特許第6148238号(P6148238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148238
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】インクジェット印刷法およびプリンター
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20170607BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   B41J2/01 203
   B41J2/01 201
   B41J2/01 451
   B05D1/26 Z
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-536186(P2014-536186)
(86)(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公表番号】特表2014-534913(P2014-534913A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】EP2012069919
(87)【国際公開番号】WO2013057007
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年9月3日
(31)【優先権主張番号】11185928.6
(32)【優先日】2011年10月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039435
【氏名又は名称】オセ−テクノロジーズ・ベー・ヴエー
【氏名又は名称原語表記】OCE’−NEDERLAND BESLOTEN VENNOOTSHAP
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワインステケルス,マテウス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ヘヌフテン,ヘンリクス・セー・エム
(72)【発明者】
【氏名】ケテラーズ,ビョルン・ハー・アー・イェー・エム
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−291338(JP,A)
【文献】 特開2002−144543(JP,A)
【文献】 特開2006−210394(JP,A)
【文献】 特開2002−178505(JP,A)
【文献】 特開2000−177111(JP,A)
【文献】 特開平11−179891(JP,A)
【文献】 米国特許第06010205(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0030708(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
B05D 1/26
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データと所期位置間の少なくとも1つの距離の少なくとも1つの許容偏差とに従って、インクジェット印刷機によって機能材料のドットを、基材上の複数の所期位置に印刷する方法にして、前記インクジェット印刷機は機能材料の液滴を噴射する複数の印刷要素を含む印刷ヘッドを備え、各印刷要素は、基材に垂直なZ方向からの、機能材料の液滴が印刷ヘッドから基材上に噴射される偏差角によって特徴付けられる、方法であって、
a)印刷されることになる第1ドットの第1所期位置を印刷データから引き出すステップであって、第1所期位置は、印刷データに含まれている複数のドットの第1画素の縁部の一部である、ステップと、
b)第1ドットを第1所期位置で印刷するのに適した第1印刷要素を複数の印刷要素から決定するステップと、
c)第1ドットを第1印刷要素によって基材上の第1所在場所に印刷するステップと、
d)印刷されることになる第2ドットの第2所期位置を印刷データから引き出すステップであって、第2所期位置は、印刷データに含まれている複数のドットの第2画素の縁部の一部である、ステップと、
e)第1画素の縁部と、第2画素の縁部との間の所定の隙間を維持するために、第1所期位置と第2所期位置との間の距離の許容偏差を取り出すステップと、
f)第2ドットを印刷するのに適した第2印刷要素を許容偏差に基づいて複数の印刷要素から決定するステップと、
g)第2ドットを第2印刷要素によって基材上の第2所在場所に印刷するステップとを備える、方法。
【請求項2】
第1所在場所と第2所在場所との間の実施可能な距離の範囲を決定するステップを備え、第2印刷要素を決定するステップはさらに決定された範囲に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2印刷要素が、決定された範囲が許容偏差に適合するように決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
範囲を決定するステップが、第2印刷要素の偏差角、第2所期位置、第2印刷要素と基材との間の距離、ならびに印刷ヘッドの基材に対する相対速度によって第2所在場所を推定するステップを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
範囲を決定するステップが、基材上の第1所在場所をインクジェット印刷機の走査手段によって走査するステップを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
範囲を決定するステップが、第1所在場所を、第1印刷要素の偏差角、第1所期位置、第1印刷要素と基材との間の距離、ならびに印刷ヘッドの基材に対する相対速度によって推定するステップを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
第2印刷要素が第1印刷要素と等しくなるように決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
許容偏差がインクジェット印刷機の制御ユニットから取り出される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
許容偏差が印刷データから取り出される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
