特許第6148274号(P6148274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6148274埋込型ポンプおよびそのためのカニューレ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148274
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】埋込型ポンプおよびそのためのカニューレ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20170607BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   A61M5/142 524
   A61F9/007 170
【請求項の数】18
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-59400(P2015-59400)
(22)【出願日】2015年3月23日
(62)【分割の表示】特願2011-508709(P2011-508709)の分割
【原出願日】2009年5月8日
(65)【公開番号】特開2015-163192(P2015-163192A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2015年3月23日
(31)【優先権主張番号】61/198,090
(32)【優先日】2008年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/198,131
(32)【優先日】2008年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/051,422
(32)【優先日】2008年5月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/197,751
(32)【優先日】2008年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/197,769
(32)【優先日】2008年10月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510295077
【氏名又は名称】ミニパンプス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】パン チャンリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン シー
(72)【発明者】
【氏名】フーカン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン カフィー
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヒューマユン
(72)【発明者】
【氏名】ユー−チョン タイ
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/106557(WO,A2)
【文献】 特表平10−500342(JP,A)
【文献】 特開平08−024334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込型ポンプであって、
該ポンプは、
薬物貯留部と、
該貯留部から液体を導通するためのカニューレと、
該液体を該貯留部から該カニューレを通って流れるように強制的に進める手段と、
該ポンプの中の圧力を監視するつ以上のセンサと、
該監視された圧力に基づいて、該強制手段を調整する回路と
を備え、
該2つ以上のセンサは、第1の圧力センサと、第2の圧力センサとを備え、該第1の圧力センサは、該薬物貯留部の中か、または該カニューレと該薬物貯留部との間のインターフェースに近接して位置し、該第2の圧力センサは、該カニューレの内側に位置し、
該強制手段は、
電解質チャンバと、
該チャンバと該貯留部とを分離し、その間に流体障壁を提供する拡張可能なダイヤフラムと、
該液体が該貯留部から該カニューレの中へ強制的に進められるように、該電解質チャンバの中でガスの発生を引き起こし、それにより、該ダイヤフラムを拡張させる電解用電極と
を備える、ポンプ。
【請求項2】
前記センサは、少なくとも部分的にパリレンから製造される、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記センサは、前記カニューレに沿って走行する金属線を介して、前記回路に電気的に接続される、請求項1に記載のポンプ。
【請求項4】
前記回路は、前記カニューレを通して所定の用量の薬物を送達するようにプログラムされる、請求項1に記載のポンプ。
【請求項5】
前記第2の圧力センサは、前記カニューレの先頭に位置する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項6】
前記第2の圧力センサは、前記カニューレの遠位端に位置して、標的部位において圧力を測定する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項7】
前記回路は、さらに、前記標的部位における監視された圧力に基づいて、ポンプ操作を調整する、請求項に記載のポンプ。
【請求項8】
前記回路は、値の範囲内の圧力値に基づいて前記強制手段を調整する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項9】
前記値の範囲は、圧力範囲を包含するか、該圧力範囲に対応し、前記ポンプは、該圧力範囲内で正常に機能し続ける、請求項に記載のポンプ。
【請求項10】
前記回路は、流速を決定するための測定されたパラメータおよび前記監視された圧力に対応するポンプ状態に基づいて、前記強制手段を調整する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項11】
前記流速を決定するための測定されたパラメータは、流量パラメータまたは温度パラメータのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のポンプ。
【請求項12】
前記ポンプ状態は、前記監視された圧力と、前記流速を決定するための測定されたパラメータと、それらの間の予期される関係とに基づいて決定される、請求項10に記載のポンプ。
【請求項13】
前記回路は、各センサからの圧力値、2つのセンサ間の圧力損失、または、該回路により記録された現在および1つ以上の以前の用量間の圧力値の比較のうちの少なくとも1つを含む前記監視された圧力に対応するポンプ状態に基づいて前記強制手段を調整する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項14】
前記監視された圧力は、偽陽性を排除するために時間平均化される、請求項13に記載のポンプ。
【請求項15】
前記回路は、前記ポンプ状態に基づいて、送達される流体の容量および投薬スケジュールを調整する、請求項13に記載のポンプ。
【請求項16】
前記回路は、前記監視された圧力および前記ポンプ状態に基づいて、ポンプの機能不良を検出する、請求項10に記載のポンプ。
【請求項17】
前記液体の逆流を防止するための逆止弁をさらに備える、請求項16に記載のポンプ。
【請求項18】
前記ポンプの機能不良は、前記カニューレの漏洩、該カニューレの封鎖、前記逆止弁の故障、または前記強制手段の故障のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/051,422号(2008年5月8日出願)、同第61/197,751号(2008年10月30日出願)、同第61/197,769号(2008年10月30日出願)、および同第61/198,090号(2008年11月3日出願)の優先権および利益を主張し、それらの全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
様々な実施形態において、本発明は、埋込型ポンプおよびかかるポンプ用のカニューレに関する。
【背景技術】
【0003】
医学治療では、しばしば、患者の体の特定部分へ治療薬(例えば、薬剤、薬物)の投与が必要となる。患者がより長く生き、慢性および/または衰弱性の病気と診断されるときに起こりうる結果は、さらに多くのタンパク質治療、低分子薬物、および他の薬物療法を、患者の体中の標的領域へ配置する必要性の増大であろう。しかしながら、幾つかの病弊は、現在実行可能である療法で治療するのが困難であり、および/またはアクセスを達成するのが困難な解剖学的区域へ薬物の投与が必要である。
【0004】
患者の目は、到達困難な解剖学的区域の主要な例であり、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症、および緑内症を含む、多くの視力を脅かす疾患は、現在実行可能である療法のうちの多くでは治療するのが困難である。例えば、経口薬は全身性副作用がある可能性があり、局所適用は刺すような痛みを伴い患者に低コンプライアンスを生じる場合もあり、注入には概して医療訪問が必要であり、痛むこともあり得、感染の危険性もあり、かつ持続放出性移植片は、通常、それらの供給が底をついた後に除去されなくてはならない(通常は臨床像に応じて用量を変更する、限定的能力が提供される)。
【0005】
別の例は、乳癌または髄膜腫等の癌であり、ラパマイシン、ベバシズマブ(例えば、アバスチン)、またはイリノテカン(CPT−11)等、大容量の毒性の高い化学療法が、通常は患者の静脈内に投与され、標的領域の外側で数々の望ましくない副作用という結果となる場合がある。また別の例には、薬物がしばしば、変形性関節症等の疾患に対して、無血管性軟骨組織に貫入するのが困難である、膝への薬物送達がある。
