(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148227
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】アクティブ検出マトリックス用の制御回路のラインをアドレス指定する装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/374 20110101AFI20170607BHJP
H04N 5/32 20060101ALI20170607BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20170607BHJP
H04N 5/376 20110101ALI20170607BHJP
【FI】
H04N5/335 740
H04N5/32
H04N5/335 690
H04N5/335 760
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-509720(P2014-509720)
(86)(22)【出願日】2012年5月9日
(65)【公表番号】特表2014-518039(P2014-518039A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】EP2012058555
(87)【国際公開番号】WO2012152836
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】1154029
(32)【優先日】2011年5月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】598162056
【氏名又は名称】トリクセル エス.アー.エス.
【氏名又は名称原語表記】TRIXELL S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ブランション、ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ラシーヌ、ブノア
【審査官】
松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−243731(JP,A)
【文献】
特開平08−256292(JP,A)
【文献】
特開2002−055660(JP,A)
【文献】
特開2002−334987(JP,A)
【文献】
特開2006−127751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/374
H04N 5/32
H04N 5/369
H04N 5/376
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電離放射線による撮像のために検出マトリックスの行をアドレス指定する装置であって、前記検出マトリックスは、複数Nのピクセルの行nを有すると共に基板上に製造され、前記アドレス指定装置も、前記基板上において、単一のN又はPタイプの薄膜トランジスタTFTから主に製造され、且つ、マトリックスの対応する行における出力においてスイッチング装置に印加される信号のHigh及びLowレベルをスイッチングするためのスイッチング信号(Sn)をその個々の出力において供給するのに適した複数のステージnを有する行アドレス指定装置であって、
前記マトリックスのそれぞれの行nがステージnと関連付けられていること、且つ、それぞれのステージが入力ステージ(50)及び出力ステージ(51)を有し、前記入力ステージ(50)は、前記出力ステージ(51)用の起動信号(SAn)を供給し、前記出力ステージ(51)は、起動の際に、前記対応する行n用の前記スイッチング信号(Sn)を供給することとを特徴とする行アドレス指定装置。
【請求項2】
行nのそれぞれの入力ステージ(50)は、前記起動出力(SAn)においてクロック信号のパルスを送信する、前記入力ステージの出力トランジスタ(T30)である、前記起動信号(SAn)を回復する出力を有し、そのゲートは、前記入力ステージ(50)の内部ノードに接続され、そのソースは、前記起動出力行(SAn)にリンクされ、且つ、そのドレインは、第1クロック(Ck)の信号を受け取り、前記入力ステージ(T10)の第1制御トランジスタは、前記入力ステージの前記出力トランジスタ(T30)のゲートを事前充電するのに適しており、そのソースは、前記入力ステージの前記出力トランジスタ(T30)のゲートに接続され、そのゲート及びそのドレインは、先行する行n−1のステージの起動出力(SAn−1)にリンクされ、前記入力ステージの第2制御トランジスタ(T20)は、前記入力ステージの前記出力トランジスタ(T30)のゲートを放電するのに適しており、そのドレインは、前記入力ステージの前記出力トランジスタ(T30)のゲートに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の行アドレス指定装置。
【請求項3】
行nのそれぞれの出力ステージ(51)は、前記出力(Sn)においてクロック信号のパルスを送信する、前記出力ステージの出力トランジスタ(T31)である、前記行nの前記スイッチング信号(Sn)を回復する出力を有し、そのゲートは、前記出力ステージ(51)の内部ノードに接続され、前記ソースは、前記出力ステージの前記出力(Sn)にリンクされ、且つ、前記ドレインは、第3クロック(Ck2)の信号を受け取り、前記出力ステージの第1制御トランジスタ(T11)は、前記出力ステージの出力トランジスタ(T31)のゲートを事前充電するのに適しており、そのソースは、前記出力ステージの前記出力トランジスタ(T31)のゲートに接続され、そのゲート及びそのドレインは、前記入力ステージ(50)の前記起動出力(SAn)にリンクされ、前記出力ステージの第2制御トランジスタ(T21)は、前記出力ステージの前記出力トランジスタ(T31)のゲートを放電するのに適しており、そのドレインは、前記出力ステージの前記出力トランジスタ(T31)のゲートに接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の行アドレス指定装置。
【請求項4】
前記入力ステージの補償コンデンサ(C10)は、第2クロック(Ck1)の信号の間に、前記第1クロック(Ck)の信号に対して位相対立関係を有するように、構成されていることを特徴とする請求項3に記載の行アドレス指定装置。
【請求項5】
