特許第6148271号(P6148271)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6148271有機電子デバイス用の重水素化合物および、それらの重水素化合物を有する有機電子デバイス。
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  • 特許6148271-有機電子デバイス用の重水素化合物および、それらの重水素化合物を有する有機電子デバイス。 図000051
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148271
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】有機電子デバイス用の重水素化合物および、それらの重水素化合物を有する有機電子デバイス。
(51)【国際特許分類】
   C07C 15/38 20060101AFI20170607BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20170607BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20170607BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   C07C15/38CSP
   C07D307/91
   C09K11/06 690
   H05B33/14 B
【請求項の数】2
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2015-49659(P2015-49659)
(22)【出願日】2015年3月12日
(62)【分割の表示】特願2012-532061(P2012-532061)の分割
【原出願日】2009年12月21日
(65)【公開番号】特開2015-147776(P2015-147776A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2015年3月12日
(31)【優先権主張番号】61/246,563
(32)【優先日】2009年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メン ホン
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/115950(WO,A1)
【文献】 特表2004−515506(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/029670(WO,A1)
【文献】 特表2008−545729(JP,A)
【文献】 特表2008−540517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 15/38
C07D 307/91
C09K 11/06
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA1、A2、A4〜A8、およびA16から選択される、
有機電子デバイスの電気活性層で、ホスト物質として使用される化合物。
【化1】

【化2】
【化3】
【請求項2】
電気活性層を含む有機電子デバイスであって、前記電気活性層が、下記のA1〜A8、およびA16から選択される化合物を有する有機電子デバイス。
【化4】
【化5】
【化6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2009年9月29日に出願された米国仮特許出願第61/246,563号明細書の優先権を主張するものであり、その全体を援用する。
【0002】
本発明は、少なくとも部分的に重水素化されている光活性化合物に関する。また、活性層がそのような化合物を含む電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
光を発する有機電子デバイス(ディスプレイを構成する発光ダイオードなど)は、多くの種類の電子機器の中に存在する。そのようなデバイスすべてにおいて、有機活性層が2つの電気接触層の間に挟まれている。電気接触層の少なくとも1つは、光が電気接触層を通過できるように光透過性である。電気接触層から電気接触層にかけて電気を流すと、有機活性層は光透過性の電気接触層を通して光を発する。
【0004】
発光ダイオードの活性成分として有機エレクトロルミネセンス化合物を使用することはよく知られている。アントラセン、チアジアゾール誘導体、およびクマリン誘導体などの単純な有機分子は、エレクトロルミネセンスを示すことで知られている。半導体共役ポリマー(semiconductive conjugated polymers)もエレクトロルミネセンス成分として使用されてきたが、そのことは、例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3に開示されている。多くの場合、エレクトロルミネセンス化合物はホスト物質中にドーパントとして存在する。多くのデバイスでは、有機電荷注入層及び/または電荷輸送層が、発光層と陽極及び/または陰極との間に存在する。多くの場合、エレクトロルミネセンス化合物はホスト物質中にドーパントとして存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,247,190号明細書
【特許文献2】米国特許第5,408,109号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第443861号明細書
【特許文献4】米国特許第6,875,524号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005−0158577号明細書
【特許文献6】PCT出願の国際公開第2007/021117号パンフレット
【特許文献7】米国特許出願公開第2007−0292713号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2007−0063638号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004−0102577号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2004−0127637号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2005−205860号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2005−0184287号明細書
【特許文献13】PCT出願の国際公開第2005/052027号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837−860,1996,by Y.Wang
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
新規の電子デバイス用の物質が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
少なくとも1つのD置換基を有するジアリールピレン化合物が提供される。
【0009】
また、上記の化合物を含んでいる活性層を含む電子デバイスも提供される。
【0010】
また、式I:
【0011】
【化1】
[式中:
1〜R4は同一または異なっていて、H、D、アルキル、アルコキシ、オキシアルキル、シリル、シロキサン、およびアリールよりなる群から選択され、但しR1〜R4の少なくとも2つはアリールであり;さらに
5〜R10は同一または異なっていて、HおよびDよりなる群から選択され;
ここで少なくとも1個のDが存在する]
を有する化合物も提供される。
【0012】
また、式Iの化合物を含んでいる活性層を含む電子デバイスも提供される。
【0013】
本明細書で提示する概念がいっそう理解されるように添付図で実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】有機電子デバイスの一例の説明図を含む。
【0015】
図中の物体は、簡単にするためまた明快にするために例示されているのであり、必ずしも縮尺通り描かれてはいないことは、当業者なら理解することである。例えば、図中の一部の物体の大きさは、実施形態をいっそう理解するのを助けるために、他の物体との関係で誇張されていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
多くの態様および実施形態が本明細書に開示されているが、それらは例示的なものであり、限定するものではない。本明細書を読むならば、本発明の範囲の中で他の態様および実施形態が可能であることは、当業者なら理解することである。
【0017】
