特許第6148259号(P6148259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6148259開放及び/または閉鎖及び/またはポンプ装置を有するマイクロチャネルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148259
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】開放及び/または閉鎖及び/またはポンプ装置を有するマイクロチャネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B81B 3/00 20060101AFI20170607BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20170607BHJP
   B81C 3/00 20060101ALI20170607BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   B81B3/00
   G01N37/00 101
   B81C3/00
   B01J19/00 321
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-558130(P2014-558130)
(86)(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公表番号】特表2015-511181(P2015-511181A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】EP2013053612
(87)【国際公開番号】WO2013124448
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2016年1月28日
(31)【優先権主張番号】1251722
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514209102
【氏名又は名称】フォンズ エスピシ ジョルジュ シャルパク
【氏名又は名称原語表記】FONDS ESPCI GEORGES CHARPAK
(73)【特許権者】
【識別番号】315000467
【氏名又は名称】セントレ ナショナル デ ラ ルシェルシュ サイエンティフィック−シーエヌアールエス
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE−CNRS
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ベルギュ クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】タベリン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】トラン イェヴェッテ
(72)【発明者】
【氏名】モンティ ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】デヴェイス ルシー
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−319942(JP,A)
【文献】 特表2004−526913(JP,A)
【文献】 特開2007−170469(JP,A)
【文献】 特開2002−066999(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/036182(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00−7/04
B81C 1/00−99/00
G01N 37/00
B01J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの材料層の界面に形成されるマイクロチャネル(7、17)であって、前記2つの材料のうちの少なくとも1つは基板(9、14、15、16)であり、ポリマーフィルム(10)が前記マイクロチャネル(7、17)の容積内で基板層に固定され、前記ポリマーフィルム(10)は外部刺激の作用下で体積変化を起こすヒドロゲル型の材料で形成され、前記ヒドロゲル型のポリマー層は共有結合により前記基板上にグラフトされることを特徴とするマイクロチャネルを製造する方法であって、
前記ヒドロゲル型のポリマーを共有結合により前記基板に固定する少なくとも1つの工程を含み、前記ヒドロゲル型のポリマーは、前記2つの材料層の界面に形成された前記マイクロチャネルの容積内に配置される前記基板の一方の面において前記外部刺激の作用下で体積変化を起こすことが可能であり、前記2つの材料のうちの少なくとも1つは前記基板であり、
前記ヒドロゲル型のポリマーを前記基板上に固定する工程が、前記マイクロチャネルの外側で行われ、