前記入力ステージのステップアップコンデンサ(C20)は、前記入力ステージの前記出力トランジスタ(T30)のゲートとソースの間において接続されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の行アドレス指定装置。
【請求項6】
前記入力ステージの放電トランジスタ(T40)は、前記入力ステージ(50)の出力において前記起動出力(SAn)に接続され、そのゲートは、前記入力ステージの前記第2制御トランジスタ(T20)のゲートと、前記次のステージn+1の前記起動出力信号(SAn+1)と、にリンクされていることを特徴とする請求項3乃至5の何れか一項に記載の行アドレス指定装置。
【請求項7】
前記出力ステージの補償コンデンサ(C11)は、第4クロック(Ck3)の信号の間に、前記第3クロック(Ck2)の信号に対して位相対立関係を有するように、構成されていることを特徴とする請求項3乃至6の何れか一項に記載の行アドレス指定装置。
【請求項8】
前記出力ステージのステップアップコンデンサ(C21)は、前記出力ステージの前記出力トランジスタ(T30)のゲートとソースの間において接続されていることを特徴とする請求項3乃至7の何れか一項に記載の行アドレス指定装置。
【請求項9】
前記出力ステージの放電トランジスタ(T41)は、前記出力ステージ(51)の前記出力(Sn)に接続され、そのゲートは、前記出力ステージの前記第2制御トランジスタ(T21)のゲートと、前記次のステージn+1の前記起動出力信号(SAn+1)と、にリンクされていることを特徴とする請求項3乃至8の何れか一項に記載の行アドレス指定装置。
【請求項10】
行nのそれぞれの入力及び出力ステージ(50、51)は、前記トランジスタのすべてをその遮断された状態に設定するように構成されたリセットスイッチを有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の行アドレス指定装置。
【請求項11】
前記リセットスイッチは、リセットトランジスタ(TR)によって形成され、前記入力ステージ(50)のリセットトランジスタ(TR)は、リセット信号のパルスによって制御されるゲートを有し、そのソースは、前記入力ステージの前記第2制御トランジスタ(T20)のソースに接続され、且つ、そのドレインは、前記入力ステージの前記第2制御トランジスタ(T20)のドレインに接続されている請求項10に記載の行アドレス指定装置。
【請求項12】
前記リセットスイッチは、リセットトランジスタ(TR)によって形成され、前記出力ステージ(51)のリセットトランジスタ(TR)は、リセット信号のパルスによって制御されるゲートを有し、そのソースは、前記出力ステージの前記第2制御トランジスタ(T21)のソースに接続され、且つ、そのドレインは、前記出力ステージの前記第2制御トランジスタ(T21)のドレインに接続されている請求項10又は11に記載の行アドレス指定装置。
【請求項13】
行nのそれぞれの出力ステージ(51)は、前記スイッチング信号(Sn)にLowレベルを課すように構成された行リセットスイッチを有することを特徴とする請求項3乃至12の何れか一項に記載の行アドレス指定装置。
【請求項14】
前記行リセットスイッチは、そのゲートを介して行リセット信号によって制御される行リセットトランジスタ(TL)によって形成され、そのドレインは、前記出力ステージの前記出力トランジスタ(T31)のソースに接続され、そのソースは、前記入力ステージの前記第2制御トランジスタ(T20)の、前記入力ステージの前記放電トランジスタ(T40)の、前記出力ステージの前記第2制御トランジスタ(T21)の、且つ、前記出力ステージの前記放電トランジスタ(T41)の、ソースに接続されている請求項13に記載の行アドレス指定装置。
【請求項15】
行nのそれぞれの出力ステージ(51)は、前記検出マトリックスにHigh又はLowレベルを課すように構成されたマトリックスリセットスイッチを有することを特徴とする請求項3乃至14の何れか一項に記載の行アドレス指定装置。
【請求項16】
前記マトリックスリセットスイッチは、そのゲート及びそのドレインを介してマトリックスリセット信号によって制御されるマトリックスリセットトランジスタ(TLON)によって形成され、そのソースは、前記出力ステージの出力トランジスタ(T31)のソースに接続されている請求項15に記載の行アドレス指定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ検出マトリックスの行の制御に適した制御回路の行アドレス指定装置に関する。例えば、本発明は、特に、例えば、TFT(薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor))タイプのプレートなどのX線を使用した電離放射線撮像装置における検出目的に使用されるアクティブマトリックスに適用される。
【背景技術】
【0002】
例えば、検出器組立体上における入射放射線を表す画像を取得できるようにするTFTタイプのプレートなどのアクティブ検出マトリックスは、行と列の形態において構成された複数の電気光学セルを有する。電離放射線撮像用途において、検出器組立体は、このような検出マトリックスを有することが可能であり、これにより、検出器組立体上における入射放射線を表す画像を取得することが可能になる。この構成のそれぞれのセルは、スイッチング装置によって制御することが可能であり、且つ、例えば、セルを支持する2つの電極を介して印加される電界の印加により、制御することができる。一般に、スイッチング装置、電極、及びセルから構成された組立体を「ピクセル」と表記している。スイッチング装置は、例えば、スイッチングトランジスタによって形成することができる。例えば、マトリックスのそれぞれの行をピクセルの行のスイッチングトランジスタのゲートに接続することができる。この結果、それぞれのフレームごとに、順番に、次々に、マトリックスの行の走査の方向において、フレームの持続時間の一部分に対応した行選択時間において、行を選択し、これにより、例えば、電極上の電圧などの適切な信号を行のピクセルに印加することができる。従って、行の選択は、対応する行選択時間における、ピクセルの対応する行のスイッチング装置の導通状態を制御するHighレベル信号の印加に対応している。行選択時間外においては、スイッチング装置は、適切なLowレベル信号の印加により、遮断された状態に維持される。例えば、スイッチング装置がトランジスタであり、且つ、印加される信号が電圧である際には、Highレベルに対応した、且つ、従って、スイッチングトランジスタの導通状態に対応した電圧を表記するためにVGonを使用し、且つ、Lowレベル及びスイッチングトランジスタの遮断された状態に対応した電圧を表記するためにVGoffを使用することが通常のやり方である。
