形状を表す地物データ133及び地名や道路名などの文字データ134も格納している。
地表面テクスチャパターン132には、田畑、山林、河川など地表面の種別に応じた外観のパターンを表す図柄が地表面テクスチャパターンとして格納されている。そして、それらの地表面テクスチャパターンがインデックスを与えられて管理されている。
【0020】
コマンド入力部110は、オペレータからのコマンドを入力する。コマンドとしては、地図の表示範囲の指定、フィルタ処理の実行の有無、実行の範囲の指定などに関するものが含まれる。
フィルタ処理部120は、メッシュ単位でのフィルタ処理を行う。フィルタ処理部120における周辺メッシュ設定部121は、フィルタ処理を施す対象となるメッシュ、即ち対象メッシュに対し、フィルタ処理に引用する周辺メッシュを設定する。画素値演算部122は、着目ピクセル及び周辺ピクセルの画素値を引用したうえで、一定の演算方法により、処理対象ピクセルの画素値を決定することでフィルタ処理を実行する。
【0021】
表示制御部140は、入力されたコマンドにより、フィルタ処理が施された地表面、地物、文字などをディスプレイに表示するための制御を行う。
地表面生成部141は、地図データベース130に格納されている地表面データ131に関してフィルタ処理部120によりフィルタ処理を施したあとの地表面データを生成する。
地物モデル配置部142は、地表面生成部141によって生成された地表面上に地物データ133に格納されている地物を配置する。
投影部143は、仮想3次元空間内に配置された地物データ133を、透視投影などの方法で投影して地図の表示画像を生成する。
文字表示部144は、文字データ134に格納されている文字を、地図に表示させる。
【0022】
図2は、メッシュとピクセル及びそれらとテクスチャデータとの対応関係を示す説明図である。
図の左側には地表面データ131によって表される地表面の状態を模式的に示した。地図データは、図中に実線で示すように所定サイズの矩形領域に分けて整備されている。地表面データ131は、地表面を、図中に破線で示すように、さらに細かな矩形領域に分け(これをメッシュと呼ぶ)、メッシュごとにその代表点の座標および標高データを記憶したデータである。メッシュの幅Lx、Lyは、任意に設定可能である。
図の中央に、地表面データ131のデータ構造を示した。地表面データ131では、メッシュごとに図示する情報が格納されている。メッシュIDは、メッシュの識別情報である。インデックスは、メッシュ属性であり、本実施例では、田畑、山林、河川などメッシュがどのような領域なのかを示す情報である。標高データは、メッシュの代表点の標高である。その他、代表点の座標値を含め、種々の情報を格納することができる。
図の右側には、地表面テクスチャパターン132の構造を示した。ここには、図示するように、地表面の様子を表現する種々のテクスチャTEX1、TEX2、TEX3等が格納されている。それぞれ所定サイズの画像データである。テクスチャTEX1〜TEX3のサイズは、メッシュと同じとしてもよいし、異なっていても良い。
各テクスチャTEX1〜TEX3には、それぞれ100、200、1100などのインデックスが付されている。こうすることにより、地表面データ131のインデックスに応じてテクスチャを使い分けることができる。例えば、地表面データ131において、あるメッシュにインデックス「100」が付されているときは、それに対応するテクスチャTEX1が適用され、インデックス「200」が付されているときは、それに対応するテクスチャTEX2が適用されるのである。
【0023】
メッシュ属性を表すインデックスは、任意に設定可能であるが、例えば、国土交通省が提供している都市地域土地利用細分メッシュデータに付されたコードを用いても良い。コードと種別との対応関係の一例を示せば次の通りである。
(コード、種別)=(100、田)、(200、その他の農用地)、(500、森林)、(600、荒地)、(701、高層建物)等
国土交通省が提供するデータを用いれば、全国の多様な土地に対して、容易にテクスチャの使い分けを実現することができる利点がある。
【0024】
B.地図表示処理:
図3は、地図表示処理装置100における地図表示処理のフローチャートである。
地図表示処理装置100は、まずオペレータの指示に従って画面に表示すべき地図の範囲の設定を行う(ステップS10)。
【0025】
地図表示処理装置100は、次に、設定された表示範囲の地表面に関するデータを地図データベース130における地表面データ131及び地表面テクスチャパターン132より読み込む(ステップS11)。