本方法のステップが第1ドットと第2ドットの複数対に対して繰り返される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数対のドットの1対ごとに、その対の第1ドットは画像の第1画素の縁部の一部であり、その対の第2ドットは画像の第2画素の縁部の一部である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1画素の縁部が第2画素の縁部に対向し、平行である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1画素と第2画素が太陽電池を製作するマスクの一部である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された制御ユニットを備えるインクジェット印刷機。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載の方法を実行するプログラムを備える記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット印刷機によって機能材料のドットを印刷データに従った基材上の複数の所期位置に印刷する方法において、前記インクジェット印刷機は、機能材料の液滴を噴射する複数の印刷要素を含む印刷ヘッドを備え、各印刷要素は、機能材料の液滴が基材上に噴射される偏差角によって特徴付けられる方法であって、印刷されることになる第1ドットの第1所期位置を印刷データから引き出すステップと、第1ドットを第1所期位置に印刷するのに適した第1印刷要素を複数の印刷要素から決定するステップと、第1ドットを第1印刷要素によって基材上の第1所在場所で印刷するステップと、印刷されることになる第2ドットの第2所期位置を印刷データから引き出すステップと、第2ドットを印刷するのに適した第2印刷要素を複数の印刷要素から決定するステップと、第2ドットを第2印刷要素によって基材上の第2所在場所で印刷するステップとを備える方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機能材料の画像を基材上に印刷するためにインクジェット印刷機が使用されることができる。このような機能材料はインクのようなマーキング材料あるいは金属またはシリコンなどの他の種類の機能材料であることができる。機能材料の液滴がインクジェット印刷機の印刷ヘッドの複数の印刷要素によって基材上に噴射される。噴射された機能材料は、インクのピクセルの画像または太陽電池用のマスクのような機能材料のドットの画像を形成することができる。3次元画像さえも印刷されることができる。
【0003】
デジタルデータに従って画像のドット用に決定された基材上の所在場所が印刷ヘッドの少なくとも1つの印刷要素に露出されるように、印刷ヘッドと基材とは互いに対して、少なくとも2つの方向、例えば主走査方向および副走査方向で動かされる。
【0004】
工業的用途では、画像は、印刷構造物に広く使用されている極めて古く、しかしながら刷新された印刷技術であるスクリーン印刷によって印刷されることができる。100ミクロメートルから200ミクロメートルの範囲で印刷されることになる画像の寸法は、スクリーン印刷によって達成されることができる。このような画像は、画素同士の隙間に対して指定寸法および指定距離で精確に印刷されなければならない画素から成る。2つの隣接する画素間の隙間は一般的に100ミクロメートル幅から200ミクロメートル幅の範囲内にある。
【0005】
工業的用途では、太陽電池のような画像が、太陽電池の要素としての金属接点を作り出すために機能材料を含む金属を基材上に直接噴射することによって印刷されることができる。このように印刷された太陽電池の要素は通常100ミクロメートルを超える幅を有する。
【0006】
しかし、様々な用途においては、隣接する画素同士の隙間にさらに小さな寸法を必要とする。このことは、スクリーン印刷の利用によってこれが成されることは、処理能力と必要量とのアスペクト比のためにほとんど不可能である。
【0007】
より小さな寸法の隙間を備えた隣接する画素を作り出すために、インクジェット技術が使用されることができる。
【0008】
線形の要素を備えた構造物は、線形要素の幅が縮小されると、より効果的になることができる。例えば、スクリーン印刷によって太陽電池の前面金属接点を直接印刷するのではなく、インクジェット印刷機によって最初にマスクが太陽電池の基材上に印刷される。印刷された画素を備えるこのマスク付き基材はエッチングされ、その後エッチングされた部分がメッキされて金属接点を作り出す。この加工法を使用すると、対応する隣接する印刷要素同士の隙間が100ミクロメートル未満である場合、100ミクロメートル未満の接点を作り出すことが可能になる。接点が小さいほど、光線を捕らえる太陽電池の領域が大きくなる。言い換えれば、太陽電池上の接点が小さいほど、太陽電池の効率が高くなることができる。
【0009】
しかし、インクジェット印刷機の印刷ヘッドの印刷要素は全て、対応する許容差範囲を備えた仕様に従って作り出されている。仕様および対応する許容差範囲はインクジェット印刷機の制御ユニット内に記憶されることができる。それらは標準的印刷要素の特徴のリストとして記憶されることができる。仕様は、例えば噴射角度の0ラジアンと、機能材料を噴射する最大角度偏向、一般的には最高π/180ラジアンと、などであることができる。
【0010】
他方、このような指定は、テストパタンを印刷し、これを走査してデジタル画像をもたらすことによっても決定されることができる。デジタル画像によって、噴射角度のような印刷要素ごとの特徴が個々に決定されることができる。
【0011】
