(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1所在場所と第2所在場所との間の実施可能な距離の範囲を決定するステップを備え、第2印刷要素を決定するステップはさらに決定された範囲に基づく、請求項1に記載の方法。
範囲を決定するステップが、第2印刷要素の偏差角、第2所期位置、第2印刷要素と基材との間の距離、ならびに印刷ヘッドの基材に対する相対速度によって第2所在場所を推定するステップを備える、請求項3に記載の方法。
範囲を決定するステップが、第1所在場所を、第1印刷要素の偏差角、第1所期位置、第1印刷要素と基材との間の距離、ならびに印刷ヘッドの基材に対する相対速度によって推定するステップを備える、請求項4に記載の方法。
複数対のドットの1対ごとに、その対の第1ドットは画像の第1画素の縁部の一部であり、その対の第2ドットは画像の第2画素の縁部の一部である、請求項10に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
機能材料の画像を基材上に印刷するためにインクジェット印刷機が使用されることができる。このような機能材料はインクのようなマーキング材料あるいは金属またはシリコンなどの他の種類の機能材料であることができる。機能材料の液滴がインクジェット印刷機の印刷ヘッドの複数の印刷要素によって基材上に噴射される。噴射された機能材料は、インクのピクセルの画像または太陽電池用のマスクのような機能材料のドットの画像を形成することができる。3次元画像さえも印刷されることができる。
【0003】
デジタルデータに従って画像のドット用に決定された基材上の所在場所が印刷ヘッドの少なくとも1つの印刷要素に露出されるように、印刷ヘッドと基材とは互いに対して、少なくとも2つの方向、例えば主走査方向および副走査方向で動かされる。
【0004】
工業的用途では、画像は、印刷構造物に広く使用されている極めて古く、しかしながら刷新された印刷技術であるスクリーン印刷によって印刷されることができる。100ミクロメートルから200ミクロメートルの範囲で印刷されることになる画像の寸法は、スクリーン印刷によって達成されることができる。このような画像は、画素同士の隙間に対して指定寸法および指定距離で精確に印刷されなければならない画素から成る。2つの隣接する画素間の隙間は一般的に100ミクロメートル幅から200ミクロメートル幅の範囲内にある。
【0005】
工業的用途では、太陽電池のような画像が、太陽電池の要素としての金属接点を作り出すために機能材料を含む金属を基材上に直接噴射することによって印刷されることができる。このように印刷された太陽電池の要素は通常100ミクロメートルを超える幅を有する。
【0006】
しかし、様々な用途においては、隣接する画素同士の隙間にさらに小さな寸法を必要とする。このことは、スクリーン印刷の利用によってこれが成されることは、処理能力と必要量とのアスペクト比のためにほとんど不可能である。
【0007】
より小さな寸法の隙間を備えた隣接する画素を作り出すために、インクジェット技術が使用されることができる。
【0008】
線形の要素を備えた構造物は、線形要素の幅が縮小されると、より効果的になることができる。例えば、スクリーン印刷によって太陽電池の前面金属接点を直接印刷するのではなく、インクジェット印刷機によって最初にマスクが太陽電池の基材上に印刷される。印刷された画素を備えるこのマスク付き基材はエッチングされ、その後エッチングされた部分がメッキされて金属接点を作り出す。この加工法を使用すると、対応する隣接する印刷要素同士の隙間が100ミクロメートル未満である場合、100ミクロメートル未満の接点を作り出すことが可能になる。接点が小さいほど、光線を捕らえる太陽電池の領域が大きくなる。言い換えれば、太陽電池上の接点が小さいほど、太陽電池の効率が高くなることができる。
【0009】
しかし、インクジェット印刷機の印刷ヘッドの印刷要素は全て、対応する許容差範囲を備えた仕様に従って作り出されている。仕様および対応する許容差範囲はインクジェット印刷機の制御ユニット内に記憶されることができる。それらは標準的印刷要素の特徴のリストとして記憶されることができる。仕様は、例えば噴射角度の0ラジアンと、機能材料を噴射する最大角度偏向、一般的には最高π/180ラジアンと、などであることができる。
【0010】
他方、このような指定は、テストパタンを印刷し、これを走査してデジタル画像をもたらすことによっても決定されることができる。デジタル画像によって、噴射角度のような印刷要素ごとの特徴が個々に決定されることができる。