前記ヒドロゲル型のポリマーを化学修飾する工程と、前記基板表面の化学的特性を改質する工程の2つのグラフト工程を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記グラフト工程の前に前記ヒドロゲル型のポリマーを合成する工程を行う
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロゲル型のポリマーが機能性ポリマー鎖間の架橋により合成され、前記機能性ポリマー鎖がラジカル共重合により合成される
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーの化学修飾が、少なくとも1個のビニル基を有するアミンによるアミド化である
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体システムの分野、より詳細には開放及び/または閉鎖及び/またはポンプ装置を含むマイクロチャネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体システムは、化学、生物学、物理学、分析学、診断学、スクリーニングなどといった多様な分野においてますます使用されている。様々な種類があり、特に基部または支持体としての役割を果たす基板を用いたものがある。使用される基板は、ガラス、シリコン、金属、ポリマー、またはこれら全ての材料の組み合わせから選択される塊状材料である。
【0003】
この種類のマイクロ流体システムでは、マイクロチャネルは任意の公知の方法によって基板に彫り込まれ得る。次いで、塊状または薄い層の構成要素が基板を被覆し、このようにしてマイクロチャネルの形状を画定する。マイクロチャネルはまた、適切な鋳型でエラストマーを成形した後に基板上に配置することによっても得られる。これらのマイクロチャネルは、流体が循環するネットワークを形成するように配置され得る。
【0004】
流体の移動を制御可能とするために、多くの場合、マイクロ流体ネットワーク内にバルブ及びポンプを統合することが有利である。
【0005】
しかしながら、バルブ及びポンプの統合を可能にするためには非常に多くの障害を克服しなければならない。さらに、既知のバルブシステムは重要な制限を有している。
【0006】
例えば、バルブシステムを製造するためのプロセスでは多くの工程が必要であり、かつそれらは頻繁にバルブシステムの適用性を制限する特別な材料の使用を必要とする。
【0007】
既知のバルブシステムの別の欠点は、一般的に50ミクロンを超えるバルブシステムのサイズにあり、これはマイクロ流体システム内でのそれらの数を制限する。
【0008】
これらの問題を解決するために様々な解決策が過去に提案された。
【0009】
こうして、特許文献1では、マイクロ流体システム内でマイクロチャネルを閉鎖または開放するのに使用されるマイクロバルブを形成するために、成形エラストマー構造を製造する方法が提案されている。この方法は以下の工程を含む:
【0010】
−第1微細加工鋳型の上に第1エラストマー層を形成する工程であって、この第1鋳型はその上面に突起部を有し、それは前記第1エラストマー層の下面に凹部を形成する工程、
【0011】
−第2微細加工鋳型の上に第2エラストマー層を形成する工程であって、この第2鋳型はその上面に突起部を有し、それは前記第2エラストマー層の下面に凹部を形成する工程、
【0012】
−第1エラストマー層の上面に第2エラストマー層の下面を適用することで、第1及び第2のエラストマー層の間の凹部において第1チャネルが形成される工程、
【0013】
−平坦基板の上に第1エラストマー層を配置することで、第1エラストマー層と基板との間の凹部において第2流体チャネルが作製される工程。
【0014】
このようにして、液体または気体の流体により第1チャネル内に圧力をかけることにより、第1層の上面が変形し、それにより第2流体チャネルは閉鎖する。
【0015】
しかしながら、これらの装置は実に多くの欠点、特に以下の欠点を有している:
【0016】
−これらの装置はマイクロ流体制御チャネル内で圧力を供給及び制御するために、チューブ及びバルブを含む外部回路を必要とする。これらの外部回路は、マイクロ流体システムにおいて統合されるバルブの数が増加するにつれてより複雑になる;
【0017】
−この方法によるサブマイクロメートルのバルブの製造には時間がかかり、かつ高価である。このような製造には、サブマイクロメートル精度のマスク及び非常に薄いエラストマー膜が必要とされる。実際、これはチャネルの閉鎖または開放をもたらす制御されたチャネル内でのこの膜の変形である。現在のところ、変形膜が完全に当該マイクロチャネルの横断面を妨害する場合にのみ、閉鎖が行われる。これはマイクロチャネルの横断面の寸法と比べて非常に薄い厚みを必要とするために、非常に脆弱である。さらに、第1チャネル内の流体圧力は非常に低く制御されなければならず、かつこの圧力制御は非常に正確でなければならない。
