【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴に係る送達装置およびまた、請求項7の特徴に係る方法により達成される。本発明のさらなる有益な改良は従属請求項に特定される。請求項において個々に特定される特徴は、任意の所望の技術的に有意な方法で互いに組み合わされてもよく、本発明のさらなる設計の変形例が特定される説明からの例示的な要因により補足されてもよい。
【0008】
本発明は、タンクから排気ガス処理装置まで液体添加物を送達するための送達装置であって、前記送達装置は、総容量を有する送達ダクトおよび前記送達ダクトに配置されるポンプを少なくとも有し、前記送達ダクトは、送達方向において前記ポンプの下流に可撓性の壁部分を有し、前記送達ダクト内の圧力が所定の作動圧力範囲で存在する場合、前記可撓性の壁部分は、前記送達ダクトに対向して位置する外側で、停止部を担持し、前記外側に、前記可撓性の壁部分を変形するように設計されるバネ要素が設けられ、前記送達ダクトの総容量は、前記送達ダクト内の圧力が閾値圧力より低い場合、大きさが減少する、送達装置に関する。
【0009】
送達装置は、好ましくは、液体添加物がタンクから吸引され得る吸引点を有する。タンクは、典型的に、液体添加物が保存される内部空間およびタンク壁を有し、タンクは、タンク基部およびタンク上側を有し、内部空間を画定する。吸引点は、タンクの内部空間と直接接触してもよいか、またはライン部分を介してタンクの内部空間に接続されてもよい。
【0010】
送達装置はさらに好ましくは、出口ポートを有する。液体添加物は出口ポートにて提供される。出口ポートは好ましくは、ラインを介して注入装置に接続される。注入装置は、排気ガス処理装置に配置されてもよく、液体添加物を排気ガス処理装置内に供給するように設計されてもよい。注入装置は、液体添加物を排気ガス処理装置内に注入するためのノズルおよび/または排気ガス処理装置内に供給される添加物の量を制御するためのバルブを備えてもよい。
【0011】
記載される送達装置において、好ましくは、還元剤(またはアンモニアを形成する還元剤前駆体)および特に好ましくは尿素水溶液が液体添加物として使用される。選択接触還元法は排気ガス処理装置内の前記還元剤を使用して実施される。
【0012】
送達装置は好ましくは、液体添加物を保存するためにタンク上/内に直接配置される。送達装置は好ましは、タンク内に配置される、または少なくとも部分的に配置される別個のチャンバに配置される。排気ガス処理装置は好ましくは、注入装置に加えて、SCR法が、排気ガス処理装置に前記液体添加物として提供される還元剤を用いて実施され得る、SCR触媒コンバータを備える。
【0013】
送達ダクトは好ましくは、タンクから排気ガス処理装置まで液体添加物のための流路の一部を形成する。送達ダクトの総容量は好ましくは、送達ダクトが送達装置において、送達装置の作動の間、液体添加物が充填される容量を指す。総容量は特に、送達ダクトが、液体添加物の送達方向の下流にポンプを有し、液体添加物が充填される容量を指す。ポンプは送達ダクトに接続される。ポンプは好ましくは送達ダクトの一部を形成する。ポンプは、送達ダクトを、吸引点からポンプまでの吸引部分およびポンプから出口ポートまでの圧力部分に分ける。総容量は特に、送達ダクトの圧力部分のみにより形成され得る。少なくとも1つのバルブがポンプに設けられることが好ましく、バルブは、ポンプを通る液体添加物の送達方向を予め規定する。この理由のために、液体添加物は、送達方向の反対にポンプを流れることができない。さらに、ポンプは送達運動を実施できる可動式ポンプ要素を有する。この送達運動によって、液体添加物はポンプを通して送達される。
【0014】
送達ダクトはダクト壁を有する。ダクト壁は好ましくは、大部分はプレート内のボアの形態で形成される。可撓性の壁部分は好ましくは、プレートに固定して接続されないか、またはプレートの固定した構成要素部分ではない。プレートにより形成される送達ダクトのこれらの壁部分は全体的に剛性である。可撓性の壁部分は好ましくは、可撓性材料から構成される。可撓性の壁部分は例えば、可撓性ダイヤフラムにより形成されてもよい。可撓性の壁部分または可撓性のダイヤフラムは、例えば、プラスチック、特にゴムから形成されてもよい。可撓性の壁部分は好ましくは、可逆性/弾性変形可能である。可撓性の壁部分または可撓性のダイヤフラムは好ましくは、面積要素により形成される。この面積要素は第1の表面および第2の表面を有する。第1の表面は送達ダクトに対して方向付けられ、可撓性の壁部分を形成する。第2の表面は送達ダクトおよび第1の表面の反対に配置される外側を形成する。停止部は反対側の外側により担持され、例えば、外側と接触するキャップ要素またはカバーにより形成される。バネ要素は好ましくは、このようなキャップと可撓性の壁部分の外側との間に配置される。