【0003】
それ自体が従来技術において知られている方式により、行は、1つ又は複数のシフトレジスタを直列に有する制御回路によって制御することが可能であり、シフトレジスタのそれぞれは、複数のカスケード接続されたステージを有し、それぞれのステージは、例えば、垂直走査において、行の選択シーケンスに従ってマトリックスの対応する行における出力においてスイッチング装置に印加される信号のHigh及びLowレベルをスイッチングするのに適している。制御回路は、集積回路の形態において実装することが可能であり、1つの且つ同一の集積回路が、例えば、マトリックスの複数の行用の複数の制御回路を有することができる。集積回路は、例えば、マトリックスの外部に位置することが可能であり、且つ、例えば、曲がり易いリボンケーブルによるなどのように、有線手段により、マトリックスに対して接続することができる。集積回路は、例えば、曲がり易いリボンケーブル上において直接的に取り付けることが可能であり、曲がり易いリボンケーブルは、これらの集積回路を、マトリックスにのみならず、制御及び電源回路にも、接続する。但し、このようなシステムは、複雑な製造方法が必要とされるという欠点を有しており、且つ、製造方法のすべてのステップにリンクされた多数の潜在的な欠陥に起因し、多数の修復作業のみならず、組立の際に多数のチェックを必要としている。曲がり易いリボンケーブル上に配置された集積制御回路を有する既存のシステムの一例については、後程、
図1を参照して詳述する。
【0004】
既知のアドレス指定システムに伴う更なる欠点は、行を次々にアドレス指定する必要があるが、行をアドレス指定しないことが許されていないという点にあり、即ち、行は、次々にアドレス指定され、且つ、2つの連続した行のアドレス指定の間に休止が存在しておらず、この点は、潜在的に、マトリックスが検出目的のために使用される際に、特に不都合であり、検出目的の場合には、プレートのピクセルに由来する電荷の蓄積時間を許容する必要がある。更には、これらのシステムは、固定されたアドレス指定メカニズムに従ってすべてのマトリックスがアドレス指定されることを必要としており、現状では、例えば、プレートを検出目的のために使用する一般的な使用法においては、特に、操作者又は医師が、しばしば、撮像されたシーンの特定の部分を所謂「ズーム」操作によって改善された精度で観察しようとするX線撮像用途の環境においては、プレートのすべてをアドレス指定することは、実際に、無意味であり、場合によっては、不都合ですらあろう。
【0005】
米国特許第5,536,932号明細書は、2次元画像検出マトリックス用のポリシリコンマルチプレクサについて記述している。
【0006】
英国特許出願公開第2,317,742号明細書は、撮像装置について記述している。
【0007】
米国特許出願公開第2002/172327号明細書は、走査X線生成器用の放射線画像検出システムについて記述している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、小型で丈夫な構造を有し、基本的に単一のN又はPタイプのTFTトランジスタを有するTFTプレートなどの電離放射線撮像用のアクティブ検出マトリックス用の制御回路を提案することにより、少なくとも上述の欠点を軽減することにある。
【0009】
本発明の特定の特徴によれば、2つのステージにおいてマトリックスの行をアドレス指定することにより、2つの連続した行のアドレス指定の間に時間ウィンドウを提供することができる。
【0010】
本発明の利点の1つは、後述する本発明の実施形態のうちの1つによるアドレス指定装置が、特定の行をアドレス指定しないという可能性を提供することにより、システムの全体速度及び効率性を増大させるという点にある。
【0011】
本発明の別の利点は、本発明の実施形態のうちの1つによる行アドレス指定装置が、行の有利なリセットを伴って処理を進める可能性を提供しているという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明の主題は、電離放射線による撮像のために検出マトリックスの行をアドレス指定する装置であって、検出マトリックスは、複数Nのピクセルの行nを有すると共に基板上に製造され、アドレス指定装置も、前記基板上において、主に単一のN又はPタイプの薄膜トランジスタから製造されており、アドレス指定装置は、検出マトリックスの対応する行においてスイッチング装置に印加される信号のHigh及びLowレベルの間におけるスイッチングのためのスイッチング信号をその個々の出力において供給するのに適した複数のステージを有し、且つ、マトリックスの対応する行における出力においてスイッチング装置に印加される信号のHigh及びLowレベルの間におけるスイッチング用のスイッチング信号をその個々の出力において供給するのに適した複数のステージを有することを特徴とし、且つ、それぞれのステージが入力ステージ及び出力ステージを有し、入力ステージは、出力ステージ用の起動信号を供給し、且つ、出力ステージは、起動の際に、対応する行n用の前記スイッチング信号を供給することを特徴としている。
【0013】
本発明の一実施形態においては、行nのそれぞれの入力ステージは、起動出力においてクロック信号のパルスを送信する、入力ステージの出力トランジスタである、起動信号を回復する出力を有し、そのゲートは、入力ステージの内部ノードに接続され、そのソースは、起動出力行にリンクされ、且つ、そのドレインは、第1クロックの信号を受け取り、入力ステージの第1制御トランジスタは、入力ステージの出力トランジスタのゲートを事前充電するのに適しており、そのソースは、入力ステージの出力トランジスタのゲートに接続され、そのゲート及びそのドレインは、先行する行のステージの起動出力にリンクされ、入力ステージの第2制御トランジスタは、入力ステージの出力トランジスタのゲートを放電するのに適しており、そのドレインは、入力ステージの出力トランジスタのゲートに接続されている。
【0014】
本発明の一実施形態においては、行nのそれぞれの出力ステージは、出力においてクロック信号のパルスを送信する、出力ステージの出力トランジスタである、行nのスイッチング信号を回復する出力を有することが可能であり、そのゲートは、出力ステージの内部ノードに接続され、ソースは、出力ステージの出力にリンクされ、且つ、ドレインは、第3クロックの信号を受け取り、出力ステージの第1制御トランジスタは、出力ステージの出力トランジスタのゲートを事前充電するのに適しており、そのソースは、出力ステージの出力トランジスタのゲートに接続され、そのゲート及びそのドレインは、入力ステージの起動出力にリンクされ、出力ステージの第2制御トランジスタは、出力ステージの出力トランジスタのゲートを放電するのに適しており、そのドレインは、出力ステージの出力トランジスタのゲートに接続されている。