【0018】
−最後に、この方法は材料としてエラストマーを使用する必要があり、そのため装置の応用分野が制限される。
【0019】
特許文献2ではまた、マイクロ流体システム内でマイクロチャネルを閉鎖または開放するのに使用されるマイクロバルブの製造方法が提案されている。この方法は以下の工程を含む:
【0020】
−予備工程において、ピラーをマイクロチャネル内に配置する、
【0021】
−マイクロチャネルを光架橋性モノマーの溶液で充填する、
【0022】
−例えばフォトリソグラフィ法により得られたマスクを介して、ピラー周囲で前記モノマー溶液に対してUV放射する。この放射の影響下で、溶液中のモノマーの重合/架橋がピラー周囲で起こり、その後固体ポリマー層で被覆される。モノマーは、前記固体層が刺激(例えば、前記ピラー周囲の流体のpHまたは温度の変化)の存在下で体積変化を起こす性質を有するように選択する。
【0023】
従って、マイクロバルブを作動させるために当該刺激はピラーのレベルで適用され、それはマイクロシステムが遮断するまで層を膨潤させる効果を有している。
【0024】
これらの装置はまた、多くの欠点、特に以下の欠点を有している:
【0025】
−製造にはいくつかの工程:充填、光重合、すすぎが必要である、
【0026】
−光重合工程では、マスクをピラーと並べるためにマイクロメートルの精度が必要とされる。さらに、照明を提供する光学システムは、UV放射の反射及び拡散の現象を回避可能でなければならない。実際、このような現象は望ましくない場所での重合を引き起こす破壊的影響をもたらし、それは前記望ましくない場所におけるマイクロチャネルの封止作用をもたらし得る、
【0027】
−ピラーに対するポリマーの付着は弱く、かつ制御されていないため、多くの欠点につながる。
【0028】
特許文献1と同様に、特許文献3では、膜によって隔てられた2つのマイクロチャネルのネットワークを使用するが、制御は2つのネットワークのうちの1つにおける圧力変化ではなく、制御マイクロチャネルに存在するヒドロゲルによって引き起こされる膨潤によって提供され、それにより膜が変形してチャネルが閉鎖する。
【0029】
しかしながら、これらの装置は引用した最初の2つの特許に関して上述した欠点:エラストマーの使用、製造における困難性、サブミクロン範囲で寸法を減少させることの不可能性などを依然として有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第6,408,878号
【特許文献2】米国特許第6,488,872号
【特許文献3】米国特許第7,988,685号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、マイクロチャネルの開放及び/または閉鎖及び/またはポンプ装置を提案することにより、従来技術の欠点の1つ以上を克服することを目的とする。装置は実施が簡単であり、かつその生産において複雑な工程を必要としない。
【課題を解決するための手段】
【0032】
この目的のために、本発明は2つの材料層の界面に形成されるマイクロチャネルを提案し、2つの材料のうちの少なくとも1つは基板であり、ポリマーフィルムがマイクロチャネルの容積内で基板層に固定され;前記ポリマーフィルムは外部刺激の作用下で体積変化を起こすヒドロゲル型の材料で形成され、ヒドロゲル型のポリマー層は共有結合により基板上にグラフトされる。
【0033】
マイクロチャネル内におけるヒドロゲルの存在により、記載の刺激のいずれかの影響下でマイクロチャネルを閉鎖または開放することが可能となる。したがって、マイクロチャネルのレベルでマイクロバルブまたはマイクロポンプの役割を果たしているのは、マイクロチャネル内にグラフトされたポリマー層である。共有結合により垂直方向の膨潤が可能となり、かつヒドロゲルとそれが取り付けられる基板表面との間の機械的なせん断応力が排除される。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ヒドロゲル型のポリマーは、温度、光、電場またはpHの変化に敏感なものから選択される。
【0035】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つのマイクロチャネルを含むことを特徴とするマイクロ流体システムに関する。
【0036】