【0011】
画像の隣接する2つの画素の対向する縁部同士が、0ラジアンとπ/180ラジアンとの間の偏差を有する印刷要素によって作り出されるとき、対向する縁部同士の隙間は著しく変動する場合がある。角度偏差における最高π/180ラジアンによって起こる2つの対向する画素の縁部同士の距離のこのような変動は許容不可能である場合がある。これは、分離した画素間に隙間を残すように意図されている一方で、画素同士が接触する場合があることによる。他方、太陽電池用のマスクに平行な印刷要素を印刷すると、その結果、様々な距離で離隔された複数の平行な印刷要素ができる。このような距離の多様さが、太陽電池の導電性部分の過熱のような局在効果による太陽電池の最大収率をもたらすことはない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、インクジェット印刷機の構成要素の、そこに示されたXYZ方向による概略図を示す。インクジェット印刷機は制御ユニット30、印刷ヘッド4a、印刷ヘッド駆動部32、および印刷ヘッドスケジューラ34を備える。
【0032】
1枚の紙、ウエハ、透明材料、銅クラッド、アルミニウム、ポリテトラフロオロエチレン、インジウムすず酸化物、またはシリコン窒化物などの基材2が、ここに示されていない移送機構によって矢印Xの第1方向に動かされる。複数の印刷要素8を有する印刷ヘッド4aが基材2の経路の上に配設され、基材2の幅の少なくとも一部の上に延びる(
図2の図面の平面に対して垂直方向に)。当技術分野で一般的に知られているように、印刷要素8は、インクジェット印刷機の制御ユニット30によって印刷ヘッド4a内に供給された印刷データに従ってドット37から成る画像を印刷するように、印刷要素に機能材料の液滴35を、基材2上に矢印Zで示された方向に反対の方向に噴射させるように構成されたアクチュエータを有する。印刷要素8は基材2の幅に沿って1つまたは複数の線に配置される。
図1によると、基材2の幅は
図1から外に向くYの方向にあり、これは、
図1で示されるように、第1方向Xに対して垂直であり、方向Zの反対方向に対して垂直である。印刷要素8は、とりわけ印刷解像度を規定する印刷ヘッド4a上の特定のラスタ内にある。ラスタ内で、ドット37は基材2上で任意の幅方向の場所に形成されることができる。ドット37の基材上の第1媒体移送方向Xの所在場所は、基材2が印刷ヘッド4aを通過するときの個々の印刷要素が発射されるタイミングによって決定され、印刷ヘッド4a上のラスタ内の発射している印刷要素の位置にも依存する。基材2に印刷ヘッド4aを通過させることは、印刷ヘッド4aが大きな質量を有する場合に特に有利である。代替え的実施形態では、印刷ヘッド4aが基材2を通過する。これは、印刷ヘッド4aの必要な精確な動きが達成されることが可能であるのに、基材2の同じ精度の動きが保証されることが可能でない場合に有利である。
【0033】
カラー印刷機の場合、印刷ヘッド4aとは別に、他の印刷ヘッド4b、4c、4dなどが他の色用の適切な印刷要素8のアレイを含むことになる。
【0034】
印刷されることになる画像を指定する印刷データが印刷ヘッド駆動部32に供給され、それが、印刷ヘッド4aの個々の印刷要素8に適切なタイミングで発射させる。一例として、印刷要素8同士またはそれらのアクチュエータ同士が一定の頻度で同調して発射する能力を有して、サイクルごとにドット37のピクセルの線が基材2上に形成されて、印刷されることになる画像の線状印刷要素の縁部または内側線を形成するように想定されることができる。しかし、他の印刷形式が利用されることもできる。
【0035】
ここに示される実施例では、印刷データは印刷ヘッドスケジューラ34に供給され、これが、印刷要素8のうちのどれが始動されなければならないかを印刷ヘッド4aの作動サイクルごとに指定する。印刷ヘッドスケジューラ34から印刷ヘッド駆動部32に指示信号が送信されて、印刷ヘッド4aで実際に印刷される画像が印刷データによって指定されたトッドから成るようにする。ここでは便宜のため、以下に述べられる基材2上の距離については、距離単位のマイクロメートルを付さずに述べられることができる。
【0036】
図2Aは、そこに示されたXYZ方位による印刷ヘッド4aの側面概略図を示す。印刷ヘッド4aは、印刷ヘッド4aの複数の印刷要素の基準となる印刷要素を表す印刷要素Rを備える。印刷要素Rは、機能材料の液滴を基材2上に、0ラジアンからδ/2ラジアンに絶対値が変動する角度下で噴射することができる。基材2は印刷ヘッド4aに向かって距離Dを有する。印刷要素から噴射された液滴は、D