【0006】
補充可能な薬物貯留部、薬物を送達するためのカニューレ等を有し得る、埋込型薬物送達装置は、概して、指定の標的への水剤の制御された送達を可能にする。装置は、受動的に制御されるか、または能動的に制御されるかのいずれかであり得る。受動的に制御される装置では、薬物は、例えば、指で薬物貯留部を押す時に送り出される。能動的に制御される装置では、薬物は、例えば、定期的にまたは時間をかけて継続的に自動的に送り出され得る。いずれの場合も、薬物貯留部内の薬物が枯渇すると、装置が患者の体内に埋め込まれたままの間は、医師は、例えば注射器で貯留部を補充することができる。この方法により、埋め込みに必要な外科的切開を最小にし、通常は将来のまたは繰り返される侵襲的手術あるいは手技を避けることができる。
【0007】
しかしながら、様々な困難は補充可能な薬物送達装置に関連付けられる。従来の薬物送達装置の1つの制限は、装置が、通常は装置内部の変化(例えば、故障、封鎖)、または薬物送達標的の変更に、動的に反応することができないことである。例えば、埋め込まれた装置の出口(例えば、カニューレの出口)での組織増殖が、流体の制限を生み出す場合がある。この場合、フィードバック制御のない受動的および能動的な薬物送達装置は、望ましい流速または用量の薬物を送達しないであろう。同様に、フィードバックなしでは、異なる製造過程のために、薬物送達装置に変形がある場合、異なる製剤が投与される場合等、温度変動が存在する中では、望ましい流速または用量が送達されない場合がある。
【0008】
したがって、改良された埋込型薬物送達装置への必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
様々な実施形態において、本発明は、ポンプの内側および/または薬物送達標的の中に生じる変化に反応することができる、埋込型薬物送達ポンプを特徴とする。ポンプのこの能力は、その療法的価値を向上し、また患者の安全性も強化する。例えば、本願に記載するポンプの実施形態は、ポンプのカニューレを通して液体(例えば、薬物)流量を監視するための、1つ以上の流量センサを含む。例えば、流速が望ましい速度から逸脱した場合、ポンプ内の回路は是正措置を取り得る。代替としてまたは加えて、本願に記載するポンプは、ポンプの少なくとも一部分の圧力を監視するために、1つ以上の圧力センサを含み得る。必要であるかまたは望ましい場合、ポンプ内の回路は再び、監視された圧力に基づいてポンプ操作を調整し得る。様々な実施形態において、流量センサはポンプのカニューレ内に設置される。圧力センサも同じく配置されるか、またはポンプ内の他の場所に配置され得る。
【0010】
様々な他の構成要素もまた、例えば、さらに患者の安全性を保証するために、ポンプのカニューレの中に存在し得る。例えば、カニューレは、そこを通して患者へ大きい粒子および起こり得る気泡が通過することを防止するフィルタ、ならびに/または標的部位からポンプの薬物貯留部への逆流を防止する逆止弁を含み得る。
【0011】
概して、一側面において、本発明の実施形態は、薬物貯留部と、貯留部から液体を導通するためのカニューレと、貯留部からカニューレを通して液体を強制的に進めるための手段と、カニューレを通って流れる液体に関する、パラメータ(流速または圧力等)を監視するためのセンサと、監視されたパラメータに基づいて、強制手段を調整するための回路とを含む、埋込型ポンプを特徴とする。センサは、少なくとも部分的にパリレンから製造され得、カニューレに沿って走行する金属線を介して回路に電気的に接続され得る。
【0012】
回路は、カニューレを通して所定の用量の薬物を送達するようにプログラムされ得、センサは、流量センサであり得る。例えば、流量センサは、熱流量センサであり得る。本願に従う熱流量センサは、ヒータおよび温度センサの両方として機能する、カニューレと物理的に関連付けられる単一要素を含み得る。代替として、熱流量センサは、カニューレと物理的に関連付けられる、ヒータおよび独立温度センサの両方を含み得る。温度センサは、ヒータの下流に位置し得る。また別の代替案において、熱流量センサは、全てカニューレと物理的に関連付けられる、ヒータと、第1および第2の温度センサとを含む。第1の温度センサは、ヒータの下流に位置し得、第2の温度センサは、ヒータの上流に位置し得る。
【0013】
別の実施形態では、流量センサは飛行時間型センサである。飛行時間型センサは、両方ともカニューレと物理的に関連付けられる、ヒータおよび第1の温度センサを含み得る。第1の温度センサは、ヒータの下流に位置し得、回路は、(i)電力の離散パルスをヒータに印加させ、(ii)第1の温度センサによる、ヒータによって加熱される液体の検出を引き起こし得る。ある場合には、第2の温度センサは、カニューレと物理的に関連付けられ、ヒータの上流に位置する。代替として、1つ以上の第2の温度センサは、カニューレと物理的に関連付けられ、ヒータの下流に位置し得る。
【0014】
また別の実施形態では、飛行時間型センサは、全てカニューレと物理的に関連付けられる、2つの上流電極および2つの下流電極を含む。回路は、(i)離散電圧パルスを2つの上流電極にわたって印加させ、(ii)2つの下流電極による、前記カニューレを通って流れる液体で生成される電気化学的パルスの検出を引き起こし得る。
【0015】
また他の実施形態では、流量センサは、貯留部の中に圧力センサを、および/またはカニューレの中に1つ以上の圧力センサを含む。その上に、流量センサに加えて、ポンプはさらに、流動液体に近接しておらず、周囲温度の変動に対する補正を容易にする、温度センサを含み得る。
【0016】
様々な実施形態において、強制手段は、電解質チャンバと、チャンバおよび薬物貯留部を分離し、その間に流体障壁を提供する、拡張可能なダイヤフラムと、液体が薬物貯留部からカニューレの中へ強制的に進められるように、電解質チャンバの中でガスの発生を引き起こし、それにより、ダイヤフラムを拡張させるための電解用電極とを含む。
【0017】
代替として、または流量センサに加えて、圧力センサは、カニューレ内の圧力を監視するために含まれ得る。一実施形態において、圧力センサは、標的部位で圧力を測定するために、カニューレの遠位端(カニューレの内側または外側のいずれか)に位置する。次いで、回路は、標的部位で監視された圧力に基づいて、ポンプ操作を調整し得る。別の実施形態では、ポンプは、カニューレの中に逆止弁を含み、圧力センサは、カニューレの内側、および逆止弁の下流に位置する。また別の実施形態では、圧力センサは、薬物貯留部の中か、またはカニューレと薬物貯留部との間のインターフェースに近接して位置する。
【0018】
圧力センサを含む実施形態はまた、カニューレを通して液体の流速を監視するための流量センサを含み得る。次いで、回路は、監視された圧力および/または監視された流量に基づいて、ポンプの機能不良を検出し得る。
【0019】
概して、また別の側面において、本発明の実施形態は、埋込型ポンプ用のカニューレを特徴とする。カニューレは、そこを通るチャネルを有し、その遠位端で狭くなる、細長い本体と、その近位端で本体と一体化しているフィルタと、本体の近位端を埋込型ポンプの接続ポートに接続するための手段とを含み得る。フィルタは、チャネルの流量断面より大きい断面を有し得、それぞれが2μmと同じくらいの高さを有する開口部を画定し得る。例えば、フィルタは、開口部を画定する、パリレン杭の配列を含み得る。
【0020】
様々な実施形態において、カニューレはさらに、チャネル内の流体流を感知するための流量センサと、カニューレが挿入される部位で圧力を感知するための圧力センサと、細長い本体の遠位端へその外面上で連結される電気化学センサと、および/またはチャネルの中で流体の逆流を防止するための逆止弁とを含む。カニューレの細長い本体は、少なくとも部分的に、パリレンから製造され得、本体の少なくとも一部分は、シリコン構造によって包囲され得る。
【0021】
一実施形態において、カニューレの逆止弁は通常は閉鎖され、逆止弁に印加される事前負荷力によって管理される、クラッキング圧力を有する。事前負荷力は、静止摩擦力(“static friction”=“stiction”)と、逆止弁の2つの構成要素間の高さの差とによって引き起こされ得る。逆止弁は、少なくとも部分的に、パリレンの層から製造され得る。その上に、結合剤は逆止弁に塗布され得、および/または逆止弁は事前負荷力を維持するように、少なくとも1つのマイクロヒータを含み得る。
【0022】
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
埋込型ポンプであって、
薬物貯留部と、
該貯留部から液体を導通するためのカニューレと、
該液体を該貯留部から該カニューレを通して強制的に進める手段と、
該カニューレを通って流れる液体に関する少なくとも1つのパラメータを監視するセンサと、
該監視されるパラメータに基づいて、該強制手段を調整する回路と
を備える、ポンプ。
(項目2)
前記強制手段は、
電解質チャンバと、
該チャンバと前記貯留部とを分離し、その間に流体障壁を提供する拡張可能なダイヤフラムと、
前記液体が該貯留部から前記カニューレの中へ強制的に進められるように、該電解質チャンバの中でガスの発生を引き起こし、それにより、該ダイヤフラムを拡張させる電解用電極と
を備える、項目1に記載のポンプ。
(項目3)
前記センサは、少なくとも部分的にパリレンから製造される、項目1に記載のポンプ。(項目4)
前記センサは、前記カニューレに沿って走行する金属線を介して、前記回路に電気的に接続される、項目1に記載のポンプ。
(項目5)
前記回路は、前記カニューレを通して所定の用量の薬物を送達するようにプログラムされる、項目1に記載のポンプ。
(項目6)
前記センサは、流量センサであり、前記パラメータは、前記液体の流速である、項目1に記載のポンプ。
(項目7)