【0015】
本発明の一実施形態においては、入力ステージの補償コンデンサは、第2クロックの信号の間に、前記第1クロックの信号に対して位相対立関係を有するように、構成することができる。
【0016】
本発明の一実施形態においては、入力ステージのステップアップコンデンサは、入力ステージの出力トランジスタのゲートとソースの間において接続することができる。
【0017】
本発明の一実施形態においては、入力ステージの放電トランジスタは、入力ステージの出力における起動出力に接続することが可能であり、そのゲートは、入力ステージの第2制御トランジスタのゲートに、且つ、次のステージn+1の起動出力信号に、リンクされている。
【0018】
本発明の一実施形態においては、出力ステージの補償コンデンサは、第4クロックの信号の間に、前記第3クロックの信号に対して位相対立関係を有するように、構成することができる。
【0019】
本発明の一実施形態においては、出力ステージのステップアップコンデンサは、出力ステージの出力トランジスタのゲートとソースの間において接続することができる。
【0020】
本発明の一実施形態においては、出力ステージの放電トランジスタは、出力ステージの出力に接続することが可能であり、そのゲートは、出力ステージの第2制御トランジスタのゲートに、且つ、次のステージの起動出力信号に、リンクされている。
【0021】
本発明の一実施形態においては、行nのそれぞれの入力及び出力ステージは、すべてのトランジスタをその遮断された状態に設定するように構成されたリセットスイッチを有することができる。
【0022】
本発明の一実施形態においては、リセットスイッチは、リセットトランジスタによって形成することが可能であり、入力ステージのリセットトランジスタは、リセット信号のパルスによって制御されるゲートを有し、そのソースは、入力ステージの第2制御トランジスタのソースに接続され、且つ、そのドレインは、入力ステージの第2制御トランジスタのドレインに接続されている。
【0023】
本発明の一実施形態においては、リセットスイッチは、リセットトランジスタによって形成され、出力ステージのリセットトランジスタは、リセット信号のパルスによって制御されるゲートを有し、そのソースは、出力ステージの第2制御トランジスタのソースに接続され、且つ、そのドレインは、出力ステージの第2制御トランジスタのドレインに接続されている。
【0024】
本発明の一実施形態においては、行nのそれぞれの出力ステージは、Lowレベルをスイッチング信号に課すように構成された行リセットスイッチを有することができる。
【0025】
本発明の一実施形態においては、行リセットスイッチは、そのゲートを介して行リセット信号によって制御される行リセットトランジスタによって形成することが可能であり、そのドレインは、出力ステージの出力トランジスタのソースに接続され、そのソースは、入力ステージの第2制御トランジスタの、入力ステージの放電トランジスタの、出力ステージの第2制御トランジスタの、且つ、出力ステージの放電トランジスタの、ソースに接続されている。
【0026】
本発明の一実施形態においては、行nのそれぞれの出力ステージは、High又はLowレベルを検出マトリックスに課すように構成されたマトリックスリセットスイッチを有することができる。
【0027】
本発明の一実施形態において、マトリックスリセットスイッチは、そのゲート及びそのドレインを介してマトリックスリセット信号によって制御されるマトリックスリセットトランジスタによって形成することが可能であり、そのソースは、出力ステージの出力トランジスタのソースに接続されている。
【0028】
本発明の別の主題は、複数nの行として構成されたピクセルのマトリックスを有する集積回路であり、これらの行は、本明細書に記述されている実施形態のいずれかによる行アドレス指定装置の複数nの出力ステージによってアドレス指定され、この行アドレス指定装置も、集積回路内に製造されている。
【0029】
本発明のその他の特徴及び利点については、添付の図面を参照して、且つ、一例として、付与されている説明を参照することにより、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】既知の一実施形態によるアクティブディスプレイマトリックス及び関連する制御回路を有する既存のシステムの全体構造を示す図である。
【
図2】既知の実施形態によるアクティブディスプレイマトリックス及び関連する制御回路を有する既存の集積構造のシステムの全体構造を示す図である。
【
図3】既知の実施形態によるディスプレイマトリックスの行アドレス指定装置のステージを形成するレジスタの構造を示す電気回路図である。
【
図4】
図3によって示されている行アドレス指定装置の動作を示すタイミング図である。
【
図5】本発明の一実施形態による行アドレス指定装置のステージの構造を示す電気回路図である。
【
図6】本発明の一実施形態による行アドレス指定装置の動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、それ自体が既知である一実施形態によるアクティブディスプレイマトリックス及び関連する制御回路を有する既存のシステムの全体構造を示す図を示している。
【0032】
それ自体が既知である技法によれば、マトリックス10は、マトリックス10の列を制御する複数の列制御回路又は電荷蓄積回路又は列アドレッサ11に、且つ、複数の行アドレッサ12に、リンクすることができる。アドレッサ11、12は、一方において、曲がり易いリボンケーブル14を介して1つ又は複数の電子基板13にリンクすることが可能であり、且つ、他方において、こちらも曲がり易いリボンケーブル14を介してマトリックス10にリンクすることができる。1つの且つ同一の列アドレッサ11は、マトリックス10の1つの又は複数の列を制御することが可能であり、同様に、1つの且つ同一の行制御回路12も、1つの又は複数の行を制御することができる。既知の一実施形態においては、アドレッサ11、12は、例えば、電子基板13に且つマトリックス10にこれらのアドレッサを両方の側においてそれぞれリンクしている単一の曲がり易いリボンケーブル上において直接的に取り付けることができる。
【0033】
図2は、既知の一実施形態によるアクティブディスプレイマトリックス及び関連する制御回路を有する既存の集積構造のシステムの全体構造を示す図を示している。