*sin(δ/2)に等しい半径rを有する範囲11内で基材2に打ち当たることができる。角度が0ラジアンに等しい理想的な場合には、液滴は印刷要素Rの下で垂直に、所在場所12内でZ方向の反対方向に基材に打ち当たる。ここでは便宜のため、印刷ヘッド4aの下の基材2の速度は距離Dに関して無視できると想定される。印刷ヘッド4aの下の基材2の速度が無視できない場合は、本方法のステップは、印刷ヘッド4aの下の基材2の速度を考慮に入れて容易に適合される。0ラジアンからδ/2ラジアンの絶対角度の範囲は印刷ヘッド4aの印刷要素の特徴に属する。
【0037】
図2Bは、そこに示されたXYZ方位による基材2の一部分の上面概略図を示す。印刷ヘッド4aから第1液滴と第2液滴が噴射されて、基材2上でそれぞれ第1ドットA
Rと第2ドットB
Rになる。第1ドットA
Rと第2ドットB
Rは、印刷データに従って、第1所期位置と第2所期位置との間に距離dが存在するようにそれぞれ第1所期位置と第2所期位置を有するはずである。
図2Aに示される0ラジアンからδ/2ラジアンの絶対角度の範囲は、基材2上の第1ドットA
Rの所在場所と基材2上の第2ドットB
Rの所在場所との間の距離の実施可能な実際の範囲を規定しており、それは
図2Bに示されるように最小距離d−2rの範囲から最大距離d+2rの範囲まで変動する。実施可能な実際の範囲は、印刷ヘッド4aの印刷要素の特徴から引き出し可能である。特徴は印刷ヘッド4aによって画像印刷の前または画像印刷中の規則的な時間間隔で決定されることができる。
【0038】
第1ドットA
Rと第2ドットB
Rとの間の公称距離dが印刷データ内で指定され、例えば第1ドットA
Rと第2ドットB
Rとの座標から引き出されるユークリッド距離などがある。第1ドットA
Rと第2ドットB
Rとの間の公称距離からの許容偏差も印刷データに指定される。
【0039】
第1の事例では、第1ドットA
Rが第1印刷要素によって噴射され、第2ドットB
Rが第2印刷要素によって噴射され、印刷データに基づいた公称距離dプラスまたはマイナス第1印刷要素の偏差角による偏差、かつプラスまたはマイナス第2印刷要素の偏差角による偏差は、公称距離プラスまたはマイナス許容偏差の間で変動する。その結果第1ドットA
Rと第2ドットB
Rとの間の予想される実際の距離が印刷データの指定と合致する。第1ドットA
Rと第2ドットB
Rとは印刷ヘッド4aからの任意に選択された印刷要素によって印刷されることができる。
【0040】
第2の事例では、第1ドットA
Rは第1印刷要素によって噴射され、第2ドットB
Rは第2印刷要素によって噴射され、印刷データに基づいた公称距離dプラスまたはマイナス第1印刷要素の偏差角による偏差、かつプラスまたはマイナス第2印刷要素の偏差角による偏差は、公称距離マイナス許容偏差未満であり、または公称距離プラス許容偏差よりも大きい。その結果第1ドットA
Rと第2ドットB
Rとの間の予想される実際の距離は印刷データの仕様と合致しない。
【0041】
例えば、公称距離の許容範囲はd−rからd+rである。このような許容範囲が
図2Cに示されている。その結果、第1ドットA
Rと第2ドットB
Rとは印刷ヘッド4aから任意に選択された印刷要素によって印刷されるべきではない。これは、ドットA
R、B
R間の距離は、d−2rからd−rまでの第1副範囲内、またはd+rからd+2rまでの第2副範囲内に入る場合があることによる。第1副範囲と第2副範囲は、公称距離のd−rからd+rまでの許容範囲の外にある。この適合不能性は本発明による方法を適用することによって克服される。
【0042】
図2Dは、印刷ヘッド4aの第1印刷要素Nが液滴を噴射し、それが基材2上で第1ドットA
Nになるのを示す。第1印刷要素Nは、印刷要素の開口部と基材2との間の経路に対して偏差角を有することから、第1ドットA
Nは、印刷要素Nの下の垂直な位置で基材2に打ち当たらない。第1ドットA
Nの予想所在場所の所期位置と計画された第2ドットB
Mの予想所在場所の所期位置との間の公称距離dが両方向矢印によって示される。
【0043】
第1ドットA
Nの基材上の第1所在場所が決定されることになる。この決定は第1ドットA
Nの所期位置と第1印刷要素Nの角度偏差とに基づいて第1ドットA
Nの第1所在場所を算出することであることができる。代替え的実施形態では、第1ドットA
Nの第1の実際の位置は、例えば印刷ヘッド上に取り付けられたスキャナまたはカメラによって決定される。これは、所期位置に従った基材2上の所在場所の環境内で基材上の第1ドットA