前記流量センサは、熱流量センサである、項目6に記載のポンプ。
(項目8)
前記流量センサは、前記カニューレと物理的に関連付けられる単一要素を備え、該単一要素は、ヒータおよび温度センサの両方として機能する、項目7に記載のポンプ。
(項目9)
前記流量センサは、両方とも前記カニューレと物理的に関連付けられるヒータおよび温度センサを備え、該温度センサは、該ヒータの下流に位置する、項目7に記載のポンプ。
(項目10)
前記流量センサは、全て前記カニューレと物理的に関連付けられる、ヒータと、第1および第2の温度センサとを備え、該第1の温度センサは、前記ヒータの下流に位置し、該第2の温度センサは、該ヒータの上流に位置する、項目7に記載のポンプ。
(項目11)
前記流量センサは、飛行時間型センサである、項目6に記載のポンプ。
(項目12)
前記流量センサは、両方とも前記カニューレと物理的に関連付けられる、ヒータおよび温度センサを備え、該温度センサは、該ヒータの下流に位置し、前記回路は、電力の離散パルスが該ヒータに印加されるようしに、該ヒータによって加熱された液体の該温度センサによる検出を引き起こす、項目11に記載のポンプ。
(項目13)
第2の温度センサをさらに備え、該第2の温度センサは、前記カニューレと物理的に関連付けられ、前記ヒータの上流に位置する、項目12に記載のポンプ。
(項目14)
少なくとも第2の温度センサをさらに備え、該少なくとも第2の温度センサは、前記カニューレと物理的に関連付けられ、前記ヒータの下流に位置する、項目12に記載のポンプ。
(項目15)
前記流量センサは、2つの上流電極および2つの下流電極を備え、該2つの上流電極および2つの下流電極は、各々、前記カニューレと物理的に関連付けられ、前記回路は、離散電圧パルスが該2つの上流電極にわたって印加されるようにし、該カニューレを通って流れる前記液体の中で生成される電気化学的パルスの該2つの下流電極による検出を引き起こす、項目11に記載のポンプ。
(項目16)
前記流用センサは、前記貯留部の中に圧力センサを備える、項目6に記載のポンプ。
(項目17)
前記流量センサは、前記カニューレの中に少なくとも1つの圧力センサを備える、項目6に記載のポンプ。
(項目18)
前記流動液体に近接していない温度センサをさらに備えて、周囲温度の変動に対する補正を容易にする、項目6に記載のポンプ。
(項目19)
前記センサは、圧力センサであり、前記パラメータは、前記カニューレの中の圧力である、項目1に記載のポンプ。
(項目20)
前記圧力センサは、前記カニューレの遠位端に位置して、標的部位において圧力を測定する、項目19に記載のポンプ。
(項目21)
前記回路は、前記標的部位における監視された圧力に基づいて、ポンプ操作を調整する、項目20に記載のポンプ。
(項目22)
前記圧力センサは、前記カニューレの内側にある、項目20に記載のポンプ。
(項目23)
前記圧力センサは、前記カニューレの外側にある、項目20に記載のポンプ。
(項目24)
前記カニューレの中に逆止弁をさらに備え、前記圧力センサは、該カニューレの内側であって該逆止弁の下流に位置する、項目19に記載のポンプ。
(項目25)
前記回路は、前記監視された圧力に基づいて、ポンプの機能不良を検出する、項目19に記載のポンプ。
(項目26)
前記圧力センサは、前記薬物貯留部の中か、または前記カニューレと前記薬物貯留部との間のインターフェースに近接して位置する、項目25に記載のポンプ。
(項目27)
前記液体の流速を監視する流量センサをさらに備える、項目19に記載のポンプ。
(項目28)
前記回路は、前記監視された圧力および流量に基づいて、ポンプの機能不良を検出する、項目27に記載のポンプ。
(項目29)
埋込型ポンプ用のカニューレであって、
自身を通るチャネルを有し、自身の遠位端において狭くなる細長い本体と、
自身の近位端において該本体と一体化しているフィルタであって、(i)該チャネルの流量断面より大きい断面を有し、(ii)2μm以下の高さを各々が有する開口部を画定する、フィルタと、
該本体の該近位端を該埋込型ポンプの接続ポートに接続する手段と
を備える、カニューレ。
(項目30)
前記チャネル内の流体流を感知する流量センサをさらに備える、項目29に記載のカニューレ。
(項目31)
前記カニューレが挿入される部位において圧力を感知する圧力センサをさらに備える、項目29に記載のカニューレ。
(項目32)
前記細長い本体の遠位端に連結される電気化学センサをさらに備える、項目29に記載のカニューレ。
(項目33)
前記電気化学センサは、前記細長い本体の外面上に設置される、項目32に記載のカニューレ。
(項目34)
前記チャネルの中での流体の逆流を防止するための逆止弁をさらに備える、項目29に記載のカニューレ。
(項目35)
前記逆止弁は、通常は閉鎖されており、該逆止弁のクラッキング圧力は、該逆止弁に印加される事前負荷力によって管理される、項目34に記載のカニューレ。
(項目36)
前記事前負荷力は、静止摩擦力と、前記逆止弁の2つの構成要素間の高さの差とによって引き起こされる、項目35に記載のカニューレ。
(項目37)
前記事前負荷力を維持するために、前記逆止弁に適用される結合剤をさらに備える、項目36に記載のカニューレ。
(項目38)
前記逆止弁は、前記事前負荷力を維持するために、少なくとも1つのマイクロヒータをさらに備える、項目36に記載のカニューレ。
(項目39)
前記逆止弁は、少なくとも部分的に、パリレンの層から製造される、項目34に記載のカニューレ。
(項目40)
前記細長い本体は、少なくとも部分的に、パリレンから製造される、項目29に記載のカニューレ。
(項目41)
前記細長い本体の少なくとも一部分を包囲する、シリコーン構造をさらに備える、項目29に記載のカニューレ。
(項目42)
前記フィルタは、前記開口部を画定する、パリレン杭の配列を備える、項目29に記載のカニューレ。
これらおよび他の目的は、本願で開示する本発明の実施形態の利点および特徴に沿って、続く記載、添付の図面、および請求項を参照することで、より明らかになるであろう。さらに、本願に記載する様々な実施形態の特徴は、本願に明示していなくとも、互いに排他的であり、様々な組み合わせおよび置換においても存在することができることは理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面において、同様の参照符号は、概して、異なる図中でも同一部品を指す。また、図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、概して本発明の原理を図示することに重点を置いている。続く記載では、本発明の様々な実施形態が、続く図面を参照して説明されている。
図1A図1Aは、本発明の一実施形態に従い、埋込型薬物送達ポンプを図式的に横断面で図示する。
図1B図1Bは、本発明の別の実施形態に従い、埋込型薬物送達装置を図式的に横断面で図示する。
図2図2Aは、熱効果または飛行時間に基づいて動作する、流量センサの汎用実施形態を図式的に図示する。図2Bは、本発明の一実施形態に従う、容量性圧力感知ベースの流量センサを図式的に図示する。
図3図3−5は、本発明の様々な実施形態に従う、熱効果流量センサを図式的に図示する。
図4図3−5は、本発明の様々な実施形態に従う、熱効果流量センサを図式的に図示する。
図5図3−5は、本発明の様々な実施形態に従う、熱効果流量センサを図式的に図示する。
図6図6−9は、本発明の様々な実施形態に従う、飛行時間ベースの流量センサを図式的に図示する。
図7図6−9は、本発明の様々な実施形態に従う、飛行時間ベースの流量センサを図式的に図示する。
図8図6−9は、本発明の様々な実施形態に従う、飛行時間ベースの流量センサを図式的に図示する。
図9図6−9は、本発明の様々な実施形態に従う、飛行時間ベースの流量センサを図式的に図示する。
図10図10Aおよび10Bは、本発明の様々な実施形態に従う、圧力感知ベースの流量センサを図式的に図示する。
図11図11は、本発明の一実施形態に従い、埋込型薬物送達ポンプにおける、様々な圧力センサの配置を図式的に図示する。
図12図12は、正常な操作条件下での、通常の埋込型薬物送達ポンプ用のカニューレに渡る圧力損失と、そこを通る流体流量の速度との間の関係を図示するグラフである。
図13図13は、本発明の一実施形態に従う、カニューレの概略断面図である。
図14図14は、本発明の一実施形態に従い、その端部のうちの1つで統合されるフィルタを有する、カニューレの概略断面図である。
図15図15は、線A−Aに沿った、図14に図示するフィルタの概略横断面図である。
図16図16は、本発明の一実施形態に従う、乾燥前の逆止弁の概略側断面図である。
図17図17は、乾燥後の図16の逆止弁の概略側断面図である。
図18図18は、図17の逆止弁の概略平面図である。
図19図19は、本発明の一実施形態に従い、バンドパス逆止弁を含むカニューレの概略断面図である。
図20図20Aは、本発明の別の実施形態に従い、逆止弁を含むカニューレの概略平断面図である。図20Bは、図20Aの逆止弁の概略平断面図である。図20Cは、図20Aの逆止弁の概略側断面図である。
図21図21は、本発明のまた別の実施形態に従い、逆止弁を含むカニューレの概略断面図である。
図22図22は、本発明のまた別の実施形態に従い、逆止弁を含むカニューレの概略側断面図である。
図23図23は、本発明の一実施形態に従い、カニューレの遠位端に連結される電気化学センサを、図式的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
概して、本発明の実施形態は、例えば、患者の目または脳内といった患者の体内に埋め込み可能な薬物送達ポンプに関連する。ある実施形態では、埋込型薬物送達ポンプは、小型サイズおよび補充可能な薬物貯留部を兼ね備える。小型サイズは、薬物送達ポンプから患者への不快感を最小化する一方、補充可能な貯留部は、ポンプを交換しなくてはならない代わりに、原位置で補充することを可能にする。したがって、薬物の溶液等の流体を長期間にわたって患者へ供給することができる。