本発明はまた、ヒドロゲル型のポリマーを共有結合により基板上に固定する少なくとも1つの工程を含む製造方法に関し、ヒドロゲル型のポリマーは、2つの材料層の界面に形成されたマイクロチャネルの容積内に配置される基板の一方の面において外部刺激の作用下で体積変化を起こすことが可能であり、2つの材料のうちの少なくとも1つは基板である。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、ヒドロゲル型のポリマーを基板上に固定する工程は、マイクロチャネルの外側で行われる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、グラフト工程はヒドロゲル型のポリマーを化学修飾する工程、及び基板表面の化学的特性を改質する工程の2つの工程を含む。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、グラフト工程の前にヒドロゲル型のポリマーを合成する工程を行う。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、ヒドロゲル型のポリマーは機能性ポリマー鎖間の架橋により合成され、ポリマー鎖はラジカル共重合により合成される。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、ポリマーの化学修飾は、少なくとも1個のビニル基を有するアミンによるアミド化である。
【0042】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、例として示される添付の図面を参照しながら以下に示される説明を読むことで、より良く理解され、かつより明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】マイクロチャネルのネットワークの一例における上面図
図2】マイクロチャネルの製造方法の一例における種々の段階で用いられる装置であり、微細加工鋳型の一例を示す説明図
図3】マイクロチャネルの製造方法の一例における種々の段階で用いられる装置であり、微細加工鋳型上でエラストマー層を成形する工程を示す説明図
図4】マイクロチャネルの製造方法の一例における種々の段階で用いられる装置であり、微細加工鋳型から分離されたエラストマー層を示す説明図
図5】エラストマー層と基板との重ね合わせによって形成されたマイクロチャネルを示す説明図
図6】本発明の一実施形態によるマイクロチャネルの2つの例を示す説明図
図7】光架橋性液体の小滴が堆積した基板上のエラストマー鋳型を示す説明図
図8】エラストマー鋳型と光架橋性液体の小滴が堆積した基板との重ね合わせ、及び光架橋性液体の架橋を生じさせることを目的としたUV照射を示す説明図
図9】第1基板及び架橋体と第2基板との重ね合わせ後に得られたマイクロシステムを示す説明図
図10】温度の関数としてヒドロゲルフィルムの厚さの変化を示す説明図
図11】ヒドロゲルの熱活性化によって形成されるバルブ原理の説明図。図11Aは32℃未満の温度におけるマイクロシステムの断面図であり、ヒドロゲルは折り畳まれずにマイクロチャネルを塞いでいて、図11Bは32℃を超える温度におけるマイクロシステムの断面図であり、ヒドロゲルは折り畳まれてマイクロチャネルは開放している。
図12】3バールの圧力差を受ける4ミクロンの高さのマイクロチャネルに沿った(基準流量Qによって正規化された)流量の変化を示す説明図。各記号は同じ条件で行った実験に対応している。
図13】7ミクロンの高さのチャネルにおいて、温度の関数としてマイクロチャネルの正規化された流体力学的抵抗の変化の一例を示す説明図
図14】ヒドロゲルの熱活性化によるマイクロポンプを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明のマイクロチャネル(その一例が図1に示されている)は材料を成形する工程によって製造される。例えば、この成形工程は、エッチングによって、ガラスまたはシリコンの微細加工によって、ポリマーを用いた成形の様々な技術:熱成形若しくは熱間成形、ポリマーアブレーション、またはポリマー成形によって行われ得る。
【0045】
使用される技術に応じて、用いられる材料はあらゆる種類のポリマー、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、熱硬化性ポリエステル(TPE)、ポリウレタンメタクリレート(PUMA)、またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンなどのポリマーであり得る。
【0046】
材料はまた、光架橋性または感光性の液体または接着剤、例えばノーランド光学接着剤(Norland Optical Adhesive:NOA)から選択され得る。
【0047】
材料が成形されると、材料はヒドロゲル型のポリマー層が共有結合的にグラフトされた平坦基板層上に配置される。成形材料は、成形、エッチングまたは機械加工によって作製された凹部がヒドロゲル側にマイクロ流体チャネルを形成するように配置される。
【0048】
したがって、マイクロチャネル(7、17)(図5及び9)は2つの材料層の界面に形成され、2つの材料のうちの少なくとも1つは基板(9、14、15、16)である。マイクロチャネルの容積は材料において形成された凹部に含まれる。
【0049】