Nを探索する。
図2Dに示されるように、印刷要素Nは大きな偏差角を有する。
【0044】
第2ドットB
Mを印刷するために、印刷要素ごとの第2ドットB
Mを印刷する適性が分析される。噴射されるように意図された第2ドットB
Mの予想所在場所と第1ドットA
Nの所在場所との間の距離の最大偏差Xが印刷要素ごとに決定される。この決定は、印刷要素の偏差角、第1ドットA
Nの第1所期位置と第1ドットA
Nの第1所在場所との間の距離、ならびに第1ドットA
Nの第1所期位置と第2ドットB
Mの第2所期位置との間の距離の許容偏差に基づく。
【0045】
第1ドットA
Nの決定位置と、印刷データに従った第2ドットB
Mの所期位置と印刷要素の偏差角とに基づいた第2ドットB
Mの予想位置との間の距離が許容距離d+r未満であり、許容距離d−rよりも大きい場合、印刷要素は第2ドットB
Mを噴射するのに適している。許容距離範囲[d−r、d+r]は印刷データに含まれることができる。
【0046】
図2Eに示されるように適切な第2印刷要素Mによって別の液滴が噴射される。第2液滴は基材2に打ち当たって第2ドットB
Mになる。本発明の方法による第2印刷要素Mの選択によって、第1ドットA
Nと第2ドットB
Mは、この場合、距離d+αr分距離を置かれる。但しαは−1と1の間の実数である。第1ドットA
Nと第2ドットB
Mの間の距離d+αrは、印刷データに従った許容範囲[d−r、d+r]に適合可能である。
【0047】
図2F〜2Gに特定的な実施形態が示される。第2印刷要素Mが第1印刷要素Nと同じである。第1と第2ドットが印刷要素Nの同じ偏差角で印刷されることから、第1印刷要素Nは常に第2ドットB
Mを印刷するのに適している。MはNと等しいことから、第2ドットは
図2Gで符号表示B
Nによって表される。
【0048】
図2Fは、印刷ヘッド4aの印刷要素Nが第1時間t
1に液滴を噴射して、それが基材2上で第1ドットA
Nになるのを示す。印刷要素Nは噴射経路に対して偏差角を有することから、第1ドットA
Nは印刷要素Nの下で垂直の位置で基材2に打ち当たらない。第1時間t
1後の第2時間t
2で、
図2Gに示されるように同じ印刷要素Nによって第2液滴が噴射される。第2液滴は基材2に打ち当たって第2液滴B
Nになる。同じ印刷要素Nが第1と第2液滴を噴射しているので、第2液滴の角度偏差は、ほとんど確実に第1液滴の角度偏差と同じである。第1と第2液滴の角度偏差が同じであると推定されることから、第1ドットA
Nと第2ドットB
Nは距離d分距離を置かれていると推定される。したがって、第1ドットA
Nと第2ドットB
Nの間の距離は、印刷データに従った許容範囲[d−r、d+r]内にある。
【0049】
図3Aは本発明による方法の他の実施形態を示す。印刷されることになる画像は第1画素F
1と第2画素G
1を備える。第1画素F
1は第1縁部によって包囲された第1ヘッジ域を備える。第1縁部はいくつかの所在場所A
1、A
2、A
3、A
4を備える。第2画素G
1は第2縁部によって包囲された第2ヘッジ域を備える。第2縁部はいくつかの所在場所B
1、B
2、B
3、B
4を備える。画像用の印刷データは所在場所A
1と所在場所B
1の間の距離d
11、所在場所A
2と所在場所B
2の間の距離d
12、所在場所A
3と所在場所B
3の間の距離d
13、ならびに所在場所A
4と所在場所B
4の間の距離d
14を指定する。画像用の印刷データは、所在場所A
1と所在場所B
1の間の距離d
11の第1許容範囲、所在場所A
2と所在場所B
2の間の距離d
12の第2許容範囲、所在場所A
3と所在場所B
3の間の距離d
13の第3許容範囲、ならびに所在場所A
4と所在場所B
4の間の距離d
14の第4許容範囲も備える。
【0050】
本発明の方法によれば、第1印刷要素によって基材上に印刷されるドットと第2印刷要素によって基材上に印刷される第2ドットとの間の距離が、所在場所A
1と所在場所B
1の間の距離d
11の第1許容範囲内であると予想されるように、所在場所A
1上のドットは印刷ヘッド4aの第1印刷要素によって印刷されることになり、所在場所B
1上のドットを印刷するように第2印刷要素が選択されることになる。
【0051】
第1印刷要素とは異なるこのような第2印刷要素が選択されることが可能でないとき、第2印刷要素は、
図2F〜2Gに示された状況と同様に、第1印刷要素と同一であるように選択されることができる。
【0052】
同じステップが、所在場所A
i上のドットと所在場所B
i上のドットに対して、所在場所A
