(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のエポキシ樹脂は、分子あたり平均して1個を超えるエポキシド基を有するエポキシド含有化合物を含み、前記第2のエポキシ樹脂は、分子あたり平均して1個を超えるエポキシド基を有するグリシジルエーテル、グリシジルチオエーテル、グリシジルアミンまたはグリシジルエステル化合物を含む、請求項7に記載の硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において用いられる用語「熱硬化性樹脂」は、加熱されると不可逆的に固化すなわち「硬化」することができるポリマーを指す。用語「硬化性」、「硬化」、「熱硬化性」および「熱硬化」は、同義語であり、組成物が硬化されたかまたは熱硬化された状態もしくは条件に変換され得ることを意味する。用語「硬化」または「熱硬化」は、L.R.ホイッティングトン(L.R.Whittington)によって「ホイッティングトンズ・ディクショナリー・オブ・プラスティックス(Whittington’s Dictionary of Plastics)」(1968)の239ページに以下のように定義されている。「仕上げられた物品としての最終状態において実質的に非溶融性かつ非溶解性である樹脂またはプラスチックスコンパウンド。熱硬化性樹脂は、それらの製造または加工のある段階において多くの場合に液体であり、熱、触媒作用またはなんらかの他の化学的手段によって硬化される。完全に硬化されると、熱硬化性樹脂は、熱によって再軟化させることができない。普通は熱可塑性樹脂である一部のプラスチックは、他の材料との架橋を用いて熱硬化性にすることができる。」
【0019】
本明細書において用いられる用語「B段階」は、A段階を超えて熱的に反応し、それによって、生成物がアルコールまたはケトンなどの溶媒中で完全ないし部分的な溶解性を有する、熱硬化樹脂を指す。
【0020】
用語「付加体」は、単一の反応生成物を生じる、2つ以上の別個の分子の直接付加の生成物を意味する。得られた反応生成物または付加体は、反応体とは別個の分子種とみなされる。
【0021】
一実施態様において、式1の好ましい化合物は、式3の化合物、すなわち、Zおよびpは、先に定義した通りであり、各mは、0であり、各Qは、Hである、式2の化合物である。式3の化合物は、非固着性であり、したがって粉体コーティング調合物の調製において特に有用である。
【0022】
開示されたPGEを調製するために、CDDジフェノールおよび/またはテトラフェノールとヘキサフェノールに加えて、もしあればオリゴマーとの混合物が使用されてよい。式4によって飽和CDD環を有するテトラグリシジルエーテルの例が表される。
【0024】
式中、Z、R、Q、mおよびpは先に定義した通りである。pが0のとき、オリゴマーのないテトラグリシジルエーテルが形成される。pが0より大きいと、オリゴマー成分が存在する。
【0025】
式1のPGEを作る好ましい方法は、式2のポリフェノールをエピハロヒドリンと反応させることを含む。さまざまな実施態様の場合に、反応は、適当な塩基性作用物質を存在させ、触媒を存在させるかまたは存在させないで、溶媒を存在させるかまたは存在させないで行われてもよい。
【0026】
さまざまな実施態様の場合に、反応は、好ましくは20℃から120℃の温度で、より好ましくは30℃から85℃の温度で、最も好ましくは40℃から75℃の温度で行われる。さらに、さまざまな実施態様の場合に、反応は、好ましくは30mmHg(4.00KPa)真空から690KPaの圧力で、より好ましくは30mmHg(4.00KPa)真空から345KPaの圧力で、最も好ましくは60mmHg(8.00KPa)真空から101KPa(1気圧)の圧力で行われる。さまざまな実施態様の場合に、反応は、反応を完了するのに十分な時間、好ましくは1から120時間、より好ましくは3から72時間、最も好ましくは4から48時間で行うことができる。
【0027】
さまざまな実施態様の場合に、反応は、フェノールヒドロキシ基あたり1.1:1から25:1、好ましくは3:1から15:1、最も好ましくは5:1から10:1モルのエピハロヒドリンも用いる。この初期反応は、触媒が化学量論以上の量で使用されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物でなければ、ハロヒドリン中間体を生成し、次に、これが塩基性作用物質と反応してビシナルなハロヒドリン基をエポキシド基に変換する。得られる生成物は、グリシジルエーテル化合物である。米国特許第5,736,620号;リー(Lee)およびネビル(Neville)による「ハンドブック・オブ・エポキシレジン(Handbook of Epoxy Resins)」、マグロー・ヒル(McGraw−Hill)(1967);および「ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(Journal of Applied Polymer Science)」、23巻、1355〜1372頁(1972);および米国特許第4,623,701号にエポキシ樹脂の調製に関する詳細が記載されている。
【0028】
適当なエピハロヒドリンは、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、メチルエピクロロヒドリン、メチルエピブロモヒドリン、メチルエピヨードヒドリンおよびそれらの組み合わせを含む。エピクロロヒドリンが最も好ましい。
【0029】
本開示のCDDポリフェノールのPGEを調製するために、適当な塩基性作用物質が使用される。適当な塩基性作用物質(塩基)は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩ならびにそれらの組み合わせを含む。NaOH、KOH、LiOH、Ca(OH)
2、Ba(OH)
2、Mg(OH)
2、Mn(OH)
2、Na
2CO
3、K
2CO
3、Li
2CO
3、CaCO
3、BaCO
3、Mg
2CO
3、MnCO
3、NaHCO
3、KHCO
3、MgHCO
3、LiHCO
3、Ca(HCO
3)
2、Ba(HCO
3)
2、Mn(HCO
3)
2およびそれらの組み合わせが好ましい。無機水酸化物、たとえばNaOHまたはKOH(両方とも水溶液であってよい)がより好ましい。
【0030】
CDDポリフェノールとアルカリ金属水素化物との反応と、それに続くエピハロヒドリンとの反応とを含むプロセスの場合に、適当なアルカリ金属水素化物は、たとえば水素化ナトリウムおよび水素化カリウムを含み、水素化ナトリウムが最も好ましい。式1のPGEを調製する他の方法は、式2のポリフェノールを対応するポリアリルエーテルに変換し、次にアリル基のオレフィン部分をエポキシ化することを含む。
【0031】
CDDポリフェノールのPGEを調製するために使用することができる適当な触媒は、ハロゲン化アンモニウムまたはホスホニウム、たとえばベンジルトリメチルアンモニウムクロリドおよびブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドおよびブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリドおよびブロミド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリドおよびブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、ブロミドおよびヨージド;エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブロミドおよびヨージド;ならびにそれらの組み合わせを含む。ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロリドがより好ましい。