画像の隣接する2つの画素の対向する縁部同士が、0ラジアンとπ/180ラジアンとの間の偏差を有する印刷要素によって作り出されるとき、対向する縁部同士の隙間は著しく変動する場合がある。角度偏差における最高π/180ラジアンによって起こる2つの対向する画素の縁部同士の距離のこのような変動は許容不可能である場合がある。これは、分離した画素間に隙間を残すように意図されている一方で、画素同士が接触する場合があることによる。他方、太陽電池用のマスクに平行な印刷要素を印刷すると、その結果、様々な距離で離隔された複数の平行な印刷要素ができる。このような距離の多様さが、太陽電池の導電性部分の過熱のような局在効果による太陽電池の最大収率をもたらすことはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、基材上の位置が許容距離未満のドット間距離をともなうようにデジタルデータによって指定される少なくとも2つのドットを印刷することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、序文による方法であって、ドットを基材上の複数の所期位置に印刷する方法は、所期位置間の少なくとも1つの距離に対する少なくとも1つの許容偏差に従うものであり、第1所期位置と第2所期位置との間の距離の許容偏差を取り出し、許容偏差に基づいて第2ドットを印刷するのに適した第2印刷要素を複数の印刷要素から決定するステップを備える方法によって達成される。
【0014】
実験によって、特定の印刷要素から噴射される液滴の大部分は同じ偏差角を有しているということが確立されている。第1印刷要素によって第1ドットを印刷し、第1ドットの所在場所と第2ドットの所在場所との間の実際の距離の予想偏差が、第1所期位置と第2所期位置との間の距離の許容偏差内になるように第2印刷要素を選択することにより、そのようにすることによって、2つのドットの所在場所同士間の距離が印刷データから引き出された所期位置に従ったものになる。
【0015】
一実施形態によると、この方法は、第1所在場所と第2所在場所との間の実施可能な距離の範囲を決定するステップを備え、第2印刷要素を決定するステップはさらに決定された範囲に基づく。このような範囲が決定されると、第2印刷要素は、第1所在場所と第2所在場所との間の実施可能な距離と併せて許容偏差に基づいて決定される。これは、第2印刷要素として選択するための実施可能な印刷要素の候補を少なくするのに有利である。
【0016】
一実施形態によると、第2印刷要素は、決定された範囲が許容偏差に適合可能であるように決定される。決定された範囲は、その範囲が、許容偏差に従った第1所期位置と第2所期位置との間の実施可能な距離の範囲に含まれる場合、許容偏差に適合可能である。
【0017】
一実施形態によると、範囲を決定するステップは、第2印刷要素の偏差角、第2所期位置、第2印刷要素と基材との間の距離、ならびに印刷ヘッドの基材に対する相対速度によって第2所在場所を推定するステップを備える。第2ドットが未だ基材上に印刷されていないことから、基材上の第2所在場所は未知であり、推定されなければならない。正確な推定は、第2印刷要素の偏差角、第2所期位置、第2印刷要素と基材との間の距離、ならびに印刷ヘッドの基材に対する相対速度を考慮に入れることによって達成される。
【0018】
一実施形態によると、範囲を決定するステップは、基材上の第1所在場所をインクジェット印刷機の走査手段によって走査するステップを備える。インクジェット印刷機の走査手段は、印刷ヘッドの環境内に取り付けられることができ、第1ドットが印刷データに従って基材上に印刷されるよう意図された基材上の領域を走査する。第1ドットの所在場所が領域内で検出され、さらに第1所在場所として述べられる。走査された第1所在場所は範囲が決定されるときに使用される。
【0019】
一実施形態によると、範囲を決定するステップは、第1所在場所を、第1印刷要素の偏差角、第1所期位置、第1印刷要素と基材の間の距離、ならびに基材に対する印刷ヘッドの相対速度によって推定するステップを備える。これは、インクジェット印刷機が、基材上のドットを走査する目的の走査手段を備えない場合に有利である。推定された第1所在場所は、範囲が決定されるときに使用される。
【0020】
一実施形態によると、第2印刷要素は第1印刷要素と等しくなるように決定される。基材上の第1ドットの所在場所を決定するステップは省略されることができる。第1印刷要素によって噴射される液滴の大部分は同じ偏差角を有していることから、基材上の第1ドットの所在場所と基材上の第2ドットの所在場所との間の予想距離は印刷データに従っている。この実施形態は、印刷ヘッドの印刷要素の偏差角がインクジェット印刷機にとって未知である場合に有利である。この実施形態は、許容偏差がゼロに等しい場合にも有利である。
【0021】
一実施形態では、許容偏差はインクジェット印刷機の制御ユニットから取り出される。インクジェット印刷機の印刷ヘッドの構成が許容偏差を事前決定することができる。事前決定された許容偏差は制御ユニットのメモリに記憶されることができる。
【0022】
許容偏差も印刷データの一部であることができる。印刷データは通常ネットワーク接続を介してインクジェット印刷機に到着する。印刷データは制御ユニットのメモリまたはインクジェット印刷機内の別のメモリ手段に記憶されることができる。許容偏差は印刷データから取り出される。
【0023】
一実施形態によると、この方法のステップが第1ドットと第2ドットの複数対に対して繰り返される。これは、印刷データに従った仕様が第1ドットと第2ドットの対ごとに距離を規定している場合に有利である。そのようにすることによって、線要素、固体要素などの画素を形成する第1ドットと第2ドットの対がこの方法によって印刷されることができる。
【0024】
一実施形態によると、複数対のドットの1対ごとに、その対の第1ドットは画像の第1画素の縁部の一部であり、その対の第2ドットは画像の第2画素の縁部の一部である。これは、印刷データが、複数の第1ドットのうちの1つのドットから複数の第2ドットのうちの1つのドットまでの距離を規定している場合に有利である。これらの縁部は、印刷データに従って印刷されることになる画像の第1画素の少なくとも部分的に接続された縁部であることができる。複数の第1ドットと複数の第2ドットとの間に1対1のマップが規定されることができ、各対のドット同士の間の距離が1対1のマップに従って決定されることができる。これは、基材上の縁部同士の相互の所在場所が、印刷されることになる画像の機能にとって重要である場合に有利である。
【0025】
一実施形態によると、第1画素の縁部は第2画素の縁部に対向し、平行である。ドットの対向する対ごとに所期距離は同じである。さらに、対向する対ごとの許容偏差は同一である。これらの条件のうちの少なくとも1つの下で、基材上に印刷された平行で対向する縁部同士の間に達成される距離は、所期距離に関して極めて精確であり、2つの縁部に対して意図された許容範囲内にある。
【0026】
