(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148243
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】増強された活性および水熱安定性を有するリン修飾分解触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 37/28 20060101AFI20170607BHJP
B01J 29/85 20060101ALI20170607BHJP
C10G 11/05 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
B01J37/28
B01J29/85 M
C10G11/05
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-541136(P2014-541136)
(86)(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公表番号】特表2015-511869(P2015-511869A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】US2012063526
(87)【国際公開番号】WO2013067481
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年10月29日
(31)【優先権主張番号】61/555,637
(32)【優先日】2011年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ケルカー,チャンドラセカール パンドゥラング
(72)【発明者】
【氏名】フー,チー
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】イルマズ,ビルジ
【審査官】
増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−501341(JP,A)
【文献】
特開昭63−197549(JP,A)
【文献】
特表2006−521266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
C10G 11/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FCCゼオライト触媒をリンで修飾するプロセスであって、前記触媒に2重量%未満のNa2Oのナトリウム含有量を提供するように結晶化されたままの触媒をアンモニウム塩と交換することと、前記触媒中0.5〜2重量%のP2O5を添加するのに十分な量の第1のリン酸塩溶液で前記アンモニウム交換された触媒を処理することと、前記リン処理触媒をアンモニウムイオン交換してNa2Oとして0.5重量%未満のナトリウム含有量を有する低ナトリウム触媒を産生することと、前記触媒に前記触媒中2〜4重量%のP2O5を提供するのに十分な量の第2のリン酸塩溶液で前記低ナトリウム触媒を処理することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記第1のアンモニウムイオン交換または前記第1のリン処理のいずれかの後に前記触媒を希土類カチオンとイオン交換して、希土類酸化物として0.5〜10重量%の希土類を前記触媒に組み込むことを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記触媒がY型ゼオライトである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記Y型ゼオライトがカオリンおよびさらなるシリカ源からin−situ形成される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記低ナトリウム触媒が、Na2Oとして0.2重量%未満のナトリウム含有量を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記触媒の前記リン含有量が、前記第2のリン処理時に、前記触媒に対してP2O5として2.8〜3.5重量%である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
希土類交換後に、前記触媒が華氏800〜1000度の温度で焼成される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項8】
前記焼成が付加蒸気の不在下で行われる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記希土類カチオンが前記第1のリン酸処理後に交換される、請求項2に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カオリン出発物質から調製されたリン含有触媒およびその触媒を利用した炭化水素接触分解プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