読み込まれた地表面データをもとにフィルタ処理部120によりフィルタ処理を実行する(ステップS12)。フィルタ処理とは、地表面テクスチャパターンが施されたメッシュ間の境界を目立たなくする処理である。処理内容の詳細は、後で説明する。
フィルタ処理を施した後、地図表示処理装置100は、仮想3次元空間内に、地表面データ131に基づいてフィルタ処理が施された地表面テクスチャパターンを適用した地表面を生成し、地物モデル配置部142により、地物データ133から読み込まれた地物を配置する(ステップS13)。
そして、地物を配置させた地図を、投影部143により投影処理を行ったあと(ステップS14)、文字表示部144により、文字データ134より読み込みを行った文字を表示させる(ステップS15)。投影処理は、本実施例では、オペレータによって指定された視点および視線方向からの透視投影を行う。透視投影に代えて、平行投影を行っても良い。
地図表示処理装置100は、以上の処理を、表示する範囲についてその都度実行する。
【0026】
C.フィルタ処理:
図4図7は、図3におけるフィルタ処理(ステップS12)に関してさらに詳細に図示したフローチャートである。
この処理を開始すると、まず、周辺メッシュ設定部121は地表面データ130の中から処理対象となる対象メッシュを選択する(図4、ステップS30)。対象メッシュは、オペレータが指示するようにしてもよいが、自動的に選択するようにしてもよい。図中には、自動的に選択する際の選択順序を例示した。図示するように、周辺メッシュ設定部121は、矢印a1の方向に順次、対象メッシュを選択し、端まで処理を終えると、次の行に移動し、さらに矢印a2、a3のように対象メッシュを選択することができる。選択の方法は、他にも任意に設定可能である。
【0027】
次に、周辺メッシュ設定部121は対象メッシュのインデックスに基づき周辺メッシュを設定する(図4、ステップS31)。このとき、周辺メッシュ設定部121は、対象メッシュのメッシュ属性によって、周辺メッシュの広狭や位置を設定することもできる。
図中に周辺メッシュを設定する例を模式的に示した。図の中央のハッチングを付したメッシュが対象メッシュであるとする。図の下側には、インデックスと範囲との対応関係を表すテーブルを示した。この例では、図示するようにインデックス100、200等に対しては範囲2、インデックス901、1100等に対しては範囲1というように設定されている。このテーブルは、周辺メッシュ設定部121内に組み込むようにしてもよいし、別途、データベースとして備えるようにしてもよい。
図の例では、範囲1は、対象メッシュに隣接する範囲を示している。即ち、範囲1が指定される場合には、対象メッシュに隣接する8つのメッシュを周辺メッシュとするのである。範囲2は、範囲1のさらに外側に隣接するメッシュが含まれる。即ち、範囲2が指定される場合には、対象メッシュの周囲に位置する24個のメッシュが周辺メッシュとされる。
このように、インデックスに応じて周辺メッシュの範囲を変更することにより、対象メッシュのフィルタ処理に影響を与えるメッシュの範囲を変更させることができる。例えば、河川と陸地のように比較的境界を明確に表現したい領域にはメッシュの範囲を狭くし、山林と田畑のように境界を目立たないようにした方が好ましい領域にはメッシュの範囲を広くするなどの態様をとることができ、柔軟な表現を実現することが可能となる。
【0028】
周辺メッシュは、必ずしも対象メッシュの周囲に均等に設定する必要はない。例えば、範囲3に示すように、対象メッシュを角に据えた状態で周辺メッシュの範囲を設定してもよい。また、範囲1、範囲2においても、これらの領域内にあるメッシュを全て周辺メッシュとする必要はなく、例えば、対象メッシュの上下左右の4方向のみを用いるなど、これらの範囲の一部のみを周辺メッシュとして利用するようにしてもよい。
【0029】
そして、周辺メッシュが決定すると、フィルタ処理部120は、対象メッシュ及び周辺メッシュの少なくとも一方の属性により各ピクセルの画素値に乗じる重み値を決定する(図5、ステップS32)。
図中に、各メッシュに付されたインデックスに基づき予め対応付けされた重み値を決定する方法を例示した。図の上側に示すように、インデックスに対して重み値を与えるテーブルを予め用意しておく。この例では、インデックス100、200、901、1100に対して、それぞれ重み値0.4、0.5、0.8、0.9が設定されている。これに基づいて各メッシュの重み値が決定される。
図の下側に示すように、例えば、周辺メッシュ1、2は、それぞれインデックス=100であるから、その重み値W1、W2は0.4と設定される。周辺メッシュ3は、インデックス=200であるから、その重み値W3は0.5と設定される。周辺メッシュ4、対象メッシュ、周辺メッシュ5は、それぞれインデックス=901であるから、重み値W4、WP、W5は0.8と設定される。このように、各メッシュのインデックス値に応じて重み値を決定するのである。
