(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148303
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】無線基地局及びユーザ装置、並びにそれらにおける方法
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20170607BHJP
H04J 13/16 20110101ALI20170607BHJP
H04L 27/01 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
H04L27/26 313
H04J13/16
H04L27/01
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-182213(P2015-182213)
(22)【出願日】2015年9月15日
(62)【分割の表示】特願2012-548919(P2012-548919)の分割
【原出願日】2011年1月18日
(65)【公開番号】特開2016-21770(P2016-21770A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2015年9月29日
(31)【優先権主張番号】61/295,885
(32)【優先日】2010年1月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100166660
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 晴人
(72)【発明者】
【氏名】バルデメイアー, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アステリー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ゲーシュテンベルゲル, ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ラーション, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】パルクヴァル, ステファン
【審査官】
和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5808757(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0247477(US,A1)
【文献】
特開2009−239539(JP,A)
【文献】
特開2009−111780(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0240269(US,A1)
【文献】
特表2008−508803(JP,A)
【文献】
NTT DoCoMo, Nokia Siemens Networks, Nokia, Mitsubishi Electric, Toshiba Corporation,On PUCCH Structure for CQI Report[online], 3GPP TSG-RAN WG1#51 R1-074812,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_51/Docs/R1-074812.zip>
【文献】
Nokia,Multiplexing of L1/L2 Control Signalling when UE has no data to transmit[online], 3GPP TSG-RAN WG1#46b R1-062841,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_46bis/Docs/R1-062841.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04J 13/16
H04L 27/01
H04J 11/00
IEEE Xplore
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線チャネルを介してサブフレーム内の複数のタイムスロットで上りリンク制御情報を無線基地局(12)に送信するための、ユーザ装置(10)における方法であって、
前記ユーザ装置(10)および前記無線基地局(12)は、無線通信ネットワークに備えられており、前記無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成されており、前記上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれており、
前記方法は、
‐前記複数ビットのブロックを、複素数値変調シンボルの系列にマッピングするステップ(203)と、
‐前記複素数値変調シンボルの系列に拡散系列を適用して、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を得ることによって、前記複素数値変調シンボルの系列を、複数の離散フーリエ変換拡散−直交周波数分割多重(DFTS−OFDM)シンボルにブロック拡散するステップ(204)と、
‐複数の行列要素を含む行列であって、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存して複数の行列要素が循環的にシフトされる行列を、DFTS−OFDMシンボルごとに、複素数値変調シンボルの前記ブロック拡散系列の、当該DFTS−OFDMシンボルに対応する一部分に適用することに対応する演算を実行することによって、複素数値変調シンボルの前記ブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換するステップ(205)と、
‐複素数値変調シンボルの前記変換されたブロック拡散系列を、前記無線チャネルを介して前記無線基地局(12)に送信するステップ(207)と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記行列を適用することに対応する前記演算の実行は、複数の行列要素から成る行または列についての循環シフト演算とともに離散フーリエ変換演算の実行を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
‐前記複数ビットのブロックを誤り訂正符号化するステップ(201)と、
‐前記複数ビットのブロックの、前記複素数値変調シンボルの系列へのマッピングの前に、前記複数ビットのブロックをスクランブリングするステップ(202)と
を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
‐複素数値変調シンボルの前記変換されたブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボルごとにOFDM変調するステップ(206)
を更に含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記送信するステップは、前記複素数値変調シンボルの系列の第1の部分を第1のタイムスロットで送信し、前記複素数値変調シンボルの系列の第2の部分を第2のタイムスロットで送信するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数ビットのブロックは、上りリンク制御情報に対応し、一緒に符号化された確認応答および否定確認応答を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
無線チャネルを介してサブフレーム内の複数のタイムスロットで上りリンク制御情報をユーザ装置(10)から受信するための、無線基地局(12)における方法であって、
前記無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成されており、前記上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれており、前記ユーザ装置(10)および前記無線基地局(12)は、無線通信ネットワークに備えられており、
前記方法は、
‐複素数値変調シンボルの系列を受信するステップ(221)と、
‐前記複素数値変調シンボルの系列を直交周波数分割多重(OFDM)復調するステップ(222)と、
‐複数の行列要素を含む行列であって、離散フーリエ変換拡散(DFTS)−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存して複数の行列要素が循環的にシフトされる行列を、DFTS−OFDMシンボルごとに、前記OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列の、当該DFTS−OFDMシンボルに対応する一部分に適用することに対応する演算を実行することによって、前記OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換するステップ(223)と、
‐前記OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの系列を、逆拡散系列でブロック逆拡散するステップ(224)と、
‐前記OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの前記逆拡散された系列を、複数ビットのブロックにマッピングするステップ(225)と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
無線チャネルを介してサブフレーム内の複数のタイムスロットで上りリンク制御情報を無線基地局(12)に送信するためのユーザ装置(10)であって、