本発明との関係において使用され、かつマイクロチャネルの容積に含まれる、グラフトされるヒドロゲル型のポリマーは、液体または流体の存在下で高い吸収能力を有するゲルを構成可能な水不溶性ポリマーである。これらのポリマーは高度な柔軟性を有している。実際、温度、光、pH、または電場の変化などの刺激の作用下で、その体積を増加させることが可能である。グラフトされるヒドロゲル型のポリマーは、その固定面に対して垂直に拡大可能、すなわち、それが垂直方向に膨潤できるようにグラフトされる。したがって、ヒドロゲル型のポリマーに対する応力は表面に垂直であり、支持体への付着の断裂を引き起こす恐れがない。
【0050】
本発明との関係においては、ヒドロゲル型のポリマーはマイクロチャネル内で支持体に共有結合でグラフトされる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、ヒドロゲル型のポリマーは、それがマイクロチャネル内に挿入される前、すなわちマイクロチャネルの外側で支持体上にグラフトされる。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、支持体がすでにマイクロチャネル内にあるときに、ヒドロゲル型のポリマーが支持体上にグラフトされる。
【0053】
マイクロチャネル内でのグラフトポリマー(ヒドロゲル)の存在は、記述の刺激のいずれかの影響下で前記マイクロチャネルの閉鎖または開放を可能にすることを目的としたものである。したがって、マイクロチャネルのレベルでマイクロバルブまたはマイクロポンプの役割を果たしているのは、マイクロチャネル内にグラフトされたポリマー層である。
【0054】
基板上に層の形態でグラフトされたポリマーは使用が簡単であり、かつ特別な技術を必要としない。特に、従来技術の場合のように、マイクロチャネルのレベルで基板を空洞化してヒドロゲル型のポリマーがその中に埋め込まれ得るようにする必要がない。
【0055】
したがって、本発明によるマイクロチャネルは、それがチャネルを形成する開口部と接触する基板上に堆積したヒドロゲル層を含むという点で、従来技術のマイクロチャネルとは異なる。
【0056】
図2〜5は、本発明によるマイクロチャネルの第1実施形態を示している。第1鋳型(5)は、任意の公知の方法:微細加工、フォトリソグラフィ、レーザーアブレーション、マイクロインジェクション等によって製造され、かつ凸部(6)を有している。
【0057】
エラストマー(8)をこの鋳型に注ぎ(図2)、次いで凸部(6)の反転像に対応して凹部(7)がエラストマー(8)に形成されるように、熱的に固化する(図3)。
【0058】
次いで、図4に示されるように、エラストマー(8)を鋳型(5)から取り除き、次にヒドロゲル型のポリマー(10)が共有結合的にグラフトされた平坦基板(9)上に配置する(図5)。
【0059】
その後、エラストマー(8)で作られた構造はヒドロゲル側(10)の基板(9)に接着され、このようにして凹部(7)はマイクロ流体チャネルを形成し、基板(図6A)またはエラストマー(図6B)のいずれかに作製された孔(11)を介して流体がマイクロ流体チャネルに導かれ得る。
【0060】
エラストマーで作られた構造は、基板上に可逆的に、または不可逆的に接着可能である。このシステムでは、本発明者らが刺激として電場を使用したいときに、液体電極として機能する帯電流体が循環し得る別のエラストマー層を重ね合わせることが可能である。
【0061】
この技術により、本発明者らが刺激として電場を使用したい場合、このシステムにおいて液体電極として機能する帯電流体が循環し得る別のエラストマー層を重ね合わせることが可能となる。
【0062】
図7及び8は、本発明による方法の第2実施形態を示している。この第2実施形態では、本発明者らが形成を望むマイクロチャネルの形状と相補的な形状(13)を含む、エラストマー材料(12)で作られたスタンプと称される鋳型を使用する。鋳型は、上記の方法によって設計される。
【0063】
固体材料の第1平坦基板(14)は、このスタンプ(12)に平行に配置される。十分な量の光架橋性または感光性の液体(15)が基板(14)上に堆積される。スタンプ(12)は基板(14)上に配置される。図8に示されるように、スタンプ(12)に圧力を加えることで、液体(15)はエラストマースタンプの空洞を占める。次いで、架橋が生じるまで、液体は照射または加熱によって処理される。スタンプは、第1基板(14)及び架橋体(15)からなるシステムから除去される。前記システムは第2基板(16)上に堆積され、この第2基板上にはヒドロゲルがグラフトされている。
【0064】
この技術では、マイクロチャネル(17)は、図9Bに示されるように、架橋体(15)の薄い層によって第1基板(14)から離れていてもよく、または図9Aに示されるように、第1基板(14)と接触していてもよい。
【0065】
マイクロチャネルを形成する材料は、基板に可逆的、または不可逆的に固定または接着され得、これは高圧をかけなければならないときに有利であり得る。
【0066】