図5では、全メッシュについて各メッシュの属性に基づき重み値を決定しているが、周辺メッシュまたは対象メッシュのいずれか一方のみに重み値を設定するようにしてもよい。
対象メッシュ及び周辺メッシュの少なくとも一方の属性によって重み値を決定することにより、例えば、より色柄を強調したいテクスチャパターンにはあらかじめ大きな値の重み値を設定するなどして、より地図のリアリティを向上させることができる。
【0030】
上記態様では、対象メッシュ、周辺メッシュのそれぞれのインデックスに応じて重み値を決定する方法を示したが、これに代えて、対象メッシュのインデックスによって重み値を与えるようにしてもよい。例えば、対象メッシュのインデックスに応じて、その周囲に位置する周辺メッシュのそれぞれに対して、対象メッシュとの位置関係に基づいて重み値を与えるテーブルを用意しておく方法をとることができる。こうすることにより、周辺メッシュがどのような属性を有するかに関わらず、対象メッシュの属性によってフィルタの効果を調整することができる。
【0031】
次に、フィルタ処理部120は、対象メッシュ内から着目ピクセルを選択する(図6、ステップS33)。この実施例において、フィルタ処理を施す着目ピクセルを特に着目ピクセルPPと呼ぶこととする。着目ピクセルは、種々の方法で選択可能であるが、例えば、図中に示すように規則的な順序で設定するようにしてもよい。即ち、対象メッシュの左上から矢印b1の方向に順次、着目ピクセルPPを選択し、それが終了した後、矢印b2、b3に示すように順次、行をずらして選択するのである。
【0032】
着目ピクセルPPが選択されれば、その対象メッシュ内での位置座標に基づき、周辺メッシュ内の周辺ピクセルを特定する(図6、ステップS34)。この実施例において、着目ピクセルPPの位置座標に基づき特定される周辺ピクセルを周辺ピクセルAPnと呼ぶこととする。
図中に周辺ピクセルを選択する方法を例示した。本実施例においては、着目ピクセルPPの対象メッシュ内での位置座標(xr,yr)と周辺メッシュ内での周辺ピクセルAPnの位置座標(xr,yr)が同一となるように周辺ピクセルAPnを設定している。例えば、図示するように、着目ピクセルPPの対象メッシュ内での相対座標が、xr、yrで表されるとする。このとき、周辺メッシュ1においては、このメッシュ内での座標xr、yrにあるピクセルが周辺ピクセルAP1となる。その他の周辺メッシュについても、同様に、相対位置座用xr、yrにあるピクセルを周辺ピクセルAPnとするのである。
周辺ピクセルの設定は、必ずしも相対的な位置座標が同じものとする必要はなく、種々の方法で設定可能である。例えば、着目ピクセルPPの相対座標xr、yrを入れ替え、周辺メッシュ内で相対座標yr、xrにあるピクセルを周辺ピクセルと設定してもよい。周辺ピクセルAPnは、着目ピクセルPPの対象メッシュ内での位置座標により、一定の規則性のもと特定されるが、一つの周辺メッシュにつき一つの周辺ピクセルAPnが特定される。フィルタ処理を対象メッシュ内の全ピクセルにつき施すにあたり、対象メッシュ内において、着目ピクセルがm個選択される場合には、各着目ピクセルに応じて周辺ピクセルもm個特定されるが、同一の周辺ピクセルAPnが二度以上特定されることはない。周辺ピクセルAPnは、着目ピクセルPPの対象メッシュ内での位置座標により一定の規則性のもと特定されれば足り、必ずしもメッシュ内での相対位置が同一である必要はない。すなわち着目ピクセルPPの対象メッシュ内での位置座標と周辺ピクセルAPnの周辺メッシュ内での位置座標とが同一である必要はない。
【0033】
周辺ピクセルAPが特定されれば、画素値演算部122は、着目ピクセルPP及び周辺ピクセルAPnの各画素値を読み込む(図7、ステップS35)。この実施例においては、着目ピクセルPPの画素値をVPP、周辺ピクセルAPnの画素値をVAPnと呼ぶこととする。
そして、画素値演算部122は、各ピクセルの画素値と、ステップS32で予め決定された重み係数を用いて、着目ピクセルPP(処理対象ピクセル)の画素値VPPnを算出する(図7、ステップS36)。演算は、種々の方法で行うことができるが、本実施例では、各画素値の重み平均、即ち、着目ピクセルPPの画素値VPPに固有の重み係数WPを乗じたもの、及び、各周辺ピクセルAPnの画素値VAPnに固有の重み係数Wnを乗じたものの総和を求め、これを着目ピクセルPPの固有の重み係数WPと各周辺ピクセルAPnの固有の重み係数Wnの総和で除する方法による。すなわち、画素値に重み係数を乗じて平均を求めるのである。