前記無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成されており、前記上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれており、
前記ユーザ装置は、
前記複数ビットのブロックを、複素数値変調シンボルの系列にマッピングするマッピング回路(213)と、
前記複素数値変調シンボルの系列に拡散系列を適用して、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を得ることによって、前記複素数値変調シンボルの系列を、複数の離散フーリエ変換拡散−直交周波数分割多重(DFTS−OFDM)シンボルにブロック拡散するブロック拡散回路(214)と、
複数の行列要素を含む行列であって、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存して複数の行列要素が循環的にシフトされる行列を、DFTS−OFDMシンボルごとに、複素数値変調シンボルの前記ブロック拡散系列の、当該DFTS−OFDMシンボルに対応する一部分に適用することに対応する演算を実行することによって、複素数値変調シンボルの前記ブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換する変換回路(215)と、
複素数値変調シンボルの前記変換されたブロック拡散系列を、前記無線チャネルを介して前記無線基地局(12)に送信する送信機(217)と
を備えることを特徴とするユーザ装置。
【請求項9】
前記行列を適用することに対応する前記演算の実行は、複数の行列要素から成る行または列についての循環シフト演算とともに離散フーリエ変換演算の実行を含む
ことを特徴とする請求項8に記載のユーザ装置。
【請求項10】
前記複数ビットのブロックを誤り訂正符号化する誤り訂正符号化回路(211)と、
前記複数ビットのブロックの、前記複素数値変調シンボルの系列へのマッピングの前に、前記複数ビットのブロックをスクランブリングするスクランブル回路(212)と
を更に備えることを特徴とする請求項8または9のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項11】
複素数値変調シンボルの前記変換されたブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボルごとにOFDM変調するOFDM変調器(216)
を更に備えることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項12】
前記送信機(217)は、前記複素数値変調シンボルの系列の第1の部分を第1のタイムスロットで送信し、前記複素数値変調シンボルの系列の第2の部分を第2のタイムスロットで送信することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項13】
前記複数ビットのブロックは、上りリンク制御情報に対応し、一緒に符号化された確認応答および否定確認応答を含むことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項14】
無線チャネルを介してサブフレーム内の複数のタイムスロットで上りリンク制御情報をユーザ装置(10)から受信するための無線基地局(12)であって、
前記無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成されており、前記上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれており、
前記無線基地局は、
複素数値変調シンボルの系列を受信する受信機(231)と、
前記複素数値変調シンボルの系列を直交周波数分割多重(OFDM)復調するOFDM復調回路(232)と、
複数の行列要素を含む行列であって、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存して複数の行列要素が循環的にシフトされる行列を、DFTS−OFDMシンボルごとに、前記OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列の、当該DFTS−OFDMシンボルに対応する一部分に適用することに対応する演算を実行することによって、前記OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換する変換回路(233)と、
前記OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの系列を、逆拡散系列でブロック逆拡散するブロック逆拡散回路(234)と、
前記OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの前記逆拡散された系列を、複数ビットのブロックにマッピングするマッピング回路(235)と
を備えることを特徴とする無線基地局。
【請求項15】
チャネルを介してサブフレーム内のスロットで上りリンク制御情報を無線通信システム内の基地局に送信するための、端末における方法であって、
前記上りリンク制御情報は、符号語に含まれており、
前記方法は、
‐前記符号語を複数の変調シンボルにマッピングするステップと、
‐離散フーリエ変換拡散−直交周波数分割多重(DFTS−OFDM)シンボルごとに前記複数の変調シンボルを繰り返すとともに、当該繰り返された複数の変調シンボルに、複数の重み付け係数から成るブロック拡散系列を適用して、DFTS−OFDMシンボルごとの、前記複数の変調シンボルについての重み付けされた個別のコピーを得ることによって、前記複数の変調シンボルを複数のDFTS−OFDMシンボルにブロック拡散するステップであって、DFTS−OFDMシンボルごとの前記重み付けされた個別のコピーは、複数の重み付け係数から成る前記ブロック拡散系列で、前記繰り返された複数の変調シンボルに重み付けすることによって得られる、前記ブロック拡散するステップと、
‐複数の行列要素を含む行列であって、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存して複数の行列要素が循環的にシフトされる行列を、前記複数の変調シンボルについての前記重み付けされた個別のコピーに適用することに対応する離散フーリエ変換演算を実行することによって、前記複数の変調シンボルについての前記重み付けされた個別のコピーを、DFTS−OFDMシンボルごとに変換するステップと、
‐前記複数の変調シンボルについての前記重み付けされ変換された個別のコピーを、各DFTS−OFDMシンボルで前記基地局に送信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記チャネルは、物理上りリンク制御チャネルであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記符号語は、複数のビットであることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の変調シンボルは、複数の直交位相シフト・キーイング・シンボルまたは2相位相シフト・キーイング・シンボルであることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ブロック拡散系列は、直交系列であることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記変換するステップは、前記行列の行または列を循環的にシフトするステップを含み、
前記行列は、離散フーリエ変換行列である
ことを特徴とする請求項15乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、無線基地局、ユーザ装置及びそれらにおける方法に関するものである。具体的には、本明細書の実施形態は、複数ビットのブロックに含まれる上りリンク制御情報の、無線チャネルを介した無線基地局への送信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日の無線通信ネットワークでは、多くの種々の技術、少し例を挙げるだけでも、例えば、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、LTE−進化版(LTE−Advanced)、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、グローバル移動体通信システム/GSM(登録商標)拡張版用高速データ速度(GSM/EDGE)、マイクロ波アクセス用世界的相互運用(WiMAX)、およびウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)などが用いられている。
【0003】
ロング・ターム・エボリューション(LTE)は、移動体電気通信ネットワークの第4世代に向けてWCDMA標準を発展させるための、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)内のプロジェクトである。WCDMAに比べて、LTEは、容量の増加、データ・ピーク速度のさらなる高速化および応答待ち数(latency numbers)の著しい改善をもたらす。例えば、LTE規格は、最大300Mbpsの下りリンク・データ・ピーク速度、最大75Mbit/sの上りリンク・データ・ピーク速度、および10ミリ秒(ms)以下の無線アクセス・ネットワーク・ラウンド・トリップ時間をサポートする。加えて、LTEは、20MHzから1.4MHzに至るまでの変更可能なキャリア帯域幅をサポートし、かつ、周波数分割複信(FDD)と時分割複信(TDD)双方の運用をサポートする。
【0004】