【0034】
ディスプレイマトリックス20は、例えば、それ自体の構造内に統合された行アドレッサ22を収容することができる。
図2に示されている例においては、列アドレッサ21は、マトリックス20の外部の集積回路であってもよく、且つ、
図1を参照して前述した例示用の実施形態に類似した方式により、曲がり易いリボンケーブル24により、マトリックスに対して接続することができる。又、列アドレッサ21は、マトリックス20の構造内において統合することもできる。又、曲がり易いリボンケーブル25は、行アドレッサ22を電子基板23にリンクすることもできる。集積効果を増進するために、例示用の一実施形態においては、行アドレッサ22は、マトリックス20の両方の側に配置することができる。
【0035】
本発明は、例えば、アモルファスシリコン(a−Si)、TFT、多結晶質シリコン、有機半導体、アモルファスガリウムインジウム亜鉛酸化物(Ga
2O
3−In
2O
3−ZnO)タイプからなる基板上における層の堆積による半導体電子装置の製造を可能にする技術に従って製造された集積構造の利用を提案し、これらの半導体装置は、基本的に、単一のタイプの、即ち、Pタイプ又はNタイプの、TFTトランジスタであり、例えば、集積構造は、例えば、X線撮像装置などの撮像装置において使用される、検出マトリックスの行をアドレス指定する装置を形成している。このような実装形態は、小型化及び製造費用の観点において利益を提供する。又、このような実装形態によれば、実際に、行が切断されるか又は部分的に切断されている場合に、効率性の観点における利益が実現され、いずれにしても、両方の側に行アドレッサを有するという事実により、行のすべてをアドレス指定することが可能になる。
【0036】
本発明によって得られる別の利点は、本発明によれば、特定の行をアドレス指定することが可能になり、この目的のためには、多数のコマンドが不要であるという事実にあり、既知の行アドレス指定装置は、特定の行のアドレス指定を実現してはおらず、又は、さもなければ、使用される行の数に依存したいくつかのコマンドを必要としている。
【0037】
図3は、既知の一実施形態によるディスプレイマトリックスの行アドレス指定装置のステージを形成するレジスタの構造を示す電気回路図を示している。このような構造は、例えば、上述の仏国特許出願第2,743,662号明細書に記述されている。
【0038】
行アドレス指定装置のステージnを形成するシフトレジスタは、出力信号Snを回復する出力ラインを有することが可能であり、例えば、マトリックスがN個の行を有する場合には、それぞれの行nは、ステージnと関連付けられており、N個のステージ1〜Nは、その個々の出力S1〜SNを介して、それぞれの新しいフレームごとにクロックパルスを送信する行走査トリガ信号INによって形成される入力パルスを伝播させる。この結果、行1〜Nを次々に選択することができる。アドレス指定装置のステージnは、出力Snにおいてクロック信号のパルスを送信する出力トランジスタT3を有することができる。出力トランジスタT3は、例えば、MOSFETという頭文字によって一般に呼称されているタイプの電界効果トランジスタである。更に詳しくは、出力トランジスタT3は、N−MOSという頭文字によって一般に表記されている所謂nタイプのMOSFETトランジスタであってもよい。出力トランジスタT3のゲートは、アドレス装置のステージの内部ノードに接続することが可能であり、そのソースは、出力Snにリンクすることが可能であり、且つ、そのドレインは、第1クロックCkの信号を受け取ることができる。ステップアップコンデンサC2は、出力トランジスタT3のゲートとソースの間において接続することができる。第1制御トランジスタT1は、出力トランジスタT3のゲートを事前充電するのに適している。従って、第1制御トランジスタT1のソースは、出力トランジスタT3のゲートに接続されている。第1制御トランジスタT1のゲートは、先行する行n−1のアドレス指定装置のステージn−1の出力Sn−1によって制御されている。マトリックスの第1行に対応するアドレス指定装置の第1ステージの第1制御トランジスタT1のゲートは、行走査トリガ信号INによって制御することができる。第1制御トランジスタT1のドレインは、独立した電圧に、又は、さもなければ、
図2によって示されている例と同様に、第1制御トランジスタT1のゲートに、リンクすることができる。
【0039】
第2制御トランジスタT2は、出力トランジスタT3のゲートを放電するのに適している。従って、第2制御トランジスタT2のドレインは、出力トランジスタT3のゲートに接続されている。第2制御トランジスタT2のゲートは、次のラインn+1に対応するアドレス指定装置のステージn+1の出力信号Sn+1にリンクされている。最後の行Nに対応するアドレス指定装置のステージNの制御トランジスタT2のゲートは、特定の信号によって制御することができる。第2制御トランジスタT2のソースは、例えば、電圧VGoffにバイアスすることができる。補償コンデンサC1は、有利には、第2クロックCk1の信号の間に、第1クロックCkの信号に対して位相対立関係を有するように、構成することができる。補償コンデンサC1により、出力トランジスタT3のドレインに印加される第1クロックCkの信号の切り替えの際の出力トランジスタT3のゲートとドレインの間の浮遊容量の影響を補償することができる。
【0040】
有利には、行選択フェーズの末尾における出力Snの放電を促進するために、放電トランジスタT4を行アドレス指定装置のステージnの出力Snに接続することができる。放電トランジスタT4のゲートは、第2制御トランジスタT2のゲートにリンクされている。
【0041】
図4は、
図3によって示されている行アドレス指定装置の動作を示すタイミング図を示している。
【0042】
第1タイミング
図41は、フレームの送信に対応する期間における行走査トリガ信号INを表している。
【0043】
第2タイミング
図42は、同一の期間における第1クロックCkの信号を表しており、第3タイミング
図43は、第2クロックCk1の信号を表している。
【0044】
第4タイミング
図44は、同一の期間における行アドレス指定装置の第1ステージの出力S1の信号を表しており、第5タイミング
図45は、行アドレス指定装置の第2ステージの出力S2の信号を表しており、第6タイミング
図46は、行アドレス指定装置のステージNの出力信号SNを表している。
【0045】
様々なタイミング
図41〜46によって表されている論理信号は、例えば、レベルVGoffに対応するLowレベル及びレベルVGonに対応するHighレベルを有し、これらのレベルにより、トランジスタの遮断された状態と導通状態をそれぞれ制御することができる。