【0025】
本発明の実施形態は、様々なタイプの埋込型薬物送達ポンプに関連して採用され得る。図1Aおよび1Bは、患者の目104内に埋め込まれる、1つのかかる埋込型薬物送達ポンプ100(すなわち、例示的電解質ポンプ100)の2つの変形例を、図式的に図示している。しかしながら、ポンプ100は代わりに、患者の体の他の部分に埋め込まれ得る。例えば、化学療法を提供するか、または脳への別のタイプの治療を提供する(例えば、脳の実質に直接投薬することによって)ために、脳のくも膜下空間に化学療法を提供するために、患者の体のいずれの部分の腫瘍の近くにインスリン放出を誘発するであろう薬剤(例えば、タンパク質、ウイルスベクタ)を提供するために、グルコースにあまり反応しない膵臓に、変形性関節症または軟骨疾患を治療するであろう薬物を提供するために膝に、鎮痛剤または抗炎症薬を提供するために脊椎の近くにか、あるいは、他の場所に埋め込まれ得る。図1Aおよび1Bに図示する通り、ポンプ100の実施形態は、2つの主要な構成要素、少なくとも部分的に壁115によって包囲されるチャンバ108、112の一対と、カニューレ120とを含み得る。図1Aに図示する通り、チャンバ108、112を包囲する壁115は、独立型パリレンフィルム116と、比較的剛性がある生体適合材料(例えば、医療グレードのポリプロピレン)から成る、それを覆う別個の保護シェル128とを含むか、またはそれらから成り得る。代替として、図1Bに図示する通り、壁115は、パリレンでコーティングされ得る、保護シェル128にのみ相当し得る。上部チャンバ108は、患者を治療することに使用される時に、液体形状で投与される薬物を包含し得る、薬物貯留部を画定する。その部分に対して、底部チャンバ112は、電気分解に供される時に、ガス状生成物を放出する液体を包含し得る。例えば、その液体は、印加された電圧によって水素ガスおよび酸素ガスへ電解分離される場合がある、水であり得る。代替に、他の例として、電解液は、食塩水(すなわち、NaClおよびHO)、あるいは硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムのいずれかを包含する溶液であり得る。一実施形態では、2つのチャンバ108、112は、波形ダイヤフラム124によって分離される。言い換えると、ダイヤフラム124は、2つのチャンバ108、112の間に流体障壁を提供する。独立型フィルム116のように、ダイヤフラム124は、例えば、パリレンから構築され得る。
【0026】
図1Aに図示する通り、独立型フィルム116は、薬物貯留部108のための外側障壁として働いてもよく、保護シェル128は、フィルム116が圧力を行使する硬表面を提供し得る。かかる場合において、シェル128は、目、脳、または他の体液の動きを可能にするように穿孔し得る。代替として、図1Bに図示する通り、保護シェル128自体は、薬物貯留部108用の外側障壁として働き、非穿孔であり得る。図1Aおよび1Bに図示する両方の実施形態では、保護シェル128により、外圧が薬物貯留部108上に行使されないように防止され得る。図1Aに図示する通り、保護シェル128の底部部分126(すなわち、床126)は、縫合穴130を含み得る。同様に、図1Aまたは図1Bのいずれにも示さないが、カニューレ120もまた、その側面に沿って縫合穴を含み得る。縫合穴130は、患者の体の中の定位置にポンプ100を縫合(すなわち、固着)することに採用され得る。
【0027】
また、図1Aに図示する通り、ポンプ100へ電力を提供し、それとともにデータ伝送を可能とするために、バッテリおよび制御回路132は、チャンバ108、112(すなわち、薬物貯留部108の独立型パリレンフィルム116の底部部分と、保護シェル128の床126との間)の下に包埋(例えば、密封されている)され得、導入コイル136は、保護シェル128の中に統合され得る(例えば、射出成形によって)。図1Bは、バッテリおよび従来の制御回路132を収容するための、気密性ケース135をより明確に図示しているが、便宜上、その中に収容される構成要素を図示していない。気密性ケース135は、生体適合金属(例えば、チタン)または金属合金から成り得る。気密性ケース135の底部は、平坦であり得るか、または埋込型ポンプ100が患者の目104に嵌合することを助けるようにくぼんでいてもよい。
【0028】
一実施形態において、導入コイル136は、外部装置(例えば、ハンドセット)との無線(例えば、無線周波数)通信を可能にする。ハンドセットは、ポンプ100をプログラムするか、再プログラムするか、操作するか、較正するか、またはそうでなければ構成するために、制御回路132へ無線信号を送信することに使用され得る。一実施形態において、制御回路132は、電解質貯留部112の底部部分に及ぶ金属相互接続(ビア)138によって、電解質チャンバ112の中の電解用電極134と電気的に通信する。電解用電極134は、例えば、白金、金、および/または他の金属から成り得る。さらに以下に記載する通り、制御回路132はまた、以下に記載する閉ループ制御過程を含む、ポンプ100のポンプ作用を制御する。
【0029】
一実施形態において、図1Aに図示する通り、カニューレ120は、投与の部位において挿入される逆止弁140に、薬物チャンバ108を接続する。代替として、または加えて、図1Bに図示する通り、逆止弁140は、カニューレ120の近位端(すなわち、薬物貯留部108に最も近い端部)と一体化し、そこに位置し得る。しかしながら、より一般的には、逆止弁140は、カニューレ120に沿ってどこかに位置し得る。加えて、カニューレ120を通る薬物の流量を監視し、それにより薬物容量の測定を可能にするための1つ以上の流量センサ144は、カニューレ120の1つ以上の近位、中間、または遠位部分と関連付けられ得る。随意に、図1Aに図示する通り、圧力センサ148はまた、投与の部位(例えば、硝子体内チャンバ、肩関節包、膝関節包、脳室、脊柱管)で圧力を測定するために、カニューレ120の遠位端で(すなわち、薬物貯留部108から最も遠い端部で)統合され得る。一実施形態において、圧力センサ148は、薬物の流量が閉ループ制御過程によって計量され得るように、制御回路132へのフィードバックを提供する。例えば、薬物標的区域で増加する圧力は、ポンプ100からの薬物の流量の減少を引き起こし得る。さらに、圧力センサ148は、カニューレ120に沿って統合されるか、または、例えば図11を参照の上、以下に記載する通り、ポンプ100の他のどこかに配置され得る。加えて、図14および15を参照の上、以下にさらに記載する通り、カニューレ120はまた、例えば、その近位端に、カニューレ120を通して投与の部位への、大型粒子および起こり得る気泡の通過を防止するフィルタを含み得る。
【0030】
図1Aに図示する通り、カニューレ120は、独立型パリレンフィルム116の延長であり得る。代替として、図1Bに図示する通り、カニューレ120は、保護シェル128に連結される別個の構成要素(例えば、パリレン構成要素)であり得る。例えば、カニューレ120の近位端は、保護シェル128の中に形成される流体接続ポートを通して挿入され、例えば、生体適合性エポキシ接着剤150によってそこへ結合され得る。シリコンシース154は、カニューレ120の一部分の周囲に配置され得る(図1B参照)がこれは任意である(図1A参照)。
【0031】
一実施形態において、図1Aに図示する通り、注入口152は、薬物貯留部108とともに構築され、密封材(例えば、生体適合性エポキシ)156によって独立型フィルム116および保護シェル128に密封される。また別の実施形態では、図1Bに図示する通り、穴は、保護シェル128およびその中で特徴となる注入口152を通って形成され得る。また別の実施形態において、注入口152は、ポンプ100上の他のどこかに形成され、チューブを通って薬物貯留部108に接続し得る。例えば、注入口152は、生体適合材料から成形され、気密性ケース135上の整合切痕に連結され、チューブを通して薬物貯留部108へ接続され得る。一実施形態において、チューブは、薬物貯留部108を包囲する壁の中に形成される流体接続ポートを通して挿入され、生体適合性エポキシ接着剤によってそこへ結合される。いずれの場合でも、注入口152は、薬物貯留部108と流体連通し、ポンプ100の操作者(例えば、医師)が、原位置で薬物貯留部108を補充することが可能になる(例えば、ポンプ100が患者の目104内に埋め込まれている間に)。概して、薬物貯留部108は、注入口152の中へおよびそこを通して補充針を挿入することによって、補充することができる。
【0032】
様々な実施形態では、ポンプ100の主要部品(すなわち、チャンバ108、112の一対およびカニューレ120)は、複数のパリレン層過程を使用する、モノリシックマイクロ加工および統合を受け入れられる。注入口152、保護シェル128、および他の構成要素は、マイクロ加工ステップの後、ポンプ100とともに構築され得る。
【0033】
操作では、電流が電解用電極134へ供給される時に、電解質は、波形ダイヤフラム124を拡張し(すなわち、図1Aおよび1Bではダイヤフラム124を上へ移動させ)、液体(例えば、薬物)を薬物貯留部108から、カニューレ120の中へおよびそこを通して、その遠位端の外側から、投与の標的部位へと導通させ、ガスを放出する。拡張可能なダイヤフラム124の中の襞または他の折り目は、ダイヤフラム124が弛緩する時に、薬物貯留部108内の容量を犠牲にすることなく、大きく拡張することを可能にする。電流が止められる時は、電解ガスがその液体状態に戻って凝縮し、ダイヤフラム124はその空間効率の高い襞を回復させる。
【0034】
(A.流量センサ)