ここで、着目ピクセルPPの画素値VPPを処理対象ピクセルの画素値VPPnに大きく反映させ、もとの画素値VPPから大きく乖離しないように、着目ピクセルPPの重み係数WPに一定の係数をさらに乗ずることも考えられる。実施例では、着目ピクセルPPの重み係数WPに対してさらに「2」を乗じている。このとき、除する側のWPに対しても同じ「2」を乗ずることとなる。
【0034】
画素値演算部122は、ステップS36で得られた処理対象ピクセルの画素値VPPnをデータとして記憶させる(図7、ステップS37)。記憶させる場所は、フィルタ処理部120あるいは表示制御部140のいずれでもよい。
画素値演算部122は、ステップS30〜ステップS37の処理過程を対象メッシュ内の全ピクセルにつき繰り返し実施する(図7、ステップS38)。これにより、対象メッシュ内の全ピクセルにつきフィルタ処理が施されたこととなる。
【0035】
特定の対象メッシュ内の全ピクセルにつきフィルタ処理が終了すれば、次に、あらかじめフィルタ処理を施す範囲を設定した範囲における全メッシュについて、ステップ30〜ステップ38の処理過程を繰り返し実施する(図7、ステップS39)。これにより、フィルタ処理を施すべき範囲の全ピクセルにつきフィルタ処理が施されたこととなる。
【0036】
以上のステップS30〜ステップS39の処理過程により、フィルタ処理部120あるいは表示制御部140に記憶された処理対象ピクセルの画素値VPPnを用いて、画像を表示する。
【0037】
D.出力例:
図8は、フィルタ処理が施されていない地図の出力例である。いわば地図データベース130に記憶された原地図の地表面データをそのまま画像として表示させたものである。地表面の山林部分、都市の平野部分などが、領域に応じて地表面テクスチャパターンを使い分けて描かれている。また、領域MA1では、これらの領域の境界が比較的シャープに描かれている印象を与えることが分かる。
図9は、既存の方法としてのフィルタ処理であるガウス処理を施した地図の出力例である。領域MA2は、図8の領域MA1よりも滑らかさが加わっていることがわかる。これがフィルタ処理の効果である。
図10は、メッシュ単位でのフィルタ処理を施した地図の出力例であり、実施例を実施した結果である。図10内の領域MA3は、図8の領域MA1よりも滑らかさが加わっていることがわかる。一方、図9の領域MA2と比較すると、各領域が明瞭に描かれている印象を与えることが分かる。
本実施例におけるフィルタ処理の効果は、領域を拡大してみると、さらに顕著である。
【0038】
図11図13は、それぞれ図8図10の領域MB1〜MB3の拡大図である。
【0039】
フィルタ処理を全く施していない地図を拡大したもの(図11)は、メッシュ同士の境界線が明瞭に視認でき、地図のリアリティの面で不自然であることが分かる。ただし、メッシュの色柄がそのまま表示されているため、図11中のV1で示す楕円形で囲われた部分のようにテクスチャパターンの色柄は残存している。
既存の方法としてのフィルタ処理であるガウス処理を施した地図を拡大したもの(図12)は、フィルタ処理を全く施していない地図を拡大したもの(図11)と異なり、メッシュ同士の境界がフィルタ処理により、ぼやけた状態となっている。しかし、ガウス処理では、図12中の領域V3で示す楕円形で囲われた部分を観察するとわかるように、メッシュのもともとのパターンまでも消失してしまっている。よって、この点で、ガウス処理を施した地図は、リアリティが低下してしまっている。
メッシュ単位でのフィルタ処理を施した地図を拡大したもの(図13)は、メッシュ同士の境界は、フィルタ処理によって滑らかになっていることが分かる。また、図13中のV2で示す楕円形で囲われた部分のようにテクスチャパターンの色柄も残存している。
【0040】
これらを比較して明らかなように、メッシュ単位でのフィルタ処理を施すことにより、従来同時に実現することができなかった、メッシュ同士の境界線を滑らかにすることとメッシュの色柄を残存させることを、同時に実現することができるようになり、地図としてのリアリティが向上する。
【実施例2】
【0041】
図14は、第2実施例としての地図表示システムの構成を示す説明図である。このシステムは、実施例1で示したフィルタ処理を予め施した上で地表面データのテクスチャパターンを生成し、これを用いて地図を表示するためのシステムである。地図表示システムは、地図データ生成装置300、サーバ400、および携帯端末500をネットワークNE1、NE2で接続して構成される。携帯端末500としては、スマートフォン、携帯電話など、携帯可能な種々の機器を用いることができる。また携帯端末500に代えて、カーナビゲーション装置やパーソナルコンピュータなど、地図を表示可能な種々の機器を用いても良い。