マイクロチャネルと一体化され、かつヒドロゲルのフィルムによって形成されるマイクロバルブまたはマイクロポンプの製造には、少なくとも:ポリマーを合成する工程、ポリマーをグラフトする工程、が必要である。グラフト工程には、ポリマーを化学修飾する工程、及び基板表面の化学的特性を改質する工程が含まれる。
【0067】
様々な方法により行われ得るグラフトされるポリマーの合成について、非常に多くのモノマーが使用可能である。所与の用途に対するモノマーの選択は、マイクロバルブまたはマイクロポンプを作動させるために使用される刺激の種類によって決定される。したがって、グラフトされるポリマーは、温度、光、電場またはpHの変化に敏感なものから選択され得る。
【0068】
−刺激が温度変化である場合は、本発明者らは下限臨界溶液温度(LCST)または上限臨界溶液温度(UCST)を有するポリマーを生成することを選択でき、それは例えば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)である。
【0069】
−刺激が光変化である場合は、発色団基、例えばアゾベンゼン基がグラフトされた、温度に敏感な種類のポリマーを使用することが可能である。
【0070】
−刺激がpH変化である場合は、弱い高分子電解質、例えば、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PDMAEMA)、あるいは弱い両性高分子電解質、例えば、PAA−co―PDMAEMAを使用することが可能である。
【0071】
−刺激が電場変化である場合は、高分子電解質、例えばポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)(PAMPS)を使用することが可能である。
【0072】
共重合体、特にPAAの名称で知られているようなアクリル酸単位を有する共重合体を使用することが有利であり得、これによりヒドロゲルの形成及びそれの表面へのグラフト化に必要な機能付与が可能となる。
【0073】
ポリマーの化学修飾はいくつかの方法で行うことができる。この修飾工程は、マイクロ流体システムの内部にヒドロゲルをグラフト可能とするために必要である。化学修飾は、例えば、ビニル基を含むアミンによるアミド化であってもよい。このようにして機能性ポリマーが得られる。
【0074】
ヒドロゲルのグラフトを可能とする基板表面の化学的改質は、様々な方法によって行われる。この工程の目的は、チオール基を有する自己組織化単分子膜(SAM)を形成して、架橋剤と混合された機能性ポリマーが改質表面上に堆積することにより、マイクロシステムの前記改質表面上に機能性ポリマーをグラフトすることである。
【0075】
こうして機能性ポリマーが基板上にグラフトされ、かつ水和されると、刺激の影響下でマイクロチャネル内においてその体積増加または垂直膨潤を利用することが可能となる。ヒドロゲルのこの垂直膨潤は、システムの形状及び刺激の適用条件に応じて、3つの効果を有し得る:
【0076】
−マイクロチャネルがヒドロゲルの最大膨潤よりも大きい場合、マイクロチャネルの流体力学的抵抗を変更することが可能である、
【0077】
−マイクロチャネルの断面が膨潤したヒドロゲルの最大寸法よりも小さい場合、マイクロチャネルを可逆的に開閉することが可能であり、それによりバルブシステムが形成される、
【0078】
−マイクロシステム内の流体の置換をもたらすマイクロチャネルの開閉が可能となり、それにより非常に小さなサイズのポンプシステムが形成される。
【0079】
本発明との関係において使用される機能性ポリマーは、機械的な堆積、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、溶媒及び粒子キャスティング(溶媒キャスティング)、浸出などによって基板上に堆積され得る。こうして、全ての場合において、ヒドロゲル層は共有結合でグラフトされることによって基板上に形成される。
【0080】
機能性ポリマーは基板表面全体または基板表面の一部のみに堆積される。ヒドロゲルで被覆される基板表面の部分は、例えば、1nm〜1mmの間である。
【0081】
無水グラフトポリマーは、例えば、1ナノメートル〜10ミクロンの間の厚さを有する。水和グラフトポリマーは、例えば、10ナノメートル〜1ミリメートルの間の厚さを有する。
【0082】
マイクロチャネルは、例えば、0.1ナノメートル〜5ミリメートルの間、好ましくは1ナノメートル〜1ミリメートルの間の長さを有する。
【0083】
マイクロチャネルは、例えば、0.1ナノメートル〜5ミリメートルの間、好ましくは1ナノメートル〜1ミリメートルの間の幅を有する。
【0084】
マイクロチャネルは、例えば、0.1ナノメートル〜5ミリメートルの間、好ましくは1ナノメートル〜1ミリメートルの間の高さを有する。
【0085】
基板は、例えば、ガラス、シリコン、金属、ポリマー、あるいはこれら全ての材料の組み合わせなどの塊状材料である。
【0086】
一変形例によれば、基板は金膜で覆われている。
【0087】