【0032】
CDDポリフェノールのPGEを調製するために使用することができる適当な溶媒は、脂肪族および芳香族炭化水素、脂肪族2級アルコール、ハロゲン化脂肪族炭化水素、脂肪族エーテル、脂肪族ニトリル、環状エーテル、ケトン、アミド、スルホキシドおよびそれらの組み合わせを含む。特に適当な溶媒は、ペンタン、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、イソプロパノール(好ましい)、イソブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびそれらの組み合わせを含む。本開示のCDDポリフェノールのPGEを調製するための1つの可能なプロセスは、溶媒を存在させないで行われ、この場合、溶媒および反応体の両方として機能する量のエピハロヒドリン、たとえばエピクロロヒドリンが用いられる。
【0033】
CDDポリフェノールの反応を、中間生成物、たとえばハロヒドリン、およびCDDポリフェノールの最終PGEの形成と並行して監視するために、分析方法、たとえば高圧液体クロマトグラフィー(HPLC:high pressure liquid chromatography)が用いられてよい。
【0034】
CDDポリフェノールのPGEの回収および精製は、さまざまな方法を用いて行うことができる。たとえば、重力ろ過、真空ろ過、遠心分離、水洗または水抽出、溶媒抽出、デカンテーション、カラムクロマトグラフィー、真空蒸留、流下膜蒸留、静電融合および他の処理方法等が用いられ得る。軽沸点留分、たとえばリサイクルされてもよい未使用エピハロヒドリンの回収のために、減圧蒸留が好ましい方法である。
【0035】
PGE中に存在するオリゴマーは、(1)CDDポリフェノール中に存在するオリゴマー成分(式2でpの一部ないしすべてが0より大きい場合)のエポキシ化から、または(2)グリシジルエーテル部分の一部のインサイチュ前進反応(advancement reaction)から生じ得る。前進(advancement)は、エポキシ樹脂生成物中の2−ヒドロキシプロピルエーテル結合(式5の構造)の形成を特徴とする。
【0037】
式中、R
1は、先に定義した通りである。
【0038】
本明細書において、1)少なくとも1種類の硬化剤および/または硬化触媒、2)式1の第1のエポキシ樹脂、および3)任意選択として、式1のエポキシ樹脂以外の第2のエポキシ樹脂を含む硬化性組成物、部分オリゴマー化または重合(B段階)生成物、あるいは硬化(熱硬化)生成物も開示される。1種類以上の熱硬化性モノマー、たとえばジおよびポリ(シアナート)、ビスおよびポリ(マレイミド)、ジおよびポリ(イソシアナート)、ジおよびポリ(シアナミド)、ビニルベンジルエーテル、アリルおよびアリルオキシ化合物を含む重合性モノ、ジまたはポリ(エチレン系不飽和)モノマーも硬化性組成物に含まれてよい。
【0039】
第2のエポキシ樹脂として用いることができる、式1のもの以外のエポキシ樹脂は、分子あたり平均して1個を超えるエポキシド基を有するエポキシド含有化合物を含む(include can be)。エポキシド基は、酸素、硫黄または窒素原子、あるいは−CO−O−基の炭素原子と結合した一重結合酸素原子と結合してよい。この酸素、硫黄、窒素原子、または−CO−O−基の炭素原子は、脂肪族、脂環式、縮合脂環式または芳香族炭化水素基と結合してよい。この脂肪族、脂環式、縮合脂環式または芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素、臭素または塩素;ニトロ基を含むがこれに限定されるものではない1つ以上の不活性な置換基で置換することができる。あるいは、これらの基は、平均して1個を超える−(O−CHR
a−CHR
a)
t−基、式中、各R
aは、独立に、H、1から2の炭素原子を含有するアルキルまたはハロアルキル基であるが、前提条件として1つのR
a基だけがハロアルキル基であることができ、tは、1から100、好ましくは1から20、より好ましくは1から10、最も好ましくは1から5の値を有する、を含む化合物の末端炭素原子と結合することができる。具体的な例は、分子あたり平均して1個を超えるエポキシド基を有するグリシジルエーテル、グリシジルチオエーテル、グリシジルアミンおよびグリシジルエステル化合物を含む。
【0040】
用いることができるエポキシ樹脂のより具体的な例は、1,2−ジヒドロキシベンゼン;1,3−ジヒドロキシベンゼン;1,4−ジヒドロキシベンゼン;4,4′−イソプロピリデンジフェノール;4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン;3,3′,5,5′−テトラブロモビスフェノールA;4,4′−チオジフェノール;4,4′−スルホニルジフェノール;2,2′−スルホニルジフェノール;4,4′−ジヒドロキシジフェニルオキシド;4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン;4,4′−ジヒドロキシビフェニル;4,4′−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベン;4,4′−ジヒドロキシベンズアニリド;4,4′−ジヒドロキシジフェニルアセチレン;ジプロピレングリコール;ポリ(プロピレングリコール);チオジグリコールのジグリシジルエーテル;トリス(ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテル;フェノールまたはアルキルまたはハロゲン置換フェノール−アルデヒド酸触媒縮合生成物(ノボラック樹脂)のPGE;4,4′−ジアミノジフェニルメタンのテトラグリシジルアミン;ジシクロペンタジエンまたはそのオリゴマーとフェノールまたはアルキルまたはハロゲン置換フェノールとの縮合生成物のPGE;ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0041】
用いることができるエポキシ樹脂は、前進(advanced)エポキシ樹脂も含んでよい。前進エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂と芳香族ジ−およびポリヒドロキシル、またはカルボン酸含有化合物との前進反応の生成物であってよい。前進反応において用いられるエポキシ樹脂は、前述のエポキシ樹脂の1つ以上を含んでよい。
【0042】
上述の前進エポキシ樹脂生成物の調製は、公知の方法、たとえば、エポキシ樹脂と分子あたり平均して1個を超える反応性水素原子を有する1種類以上の適当な化合物との前進反応を用いて実行することができ、ここで、反応性水素原子は、エポキシ樹脂中のエポキシド基との反応性を有する。エポキシ樹脂に対する分子あたり平均して1個を超える反応性水素原子を有する化合物の比は、一般に、エポキシ樹脂中のエポキシド基の当量あたり0.01:1から0.95:1、好ましくは0.05:1から0.8:1、より好ましくは0.10:1から0.5:1当量の反応性水素原子である。
【0043】
上述のジヒドロキシ芳香族およびジカルボン酸化合物に加えて、分子あたり平均して1個を超える反応性水素原子を有する化合物の例は、ジチオール、ジスルホンアミド、または1つの第1アミンまたは第1アミド基、2つの第2アミン基、1つの第2アミン基および1つのフェノールヒドロキシ基、1つの第2アミン基および1つのカルボン酸基、または1つのフェノールヒドロキシ基および1つのカルボン酸基、ならびにそれらの組み合わせを含む化合物を含んでよい。
【0044】
前進反応は、熱および混合を利用し、溶媒を存在させるかまたは存在させないで実行してよい。適当な圧力は、大気圧、大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力である。適当な温度は、20℃から260℃、好ましくは80℃から240℃、より好ましくは100℃から200℃である。