【0015】
作動圧力範囲は好ましくは3bar以上の圧力で存在する。作動圧力範囲は特に好ましくは、5barから10barの範囲であり、非常に特に好ましくは、7barから9barの間である。送達ダクト内の圧力が閾値圧力未満である場合、バネ要素は可撓性の壁部分を送達ダクト内または総容量内に押すまたは加圧するように設計される。閾値圧力は好ましくは、作動圧力範囲の下限値以下であり、従って3bar以下である。可撓性の壁部分は変形を促進する設計を有してもよい。例えば、可撓性の壁部分は可撓性の壁部分の変形を促進する波形で設けられてもよい。
【0016】
戻りラインが、送達方向(送達ダクトの圧力部分の領域)においてポンプの下流で送達ダクトから分岐する場合、送達装置は特に有益であり、戻りラインは戻しバルブにより閉鎖され得る。戻りラインは、適切な場合、戻しバルブにより、圧力部分からの圧力の放出を確実にできるように圧力部分から分岐する。ポンプを通る液体添加物の戻り流は、さらに上記のようにポンプに設けられるバルブにより防がれる。したがって、ポンプを介する送達ダクトの圧力部分からの圧力の放出が防がれる。出口ポートを介する圧力部分からの圧力の放出は液体添加物の損失を導く。なぜなら、出口ポートを介して放出される添加物は注入装置に移動するからである。圧力の損失のない放出は、特に戻りラインを介して可能となる。可撓性の壁部分が変形する場合、総容量の大きさの減少に起因して送達ダクトから移動される液体添加物は戻りラインを介して出ていくことができる。
【0017】
可撓性の壁部分により停止部に付与される力を測定できる少なくとも1つの力センサが停止部に配置される場合、送達装置は特に有益である。したがって、送達ダクト内の圧力が決定され得る。可撓性の壁部分は、停止部を担持している場合でさえ、その可撓性を維持する。次いで可撓性の壁部分は、反対側に(直接)配置される停止部の領域に送達ダクト内の圧力により直接付与される(全ての点において)力を伝える。この状況は、停止部に一体化される力センサにより、送達装置または送達装置の送達ダクト内の圧力の測定を実施するために利用され得る。圧力センサは好ましくは、停止部で端部が平坦になるように停止部内に一体化される。力センサはまた、可撓性の壁部分に付与される力が力センサにより容易に伝えられるように停止部をわずかに超えて突出してもよい。作動の間(可撓性の壁部分が停止部を担持する場合)、可撓性の壁部分の外側は力センサを押す。力センサに実際に作用する力はまた、力センサの表面積(または力センサを押す可撓性の壁部分の表面積)により規定される。力センサの表面積は付与される力を算出するように送達ダクト内の圧力を掛けられる。力センサの表面積は好ましくは、可撓性の壁部分により担持される停止部の全表面積に対して比較的小さい。このセンサの表面積は好ましくは、停止部の全表面積の多くても1/10、特に好ましくは多くても1/20になる。従来的に使用される力センサは、長さの変化または既知の弾性係数を有する弾性材料の変形に基づいて付与される力を測定する。したがって、力センサにおいて、可撓性の壁部分のわずかな変形が、送達ダクト内の作動圧力の存在下でさえ生じる。なぜなら、可撓性の壁部分は、外側から力センサまで力を伝えるように、センサの領域においてセンサに対して変形するからである。変形は好ましくは、作動圧力範囲内の送達ダクトの総容量のわずかな変化を確実にするために可能な限り小さい。
【0018】
力センサは、好ましくは、圧電材料によりおよび/または可変(電気)抵抗により形成される。圧電材料は、それが変形される強さによって異なる電圧を生じる。可変抵抗の場合、電気抵抗は変形に応じて変化する。変形は、各場合、弾性係数に基づいて作用する力に比例する。生じる電圧は、各場合、変形に比例する。したがって、作用する力は、電圧に変換され得、電子機器により評価され得る。
【0019】
ポンプがポンプ出口を有し、送達ダクトが、送達方向におけるポンプ出口の下流にチャンバを有する場合、送達装置は特に有益であり、ポンプ出口はチャンバ内に開口し、可撓性の壁部分はポンプ出口の反対側のチャンバに配置される。