別の変形例によれば、基板は赤外線放射に対して透過性である。
【0088】
一変形例によれば、基板はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンファミリーから選択される。
【0089】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つのマイクロチャネルによって形成されるマイクロ流体システム(117)に関する。
【0090】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0091】
1.マイクロバルブまたはマイクロポンプの製造方法の実施例
マイクロバルブまたはマイクロポンプの製造には:グラフトされるポリマーを合成する工程、グラフトされるポリマーを化学修飾する工程、及び基板表面の化学的特性を改質する工程、が含まれる。
【0092】
1.1.ヒドロゲル型のポリマーの合成例
ヒドロゲル型のポリマーの合成を実施するために、1種以上のモノマー及び反応開始剤を溶液に入れ、ラジカル共重合法を使用する。
【0093】
アクリル酸及びN−イソプロピルアクリルアミドに基づく共重合体(PAA−co−PNIPAM)の合成について、過硫酸アンモニウム/メタ重亜硫酸ナトリウムのペア:(NH/Naを用いてレドックス開始系を使用する。
【0094】
90%のNIPAM単位を含むPAA−co−PNIPAM共重合体は、90%のNIPAM及び10%のAAを混合した後に得られる。
【0095】
そして、(NH及びNaの溶液を添加し、重合をレドックス系の存在下で活性化させる。
【0096】
透析及び凍結乾燥後、ポリマーは固形で得られる。
【0097】
1.2.基板上でのヒドロゲルのグラフト化を可能とするための化学修飾の実施例
グラフトされるポリマーの化学修飾はアミド化、すなわちビニル基を有するアミンといくらかのアクリル酸単位との間の反応であり得る。
【0098】
10%のAA単位を含むPAA−co−PNIPAMの場合、アクリル酸基の割合は、その上にアリルアミンをグラフトすることによって変更可能である。
【0099】
このために、本発明者らが変更を望むアクリル酸単位の量に対して、化学量論量のアリルアミンを導入する。
【0100】
PAA−co−PNIPAM、アリルアミン、並びに1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、指定EDCを共に混合する。
【0101】
EDCの存在下では、PAA骨格のカルボキシル官能基により、PAA骨格におけるアミン官能基のグラフト化が可能となる。
【0102】
合成が完了した後、透析及び凍結乾燥を実施する。こうして機能性ポリマーは固形で得られる。
【0103】
1.3.ヒドロゲルのグラフト化の実施例
架橋剤と混合した機能性ポリマーが堆積する、チオール基をグラフト可能な自己組織化単分子膜(SAM)を形成することによって、マイクロシステムの改質表面上でヒドロゲルをグラフトする工程について、2つの方法の実施例をここに記載する。
【0104】
1.3.1.第1方法の実施例
図2〜9に記載の方法によってマイクロチャネルを製造する。ヒドロゲル型のポリマーをグラフトする表面を改質するために、前記表面をチオール化化合物及び溶媒を含む溶液にさらす。次いで、この表面を同じ溶媒ですすぐ。
【0105】
例えば、表面が金で覆われている場合、溶液は、0.3ミリモルのジチオエリスリトール/クロロホルムの混合物であり得、表面をすすぐためにこの場合に用いられる溶媒はクロロホルムである。
【0106】
基板上にヒドロゲルをグラフトするために、ヒドロゲルを溶媒と架橋剤との混合物中に溶解させ、この溶液をマイクロシステム内に導入する。架橋後、システムをこの同じ溶媒ですすぐ。
【0107】
1.3.2.第2方法の実施例
この実施例では、ヒドロゲルを基板表面上に予めグラフトし、次いで、図2〜9に記載された方法によりマイクロチャネルをこの基板から製造する。
【0108】
このために、初めに表面を改質し、次いでヒドロゲルをグラフトする必要がある。
【0109】
この最初の工程は、ガラス基板の場合、メルカプトプロピルトリメトキシシラン/トルエンの3%混合物中に当該ガラスを浸漬させて、液体経路によりシラン化することで実施する。
【0110】
次の工程は、機械的な堆積により行う。例えば、最初に固形の機能性ポリマーを、溶媒、例えばブタノールとチオール、例えばジチオエリスリトールとの混合物中に溶解させる。こうして調製した溶液をシラン化ガラス上にスピンコーティングにより堆積させる。
【0111】
2.マイクロバルブまたはマイクロポンプの応用例
既に説明したように、いくつかの種類の様々な割合のモノマー及び架橋剤が選択した刺激に応じて選択され得る。
【0112】