本願に記載する通り、熱効果、飛行時間、および/または圧力に基づく流量センサを含む、幾つかの流量センサ144のうちのいずれも、埋込型ポンプ100の中で使用され得る。概して、流量センサ144はカニューレ120内に配置され、図1Aおよび1Bに図示する通り、カニューレ120内の流体流を感知するために採用される。
【0035】
一実施形態において、流量センサ144は、少なくとも部分的に、生体適合性の薄膜ポリマーである、パリレンから製作される。有利なことに、これによって、流量センサ144を、パリレンベースの薬物ポンプ100の中へ完全に統合することが可能になる。パリレンベースのカニューレ120の一部分を図示する、図2Aを参照すると、熱効果および飛行時間に基づくセンサ144はまた、カニューレ120のパリレン流体チャネル160の中に包埋される、薄膜金属元素158を含み得る。さらに以下に記載する通り、これらの薄膜金属元素158は、ヒータおよび抵抗温度装置(“RTD”)等の装置を生み出すことに使用することができる。
【0036】
圧力感知に基づく流量センサ144は、様々な手段のうちのいずれにおいても機能することができる。例えば、当業者には既知である他の技術のうち、容量性技術、ピエゾ抵抗技術、および圧電技術は、全て長所を引き立てるように採用され得る。カニューレ120の流れチャネル160内に設置される、パリレンベースの容量性圧力センサ144の例が、図2Bに示されている。図中、流量センサ144は、2つの容量性プレートまたは膜168A、168B間に封入された空気チャンバ164を含む。膜168A、168Bは、例えば、パリレン/金属複合材から製造され得る。封入された空気チャンバ164は、密閉されるか、または気圧へ放出されるかのいずれかであってよい。次いで、センサ144より上の圧力の増加(チャネル160の中の流速の増加のため)により、上膜168Aが下へ曲げられ、上膜および底膜168A、168B間の静電容量の変化が登録される。同様に、センサ144より上の圧力の減少(チャネル160の中の流速の減少のため)により、上膜168Aが上へ曲げられ、再び上膜および底膜168A、168B間の静電容量の変化が登録される。
【0037】
パリレンが、体液、またはカニューレ120のチャネル160を通して流れる薬物と接触する唯一の材料であることが望ましい場合もある(例えば、生体適合性を確実にし、また薄膜金属元素158および金属電極168A、168Bを時間とともに進む分解から保護するため)。したがって、図2Aおよび2Bに図示する通り、センサ144は、1つ以上のパリレン層172内に被包され得る。加えて、全体構造を強化し、機械的損傷を防止するために、センサ144はまた、生体適合性シリコンまたはエポキシ内に被包され得る。
【0038】
概して、流量センサ144は、ポンプ100の制御回路132(図1A参照)に連動する。制御回路132は通常、プリント基板(“PCB”)上に実装され、流量センサ144から制御回路132までの金属トレースは、カニューレ120の流体チャネル160と平行に走行し得る。回路132との実際の相互接続で、金属を被覆するパリレン層172は、エッチング除去(etched away)され得る。次いで、曝露された金属パッドは、導通性エポキシ、半田、または別の適切な結合剤を使用して、PCBに結合され得る。
【0039】
(A.1.熱流量センサ)
一実施形態において、熱流量センサ144は、センサ144に近接して流れる流体を局所的に加熱するように、抵抗ヒータを使用する。次いで、さらに以下で説明する通り、1つ以上の微小RTDを使用して測定することができる、流動流体の温度は、流速の表示を提供する。1つ以上のRTDはヒータに隣接できるか、またはある場合には、ヒータ自体が同時にRTDとして使用することができるかのいずれかである。
【0040】
(A.1.a.単一ヒータ型熱流量センサ)
図3を参照すると、熱流量センサ144の本構成には、カニューレ120と物理的に関連付けられる単一ヒータ(図3および続く図のうちの幾つかには“H”と示されている)のみがある。図中、ヒータはまた、温度センサとしても使用される。ヒータは、定電力または定電流のいずれかを使用して、制御回路132によって駆動され得る。次いで、ヒータにわたる電圧降下は流速を示す。より具体的には、増加する流量がより迅速に熱を奪うことによって、加熱コイルの効率的な抵抗を低減させるため、ヒータにわたる電圧降下は、流体チャネル160を通して流速が増加するにつれ、減少する。図示されないが、流体チャネル160の外側(例えば、カニューレ120の外側で、流動流体から離れている)の別の温度センサは、周囲温度の変動を補正するように、制御回路132によって使用され得る。
【0041】
(A.1.b.単一ヒータ単一温度センサ型熱流量センサ)
図4を参照すると、熱流量センサ144の本構成には、1つのヒータ(H)、およびヒータの下流に設置される単一温度センサ(図4および続く図のうちの幾つかには“TS1”と示されている)がある。本実施形態において、制御回路132は、ヒータを過ぎて流れる流体を加熱するために、上流のヒータへ電力を印加し、下流温度センサによって感知される温度は、徐々により早くなる前方への流速とともに増加する。より具体的には、チャネル160の中を流れる流体に対して、徐々により早くなる前方への流速で、加熱された流体は、下流温度センサに到達する前に、熱を消散する時間をほとんど有さない。再び図示しないものの、流体チャネル160の外側(例えば、カニューレ120の外側で、流動流体から離れている)の別の温度センサは、周囲温度の変動を補正するように、制御回路132によって使用され得る。
【0042】
(A.1.c.単一ヒータ二重温度センサ型熱流量センサ)
図5を参照すると、熱流量センサ144の本構成には、単一ヒータ(H)と、ヒータの下流に設置される第1の温度センサ(TS1)と、ヒータの上流に設置される第2の温度センサ(図5および続く図のうちの幾つかには“TS2”と示されている)とがある。また再び、回路132はヒータに電力を印加する。2つの温度センサの使用は、方向性流量感知を可能にする。例えば、前方流(すなわち、図5に図示する流れの矢印176の方向に流れる)とともに、下流温度センサTS1によって測定される温度は増加するであろう一方、上流温度センサTS2によって測定される温度は減少するであろう。反対の流れ(すなわち、流れの矢印176の方向とは反対の方向に流れる)に対して、その逆も正しい。加えて、図示しないものの、流体チャネル160の外側(例えば、カニューレ120の外側で、流動流体から離れている)の別の温度センサは、周囲温度の変動を補正するように、制御回路132によって使用され得る。
【0043】
代替として、2つの温度センサの温度を個々に測定するのではなく、図5に示す構成を使用して、制御回路132が代わりに、流速を算出するために2つのセンサ間の差温を測定し得る。より具体的には、第1の温度センサTS1が第2の温度センサTS2より高い温度を測定した場合、流体は流れの矢印176の方向に流れている。逆も正しい場合、そのとき流体は、流れの矢印176の方向とは反対の方向に流れている。徐々により早くなる流速に対して、差温の測定値は増加する。ヒータ以外の手段により引き起こされる周囲温度の変化が、ほぼ同じように両方の温度センサに影響を与え、それゆえ相殺されるであろうため、差温の測定値は、流速の測定値に対してより優れた感度を示すことができる。
【0044】
図3−5に図示する実施形態のそれぞれにおけるヒータ(H)は、継続的に動作し得、または代替として、制御回路132によってパルスで動かされ得る。ヒータおよび温度センサの両方が、流量測定の間に機能している必要はないため、ヒータをパルスで動かすことは、省電力につながる場合がある。例えば、図5を参照すると、制御回路132は、周囲より略10℃上の温度まで戻すために、略20msの間ヒータに電力のパルスを印加し得る。次いで、下流および上流温度センサTS1、TS2間の差温は、熱パルスの開始から始まり、略60ms以上にわたり平均化され得る。この平均差温は、その後、カニューレ120のチャネル160を通る流速に、直接相関し得る。
【0045】
(A.2.飛行時間型流量センサ)
一実施形態において、飛行時間型流量センサ144は、カニューレ120のチャネル160内を流れる流体にトレーサパルスを生成し、このパルスがある距離を横断することに要する時間を測定する。この測定された時間は“飛行時間”として定義され、体積流量と言い換えら得る、線形流体速度に相当する。以下に記載する実施形態の幾つかは、トレーサとして加熱された液体のパルスを使用する。これらの実施形態において、前述同様に、加熱された液体のパルスは、微小RTDを使用して検出することができる。飛行時間の大きさは、ヒータおよび温度センサの間隔だけでなく、流体チャネル160の寸法にも依存する。以下に記載する別の実施形態では、電気化学的パルスはトレーサとして採用される。本実施形態において、一対の電極が電気化学的パルスを検出することに使用され得る。
【0046】
(A.2.a.単一下流温度センサ付き単一ヒータ飛行時間型流量センサ)
図6を参照すると、飛行時間型流量センサ144の本構成には、単一ヒータ(H)、およびヒータの下流に設置される単一温度センサ(TS1)がある。制御回路132は、電力の離散パルスを上流ヒータに印加させ得る。次いでヒータは、熱のパルスを、ヒータに近接するカニューレ120のチャネル160の中を流れる流体へ伝達し得る。加熱された流体のこのパルスは下流に移動すると、下流温度センサによって検出される。パルス生成の時間と、加熱された流体の下流での検出の時間との間の遅延が、飛行時間である。流量が増加すると、飛行時間は減少する。
【0047】
(A.2.b.下流および上流温度センサ付き単一ヒータ飛行時間型流量センサ)