【0020】
チャンバは特に送達ダクトの延在部である。チャンバは好ましくは送達装置のプレートに配置される凹部として形成される。ポンプ出口から延びる送達ダクトの一部はチャンバ内に開口する。出口ポートまで延びる送達ダクトのさらなる部分はチャンバから分岐する。チャンバがプレート内の凹部として設けられるので、このチャンバは、可撓性の壁部分を形成する面積要素により覆われ得る。これにより、送達ダクトの可撓性の壁部分を取り付けるのに特に簡単な可能性を生じる。次いで停止部を形成するキャップは、可撓性の壁部分を形成する可撓性の要素または材料の外側においてプレート内の記載された凹部に挿入され得る。
【0021】
ポンプのポンプ出口は好ましくは、ポンプのポンプ入口と共に共通軸に沿って並べられる。送達動作の間、添加物は圧力変動により拍動流としてポンプ出口から出ていく。記載されたチャンバはまた、流動の態様から有益である。ポンプ出口からの拍動流は前記チャンバ内で均質化される。このことは特に、チャンバの拡大した容量および/または添加物がチャンバを再び出ていく場合に起こる流れの偏向のために生じる。
【0022】
チャンバおよび可撓性の壁部分は好ましくは、ポンプ入口とポンプ出口との共通の軸に空間的に配置される。ポンプ入口とポンプ出口を通して延びる軸は好ましくは、チャンバおよび可撓性の壁部分と交わる。チャンバは、好ましくは、ポンプ出口またはポンプと反対に配置された側で可撓性の壁部分により画定される。
【0023】
可撓性の壁部分が停止部を担持する場合、停止部がバネ要素を収容するレセプタクルを有するならば、送達装置は特に有益である。
【0024】
このようなレセプタクルにより、送達ダクト内の圧力が作動圧力範囲で存在する場合、バネ要素は堅固に作動することが可能となる。次いでバネ要素はレセプタクル内に完全に収容され、ここで好ましくは、圧縮される。停止部がキャップにより形成される場合、レセプタクルはキャップの凹部として形成されてもよい。ぜんまいバネとして設計されるバネ要素に関して、レセプタクルは、例えばキャップ内の環状溝として形成されてもよく、その溝の直径はバネの直径に対応し、その溝の深さは圧縮状態においてバネ要素を完全に収容するのに十分である。
【0025】
また、可撓性の壁部分が停止部を担持する場合、バネ要素が可撓性の壁部分の表面積に対して0.2〜1.0barの圧力に対応するバネ力を可撓性の壁部分に付与するならば、送達装置は有益である。このような圧力に対応する力によって、特定の逆圧が外側から送達装置に作用する場合でさえ、液体添加物は送達装置の送達ダクトの総容量から外に出され得る。液体添加物は好ましくは、戻りラインを介してタンク内に戻されるべきである。送達装置は好ましくはタンクの基部に配置される。送達装置がタンクの基部に配置され、送達ダクトをタンクの内部空間に接続している戻りラインにおける戻しバルブが開いている場合、送達ダクトまたは総容量に作用する圧力は実質的にタンク内の充填レベルにより規定される。次いで0.2〜1.0barの圧力が閾値圧力に対応し、その閾値を超えると、送達ダクト内の総容量の大きさが減少する。この閾値圧力は好ましくは、作動圧力範囲から適切な間隔が得られ、したがって、圧力が作動圧力範囲で存在し、総容量の大きさの減少が、送達装置の作動可能な停止が実際に行われ、戻りラインにおける戻しバルブが開口している場合にのみ起こる場合、送達装置が実質的に堅固に作動することを確実にするように選択される。閾値圧力について上記で特定した値を確実にするのに必要とされるバネ要素のバネ力は、所望の閾値圧力および可撓性の壁部分の表面積に基づいて決定され、固定され得、その可撓性の壁部分にバネ要素は作用し、その可撓性の壁部分は送達ダクト内の圧力に曝露される。
【0026】
可撓性の壁部分の外側は好ましくは、可撓性の壁部分の外側に作用する圧力が可撓性の壁部分の作用(特に圧力変形特性曲線)を変形する力を与えないように交換ダクトを介して環境に接続される。
【0027】
可撓性の壁部分に対してバネ要素により付与される力は、適切な場合、送達ダクト内の圧力の決定も考慮に入れられる。送達ダクト内の圧力の一部は、力センサが圧力の一部のみを測定できるようにバネ要素により補償され得る。ダクト内の圧力を測定できるように、適切な場合、バネ要素により補償される力センサにより測定される圧力の圧力成分を考慮に入れることが必要である。
【0028】