LTEは周波数分割多重化技術であり、直交周波数分割多重(OFDM)が、無線基地局からユーザ装置への下りリンク(DL)送信で用いられる。シングルキャリア−周波数分割多元接続(SC−FDMA)が、ユーザ装置から無線基地局への上りリンク(UL)送信で用いられる。LTEにおけるサービスは、パケット交換ドメインにおいてサポートされる。上りリンクで用いられるSC−FDMAは、離散フーリエ変換拡散(DFTS)−OFDMとも称される。
【0005】
このため、基本的なLTE下りリンク物理リソースは、
図1に示すような時間−周波数グリッドとして理解することができ、各リソース・エレメント(RE)は、1つのOFDMシンボル区間中の1つのOFDMサブキャリアに対応する。シンボル区間は、サイクリック・プレフィックス(cp)を備えており、cpは、シンボル間のガード帯域としての機能を果たすこと、および周波数領域処理を容易にすることの少なくともいずれかのために、シンボルの末端部を反復させて、シンボルの先頭に付すものである。周波数f、すなわち間隔Δfのサブキャリアを有するサブキャリア群がz軸に沿って定義され、シンボルがx軸に沿って定義される。
【0006】
時間領域では、LTE下りリンク送信は、10ミリ秒の無線フレームで構成され、各無線フレームは、大きさが等しい10個のサブフレーム#0からサブフレーム#9までを備えており、各サブフレームは、
図2に示されているように、時間長がT
subframe=1ミリ秒である。さらに、LTEにおけるリソース割当ては通常、リソース・ブロックの観点から説明され、リソース・ブロックは、時間領域における0.5ミリ秒の1つのスロット、および周波数領域における12個のサブキャリアに対応する。複数のリソース・ブロックは、周波数領域で、システム帯域幅の一端から、リソース・ブロック0から始まる番号で番号付けされる。
【0007】
下りリンク送信は、動的にスケジューリングされ、すなわち、各サブフレームにおいて、基地局または無線基地局は、データがいずれのユーザ装置または端末に送信されるかについて、およびいずれのリソース・ブロックでデータが送信されるかについての制御情報を、その時点の下りリンク・サブフレームで送信する。この制御シグナリング(制御信号)は、通常、各サブフレームにおいて最初の1つ、2つ、3つまたは4つのOFDMシンボルで送信される。3つのOFDMシンボルが制御シグナリングに用いられる下りリンク・システムが、
図3に示されており、また、制御領域として示されている。制御シグナリングに用いられるリソース・エレメントは、波状の線で表示されており、参照シンボルに用いられるリソース・エレメントは、斜線で表示されている。周波数f、すなわちサブキャリア群は、z軸に沿って定義され、シンボルは、x軸に沿って定義される。
【0008】
LTEは、ハイブリッド自動再送要求(ARQ)を用いており、ユーザ装置は、サブフレームで下りリンク・データを受信した後、データの復号を試み、復号が成功した場合には確認応答(ACK)を、復号が成功しなかった場合には“否定確認応答”(NACK)を送ることによって、復号が成功したか否かを、上りリンク制御シグナリングを用いて無線基地局に報告する。復号の試行が成功しなかった場合では、無線基地局は、誤りが生じたデータを再送信してもよい。
【0009】
ユーザ装置または端末から基地局または無線基地局への上りリンク制御シグナリングは、
・受信した下りリンク・データに対するハイブリッドARQ確認応答
・下りリンク・スケジューリングに対する補助として用いられる、下りリンク・チャネル状態に関するユーザ装置または端末の報告
・ユーザ装置または端末が上りリンク・データ送信のために上りリンク・リソースを必要とすることを示す、スケジューリング要求
を含む。
【0010】
上りリンク制御情報は、以下の2つの異なる方法で送信される可能性がある。
・物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)による送信。ユーザ装置または端末が、その時点のサブフレームにおいてデータ送信用のリソースを割り当てられている場合、上りリンク制御情報は、ハイブリッドARQ確認応答を含めて、PUSCH上でデータと一緒に送信される。
・物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)による送信。ユーザ装置または端末が、その時点のサブフレームにおいてデータ送信用のリソースを割り当てられていない場合、上りリンク制御情報は、かかる目的のために特別に割り当てられたリソース・ブロックを用いて、PUCCHで個別に送信される。
【0011】
本明細書では、後者のケースに焦点を置いており、すなわち、チャネル状態報告、ハイブリッドARQ確認応答、およびスケジューリング要求によって例示される、レイヤ1/レイヤ2(L1/L2)制御情報が、すなわち、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)上の、上りリンクL1/L2制御情報のために特別に割り当てられた上りリンク・リソース、すなわちリソース・ブロックで、送信される。レイヤ1は物理レイヤから成り、レイヤ2はデータ・リンク・レイヤから成る。
図4に示されているように、PUCCHのリソース41、42は、利用可能なセル上りリンク・システム帯域幅全体のうちの端部に位置付けられている。そのような各リソースは12個の“サブキャリア”を含み、すなわち、上りリンク・サブフレームの2つのスロットの各々の内部に、1つのリソース・ブロックを含む。周波数ダイバーシチを提供するために、これらの周波数リソースは、矢印で示されているように、スロットの境界で周波数ホッピングし、すなわち、サブフレームの第1のスロット内のスペクトラムの上部に12個のサブキャリアを含む1つの“リソース”41が存在し、当該サブフレームの第2のスロット中のスペクトラムの下部に同じ大きさのリソース42が存在するサブフレーム内で、周波数ホッピングし、逆の場合も同様である。より多くのリソースが上りリンクL1/L2制御シグナリングに必要である場合、例えば、非常に大きな総送信帯域幅が多数のユーザをサポートしているケースでは、追加のリソース・ブロックが、既に割り当てられているリソース・ブロックの隣に割り当てられる場合がある。周波数f、すなわちサブキャリア群はz軸に沿って定義され、シンボルはx軸に沿って定義される。
【0012】
PUCCHリソースを、利用可能な全体のスペクトラムの両端に位置付けている理由は、以下のとおりである。
・上述した周波数ホッピングとともに、利用可能な全体のスペクトラムの両端にPUCCHリソースを位置付けることによって、制御シグナリングが受ける周波数ダイバーシチを最大にする。
・PUCCH用の上りリンク・リソースをスペクトラム内の別の位置に、すなわち両端ではない位置に割り当てることによって、上りリンク・スペクトラムを分断することになり、それにより、単一のモバイル・ユーザ装置または端末に非常に広い送信帯域幅を割り当てることが不可能になるとともに、さらに上りリンク送信のシングルキャリア特性を維持することが不可能になる。
【0013】
1つのサブフレーム中の1つのリソース・ブロックの帯域幅は、単一のユーザ装置または端末の制御シグナリングの必要量に対して大きすぎる。このため、制御シグナリングに確保されるリソースを効率よく利用するために、複数のユーザ装置または端末が同じリソース・ブロックを共用する場合がある。これは、異なるユーザ装置または端末に、セル固有の長さ12の周波数領域系列についての異なる直交位相回転を割り当てることによって行われる。
【0014】
したがって、PUCCHによって用いられるリソースは、時間−周波数領域においてリソース・ブロック対によって規定されるだけでなく、適用される位相回転によっても規定される。参照信号のケースと同様に、規定された最大12個の異なる位相回転があり、セル固有の各系列とは異なる最大12個の直交系列が提供される。しかし、周波数選択性チャネルのケースでは、直交性が保持されるべきである場合には、必ずしも12個の位相回転の全てが用いられるとは限らない可能性がある。典型的には、最大6個の回転がセル内で使用可能であると考えられる。
【0015】
上述のように、上りリンクL1/L2制御シグナリングには、ハイブリッドARQ確認応答、チャネル状態報告およびスケジューリング要求が含まれる。これらのタイプのメッセージについての異なる組み合わせが可能であり、利用可能な2つのPUCCHフォーマットのうちの1つを用いて、異なる数のビットを搬送することが可能である。
【0016】
PUCCHフォーマット1。LTE規格では、実際には3つのフォーマット、フォーマット1、フォーマット1a、およびフォーマット1bが存在するが、しかし、本明細書では簡単のためにそれらを全てフォーマット1と称することとする。PUCCHフォーマット1は、ハイブリッドARQ確認応答およびスケジューリング要求に用いられる。フォーマット1は、不連続送信(DTX)に加えて、最大2つの情報ビットを搬送することができる。下りリンクで情報送信が検出されていない場合、確認応答は生成されず、これはDTXとしても知られている。それ故、MIMOが下りリンクで用いられたか否かに依存して、3つまたは5つの異なる組み合わせが存在する。これを
図5に示している。列51には、組み合わせインデックスが示されており、列52には、MIMOが用いられていない場合に送られるARQ情報が開示されており、列53には、MIMOが用いられている場合であって、第1の転送ブロックおよび第2の転送ブロックが受信される場合の、ARQ情報が示されている。
【0017】
PUCCHフォーマット1は、
図6に示されているように、サブフレームの2つのスロットで同じ構造を用いる。ハイブリッドARQ確認応答(ACK)の送信のために、単一のハイブリッドARQ確認応答ビットが2相位相偏移変調(BPSK)シンボルを生成するのに用いられ、下りリンク空間多重のケースでは、2つの確認応答ビットが4相位相偏移変調(QPSK)シンボルを生成するのに用いられる。他方では、スケジューリング要求については、BPSK/QPSKシンボルは、無線基地局または発展型(evolved)NodeB(eNodeB)において否定確認応答として扱われる信号点で置き換えられる。各BPSK/QPSKシンボルには、長さ12の位相回転系列が乗算される。次に、これらは、IFFT処理における変換の前に、長さ4の系列で重み付けされる。位相シフトは、SC−FDMAまたはDFTS−OFDMのシンボル・レベルで変化する。参照シンボル(RS)は、長さ3の系列で重み付けされる。その後、変調シンボルは、2つのPUCCHスロットの各々で送信される信号を生成するのに用いられる。BPSK変調シンボル、QPSK変調シンボル、および複素数値変調シンボルは、変調シンボルの例である。