iと所在場所B
iの間の距離d
1iの第i許容範囲と組み合わせて適用されることができる。但しiは2、3、4である。
【0053】
距離d
11、d
12、d
13、d
14は長さおよび方位に関して異なることが留意される。一般に、第1画素F
1と第2画素G
1の縁部同士の完全対向部分を形成する対の所在場所は、異なった距離を有する。
【0054】
他の実施形態では、第1縁部の連続部分を形成する第1縁部上のいくつかの所在場所の許容範囲と、第2縁部上の対応するいくつかの所在場所の許容範囲とが印刷データに規定される。その結果、連続部分上のいくつかの所在場所上に印刷されることになるドットが、同じ第1印刷要素によって印刷され、第2縁部上の対応する所在場所上に印刷されることになるドットが、本発明の方法によって選択された印刷ヘッド4aの第2印刷要素によって印刷されることができる。第2縁部上の対応する所在場所も第2縁部の連続部分を形成することができる。第2印刷要素が選択されることが可能でない場合、連続部分上のいくつかの所在場所に印刷されることになる全てのドットと、第2縁部上の対応する所在場所上に印刷されることになる全てのドットとが、印刷ヘッド4aの同じ第1印刷要素によって印刷されることができる。
【0055】
図3Bは本発明による方法の他の実施形態を示す。印刷されることになる画像は第1画素F
2と第2画素G
2を備える。第1画素F
2は3つの線分によって包囲される第1三角域を備える。第1線分L
Fはいくつかの所在場所C
1、C
2、C
3、C
4を備える。第2画素G
2は3つの線分によって包囲される第2三角域を備える。第2三角域を包囲する3つの線分の第2線分L
Gは、いくつかの所在場所D
1、D
2、D
3、D
4を備える。第1画素F
2の所在場所C
1、C
2、C
3、C
4と第2画素G
2の所在場所D
1、D
2、D
3、D
4との他に、画像の印刷データは、所在場所C
1と所在場所D
1との間の距離d
21の第1許容範囲、所在場所C
2と所在場所D
2との間の距離d
22の第2許容範囲、所在場所C
3と所在場所D
3との間の距離d
23の第3許容範囲、ならびに所在場所C
4と所在場所D
4との間の距離d
24の第4許容範囲も備える。
【0056】
本発明の方法によると、所在場所C
1上のドットは印刷ヘッド4aの第1印刷要素よって印刷されることになり、基材上の第1印刷要素によって印刷されたドットと第2印刷要素によって印刷された第2ドットとの間の距離が所在場所C
1と所在場所D
1との間の距離d
21の第1の許容範囲内であることが予想されるように、所在場所D
1上のドットを印刷するように第2印刷要素が選択されることになる。
【0057】
第1印刷要素とは異なるこのような第2印刷要素が選択されることが可能でないとき、第2印刷要素は、
図2F〜2Gに示された状況と同様に、第1印刷要素と同一であるように選択されることができる。
【0058】
同じステップが、所在場所C
i上のドットと所在場所D
i上のドットに対して、所在場所C
iと所在場所D
iの間の距離d
2iの第i許容範囲と組み合わせて適用されることができる。但しiは2、3、4である。
【0059】
距離d
21、d
22、d
23、d
24は長さに関しては異なるが、方位に関して等しいことが留意される。一実施形態では、第1画素F
1と第2画素G
1の縁部同士の完全に対向する部分を形成する対の所在場所は、
図2Dで方向Yとして示された基材の幅の方向と等しい方位を有することができる。
【0060】
他の実施形態では、第1線分L
Fの連続部分を形成する第1線分L
F上のいくつかの所在場所の許容範囲と、第2線分L
G上の対応するいくつかの所在場所の許容範囲とが印刷データに規定される。その結果、連続部分上のいくつかの所在場所上に印刷されることになる全てのドットが第1印刷要素によって印刷されることができ、第2線分L
G上の対応する所在場所上に印刷されることになる全てのドットが、本発明の方法によって選択された印刷ヘッド4aの第2印刷要素によって印刷されることができる。第2印刷要素が選択されることが可能でない場合、第1線分L
Fの連続部分上の全てのドットと、第2線分L
Gの対応する部分の全てのドットが、同じ第1印刷要素によって印刷されることができる。第2線分L
G上の対応する所在場所も第2線分L
Gの連続部分を形成することができる。さらに、連続部分は第1線分L
F全体であることもできる。また、第2線分L
G上の対応する所在場所は第2線分L
G全体であることもできる。画素F
2、G