接触分解は、商業的に大規模に適用される石油精製プロセスである。米国の精製所のガソリン混合プールの約50%がこのプロセスによって生成されており、ほぼすべてが流動接触分解(FCC)プロセスを用いて生成されている。現在、すべての商業的FCC触媒は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、カオリン、粘土等の無定形または無定形/カオリンマトリックス中に結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライト、具体的には、合成フォージャサイト、すなわち、Y型ゼオライトを含有する。
【0003】
Y型ゼオライトに悪影響を及ぼすソーダ含有量を低減させるイオン交換技法を用いて希土類イオンまたはアンモニウムイオンを包含することによってゼオライトの熱蒸気(水熱)安定性を増加させる数々の研究が行われている。重質炭化水素原料をより有益な生成物に変換するために、超安定Y型ゼオライト(USY)および焼成希土類交換Y型ゼオライト(CREY)等の熱的および化学的に修飾されたY型ゼオライトが商業的に使用されている。
【0004】
先行技術の流動接触分解触媒において、活性ゼオライト成分は、2つの一般的な技法のうちの1つによって触媒の微粒子に組み込まれる。1つの技法において、ゼオライト成分は、結晶化され、その後、別のステップにおいて微粒子に組み込まれる。第2の技法であるin−situ技法において、微粒子が最初に形成され、その後、ゼオライト成分がそれら自体微粒子中で結晶化されて、ゼオライト成分および非ゼオライト成分の両方を含有する微粒子を提供する。
【0005】
流動接触分解触媒が商業的に成功を収めるために、商業的に許容される活性、選択性、および安定性を有しなければならないことが以前から認識されている。これは、経済的に魅力のある収率をもたらすのに十分に活性でなければならず、所望される生成物を生成するが、所望されない生成物を生成しないように良好な選択性を有しなければならず、商業的に有用な寿命を有するのに十分に水熱的に安定しており、かつ摩擦耐性を示さなければならない。
【0006】
相互参照によって本明細書に組み込まれる教示である米国特許第4,493,902号は、約40重量%を超え、好ましくは50〜70重量%のY型フォージャサイトを含有する、摩擦耐性で高ゼオライト含有量の触媒活性微粒子を含む新規の流動分解触媒、および2つの異なる形態の化学反応性の高い焼成粘土(すなわち、メタカオリン(脱水酸化に関連した吸熱反応を経るように焼成されたカオリン)およびカオリンからメタカオリンに変換するために使用される条件よりも厳しい条件下で焼成されたカオリン粘土、すなわち、特徴的なカオリン発熱反応を経るように焼成されたカオリン粘土(スピネル形態の焼成カオリンと呼ばれることもある))の混合物からなる多孔性微粒子中で約40%を超えるY型ゼオライトナトリウムを結晶化することによってそのような触媒を作製するための方法を開示する。好ましい実施形態において、2つの形態の焼成カオリン粘土を含有する微粒子は、好ましくは得られる最大量のY型フォージャサイトが微粒子中で結晶化されるまで加熱されるアルカリ性ケイ酸ナトリウム溶液中に浸漬される。
【0007】
米国特許第4,493,902号の技術の実施において、その中でゼオライトが結晶化される多孔性微粒子は、好ましくは、微粒子を形成するために噴霧乾燥機に充填されるスラリーの流動化剤として働き、その後、噴霧乾燥した微粒子の成分に物理的完全性を提供する機能を果たす少量のケイ酸ナトリウムとともに発熱を経た、粉末の生(水和)カオリン粘土(Al
2O
3:2SiO
2:2H
2O)および粉末の焼成カオリン粘土の水性スラリーを形成することによって調製される。水和カオリン粘土および発熱を経るように焼成されたカオリンの混合物を含有する噴霧乾燥した微粒子は、その後、微粒子の水和カオリン粘土部分を脱水し、かつそのメタカオリンへの変換をもたらすために、カオリンに発熱を経させるのに必要とされる条件よりも厳しくない制御された条件下で焼成され、メタカオリン、発熱を経るように焼成されたカオリン、およびケイ酸ナトリウム結合剤の所望の混合物を含有する微粒子をもたらす。米国特許第4,493,902号の説明的な例において、ほぼ同重量の水和粘土およびスピネルが噴霧乾燥機中の供給原料に存在し、結果として生じる焼成微粒子は、メタカオリンよりも発熱を経た粘土を若干多く含有する。米国特許第4,493,902号は、焼成微粒子が、その特徴的な発熱を特徴とする約30〜60重量%のメタカオリンおよび約40〜70重量%のカオリンを含むことを教示している。この特許に記載のあまり好ましくない方法は、メタカオリン状態になるように事前に焼成されたカオリン粘土とスラリー中にいかなる水和カオリンも含むことなく発熱を経るように焼成されたカオリンとの混合物を含有するスラリーを噴霧乾燥し、それによって水和カオリンをメタカオリンに変換するように焼成することなく直接発熱を経るように焼成されたメタカオリンおよびカオリンの両方を含有する微粒子を提供することを含む。