【0018】
PUCCHフォーマット2について、LTE規格ではまた、3つの変形型、フォーマット2、フォーマット2aおよびフォーマット2bが存在し、最後の2つのフォーマットは、このセクションで後述するように、ハイブリッドARQ確認応答の同時送信用に用いられる。しかし、簡単のために本明細書ではそれらを全てフォーマット2と称することとする。
【0019】
チャネル状態報告は、チャネル依存のスケジューリングを補助するために、ユーザ装置または端末でのチャネル特性の推定値を、無線基地局またはeNodeBに提供するために用いられる。チャネル状態報告は、サブフレームごとに複数のビットを含む。PUCCHフォーマット1は、サブフレームごとに最大でも2ビットの情報の能力があるにすぎず、明らかにこの目的には用いることはできない。その代わりに、チャネル状態報告のPUCCHでの送信は、PUCCHフォーマット2によって扱われ、PUCCHフォーマット2は、サブフレームごとに複数の情報ビットの能力がある。
【0020】
PUCCHフォーマット2は、
図7に正規のサイクリック・プレフィックスに対して示されており、フォーマット1と同一のセル固有の系列、すなわち、SC−FDMAまたはDFTS−OFDMシンボルごとに変化する、長さ12の位相回転系列の位相回転に基づいている。情報ビットは、ブロック符号化、QPSK変調され、符号化からの各QPSKシンボルb0〜b9には、長さ12の位相回転系列が乗算されるとともに、SC−FDMAまたはDFTS−OFDMシンボルの全ては、最終的に、送信される前にIFFT処理される。
【0021】
来たる国際移動体電気通信(IMT)−進化版(IMT−Advanced)の要求条件を満たすために、3GPPは現在、LTE−Advancedとしても知られるLTEリリース10を標準化している最中である。リリース10の1つの特性は、リリース8との下位互換性をなお提供しながら、20MHz以上の帯域幅をサポートすることである。これは、リリース10のユーザ装置に対してより大きな総帯域幅を形成するために、複数の成分キャリア(component carriers)を統合することによって達成され、各成分キャリアはリリース8互換であってもよい。これは、
図8に示されており、5つの20MHzが100MHzに統合されている。
【0022】
本質的には、
図8の成分キャリアの各々は別々に処理される。例えば、ハイブリッドARQは、
図9に示されているように、各成分キャリア上で別々に運用される。ハイブリッドARQの運用については、転送ブロックの受信が成功したか否かに関して送信機に知らせる確認応答が必要である。これを実現する直接的な方法は、成分キャリアごとに1つの確認応答メッセージで、複数の確認応答メッセージを送信することである。空間多重化のケースでは、既にLTEの最初のリリースで、成分キャリア上に2つの転送ブロックが存在するため、確認応答メッセージは2ビットに対応するであろう。空間多重化を行わない場合、成分キャリアごとに単一の転送ブロックが存在するのみであるため、確認応答メッセージは単一ビットである。フローF1〜Fiの各々は、同一ユーザへのデータ・フローを示している。受信された各データ・フローに対する無線リンク制御(RLC)は、RLCレイヤで行われる。媒体アクセス制御(MAC)レイヤでは、MAC多重化およびHARQ処理がデータ・フローに対して行われる。物理(PHY)レイヤでは、データ・フローの符号化およびOFDM変調が行われる。
【0023】
複数のハイブリッドARQ確認応答メッセージを、成分キャリアごとに1つのハイブリッドARQ確認応答メッセージで送信することは、場合によっては面倒な可能性がある。現行のLTE周波数分割多重(FDM)上りリンク制御シグナリングの構造が再利用される場合には、最大でも2ビットの情報が、PUCCHフォーマット1を用いて無線基地局またはeNodeBに送り返される可能性がある。
【0024】
1つの可能性は、複数の確認応答ビットを単一のメッセージにまとめることである。例えば、所与のサブフレームにおいて、全ての成分キャリア上で全ての転送ブロックが正しく受信された場合に限り、ACKがシグナリングされうるとともに、それ以外の場合には、NACKがフィードバックされる。このことに関する欠点は、一部の転送ブロックが、正しく受信されていたとしても再送される可能性があることであり、それにより、システムの性能を低下させる可能性がある。
【0025】
複数ビットのハイブリッドARQ確認応答フォーマットを導入することは、代替のソリューションである。しかし、複数の下りリンク成分キャリアのケースでは、上りリンクにおける確認応答ビットの数が相当大きくなる可能性がある。例えば、成分キャリアが5つで、各々がMIMOを用いる場合、DTXが同様に好適に説明されることに留意して、5
5個の異なる組み合わせがあり、少なくともlog
2(5
5)≒11.6ビットが必要となる。この状況は、時分割複信(TDD)では一層悪化する可能性があり、その場合、複数の下りリンク・サブフレームが単一の上りリンク・サブフレームで確認応答される必要がありうる。例えば、5ミリ秒ごとに、下りリンク・サブフレームが4つで、上りリンク・サブフレームが1つであるTDD構成では、5
5*4個の組み合わせがあり、46ビット以上の情報に対応する。
【0026】
現在、仕様化されたLTEで、そのような多数のビットを搬送することができるPUCCHフォーマットは存在しない。米国特許出願公開第2008/247477号明細書は、DFTS−OFDMシンボル内の複数のサンプルが、スケール・ファクタを用いてスケーリングされるシステムに関するものである。
【発明の概要】
【0027】
本明細書の実施形態の目的は、無線通信ネットワークにおいて高い送信性能を効率的に可能にする仕組みを提供することである。本目的は、請求項1、7、8、14及び15に係る方法及び装置によって達成される。
【0028】
本明細書の実施形態の第1の態様によれば、上記目的は、無線チャネルを介して、サブフレーム内の複数のタイムスロットで上りリンク制御情報を無線基地局に送信するための、ユーザ装置における方法によって達成される。無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成され、ユーザ装置および無線基地局は、無線通信ネットワークに備えられている。上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれている。
【0029】
ユーザ装置は、複数ビットのブロックを、複素数値変調シンボルの系列にマッピングする。ユーザ装置は、また、複素数値変調シンボルの系列を、離散フーリエ変換拡散−直交周波数分割多重(DFTS−OFDM)シンボルにブロック拡散する。これは、複素数値変調シンボルのブロック拡散された系列(ブロック拡散系列)に拡散系列を適用して、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を得ることによって行われる。ユーザ装置は、さらに、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換する。これは、TS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列に適用することによって行われる。ユーザ装置は、また、複素数値変調シンボルの、当該変換されたブロック拡散系列を、無線チャネルを介して無線基地局に送信する。
【0030】
本明細書の実施形態の別の態様によれば、上記目的は、無線チャネルを介してサブフレーム内の複数のタイムスロットで上りリンク制御情報を無線基地局に送信するためのユーザ装置によって達成される。無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成され、上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれている。
【0031】
ユーザ装置は、複数ビットのブロックを、複素数値変調シンボルの系列にマッピングするマッピング回路を備える。また、ユーザ装置は、複素数値変調シンボルの系列に拡散系列を適用して、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を得ることによって、当該複素数値変調シンボルの系列を、複数のDFTS−OFDMシンボルにブロック拡散するブロック拡散回路を備える。さらに、ユーザ装置は、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換する変換回路を備える。これは、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列に適用することによって行われる。ユーザ装置は、また、複素数値変調シンボルの変換されたブロック拡散系列を、無線チャネルを介して無線基地局に送信する送信機を備える。
【0032】
本明細書の実施形態の別の態様によれば、上記目的は、無線チャネルを介してサブフレーム内の複数のタイムスロットで上りリンク制御情報をユーザ装置から受信するための、無線基地局における方法によって達成される。無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成され、上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれている。ユーザ装置および無線基地局は、無線通信ネットワークに備えられている。
【0033】