2はそれぞれ三角形状と四角形状を有する。本発明による方法は、線分によって包囲された任意の他の領域または包囲縁部を有する任意の他の領域にも適用可能である。
【0061】
図3Cは本発明による方法の他の実施形態を示す。印刷されることになる画像は第1画素F
3と第2画素G
3を備える。第1画素F
3は4つの線分によって包囲された第1四角領域を備える。第1線分L
Fはいくつかの所在場所P
1、P
2、P
3、P
4を備える。第2画素G
3は4つの線分によって包囲された第2四角領域を備える。第2四角領域を包囲する4つの線分のうちの第2線分L
Gはいくつかの所在場所Q
1、Q
2、Q
3、Q
4を備える。第1画素F
3の第1線分L
Fと第2画素G
3の第2線分L
Gとは対向し、平行である。画像の印刷データは、所在場所P
1と所在場所Q
1の間、所在場所P
2と所在場所Q
2の間、所在場所P
3と所在場所Q
3の間、所在場所P
4と所在場所Q
4の間の同じ距離dに対して同じ許容範囲を備える。
【0062】
所在場所P
1、P
2、P
3、P
4上のドットを印刷する第1印刷要素とQ
1、Q
2、Q
3、Q
4上のドットを印刷する第2印刷要素とは本発明によって選択されることができる。第1印刷要素とは異なる第2印刷要素が選択されることが可能でない場合、所在場所P
1、P
2、P
3、P
4、Q
1、Q
2、Q
3、Q
4上の全てのドットが同じ第1印刷要素によって印刷されることができる。
【0063】
代替え的実施形態では、第1印刷要素と第2印刷要素は両方とも、第1所期位置と第2所期位置から引き出された所期距離と対応する許容偏差から引き出された所期許容範囲とに合致するように複数の印刷要素から選択される。
【0064】
印刷データに従った所期許容範囲が、印刷ヘッド4aの基準印刷要素からの特徴から引き出された許容範囲に適合しないとき、所在場所P
1、Q
1、P
2、Q
2、P
3、Q
3、P
4、Q
4上のドットは印刷ヘッド4aの同じ印刷要素によって印刷されることができる。
【0065】
距離dは長さおよび方位に関して等しいことが留意される。第1画素F
3と第2画素G
3の縁部同士の完全に対向する平行な部分を形成する対の所在場所は、
図2Dの方向Yとして示される基材の幅の方向と等しい方位を有する。これは、印刷ヘッドが
図2Dに従ってX方向に、完全な第1線分L
Fを印刷するのに適した本発明の方法による印刷要素を1つだけ使用して第1線分L
Fに沿って動くことが可能であり、完全な第2線分L
Gを印刷するのに適した本発明の方法による印刷要素を1つだけ使用して第2線分L
Gに沿って動くことも可能であることから、有利である。
【0066】
図4Aおよび
図4Cは、第1画素21が時間t
1の第1時点で印刷されるところを示す。
図4Bおよび
図4Dは、第2画素22が時間t
1の第1時点よりも後の時間t
2の第2時点で印刷されるところを示す。
【0067】
第1画素21の右縁部が時間t
1の第1時点で第1印刷要素Nによって印刷される。次いで第1画素21の右縁部を形成するドットの所在場所が決定される。次いで、第1画素21の既に印刷された右縁部と第2画素22の左縁部との間の予想距離が印刷データに従って指定された許容範囲内になるように、第2印刷要素Mが選択される。この場合、許容範囲は[d−r、d+r]に等しい。次いで第2画素22の右縁部が第2印刷要素Mによって印刷される。第2印刷要素Mは、印刷データに従って指定された所期距離dと距離dの許容範囲[d−r、d+r]という条件に合致する角度偏差を有することができる。印刷要素Nと印刷要素Mのどのような種類の角度偏差にもかかわらず、第1線状画素21の右縁部と第2線状画素22の左縁部との間の距離は所期距離dの許容範囲、即ちd+αr内にある。
【0068】
図4E〜4Fは、第2印刷要素Mが第1印刷要素Nと同じとなるように選択される特定的な実施例を示す。その結果、第1画素21の右縁部と第2画素22の左縁部との間の距離は、所期距離dに等しくなることが予想される。この実施形態によると第1画素21の左縁部の所在場所は決定される必要がないことが留意される。
【0069】
図4Gは、本発明に従って隣接した線状画素を印刷する際の印刷ヘッドの基材に向かった相対的な動きを説明する。
【0070】
図4Gは、少なくとも3つの斜線状画素23、28が印刷されることになる基材の部分2Aを示す。第1画素23は、第1画素23の右縁部25に到達するまで第1画素23を完全に埋めるように、印刷ヘッドを主走査方向MSと副走査方向SSとに動かすことによって、印刷ヘッドの少なくとも1つの印刷要素によって印刷される。主走査方向は