【0008】
米国特許第4,493,902号に記載の発明を実行する際に、発熱を経るように焼成されたカオリンおよびメタカオリンからなる微粒子は、微粒子中のシリカおよびアルミナを合成フォージャサイトナトリウム(Y型ゼオライト)に変換するために、結晶化開始剤(シード)の存在下で苛性濃縮ケイ酸ナトリウム溶液と反応する。これらの微粒子は、ケイ酸ナトリウム母液から分離され、希土類、アンモニウムイオン、またはこれら両方とイオン交換され、希土類または様々な既知の安定化形態の触媒を形成する。米国特許第4,493,902号の技術は、高活性、良好な選択性、および熱安定性、ならびに摩擦耐性を伴う高ゼオライト含有量の望ましい一意の組み合わせを実現するための手段を提供する。
【0009】
前述の技術は、幅広い商業的成功を収めている。摩擦耐性も示す高ゼオライト含有量微粒子の有効性の理由から、特注設計の触媒は、費用のかかる機械再設計を招くことなく活性および/または選択性を改善する等の具体的な達成目標を掲げる精油業者に現在利用されている。国内および国外の精油業者に現在供給されているFCC触媒のかなりの部分は、この技術に基づいている。
【0010】
リンまたはリン化合物を含む触媒は、米国特許第4,498,975号、同第4,504,382号、同第4,839,319号、同第5,110,776号に記載されている。これらの参考文献は、ゼオライト触媒の接触分解活性および選択性がリンの添加によって改善され得ることを開示している。
【0011】
例えば、米国特許第4,454,241号に開示の発明に従って、粘土出発物質から調製された結晶性ケイ酸アルミニウムゼオライト、その粘土由来の残渣、および有効量のリンを含む触媒が提供され、この触媒は、(a)粘土由来のアルカリ金属含有Y型結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライトおよび粘土由来の残渣を非アルカリ金属カチオンとイオン交換して、前述のアルカリ金属含有ゼオライトのアルカリ金属含有量を低減させるステップ、(b)結果として生じるイオン交換されたゼオライトおよび粘土由来の残渣を焼成するステップ、ならびに(c)結果として生じる焼成ゼオライトおよび粘土由来の残渣を、有効量のリンを上述の焼成ゼオライトおよび残渣と複合するのに十分な期間、リン酸二水素アニオン、亜リン酸二水素アニオン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアニオンを含む媒体と接触させるステップによって調製されている。
【0012】
米国特許第5,378,670号は、リン修飾ゼオライト/分子篩の調製を開示しており、部分的に水素のアンモニウム交換されたゼオライトナトリウム/分子篩は、リン含有ゼオライト/分子篩組成物を得るためにH
3PO
4等のリン化合物と合わせられ、リン反応ゼオライト/分子篩を得るために熱処理(蒸気処理)され、その後、約2〜7重量%のP
2O
5を含有するリン処理されたゼオライト/分子篩を得るためにさらなるリン化合物と反応させられる。蒸気処理は、出発物質と比較して単位格子サイズが減少した超安定ゼオライトを産生するために提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,493,902号
【発明の概要】
【0014】
本発明に従って、流動分解触媒のリン修飾は、高水熱安定性および活性を有する触媒を提供した。
【0015】
本発明の触媒微粒子は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4,493,902号に開示の一般的なプロセスによって生成される。結晶化プロセスが終了した後、Y型フォージャサイトを含有する微粒子は、濾過によって母液から分離される。典型的には、この微粒子は、約8重量%を超えるNa
2Oを含有する。Na
2Oは、アンモニアイオン交換によって約2重量%まで減少する。この部分的に交換された物質は、華氏180度およびpH2〜5のリン酸塩溶液に添加されて、触媒中約0.5〜2%のP
2O
5を産生する。濾過および洗浄後、試料を華氏180度で希土類交換して、触媒中0.25〜1.5%のREOを産生する。
【0016】
希土類交換された物質は、乾燥させられ、焼成され、さらにアンモニアイオン交換されて、Na
2Oを約0.2%まで減少させる。結果として生じる物質は、華氏180度およびpH2〜5のリン酸塩溶液に再び添加され、触媒中約2〜4%のP
2O