実施形態のいずれか1つまたはそれ以上における他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかであろう。詳細な説明では、最初に用語の定義と説明を扱い、その後、重水素化合物、電子デバイス、そして最後に実施例を扱う。
【0018】
1.用語の定義と説明
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義し説明する。
【0019】
本明細書で使用される「脂肪族環(aliphatic ring)」という用語は、非局在パイ電子を持たない環状基(cyclic group)を意味することを意図する。実施形態によっては、脂肪族環に不飽和はない。実施形態によっては、その環は1個の二重結合または三重結合を有する。
【0020】
「アルコキシ」という用語は、RO−基[ここで、Rはアルキルである]を表す。
【0021】
「アルキル」という用語は、結合点が1つある脂肪族炭化水素に由来する基を意味することを意図しており、直鎖状基、分枝状基、または環状基(cyclic group)を含む。この用語はヘテロアルキルを含むことを意図する。この用語は、置換された基および非置換の基を含むことを意図する。「炭化水素アルキル」という用語は、ヘテロ原子を持たないアルキル基を表す。「重水素化アルキル」という用語は、少なくとも1個の利用可能なHがDと置換されている炭化水素アルキルである。実施形態によっては、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有する。
【0022】
「アリール」という用語は、結合点が1つある芳香族炭化水素に由来する基を意味することを意図する。「芳香族化合物」という用語は、非局在パイ電子を有する少なくとも1個の不飽和環状基を含む有機化合物を意味することを意図する。この用語は、ヘテロアリールを含むことを意図する。「炭化水素アリール」という用語は、環の中にヘテロ原子を持たない芳香族化合物を意味することを意図する。アリールという用語は、1つの環を有する基、および単結合で結合できるかまたは縮合できる複数の環を有する基を含む。「重水素化アリール」という用語は、アリールに直接結合している少なくとも1個の利用可能なH原子がDと置換しているアリール基を表す。「アリーレン」という用語は、結合点が2つある芳香族炭化水素に由来する基を意味することを意図する。アリール部分のあらゆる好適な環位置で、定義された化学構造に共有結合することができる。実施形態によっては、炭化水素アリール基は、3〜60個の炭素原子を有し;実施形態によっては6〜30個の炭素原子を有する。ヘテロアリール基は、3〜50個の炭素原子を有することができ;実施形態によっては3〜30個の炭素原子を有することができる。
【0023】
「分枝状アルキル」という用語は、少なくとも1個の第二級または第三級炭素を有するアルキル基を表す。「第二級アルキル」という用語は、第二級炭素原子を有する分枝状アルキル基を表す。「第三級アルキル」という用語は、第三級炭素原子を有する分枝状アルキル基を表す。実施形態によっては、分枝状アルキル基は第二級または第三級炭素を介して結合する。
【0024】
「電荷輸送」という用語は、層、物質、部材、または構造を表す場合、そのような層、物質、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、物質、部材、または構造の厚さを通過するそのような電荷の移動を促進することを意味することを意図する。正孔輸送物質は正電荷を促進し;電子輸送物質は負電荷を促進する。発光物質も、ある程度の電荷輸送特性を有する場合があるが、「電荷、正孔、または電子を輸送する層、物質、部材、または構造」という用語は、主要な機能が発光である層、物質、部材、または構造を含むことを意図しない。
【0025】
「化合物」という用語は、分子で構成される帯電していない物質(分子は、原子からさらに構成され、物理的手段では原子を分離できない)を意味することを意図する。「隣接した」という語句は、デバイス中の層を表すのに用いられる場合、1つの層が別の層のすぐ隣にあることを必ずしも意味しない。その一方で、「隣接したR基」という語句は、化学式において隣同士のR基(すなわち、1つの結合でつながれた原子にあるR基)を表すのに用いられる。
【0026】
「重水素化(されている)」という用語は、少なくとも1個の利用可能なHがDと置換されていることを意味することを意図する。X%が重水素化された化合物または基は、利用可能なHのX%がDと置換されている。
【0027】
「ドーパント」という用語は、ホスト物質を含む層の中の物質であって、その層の電子的特性あるいはその層の放射線の放出、受容、またはフィルタリングの目的波長が、そうした物質の存在しない層の電子的特性あるいは放射線の放出、受容、またはフィルタリングの波長と比べて変わるようにする、層の中の物質を意味することを意図する。
【0028】
「電気的活性」という用語は、層または物質に言及している場合、デバイスの動作が電子的に促進される層または物質を指すことを意図する。活性物質の例としては、電荷の伝導、注入、輸送または遮断を行う物質(電荷は電子または正孔のいずれかでありうる)、または放射線を発するかまたは電子−正孔ペアの濃度の変化を示す(放射線を受けたとき)物質があるが、これらに限定されない。不活性物質の例としては、平坦化物質、絶縁物質、および環境障壁物質(environmental barrier materials)があるが、これらに限定されない。
【0029】
「エレクトロルミネセンス」という用語は、物質を通過する電流に応答したその物質からの光の放出を意味する。「エレクトロルミネセンスの」は、エレクトロルミネセンスが可能な物質を意味する。
【0030】
接頭語の「ヘテロ」は、1つまたは複数個の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示す。実施形態によっては、異なる原子は、N、O、またはSである。
【0031】
「ホスト物質」という用語は、ドーパントを加える物質を意味することを意図する。ホスト物質は、放射線の放出、受容、またはフィルタリングを行う能力または電子的特性があってもなくても構わない。実施態様によっては、ホスト物質は高い濃度で存在する。
【0032】
「層」という用語は、「膜」という用語と同義語的に使用され、目的の領域を覆うコーティングを表す。この用語は大きさによって限定されるものではない。この領域は、デバイス全体と同じくらい大きくても、あるいは実際の表示装置など特定の機能領域と同じくらい小さくても、あるいは単一のサブピクセルと同じくらい小さくても構わない。層および膜は、蒸着、液体付着(連続技法および不連続技法)、および熱転写を含め、従来の任意の付着技法で形成できる。連続付着技法としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬被覆、スロットダイコーティング(slot−die coating)、吹付け塗り、および連続ノズルコーティングがあるが、これらに限定されない。不連続付着技法としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷があるが、これらに限定されない。
【0033】
「有機電子デバイス」またはときにはただの「電子デバイス」という用語は、1種または複数種の電子活性層または電子活性物質を含むデバイスを意味することを意図する。
【0034】
「オキシアルキル」という用語は、1つ以上の炭素が酸素で置換されているヘテロアルキル基を意味することを意図する。この用語は、酸素を介して結合している基を含む。
【0035】
「シリル」という用語は、R3Si−基[ここで、RはH、D、C1〜20アルキル、フルオロアルキル、またはアリールである]を意味する。実施形態によっては、Rアルキル基中の1つ以上の炭素がSiと置換されている。実施形態によっては、シリル基は、(ヘキシル)2Si(Me)CH2CH2Si(Me)2−および[CF3(CF26CH2CH22SiMe−である。
【0036】
「シロキサン」という用語は、(RO)3Si−基[ここで、RはH、D、C1〜20アルキル、またはフルオロアルキルである]を意味する。
【0037】
「隣接した」という語句は、デバイス中の層を表すのに用いられる場合、1つの層が別の層のすぐ隣にあることを必ずしも意味しない。その一方で、「隣接したR基」という語句は、化学式において隣同士のR基(すなわち、1つの結合でつながれた原子にあるR基)を表すのに用いられる。
【0038】
すべての基は、特に記載のない限り、置換されていても非置換であってもよい。実施形態によっては、置換基は、D、ハロゲン化物、アルキル、アルコキシ、アリール、およびシアノよりなる群から選択される。限定はされないが、アルキルまたはアリールなどの場合により置換されていてもよい基は、同一または異なっていてよい1つ以上の置換基で置換されていてもよい。他の好適な置換基としては、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキサン、チオアルコキシ、−S(O)s−アリール(ここでs=0〜2である)、または−S(O)s−ヘテロアリール(ここでs=0〜2である)がある。R’およびR”のそれぞれは独立に、場合により置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。