図2DのX方向に等しくあることができ、副走査方向SSは
図2DのY方向と等しくあることができる。
【0071】
このような第1画素23の完全な埋め尽くしは、印刷されることになる第1画素23のドットのカラムごとに、主走査方向MSの動きと副走査方向SSの小さな動きと主走査方向MSとは反対の動きとを繰り返すことによって達成されることができる。時間の特定時点で、印刷ヘッドは右縁部25を除く第1画素23を完成している。第1画素23の右縁25は、第1印刷要素N(図示されず)によって、第1印刷要素Nからインクの液滴を噴射することによって印刷されるよう意図される。
【0072】
ここでは便宜のため、かつ限定しない意味で、印刷ヘッドの第1印刷要素Nは、第1画素23の上縁部20で右縁部25を印刷するための出発点Aに位置決めされると想定される。右縁部25を印刷するために、印刷ヘッドは主走査方向MSで第1画素23の下縁部29に向かって動いてゆく。本発明の先の実施形態によって、第2画素28の左縁部27は、本発明方法のステップに従って選択された第2印刷要素Mによって印刷されることができる。印刷ヘッドの副走査方向への動きは、第2印刷要素Mが、第2画素28の左縁部が印刷データに従って印刷されるよう意図される基材の上側にあるように適用される。
【0073】
他の先の実施形態によると、第2印刷要素Mも第1印刷要素Nと同じであることができる。
図4Gは、第2印刷要素Mが第1印刷要素Nと同じ場合の副走査ステップを示す。
【0074】
第1印刷要素Nが第1画素23の右縁部25を完成させた後、印刷ヘッドは矢印24に従って副走査方向SSに動きを成す。副走査方向SSに動かされる距離は、印刷データに指定される第1画素23の右縁部25と第2画素28の左縁部27との間の距離となるように決定される。第1印刷要素Nはここで第2画素28の左縁部27を印刷する位置にある。これを達成するために、印刷ヘッドは主走査方向MSの反対方向に第2画素28の上縁部26に向かって動く。印刷ヘッドが主走査方向MSの反対方向へ動く間、印刷要素Nは、第2画素28の左縁部27を形成するようにインクの液滴を噴射している。これらの動きが、基材の部分2A上の画素の残りの縁部のために繰り返されることができる。
【0075】
図5は、例えば
図4Gに示されるように少なくとも1つの画素で完全な画像を印刷する本方法のステップを示す。
【0076】
出発点1は、画像データおよび許容データを含む印刷データがインクジェット印刷機のメモリ内にある状況である。
【0077】
第1ステップS1に従って、許容データを含む印刷データがインクジェット印刷機のメモリから取り出される。印刷データは印刷されることになるピクセル値、例えばビットマップを備える。
【0078】
第2ステップS2に従って、許容データを有さないビットマップのピクセルごとに印刷要素がアドレスされる。
【0079】
第3ステップS3に従って、ピクセル対(Pi、Qi)の数nが印刷データと各対が許容偏差を有する許容データとから決定される。
【0080】
初期化ステップS4に従って、インデックスiがゼロに初期化される。
【0081】
インクリメントするステップS5に従って、インデックスiが1だけ増大される。
【0082】
第1判定ステップS6に従って、インデックスiが尚も決定された対の数nよりも小さいか否かがチェックされる。
【0083】
そうである場合、第i対が後続のステップS7〜S10でさらに処理される。
【0084】
第1処理ステップS7に従って、ピクセルPiを印刷する印刷要素Nが決定される。印刷要素Nは、第2ステップS2でピクセルPiにアドレスされた印刷要素を取ることによって決定されることができる。
【0085】
第2処理ステップS8に従って、ピクセルQiを印刷する印刷要素Mが決定される。印刷要素Mは許容偏差を考慮に入れて決定される。この処理ステップが
図6でさらに説明される。
【0086】
第3処理ステップS9に従って、ピクセルPiを印刷する印刷要素Nの番号Nがメモリに記憶される。ピクセルPiを印刷するように印刷要素Nがアドレスされる。
【0087】
第4処理ステップS10に従って、ピクセルQiを印刷する印刷要素Mの番号Mがメモリに記憶される。ピクセルQiを印刷(pint)するように印刷要素Mがアドレスされる。
【0088】
処理ステップS7〜S10を繰り返すことによって、印刷されることになる全てのピクセルに印刷要素がアドレスされる。
【0089】
最後のステップS11に従って、ピクセルにアドレスされた記憶された印刷要素の番号に従った印刷要素によって、画像のピクセルが印刷される。
【0090】