図7を参照すると、飛行時間型流量センサ144の本構成には、単一ヒータ(H)と、ヒータの下流に設置される第1の温度センサ(TS1)と、ヒータの上流に設置される第2の温度センサ(TS2)とがある。その上、制御回路132は、電力の離散パルスを上流ヒータに印加させてもよい。次いで、2つの温度センサは、流体の加熱されたパルスを検出することに使用され得る。より具体的には、2つの温度センサの使用は、双方向性流量感知能力を可能にする。前方流(すなわち、流れの矢印176の方向に流れる)に対しては、下流温度センサが熱パルスを検出するであろう一方で、上流センサは検出しないであろう。反対の流れ(すなわち、流れの矢印176の方向とは反対の方向に流れる)に対して、その逆も正しい。
【0048】
加えて、独立して2つの温度センサで信号を測定するほかに、制御回路132は代わりに、2つの間の差分信号を測定し得る。これにより、トレーサパルスが引き起こしたのではない温度変動を排除することによって、流れの方向のより正確な検出、およびそのための飛行時間が生じ得る(例えば、トレーサパルスによる以外で引き起こされた周囲温度変動は、各温度センサに平等に影響を与え、それにより相殺されるべきである)。
【0049】
(A.2.c.複数の下流温度センサ付き単一ヒータ飛行時間型流量センサ)
図8を参照すると、飛行時間型流量センサ144の本構成には、単一ヒータ(H)、およびヒータの下流に設置される2つ(TS1、TS2)以上の温度センサがある。またその上、制御回路132は電力の離散パルスをヒータに印加させてもよい。その結果生じる流体の熱パルスが、流れの矢印176の方向に下流へ移動すると、第1の温度センサTS1、次いで第2のTS2によって最初に検出される。電力のパルスの生成と、個別の下流温度センサによって加熱された結果生じた流体パルスの検出との間の遅延時間のそれぞれは、流速の表示として使用することができる。加えて、第1の温度センサを通過し、次いで第2の温度センサを通過する熱パルス間の遅延時間もまた、流速を判定することに使用することができる。また、複数の下流温度センサの使用は、ヒータにより近い温度センサが、より遅い流速により適している一方で(さらに下流のセンサに到達する前に、熱パルスが流体から消散する場合もあるため)、さらに下流の温度センサはより早い流速により適しているため(さらに下流のセンサに到達した時に、熱パルスは依然として、流体の中に存在しがちであろうため)、流量センサの範囲を延長することを可能にする。
【0050】
(A.2.d.電気化学的パルスを採用する飛行時間型流量センサ)
図9を参照すると、飛行時間型流量センサ144の本構成には、2つの上流電極174A、174B、および2つの下流電極178A、178Bがある。電極174A、174B、178A、178Bのそれぞれは、カニューレ120のチャネル160の中に流れる流体と接触し得る。本実施形態では、制御回路132は、2つの上流電極174A、174Bを使用して、流体に電気化学的パルスを生み出し得る。より具体的には、離散電圧パルスは、これらの電極174A、174Bに近接する流体を電気化学的に変化させるように、上流電極174A、174Bにわたって印加され得る。概して、これらの電気化学的変化は、流体のイオン濃度またはpHの小さな変化である。次いで電気化学的パルスは、流体流動とともに下流へ移動し、2つの下流電極178A、178Bによって検出され得る。特に、制御回路132は、下流電極178A、178Bにわたりインピーダンスを測定し得る。一実施形態において、電気分解を防止するために、ACインピーダンス測定が使用される。インピーダンスの変化は電気化学的パルスの存在を示唆する。パルス生成の時間と、電気化学的パルスの下流検出との間の遅延が、遅行時間である。その上、流量が増加すると、飛行時間は減少する。
【0051】
(A.3.圧力ベースの流量センサ)
圧力ベースの流量センサ144は、流体システムの主要地点で圧力を測定し、それによりカニューレ120を通る流体流速を推定するように、埋込型ポンプ100の様々な場所で採用され得る。より具体的には、例えば、眼球の薬物ポンプ100で遭遇する流動様式は、通常層状である。したがって、測定された圧力および流体流速の間には、よく理解されているほぼ線形(すなわち、正比例)関係がある。
【0052】
(A.3.a.薬物貯留部の中の圧力ベースの流量センサ)
図10Aを参照すると、本構成には、単一の圧力ベースの流量センサ144が薬物貯留部108内部に位置している。例えば、図1Aおよび1Bに戻って参照すると、圧力センサ144は、カニューレ120の進入地点よりちょうど前の、薬物貯留部108の床と一体化し得る。カニューレ120を通る流れが層状であるため、薬物貯留部108で測定される圧力は、カニューレ120の拍出時の圧力は変化しないと推定され、カニューレ120を通る流体流速に正比例するであろう。より具体的には、薬物貯留部108内部で測定されたより高い圧力は、カニューレ120を通るより速い流体流速を示し、薬物貯留部108内部で測定されたより低い圧力は、カニューレ120を通るより遅い流体流速を示している。
【0053】
(A.3.b.薬物貯留部およびカニューレの中の圧力ベースの流量センサ)
図10Bを参照すると、本構成では、第1の圧力ベースの流量センサ144Aは、カニューレ120の先頭(すなわち、進入地点のちょうど外側)に位置し、第2の圧力ベースの流量センサ144Bは、カニューレ120の端部か、またはカニューレ120の長さ内のいずれかに位置する。例えば、図10Bに図示する通り、第1の圧力センサ144Aは、カニューレ120の進入地点よりちょうど前の薬物貯留部108内部に位置し、第2の圧力センサ144Bは、カニューレ120の長さのほぼ中間に位置する。その上、カニューレ120を通る流れが層状であるため、2つの圧力センサ144A、144Bによって測定される圧力の差は、図12を参照の上、以下にさらに記載する通り、カニューレ120を通る流体流速に正比例するであろう。有利なことに、本構成では、差圧とカニューレ120を通る流体流速との間の関係は、カニューレ120の出口の圧力によって影響を受けない。
【0054】
(A.4.測定された流速への反応)
測定された流速に応じて、薬物の正しい容量が、時間とともにカニューレ120のチャネル160を通して送達されることを確実にするために、制御回路132は是正措置を取ってもよい。例えば、制御回路132が、薬物のより速い流速が必要であると判定した場合、電解質チャンバ112の中により大きいガスを発生させ、それによりさらにダイヤフラム124を拡張し、カニューレ120を通る流体流速を増加させるように、電解用電極134への電流を増加させてもよい。代替として、制御回路132が、より低速の薬物が必要であると判定した場合、電解質チャンバ112の中により少ないガスを発生させ、それによりダイヤフラム124の中の拡張を少なくし、カニューレ120を通る流体流速を減少させるように、電解用電極134への電流を減少させてもよい。ポンプ100が採用される特定の用途によって、カニューレ120を通って流れる流体の流速要件は、nL/minからμL/minの流量の規模を範囲とし得る。
【0055】
(B.圧力センサ)
別の側面において、本発明の実施形態は、薬物標的領域およびポンプ100の健全度を監視するための、埋込型薬物ポンプ100の中の1つ以上の圧力センサ148の配置に関連する。例えば、図11を参照すると、1つ以上の圧力センサ148は、監視するために、薬物貯留部108の中か、カニューレ120内部か、または両方の領域に同時に配置され得る。それぞれの場合に、ポンプ100内の制御回路132は、圧力データを受容し(例えば、それぞれの圧力センサ148を制御回路132と接続させる金属トレースを介して)、処理することができる。加えて、圧力データに基づいて、制御回路132は、余剰圧力を避け、最適圧力または圧力範囲を維持し、ポンプ100の故障の場合の患者への害を防止し、および/あるいは環境の変化か、薬物投与計画または解剖学的標的の変更かを補正するように、ポンプ100の操作を調整することができる。図11にさらに図示する通り、ポンプ100のカニューレ120はまた、本願に記載の1つ以上の逆止弁140および流量センサ144を包含し得る。
【0056】
(B.1.標的部位の監視)
カニューレ120の中または上に位置する圧力センサ148は、注入部位の局所圧力を測定し監視することに使用することができる。例えば、点滴の間、注入部位圧力の情報が必要な場合、そのとき圧力センサ148は、2つの場所、(i)カニューレ120内部で、その遠位先端(図11の圧力センサ148Cの配置により図示する通り)、または(ii)カニューレ120外部で、その遠位先端(図11の圧力センサ148Bの配置により図示する通り)のうちのいずれかに配置されることができる。有利なことに、カニューレ120の遠位先端にある圧力センサ148B、148Cの配置により、カニューレ120内部の流量に関連する圧力損失が圧力値のエラーを引き起こすのが防止される。
【0057】
一方、埋込型ポンプ100がオフ状態の時に、注入部位圧力の情報のみが必要な場合、そのときセンサ148は、(i)カニューレ120内部で、逆止弁140の下流(図11の圧力センサ148Cおよび148Dの配置により図示する通り)、または(ii)カニューレ120外部で、その遠位先端(図11の圧力センサ148Bの配置により図示する通り)に配置することができる。逆止弁140の前への圧力センサ148の配置(図11の圧力センサ148Aの配置により図示する通り)は、薬物貯留部108で圧力の測定を提供することができる。
【0058】
上述の通り、圧力センサ値は、ポンプ100による反応を誘発するように、制御回路132によって使用され得る。例えば、緑内症薬物療法を包含する眼球の薬物送達ポンプ100に対して、ポンプ100は、眼圧(IOP)がある値を超過した場合には、IOPを減少する薬物の計算された容量を送達するように起動し得る。圧力測定値は、偽陽性(例えば、目に印加される外圧、くしゃみ、膝の屈曲など)の可能性を排除するために、回路132によって時間平均化され得る。IPOのその後の低下は、また、圧力センサ148によって監視され得る。かかる構成は、特に、薬物がすぐにIOPスパイク上に送達される、急性の場合に好適である。圧力を数日間にわたって監視する慢性の場合には、投薬スケジュールおよびポンプ100によって送達される薬物の容量は、最適の療法値に対して、圧力データに基づいて変わり得る。