5を産生する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の触媒は、例えば、前述の米国特許第4,493,902号に記載のカオリン出発物質in−situ由来のY型結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライトを含む。この触媒は、指定の方法を用いてリンを組み込むことなく同一の触媒と比較して触媒の活性を増強するのに有効な量のリンを含む。触媒に存在するリンの好適な量は、少なくとも約2.0重量%、好ましくは少なくとも約2.8重量%、より好ましくは約2.8〜約3.5重量%のリンであり、これは、ゼオライトとカオリン由来のマトリックスを加算した重量に基づいてP
2O
5として計算されたものである。「Y型ゼオライト」とは、本明細書において、フォージャサイトの構造を有し、かつ少なくとも約3:1のシリカ:アルミナのモル比を有する結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライトを意味する。
【0018】
本発明の触媒は、リン成分を組み込むための調製方法を特徴とする。Y型結晶性アルミノケイ酸塩は、カオリンおよびさらなるシリカ源からゼオライトを調製する任意の既知の方法によって調製されて、高シリカ対アルミナ比のY型ゼオライトを生成することができる。さらなるシリカ源は、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩、または添加発熱性カオリンもしくは水性シリカゾルであり得る。既知の調製方法は、カオリンおよびケイ酸ナトリウムを含有する反応混合物を使用すること、その後に水酸化ナトリウムで処理してゼオライトを形成すること、発熱性カオリンおよびメタカオリンの混合物を水酸化ナトリウムで処理してゼオライトを形成することを含む。上述のカオリン出発物質でできたBASF Catalystsのin−situ生成されたゼオライト触媒を含む、カオリン出発物質でできたゼオライト触媒が市販されている。複合触媒中に形成されるゼオライトの量は、約30〜約70重量%の範囲、好ましくは少なくとも約40重量%であり得る。
【0019】
カオリン出発物質でできた市販のゼオライト含有触媒は、通常少なくとも1つの従来のカチオン交換ステップに供されて、アルカリ金属含有量を通常1重量%をわずかに下回るまで減少させており、これは、全触媒に基づいてアルカリ金属酸化物として計算されたものである。典型的には、触媒のナトリウムカチオン含有量を減少させるためにアンモニウムカチオン交換が行われる。その後、カオリン由来のマトリックスを含むアンモニウム交換されたY型ゼオライトは、リンをその触媒と複合するのに十分な期間、リン酸二水素アニオン(H
2PO
4−)、亜リン酸二水素アニオン(H
2PO
3−)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアニオンを含有する媒体と接触させられる。触媒に組み込まれるリンの好適な量は、少なくとも約0.5重量%、好ましくは少なくとも約0.7重量%、より好ましくは約1.0〜2重量%であり、これは、ゼオライトとカオリンから調製されるときにゼオライトに会合したままのマトリックスすべてを加算した重量に基づいてP
2O
5として計算されたものである。
【0020】
アニオンは、無機リン酸、無機リン酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択されるリン含有成分から得られる。好適なリン含有成分には、亜リン酸(H
3PO
3)、リン酸(H
3PO
4)、亜リン酸塩、リン酸塩、およびそれらの混合物が含まれる。アルカリ金属塩およびアンモニウム塩等の亜リン酸およびリン酸の任意の可溶性塩を用いてリン酸二水素または亜リン酸アニオンを提供することができるが、アルカリ金属塩の使用がその後のアルカリ金属の触媒からの除去を必要とするため、アンモニウム塩を用いることが好ましい。好ましくは、アニオンは、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、およびそれらの混合物から得られるリン酸二水素アニオンである。アニオンとの接触は、少なくとも1つの接触ステップまたは一連の接触として行われ得、これは、一連の交互に起こる連続焼成およびリン酸二水素または亜リン酸アニオン接触ステップであり得る。
【0021】
アニオンとゼオライトおよびカオリン由来のマトリックスとの接触は、約2〜約8の範囲のpHで安定的に行われる。ゼオライトの結晶性の損失を最小限に抑えるためにpH下限値が選択される。pH上限値は、アニオン濃度の影響によって設定されているようである。液体媒体中のリン酸二水素または亜リン酸二水素アニオンの好適な濃度は、約0.2〜約10.0重量%の範囲のアニオンである。触媒中のリンの所望の下限値を提供するように下限値が選択される。処理溶液のpHは、硝酸等の酸の添加によって調整され得る。上限値は重要ではないが、規定の上限を超える濃度は必要ではない。溶液中のアニオンの選択された濃度は、処理されるゼオライトおよびマトリックスの重量につき使用される溶液の量にも依存する。処理時間および温度は重要でなく、約周囲温度、すなわち、華氏60度〜華氏約250度の範囲であり得る。