無線基地局は、複素数値変調シンボルの系列を受信する。無線基地局は、また、複素数値変調シンボルの系列をOFDM復調する。無線基地局は、また、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列に適用することによって、OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換する。
【0034】
無線基地局は、さらに、OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの系列を、逆拡散系列でブロック逆拡散する。無線基地局は、また、OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの逆拡散された系列を、複数ビットのブロックにマッピングする
【0035】
本明細書の実施形態の別の態様によれば、上記目的は、無線チャネルを介してサブフレーム内の複数のタイムスロットで上りリンク制御情報をユーザ装置から受信するための無線基地局によって達成される。無線チャネルは、上りリンク制御チャネルを搬送するように構成され、上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれている。無線基地局は、複素数値変調シンボルの系列を受信する受信機を備える。無線基地局は、また、複素数値変調シンボルの系列をOFDM復調するOFDM復調回路を備える。無線基地局は、さらに、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列に適用することによって、OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換する変換回路を備える。無線基地局は、また、OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの系列を、逆拡散系列でブロック逆拡散するブロック逆拡散回路を備える。さらに、無線基地局は、OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの逆拡散された系列を、複数ビットのブロックにマッピングするマッピング回路を備える。
【0036】
このようにして、1つのまたは複数の行列が、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列をDFTS−OFDMシンボルごとに変換するので、セル間干渉が低減し、その結果として干渉抑圧が強まる。
【0037】
本発明の実施形態の別の態様によれば、上記目的は、チャネルを介してサブフレーム内のスロットで上りリンク制御情報を無線通信システム内の基地局に送信するための、端末における方法によって達成される。上りリンク制御情報は、符号語に含まれている。端末は、符号語を複数の変調シンボルにマッピングする。端末は、DFTS−OFDMシンボルごとに複数の変調シンボルを繰り返すとともに、当該繰り返された複数の変調シンボルに、複数の重み付け係数から成るブロック拡散系列を適用して、DFTS−OFDMシンボルごとの、複数の変調シンボルについての重み付けされた個別のコピーを得ることによって、複数の変調シンボルを複数のDFTS−OFDMシンボルにブロック拡散する。端末は、その後、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、複数の変調シンボルについての重み付けされた個別のコピーに適用することによって、複数の変調シンボルについての重み付けされた個別のコピーを、DFTS−OFDMシンボルごとに変換する。端末は、その後、複数の変調シンボルについての重み付けされ変換された個別のコピーを、各DFTS−OFDMシンボル上で、または各DFTS−OFDMシンボル内で、基地局に送信する。
【0038】
本明細書の一部の実施形態では、単一ユーザについての設定またはアクティブ化された全ての成分キャリアからの、上りリンク制御情報に対応する符号語または複数ビットのブロックが、複数の複素数値変調シンボルから成る系列のような複数の変調シンボルにマッピングされ、かつ、拡散系列を用いて複数のDFTS−OFDMシンボルに対してブロック拡散される、送信フォーマットが提供される。1つのDFTS−OFDMシンボル内のシンボル系列は、その後、変換されて、当該1つのDFTS−OFDMシンボル内で送信される。複数のユーザの多重化は、ブロック拡散によって可能となり、すなわち、同一の信号またはシンボル系列が、1つのスロットまたはサブフレーム内の全てのDFTS−OFDMシンボルにわたって拡散されるとともに、DFTS−OFDMごとの変換によって、セル間干渉が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
以下では、同封の図面に関連して、実施形態についてより詳細に説明する。
【0040】
【
図1】周波数−時間グリッドにおけるリソースを示すブロック図。
【
図2】無線フレームのLTE時間領域構造を示すブロック図。
【
図3】下りリンク・サブフレームにわたって割り当てられた複数のシンボルを示すブロック図。
【
図4】PUCCH上での上りリンクL1/L2制御シグナリングの送信を示すブロック図。
【
図5】HARQ情報の組み合わせを規定したテーブル。
【
図6】正規の長さのサイクリック・プレフィックスを有するPUCCHフォーマット1のブロック図。
【
図7】正規の長さのサイクリック・プレフィックスを有するPUCCHフォーマット2のブロック図。
【
図8】キャリア・アグリゲーションを示すブロック図。
【
図9】キャリア・アグリゲーションに対応したRLC/MACおよびPHYのレイヤを示すブロック図。
【
図11】ユーザ装置における処理を示すブロック図。
【
図12】ユーザ装置における処理を示すブロック図。
【
図13】ユーザ装置における処理を示すブロック図。
【
図14】ユーザ装置における処理を示すブロック図。
【
図15】ユーザ装置における処理を示すブロック図。
【
図16】ユーザ装置における処理を示すブロック図。
【
図17】ユーザ装置における処理を示すブロック図。
【
図18】ユーザ装置における処理を示すブロック図。
【
図19】ユーザ装置における処理を示すブロック図。
【
図20】ユーザ装置における処理についての概略的なフローチャート。
【
図22】無線基地局における処理についての概略的なフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図10は、少数の可能性のある実装を挙げるだけでも、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、LTE−Advanced、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、グローバル移動体通信システム/GSM拡張版用高速データ速度(GSM/EDGE)、マイクロ波アクセス用世界的相互運用(WiMAX)、またはウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)のような無線アクセス技術に従った、無線通信システムとも称される、無線通信ネットワークの概略を開示している。
【0042】
無線通信ネットワークは、端末10とも称される、ユーザ装置10、および無線基地局12を備える。無線基地局12は、地理的地域にわたって無線サービス・カバレッジを提供することによって、セル14においてユーザ装置10にサービングを行う。無線基地局12は、下りリンク(DL)送信でデータをユーザ装置10に送信しており、ユーザ装置10は、上りリンク(UL)送信でデータを無線基地局12に送信している。UL送信は、ユーザ装置10において逆高速フーリエ変換(IFFT)処理を用いることによって効率的に生成されうるとともに、その場合、高速フーリエ変換(FFT)処理を用いることによって無線基地局12で復調されうる。
【0043】
ここで、無線基地局12は、例えば、用いられる無線アクセス技術および用語に依存して、例えば、NodeB、発展型Node B(eNB、eNode B)、基地局、無線基地局装置、アクセス・ポイント基地局、基地局ルータ、または無線基地局12によりサービングされるセル内のユーザ装置と通信可能な他の任意のネットワーク・ユニットとも称される場合があることに、留意されたい。ユーザ装置10は、端末、例えば、無線通信ユーザ装置、モバイル・セルラ電話、携帯情報端末(PDA)、無線プラットホーム、ラップトップ、コンピュータ、または無線基地局12と無線で通信可能な他の任意の種類のデバイスによって表される場合がある。
【0044】
無線基地局12は、いずれのユーザ装置にデータが送信されるか、およびいずれのリソース・ブロックでデータが送信されるかについての制御情報を送信する。ユーザ装置10は、制御情報およびデータの復号を試みるとともに、上りリンク制御シグナリングを用いて、無線基地局12に、データの復号に成功したか(この場合、確認応答(ACK)が送信される)、成功しなかったか(この場合、否定確認応答(NACK、NAK)が送信される)を報告する。
【0045】
本明細書の実施形態によれば、ユーザ装置10は、上りリンク制御情報に対応する複数ビットのブロックを、サブフレームのスロット(すなわちタイムスロット)で、チャネル(すなわち無線チャネル)を介して、無線基地局12に送信するように構成される。複数ビットのブロックは、一緒に符号化された、ACKおよびNACKの少なくともいずれかを含みうる。チャネルは、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)であってもよく、PUCCHは上りリンク制御情報を搬送するように構成された無線チャネルである。複数ビットのブロックは、いくつかのビット、符号語、符号化されたビット(符号化ビット)、情報ビット、ACK/NACK系列またはそれらと同様のものと称される場合もある。
【0046】