【0039】
本明細書で使用される「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」という用語、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図する。例えば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的なまたはを意味するのであって、排他的なまたはを意味するのではない。例えば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0040】
また、本明細書に記載する要素および成分を説明するために「a」または「an」が使用される。これは単に便宜的なものであり、本発明の範囲の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形をも含んでいる。
【0041】
特に定義されていない限り、本明細書に用いられている技術用語および科学用語はすべて、本発明が関係する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載する方法および物質と同様または同等の方法および物質を本発明の実施または試験に使用できるが、好適な方法および物質を以下に記載しておく。本明細書で挙げる刊行物、特許出願、特許、および他の文献はすべて、その全体を援用する。矛盾がある場合には、定義を含んでいる本明細書で調整されるであろう。さらに、そうした物質、方法、および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0042】
全体を通してIUPAC番号付け方式(IUPAC numbering system)が使用されており、その方式では、周期律表の族は左から右に1〜18の番号が付けられる(CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition,2000)。
【0043】
2.電気活性化合物
本明細書に記載の電気活性化合物は、少なくとも1つのD置換基を有するジアリールピレンである。実施形態によっては、化合物は、少なくとも10%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも20%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており、実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており、実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0044】
実施形態によっては、電気活性化合物は式Iを有する:
【0045】
【化2】
上式において、
1〜R4は同一または異なっていて、H、D、アルキル、アルコキシ、オキシアルキル、シリル、シロキサン、およびアリールよりなる群から選択され、但しR1〜R4の少なくとも2つがアリールであり;
5〜R10は同一または異なっていて、HおよびDよりなる群から選択され;
ここで、少なくとも1個のDが存在する。
【0046】
式Iの実施形態によっては、重水素化は、ピレン核上で行われている。実施形態によっては、R1〜R10の少なくとも1つがDである。実施形態によっては、R1〜R10の少なくとも2つがDであり;実施形態によっては、R1〜R10の少なくとも3つがDであり;実施形態によっては、R1〜R10の少なくとも4つがDであり;実施形態によっては、R1〜R10の少なくとも5つがDであり;実施形態によっては、R1〜R10の少なくとも6つがDであり;実施形態によっては、R1〜R10の少なくとも7つがDであり;R1〜R10の8つがDである。「ピレン核」という用語は:
【0047】
【化3】
の単位を意味する。
【0048】
式Iの実施形態によっては、重水素化は、アリール環の置換基上で行われている。実施形態によっては、置換基は、アルキル、アルコキシ、オキシアルキル、シリル、シロキサン、アリール、およびアリールオキシから選択される。実施形態によっては、すべての置換基を合わせると、少なくとも10%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも20%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており;実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0049】
式Iの実施形態によっては、重水素化は、ピレン核に直接結合した1つ以上のいずれかのアリール基上で行われている。この場合、R1〜R4の少なくとも1つは、重水素化アリール基である。実施形態によっては、ピレン核に直接結合したアリール基は、少なくとも10%が重水素化されている。これは、ピレン核に直接結合しているアリール基中のアリールCに結合した利用可能なすべてのHの少なくとも10%がDで置換されていることを意味する。実施形態によっては、各アリール環が、少なくとも1個のDを有する。実施形態によっては、すべてではなく一部のアリール環が少なくとも1個のDを有する。実施形態によっては、ピレン核に直接結合しているアリール基は、少なくとも20%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており;実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0050】
式Iの実施形態によっては、重水素化は、R1〜R4のいずれか1つ以上の上で行われている。実施形態によっては、R1〜R4のそれぞれが、少なくとも1個のDを有する。実施形態によっては、R1〜R4を合わせて、少なくとも10%が重水素化されている。これは、Cに結合したすべての利用可能なHの少なくとも10%がDで置換されていることを意味する。実施形態によっては、R1〜R4のすべてではなく一部が、少なくとも1個のDを有する。実施形態によっては、R1〜R4を合わせて、少なくとも20%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており;実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0051】
式Iの実施形態によっては、重水素化は、置換基上、およびピレン核に直接結合しているアリール基上で行われている。実施形態によっては、重水素化は、置換基基上およびピレン核上で行われている。実施形態によっては、重水素化は、ピレン核上、およびピレン核に直接結合しているアリール基上で行われている。実施形態によっては、重水素化は、ピレン核上、ピレン核に直接結合しているアリール基上、および置換基上で行われている。
【0052】
実施形態によっては、式Iの化合物は、少なくとも10%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも20%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており;実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0053】
式Iの実施形態によっては、R1およびR4がアリールであり、R2およびR3がHおよびDから選択される。実施形態によっては、R1およびR3がアリールであり、R2およびR4がHおよびDから選択される。実施形態によっては、R1、R2、およびR4がアリールであり、R4がHおよびDから選択される。実施形態によっては、R1〜R4のすべてがアリールである。
【0054】
アリール基の例としては、表1中に示されるAr1〜Ar93があるが、これらに限定されない。これらの基は、記載されているように重水素化されていなくてもよいし、1個のDを有するものから完全に重水素化されいるものであってもよい。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
実施形態によっては、R1〜R4の少なくとも1つが式IIを有する
【0061】
【化4】
【0062】
上式において:
11は、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシ、アリール、シリル、およびシロキサンよりなる群から選択されるか、または隣接したR11基は結合して芳香環を形成してもよく;