【0046】
フレームの走査は、それぞれの新しいフレームごとにパルスを送信する信号INによってトリガされる。
【0047】
この信号INのパルスは、第1ステージの出力S
1において、次いで、行から行に、ステージ1〜Nの出力S
2、S
3、...、S
n、...S
N上において「伝播」することになり、これにより、次々に、対応する行選択フェーズΔt
1、Δt
2、...Δt
n、...Δt
Nにおいて、フレーム当たりに1つずつ、クロック信号のレートにおいて、マトリックスの行を選択することができる。
【0048】
クロックCk及びCk1の信号の役割は、1つのステージから次のものにかけて交換され、例えば、ステージn−1及びn+1において、第1クロックCkの信号を受け取るのは出力トランジスタT3であり、且つ、第2クロックCk1の信号を受け取るのは、補償コンデンサC1である。
【0049】
クロックCk及びCk1の信号は、相補的なものになっている。クロックパルスのHighレベルであるVgonは、マトリックスのスイッチングトランジスタが、損失を伴うことなしに、例えば、ピクセルの電極に印加されるビデオ電圧レベルを充電し、行アドレス指定装置のステージの出力トランジスタT3の導通の、即ち、十分な導電性を有する、状態への切り替えを実現する能力を有するように、規定されている。
【0050】
行n−1の選択フェーズΔt
n−1は、時点t
n−1において始まり、且つ、時点t
nにおいて終了する。行nの選択フェーズΔt
nは、時点t
nにおいて始まり、且つ、時点t
n+1において終了し、以下同様である。
【0051】
従って、
図3及び
図4を参照して説明した行アドレス指定装置の動作は、ラインが次々にアドレス指定されることを必要としており、なんらかの休止を2つの連続した行のアドレス指定の間において実行することはできない。更には、このような装置の動作は、マトリックスのすべての行をアドレス指定するという義務を課し、且つ、特定のラインがアドレス指定されないことを許容してはいない。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態による検出マトリックス用の行アドレス指定装置の構造を示す電気回路図を示している。
【0053】
本発明は、ディスプレイマトリックスに対して適用される行アドレス指定装置を示す
図1〜
図4を参照して前述した集積構造を、例えば、X線撮像などの電離放射線撮像用の検出マトリックス用の行アドレス指定装置に適用することを提案する。本発明による行アドレス指定装置を形成する集積構造は、基本的に、単一のタイプの、即ち、Pタイプ、又は、さもなければ、Nタイプの、TFTトランジスタを有することが可能であり、Nタイプが、その相対的に良好な性能レベルの観点において、好ましいであろう。従って、後述するすべてのトランジスタは、薄膜トランジスタ(TFT)であってもよく、且つ、単一のN又はPタイプであってもよい。
【0054】
図5によって示されている構造は、行アドレス指定装置のそれぞれのステージnが入力ステージ50及び出力ステージ51を有する有利な実施形態に対応している。行アドレス指定装置の1つのステージnにおいて、入力及び出力ステージ50、51のそれぞれは、例えば、
図3を参照して前述した行アドレス指定ステージn内に含まれている要素のほとんどを有する。本明細書において記述されている例示用の実施形態においては、マトリックスのそれぞれの行nは、アドレス指定装置のステージnと関連付けられていることに留意されたい。但し、図面によって示されてはいない代替実施形態においては、所与の1つのステージが複数の行を制御するか、又は、さもなければ、特定の複数の行が1つのステージによって制御されてはいない行アドレス指定装置の構造を想定することができる。
【0055】
従って、行アドレス指定装置のステージnの入力ステージ50は、出力において起動信号SAnを回復する出力ラインを有するシフトレジスタによって形成することができる。入力ステージ50は、起動出力SAnにおいてクロック信号のパルスを送信する入力ステージの出力トランジスタT30を有することができる。入力ステージの出力トランジスタT30のゲートは、アドレス指定装置の入力ステージの内部ノードに接続することが可能であり、そのソースは、起動出力SAnにリンクすることが可能であり、且つ、そのドレインは、第1クロックCkの信号を受け取ることができる。入力ステージのステップアップコンデンサC20は、入力ステージの出力トランジスタT30のゲートとソースの間において接続することができる。入力ステージの第1制御トランジスタT10は、入力ステージの出力トランジスタT30のゲートを事前充電するのに適している。従って、入力ステージの第1制御トランジスタT10のソースは、入力ステージの出力トランジスタT30のゲートに接続されている。入力ステージの第1制御トランジスタT10のゲート及びドレインは、先行する行n−1のアドレス指定装置のステージn−1の起動出力SAn−1によって制御されている。
【0056】
入力ステージの第2制御トランジスタT20は、入力ステージの出力トランジスタT30のゲートを放電するのに適している。従って、入力ステージの第2制御トランジスタT20のドレインは、入力ステージの出力トランジスタT30のゲートに接続されている。入力ステージの補償コンデンサC10は、有利には、第2クロックCk1の信号の間に、第1クロックCkの信号に対して位相対立関係を有するように、構成することができる。
【0057】
有利には、入力ステージの放電トランジスタT40は、行アドレス指定装置のステージnの入力ステージ50の起動出力SAnに接続することができる。入力ステージの放電トランジスタT40のゲートは、入力ステージの第2制御トランジスタT20のゲートにリンクされ、これは、次のステージn+1の起動出力信号SAn+1にもリンクされている。
【0058】
同様に、行アドレス指定装置のステージnの出力ステージ51は、出力において信号Snを回復する出力ラインを有するシフトレジスタによって形成することができる。出力ステージ51は、出力Snにおいてクロック信号のパルスを送信する出力ステージの出力トランジスタT31を有することができる。出力ステージの出力トランジスタT31のゲートは、アドレス指定装置の出力ステージの内部ノードに接続することが可能であり、そのソースは、出力Snにリンクすることが可能であり、且つ、そのドレインは、第3クロックCk2の信号を受け取ることができる。出力ステージのステップアップコンデンサC21は、出力ステージの出力トランジスタT31のゲートとソースの間において接続することができる。出力ステージの第1制御トランジスタT11は、出力ステージの出力トランジスタT31のゲートを事前充電するのに適している。従って、出力ステージの第1制御トランジスタT11のソースは、出力ステージの出力トランジスタT31のゲートに接続されている。出力ステージの第1制御トランジスタT11のゲート及びドレインは、アドレス指定装置のステージnの入力ステージ50の起動出力SAnによって制御されている。