【0059】
(B.2.ポンプの健全性の監視)
薬物貯留部108内および/またはカニューレ120内部に位置する圧力センサ148はまた、ポンプ100の健全性を監視するように(例えば、ポンプ100の機能不良を検出するように)、制御回路132によって使用され得る。制御回路132も、圧力センサ148からのデータのみを考慮することによって、または代替として、1つ以上のより早くに記載した流量センサ144からの値と連動する、圧力センサ148からの圧力データを分析することによって、使用され得る。
【0060】
同時に、圧力および流量センサ148、144は、複数地点の故障検出システムを形成する。より具体的には、図12を参照すると、通常操作条件下では、カニューレ120にわたる圧力損失(図11においてΔP=P1−P2、またはP1−P3、またはP1−P4)は、流量センサ140によって測定される通り、カニューレ120を通る流速(Q)との既知の関係に従うであろう。この関係は、関数Q通常(ΔP)として表すことができる。ポンプ100の出口での圧力の大きさが、ポンプ100内部の圧力より著しく小さい状況では、薬物貯留部108内部の圧力センサ148Aのみが必要とされることにも留意すべきである。この場合には、ΔP≒P1(図11参照)である。
【0061】
予期される関係(Q通常(ΔP))からのいずれの偏差は、概して、1つ以上のポンプの構成要素の問題を示唆する。その間ポンプ100が正常に機能し続ける、ポンプ状態の容認可能な範囲を確定することは可能である。例えば、図12は、何が容認可能なポンプ状態を構成するかを図示している。一方で、容認できないポンプ状態(すなわち、Q通常(ΔP)線のそれぞれの側面に対して許容可能な範囲を越えた状態)はポンプ100に行為を誘発するべきである。ポンプの制御回路132によって実装され得る、これらの行為は、患者および/または医師へ、ポンプの機能不良ならびに/あるいはポンプ100をスタンバイモードに置いていることについて通知するステップを含み得る。通知は、可聴音、またはポンプ100の中に内蔵される光信号システムによって、携帯用装置へ、上記の通り無線伝送を介して行われ得る。
【0062】
ポンプ状態を既知の関数(Q通常(ΔP))と比較する以外に別の方法は、制御回路132が、以前の用量に対して、制御回路132によって記録されたポンプ状態へ進行中である投与量間の、時変ポンプ状態を比較することである。かかる場合には、いずれの著しい偏差は、何かが、ポンプ100の普通の状態から外れ、ポンプ100をスタンバイモードへ置き、および/または患者/医師に通知する理由を提供することを示唆している。
【0063】
例示の目的のため、幾つかの可能性のある故障およびそれらの検出を、ここに記載する。
【0064】
(B.2.a.カニューレの漏洩)
カニューレ120に漏洩が存在する場合、流量センサ144によって測定される流速は、測定される圧力差を与えられた予定値よりも低いであろう。
【0065】
(B.2.b.カニューレの封鎖)
カニューレ120の内部または出口に封鎖があった場合、流量センサ144によって測定される流速は、測定される圧力差を与えられた予定値よりも低いであろう。
【0066】
(B.2.c.逆止弁の故障)
逆止弁140が閉鎖位置で行き詰った場合、流量センサ144は、逆止弁のクラッキング圧力を超過する圧力においてさえ、いずれの流量も登録しないであろう。反対に、逆止弁140が開放位置で行き詰った場合、流量センサ144は、非常に低い圧力おいてさえ、流速を登録するであろう。
【0067】
(B.2.d.ポンプのアクチュエータの故障)
ポンプ100が発動している(例えば、電解質チャンバ112の中の電解用電極134の操作によって)が、薬物貯留部108には圧力の増加もなく、登録された流量もない場合、そのときポンプのアクチュエータの問題が示唆される。同様に、ポンプ100が高速で駆動されており、差圧(ΔP)および/または流速の予想より低い増加がある場合、これもまた、ポンプのアクチュエータの問題の可能性を示唆している。
【0068】
もちろん、複数の圧力および/流量センサ148、144によってさえ、全ての可能性のある故障メカニズムを区別するのは、依然困難である場合がある。しかしながら、これは通常、問題の存在であるため、実用的観点からは重要ではない場合があり、すなわち、問題は、その正確な性質より一層重要である、受け入れられる範囲を越えて、いずれのポンプ状態から推論され得る。
【0069】
(C.カニューレ用フィルタ、逆止弁、および電気化学センサ)
本願に記載の通り、カニューレ120は、薬物送達ポンプ100の多機能構成要素であり得る。既に記載した通り、統合型流量センサ144および/または圧力センサ148を含み得る。カニューレ120が特徴とし得る、さらなる統合型機能構成要素は、大型粒子および発生し得る気泡が、カニューレ120を通して投与の部位(例えば、患者の目104)へと通過することを防止するフィルタと、流体が標的部位からカニューレのチャネル160の中へ逆流することを防止する逆止弁140と、その遠位端にあるカニューレ120の外側の電気化学センサ312(図23参照)とを含む。
【0070】
図13は、本発明の一実施形態に従う、カニューレ120の概略断面図を図示している。図示する通り、本実施形態では、カニューレ120は、そこを通ってチャネル160を画定する細長い本体180を含む。本体180およびチャネル160のそれぞれは、その遠位端184に向かって狭くなる。カニューレ120の小さい直径の挿入先端部は、標的区域(例えば、患者の目104)への外科的損傷を減少することに役立つ。前に言及した通り、カニューレ120の細長い本体180は、パリレンを含むか、または基本的にパリレンから成り得る。その上、図1Bを参照して述べる通り(便宜上、図13には図示していないが)、シリコン(例えば、シリコンシース154、シリコンコーティング)は、保護層を提供するために、少なくとも一部分のカニューレのパリレン本体180を包囲し得る。
【0071】
一実施形態において、チャネル160の内幅は略100μmであり、細長い本体180の総幅wは略400μmである。このように、チャネル幅は、1つ以上の流量センサ140、圧力センサ148、および/または逆止弁140の統合を容易にすることに十分大きい。本体180の縁は、前述の通り(例えば、2つのパリレン層によって、本体180の縁上に蒸着される密封される、導通性のトレースを使用して)、それぞれの流量、圧力、および/または電気化学センサ144、148、312から制御回路132までの経路を選択するために使用され得る。一実施形態において、カニューレ120の遠位部分184では、チャネル160の内幅は、略20μm−50μmに収縮する一方、細長い本体180の幅は略100μm周辺まで収縮する。
【0072】
(C.1.カニューレ用フィルタ)
小さい気泡は、注入口152を通して埋込型薬物送達ポンプ100を充填または補充する間に、薬物貯留部108の中へ導入され得るか、あるいは,薬物の脱気によって生成され得る。小さい気泡は概して害がないものの、例えば、患者の目104の中へ注入された場合、カニューレ120のチャネル160に存在する逆止弁140、流量センサ144、および/または圧力センサ148の機能に影響を与える場合がある。したがって、気泡がチャネル160から進入することを防止することは、非常に望ましい。図14に図示する通り、フィルタ188は、この目的のためにカニューレの細長い本体180の近位端192と統合され得る。より具体的には、パリレンメッシュであり得るフィルタ188は、例えば、生体適合性エポキシ接着剤を使用して、カニューレの細長い本体180の近位端192に結合され得る。代替として、フィルタ188は、カニューレのチャネル160を形成することに使用されるのと同一のパリレン層を使用して、カニューレ120と製作され統合され得る。
【0073】
図14に図示する通り、フィルタ188は、フィルタ188の中の流量抵抗を減少するように、チャネル160の流量断面より大きな断面を有し得る。一実施形態において、図15に図示する通り、フィルタ188は、より大きい粒子および気泡が、カニューレ120のチャネル160へ通過することを防止するように、2μmと同じくらい(例えば、開口部196は、1μmから2μmの断面の高さであり得る)の断面の寸法(例えば、高さ)をそれぞれ有する、開口部(例えば、チャネル)196を画定する。開口部196は、フィルタ188の中のパリレン杭200の配列によって、図14および15に図示する通り、画定され得る。その上、パリレン杭200の配列は、フィルタ188の上部および底部パリレン層の巻き付きを防止し得る。
【0074】
(C.2.カニューレ用逆止弁)
一実施形態において、事前負荷力は、カニューレ120の逆止弁140に対する、事前設定されたクラッキング圧力(例えば、4psiより大きい)を提供する。加えて、事前負荷力は、逆止弁140の中に効率的な密封を提供し、それによりカニューレ120を通る流体の逆流を防止することに役立つ。
【0075】
そこへ印加される事前負荷力を有する逆止弁140が、製造の様々な段階で、図16−18に示されている。より具体的には、図16は、乾燥される(例えば、空気中で)前の逆止弁140を図示している一方、図17および18は、乾燥された後の逆止弁140を図示している。一実施形態において、逆止弁140は、3つのパリレン層(例えば、密封ディスク204用の第1の層、弁座208用の第2の層、および静止摩擦力ダイヤフラム220用の第3の層)から構築されるが、代替の実施形態では、他の材料がまたパリレンの代わりに、またはパレリンに加えて使用され得る。おそらく(必ずしも必要ではないが)、3つの層に使用される材料は、可撓性があり、耐水性があり、生体適合性がある。