【0045】
前進反応を完了するために必要な時間は、使用される温度、使用される分子あたり1個を超える反応性水素原子を有する化合物の化学構造、および使用されるエポキシ樹脂の化学構造などの因子によって決まる。高い温度ほど短い反応時間を要すると考えられる一方、低い温度ほど長い反応時間を要する。一般に、前進反応の完了のための時間は、5分から24時間、好ましくは30分から8時間、より好ましくは30分から4時間の範囲であってよい。
【0046】
前進反応においては、触媒も加えてよい。触媒の例は、ホスフィン、第4アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物および第3アミンを含んでよい。触媒は、エポキシ樹脂の全重量に対して重量で0.01パーセントから3パーセント、好ましくは0.03パーセントから1.5パーセント、より好ましくは0.05パーセントから1.5パーセントの量を使用してよい。
【0047】
米国特許第5,736,620号およびヘンリー・リー(Henry Lee)およびクリス・ネビル(Kris Neville)による「ハンドブック・オブ・エポキシ・レジンズ(Handbook of Epoxy Resins)」に、前進エポキシ樹脂を調製する上で有用な前進反応に関する他の詳細が提供されている。
【0048】
硬化性組成物のために有用な硬化剤および/または触媒は、脂肪族、脂環式、縮合脂環式または芳香族第1モノアミン、脂肪族、脂環式、縮合脂環式または芳香族第1および第2ポリアミン、カルボン酸およびその酸無水物、芳香族ヒドロキシル含有化合物、イミダゾール、グアニジン、尿素−アルデヒド樹脂、メラミン−アルデヒド樹脂、アルコキシル化尿素−アルデヒド樹脂、アルコキシル化メラミン−アルデヒド樹脂、アミドアミン、エポキシ樹脂付加体、およびそれらの組み合わせを含む。
【0049】
他の硬化剤の特に好ましい例は、メチレンジアニリン;ジシアンジアミド;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;尿素−ホルムアルデヒド樹脂;メラミン−ホルムアルデヒド樹脂;メチロール化尿素−ホルムアルデヒド樹脂;メチロール化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂;ビスフェノール、たとえばビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA;フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂;クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂;スルファニルアミド;ジアミノジフェニルスルホン;ジエチルトルエンジアミン;イソホロンジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン;1−(2−アミノエチル)ピペラジン;1,12−ドデカンジアミン;トリス−3−アミノプロピルアミン;ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0050】
硬化性組成物を硬化させるために1種類以上の硬化剤を使用してよい。硬化剤の量は、エポキシド当量あたり硬化剤中0.60:1から1.50:1、好ましくは0.95:1から1.05:1当量の反応性水素原子である。
【0051】
硬化触媒の特に好ましい例は、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテラート、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、四塩化ケイ素、塩化第二スズ、四塩化チタン、三塩化アンチモン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体、ピリジン−ボラン錯体、ジエタノールアミンボラート、ホウフッ化亜鉛、オクタン酸第一スズまたはオクタン酸亜鉛などの金属アシラート、およびそれらの組み合わせを含む。
【0052】
硬化触媒は、硬化性組成物を効果的に硬化させる量を使用してよい。硬化触媒の量も、式1のPGE、もしあれば第2のエポキシ樹脂、および硬化性組成物中に使用される硬化剤によって決まる。
【0053】
一般に、硬化性組成物全体の0.001から2重量パーセントの量の硬化触媒を用いてよい。硬化性組成物の硬化プロセスを加速するかまたは他の方式で変更するために、硬化触媒の1つ以上を用いてよい。
【0054】
本開示の硬化性組成物を硬化させるプロセスは、大気圧(たとえば760mmHg(101KPa))、大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力で、および0℃から350℃、好ましくは25℃から300℃、より好ましくは50℃から250℃の温度で行われてよい。硬化を完了するために必要な時間は、使用される温度によって決まることがある。高い温度ほど一般に短い時間を要し、一方、低い温度ほど一般に長い時間を要する。一般に、硬化の完了のための必要時間は、1分から48時間、好ましくは15分から24時間、より好ましくは30分から12時間である。硬化性組成物を部分硬化させてB段階生成物を形成させ、後になって、続いてB段階生成物を完全に硬化させることも実行可能である。
【0055】
本開示の式1のエポキシ樹脂、硬化性組成物、部分オリゴマー化または重合(B段階)生成物、あるいは硬化(熱硬化)生成物は、他の樹脂、たとえばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂およびそれらの組み合わせなどと組み合わされてもよいがこれに限定されるものではない。
【0056】
本開示の付加体は、(1)式1のCDDポリフェノールのPGEの1種類以上、および任意選択として(2)式1のエポキシ樹脂以外の1種類以上の第2のエポキシ樹脂と、(3)エポキシド基、たとえばCDDポリフェノールのPGE(式1)に含まれるエポキシド基と反応する水素原子を分子あたり1個以上有する1種類以上の水素含有化合物との反応によって調製することができる。本開示のPGEとの付加体を調製すると、CDD構造の物理的および機械的性質の利点だけでなく、付加体に組み込まれる高い官能性の度合いによって付与される物理的および機械的性質の利点の取り込みが可能になる。したがって、これらの付加体が熱硬化樹脂(エポキシ型またはポリウレタン型の両方を含む)の形成において用いられると、高くなったガラス転移温度、高い耐熱性、改善された耐湿性および耐食性、ならびに増強された電気特性、特に散逸因子がCDD構造の結果として予測される。
【0057】
エポキシド基(類)との反応性がある反応性水素原子を分子あたり1個以上含む水素含有化合物は、水素含有化合物内に脂肪族、脂環式または芳香族基をさらに含んでよい。脂肪族基は、分岐していてもよく、分岐していなくてもよい。また、脂肪族または脂環式基は、飽和であっても、不飽和であってもよく、反応体および生成物を含む本開示の付加体を調製するプロセスに不活性な(反応性がない)1つ以上の置換基を含んでもよい。置換基は、置換基の化学構造に応じて、末端炭素原子と結合してもよく、または2つの炭素原子の間にあってもよい。そのような不活性な置換基の例は、ハロゲン原子、好ましくは塩素または臭素、ニトリル、ニトロ、アルキルオキシ、ケト、エーテル(−O−)、チオエーテル(−S−)または第3アミンを含む。芳香環は、水素含有化合物の構造中に存在すれば、1つ以上のヘテロ原子、たとえばN、OまたはSを含んでよい。
【0058】
水素含有化合物の例は、(a)ジおよびポリフェノール、(b)ジおよびポリカルボン酸、(c)ジおよびポリメルカプタン、(d)ジおよびポリアミン、(e)第1モノアミン、(f)スルホンアミド、(g)アミノフェノール、(h)アミノカルボン酸、(i)フェノールヒドロキシル含有カルボン酸、(j)スルファニルアミド、(k)単官能リン化合物などの化合物および(l)そのような化合物の2種類以上の組み合わせ等を含んでよい。