aは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜4の整数であり;bは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜5の整数であり;
mは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜6の整数である。
【0063】
実施形態によっては、R1〜R4の少なくとも1つが式IIaを有する:
【0064】
【化5】
上式において、R11、a、b、およびmは、式IIに関して上で定義した通りである。
【0065】
実施形態によっては、R1〜R4の少なくとも1つが、フェニル、ナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、ジベンゾフラニル、それらの置換類似体、およびそれらの重水素化類似体よりなる群から選択される。実施形態によっては、R1〜R4の少なくとも1つが、3−ナフタレン−1−イル−フェニル、3−ナフタレン−2−イル−フェニル、1−ナフタレン−2−イル−6−(4−ナフタレン−1−イル−フェニル)、4−ナフタレン−1−イル−フェニル、4−ジベンゾフラニル、およびそれらの重水素化類似体よりなる群から選択される。
【0066】
実施形態によっては、電気活性化合物は、以下のA1〜A34から選択される。
【0067】
【化6】
【0068】
【化7】
【0069】
【化8】
【0070】
【化9】
【0071】
【化10】
【0072】
【化11】
【0073】
【化12】
【0074】
非重水素化類似化合物は、C−C結合が得られるあらゆる技法を用いて調製することができる。Suzukiカップリング、Yamamotoカップリング、Stilleカップリング、ならびにPd−またはNi−触媒C−Cカップリングなどの種々のこのような技術が周知である。次いで新規の重水素化合物は、重水素化前駆体物質を使用した類似の方法で調製することができるか、あるいは、より一般的には、三塩化アルミニウムまたは塩化エチルアルミニウムなどのルイス酸H/D交換触媒の存在下で非重水素化合物をd6−ベンゼンなどの重水素化溶媒で処理することによって調製することができる。例示的な調製を実施例に示す。重水素化のレベルは、NMR分析によって、および大気圧固体分析プローブ質量分析(ASAP−MS)などの質量分析によって求めることができる。
【0075】
本明細書に記載の化合物は、液体付着技法を用いて膜にすることができる。驚くべきことに、こうした化合物は、予想外にも類似の非重水素化合物と比べて非常に特性が向上している。本明細書に記載の化合物を持つ活性層を含んだ電子デバイスは、大幅に向上した寿命を持つ。加えて、デバイスの他の性質犠牲にすることなく、寿命が増加する。さらに、本明細書に記載の重水素化合物は、非重水素化類似体よりも空気耐性が高い。このため、物質の調製および精製と、物質を使用した電子デバイスの形成との両方での加工許容範囲(processing tolerance)を広げることができる。
【0076】
本明細書に記載の新規の重水素化合物は、正孔輸送物質として、エレクトロルミネセンス物質として、およびエレクトロルミネセンス物質のホストとしての有用性を有する。
【0077】
3.電子デバイス
本明細書に記載のエレクトロルミネセンス物質を含んでいる1つまたは複数の層を有することから恩恵を受けることのできる有機電子デバイスとしては、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザー)、(2)エレクトロニクスの処理による信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスター、光電スイッチ、フォトトランジスター、光電管、IR検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光電変換装置または太陽電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を含んでいる1つまたは複数の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスターまたはダイオード)があるが、これらに限定されない。
【0078】
有機電子デバイス構造の1つの説明図を図1に示す。デバイス100は、第1電気接触層である陽極層110と、第2電気接触層である陰極層160と、それらの間にある電気活性層140とを有する。陽極の隣には正孔注入層120がある。正孔注入層の隣には、正孔輸送物質を含む正孔輸送層130がある。陰極の隣には、電子輸送物質を含む電子輸送層150があってよい。任意選択で、デバイスでは、陽極110の隣の1つまたは複数の更なる正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)及び/または陰極160の隣の1つまたは複数の更なる電子注入層または電子輸送層(図示せず)を使用してよい。
【0079】
層120〜150は、個別にも集合的にも活性層と呼ばれる。
【0080】
1つの実施形態では、種々の層の厚さの範囲は以下の通りである:陽極110は500〜5000Åで、1つの実施形態では1000〜2000Åであり;正孔注入層120は50〜2000Åで、1つの実施形態では200〜1000Åであり;正孔輸送層130は50〜2000Åで、1つの実施形態では200〜1000Åであり;電気活性層140は10〜2000Åで、1つの実施形態では100〜1000Åであり;層150は50〜2000Åで、1つの実施形態では100〜1000Åであり;陰極160は200〜10000Åで、1つの実施形態では300〜5000Åである。デバイス中の電子−正孔再結合域の場所(したがってデバイスの発光スペクトル)は、各層の相対的厚さによって影響されうる。層の厚さの所望の比率は、使用する物質のまさにその性質によって異なるであろう。
【0081】
デバイス100の用途に応じて、電気活性層140は、印加電圧によって活性化される発光層であってよいか(発光ダイオードまたは発光電気化学セルの場合など)、あるいはバイアス印加電圧の有無にかかわりなく放射エネルギーに反応して信号を発生する物質の層(光検出器の場合など)であってよい。光検出器の例としては、光伝導セル、フォトレジスター、光電スイッチ、フォトトランジスター、および光電管、および光起電力セルがあり、これらの用語は、Markus,John,Electronics and Nucleonics Dictionary,470 and 476(McGraw Hill,Inc.1966)に記載されている通りである。
【0082】
本明細書に記載した1種または複数種の新規の重水素化物質が、デバイスの1つまたは複数の活性層中に存在してよい。重水素化物質は、単独で、または非重水素化物質と組み合わせて使用できる。
【0083】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は層130中の正孔輸送物質として有用である。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層が重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層は正孔注入層120である。実施形態によっては、更なる層は電気活性層140である。実施形態によっては、更なる層は電子輸送層150である。
【0084】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は、電気活性層140中のエレクトロルミネセンスドーパント物質のホスト物質として有用である。実施形態によっては、ドーパント物質も重水素化されている。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層が重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層は正孔注入層120である。実施形態によっては、更なる層は正孔輸送層130である。実施形態によっては、更なる層は電子輸送層150である。
【0085】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は、電気活性層140中のエレクトロルミネセンス物質として有用である。実施形態によっては、電気活性層中にはホストも存在する。実施形態によっては、ホスト物質も重水素化されている。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層が重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層は正孔注入層120である。実施形態によっては、更なる層は正孔輸送層130である。実施形態によっては、更なる層は電子輸送層150である。
【0086】
実施形態によっては、新規の重水素化合物は層150中の電子輸送物質として有用である。実施形態によっては、少なくとも1つの更なる層は重水素化物質を含む。実施形態によっては、更なる層は正孔注入層120である。実施形態によっては、更なる層は正孔輸送層130である。実施形態によっては、更なる層は電気活性層140である。