ユーザ装置10は、複数ビットのブロックを複数の変調シンボル、すなわち、複素数値変調シンボルの系列にマッピングする。このマッピングは、QPSKマッピングであってもよく、結果として得られるQPSK変調シンボルは複素数値であり、各QPSK変調シンボルにおける2ビットのうちの一方のビットは、変調シンボルの実数部を表し、Iチャネルとも称され、他方のビットは、変調シンボルの虚数部を表し、Qチャネルとも称される。変調シンボルは、複素数値変調シンボル、QPSKシンボル、BPSKシンボル、またはそれらと同様のものと称される場合がある。
【0047】
次に、ユーザ装置10は、複素数値変調シンボルの系列を、拡散系列、例えば直交系列などを用いてブロック拡散する。例えば、複素数値変調シンボルにマッピングされている同じ信号または複数ビットのブロックは、当該信号または複数ビットのブロックを表す複素数値変調シンボルの系列に、拡散系列を適用することによって、DFTS−OFDMシンボルのセット内の全てのDFTS−OFDMシンボルにわたって拡散されうる。その結果、複素数値変調シンボルのブロック拡散された系列(ブロック拡散系列)は、複数の部分またはセグメントに分割されうるとともに、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列の各セグメントまたは部分は、DFTS−OFDMシンボルのセットのうちの1つのDFTS−OFDMシンボルに対応するか、または当該1つのDFTS−OFDMシンボルに割り当てられ、すなわち、複数のセグメントまたは部分と複数のDFTS−OFDMシンボルとの間には1対1の対応が存在する。DFTS−OFDMシンボルは、SC−FDMAシンボルとも称される。SC−FDMAは、DFTに基づいたプリコーディングを用いた通常のOFDMと理解することができる。
【0048】
本明細書の実施形態によれば、ユーザ装置10は、次に、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれか依存する行列を用いて、DFTS−OFDMシンボルごとに変換(すなわちプリコーディング)する。このようにして、当該行列を、DFTS−OFDMシンボルに対応するか、または割り当てられる複素数値変調シンボルのブロック拡散系列の、各セグメントまたは部分に適用することによって、当該セグメントまたは部分が個別に変換される。当該行列は、DFT行列、例えば循環的にシフトされるDFT行列をから成る一般的な行列であってよく、循環シフトの量は、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかによって変化する。複素数値変調シンボルのブロック拡散系列をこのように変換することによって、セル間干渉が低減される。スロットは、いくつかのDFTS−OFDMシンボルを含んでおり、すなわち、各スロットは、DFTS−OFDMシンボルごとに1つの行列に、複数の行列に関連付けられている。スロット・インデックスは、1つまたは複数の行列が適用されるべきタイムスロットを示す。DFTS−OFDMシンボル・インデックスは、DFTS−OFDMシンボルを示し、それにより、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列の、行列が適用されるべきセグメントまたは部分を示す。
【0049】
ユーザ装置10は、次に、変換された複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を送信する。例えば、ユーザ装置10は、さらに、1つのDFTS−OFDMシンボルの期間内、すなわち複素数値変調シンボルのブロック拡散系列のそれぞれのセグメントまたは部分に対応するDFTS−OFDMシンボルの期間内で、ブロック拡散系列の変換(すなわちプリコーディング)された各セグメントまたは部分をOFDM変調し、送信しうる。本処理は、変換/プリコーディングOFDM変調と称される場合がある。
【0050】
この実施形態の変形では、複素数値変調シンボルの系列は、複数の部分に分けられてもよく、複素数値変調シンボルの系列の各部分は、タイムスロットで送信されてもよい。
【0051】
本明細書の一部の実施形態は、これまでの技術との下位互換性をなお提供しながら、シングルキャリアよりも大きな帯域幅をサポートするために、複数のセル、すなわち複数の成分キャリアの統合(アグリゲーション)を採用する無線通信ネットワークにおける、PUCCH上でのACK/NACK送信に関するものであってもよい。そのような無線通信ネットワークでは、複数の成分キャリアの各々についてACK/NACKシグナリングを可能にするように、既存のPUCCHフォーマットによって提供されるよりもより多くのビットを搬送可能なPUCCHフォーマットが、本明細書の実施形態によって提供される。
【0052】
本明細書の実施形態は、ブロック拡散されたDFTS−OFDM送信フォーマットを提供することによって、そのようなシグナリングに必要である高ペイロードのPUCCH送信を可能にする。このフォーマットによれば、単一ユーザ装置の全ての成分キャリアからの全てのACK/NACK情報が、一緒に符号語に符号化される。この符号語は、上りリンク制御情報の複数ビットのブロックに対応しており、一部の実施形態では、さらに、セル間干渉を軽減するようにスクランブルされうるとともに、複素数値変調シンボルの系列のような複数のシンボルに対してマッピングされうる。ユーザ装置の多重化は、ブロック拡散を用いて実現され、すなわち、場合により異なる系列を用いてスクランブルされた符号語の形式の、または、符号語がブロック拡散に先立ってシンボルにマッピングされている場合にはシンボルの形式の、同じ信号を用いて実現され、スロットまたはサブフレームの全てのDFTS−OFDMシンボルにわたって拡散されるか、または繰り返されるものの、当該シンボルは、サブフレームまたはタイムスロット内の各DFTS−OFDMシンボルに対する拡散系列とは異なるスカラー(すなわち重み付け係数)で重み付けされる。各DFTS−OFDMシンボルからなるシンボルの系列は、さらに、行列(例えば、修正されたプリコーディング行列)を用いて変換(すなわちプリコーディング)されるとともに、1つのDFTS−OFDMシンボルの期間内に送信される。干渉をさらに一層軽減するために、修正されたDFTS−OFDM変調器の行列が、擬似ランダムに(例えば、行列要素の置換によって)修正される。変換(すなわちプリコーディング)は、修正されたDFTS−OFDM変調であってもよく、DFT演算は、循環シフト演算またはスクランブル演算と組み合わされる。
【0053】
本明細書の実施形態は、PUCCHフォーマット3と称されるフォーマットを提供し、PUCCHフォーマット3は、上りリンク制御情報の所要ペイロードの増加するように一部のソリューションが構成されうる点で、柔軟性を提供する。PUCCHフォーマット3はさらに、セル間干渉の抑圧を改善する手段を導入する。これらの手段は、スクランブル符号を用いるスクランブル、行列の選択、または循環シフト・パターンを用いた行列要素の循環シフトのいずれか、または組み合わせである。スクランブル符号と循環シフト・パターンとの少なくともいずれかの選択は、セル間干渉をランダム化するようにランダムなやり方で、セルIDとDFTS−OFDMシンボル/スロット/サブフレーム/無線フレーム番号との少なくともいずれかに依存してもよい。さらに、フォーマットまたは構造は、多重化の容量と引き換えに、ペイロードと符号化利得とセル間干渉の抑圧とのうちの少なくとも1つについてバランスを取ることを可能にする。低い符号化率は、情報ビットに対する多数の符号化ビットを意味しており、符号化ビットがスクランブルされた場合、スクランブルされた系列が長くなるほど、セル間干渉の抑圧が良好となる。拡散系列の長さが多重化の容量を決定する。
【0054】
図11は、
図12とともに、複素数値変調シンボルの系列をブロック拡散するための、ユーザ装置10における処理の一実施形態を描いている。
図11は、上りリンク制御情報に対応する複数ビットのブロックの一例であるACK/NACK系列aが、どのように1つのDFTS−OFDMシンボル内で送信されるかを示している。系列aは、統合された全ての成分キャリアからのACK/NACKを表す。あるいは、個々のビットは、個々のACK/NACKビットの論理的AND結合を示す場合もある。この系列aは、ACK/NACKを表すだけでない場合があるものの、例えば、スケジューリング割当てが特定の成分キャリアについて受信されていない場合には、不連続送信(DTX)状態が、同様に符号化される場合がある。
【0055】
第1のステップで、系列aは、伝送誤りに対してよりロバストにするために、誤り訂正符号化モジュール111で符号化されうる。用いられる誤り訂正符号化方式は、ブロック符号、畳み込み符号などである。誤り訂正符号化モジュール111は、性能を向上させるために、誤りがより一様に分散された形で発生しうるように、1ブロックのビットを配列するインタリーバ機能も、場合によっては備えていてもよい。
【0056】
隣接セル干渉をランダム化するために、符号cを用いたセル固有のスクランブルが、スクランブル・モジュールにおいて適用される場合があり、スクランブルされた系列、すなわちスクランブルされた複数ビットのブロックがもたらされる。スクランブルされた系列は、次に、複素数値変調シンボルの系列xをもたらすシンボル・マッピング・モジュール112において、例えばQPSKを用いて変調シンボルにマッピングされるとともに、送信用のシンボル系列vをもたらすDFTS−OFDM変調器113を用いて変調されて送信される。系列vはデジタル信号であり、そのため、デジタル・アナログ変換器に供給され、無線周波数に変調され、増幅され、アンテナに供給され、さらに送信されうる。
【0057】