【0042】
地図データ生成装置300は、予めフィルタ処理を施しコンピュータに図示する各機能を実現するソフトウェアをインストールすることによって構成されている。地図データ生成装置300は、原地図データベース330に格納されている各データを引用してフィルタ処理を行い、地図データを生成する。
コマンド入力部310はオペレータからのコマンドを入力する。コマンドを受けて、地表面テクスチャ処理部340が、地表面データの生成を制御する。まず、地表面テクスチャ処理部340は、コマンドに従い、原地図データベース330より、フィルタ処理を施す範囲について原地図の地表面データ331及び地表面テクスチャパターン332を引用し、フィルタ処理部320に転送する。
【0043】
フィルタ処理部320は、地表面データ331及び地表面テクスチャパターン332を利用して、実施例1で説明したのと同様のメッシュ単位でのフィルタ処理を施し、地表面テクスチャ処理部340へ転送する。地表面テクスチャ処理部340は、フィルタ処理が施されたデータに基づき、地表面データを生成し、さらに原地図データベース330より、地物データ333及び文字データ334を引用し、地図データを生成する。
【0044】
地表面テクスチャ処理部340は、生成された地図データを地図データ生成装置300の送受信部350へ転送する。地図データ生成装置300の送受信部350は、地図データをサーバ400の送受信部410へ送信する。サーバ400の送受信部410は受信した地図データをデータ管理部420へ転送し、データ管理部420は、フィルタ処理が施された地図データを、地図データベース430の地表面テクスチャパターン432に格納する。地図データベース430は、その他実施例1と同様、地表面データ431、地物データ433及び文字データ434を格納してする。
【0045】
地図を表示させる場合には、サーバ400のデータ管理部420が地図データベース430より格納された地図データを引用し、サーバ400の送受信部410へ転送し、サーバ400の送受信部410は、携帯端末500の送受信部510へ地図データを送信する。携帯端末500の送受信部510は受信した地図データを地図表示部520に転送し、地図を表示させる。地図データベース430には、既に地図データ生成装置300によってフィルタ処理を施された地表面テクスチャパターン432が記憶されているため、携帯端末500はフィルタ処理等を施すまでなく、実施例1と同様の地図表示を実現することができる。
【0046】
以上で説明した実施例の地図データ生成システムによれば、メッシュそのものの図柄のパターンを活かしつつ、なおかつ、メッシュの境界を目立たせなくすることにより、より違和感のない地図の表示を実現することができる。
本発明は、実施例で説明した種々の特徴を全て備えている必要はなく、適宜、一部を省略したり組み合わせたりして構成することも可能である。また、本発明は、データ生成システムとしての構成の他、こうして生成された地図データを用いて地図を出力する地図出力システムとして構成してもよい。この場合は、予め生成された地図データを格納しておき、地図の出力を行うものとしてもよいし、地図の出力時に地図データを生成するようにしてもよい。
実施例では、地図の表示を行う例を示したが、本発明は、地図に限らず、複数のテクスチャを用いる種々の画像に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、地図の表示の他、画像にフィルタ処理を施すのに利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
100…地図表示処理装置
110、310…コマンド入力部
120、320…フィルタ処理部
121…周辺メッシュ設定部
122…画素値演算部
130、430…地図データベース
131、331、431…地表面データ
132、332、432…地表面テクスチャパターン
133、333、433…地物データ
134、334、434…文字データ
140…表示制御部
141…地表面生成部
142…地物モデル配置部
143…投影部
144…文字表示部
300…地図データ生成装置
310…コマンド入力部 330…原地図データベース
340…地表面テクスチャ処理部
350、410、510…送受信部
400…サーバ
420…データ管理部
520…地図表示部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14