【0087】
実施形態によっては、電子デバイスは、正孔注入層、正孔輸送層、電気活性層、および電子輸送層よりなる群から選択される層の任意の組合せにおいて重水素化物質を有する。
【0088】
実施形態によっては、デバイスは、処理に役立つようにまたは機能を向上させるために、更なる層を有する。そうした層の一部または全部が重水素化物質を含むことができる。実施形態によっては、有機デバイスの層すべてが重水素化物質を含む。実施形態によっては、有機デバイスの層すべてが重水素化物質から本質的になる。
【0089】
a.電気活性層
式Iの新規の重水素化合物は、層140中の電気活性ドーパント物質のホスト物質として有用である。その化合物は、単独で、あるいは第2ホスト物質と組み合わせて用いることができる。新規の重水素化合物は、任意の色を発光するドーパント用のホストとして使用できる。実施形態によっては、新規の重水素化合物は緑色発光または青色発光物質用のホストとして使用する。
【0090】
実施態様によっては、電気的活性層は、式Iを有するホスト物質および1種または複数種の電気的活性ドーパントから本質的になる。実施態様によっては、電気的活性層は、式Iを有する第1ホスト物質、第2ホスト物質、および電気的活性ドーパントから本質的になる。第2ホスト物質の例としては、クリセン類、フェナントレン類、トリフェニレン類、フェナントロリン類、ナフタレン類、アントラセン類、キノリン類、イソキノリン類、キノキサリン類、フェニルピリジン類、ベンゾジフラン類、および金属キノリネート錯体(metal quinolinate complexes)があるが、これらに限定されない。
【0091】
電気的活性組成物中に存在するドーパントの量は一般に、組成物の全重量を基準にして3〜20重量%の範囲であり、実施態様によっては、5〜15重量%である。第2ホストが存在する場合、式Iを有する第1ホストと第2ホストとの比率は一般に、1:20〜20:1の範囲であり、実施態様によっては、5:15〜15:5である。実施態様によっては、式Iを有する第1ホスト物質は、全ホスト物質の少なくとも50重量%であり、実施態様によっては、少なくとも70重量%である。
【0092】
実施態様によっては、第2ホスト物質は式IIIを有する。
【0093】
【化13】
[式中、
Ar1は、それぞれの出現において同一または異なっていて、アリール基であり;Qは、多価アリール基および
【0094】
【化14】
よりなる群から選択され;
Tは、(CR’)a、SiR2、S、SO2、PR、PO、PO2、BR、およびRよりなる群から選択され;
Rは、それぞれの出現において同一または異なっていて、アルキル、およびアリールよりなる群から選択され;
R’は、それぞれの出現において同一または異なっていて、H、Dおよびアルキルよりなる群から選択され;
aは、1〜6の整数であり;さらに
nは、0〜6の整数である]
nは0〜6の値を取りうるが、一部のQ基では、nの値は基の化学的性質による制約を受けることが理解されるであろう。実施態様によっては、nは0または1である。実施態様によっては、Qは少なくとも2個の縮合環を有するアリール基である。実施態様によっては、Qは3〜5個の縮合芳香族環を有する。実施態様によっては、Qは、クリセン、フェナントレン、トリフェニレン、フェナントロリン、ナフタレン、アントラセン、キノリンおよびイソキノリンよりなる群から選択される。
【0095】
ドーパントは、380から750nmの間に発光極大を有するエレクトロルミネセンス可能な電気的活性物質である。実施態様によっては、ドーパントは、赤色、緑色、または青色の光を発する。
【0096】
電気的活性層中のドーパントとして使用できるエレクトロルミネセンス(「EL」)物質としては、小分子有機ルミネセンス化合物、ルミネセンス金属錯体、共役ポリマー、およびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。小分子有機ルミネセンス化合物の例としては、クリセン類、ピレン類、ペリレン類、ルブレン類、クマリン類、アントラセン類、チアジアゾール類、それらの誘導体、およびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。金属錯体の例としては、金属キレート化オキシノイド化合物があるが、これらに限定されない。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)類、ポリフルオレン類、ポリ(スピロビフルオレン)類、ポリチオフェン類、ポリ(p−フェニレン)類、それらのコポリマー、およびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0097】
赤色発光物質の例としては、ペリフラテン類(periflanthenes)、フルオランテン類、およびペリレン類があるが、これらに限定されない。赤色発光物質は、例えば、特許文献4および特許文献5に記載されている。
【0098】
緑色発光物質の例としては、ジアミノアントラセン類およびポリフェニレンビニレンポリマーがあるが、これらに限定されない。緑色発光物質は、例えば、特許文献6に開示されている。
【0099】
青色発光物質の例としては、ジアリールアントラセン類、ジアミノクリセン類、ジアミノピレン類、およびポリフルオレンポリマーがあるが、これらに限定されない。青色発光物質は、例えば、特許文献4、ならびに特許文献7および特許文献8に開示されている。
【0100】
実施態様によっては、ドーパントは有機化合物である。実施態様によっては、ドーパントは、高分子ではないスピロビフルオレン化合物およびフルオランテン化合物よりなる群から選択される。
【0101】
実施態様によっては、ドーパントは、アリールアミン基を有する化合物である。実施態様によっては、電気的活性ドーパントは以下の式から選択される。
【0102】
【化15】
[式中、
Aは、それぞれの出現において同一または異なっていて、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
Q’は、単結合であるか、または3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
pおよびqは独立に1〜6の整数である]
【0103】
上記の式の実施態様によっては、各式中のAおよびQ’の少なくとも1つが、少なくとも3個の縮合環を有する。実施態様によっては、pおよびqは1に等しい。
【0104】
実施態様によっては、Q’はスチリル基またはスチリルフェニル基である。
【0105】
実施態様によっては、Q’は、少なくとも2個の縮合環を有する芳香族基である。実施態様によっては、Q’は、ナフタレン、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、およびルブレンよりなる群から選択される。
【0106】
実施態様によっては、Aは、フェニル、ビフェニル、トリル、ナフチル、ナフチルフェニル、およびアントラセニル基よりなる群から選択される。
【0107】
実施態様によっては、ドーパントは以下の式を有する。
【0108】
【化16】
[式中、
Yは、それぞれの出現において同一または異なっていて、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
Q’’は、芳香族基、二価のトリフェニルアミン残基、または単結合である]
【0109】
実施態様によっては、ドーパントはアリールアセンである。実施態様によっては、ドーパントは非対称アリールアセンである。’
【0110】
実施態様によっては、ドーパントは、式IVを有するアントラセン誘導体である。
【0111】
【化17】
[式中、
12は、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシおよびアリールよりなる群から選択され、ここで、隣接したR12基は結合して5員または6員の脂肪族環を形成していてよく;
Ar2〜Ar5は、同一または異なっていて、アリール基よりなる群から選択され;
dは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜4の整数であり;さらに]
【0112】
実施形態によっては、式IVのドーパントは重水素化されている。実施形態によっては、アリール基が重水素化されている。実施形態によっては、アルキル基が重水素化されている。実施形態によっては、ドーパントは、少なくとも20%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており;実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0113】
実施形態によっては、ドーパントは、式Vを有するクリセン誘導体である:
【0114】
【化18】
上式において:
13は、それぞれの出現において同一または異なっていて、D、アルキル、アルコキシアリール、フルオロ、シアノ、ニトロ、−SO212[ここで、R12はアルキルまたはペルフルオロアルキルである]よりなる群から選択され、ここで隣接したR11基は結合して5または6員の脂肪族環を形成してもよく;
Ar6〜Ar9は同一または異なっていて、アリール基よりなる群から選択され;さらに
eは、それぞれの出現において同一または異なっていて、0〜5の整数である。
【0115】
実施形態によっては、式Vのドーパントは重水素化されている。実施形態によっては、アリール基が重水素化されている。実施形態によっては、アルキル基が重水素化されている。実施形態によっては、ドーパントは、少なくとも30%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも40%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも50%が重水素化されており実施形態によっては、少なくとも60%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも70%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも80%が重水素化されており;実施形態によっては、少なくとも90%が重水素化されており;実施形態によっては、100%が重水素化されている。
【0116】
緑色ドーパントの一部の非限定例は、以下に示す化合物D1〜D8である。
【0117】
【化19】
【0118】
【化20】
【0119】
【化21】
【0120】
【化22】
【0121】
【化23】
【0122】
青色ドーパントの一部の非限定例は、以下に示す化合物D9〜D16である。
【0123】
【化24】
【0124】
【化25】
【0125】
【化26】
【0126】
【化27】
【0127】
【化28】
【0128】
実施形態によっては、電気活性ドーパントは、アミノ置換クリセン類およびアミノ置換アントラセン類よりなる群から選択される。
【0129】
実施態様によっては、本明細書に記載した新規の重水素化合物は、エレクトロルミネセンス物質であり、電気的活性物質として存在する。
【0130】
b.デバイスの他の層
デバイス中の他の層は、そのような層に有用であることが知られている任意の物質で作ることができる。
【0131】
陽極110は、正の電荷担体を注入するのに特に効率的な電極である。それは、例えば、金属を含む物質、混合金属、合金、金属酸化物または混合金属酸化物で作ることができるか、またはそれは導電性ポリマーにすることができるか、あるいはそれらの混合物にすることもできる。好適な金属としては、11族の金属、4〜6族の金属、および8〜10族の遷移金属がある。陽極を光透過性にする場合、12族、13族および14族の金属の混合金属酸化物(インジウム−スズ−酸化物など)が一般的に使用される。陽極110は、“Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer,”Nature vol.357,pp 477−479(11 June 1992)に記載されているようにポリアニリンなどの有機物質を含むこともできる。生じた光を見ることができるように、陽極および陰極のうちの少なくとも1つが、望ましくは少なくとも部分的に透明である。
【0132】
正孔注入層120は正孔注入物質を含み、有機電子デバイスにおいて1つまたは複数の機能を有しうる。その機能としては、下にある層の平坦化、電荷輸送特性及び/または電荷注入特性、不純物(酸素または金属イオンなど)の除去、および有機電子デバイスの性能を促進または向上させる他の側面があるが、それらに限定されない。正孔注入物質は、ポリマー、オリゴマー、または小分子でありうる。それらは、溶液、分散液、懸濁液、エマルジョン、コロイド状混合物、または他の組成物の形であり得る液体から付着させるか、あるいは蒸着させることができる。
【0133】
正孔注入層は、ポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの高分子材料(プロトニック酸がドープされることが多い)によって形成させることができる。プロトニック酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであってよい。
【0134】
正孔注入層は、銅フタロシアニンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷移動化合物などを含むことができる。
【0135】
実施形態によっては、正孔注入層は、少なくとも1種の導電性ポリマーおよび少なくとも1種のフッ素化酸ポリマー(fluorinated acid polymer)を含む。そのような物質については、例えば、特許文献9、特許文献10、および特許文献11に記載されている。
【0136】
実施形態によっては、正孔輸送層130は式Iの新規の重水素化合物を含む。層130の他の正孔輸送物質の例は、例えば、非特許文献1に要約されている。正孔輸送分子および正孔輸送ポリマーの両方を使用できる。通常用いられる正孔輸送分子は以下のものである:N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(□−NPB)、およびポルフィリン化合物(porphyrinic compounds)(銅フタロシアニンなど)。通常用いられる正孔輸送ポリマーには、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)−ポリシラン、およびポリアニリンがある。正孔輸送分子(上述したものなど)をポリマー(ポリスチレンおよびポリカーボネートなど)にドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。場合によっては、トリアリールアミンポリマー、特にトリアリールアミン−フルオレンコポリマーが使用される。場合によっては、ポリマーおよびコポリマーは架橋性である。架橋性の正孔輸送ポリマーの例は、例えば、特許文献12および特許文献13中に見出すことができる。実施形態によっては、正孔輸送層は、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンおよびペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸−3,4,9,10−二無水物などのp−ドーパントがドープされる。
【0137】
実施形態によっては、電子輸送層150は式Iの新規の重水素化合物を含む。層150に使用できる他の電子輸送物質の例としては、金属キレートオキシノイド化合物(トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)など);ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニル−フェノラト)アルミニウム(III)(BAlQ);およびアゾール化合物(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)および3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)など);キノキサリン誘導体(2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなど);フェナントロリン誘導体(9,10−ジフェニルフェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)など);およびそれらの混合物がある。電子輸送層は、n−ドーパント(Csまたは他のアルカリ金属など)がドープされていてもよい。層150は、電子輸送を促進するために機能することも、層界面での励起子の失活を防止するための正孔注入層または閉じ込め(confinement)層として働くこともできる。好ましくは、この層は電子移動性を促進し、励起子の失活を低減する。
【0138】
陰極160は、電子または負の電荷担体を注入するのに特に効率的な電極である。陰極は、陽極よりも仕事関数の小さい任意の金属または非金属であってよい。陰極用の物質は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、2族の(アルカリ土類)金属、12族の金属(希土類元素およびランタニドを含む)、およびアクチニドから選択できる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウムなどの物質、ならびにそれらの組合せを使用できる。動作電圧を下げるために、有機層と陰極層との間にLi含有またはCs含有の有機金属化合物、LiF、CsF、およびLi2Oを付着させることもできる。
【0139】