【0076】
図16−18に図示する通り、逆止弁140の主要構造は、逆止弁座208の上部に設置される円形密封ディスク204を含む。逆止弁座208は、例えば、20μm厚のパリレン層から構築され得、最初の段部212(例えば、厚さ10μmの)は、座層208に作り出され得る。一実施形態において、テザー216は密封ディスク204を包囲し、密封ディスク204を定位置に担持するように、静止摩擦力ダイヤフラム220の中心へ固着される224。テザー216は、例えば、パリレンから構築され得、それぞれのテザー216は略5μmの厚さを有し得る。その部品に対して、静止摩擦力ダイヤフラム220は、弁座層208のより低いレベルへ固着される228。逆止弁140は、リソグラフィ(例えば、犠牲フォトレジスト層を使用して)、またはいずれか他の適切な手段によって作り出され得る。
【0077】
パリレンは金属への接着が不十分であるため、金属層(例えば、Pt/Au500Å/2500Å、または異なる厚さを伴う他の金属)は、密封ディスク204と逆止弁座208との間の最初の接着を減少するように、蒸着され採用され得る。このように、最初に逆止弁140を開けることに必要とされる圧力は減少される。
【0078】
一実施形態において、最後の製作段階として、溶剤の中に全フォトレジスト犠牲層を解放した後、静止摩擦力ダイヤフラム220は、図16に示す通り、逆止弁密封座208と同一レベルである、その元の位置で浮遊し続けている。しかしながら、逆止弁140を乾燥(例えば、空気中で)した後、静止摩擦力(ある程度は、アンカー228および静止摩擦力ダイヤフラム220の柔らかいテザー236のため)が、逆止弁座208層の低レベルと静止摩擦力ダイヤフラム220との間に生じる。弁座208に向かう下向きの力(例えば、事前負荷力)はそれゆえ、図17のテザー216の中の屈曲によって示す通り、テザー216を介して密封ディスク204上に作り出される。この事前負荷力を設定した後、結合剤232(例えば、エポキシ)が、静止摩擦力位置を永久に担持し、テザーアンカー224と静止摩擦力ダイヤフラム220との間の層間剥離を防止するように、塗布され得る。複数の貫通穴が、結合剤232が3つのパリレン層全てに到達するように結合剤232を適用する前に、密封ディスクアンカー224および静止摩擦力ダイヤフラム200に形成され得る。
【0079】
一実施形態において、マイクロ金属抵抗器ヒータは、3つのパリレン層間に包埋される。静止摩擦力が生じ、力が逆止弁密封接触部上に負荷された後、電流は3つのパリレン層を融解し、それらを一緒に接着するように、マイクロヒータに印加され得る。
【0080】
操作において、逆止弁140は、治療部位からの流体が、カニューレ120を通って薬物貯留部108の中へ流れることを防止する一方で、薬物または他の流体が、カニューレ120を通して薬物貯留部108から治療部位まで流れることを可能にする、一方弁をカニューレ120に提供する。より詳細には、可撓性密封ディスク204は、密封ディスク204の上方および下方の差圧によって、弁座208に対して隣接するか、または可撓的にそこから延在し得るように、繋留される。例えば、弁座208を通って密封ディスク204の方へ流れる流体は、密封ディスク204を強制的に、弁座208から可撓的に延在させ(クラッキング圧力が超過される時)、それにより流体が、逆止弁140を通って通過することが可能となるであろう。反対に、反対方向に流れる流体は、密封ディスク204を強制的に弁座208対して密封して隣接させ、それにより流体が逆止弁140を通って流れることを防ぐ、差圧を作り出する。その結果、逆止弁140は、単純で効率的な一方向弁システムを、カニューレ120に提供する。
【0081】
図19は、逆止弁140、すなわちバンドパス構造を有する逆止弁140の代替実施形態を図示している。逆止弁140は、繋留場所252に繋留される、2つのダイヤフラム弁部分244、248を特徴としている。逆止弁140は、例えば、カニューレ120を通る流体流動を制御するように使用され得る(例えば、設定ポンプ圧力が流体に印加される時に、流体が前方向に流れることが可能になる、および/または後ろ方向の流体の逆流を防止することによって)。
【0082】
操作において、逆止弁の140クラッキング圧力は、ポンプ100が静止している時に、密封部分246を通る漏洩を防止するが、弁140は、ポンプ作用がクラッキング圧力を超える圧力を生成する時に、前方流を可能にするように開放されるであろう。流体が非常に高い(すなわち、異常な)圧力を経験する時(例えば、操作または埋め込み中に予期しない力によって)、逆止弁140は、前方流を遮断するであろう。加えて、逆止弁140は、眼圧に由来する逆行流を防止するであろう。
【0083】
より詳細には、逆止弁140は、第1の、通常閉鎖されている弁244と、第2の、通常開放されている弁248とを含む。第1の弁244のクラッキング圧力の下方の前方圧力が、カニューレ120の中の流体に印加される場合、第1の弁244は閉鎖したままであろうし、流体も流れないであろう。しかしながら、第1の弁244のクラッキング圧力の上方の前方圧力が、カニューレ120の中の流体に印加される場合、第1の弁244は開くであろうし、流体は第1および第2の弁244、248の両方を通して流れるであろう。加えて、前方圧力が第2の弁248のクラッキング圧力を超過する場合、第2の弁248は閉鎖し、それによりそこを通る流体流動を防止するであろう。最後に、後方圧力がカニューレ120の中の流体に印加される場合、第1の弁244は閉鎖し、それによりカニューレ120に沿って逆流を防止するであろう。
【0084】
ここで図20A−20Cを参照すると、2psiより大きいクラッキング圧力を有する、単一の、通常閉鎖している逆止弁140の実施形態は、流量センサ144のカニューレ120の上流へ統合される。前述同様に、本実施形態の逆止弁140は、カニューレ120の中の流体に印加される圧力が、クラッキング圧力より大きい時のみ開く。図20Bおよび20Cを参照すると、逆止弁140の逆止弁密閉リング276のためパリレン層は、弁座280の金層上に直接蒸着され得る(金表面に、例えば、さらなる自己組織化単層コーティングで)。金とパリレンとの弱い接着のため、この結合は容易に解放され、それにより逆止弁140が、クラッキング圧力が超過される時に開くことが可能になる。密閉リング276と弁座280との間に初期間隙がないので、逆流漏洩は不可能になる。
【0085】
逆止弁140A、140Bの代替実施形態が、図21および22に個々に示されている。逆止弁140A、140Bは、クラッキング圧力が超過されると解放される、ダイヤフラム弁部分286、300と、テザー292、304と、密封部分296、308とを含む。クラッキング圧力(すなわち、弁286、300それぞれを開くための最小前方圧力)は、約200mmHgまたは4psiであり得る。代替として、より高いまたはより低いクラッキング圧力が使用され得る。
【0086】
(C.3.カニューレ用電気化学センサ)
一実施形態において、図23に図示する通り、電気化学センサ312は、例えば、眼内空間、脳脊髄液、または脊椎等の標的部位の薬物濃度の体内での監視を提供するように、カニューレ120上(例えば、その遠位先端上のカニューレ120の外側)に配置される。図23に図示する通り、センサ312は、患者の目104の中でのカニューレ120の埋め込み後、完全に眼内液に沈められるように、カニューレ120上に配置され得る。例えば、センサ312は、リニアボルタンメトリ、サイクリックボルタンメトリ、パルスボルタンメトリ、および他の技術等、よく知られる電気化学的検出原理に基づいて動作し得る。これらの技術は、概して、センサ312の活性電極316への電圧波形を変化させる用途に関する。電極316表面上での分子の酸化および還元は、作動流体の中のある電気化学的活性分子の濃度を判定するように、測定され使用されることができる、電流を生成する。
【0087】
一実施形態において、センサ312は、最低限の2つの電極316を必要とする。電極316を形成することに使用され得る材料は、限定するものではないが、カーボン、白金、および金を含む。前述同様に、金属トレースは、電極316を制御回路132に電気的に接続するように、カニューレ120の長さに及んでもよい。金属トレースは、パリレンを使用して環境から絶縁され得る一方、センサ312の電極316は、薬物標的部位で流体と直接接触し得る。代替として、薄膜または分子はまた、それらの特性を修正し、ある分子に対するそれらの検出特異性を向上させるために、電極316に印加され得る。
【0088】
様々な実施形態において、電気化学センサ312は、血管内皮増殖因子(“VEGF”)および全てのVEGF誘導体(VEGF A等)等の増殖因子、サイトカイン(TNFα等)、ポンプ100によって汲み出される薬物、またはそれ以外の方法で投与された(例えば、局所的に)薬物の濃度レベル、タンパク質、ならびに/あるいは糖(グルコース等)を感知するように使用される。加えて、電気化学センサ312は、脳脊髄液の、アスコルビン酸および酸素レベルを試験するために、ならびに/またはモル浸透圧濃度、糖レベル、および化学薬品を試験するために採用され得る。
【0089】
本発明のある実施形態を記載してきたが、本願に記載の概念を組み込む他の実施形態が、本発明の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて使用され得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、記載する実施形態は、全ての点において、限定ではなく説明としてのみ考慮されるべきである。
【0090】
以下は、特許請求の範囲である。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23