【0059】
出力ステージの第2制御トランジスタT21は、出力ステージの出力トランジスタT31のゲートを放電するのに適している。従って、出力ステージの第2制御トランジスタT21のドレインは、出力ステージの出力トランジスタT31のゲートに接続されている。出力ステージの補償コンデンサC11は、有利には、第4クロックCk3の信号の間に、第3クロックCk2の信号に対して位相対立関係を有するように、構成することができる。第3及び第4クロックCk2、Ck3の1つの特徴は、これらのデューティサイクルが異なってもよく、且つ、これらのHighレベルにおけるこれらの個々の期間の合計が、第1及び第2クロックCk、Ck1の期間に対応しているという点にある。
【0060】
有利には、出力ステージの放電トランジスタT41は、行nの起動信号を供給する行アドレス指定装置のステージnの出力ステージ51の出力Snに接続することができる。出力ステージの放電トランジスタT41のゲートは、出力ステージの第2制御トランジスタT21のゲートにリンクされており、これは、次のステージn+1の起動出力SAn+1にもリンクされている。
【0061】
本発明の別の特定の特徴によれば、入力ステージ50は、入力ステージのリセットトランジスタTRをも有し、そのゲートは、リセット信号のパルスによって制御されている。入力ステージのリセットトランジスタTRのソースは、入力ステージの第2制御トランジスタT20のソースに接続することができる。入力ステージのリセットトランジスタTRのドレインは、入力ステージの第2制御トランジスタT20のドレインに接続することができる。
【0062】
同様に、出力ステージ51も、出力ステージのリセットトランジスタTRを有し、このゲートは、入力ステージのリセットトランジスタのゲートと同様に、リセット信号のパルスによって制御されている。出力ステージのリセットトランジスタTRのソースは、それぞれ、出力ステージの第2制御トランジスタT21の、且つ、出力ステージの放電トランジスタT41の、ソースと、それぞれ、入力ステージの第2制御トランジスタT20の、且つ、入力ステージの放電トランジスタT40の、ソースに、接続することができる。出力ステージのリセットトランジスタTRのドレインは、出力ステージの第2制御トランジスタT21のドレインに接続することができる。
【0063】
従って、リセットパルスにより、入力ステージ50及び出力ステージ51に含まれている異なるトランジスタに対してその遮断された状態を課すことができる。
【0064】
更には、出力ステージ51は、行リセットトランジスタTLを有することができる。行リセットトランジスタTLは、特定の信号により、そのゲートを介して制御されている。行リセットトランジスタTLのドレインは、出力ステージの出力トランジスタT31のソースに接続されている。行リセットトランジスタTLのソースは、トランジスタT20、T40、T21、及びT41のソースに接続することができる。ステージnの行リセットトランジスタTLにより、行n上の電圧をLow状態に強制することができる。行リセットトランジスタTLにより、行上の、即ち、ステージのうちの出力ステージの出力における、電圧を制御することが可能であり、且つ、特に、「不感時間」において、低インピーダンス電圧を行に対して印加することができる。実際には、通常、例えば、X線検出器の駆動は、リセットフェーズを有しており、これには、X線の印加フェーズ、即ち、「Xウィンドウ」と、その後の読取りフェーズと、が後続している。Xウィンドウにおいては、X線は、フォトダイオード内において電子に変換され、Xウィンドウの持続時間は、相対的に長く、通常は、最大で3.2秒であり、従って、行リセットトランジスタTLにより、マトリックスのドリフトを回避することができる。
【0065】
又、有利には、それぞれの出力ステージ51は、例えば、マトリックスの完全なリセットを生成できるようにするマトリックスリセットトランジスタTL
ONによって形成されたマトリックスリセットスイッチを有することもできる。マトリックスリセットトランジスタTL
ONは、そのゲート及びそのドレインに印加されるマトリックスリセット信号によって制御することができる。マトリックスリセットトランジスタTL
ONのソースは、出力ステージの出力トランジスタT31のソースに接続することができる。マトリックスリセットトランジスタTL
ONを制御するマトリックスリセット信号は、電圧VGoff又は起動電圧VGonであってもよい。マトリックスリセットトランジスタTL
ONが有効になった際には、即ち、起動電圧VGonが印加された際には、その結果、起動電圧がマトリックスのすべてに対して印加される。
【0066】
実際には、マトリックスの完全なリセットは、十分な持続時間にわたるマトリックスリセットトランジスタTL
ONの起動と、これに続く行を電圧VGoffに戻せるようにする行リセットトランジスタTLの起動により、規定されたシーケンスに従って生成することができる。
【0067】
図5を参照して前述した行アドレス指定装置によって得られる1つの利点は、2つの連続した行のアドレス指定の間に休止の機会を提供することにより、行を2つのステージにおいてアドレス指定できるようになるという点にある。この利点は、特に、例えば、マトリックスが、例えば、医療撮像用途などの撮像用途用のセンサとして使用される際などのように、マトリックスのピクセルに由来する電荷を蓄積する必要があるシステムに行アドレス指定装置が挿入された際の主要な利点である。このようなケースにおいては、プレートの感度は、電荷蓄積時間の増大に伴って、益々向上する。更には、2つの連続した行のアドレス指定の間における休止により、あらゆるマトリックスの欠陥に対して相対的に安定した駆動が実現する。
【0068】
行アドレス指定装置によって得られる別の利点は、必要に応じて、選択された行をアドレス指定しないようにできる可能性にある。この利点により、特定の行をアドレス指定しないようにすることができるようにすることにより、行アドレス指定装置が内蔵されたシステムの全体速度を増大させることができる。入力ステージ50は、例えば、第1及び第2クロックCk、Ck1の信号の周波数を必要とされる行まで増大させ、前記必要とされる行に到達した際に、第3及び第4クロックCk2、Ck3の信号を再起動することにより、非常に迅速にアドレス指定することができる。このような動作モードは、例えば、上述のX線による撮像生成の環境において、ユーザーがシーンの特定のエリア上における「ズーム」の生成を所望する用途の場合に、特に有利であることを証明することができる。