有機電子デバイス中に別の層を設けることが知られている。例えば、注入される正電荷の量を制御するため、かつ/または層のバンドギャップを一致させるため、あるいは保護層として機能するための、陽極110と正孔注入層120との間の層(図示せず)があってよい。当該技術分野において知られている層を使用でき、それには、銅フタロシアニン、酸窒化ケイ素、フルオロカーボン類、シラン類、または金属(Ptなど)の極薄層がある。あるいはまた、陽極層110、活性層120、130、140、および150、または陰極層160の一部または全部を表面処理して、電荷担体輸送効率を増大させることができる。各成分層の物質の選択は、好ましくは、デバイスが高いエレクトロルミネセンス効率となるように正電荷と負電荷を釣り合わせることにより決定する。
【0140】
各機能層は、複数の層で構成できることが理解される。
【0141】
好適な基板上に個々の層を順次蒸着させることを含め、さまざまな技法でデバイスを作製できる。ガラス、プラスチック、および金属などの基板を使用できる。熱蒸発、化学蒸着などの従来の蒸着手法を使用できる。あるいはまた、スピンコーティング、浸漬塗装、ロール間技法(roll−to−roll techniques)、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの従来のコーティング技法または印刷技法(但し、それらに限定されない)を用いて、適切な溶媒の分散液または溶液から有機層を施すことができる。
【0142】
本発明はまた、2つの電気接触層の間に配置された少なくとも1つの活性層を含む電子デバイスであって、デバイスの少なくとも1つの活性層が式1のアントラセン化合物を含む電子デバイスに関する。デバイスは、更なる正孔輸送層および電子輸送層を有することがしばしばある。
【0143】
効率の高いLEDを実現するために、正孔輸送物質のHOMO(最高被占軌道)は、陽極の仕事関数と一致するのが望ましく、また電子輸送物質のLUMO(最低空軌道)が陰極の仕事関数と一致するのが望ましい。物質の化学的適合性および昇華温度も、電子輸送物質および正孔輸送物質を選択する際の重要な考慮事項である。
【0144】
本明細書に記載のアントラセン化合物で作られたデバイスの効率は、デバイス中の他の層を最適化することによってさらに改善できると考えられる。例えば、Ca、BaまたはLiFなどのさらに効率的な陰極を使用できる。動作電圧の低減または量子効率の増大をもたらす形状化基板および新規の正孔輸送物質も、使用できる。種々の層のエネルギー準位を調整するため、またエレクトロルミネセンスを促進するため、更なる層を加えることもできる。
【0145】
本発明の化合物は、光ルミネセンス性であることが多く、OLED以外の用途(酸素感受性の指示薬およびバイオアッセイにおけるルミネセンス性指示薬など)に有用でありうる。
【実施例】
【0146】
以下の実施例は、本発明の特定の特徴および利点を示す。それらは、本発明を例示することを意図したものであり、限定するものではない。百分率はすべて、特に記載がない限り、重量百分率である。
【0147】
実施例1
この実施例は、式Iを有する重水素化ジアリールピレン化合物(化合物A3)の製法を例示するものである。
【0148】
中間体a:
【0149】
【化29】
d5−ブロモベンゼン(MW162、100g、0.617モル)に、93mLの50%H2SO4と494mLのHOAcとの混合溶媒を室温で加えた。その後、粉末I2(MW254、61.7g、0.243モル)を加え、その後に粉末NaIO4(MW214、26.4g、0.123モル)を加えた。混合物を4時間にわたって激しく攪拌し90℃に加熱した。暗紫色の溶液が、微細な白色沈殿を含む薄オレンジ色の混合物に変化した。混合物を一晩、室温になるまで冷ました。その間に、生成物が板状の微結晶(microcrystalline plates)として沈殿した。混合物を濾過し、10%チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3(50mL)で2回、次いで水で洗浄した。それをCH2Cl2に溶かし、フラッシュカラムを実施した。淡黄色の結晶物質が124g(70%)得られた。濾過液をCH2Cl2(50mL×3)で抽出し、一緒にしたCH2Cl2を10%チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3(50mL)で2回洗浄し、次いで水で洗浄した。乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、フラッシュカラムを実施して、純粋な生成物をさらに32g(17.5%)得た。全部で156gである(収量:88%)。
【0150】
中間体b:
【0151】
【化30】
【0152】
ナフタレン(naphalene)−d8(MW136、68g、0.5モル)をCH2Cl2(800mL)、H20(80mL)および臭化水素酸(MW:81、d=1.49、100g;67.5mLの49%水溶液;0.6モル)中に含む攪拌溶液に、過酸化水素(FW:34、d=1.1g/mL、56g;51.5mLの30%水溶液;0.5モル)を30分間にわたって10〜15℃でゆっくり加えた。反応は、TLCでその進行を監視しながら、室温で40時間放置した。臭素化が完了した後、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を10%チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3(50mL)で2回洗浄し、次いで水で洗浄した。純粋な生成物を、ヘキサン(100%)を用いたシリカゲル(100〜200メッシュ)によるフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離し、その後で蒸留して、純粋な1−ブロモ−ナフテン−d7を透明な液体として得た(85g)。収量はおよそ80%である。
【0153】
中間体c:
【0154】
【化31】
【0155】
300mlの乾燥1,4−ジオキサン中に1−ブロモナフタレン−d7(21.4g、0.10モル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(38g、0.15モル)、酢酸カリウム(19.6g、0.20モル)を含む混合物を、窒素で15分間泡立たせた。次いで、Pd(dppf)2Cl2−CH2Cl2(1.63g、0.002モル)を加えた。その混合物を100℃(油浴)で18時間加熱した。冷却後、混合物をCELITに通して濾過し、次いで50mLになるまで濃縮し、その後水を加え、エーテルで3回(100mL×3)抽出した。有機層を水(3×)およびブライン(1×)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(溶離剤:ヘキサン)にかけて、白色の液体(副生成物であるナフタレン(naphalene)およびジボロン酸エステル(diboronic ester)を有する)を得た。それゆえに、蒸留により精製をさらに行って透明な粘稠液体を得た。収率:21g(82%)。
【0156】
中間体d:
【0157】
【化32】
【0158】
トルエン(300mL)中に1−ブロモ−4−ヨード−ベンゼン−D4(10.95g、0.0382モル)と1−ナフタレン(naphalene)ボロン酸エステル−D7(10.0g、0.0383モル)とを含む混合物に、Na2CO3(12.6g、0.12モル)およびH2O(50mL)、アリクウェント(aliquant)(3g)を加えた。その混合物を窒素で15分間泡立たせた。その後Pd(PPh3)4(0.90g、2%)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で12時間還流させた。冷却した後、反応混合物を分離し、有機層を水で洗浄し、分離、乾燥、濃縮を行った。シリカを加えて濃縮した。残留溶媒を蒸発させた後、溶離剤としてヘキサンを用いたフラッシュカラムにかけて粗生成物を得た。蒸留でさらに精製を行って(135〜140℃/100ミリトールのものを回収)、透明な粘稠液体を得た(8.76g、収率78%)。
【0159】
中間体e:
【0160】
【化33】
【0161】
200mlの乾燥1,4−ジオキサン中に1−ブロモ−フェニル−4−ナフタレン−d11(22g、0.075モル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(23g、0.090モル)、酢酸カリウム22g、0.224モル)を含む混合物を、窒素で15分間泡立たせた。その後Pd(dppf)2Cl2□CH2Cl2(1.20g、0.00147モル)を加えた。その混合物を100℃(油浴)で18時間加熱した。冷却後、混合物をCELITに通して濾過し、次いで50mLになるまで濃縮し、その後水を加え、エーテルで3回(100mL×3)抽出した。有機層を水(3×)およびブライン(1×)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(溶離剤:ヘキサン)にかけて、白色の液体(副生成物であるナフタレン(naphalene)およびジボロン酸エステルを有する)を得た。それゆえに、溶離剤としてヘキサンを用いたシリカゲルカラムを再度実行することにより精製をさらに行った。溶媒を蒸発させ、およそ80mLのヘキサンになるまで濃縮し、白色の結晶生成物が形成された後、それを濾過して、20.1gの生成物(収率81%)を得た。