DFTS−OFDM変調器113は、行列G114を備え、さらに、IFFTモジュール115およびサイクリック・プレフィックス生成器116を備えていてもよい、修正されたDFTS−OFDM変調器である。このようにして、系列vは、DFTS−OFDMシンボルで、すなわちDFTS−OFDMシンボルの期間内に、送信される。しかし、種々のユーザまたはユーザ装置の多重化を可能にするためには、複数ビットのブロックは、数個のDFTS−OFDMシンボルによって無線基地局12に送信される。行列G114は複数の行列要素を含み、当該行列は、複数の行列要素についての行または列の循環シフト演算とともにDFT演算に対応しうるか、または複数の行列要素についてのスクランブル演算とともにDFT演算に対応しうる。
【0058】
例えば、シンボル・マッピング・モジュール112は、複数ビットのブロックを複素数値変調シンボルの系列x上にマッピングする。複素数値変調シンボルのブロック拡散系列[w(0)x,w(1)x,w(2)x,...,w(K−1)x]は、ブロック拡散後に得られ、w=[w(0),w(1),w(2),...,w(K−1)]は、スカラー、すなわち重み付け係数の拡散系列であり、一部の実施形態では、当該拡散系列は直交系列から成る。修正されたDFTS−OFDM変調は、次に、変調シンボルw(0)x,w(1)x,w(2)x,...,w(K−1)xについての重み付けされたコピーまたはインスタンスの各々に対して、個別に行われる。送信も個別に行われ、例えば、OFDM(プリコーディングされたw(0)x)、OFDM(プリコーディングされたw(1)x) などが実行される。このようにして、k=0,...,K−1について、複数の変調シンボルのうちの1つの重み付けされたコピーまたはインスタンスw(k)xが、プリコーディングされ、各DFTS−OFDMシンボルで送信されるように、プリコーディングおよび送信が行われうる。ここで、Kは、変調シンボルがブロック拡散されるDFTS−OFDMシンボルの数である。拡散系列(例えば直交系列)は、ユーザ装置間での、または、より具体的には異なるユーザ装置によって行われる上りリンク送信間での、分離性を提供する。
【0059】
また、当然のことながら、周波数ホッピングが適用されない場合、上記で概説したソリューションは、適宜に構成されたパラメータを用いてサブフレームに適用される。利用可能なDFTS−OFDMシンボルの数は、2つのDFTS−OFDMシンボルが参照信号用に確保されると仮定した場合、12になりうる。
【0060】
周波数ホッピングが可能である場合、上記で概説したソリューションは、場合によっては種々のスクランブル符号および拡散系列を用いて、各スロットに適用されうる。この場合、同一のペイロードが両方のスロットで送信されるであろう。あるいは、スクランブルされた系列または変調シンボル、すなわち複素数値変調シンボルの系列は、2つの部分に分離され、第1の部分が第1のスロットで送信され、第2の部分が第2のスロットで送信される。原理上は、複数ビットのブロックaであっても分割されることがあり、第1の部分は第1のスロットで送信されることがあり、第2の部分は第2のスロットで送信されることがある。しかし、これは、この場合には各スロットで処理および送信される複数ビットのブロックがより小さくなり(例えば、分割される前の大きさの半分)、符号化利得が低減されることになるため、あまり望ましくない。
【0061】
図12は、信号または複数ビットのブロックがブロック拡散される実施形態を示している。この処理チェーンは、誤り訂正符号化モジュール111を備える。最も簡単なケースでは、同一の信号または複数ビットのブロックが、ブロック拡散され(すなわち数回繰り返され)、複数の変調シンボル(すなわち複素数値変調シンボルの系列)にマッピングされるとともに、複数の変調シンボルのコピーまたはインスタンスの各々は、重み付け係数とも称される、拡散系列からのスカラーw[k] によって重み付けされる。なお、マッピングはブロック拡散の前に現れる場合がある。K個のDFTS−OFDMシンボルがある場合、拡散系列は、長さK、すなわち、w[k]、k=0,1,...,K−1を有する。これにより、K個の直交拡散系列が構築されうるとともに、その結果、Kユーザが多重化されうる。このように、これらK個の直交系列が、複数の変調シンボル(すなわち複素数値変調シンボルの系列)のブロック拡散において用いられる。これが
図12に示されており、Mod1〜ModKと名付けられた各ボックスは、
図11に係るモジュール112〜116を含んでいる。等価な実装によれば、重み付け係数の適用は、
図12に示すように、シンボル・マッピング・モジュール112の後段におけるいずれの他の位置でも可能であり、
図12では、重み付け係数w[0]〜w[K−1] は、DFTS−OFDMシンボル0...K−1についてのそれぞれの処理チェーンのDFTS−OFDM変調器113の後段で、それぞれのv系列に適用される。さらに、最初に複数ビットのブロックを複数の変調シンボル(例えば、複数の複素数値変調シンボル)にマッピングした後に、当該複数の変調シンボルを繰り返すことと、複数ビットのブロックを繰り返した後に、繰り返された複数ビットのブロックの各々を複数の変調シンボルにマッピングすることは等価である。
【0062】
代替の設定では、w[k] によるシンボルのスケーリングを無視した場合、K個のDFTS−OFDMシンボルで送信される信号または複数ビットのブロックはコピーではなく、
図12の各ブロックMod1−ModKは、実際には、異なるスクランブル系列を用いてスクランブルを行う。それ以外の場合、
図11はなお有効である。この場合には、それぞれのスクランブル系列は、セルIDに加えて、DFTS−OFDMシンボル/スロット/サブフレーム/無線フレーム番号に依存しうる。スクランブル、および、特にスクランブル系列がセルIDとDFTS−OFDMシンボル/スロット/サブフレーム/無線フレーム番号との少なくともいずれかに依存しうることは、最先端のDFTS−OFDM PUCCH送信よりも良好な、セル間干渉のランダム化および軽減をもたらす。
【0063】
例えば、スロットごとに、参照信号とも示される1つの参照シンボルを想定すると、LTEでは、正規のサイクリック・プレフィックスを想定した場合、Kは6である可能性がある。あるいは、周波数ホッピングが用いられない場合、スロットごとに1つの参照信号を想定すると、Kは12である可能性がある。参照信号の正確な設計については、さらには論じないこととする。
【0064】
DFTS−OFDM変調器113において割り当てられるリソース・ブロックの数に依存して、符号化ビットの数、それによる符号化率およびペイロードの大きさの少なくともいずれか、ACK/NACK系列の長さ、または複数ビットのブロックaの長さが制御されうる。例えば、周波数領域において単一のリソース・ブロックのみが割り当てられている場合、QPSKシンボルを想定すると、DFTS−OFDMシンボルごとに24個の符号化ビットが利用可能である。これが十分でない場合には、割り当てられるリソース・ブロックの数が増やされうる。符号化ビットが多くなるほど、より長いスクランブル符号cが許容され、より高いスクランブル利得がもたらされる。
【0065】
提案方式によって、種々のリソース・ブロック割当てを用いたユーザの多重化が可能になることに言及するのは価値がある。
図13では、3つのユーザ装置が多重化される例が提供されている。第1のユーザ装置10は、より高いACK/NACKペイロードを必要とし、それ故に2つのリソース・ブロックを占有している。残りの2つのユーザ装置については、各々1つのリソース・フロックで十分であり、これらは周波数分割多重(FDM)で多重化されている。複数のユーザ装置はFDM多重化されているので、当該複数のユーザ装置は同一の拡散系列を再使用しうるものの、当然ながら、異なる拡散系列を用いてもよい。この例では、拡散率は4である。2つのリソース・ブロックが割り当てられたユーザ装置10は、121〜124として示されているDFTS−OFDMシンボルに対する複素数値変調シンボルのブロック拡散系列をもたらす、拡散符号[1 −1 1 −1]を用いている。残りのユーザ装置は、第2のユーザ装置については131〜134として示されているDFTS−OFDMシンボルに対する、第3のユーザ装置については135〜138として示されているDFTS−OFDMシンボルに対する、拡散符号[1 1 1 1]を用いている。
【0066】
図14は、ユーザ装置10における送信機のような、1つのDFTS−OFDMシンボルについての上りリンク制御情報の送信のための処理チェーンを描いている、実施形態に係るブロック図である。ユーザ装置10は、誤り訂正符号化モジュール111を備えていてもよく、複数ビットのブロックaは、伝送誤りに対してよりロバストにするために符号化されうる。隣接セル干渉をランダム化するために、符号cを用いたセル固有のスクランブルが適用され、スクランブルされた系列がもたらされうる。スクランブルされた系列は、次に、シンボル・マッピング・モジュール112で、複数の変調シンボル(すなわち複素数値変調シンボルの系列)に対してマッピングされうるとともに、その後、当該系列は、拡散系列を用いてブロック拡散される(図示せず)。ユーザ装置10は、DFTS−OFDM変調器113において、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列G114を用いて、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換(例えば、プリコーディング)する。説明している例では、行列G114は、行または列の循環シフト演算142とともに離散フーリエ変換(DFT)演算141に対応している。ユーザ装置10は、さらに、IFFTモジュール115およびサイクリック・プレフィックス生成器116を備えていてもよい。これにより、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列が変調され、DFTS−OFDMシンボルで、または1DFTS−OFDMシンボル期間内に送信される。しかし、異なる複数のユーザの多重化を可能にするためには、誤り訂正符号化された複数ビットのブロックは、数個のDFTS−OFDMシンボルで無線基地局12に送信される。
【0067】