一実施形態によると、第1画素と第2画素は、太陽電池製作用のマスクの一部である。太陽電池製作用のマスクのこのような画素は、マスクによって製作される太陽電池の要素の相対物であることができる。このような要素に対して、極めて精確で小さな幅が指定されることができる。このような要素の幅の精度は、マスクの画素の縁部同士の間の精確な距離に依存し、それらの画素は太陽電池の要素の相対物を形成する。本発明による方法を利用するとき、マスクの画素の縁部同士の間のこのような精確な距離が保証される。
【0027】
本発明は、前述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するように構成された制御ユニットを備えるインクジェット印刷機も含む。
【0028】
本発明は、本方法の前述の実施形態のいずれか1つを実行するプログラムを備える記録媒体も含む。
【0029】
次に本発明の方法の実施形態について図面と併せて説明がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による方法を実行するインクジェット印刷機の構成要素の概略図である。
図2A】本発明によるドットの印刷の概略図である。
図2B】本発明によるドットの印刷の概略図である。
図2C】本発明によるドットの印刷の概略図である。
図2D】本発明によるドットの印刷の概略図である。
図2E】本発明によるドットの印刷の概略図である。
図2F】本発明によるドットの印刷の概略図である。
図2G】本発明によるドットの印刷の概略図である。
図3A】本発明による画素の印刷の概略図である。
図3B】本発明による画素の印刷の概略図である。
図3C】本発明による画素の印刷の概略図である。
図4A】本発明による隣接する線状画素の印刷の概略図である。
図4B】本発明による隣接する線状画素の印刷の概略図である。
図4C】本発明による隣接する線状画素の印刷の概略図である。
図4D】本発明による隣接する線状画素の印刷の概略図である。
図4E】本発明による隣接する線状画素の印刷の概略図である。
図4F】本発明による隣接する線状画素の印刷の概略図である。
図4G】本発明によって隣接する線状画素を印刷する際の印刷ヘッドの基材に向かった相対的な動きを示す図である。
図5】少なくとも1つの画素を備えた完全な画像を印刷する本発明による方法のステップの流れ図である。
図6】ドットを噴射する印刷要素を許容データに従って決定する本発明による方法のステップの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、インクジェット印刷機の構成要素の、そこに示されたXYZ方向による概略図を示す。インクジェット印刷機は制御ユニット30、印刷ヘッド4a、印刷ヘッド駆動部32、および印刷ヘッドスケジューラ34を備える。
【0032】
1枚の紙、ウエハ、透明材料、銅クラッド、アルミニウム、ポリテトラフロオロエチレン、インジウムすず酸化物、またはシリコン窒化物などの基材2が、ここに示されていない移送機構によって矢印Xの第1方向に動かされる。複数の印刷要素8を有する印刷ヘッド4aが基材2の経路の上に配設され、基材2の幅の少なくとも一部の上に延びる(図2の図面の平面に対して垂直方向に)。当技術分野で一般的に知られているように、印刷要素8は、インクジェット印刷機の制御ユニット30によって印刷ヘッド4a内に供給された印刷データに従ってドット37から成る画像を印刷するように、印刷要素に機能材料の液滴35を、基材2上に矢印Zで示された方向に反対の方向に噴射させるように構成されたアクチュエータを有する。印刷要素8は基材2の幅に沿って1つまたは複数の線に配置される。図1によると、基材2の幅は図1から外に向くYの方向にあり、これは、図1で示されるように、第1方向Xに対して垂直であり、方向Zの反対方向に対して垂直である。印刷要素8は、とりわけ印刷解像度を規定する印刷ヘッド4a上の特定のラスタ内にある。ラスタ内で、ドット37は基材2上で任意の幅方向の場所に形成されることができる。ドット37の基材上の第1媒体移送方向Xの所在場所は、基材2が印刷ヘッド4aを通過するときの個々の印刷要素が発射されるタイミングによって決定され、印刷ヘッド4a上のラスタ内の発射している印刷要素の位置にも依存する。基材2に印刷ヘッド4aを通過させることは、印刷ヘッド4aが大きな質量を有する場合に特に有利である。代替え的実施形態では、印刷ヘッド4aが基材2を通過する。これは、印刷ヘッド4aの必要な精確な動きが達成されることが可能であるのに、基材2の同じ精度の動きが保証されることが可能でない場合に有利である。
【0033】
カラー印刷機の場合、印刷ヘッド4aとは別に、他の印刷ヘッド4b、4c、4dなどが他の色用の適切な印刷要素8のアレイを含むことになる。
【0034】
印刷されることになる画像を指定する印刷データが印刷ヘッド駆動部32に供給され、それが、印刷ヘッド4aの個々の印刷要素8に適切なタイミングで発射させる。一例として、印刷要素8同士またはそれらのアクチュエータ同士が一定の頻度で同調して発射する能力を有して、サイクルごとにドット37のピクセルの線が基材2上に形成されて、印刷されることになる画像の線状印刷要素の縁部または内側線を形成するように想定されることができる。しかし、他の印刷形式が利用されることもできる。
【0035】
ここに示される実施例では、印刷データは印刷ヘッドスケジューラ34に供給され、これが、印刷要素8のうちのどれが始動されなければならないかを印刷ヘッド4aの作動サイクルごとに指定する。印刷ヘッドスケジューラ34から印刷ヘッド駆動部32に指示信号が送信されて、印刷ヘッド4aで実際に印刷される画像が印刷データによって指定されたトッドから成るようにする。ここでは便宜のため、以下に述べられる基材2上の距離については、距離単位のマイクロメートルを付さずに述べられることができる。
【0036】
図2Aは、そこに示されたXYZ方位による印刷ヘッド4aの側面概略図を示す。印刷ヘッド4aは、印刷ヘッド4aの複数の印刷要素の基準となる印刷要素を表す印刷要素Rを備える。印刷要素Rは、機能材料の液滴を基材2上に、0ラジアンからδ/2ラジアンに絶対値が変動する角度下で噴射することができる。基材2は印刷ヘッド4aに向かって距離Dを有する。印刷要素から噴射された液滴は、Dsin(δ/2)に等しい半径rを有する範囲11内で基材2に打ち当たることができる。角度が0ラジアンに等しい理想的な場合には、液滴は印刷要素Rの下で垂直に、所在場所12内でZ方向の反対方向に基材に打ち当たる。ここでは便宜のため、印刷ヘッド4aの下の基材2の速度は距離Dに関して無視できると想定される。印刷ヘッド4aの下の基材2の速度が無視できない場合は、本方法のステップは、印刷ヘッド4aの下の基材2の速度を考慮に入れて容易に適合される。0ラジアンからδ/2ラジアンの絶対角度の範囲は印刷ヘッド4aの印刷要素の特徴に属する。