【0162】
中間体f:
【0163】
【化34】
【0164】
ピレン−d10(25g、0.12mol)をCCl4(1500mL)中に含む攪拌溶液に、室温でBr2(35.8g、0.22mol)/CCl4(150mL)を滴下した。滴下後、混合物を24時間攪拌した。固体を濾過し、MeOHで洗浄すると、固体32.21gが得られ、これに634mLのTHFを加え室温で1〜2日間攪拌した。混合物を濾過して、16gの固体A(1,6−ジブロモピレン)を得た。濾過液を冷蔵庫に1日間入れた。次いで、固体を濾過して、固体を得た(約0.6g、1,6:1,8=約1:1)。濾過液を約150mLまで濃縮し、冷蔵庫に1日間入れた。固体を濾過すると10.3gが得られ、これをトルエン(260mL)から再結晶して、5.2gを得た。5.2gの固体を50mLのTHF中に加熱して溶解させた。冷却した後、固体を濾過して、中間体Bを得た(4.21g、10%、HPLC98.5%)。
【0165】
化合物A3:
【0166】
【化35】
【0167】
f(2.94g、0.008mol)およびe(6.28g、0.018mol)をDME(100mL)中に含む混合物に、K2CO3(6.63g、0.048mol)およびH2O(16mL)を加えた。混合物に窒素を15分間バブリングした。次いでPd(PPh34(0.46g、0.4mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で18時間還流させた。冷却した後、混合物をMeOH中に注いだ。固体を濾過し、Isolera、Florisilカラムで精製し、CHCl3/CH3CN(2:1)から再結晶して、生成化合物A3を得た(1.45g、28%、HPLC98.2%)。
【0168】
比較例A
この比較例は、1,8−ビス−(4−ナフタレン−1−イル−フェニル)−ピレン(比較X)の製法を例示するものである。この比較化合物は、化合物A3の非重水素化類似体である。
【0169】
【化36】
【0170】
RBF(500mL)中に、1,8−ジブロモピレン(10g、27.6mmol)、3−(2−ナフテニルフェニルボロン酸(16.5g、66.3mmol)を加え、続いてトルエン(300mL)を加えた。混合物にN2を10分間パージした。次いで水(70mL)中に溶解させたNa2CO3(14.6g、138mmol)を加えた。その混合物にN2パージを10分間続けた。触媒量のPd(PPh34(0.16g)を加えた。混合物を4時間還流させた。最初に、透明な溶液が形成された(約2時間以内)。次いで2時間後に明るい白色の沈殿が形成された。還流を一晩続けた。わずかに白色の沈殿が形成された。70〜90℃においてシリカパッドで濾過して黒色Pdを除去した。濃縮した後、固体に熱THF/アセトン(100ml/100ml)を加えて12時間スラリー化した。濾過し、THFで洗浄し、乾燥させた。オフホワイト粉末が形成された(11.55g、収率:68.8%)。トレイン・サブミッション(train submission)によって化合物をさらに精製して、7.4gの純粋な化合物を得た(純度99.9%)。その1H NMRスペクトルは比較Xの構造と一致した。
【0171】
実施例2および比較例B
この例は、藍色発光を示すデバイスの製造および性能を示す。
【0172】
実施例2では、ホスト物質は化合物A3であった。比較例Bでは、ホスト物質は比較Xであった。
【0173】
エレクトロルミネセンス物質E1は以下に示す構造を有した。
【0174】
【化37】
【0175】
化合物E1は、不活性雰囲気中の乾燥トルエン中で、6,12−ジブロモクリセン、N−(2,4−ジメチルフェニル)−N−(4’’−tertオクチルテルフェニル−4−イル)アミン、トリス(tert−ブチル)ホスフィン、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を、それぞれ20:40:2:1のモル比で、混合することによって作製される。この溶液に、ナトリウムtert−ブトキシド(約45の相対モル比)で加えた後、60℃で3日間加熱する。その反応生成物を固体として回収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーと、DCMおよびアセトニトリルからの再結晶とによって精製する。
【0176】
デバイスは、ガラス基板上に以下の構造を有していた:
陽極=インジウムスズ酸化物(ITO):50nm
正孔注入層=導電性ポリマーと高分子フッ素化スルホン酸との水性分散液であるHIJ 1(50nm)。そのような物質は、例えば、特許文献9、特許文献10、および特許文献11に記載されている。
正孔輸送層=非架橋のアリールアミンポリマー(20nm)
電気活性層=13:1のホスト:ドーパント(40nm)(表1に示す)
電子輸送層=金属キノレート(metal quinolate)誘導体(10nm)
カソード=CsF/Al(1.0/100nm)
【0177】
OLEDデバイスは、溶液処理と熱蒸発技法とを併用することによって作製した。パターン化インジウム・スズ・酸化物(ITO)で被覆されたガラス基板(Thin Film Devices,Incからのもの)を使用した。こうしたITO基板は、シート抵抗が30オーム/平方であり光透過率が80%であるITOで被覆されたCorning 1737ガラスをベースにしたものである。パターン化ITO基板を、洗浄剤水溶液中で超音波を使って清浄にし、蒸留水ですすいだ。その後、パターン化ITOをアセトン中で超音波を使って清浄にし、イソプロパノールですすぎ、窒素流で乾燥させた。
【0178】
デバイスの作製の直前に、清浄にしたパターン化ITO基板を紫外オゾンで10分間処理した。冷却直後に、バッファー1の水性分散液を、ITO表面を覆うようにスピンコーティングし、加熱して溶剤を除去した。冷却後、次いで基板を正孔輸送物質の溶液でスピンコーティングし、その後で加熱して溶剤を除去した。冷却後、基板を発光(emissive)層溶液でスピンコーティングし、加熱して溶剤を除去した。基板をマスキングし、真空チャンバーに入れた。電子輸送層を熱蒸発で付着させ、その後CsF層を付着させた。次いで真空中でマスクを変え、Al層を熱蒸発で付着させた。チャンバーのガス抜きを行い、ガラスの蓋、乾燥剤、および紫外線硬化性エポキシを用いてデバイスをカプセル化した。
【0179】
OLED試料は、(1)電流−電圧(I−V)曲線、(2)エレクトロルミネセンスの輝度対電圧、および(3)エレクトロルミネセンススペクトル対電圧を測定して特徴を決定した。3つの測定はすべて同時にコンピュータで実行し制御した。ある一定電圧でのデバイスの電流効率は、LEDのエレクトロルミネセンス輝度を、デバイスを作動させるのに必要な電流で割ることによって求める。単位はcd/Aである。結果を表1に示す。
【0180】
【表6】
【0181】
概要および実施例において上で述べた作業のすべてが必要であるわけではないこと、特定作業の一部は必要ではないことがあること、また説明したものに加えて1つまたは複数の更なる作業が実行されうることに留意されたい。またさらに、列挙されている作業の順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。
【0182】
上記の明細書により、各概念が特定の実施形態に関連して説明された。しかし、以下の請求項に記載した本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正および変更を行うことができることは、当業者により理解される。したがって、明細書および図は、制限的な意味ではなく例示的なものと見なすべきであり、そのような修正はすべて本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0183】
上記において、便益、他の利点、および問題の解決法は、特定の実施形態に関連して説明されている。しかし、便益、利点、問題の解決法、ならびにいずれかの便益、利点、または解決法をもたらしうるかまたはより顕著なものにしうるどの特徴も、いずれかまたはすべての請求項の重要な特徴、必須の特徴、または基本的特徴と解釈すべきではない。
【0184】
明快にするために別々の実施形態の文脈において本明細書で説明されている特定の複数の特徴を、1つの実施形態で兼ね備えさせることもできることを理解すべきである。その逆に、簡潔にするために1つの実施形態の文脈で説明されている様々な特徴を、別個に、あるいは任意の副次的な組合せで備えさせることもできる。さらに、範囲内に示されている値に言及する場合、それはその範囲内の各値およびすべての値を含む。
図1