【0059】
十分な量の式1のPGE、および用いられるのであれば、式1のエポキシ樹脂以外の第2のエポキシ樹脂、および過剰量の水素含有化合物が反応混合物の中に提供されて付加体を形成する。付加体形成反応の終了時点において、基本的にエポキシド基のすべてが水素含有化合物中の反応性水素原子と反応している。未反応水素含有化合物は、反応の終了時点で部分的にまたは完全に除去されてもよく、あるいは付加体生成物の一部として残されてもよい。一般に、水素含有化合物とPGEとの比は、式1のPGE、および用いられるのであれば、式1のエポキシ樹脂以外の第2のエポキシ樹脂のエポキシ基当量あたりの水素含有化合物の反応性水素原子当量で2:1から200:1、好ましくは3:1から100:1、より好ましくは4:1から50:1である。
【0060】
付加体を調製するために触媒が使用されてもよい。触媒の例は、ホスフィン、第4アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、第3アミンおよびそれらの組み合わせを含む。用いられるのであれば、用いられる触媒の量は、付加体を調製するために用いられる特定の反応体および使用される触媒の種類によって決まる。一般に、触媒は、付加体の重量全体に対して重量で0.01から1.5パーセント、好ましくは0.03から0.75パーセントの量で用いられてよい。
【0061】
付加体形成反応において、1種類以上の溶媒が存在してよい。溶媒を存在させると反応体の溶解性を改善するか、または反応体が固体の形であればこの固体反応体を他の反応体との簡単な混合のために溶解することができる。溶媒を存在させると、たとえば付加体形成反応から発生する熱を制御するように付加体形成反応を穏やかなものにするために、あるいは反応体の有効濃度を低下させ、それが次に付加体生成物の構造に影響を及ぼし、たとえばより少ないオリゴマー成分を有する付加体を生成させるために、反応体の濃度を希釈することもできる。
【0062】
溶媒は、反応体、もしあれば中間生成物、および最終生成物に不活性であることを含めて、付加体形成反応に実質的に不活性であってよい。本開示において有用な適当な溶媒の例は、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族および脂環式炭化水素、脂肪族および脂環式2級アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族ニトリル、環状エーテル、グリコールエーテル、エステル、ケトン、アミド、スルホキシドおよびそれらの組み合わせを含む。溶媒の好ましい例は、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、メチルクロロホルム、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、イソプロパノールおよびそれらの組み合わせを含む。溶媒は、たとえば真空蒸留などの従来の手段を用いて付加体形成反応の完了時点において除去されてよい。あるいは、溶媒は、付加体生成物中に残され、後でたとえばコーティングまたはフィルムの調製において用いられ得る溶媒保持付加体を提供してもよい。
【0063】
付加体形成反応の条件は、使用される反応体の種類および量、もしあれば用いられる触媒の種類および量、もしあれば用いられる溶媒の種類および量、および使用される反応体の添加の仕方などの因子に応じて変化させてよい。たとえば、付加体形成反応は、大気圧(たとえば760mmHg(101kPa))、大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力で、0℃から260℃、好ましくは20℃から200℃、より好ましくは25℃から160℃の温度で行われてよい。
【0064】
付加体形成反応を完了するために必要な時間は、上記の因子だけでなく使用される温度によっても決まる。高い温度ほど短い時間を要とし、一方、低い温度ほど長い時間を要する。一般に、付加体形成反応を完了する時間は、5分から1週間であることが好ましく、より好ましくは30分から72時間、最も好ましくは60分から48時間である。
【0065】
付加体形成反応の時間および温度は、本開示の付加体の形成において成分の分布に顕著な影響を及ぼし得る。たとえば、より高い反応温度、より長い反応時間で、水素含有化合物が分子あたり2個の反応性水素原子だけを有する材料を含むと、付加体形成反応は、より多くのオリゴマー成分を有する付加体の形成に有利となる。水素含有化合物が分子あたり2個より多くの反応性水素原子を有する材料を含むと、付加体形成反応は、より多くの分岐または架橋成分を有する付加体の形成に有利になる。
【0066】
付加体形成反応を行う際には、式1のPGE、および用いられるのであれば第2のエポキシ樹脂は、直接水素含有化合物と一緒に混合されるか、段階的に水素含有化合物に加えられるか、または連続的に水素含有化合物に加えられてよい。さらに、PGEおよび水素含有化合物を混合する前に、最初に1種類以上の溶媒がPGEおよび/または水素含有化合物に加えられてもよい。PGEの増加分の添加が用いられるのであれば、加えられた増加分のすべてまたは一部が次の増加分の添加の前に反応することができるようにされてよい。一般に、過剰量の水素含有化合物の範囲で反応させるPGEの増加分の添加は、オリゴマー成分の量が減少したかまたはまったくない付加体の形成に有利である。
【0067】
1)付加体の個々の成分の量の分布、2)付加体の反応性、および/または3)付加体の物理的性質を改変するために、付加体を調製するプロセスにさまざまな後処理が利用されてよい。したがって、未反応の水素含有化合物を除去するために、付加体生成物の後処理、たとえば真空蒸留が使用されてよい。たとえば、再結晶、クロマトグラフィー分離、抽出、帯域精製、結晶精製、流下液膜蒸留、ワイパー液膜蒸留、回転蒸発を含む単蒸留、付加体の1種類以上の成分の優先化学誘導体化および除去、ならびにそれらの組み合わせなどの付加体成分の分布を改変するために用いられる他の後処理方法も使用されてよい。
【0068】
式1の1種類以上のPGEと反応性水素原子を有する1種類以上の水素含有化合物とが付加体を形成する反応は、開環反応を含む。この開環反応時に、PGEのエポキシド基は水素含有化合物の反応性水素原子と反応してPGEの残りの構造と水素含有化合物の残りの構造との間の結合部分として特徴ある2−ヒドロキシルプロピル官能基を形成する。
【0069】
付加体は、1種類以上のエポキシ樹脂(たとえば1種類以上の第2のエポキシ樹脂および/または1種類以上の式1のPGE)とブレンドし、硬化させることができる。
【0070】
式1および/または2の化合物は、当分野において公知の方法を用いて硬化性粉体コーティング組成物を作るために用いられ得る。たとえば、本発明の粉体コーティング組成物の成分は、通常、グラインダー中で予備ブレンドまたは粉砕され、その結果得られたグラインダーから出て来る挽かれた粉体混合物は、次に、押し出し機に供給される。
【0071】
押し出し機の中で、粉体混合物は、低温で加熱され、溶融して半液体形になる。このプロセスの間に、溶融混合物の成分は、十分かつ均一に分散される。押し出し機の速い動作および押し出し機内の比較的低い温度のために、粉体コーティング組成物の成分は、顕著な化学反応を行わない。結果として得られる押し出し機から出て来る粉体コーティング組成物の溶融押し出し物は、次に、押し出し機からフレーカーに送られ、フレーカーは、組成物のフレークをミル/分類器に供給して所望の粒子サイズを有する粉体コーティング最終生成物を得る。最終粉体コーティング生成物は、次に、生成物への湿気の進入を回避するパッケージングユニットを用いて密閉容器内にパッケージされる。粉体コーティング組成物を製造するための装置は、当分野において周知の装置である。