印刷データに従って画像が印刷されるうちに終点2が到達される。許容データも考慮に入れられる。
【0091】
図6は、
図5の処理ステップS8を、
図2D〜2Eを参照してさらに説明する。
【0092】
図5の処理ステップS8に入るとき、出発点Aが到着される。
【0093】
第1ステップS81に従って、基材上の第1ドットA
Nの第1所在場所が決定される。この決定は、ピクセルPiに従った第1ドットA
Nの所期位置と第1印刷要素Nの角度偏差とに基づいた第1ドットA
Nの第1所在場所の算出であることができる。
【0094】
第2ドットB
Mを印刷するために、印刷要素ごとの第2ドットB
Mを印刷する適性が分析される。複数の印刷要素には1からmの番号が付されると想定される。
【0095】
初期ステップS82で、インデックスjがゼロに初期化される。
【0096】
インクリメントするステップS83で、インデックスjが1だけ増大される。
【0097】
第1判定ステップS84で、インデックスjが尚も最大番号mよりも小さいか否かがチェックされる。
【0098】
そうである場合、第j印刷要素は調査ステップS85でさらに分析される。第j印刷要素によって噴射されるように意図された第2ドットB
Mの予想所在場所と第1ドットA
Nの所在場所との間の距離の最大偏差Xが決定される。この決定は、第j印刷要素の偏差角、第1ドットA
Nの第1所期位置と第1ドットA
Nの第1所在場所との間の距離、ならびに第1ドットA
Nの第1所期位置と第2ドットB
Mの第2所期位置との間の距離の許容偏差に基づく。
【0099】
第2判定ステップS86では、最大偏差Xが許容偏差未満であるか否かがチェックされる。第1ドットA
Nの決定位置と、印刷データに従った第2ドットB
Mの所期位置と第2印刷要素の偏差角とに基づいた第2ドットB
Mの予想位置との間の距離が許容距離d+r未満であり、許容距離d−rよりも大きい場合、第j印刷要素は第2ドットB
Mを噴射するのに適している。許容距離範囲[d−r、d+r]は印刷データに含まれることができる。
【0100】
第j印刷要素が第2ドットB
Mを噴射するのに適している場合、番号jは次のステップS87でインクジェット印刷機のメモリに記憶される。
【0101】
このようにして、インクジェット印刷機の全ての印刷要素の適切性が調査される。第1印刷要素Nが常に適切であると判明されて記憶されることから、メモリに記憶される適切な印刷要素の数は常にゼロより大きいことが留意される。
【0102】
最後のステップS88で、メモリに記憶された少なくとも1つの印刷要素から印刷要素Mが選択される。この選択は、印刷要素Mに対して算出された最大偏差Xと許容偏差との間の差異、印刷要素Mに対して算出された最大偏差Xの絶対値、第1印刷要素Nに対する印刷ヘッド上の印刷要素Mの位置、印刷ヘッド上の印刷要素Mと第1印刷要素との相対的な位置、ならびに第1ドットA
Nと第2ドットB
Mとの相対的な位置、のうちの1つに基づくことができる。
【0103】
ステップS81〜S88の最終点Bが到達され、
図5による方法が第3処理ステップS9によって進んで行くことができる。
【0104】
代替え的実施形態では、第1ドットA
Nの第1位置は第1ドットA
Nを印刷した後に決定される。このような決定は、例えば印刷ヘッド上に取り付けられたスキャナまたはカメラによって基材を走査することによって達成されることができる。スキャナまたはカメラは、第1ドットA
Nの所期位置に従った基材2上の所在場所の環境内で基材上の第1ドットA
Nを探索する。走査された所在場所が
図6の第1ステップに従った推定所在場所から大きく異なって、第2ドットB
Mにアドレスされた印刷要素がもはや適切でなくなった場合、印刷データおよび許容偏差に従った第2ドットB
Mを印刷するのに尚も適切な別の印刷要素がその時点で決定されることができる。
【0105】
本方法の上述の実施形態のうちの1つが、マスクを印刷するために、例えば太陽電池を製造するために使用されることができる。マスク上の2つの平行な画素同士の間の小さな距離が実験によって確立されている。正面の金属接点の線幅を縮小することによって太陽電池の効率向上が実現されることが可能である。スクリーン印刷によって金属接点を直接印刷するのではなく、本発明の方法に従って、インクジェット印刷機によって最初にマスクが太陽電池の基材上に噴射される。マスク付き基材はエッチング処理され、その後エッチング処理された部分はメッキされて金属接点を作り出す。本発明による方法を使用することで約15ミクロメートルの小さな接点を作り出すことが可能になる。