【0037】
図2Bは、そこに示されたXYZ方位による基材2の一部分の上面概略図を示す。印刷ヘッド4aから第1液滴と第2液滴が噴射されて、基材2上でそれぞれ第1ドットAと第2ドットBになる。第1ドットAと第2ドットBは、印刷データに従って、第1所期位置と第2所期位置との間に距離dが存在するようにそれぞれ第1所期位置と第2所期位置を有するはずである。図2Aに示される0ラジアンからδ/2ラジアンの絶対角度の範囲は、基材2上の第1ドットAの所在場所と基材2上の第2ドットBの所在場所との間の距離の実施可能な実際の範囲を規定しており、それは図2Bに示されるように最小距離d−2rの範囲から最大距離d+2rの範囲まで変動する。実施可能な実際の範囲は、印刷ヘッド4aの印刷要素の特徴から引き出し可能である。特徴は印刷ヘッド4aによって画像印刷の前または画像印刷中の規則的な時間間隔で決定されることができる。
【0038】
第1ドットAと第2ドットBとの間の公称距離dが印刷データ内で指定され、例えば第1ドットAと第2ドットBとの座標から引き出されるユークリッド距離などがある。第1ドットAと第2ドットBとの間の公称距離からの許容偏差も印刷データに指定される。
【0039】
第1の事例では、第1ドットAが第1印刷要素によって噴射され、第2ドットBが第2印刷要素によって噴射され、印刷データに基づいた公称距離dプラスまたはマイナス第1印刷要素の偏差角による偏差、かつプラスまたはマイナス第2印刷要素の偏差角による偏差は、公称距離プラスまたはマイナス許容偏差の間で変動する。その結果第1ドットAと第2ドットBとの間の予想される実際の距離が印刷データの指定と合致する。第1ドットAと第2ドットBとは印刷ヘッド4aからの任意に選択された印刷要素によって印刷されることができる。
【0040】
第2の事例では、第1ドットAは第1印刷要素によって噴射され、第2ドットBは第2印刷要素によって噴射され、印刷データに基づいた公称距離dプラスまたはマイナス第1印刷要素の偏差角による偏差、かつプラスまたはマイナス第2印刷要素の偏差角による偏差は、公称距離マイナス許容偏差未満であり、または公称距離プラス許容偏差よりも大きい。その結果第1ドットAと第2ドットBとの間の予想される実際の距離は印刷データの仕様と合致しない。
【0041】
例えば、公称距離の許容範囲はd−rからd+rである。このような許容範囲が図2Cに示されている。その結果、第1ドットAと第2ドットBとは印刷ヘッド4aから任意に選択された印刷要素によって印刷されるべきではない。これは、ドットA、B間の距離は、d−2rからd−rまでの第1副範囲内、またはd+rからd+2rまでの第2副範囲内に入る場合があることによる。第1副範囲と第2副範囲は、公称距離のd−rからd+rまでの許容範囲の外にある。この適合不能性は本発明による方法を適用することによって克服される。
【0042】
図2Dは、印刷ヘッド4aの第1印刷要素Nが液滴を噴射し、それが基材2上で第1ドットAになるのを示す。第1印刷要素Nは、印刷要素の開口部と基材2との間の経路に対して偏差角を有することから、第1ドットAは、印刷要素Nの下の垂直な位置で基材2に打ち当たらない。第1ドットAの予想所在場所の所期位置と計画された第2ドットBの予想所在場所の所期位置との間の公称距離dが両方向矢印によって示される。
【0043】
第1ドットAの基材上の第1所在場所が決定されることになる。この決定は第1ドットAの所期位置と第1印刷要素Nの角度偏差とに基づいて第1ドットAの第1所在場所を算出することであることができる。代替え的実施形態では、第1ドットAの第1の実際の位置は、例えば印刷ヘッド上に取り付けられたスキャナまたはカメラによって決定される。これは、所期位置に従った基材2上の所在場所の環境内で基材上の第1ドットAを探索する。図2Dに示されるように、印刷要素Nは大きな偏差角を有する。
【0044】
第2ドットBを印刷するために、印刷要素ごとの第2ドットBを印刷する適性が分析される。噴射されるように意図された第2ドットBの予想所在場所と第1ドットAの所在場所との間の距離の最大偏差Xが印刷要素ごとに決定される。この決定は、印刷要素の偏差角、第1ドットAの第1所期位置と第1ドットAの第1所在場所との間の距離、ならびに第1ドットAの第1所期位置と第2ドットBの第2所期位置との間の距離の許容偏差に基づく。
【0045】
第1ドットAの決定位置と、印刷データに従った第2ドットBの所期位置と印刷要素の偏差角とに基づいた第2ドットBの予想位置との間の距離が許容距離d+r未満であり、許容距離d−rよりも大きい場合、印刷要素は第2ドットBを噴射するのに適している。許容距離範囲[d−r、d+r]は印刷データに含まれることができる。
【0046】
図2Eに示されるように適切な第2印刷要素Mによって別の液滴が噴射される。第2液滴は基材2に打ち当たって第2ドットBになる。本発明の方法による第2印刷要素Mの選択によって、第1ドットAと第2ドットBは、この場合、距離d+αr分距離を置かれる。但しαは−1と1の間の実数である。第1ドットAと第2ドットBの間の距離d+αrは、印刷データに従った許容範囲[d−r、d+r]に適合可能である。
【0047】
図2F〜2Gに特定的な実施形態が示される。第2印刷要素Mが第1印刷要素Nと同じである。第1と第2ドットが印刷要素Nの同じ偏差角で印刷されることから、第1印刷要素Nは常に第2ドットBを印刷するのに適している。MはNと等しいことから、第2ドットは図2Gで符号表示Bによって表される。
【0048】
図2Fは、印刷ヘッド4aの印刷要素Nが第1時間tに液滴を噴射して、それが基材2上で第1ドットAになるのを示す。印刷要素Nは噴射経路に対して偏差角を有することから、第1ドットAは印刷要素Nの下で垂直の位置で基材2に打ち当たらない。第1時間t後の第2時間tで、図2Gに示されるように同じ印刷要素Nによって第2液滴が噴射される。第2液滴は基材2に打ち当たって第2液滴Bになる。同じ印刷要素Nが第1と第2液滴を噴射しているので、第2液滴の角度偏差は、ほとんど確実に第1液滴の角度偏差と同じである。第1と第2液滴の角度偏差が同じであると推定されることから、第1ドットAと第2ドットBは距離d分距離を置かれていると推定される。したがって、第1ドットAと第2ドットBの間の距離は、印刷データに従った許容範囲[d−r、d+r]内にある。