【0072】
本発明の粉体コーティング組成物は、さまざまな方法によって物品の基質に塗付されてよい。一実施態様において、本粉体コーティング組成物は、(1)基質を組成物に適した硬化温度に加熱すること、および(2)静電スプレーまたは流動床などの公知の手段によって粉体コーティング組成物を塗布することによって、基質に塗付されてよい。別の実施態様において、本エポキシ粉体コーティング組成物は、(1)本エポキシ粉体コーティング組成物を基質に塗付する(たとえば静電塗布方法で)こと、および(2)粉体および基質を粉体が流動および硬化する温度に加熱することによって、低温の基質に塗布されてよい。いくつかの実施態様において、粉体コーティングは、熱硬化性樹脂組成物を基質に塗布し、次に、硬化性熱硬化性樹脂組成物を硬化させることによって形成されてよい。
【実施例】
【0073】
実施例1−CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂の合成
A.CDDトリアルデヒドのフェノール化
シクロドデカトリエンのヒドロホルミル化から得たCDDトリアルデヒドをガスクロマトグラフィーによって分析し、以下の組成を示した。シクロドデカトリエン(0.15重量%)、CDDモノアルデヒド(0.16重量%)、CDDジアルデヒド(9.52重量%)およびCDDトリアルデヒド(88.72重量%)。CDDトリアルデヒド(39.74g、0.16モル、0.48アルデヒド当量)と溶融フェノール(301.2g、3.2モル)との3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸触媒(用いた触媒合計量は1.25g、CDDトリアルデヒド反応体に対して0.05モル%であった)を用いた反応によってCDDトリアルデヒドのポリフェノールが赤褐色の粉体(107.00g)として得られた。生成物の試料のHPLC分析は、1.89面積%の残留フェノールの存在を示した。KBrペレットのFTIR分光光度分析は、1610.8(1595.5にショルダー)および1510.2cm
−1における強い芳香環吸光度、3382.3cm
−1を中心とする幅の広い強いヒドロキシルO−H伸縮および1229.4(1170.5にショルダー)cm
−1における幅の広い強いC−O伸縮の出現とともに、1721.9cm
−1におけるアルデヒドカルボニル伸縮の完全な消失を示した。HPLC分析は、CDDトリアルデヒドのポリフェノールが3.24から8.30分の間に溶出する複数の成分を含むことを示した(フェノール残留分は2.49分に溶出した)。
【0074】
B.CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ化
1Lの3つ口ガラス丸底反応器に上記A.からのCDDトリアルデヒドのポリフェノールの一部(10.0g、名目ヒドロキシル当量128.124に対して0.0781ヒドロキシル当量)およびエピクロロヒドリン(180.6g、1.95モル)を入れた。この反応器に、さらに、コンデンサ(0℃に維持される)、温度計、クライゼンアダプタ、頂部窒素導入口(1分あたり1L)、撹拌装置(テフロン(登録商標)撹拌羽根、ガラス軸、無段変速モータ)および温度調節器を備えたマントルヒーターを装備した。水酸化ナトリウム(2.8g、0.0703モル)を脱イオン(DI:Deionized)水(11.2g)に溶解して水酸化ナトリウム水溶液を形成した。水酸化ナトリウム水溶液を側管調圧式滴下ロートに入れてから、反応器に取り付けた。
【0075】
スラリーの撹拌を開始し、続いてイソプロパノール(97.3g、用いたエピクロロヒドリンの35%重量)、次に脱イオン水(15.7g、用いたエピクロロヒドリンの8%重量)を加えた。撹拌している淡黄色の16℃の溶液の加熱を開始し、次に、50℃に達したら側管調圧式滴下ロートからの水酸化ナトリウム水溶液の滴下添加を開始した。50℃における水酸化ナトリウム水溶液の連続滴下添加によって、わずかに曇った淡黄色の混合物が得られた。38分間かけて添加を完了した。25分間の後反応の後、撹拌および加熱を停止し、反応器内容物を分液ロートに入れ、分液させた。分液時間(7分間)の終わりに、水層を取り出し、廃液として捨て、透明な淡黄色の有機層を回収し、再び反応器に入れた。加熱および撹拌を再開して50℃の温度に再到達させた。脱イオン水(5.0g)に溶解した2回目分の水酸化ナトリウム(1.25g、0.0313モル)の滴下添加を開始し、温度を50℃に維持して10分間かけて完了させた。25分間の後反応の後、撹拌および加熱を停止し、反応器内容物を分液ロートに入れ、分液させた。分液時間(6分間)の終わりに、水層を取り出し、廃液として捨て、透明な淡黄色の有機層を回収し、再び反応器に入れた。加温および撹拌を再開して50℃の温度に再到達させた。脱イオン水(1.56g)に溶解した3回目分の水酸化ナトリウム(0.39g、0.00975モル)の滴下添加を開始し、温度を50℃に維持して7分間かけて完了させた。25分間の後反応の後、撹拌および加熱を停止し、脱イオン水(200mL)を含む分液ロートに反応器内容物を入れ、十分に混合してから、分液させた。分液時間(25分間)の終わりに、水層を取り出し、廃液として捨てた。透明な淡黄色の有機層に脱イオン水(100mL)を加え、十分に混合してから、その後の16時間分液させた。水層を取り出し、廃液として捨て、得られた有機層をフリットガラスロートの中に支持させた無水硫酸ナトリウムの床の上で乾燥してから、真空ろ過した。ジクロロメタンを必要なだけ用いてろ過床から生成物をろ液に洗い込んだ。75℃の最大油浴温度を用いたろ液の回転蒸発によって揮発性物質のバルクを除去した。さらに100℃で0.29mmHg(38.7Pa)の最終真空まで回転蒸発を行い、続いて真空オーブン中100℃で14時間乾燥させて8.58gの透明な淡黄色の固体を得た。
【0076】
ガスクロマトグラフィー(GC)分析[DB−1固定相を有する60m×0.248mm×0.25μmのJ&W GCカラムを用いるヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890シリーズIIガスクロマトグラフ、300℃で動作する水素炎イオン化検出器、注入口温度300℃、カラムを通るヘリウムキャリアガス流量を毎分1.1mLに維持し、オーブン初期温度50℃で最終温度300℃まで昇温毎分12℃]は、残留エピクロロヒドリンを含むすべての軽沸点成分が基本的に除去されたことを示した。HPLC分析は、CDDトリアルデヒドのポリフェノールのPGEが5.0から13.5分の間に溶出する複数の成分を含むことを示した。生成物の一対の分析試料の滴定は、平均18.81%のエポキシド(228.76EEW(Epoxide Equivalent Weight))を示した。エポキシ樹脂の滴定は、ジェイ、R.R.(Jay,R.R.)、「ダイレクト・タイトレーション・オブ・エポキシ・コンパウンス・アンド・アジリジンズ(Direct Titration of Epoxy Compounds and Aziridines)」、アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)、36巻、3号、667〜668頁(1964年3月)に記載されている。手短に述べると、この方法の我々の適応において、秤量した試料(試料重量は、4桁の精度を有するはかりを用いて0.14〜0.16gの範囲にある)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、それに続いて酢酸中のテトラエチルアンモニウムブロミド溶液(15mL)を加えた。得られた溶液を3滴のクリスタルバイオレット溶液(酢酸中0.1%重量/体積)で処理し、メトローム(Metrohm)665ドシマート(Dosimat)滴定装置(ブリンクマン(Brinkmann))上で酢酸中0.1N過塩素酸で滴定した。ジクロロメタン(15mL)および酢酸中のテトラエチルアンモニウムブロミド溶液(15mL)からなるブランクの滴定によって、溶媒バックグラウンド分の補正を行った。