【0022】
リン含有化合物の添加後に、触媒は、当技術分野で既知の可溶性希土類塩の水溶液由来の希土類カチオンと交換される。希土類化合物の例には、硝酸ランタン、硝酸セリウム、硝酸プラセオジム、硝酸ネオジム等がある。希土類化合物の他の水溶性塩も当技術分野で知られており、利用することができる。典型的には、希土類酸化物として触媒に添加される希土類の量は、約0.5〜10%、典型的には0.5〜5重量%の範囲のREOである。概して、含浸液の温度は、pH約2〜5で華氏約70〜200度の範囲である。希土類交換が第1のリン添加後に行われるように上で説明されているが、希土類交換は、上述のように異なる順序で行われ得る。例えば、希土類交換は、第1のアンモニウム交換の直前およびリン処理後に行われ得る。
【0023】
希土類交換後に、希土類交換された触媒は、乾燥させられ、その後、華氏800〜1200度の温度で焼成される。焼成の条件は、ゼオライト結晶の単位格子サイズが著しく減少しないような条件である。典型的には、希土類交換後の乾燥ステップは、触媒内に含まれる水のかなりの部分を除去するためのステップであり、焼成は、付加蒸気の不在下で行われる。焼成後に、希土類酸化物含有触媒は、典型的にはアンモニウムイオンによってさらに酸交換されて、ナトリウム含有量を約0.5重量%未満のNa
2Oまで再び減少させる。ナトリウム含有量が0.5重量%未満のN
2Oまで減少することを実現するために、アンモニウム交換が繰り返され得る。典型的には、ナトリウム含有量は、0.2重量%未満のNa
2Oまで減少する。アンモニウム交換後に、Y型ゼオライトおよびカオリン由来マトリックスを含有するナトリウムが減少した触媒は、第1のリン処理について上で説明されるリン化合物を含有する媒体と再び接触させられる。この媒体は、ゼオライトおよびカオリン由来のマトリックスを含む触媒に対してP
2O
5として少なくとも2.0重量%のリン含有量、より典型的には、P
2O
5として2.8〜3.5重量%のリン含有量を提供するのに十分な量のリンを含有する。第2のリン処理の温度およびpH条件は、上述の第1の処理と同様である。リン処理後、含浸触媒は、華氏700〜1500度の温度で再び焼成される。この第2の焼成中、いくらかの蒸気(最大約25%)が酸化雰囲気に含まれて、ゼオライト結晶の格子サイズを減少させ得る。概して、ゼオライトは、結晶化されるとき、24.65〜24.75Aの単位格子サイズを有する。第1の焼成後、単位格子サイズは、規定の範囲内のままである。第2の焼成後、ゼオライトの単位格子サイズは、24.6A未満まで減少し得る。
【0024】
実施例1:(微粒子調製)
37.5重量部のLHT含水カオリン粘土、62.5重量部のM−93ムライト形態の焼成カオリン粉末を含有する微粒子を調製した。この焼成含水カオリンの混合物に、N−brand(商標)ケイ酸ナトリウムからの8重量部のSiO
2を添加した。含水カオリン源は、LHTの60%の固体スラリー、1ミクロン未満の粒径の90重量%のいわゆる灰色のカオリン粘土の遠心分離の粗副産物であった。このスラリーを噴霧乾燥機に送り込み、微粒子を形成した。この微粒子を、含水カオリンをメタカオリンに変換するが、特徴的な発熱に達しないように焼成した。Na
2O含有量は3.06重量%であり、酸可溶物は18.5重量%であり、APSは85mであり、ABDは0.55gm/ccであり、Hgの細孔容積は40〜20,000であった。直径は0.720gm/ccであった。これは、商業的に調製された微粒子MS65である。
【0025】
実施例2:(結晶化)
従来の手順(米国特許第4493902号および米国特許第5395809号)を用いて、実施例1を14時間結晶化して、Y型ゼオライトを形成した。シードは、米国特許第4631262号に記載のものである。結晶化プロセスが終了した後、24.71Aの単位格子サイズを有する約55%のY型フォージャサイトおよび約45%のマトリックスを含有する微粒子を、濾過によってそれらの母液のかなりの部分から分離する。濾過後にこれを水で洗浄した。洗浄ステップの目的は、さもなければ微粒子内に混入されたままであろう母液を除去することである。結晶化されたままの洗浄された触媒の特性は、以下の通りである。
【0027】
実施例3:(アンモニア交換)
次に、実施例2を華氏180度およびpH3〜3.5の27重量%の硝酸アンモニウム溶液に添加しながら、撹拌し、50%のHNO
3を滴加してpHを制御した。すべての触媒を添加した後、このスラリーを30分間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを脱イオン水の重量の2倍の乾燥触媒で洗浄した。2つのそのような交換を行い、27重量%の硝酸アンモニウム:触媒の重量比は1:2であった。Na