【0049】
図3Aは本発明による方法の他の実施形態を示す。印刷されることになる画像は第1画素Fと第2画素Gを備える。第1画素Fは第1縁部によって包囲された第1ヘッジ域を備える。第1縁部はいくつかの所在場所A、A、A、Aを備える。第2画素Gは第2縁部によって包囲された第2ヘッジ域を備える。第2縁部はいくつかの所在場所B、B、B、Bを備える。画像用の印刷データは所在場所Aと所在場所Bの間の距離d11、所在場所Aと所在場所Bの間の距離d12、所在場所Aと所在場所Bの間の距離d13、ならびに所在場所Aと所在場所Bの間の距離d14を指定する。画像用の印刷データは、所在場所Aと所在場所Bの間の距離d11の第1許容範囲、所在場所Aと所在場所Bの間の距離d12の第2許容範囲、所在場所Aと所在場所Bの間の距離d13の第3許容範囲、ならびに所在場所Aと所在場所Bの間の距離d14の第4許容範囲も備える。
【0050】
本発明の方法によれば、第1印刷要素によって基材上に印刷されるドットと第2印刷要素によって基材上に印刷される第2ドットとの間の距離が、所在場所Aと所在場所Bの間の距離d11の第1許容範囲内であると予想されるように、所在場所A上のドットは印刷ヘッド4aの第1印刷要素によって印刷されることになり、所在場所B上のドットを印刷するように第2印刷要素が選択されることになる。
【0051】
第1印刷要素とは異なるこのような第2印刷要素が選択されることが可能でないとき、第2印刷要素は、図2F〜2Gに示された状況と同様に、第1印刷要素と同一であるように選択されることができる。
【0052】
同じステップが、所在場所A上のドットと所在場所B上のドットに対して、所在場所Aと所在場所Bの間の距離d1iの第i許容範囲と組み合わせて適用されることができる。但しiは2、3、4である。
【0053】
距離d11、d12、d13、d14は長さおよび方位に関して異なることが留意される。一般に、第1画素Fと第2画素Gの縁部同士の完全対向部分を形成する対の所在場所は、異なった距離を有する。
【0054】
他の実施形態では、第1縁部の連続部分を形成する第1縁部上のいくつかの所在場所の許容範囲と、第2縁部上の対応するいくつかの所在場所の許容範囲とが印刷データに規定される。その結果、連続部分上のいくつかの所在場所上に印刷されることになるドットが、同じ第1印刷要素によって印刷され、第2縁部上の対応する所在場所上に印刷されることになるドットが、本発明の方法によって選択された印刷ヘッド4aの第2印刷要素によって印刷されることができる。第2縁部上の対応する所在場所も第2縁部の連続部分を形成することができる。第2印刷要素が選択されることが可能でない場合、連続部分上のいくつかの所在場所に印刷されることになる全てのドットと、第2縁部上の対応する所在場所上に印刷されることになる全てのドットとが、印刷ヘッド4aの同じ第1印刷要素によって印刷されることができる。
【0055】
図3Bは本発明による方法の他の実施形態を示す。印刷されることになる画像は第1画素Fと第2画素Gを備える。第1画素Fは3つの線分によって包囲される第1三角域を備える。第1線分Lはいくつかの所在場所C、C、C、Cを備える。第2画素Gは3つの線分によって包囲される第2三角域を備える。第2三角域を包囲する3つの線分の第2線分Lは、いくつかの所在場所D、D、D、Dを備える。第1画素Fの所在場所C、C、C、Cと第2画素Gの所在場所D、D、D、Dとの他に、画像の印刷データは、所在場所Cと所在場所Dとの間の距離d21の第1許容範囲、所在場所Cと所在場所Dとの間の距離d22の第2許容範囲、所在場所Cと所在場所Dとの間の距離d23の第3許容範囲、ならびに所在場所Cと所在場所Dとの間の距離d24の第4許容範囲も備える。
【0056】
本発明の方法によると、所在場所C上のドットは印刷ヘッド4aの第1印刷要素よって印刷されることになり、基材上の第1印刷要素によって印刷されたドットと第2印刷要素によって印刷された第2ドットとの間の距離が所在場所Cと所在場所Dとの間の距離d21の第1の許容範囲内であることが予想されるように、所在場所D上のドットを印刷するように第2印刷要素が選択されることになる。
【0057】
第1印刷要素とは異なるこのような第2印刷要素が選択されることが可能でないとき、第2印刷要素は、図2F〜2Gに示された状況と同様に、第1印刷要素と同一であるように選択されることができる。
【0058】
同じステップが、所在場所C上のドットと所在場所D上のドットに対して、所在場所Cと所在場所Dの間の距離d2iの第i許容範囲と組み合わせて適用されることができる。但しiは2、3、4である。
【0059】
距離d21、d22、d23、d24は長さに関しては異なるが、方位に関して等しいことが留意される。一実施形態では、第1画素Fと第2画素Gの縁部同士の完全に対向する部分を形成する対の所在場所は、図2Dで方向Yとして示された基材の幅の方向と等しい方位を有することができる。
【0060】
他の実施形態では、第1線分Lの連続部分を形成する第1線分L上のいくつかの所在場所の許容範囲と、第2線分L上の対応するいくつかの所在場所の許容範囲とが印刷データに規定される。その結果、連続部分上のいくつかの所在場所上に印刷されることになる全てのドットが第1印刷要素によって印刷されることができ、第2線分L上の対応する所在場所上に印刷されることになる全てのドットが、本発明の方法によって選択された印刷ヘッド4aの第2印刷要素によって印刷されることができる。第2印刷要素が選択されることが可能でない場合、第1線分Lの連続部分上の全てのドットと、第2線分Lの対応する部分の全てのドットが、同じ第1印刷要素によって印刷されることができる。第2線分L上の対応する所在場所も第2線分Lの連続部分を形成することができる。さらに、連続部分は第1線分L全体であることもできる。また、第2線分L上の対応する所在場所は第2線分L全体であることもできる。画素F、Gはそれぞれ三角形状と四角形状を有する。本発明による方法は、線分によって包囲された任意の他の領域または包囲縁部を有する任意の他の領域にも適用可能である。
【0061】