【0077】
実施例2−CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂とジエチレントリアミン(DETA)との硬化性ブレンドの調製
実施例1のB.によるCDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂(2.1608g、0.009446エポキシド当量)を乾燥窒素雰囲気下でTHF(Tetrahydrofuran)(20mL)に溶解した。用いたTHFは、乾燥窒素雰囲気下で熱活性化したアルミナのカラムを通して流すことによって精製しておいた。乾燥窒素雰囲気下でTHF溶液を含むガラス瓶にDETA(0.1949g、0.009446−NH当量)を秤量し、続いて振盪して均一な溶液を得た。秤量はすべて4桁の精度を有するはかりで行った。THF溶液の一部(大体0.75g)をアルミニウム皿に入れ、21℃の真空オーブン中で揮発分を除いた。硬化の分析のために、0℃で2分間保持し、毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から250℃まで毎分7℃の加熱速度を用いるDSC2910モジュレート型(Modulated)DSC(differential scanning calorimetry:示差走査熱量測定)(ティーエー・インスツルメンツ(TA Instruments))を使用した。痕跡量の残留THF溶媒によって重量変化を引き起こした場合には、分析の完了後にDSC分析のために用いた試料の重量を測定した。CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂およびDETAの一部(8.8mg)の場合、49.2℃の硬化始点とそれに続く85.4℃の極大および141.9J/gのエンタルピーを有する硬化発熱と、198.4℃の硬化終点とを検出した(表I)。
【0078】
残りのブレンドを流れる乾燥窒素雰囲気下に48時間保持して揮発分を除去し、続いて70℃で1時間、次に100℃で1時間、125℃で1時間、150℃で1時間および200℃で1時間、予熱しておいたオーブンの中にアルミニウム皿を入れることによって硬化を完了した。得られた透明な無充填注型物は、堅く、透明であり、黄色であった。毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から300℃まで毎分7℃の加熱速度を用い、300℃で5分間保持する硬化生成物の一部(22.5mg)のDSC分析を行った。1回目、2回目、3回目および4回目の走査は、ピークを示さず、DSC分析のための300℃の最高温度までTgを検出しなかった(表II)。1回目、2回目、3回目および4回目の走査について、259.5℃、276.9℃、283.3℃および281.5℃の開始温度をそれぞれ有する残留硬化発熱を検出し、分解を示すものはなかった。
【0079】
実施例3−CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂、シクロドデカノンのジフェノールのエポキシ樹脂(eCDON)およびジエチレントリアミン(DETA)の硬化性ブレンドの調製
A.硬化性ブレンドの硬化プロファイル
実施例1B.によるCDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂(0.5522g、0.0024139エポキシド当量)およびeCDON(2.8599g、0.0117539エポキシド当量)を乾燥窒素雰囲気下でTHF(35mL)に溶解した。用いたTHFは、乾燥窒素雰囲気下で熱活性化したアルミナのカラムを通して流すことによって精製しておいた。用いたeCDONは、シクロドデカノンのフェノール化によって調製し、243.32のEEWを有した。乾燥窒素雰囲気下でTHF溶液を含むガラス瓶にDETA(0.2923g、0.014166−NH当量)を秤量し、続いて振盪して均一な溶液を得た。秤量は、すべて4桁の精度を有するはかりで行った。THF溶液の一部(大体0.75g)をアルミニウム皿に入れ、21℃の真空オーブン中で揮発分を除去した。硬化の分析のために、0℃で2分間保持し、毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から250℃まで毎分7℃の加熱速度を用いるDSC2910モジュレート型DSC(ティーエー・インスツルメンツ)を使用した。痕跡量の残留THF溶媒によって重量変化を引き起こした場合には、分析の完了後にDSC分析のために用いた試料の重量を測定した。CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂、eCDONおよびDETAの一部(9.8mg)について、48.5℃の硬化始点とそれに続く100.3℃の極大および256.0J/gのエンタルピーを有する硬化発熱と、174.5℃の硬化終点とを検出した(表I)。
【0080】
B.300℃における硬化生成物のDSC分析
残りのブレンドを流れる乾燥窒素雰囲気下に48時間保持して揮発分を除去し、続いて70℃で1時間、次に100℃で1時間、125℃で1時間、150℃で1時間および200℃で1時間、予熱しておいたオーブンの中にアルミニウム皿を入れることによって硬化を完了した。得られた透明な無充填注型物は、堅く、透明であり、黄色であった。毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から300℃まで毎分7℃の加熱速度を用い、300℃で5分間保持する硬化生成物の一部(22.5mg)のDSC分析を行った。1回目の走査は、識別可能なTgを示さなかった。2回目、3回目および4回目の走査は、158.1℃、173.2℃および172.8℃のTgをそれぞれ示した(表II)。1回目の走査は、288.3℃の始点を有する残留硬化発熱を検出し、分解を示すものはなかった。残りのいずれの走査においても、さらなる硬化または分解を示すような残留発熱は検出しなかった。
【0081】
C.250℃における硬化生成物のDSC分析
毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から250℃まで毎分7℃の加熱速度を用いる硬化生成物の一部(23.3mg)のDSC分析を行った。1回目の走査は、識別可能なTgを示さなかった。2回目、3回目および4回目の走査は、125.3℃、130.2℃および136.4℃のTgをそれぞれ示した(表III)。いずれの走査においても、さらなる硬化または分解を示すような残留発熱は検出しなかった。
【0082】
比較例A−シクロドデカノンのジフェノールのエポキシ樹脂(eCDON)とジエチレントリアミン(DETA)との硬化性ブレンドの調製
A.硬化性ブレンドの硬化プロファイル
乾燥窒素雰囲気下でeCDON(2.6164g、0.010753エポキシド当量)をTHF(30mL)に溶解した。用いたTHFは、乾燥窒素雰囲気下で熱活性化したアルミナのカラムを通して流すことによって精製しておいた。用いたeCDONは、実施例3A.に記載されている。DETA(0.2215g、0.010735−NH当量)を乾燥窒素雰囲気下でTHF溶液を含むガラス瓶に秤量し、続いて振盪して均一な溶液を得た。秤量は、すべて4桁の精度を有するはかりで行った。THF溶液の一部(大体0.75g)をアルミニウム皿に入れ、21℃の真空オーブン中で揮発分を除去した。硬化の分析のために、実施例3A.の方法を使用した。eCDONおよびDETAの一部(10.8mg)について、56.0℃の硬化始点とそれに続く107.8℃の極大および215.9J/gのエンタルピーと、191.6℃の硬化終点とを有する硬化発熱を検出した(表I)。