【0069】
行アドレス指定装置によって得られる別の利点は、複数のグループに分割されたマトリックスの複数の行の同時リセットを生成する可能性にあり、マトリックスの行のすべてが、行の異なるグループの連続的なリセットによってリセットされる。このような実施形態は、マトリックスが、例えば、X線撮像用のセンサとして使用されるプレートによって形成されている用途において特に有利であることを証明することが可能であり、且つ、特に、マトリックスの列導体上に誘発される電荷を低減することができる。このような実施形態は、具体的には、仏国特許出願第2,861,242号明細書に記述されている。
【0070】
それぞれの行ごとに入力ステージ及び出力ステージを有する行アドレス指定装置によって得られる別の利点は、前記装置が、特に、大きなサイズのマトリックスを駆動するのに適しているという点にある。実際には、行当たりのステージの数は、依然として、2つに限定されており、且つ、所与のステージの電気回路図は、マトリックスのサイズとは無関係である。この特徴は、とりわけ、行の数が数千のレベルになる可能性がある医療撮像用途において、特に有利である。通常、行の数は、現在の要件に適合したサイズの場合には、3000になる可能性がある。
【0071】
図6は、本発明の一実施形態による行アドレス指定装置の動作を示すタイミング図を示している。
【0072】
第1タイミング
図61は、フレームの送信に対応する期間における行走査トリガ信号INを表している。
【0073】
第2タイミング
図62は、同一の期間における第1クロックCkの信号を表しており、第3タイミング
図63は、第2クロックCk1の信号を表しており、第4タイミング
図64は、第4クロックCk3の信号を表しており、第5タイミング
図65は、第3クロックCk2の信号を表している。
【0074】
起動出力の4つのタイミング
図661、662、66100、66101は、同一の期間における、行1、2、100、及び101にそれぞれ対応した入力ステージの起動出力SA1、SA2、SA100、及びSA101上における信号を表している。
【0075】
出力ステージの出力の4つのタイミング
図671、672、67100、67101は、同一の期間における、行1、2、100、及び101にそれぞれ対応した出力ステージの出力S1、S2、S100、及びS101上における信号を表している。
【0076】
11番目のタイミング
図68は、行アドレス指定装置の最後の出力ステージNの出力SNの信号を表している。
【0077】
12番目のタイミング
図69は、入力及び出力ステージのリセット信号TRを表している。
【0078】
第13番目のタイミング
図70は、行リセット信号TLを表している。
【0079】
行をアドレス指定しなければならない際には、行100、101、及びNについて
図6によって示されている例におけるように、行は、行アドレス指定装置の対応する出力ステージの出力Snを介してアドレス指定される。
【0080】
図6に示されている例においては、行走査トリガ信号INが第1及び第2クロックCk及びCk1をトリガしている。これらのクロックは、交互に、上述のように、アドレス指定装置の入力ステージnの出力における起動信号SAnのHigh状態への遷移を起動する。従って、
図6に示されている例においては、すべての行1〜Nに対応する起動出力SAnが起動される。このようにして、しばしば「トークン」と呼ばれる「選択肢」が、行1〜Nのアドレス指定のために、採択される。
【0081】
次いで、選択された行の実際のアドレス指定が、選択された行に対応した行アドレス指定装置の出力ステージの出力SnのHigh状態への遷移を実現する第3及び第4クロックCk2、Ck3を介して実行される。選択された行が行100以降のものである
図6に示されている例においては、第3及び第4クロックCk2、Ck3は、行100に対応した時点からのみ、即ち、第1クロックCkの又は第2クロックCklの100個のパルスの後に、トリガされる。
図6に示されている例においては、第4クロックCk3の立ち上がりエッジは、起動出力SA100の立ち上がりエッジと一致し、次いで、第4クロックCk3の立下りエッジは、第3クロックCk2の立ち上がりエッジと一致し、次いで、第3クロックCk2の立下りエッジは、起動出力SA100の立下りエッジと一致しており、以下同様である。
【0082】
それぞれの行ごとに入力ステージ及び出力ステージを有する行アドレス指定装置によって得られる別の利点は、この行アドレス指定装置は、容量結合にリンクされた干渉現象から本質的に保護されているという点にある。行は、等価容量を有し、その値は、その行が収容しているピクセルの数によって左右される。この結果、この行は、後続の行n+1、n+2などの読取りの際に、容量結合によって妨害されることになり、その理由は、クロックがすべてのステージに継続的に印加されるためであり、且つ、ボルトを単位とするこれらの妨害は、行の等価容量に直接的に依存している。構造により、本発明による行アドレス指定装置は、クロックによって制御される持続時間にわたってLowレベルに対応する電圧を行nに課し、且つ、次いで、高インピーダンスンにおいてこの同一の行nを離脱する。従って、行が容量性であるほど、これらの行上のLowレベルに対応する電圧は安定する。更には、Lowレベルに対応する電圧に対する妨害は、クロックと行の間の結合にリンクされている。それぞれの行ごとに単一のステージが存在している際に、結合は、1つのステージから別のものへの第1及び第2クロックCk及びCk1の間の反転に起因したパリティのために、大きい。第3及び第4クロックCk2、Ck3の間の反転を有していない出力ステージを追加するという事実は、クロックと行の間の結合がもはやこのパリティの影響を受けないことを意味しており、且つ、従って、行は、均一に妨害される。従って、マトリックスが、列上に存在する信号の読取りが通常は存在する検出マトリックスである際には、行の妨害が、列上においても見出され、且つ、従って、信号の読取りに付加される。それぞれの行ごとの入力ステージ及び出力ステージの使用に起因した妨害の均一性により、それぞれの行ごとに単一のステージを使用することによって発生しうる空間的な視認性の影響を受けない相対的に良好な品質の画像を得ることが可能になる。