図3Cは本発明による方法の他の実施形態を示す。印刷されることになる画像は第1画素Fと第2画素Gを備える。第1画素Fは4つの線分によって包囲された第1四角領域を備える。第1線分Lはいくつかの所在場所P、P、P、Pを備える。第2画素Gは4つの線分によって包囲された第2四角領域を備える。第2四角領域を包囲する4つの線分のうちの第2線分Lはいくつかの所在場所Q、Q、Q、Qを備える。第1画素Fの第1線分Lと第2画素Gの第2線分Lとは対向し、平行である。画像の印刷データは、所在場所Pと所在場所Qの間、所在場所Pと所在場所Qの間、所在場所Pと所在場所Qの間、所在場所Pと所在場所Qの間の同じ距離dに対して同じ許容範囲を備える。
【0062】
所在場所P、P、P、P上のドットを印刷する第1印刷要素とQ、Q、Q、Q上のドットを印刷する第2印刷要素とは本発明によって選択されることができる。第1印刷要素とは異なる第2印刷要素が選択されることが可能でない場合、所在場所P、P、P、P、Q、Q、Q、Q上の全てのドットが同じ第1印刷要素によって印刷されることができる。
【0063】
代替え的実施形態では、第1印刷要素と第2印刷要素は両方とも、第1所期位置と第2所期位置から引き出された所期距離と対応する許容偏差から引き出された所期許容範囲とに合致するように複数の印刷要素から選択される。
【0064】
印刷データに従った所期許容範囲が、印刷ヘッド4aの基準印刷要素からの特徴から引き出された許容範囲に適合しないとき、所在場所P、Q、P、Q、P、Q、P、Q上のドットは印刷ヘッド4aの同じ印刷要素によって印刷されることができる。
【0065】
距離dは長さおよび方位に関して等しいことが留意される。第1画素Fと第2画素Gの縁部同士の完全に対向する平行な部分を形成する対の所在場所は、図2Dの方向Yとして示される基材の幅の方向と等しい方位を有する。これは、印刷ヘッドが図2Dに従ってX方向に、完全な第1線分Lを印刷するのに適した本発明の方法による印刷要素を1つだけ使用して第1線分Lに沿って動くことが可能であり、完全な第2線分Lを印刷するのに適した本発明の方法による印刷要素を1つだけ使用して第2線分Lに沿って動くことも可能であることから、有利である。
【0066】
図4Aおよび図4Cは、第1画素21が時間tの第1時点で印刷されるところを示す。図4Bおよび図4Dは、第2画素22が時間tの第1時点よりも後の時間tの第2時点で印刷されるところを示す。
【0067】
第1画素21の右縁部が時間tの第1時点で第1印刷要素Nによって印刷される。次いで第1画素21の右縁部を形成するドットの所在場所が決定される。次いで、第1画素21の既に印刷された右縁部と第2画素22の左縁部との間の予想距離が印刷データに従って指定された許容範囲内になるように、第2印刷要素Mが選択される。この場合、許容範囲は[d−r、d+r]に等しい。次いで第2画素22の右縁部が第2印刷要素Mによって印刷される。第2印刷要素Mは、印刷データに従って指定された所期距離dと距離dの許容範囲[d−r、d+r]という条件に合致する角度偏差を有することができる。印刷要素Nと印刷要素Mのどのような種類の角度偏差にもかかわらず、第1線状画素21の右縁部と第2線状画素22の左縁部との間の距離は所期距離dの許容範囲、即ちd+αr内にある。
【0068】
図4E〜4Fは、第2印刷要素Mが第1印刷要素Nと同じとなるように選択される特定的な実施例を示す。その結果、第1画素21の右縁部と第2画素22の左縁部との間の距離は、所期距離dに等しくなることが予想される。この実施形態によると第1画素21の左縁部の所在場所は決定される必要がないことが留意される。
【0069】
図4Gは、本発明に従って隣接した線状画素を印刷する際の印刷ヘッドの基材に向かった相対的な動きを説明する。
【0070】
図4Gは、少なくとも3つの斜線状画素23、28が印刷されることになる基材の部分2Aを示す。第1画素23は、第1画素23の右縁部25に到達するまで第1画素23を完全に埋めるように、印刷ヘッドを主走査方向MSと副走査方向SSとに動かすことによって、印刷ヘッドの少なくとも1つの印刷要素によって印刷される。主走査方向は図2DのX方向に等しくあることができ、副走査方向SSは図2DのY方向と等しくあることができる。
【0071】
このような第1画素23の完全な埋め尽くしは、印刷されることになる第1画素23のドットのカラムごとに、主走査方向MSの動きと副走査方向SSの小さな動きと主走査方向MSとは反対の動きとを繰り返すことによって達成されることができる。時間の特定時点で、印刷ヘッドは右縁部25を除く第1画素23を完成している。第1画素23の右縁25は、第1印刷要素N(図示されず)によって、第1印刷要素Nからインクの液滴を噴射することによって印刷されるよう意図される。
【0072】
ここでは便宜のため、かつ限定しない意味で、印刷ヘッドの第1印刷要素Nは、第1画素23の上縁部20で右縁部25を印刷するための出発点Aに位置決めされると想定される。右縁部25を印刷するために、印刷ヘッドは主走査方向MSで第1画素23の下縁部29に向かって動いてゆく。本発明の先の実施形態によって、第2画素28の左縁部27は、本発明方法のステップに従って選択された第2印刷要素Mによって印刷されることができる。印刷ヘッドの副走査方向への動きは、第2印刷要素Mが、第2画素28の左縁部が印刷データに従って印刷されるよう意図される基材の上側にあるように適用される。
【0073】
他の先の実施形態によると、第2印刷要素Mも第1印刷要素Nと同じであることができる。図4Gは、第2印刷要素Mが第1印刷要素Nと同じ場合の副走査ステップを示す。
【0074】
第1印刷要素Nが第1画素23の右縁部25を完成させた後、印刷ヘッドは矢印24に従って副走査方向SSに動きを成す。副走査方向SSに動かされる距離は、印刷データに指定される第1画素23の右縁部25と第2画素28の左縁部27との間の距離となるように決定される。第1印刷要素Nはここで第2画素28の左縁部27を印刷する位置にある。これを達成するために、印刷ヘッドは主走査方向MSの反対方向に第2画素28の上縁部26に向かって動く。印刷ヘッドが主走査方向MSの反対方向へ動く間、印刷要素Nは、第2画素28の左縁部27を形成するようにインクの液滴を噴射している。これらの動きが、基材の部分2A上の画素の残りの縁部のために繰り返されることができる。
【0075】
図5は、例えば図4Gに示されるように少なくとも1つの画素で完全な画像を印刷する本方法のステップを示す。
【0076】
出発点1は、画像データおよび許容データを含む印刷データがインクジェット印刷機のメモリ内にある状況である。
【0077】
第1ステップS1に従って、許容データを含む印刷データがインクジェット印刷機のメモリから取り出される。印刷データは印刷されることになるピクセル値、例えばビットマップを備える。