【0083】
B.300℃における硬化生成物のDSC分析
残りのブレンドを流れる乾燥窒素雰囲気下に48時間保持して揮発分を除去し、続いて70℃で1時間、次に100℃で1時間、125℃で1時間、150℃で1時間および200℃で1時間、予熱しておいたオーブンの中にアルミニウム皿を入れることによって硬化を行った。得られた透明な無充填注型物は、堅く、透明であり、黄色であった。毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から300℃まで毎分7℃の加熱速度を用い、300℃で5分間保持する硬化生成物の一部(17.8mg)のDSC分析を行った。1回目の走査は、識別可能なTgを示さなかった。2回目、3回目および4回目の走査は、144.3℃、160.8℃および167.9℃のTgをそれぞれ示した(表II)。いずれの走査においても、さらなる硬化または分解を示すような残留発熱は検出しなかった。
【0084】
C.250℃における硬化生成物のDSC分析
毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から250℃まで毎分7℃の加熱速度を用いる硬化生成物の一部(18.5mg)のDSC分析を行った。1回目の走査は、識別可能なTgを示さなかった。2回目、3回目および4回目の走査は、107.7℃、115.1℃および121.8℃のTgをそれぞれ示した(表III)。いずれの走査においても、さらなる硬化または分解を示すような残留発熱は検出しなかった。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
実施例4−CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂とジシアンジアミドとの粉体コーティング調合物の調製および硬化
実施例1B.によるCDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂(0.634g、0.002277エポキシド当量)、ジシアンジアミド(0.035g、0.00247当量)、およびイミダゾール付加体(0.012g、用いたジシアンジアミドの33%重量)を23℃で1分間ブレンドして視覚的に均一な粉体とした。ジシアンジアミドは、90%<30μ;50%<11μの粒子サイズ規格を有するエア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals,Inc.)からの市販等級の製品Amicure(登録商標)CG−1200硬化剤として入手し、0.5%重量の内部流動調節剤を含んでいた。イミダゾール付加体は、ヘキシオン・スペシャルティ・ケミカルズ(Hexion Specialty Chemicals)からの市販等級の製品Epikure(商標)P−101硬化剤として入手した。秤量は、すべて3桁の精度を有するはかりで行った。硬化性ブレンドの一部(大体0.1g)をガラスバイアルに入れ、DSC分析のために保管した。硬化の分析のために、毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下、25℃で2分間保時し、25℃から300℃まで毎分7℃の加熱速度を用いるDSC2910モジュレート型DSC(ティーエー・インスツルメンツ)を使用した。CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂、ジシアンジアミドおよびイミダゾール付加体の一部(9.7mg)について、102.4℃において極小となる3.2J/gのエンタルピーを有する吸熱を初回に検出した。137.9℃の硬化始点と194.7℃の極大および105.3J/gのエンタルピーと、266.2℃の硬化終点とを有する発熱を検出した(表IV)。
【0089】
残りの粉体ブレンドをアルミニウム皿に入れ、200℃で30分間、予熱しておいたオーブンの中にアルミニウム皿を入れることによって硬化した。得られた透明な無充填注型物は堅く、不透明であり、明るい黄色であった。毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から300℃まで毎分7℃の加熱速度を用い、300℃で5分間保持する硬化生成物の一部(26.9mg)のDSC分析を行った。1回目、2回目および3回目の走査は、特徴づけるものがなく、DSC分析のための最高温度300℃までTgを検出しなかった(表V)。1回目、2回目および3回目の走査について、207.9℃、270.8℃および291.1℃の始点を有する残留硬化発熱をそれぞれ検出し、分解を示すものはなかった。
【0090】
実施例5−CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂およびシクロドデカノンのジフェノールのエポキシ樹脂(eCDON)とジシアンジアミドとの粉体コーティング調合物の調製および硬化
実施例1B.によるCDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂(0.253g、0.001106エポキシド当量)、およびeCDON(0.753g、0.000420エポキシド当量)、ジシアンジアミド(0.053g、0.003753当量)、およびイミダゾール付加体(0.017g、用いたジシアンジアミドの33%重量)を23℃で1分間ブレンドして視覚的に均一な粉体を得た。用いたeCDONは、実施例3A.に記載されている。用いたジシアンジアミドおよびイミダゾール付加体は、実施例4に記載されている。秤量は、すべて3桁の精度を有するはかりで行った。硬化性ブレンドの一部(大体0.1g)をガラスバイアルに入れ、DSC分析のために保管した。硬化の分析のために、毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で2分間25℃で保持し、25℃から300℃まで毎分7℃の加熱速度を用いるDSC2910モジュレート型DSC(ティーエー・インスツルメンツ)を使用した。CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂、eCDON、ジシアンジアミドおよびイミダゾール付加体の一部(9.7mg)について、116.6℃の硬化始点、170.7℃の極大、133.5J/gのエンタルピー、および270.1℃の硬化終点を有する発熱を検出した(表IV)。発熱のピークは、後に立ち下がりのショルダーを含んでいた。
【0091】
残りの粉体ブレンドをアルミニウム皿に入れ、200℃で30分間、予熱しておいたオーブンの中にアルミニウム皿を入れることによって硬化した。得られた透明な無充填注型物は、堅く、不透明であり、黄色であった。毎分35立方センチメートルで流れる窒素の気流の下で0℃から300℃まで毎分7℃の加熱速度を用い、300℃で5分間保持する硬化生成物の一部(32.4mg)のDSC分析を行った。1回目の走査は、識別可能なTgを示さなかった。2回目、3回目および4回目の走査は、196.9℃、196.5℃および190.2℃のTgをそれぞれ示した(表V)。1回目、2回目、3回目および4回目の走査について、201.9℃、255.6℃、258.4℃および230.7℃の始点をそれぞれ有する残留硬化発熱を検出し、分解を示すものはなかった。
【0092】
比較例B−シクロドデカノンのジフェノールのエポキシ樹脂(eCDON)とジシアンジアミドとの粉体コーティング調合物の調製および硬化