また、液体添加物が少なくとも部分的に充填される、送達ダクトの総容量を有する送達装置における氷の形成を補償する方法であって、
a)送達装置のポンプの作動を停止させる工程、
b)送達ダクトと液体添加物のためのタンクとの間の接続を生じる戻りラインの戻しバルブを開口する工程、
c)液体添加物で充填された総容量の大きさを能動的に減少させる工程、
d)戻しバルブを介してタンク内に液体添加物を放出する工程、および
e)送達ダクト内の液体添加物が凍結すると、総容量を受動的に増加させる工程
を少なくとも含む、方法が本発明に関連して特許請求される。
【0029】
本発明に係る方法は、特に本発明に係る送達装置を用いて実装または実施され得る。記載される送達装置に関して説明される有益な設計特徴は、記載される方法に同様に適用されてもよい。同様のことが、以下に記載される本発明に係る方法の有益で特別な構成の特徴に当てはまり、本発明に係る送達装置に同様に適用されてもよい。
【0030】
ここで特に、氷の形成の補償は、通常、氷または添加物の生成した氷圧の形成と共に起こる容量拡大の補償を指す。容量膨張は添加物のために提供される容量の大きさの増加により得られる。
【0031】
工程a)におけるポンプの作動の停止は、通常、排気ガス処理装置(その内燃エンジンの排気ガス処理装置は、液体添加物を供給するために送達装置が接続される)に接続される内燃エンジンの停止に関連する。
【0032】
工程b)における戻りライン内の戻しバルブの開口は、通常、自動的に行われる。戻しバルブは好ましくは、電流が印加されている場合に閉鎖され、電流が印加されていない場合に開いているソレノイドバルブとして設計される。作動が停止すると、送達装置への電流供給は好ましくは中断される。次いで、戻りラインにおける戻しバルブが自動的に開き、戻りラインを介して送達ダクトの総容量とタンクとの間の接続を生じる。この結果として、総容量内の圧力は下がる。なぜなら、送達ダクトまたは総容量内の加圧された液体添加物は戻りラインを介して出ていくことができるからである。
【0033】
工程c)において、総容量は次いで、比較的少ない力で大きさが減少し得る。ここで、大きさの能動的な減少は、送達装置の部品が、総容量の大きさを減少させるプロセスを開始または実施するために提供されることを意味する。このことは、例えば、送達ダクト内に送達ダクトの可撓性の壁部分を変形するバネにより実現され得る。しかしながらまた、方法のさらなる実施形態において、機械的に作動可能な装置(適切な場合、電気駆動を用いる)に関して、総容量の大きさを能動的に減少させることも可能である。例えば、スライド要素が総容量の大きさを減少させるために総容量内に移動されてもよい。
【0034】
変形の結果として、液体添加物は、工程d)において、戻しバルブおよび戻りラインを介してタンク内に強制される。戻りラインを介してタンク内に戻る総容量からの液体添加物の一時的な流れが存在する。
【0035】
液体添加物が氷に凝固するのに十分に温度(送達装置が曝露される)が下がらない限り、送達ダクトの総容量は変化しない。温度がさらに下がり、送達装置の送達ダクト内の氷の形成が開始する場合、総容量は、工程e)において、凍結を補償するのに必要とされる程度まで再び大きさが増加する。ここで、大きさの受動的増加は、特に、大きさの増加が、外部環境(存在する場合、凍結が生じる場合の水系添加物の体積膨張)に依存すること以外で、送達装置の能動的に動いた部品によって実現されないことを意味する。凍結が生じる場合、生じる凍結または体積膨張の補償は好ましくは、可撓性の壁部分の変形(のみ)により再び行われる。工程c)において生じる変形は好ましくは、工程c)において提供される能動的変形と反対である。
【0036】
明確さのために、ここで再び、(上記の説明自体から明らかにならない場合)工程)a〜d)は、凍結が生じる場合、特定の順序で行われることが指摘されるべきである。
【0037】
内燃エンジン、内燃エンジンの排気ガスを浄化するための排気ガス処理装置、液体添加物のためのタンク、およびタンクから排気ガス処理装置まで液体添加物を送達するように設計される記載される送達装置を有する自動車もまた提供される。
【0038】
自動車の送達装置は特に有益にはまた、記載される方法を実施するのに適している。
【0039】
本発明および技術的分野を図面に基づいて以下により詳細に説明する。図面は特に好ましい例示的な実施形態を示すが、本発明はそれらに限定されない。特に図面および特に例示した比率は単なる概略であることに留意されたい。