【0078】
第2ステップS2に従って、許容データを有さないビットマップのピクセルごとに印刷要素がアドレスされる。
【0079】
第3ステップS3に従って、ピクセル対(Pi、Qi)の数nが印刷データと各対が許容偏差を有する許容データとから決定される。
【0080】
初期化ステップS4に従って、インデックスiがゼロに初期化される。
【0081】
インクリメントするステップS5に従って、インデックスiが1だけ増大される。
【0082】
第1判定ステップS6に従って、インデックスiが尚も決定された対の数nよりも小さいか否かがチェックされる。
【0083】
そうである場合、第i対が後続のステップS7〜S10でさらに処理される。
【0084】
第1処理ステップS7に従って、ピクセルPiを印刷する印刷要素Nが決定される。印刷要素Nは、第2ステップS2でピクセルPiにアドレスされた印刷要素を取ることによって決定されることができる。
【0085】
第2処理ステップS8に従って、ピクセルQiを印刷する印刷要素Mが決定される。印刷要素Mは許容偏差を考慮に入れて決定される。この処理ステップが図6でさらに説明される。
【0086】
第3処理ステップS9に従って、ピクセルPiを印刷する印刷要素Nの番号Nがメモリに記憶される。ピクセルPiを印刷するように印刷要素Nがアドレスされる。
【0087】
第4処理ステップS10に従って、ピクセルQiを印刷する印刷要素Mの番号Mがメモリに記憶される。ピクセルQiを印刷(pint)するように印刷要素Mがアドレスされる。
【0088】
処理ステップS7〜S10を繰り返すことによって、印刷されることになる全てのピクセルに印刷要素がアドレスされる。
【0089】
最後のステップS11に従って、ピクセルにアドレスされた記憶された印刷要素の番号に従った印刷要素によって、画像のピクセルが印刷される。
【0090】
印刷データに従って画像が印刷されるうちに終点2が到達される。許容データも考慮に入れられる。
【0091】
図6は、図5の処理ステップS8を、図2D〜2Eを参照してさらに説明する。
【0092】
図5の処理ステップS8に入るとき、出発点Aが到着される。
【0093】
第1ステップS81に従って、基材上の第1ドットAの第1所在場所が決定される。この決定は、ピクセルPiに従った第1ドットAの所期位置と第1印刷要素Nの角度偏差とに基づいた第1ドットAの第1所在場所の算出であることができる。
【0094】
第2ドットBを印刷するために、印刷要素ごとの第2ドットBを印刷する適性が分析される。複数の印刷要素には1からmの番号が付されると想定される。
【0095】
初期ステップS82で、インデックスjがゼロに初期化される。
【0096】
インクリメントするステップS83で、インデックスjが1だけ増大される。
【0097】
第1判定ステップS84で、インデックスjが尚も最大番号mよりも小さいか否かがチェックされる。
【0098】
そうである場合、第j印刷要素は調査ステップS85でさらに分析される。第j印刷要素によって噴射されるように意図された第2ドットBの予想所在場所と第1ドットAの所在場所との間の距離の最大偏差Xが決定される。この決定は、第j印刷要素の偏差角、第1ドットAの第1所期位置と第1ドットAの第1所在場所との間の距離、ならびに第1ドットAの第1所期位置と第2ドットBの第2所期位置との間の距離の許容偏差に基づく。
【0099】
第2判定ステップS86では、最大偏差Xが許容偏差未満であるか否かがチェックされる。第1ドットAの決定位置と、印刷データに従った第2ドットBの所期位置と第2印刷要素の偏差角とに基づいた第2ドットBの予想位置との間の距離が許容距離d+r未満であり、許容距離d−rよりも大きい場合、第j印刷要素は第2ドットBを噴射するのに適している。許容距離範囲[d−r、d+r]は印刷データに含まれることができる。
【0100】
第j印刷要素が第2ドットBを噴射するのに適している場合、番号jは次のステップS87でインクジェット印刷機のメモリに記憶される。
【0101】
このようにして、インクジェット印刷機の全ての印刷要素の適切性が調査される。第1印刷要素Nが常に適切であると判明されて記憶されることから、メモリに記憶される適切な印刷要素の数は常にゼロより大きいことが留意される。
【0102】
最後のステップS88で、メモリに記憶された少なくとも1つの印刷要素から印刷要素Mが選択される。この選択は、印刷要素Mに対して算出された最大偏差Xと許容偏差との間の差異、印刷要素Mに対して算出された最大偏差Xの絶対値、第1印刷要素Nに対する印刷ヘッド上の印刷要素Mの位置、印刷ヘッド上の印刷要素Mと第1印刷要素との相対的な位置、ならびに第1ドットAと第2ドットBとの相対的な位置、のうちの1つに基づくことができる。
【0103】
ステップS81〜S88の最終点Bが到達され、図5による方法が第3処理ステップS9によって進んで行くことができる。
【0104】
代替え的実施形態では、第1ドットAの第1位置は第1ドットAを印刷した後に決定される。このような決定は、例えば印刷ヘッド上に取り付けられたスキャナまたはカメラによって基材を走査することによって達成されることができる。スキャナまたはカメラは、第1ドットAの所期位置に従った基材2上の所在場所の環境内で基材上の第1ドットAを探索する。走査された所在場所が図6の第1ステップに従った推定所在場所から大きく異なって、第2ドットBにアドレスされた印刷要素がもはや適切でなくなった場合、印刷データおよび許容偏差に従った第2ドットBを印刷するのに尚も適切な別の印刷要素がその時点で決定されることができる。
【0105】
本方法の上述の実施形態のうちの1つが、マスクを印刷するために、例えば太陽電池を製造するために使用されることができる。マスク上の2つの平行な画素同士の間の小さな距離が実験によって確立されている。正面の金属接点の線幅を縮小することによって太陽電池の効率向上が実現されることが可能である。スクリーン印刷によって金属接点を直接印刷するのではなく、本発明の方法に従って、インクジェット印刷機によって最初にマスクが太陽電池の基材上に噴射される。マスク付き基材はエッチング処理され、その後エッチング処理された部分はメッキされて金属接点を作り出す。本発明による方法を使用することで約15ミクロメートルの小さな接点を作り出すことが可能になる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6