eCDON(0.590g、0.002425エポキシド当量)、ジシアンジアミド(0.030g、0.002166当量)およびイミダゾール付加体(0.010g、用いたジシアンジアミドの33%重量)を23℃で1分間ブレンドして視覚的に均一な粉体を得た。用いたeCDONは、実施例3A.に記載されている。用いたジシアンジアミドおよびイミダゾール付加体は、実施例4に記載されている。秤量は、すべて3桁の精度を有するはかりで行った。硬化性ブレンドの一部(大体0.1g)をガラスバイアルに入れ、実施例5の方法を用いるDSC分析のために保管した。eCDON、ジシアンジアミド、およびイミダゾール付加体の一部(10.1mg)について、130.1℃の硬化始点と、170.8℃の極大および176.9J/gのエンタルピーと、266.2℃の硬化終点とを有する発熱を検出した(表IV)。発熱のピークは、後に立ち下がりのショルダーを含んでいた。
【0093】
残りの粉体ブレンドをアルミニウム皿に入れ、200℃で30分間、予熱しておいたオーブンの中にアルミニウム皿を入れることによって硬化した。得られた透明な無充填注型物は堅く、透明であり、黄色であった。実施例5の方法を用いて硬化生成物の一部(28.4mg)のDSC分析を行った。1回目の走査は、識別可能なTgを示さなかった。2回目、3回目および4回目の走査は、188.1℃、184.1℃および176.9℃のTgをそれぞれ示した(表V)。1回目および2回目の走査について、207.2℃および287.5℃の始点をそれぞれ有する残留硬化発熱を検出し、分解を示すものはなかった。
【0094】
【表4】
【0095】
【表5】
【0096】
実施例6−CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂およびシクロドデカノンのジフェノールのエポキシ樹脂(eCDON)とジシアンジアミドとの粉体コーティング調合物の調製および硬化
実施例1B.によるCDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂(0.310g、0.001355エポキシド当量)およびeCDON(0.310g、0.001274エポキシド当量)、ジシアンジアミド(0.033g、0.002349当量)、およびイミダゾール付加体(0.011g、用いたジシアンジアミドの33%重量)を23℃で1分間ブレンドして視覚的に均一な粉体を得た。用いたeCDONは、実施例3A.に記載されている。用いたジシアンジアミドおよびイミダゾール付加体は、実施例4に記載されている。秤量は、すべて3桁の精度を有するはかりで行った。硬化性ブレンドの一部(大体0.1g)をガラスバイアルに入れ、実施例5の方法を用いるDSC分析のために保管した。CDDトリアルデヒドのポリフェノールのエポキシ樹脂、eCDON、ジシアンジアミドおよびイミダゾール付加体の一部(11.1mg)について、119.4℃の硬化始点と、189.7℃の極大および177.7J/gのエンタルピーと、274.8℃の硬化終点とを有する発熱を検出した(表IV)。この発熱のピークは、後に立ち下がりのショルダーを含んでいた。
【0097】
残りの粉体ブレンドをアルミニウム皿に入れ、200℃で30分間、予熱しておいたオーブンの中にアルミニウム皿を入れることによって硬化した。得られた透明な無充填注型物は、堅く、透明であり、黄色であった。実施例5の方法を用いて硬化生成物の一部(32.2mg)のDSC分析を行った。1回目の走査は、識別可能なTgを示さなかった。2回目、3回目および4回目の走査は、215.3℃、216.9℃および216.5℃のTgをそれぞれ示した(表V)。1回目、2回目、3回目および4回目の走査について、205.4℃、260.2℃、261.9℃および258.4℃の始点をそれぞれ有する残留硬化発熱を検出し、分解を示すものはなかった。
本開示は以下も包含する。
[1] 下式のポリグリシジルエーテルであって、
【化1】
式中、各Zは、
【化2】
基であり、各R1は、独立に、Hまたはメチルであり;
各mは、独立に、ゼロから3の値を有し;
pは、ゼロから20の値を有し;
各Rは、独立に、ハロゲン;ニトリル;ニトロ;C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシであって、前記アルキルおよびアルコキシ基は、1つ以上のハロゲン原子で置換されてよい、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシ;C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルケニルオキシであり;
各Qは、独立に、水素またはC1〜C6アルキルであり、
あるいは、mが2のとき、2つのR基は、独立にC3〜C4アルキレン基であってよく、該C3〜C4アルキレン基は、任意選択として、1つまたは2つの二重結合を含み、それらが結合している環の2つの隣り合った炭素と結合し、それによって、縮合二環を形成する、
ポリグリシジルエーテル。
[2] R1は、Hである、上記態様1に記載のポリグリシジルエーテル。
[3] Qは、HまたはC1〜C2アルキルである、上記態様1または2に記載のポリグリシジルエーテル。
[4] mは、0である、上記態様1、2または3に記載のポリグリシジルエーテル。
[5] pは、0または1である、上記態様1、2、3または4に記載のポリグリシジルエーテル。
[6] 下式のポリフェノールを、塩基の存在下で、任意選択として触媒、溶媒または両方の存在下で、エピハロヒドリンと反応させるステップを含む、上記態様1に記載の化合物を作る方法:
【化3】
式中、R、Q、mおよびpは、上記態様1から5のいずれかに定義した通りである。
[7] 前記反応は、少なくとも1種類の溶媒の存在下で行われる、上記態様6に記載の方法。
[8] 前記少なくとも1種類の溶媒は、C1〜C6アルコールである、上記態様6または7に記載の方法。
[9] 前記塩基は、無機水酸化物である、上記態様6、7または8に記載の方法。
[10] 前記塩基は、NaOHまたはKOH水溶液である、上記態様6、7、8または9に記載の方法。
[11] 反応温度は、25℃から160℃である、上記態様6、7、8、9または10に記載の方法。
[12] 1)少なくとも1種類の硬化剤および2)下式の第1のエポキシ樹脂を含む硬化性組成物:
【化4】
式中、R、Q、Z、mおよびpは、上記態様1〜5のいずれかに定義した通りである。
[13] 触媒をさらに含む、上記態様12に記載の硬化性組成物。
[14] 式1のエポキシ樹脂以外の第2のエポキシ樹脂をさらに含む、上記態様12または13に記載の硬化性組成物。
[15] 前記第2のエポキシ樹脂は、分子あたり平均して1個を超えるエポキシド基を有するエポキシド含有化合物を含み、前記第2のエポキシ樹脂は、分子あたり平均して1個を超えるエポキシド基を有するグリシジルエーテル、グリシジルチオエーテル、グリシジルアミンまたはグリシジルエステル化合物を含む、上記態様14に記載の硬化性組成物。
[16] 前記組成物は、硬化性粉体コーティング組成物である、上記態様12、13、14または15のいずれかに記載の硬化性組成物。
[17] 構造用または電気用ラミネートおよび/または複合材料、多層電子回路、集積回路パッケージング、フィラメントワインディング、成形物、カプセル化物、注型物、航空宇宙用途向け複合材料、接着剤、機能性粉体コーティングおよび他の保護コーティングである、上記態様12、13、14、15または16のいずれかに記載の組成物から調製した硬化組成物。
[18] 式1の1種類以上のポリグリシジルエーテルを、式1のエポキシド基と反応する水素原子を分子あたり1個以上有する1種類以上の水素含有化合物、および任意選択として1種類以上の第2のエポキシ樹脂、1種類以上の溶媒、1種類以上の触媒、またはそれらの組み合わせと反応させることによって調製される付加体。
[19] 前記付加体は、1種類以上の第2のエポキシ樹脂および/または式1の1種類以上のポリグリシジルエーテル、および任意選択として前記付加体以外である1種類以上の硬化剤、および任意選択として1種類以上の触媒をさらに含み、前記付加体は硬化性である上記態様18に記載の付加体。
[20] 上記態様20に記載の硬化組成物。