2O含有量は、この時点で2.09%であった。
【0028】
比較実施例4:
600グラムの実施例3(揮発性フリーベースで)を1200gの脱イオン水と華氏180度およびpH3〜3.5の19gのリン酸二アンモニウム(ACSグレード、98%)を含有する溶液に添加しながら、撹拌し、50重量%のHNO
3を滴加してpHを制御した。すべての触媒を添加した後、このスラリーを30分間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを脱イオン水の重量の2倍の乾燥触媒で洗浄した。P
2O
5含有量は、この時点で1.75重量%であった。その後、試料を華氏180度およびpH3〜3.5で希土類交換して、触媒中約1.36重量%のLa
2O
3を産生した。試料を乾燥させ、予熱した炉内の蓋をしたシリカトレイ内で華氏950度で2時間焼成しながら、最初に25重量%の水分を含ませた。焼成後、アンモニウム交換手順を3回繰り返し、その後、25重量%の水分および華氏1050度で再び焼成して、最終生成物を形成した。その特性は、以下の表IIに示される。
【0029】
実施例5:(本発明)
600グラムの実施例3(揮発性フリーベースで)を1200gの脱イオン水と華氏180度およびpH3〜3.5の19gのリン酸二アンモニウム(ACSグレード、98%)を含有する溶液に添加しながら、撹拌し、50重量%のHNO
3を滴加してpHを制御した。すべての触媒を添加した後、このスラリーを30分間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを脱イオン水の重量の2倍の乾燥触媒で洗浄した。P
2O
5含有量は、この時点で1.75重量%であった。その後、試料を華氏180度およびpH3〜3.5で希土類交換して、触媒中約1.36重量%のLa
2O
3を産生した。この試料を乾燥させ、付加蒸気の不在下で、予熱した炉内の蓋をしたシリカトレイ内で華氏950度で2時間焼成した。焼成後、アンモニウム交換手順を5回繰り返した。結果として生じた試料を1200gの脱イオン水と華氏180度およびpH3〜3.5の19gのリン酸二アンモニウム(ACSグレード、98%)を含有する溶液に添加しながら、撹拌し、50重量%のHNO
3を滴加してpHを制御した。すべての触媒を添加した後、このスラリーを30分間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを脱イオン水の重量の2倍の乾燥触媒で洗浄した。P
2O
5含有量は、この時点で3.56重量%であった。この試料を乾燥させ、その後、付加蒸気の不在下で華氏1050度で再び焼成して、最終生成物を形成した。その特性は、以下の表IIに示される。
【0030】
比較実施例6:
200グラムの実施例3(揮発性フリーベースで)を華氏180度およびpH3〜3.5で希土類交換して、触媒中約1.28重量%のLa
2O
3を産生した。この試料を乾燥させ、予熱した炉内の蓋をしたシリカトレイ内で華氏950度で2時間焼成しながら、最初に25重量%の水分を含ませた。焼成後、アンモニウム交換手順を3回繰り返した。結果として生じた試料を400gの脱イオン水と華氏180度およびpH3〜3.5の11gのリン酸二アンモニウム(ACSグレード、98%)を含有する溶液に添加しながら、撹拌し、50重量%のHNO
3を滴加してpHを制御した。すべての触媒を添加した後、このスラリーを30分間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを脱イオン水の重量の2倍の乾燥触媒で洗浄した。P
2O
5含有量は、この時点で3.74重量%であった。この試料を乾燥させ、その後、25重量%の水分および華氏1050度で再び焼成して、最終生成物を形成した。その特性は、以下の表IIIに示される。
【0031】
比較実施例7:
実施例3を華氏180度およびpH3〜3.5で希土類交換して、触媒中約1.28重量%のLaO
3を産生した。この試料を乾燥させ、予熱した炉内の蓋をしたシリカトレイ内で華氏950度で2時間焼成しながら、最初に25重量%の水分を含ませた。焼成後、アンモニウム交換手順を3回繰り返し、その後、25重量%の水分および華氏1050度で再び焼成して、最終生成物を形成した。その特性は、以下の表IIIに示される。
【0032】
最終生成物および蒸気不活性化生成物の特性が以下の表に示される。
【0034】
触媒活性の測定
触媒の性能を、実質的に米国特許第6,069,012号に記載されるように2.125インチの給油機位置で、9グラムの触媒であるガス油供給原料(表III)を用いて、華氏1000度で動作するACE(商標)小型固定流動床装置を使用して決定した(表IV)。触媒揮散時間を575秒で一定に保った。給油速度は1.2g/分である。