刺激が温度である場合は、それはアクリル酸(AA)単位とN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)との共重合体であり、これは一般的に約32℃のそのLCST付近で可逆的変化を起こす。低温ではこの共重合体は親水性であり、水溶液中で折り畳まれておらず、一方高温ではそれは疎水性となり、それ自体が折り畳まれる。
【0113】
共重合体の合成を、上述の2つの方法のうちの1つによって実施する。ランダム共重合体が得られ、モノマー単位は鎖中にランダムに分布している。
【0114】
NIPAM官能基は、温度による活性化を担当するものであり、一方でAA官能基は、修飾後に表面にポリマーをグラフトする役目を果たす。この場合、使用するポリマーは10%のAA単位を含むP(AA−co−NIPAM)である。
【0115】
共重合体の修飾はまた、上述の方法によって行う。基板として使用するガラススライドの修飾は、上述の方法によりシラン化することによって実施する。
【0116】
この表面を処理した後に、PAA−co−PNIPAM、ブタノール、及びジチオールの混合物をスピンコーティングによってその上に堆積させる。
【0117】
フィルムの厚さは、偏光解析法により温度の関数として特徴付けることができる。この実施例では、図10に示すように、温度が上昇するとヒドロゲルフィルムの厚さが減少する。
【0118】
マイクロチャネルは、上述の方法のうちの1つによってNOA(ノーランド光学接着剤)と称される硬質材料で作製する。3つのNOA壁及び1つのヒドロゲルで処理したガラス壁を有するシステムを得る。
【0119】
この例では、マイクロチャネルの高さは1〜10ミクロンの間、好ましくは4〜7ミクロンの間であり得る。
【0120】
温度変化は任意の既知の方法で得られる。したがって、加熱について、ポリマーは吸収ピークに対応する周波数の電磁放射で照射されてもよく、あるいはポリマーを通過する電流抵抗を使用してもよい。冷却について、例えば、ペルチェ効果モジュールを使用することが可能である。
【0121】
図11は、ヒドロゲルの熱活性化によるマイクロバルブにおいて用いられる原理の説明図である。マイクロチャネル内の圧力が一定に保たれる場合、ヒドロゲルの体積変化はマイクロチャネルの抵抗における変化を誘導し、それ故その中を循環する流体の流量における変化を誘導する。マイクロチャネル内の流量を測定することによって、ヒドロゲルの厚さを推定することが可能であることに留意すべきである。したがって、図11Aは32℃未満の温度での閉鎖したマイクロチャネルを示しており、図11Bは32℃超の温度での開放したマイクロチャネルを示している。
【0122】
図12は、0.3MPaの圧力差を受ける4ミクロンの高さのマイクロチャネルに沿った(基準流量Qによって正規化された)流量Qの変化を示している。膨潤の再現性を確認するために、測定サイクルを数回実施し、各々を記号で表している。
【0123】
図13は、7ミクロンの高さのマイクロチャネルにおいて温度の関数としてシステムの流体力学的抵抗の変化を示す曲線である。このような高さを使用する場合、ヒドロゲルがその最大膨潤にあるときに、マイクロチャネルは完全に閉鎖しない。
【0124】
図14では、曲線Aは29℃〜34℃の間の温度サイクルを示しており、曲線Bは流量の対応する変化を示している。流体の流れは、温度変化に対して若干遅延していることが分かる。
【0125】
したがって、本発明による装置は、温度の上昇及び下降のサイクルを実行することによってポンプシステムを生成することが可能である。
【0126】
たった今説明したことからすると、広範囲の材料:エラストマー、ガラス、シリコン、ポリマーなどを使用することが可能であるということになる。また、広範囲の圧力に適した装置を製造すること、目的の用途に適した表面特性を有すること、かつ考慮される各用途によく適した刺激を選択することが可能である。
【0127】
当該刺激が温度である場合、基板として選択される材料は熱の良導体であり得る。
【0128】
さらに、本発明者らは、例えば、マイクロシステム内部で互いに向かい合う2面上に薄いフィルムの形態で液体または固体の電極を堆積することを選択してもよい。
【0129】
さらに、刺激が光である場合には、ポリマーを活性化するために波長透過性の材料を使用することが可能である。
【0130】
ヒドロゲルによる基板の処理は、マイクロシステムが閉じた後に行ってもよいし、または事前に行い、その後に統合してもよい。
【0131】
本発明は上記に示された例に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、他の多くの形態の実施形態を含む。
【符号の説明】
【0132】
5 第1鋳型
6 凸部
7 マイクロチャネル、凹部
8 エラストマー
9 平坦基板
10 ヒドロゲル型のポリマー
11 孔
12 スタンプ
13 形状
14 第1平坦基板
15 光架橋性または感光性の液体、架橋体
16 第2基板
17 マイクロチャネル
117 マイクロ流体システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14