上記の実施形態の変形は、スクランブルされた系列が1つのDFTS−OFDMシンボルではなく、数個のDFTS−OFDMシンボルにマッピングされるものである。
図15は、スクランブルされた複数ビットのブロックsが、2つのDFTS−OFDMシンボルで送信されるか、または2つのDFTS−OFDMシンボルの期間にわたって送信される例を示す。1つのリソース・ブロック割当てと、各DFTS−OFDMシンボルが12シンボルを搬送することとを想定すると、この例では、48ビット長のスクランブルされた系列または複数ビットのブロックsが、24=2×12個のQPSKシンボルにマッピングされ、2つのDFTS−OFDMシンボルで送信される。複数ビットのブロックaは、
図11の誤り訂正符号化モジュール111に対応しうる誤り訂正符号化モジュール151において処理されうる。隣接セル干渉をランダム化するために、ビット・スクランブル・モジュール152において、符号cを用いたセル固有のスクランブルが適用されうるとともに、それにより、スクランブルされた系列s(すなわち、スクランブルされた複数ビットのブロック)がもたらされる。スクランブルされた系列sは、2つの異なるDFTS−OFDMシンボルに対して拡散されるか、または分割される。sのうちの第1の半分は、次に、例えば第1のシンボル・マッピング・モジュール153で、QPSKを用いて複数のシンボルにマッピングされ、第1の修正されたDFTS−OFDM変調器を用いて変調および送信される。第1の修正されたDFTS−OFDM変調器は、第1のプリコーディング行列G154を備え、さらに、第1のIFFTモジュール155および第1のサイクリック・プレフィックス生成器156を備えうる。
【0068】
sのうちの第2の半分は、次に、例えば第2のシンボル・マッピング・モジュール153'で、QPSKを用いて複数のシンボル(例えば複数の複素数値変調シンボル)にマッピングされ、第2の修正されたDFTS−OFDM変調器を用いて変調および送信される。第2の修正されたDFTS−OFDM変調器は、第2のプリコーディング行列G154'を備え、さらに、第2のIFFTモジュール155'および第2のサイクリック・プレフィックス生成器156'を備えうる。
【0069】
このように、複数ビットのブロックの第1の半分は、第1のDFTS−OFDMシンボルで送信され、複数ビットのブロックの第2の半分は、第2のDFTS−OFDMシンボルで送信される。しかし、異なる複数のユーザの多重化を可能にするためには、誤り訂正符号化されてスクランブルされた複数ビットのブロックsは、数個のDFTS−OFDMシンボルで無線基地局12に送信される。
【0070】
適宜に修正されたブロック拡散処理の実施形態が
図16に描かれている。この例では、スクランブルされた複数ビットのブロックsが2つのDFTS−OFDMシンボルで送信されるケースにおけるブロック拡散が示されている。各ブロック“Mod”は、誤り訂正符号化機能を除いて、
図15に示された構成を備えている。この変形は、
図11のベースラインとなるケースに比べて、より高いペイロードおよびスクランブル利得を可能にする。しかし、その代償は多重化能力の減少である。K個のDFTS−OFDMシンボルが送信に利用できること、および、スクランブルされた複数ビットのブロックの1つのインスタンスについて、DFTS−OFDMシンボルのうちのL個を用いることを想定すると、拡散符号または拡散系列の長さと、その結果として多重化能力とが、K/Lに減少する。この例では、多重化能力は、スクランブルされた複数ビットのブロックsが変調され、1つのDFTS−OFDMシンボルで送信されるケースに比べて、2分の1に減少する。
ACK/NACKsなどの上りリンク情報に対応する複数ビットのブロックは、誤り訂正符号化モジュール161で処理され、誤り訂正符号化モジュール161は、
図11の誤り訂正符号化モジュール111に対応していてもよい。
図16の複数のモジュールMod1〜ModK/2は、異なるスクランブル系列を用いてスクランブルを行い、モジュールMod1〜ModK/2の後段で、重み付け係数w[0]〜w[(K/2)−1] が、複数のブロック拡散変調シンボルのそれぞれ(すなわち、複数の複素数値変調シンボルから成る各ブロック拡散系列)に適用される。
【0071】
別の実施形態では、スクランブル演算およびシンボル・マッピングが行われる順序が、
図17に従って変更される。ここでは、スクランブルが、ビット・レベルではなくシンボル・レベルで適用され、これは、シンボル・マッピングがシンボル・スクランブルの前に行われることを意味する。スクランブル符号
は、DFTS−OFDMシンボル/スロット/サブフレーム/無線フレーム番号とともにセルIDに依存してもよい。本明細書では、ユーザ装置10は、誤り訂正符号化モジュール171を備えうる。ここで、複数ビットの系列またはブロックaは、伝送誤りに対してよりロバストにするために符号化されうる。誤り訂正符号化モジュール171は、
図11の誤り訂正符号化モジュール111に対応しうる。複数ビットのブロックは、その後、シンボル・マッピング・モジュール172において、複数の変調シンボル(すなわち複素数値変調シンボルの系列)に対してマッピングされる。隣接セル干渉をランダム化するために、符号
を用いたセル固有のスクランブルが、シンボル・スクランブル・モジュール173において、当該複数のシンボルに適用されうるとともに、その結果、スクランブルされた系列s'がもたらされる。スクランブルされた系列は、DFTモジュール174において、離散フーリエ変換される。シンボル・スクランブル・モジュール173およびDFTモジュール174は、行列G114に含まれてもよい。このようにして、ユーザ装置10は、その後、ブロック拡散された複数の変調シンボル(すなわち複素数値変調シンボルのブロック拡散系列)を、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列G114を用いて、DFTS−OFDMごとに変換(例えばプリコーディング)する。ユーザ装置10は、さらに、IFFTモジュール175およびサイクリック・プレフィックス生成器176を備えていてもよい。このようにして、ブロック拡散された複数の変調シンボル(すなわち複素数値変調シンボルのブロック拡散系列)は、DFTS−OFDMシンボルで、または1つのDFTS−OFDMシンボルの期間内に送信される。しかし、異なる複数のユーザの多重化を可能にするために、複数ビットのブロックは、数個のDFTS−OFDMシンボルで基地局12に送信される。
【0072】
スクランブル演算は、一部の実施形態では、対角要素がスクランブル符号
の要素で構成される対角行列Cを用いた乗算によって、数学的に記述されうる。ここで、
は、シンボル・レベルでのスクランブル系列である。後続のDFT演算は、DFT行列Fによって記述されうる。この表記を用いて、組み合わされた演算は、これらの説明している例について、行列G=FCによって表現されうる。スクランブル演算およびDFT演算は、行列Gにおいて行われてもよい。この場合、ブロック拡散はスクランブル演算に先立って行われる。
【0073】
図18では、本明細書の実施形態のブロック図が開示されている。ユーザ装置10は、代案として、誤り訂正符号化モジュール181を備えうる。ここで、複数ビットの系列またはブロックaは、伝送誤りに対してよりロバストにするために符号化されうる。誤り訂正符号化モジュール181は、
図11の誤り訂正符号化モジュール111に対応しうる。隣接セル干渉をランダム化するために、ビット・スクランブル・モジュール182において、符号cを用いたセル固有のスクランブルが、誤り訂正符号化された複数ビットのブロックに適用される可能性がある。スクランブルされた複数ビットのブロックsは、その後、シンボル・マッピング・モジュール183において、複数の複素数値変調シンボルから成る系列にマッピングされる。複数の変調シンボルは、拡散系列(図示せず)を用いてブロック拡散される。ユーザ装置10は、その後、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列G114を用いて、DFTS−OFDMシンボルごとに変換(例えばプリコーディング)する。ユーザ装置10は、さらに、IFFTモジュール185およびサイクリック・プレフィックス生成器186を備えうる。ブロック拡散された複数の変調シンボル(すなわち複素数値変調シンボルのブロック拡散系列)は変調され、DFTS−OFDMシンボルで、または1つのDFTS−OFDMシンボル期間内に送信される。しかし、複数のユーザの多重化を可能にするために、スクランブルされた複数ビットのブロックsは、数個のDFTS−OFDMシンボルで無線基地局12に送信される。
【0074】
DFTS−OFDM変調器113における行列G114は、スクランブル符号の依存性に起因して、セルIDとDFTS−OFDMシンボル/スロット/サブフレーム/無線フレーム番号との少なくともいずれかに伴って変化しうる。
【0075】
行列Gは、対角行列とDFT行列との積であってもよい。しかし、積の代わりに、一般行列Gを想定してもよい。干渉をランダム化するために、行列Gは、セルIDとDFTS−OFDMシンボル/スロット/サブフレーム/無線フレーム番号との少なくともいずれかに依存しうる。上りリンク制御情報を含む送信信号を受信機で復号できるためには、Gに関する最小限の要求条件は、逆行列が存在することである。
【0076】
行列Gが直交である場合、その逆行列はちょうど行列Gのエルミート転置であるので、より簡単な受信機が構成されうる。本出願によれば、上りリンク制御情報を含む送信信号についての低包絡線変動、低キュービック・メトリックまたは低ピーク対平均電力比が興味深いであろう。この場合、行列Gと後続のIFFT演算との組み合わせによって、低いキュービック・メトリックを有する信号がもたらされるはずである。
【0077】
そのような行列の1つはDFT行列であり、その行または列は循環的にシフトされ、例えばM行を仮定すると、行1は行nになり、行2は行(n+1)mod Mになる、などである。この演算は、複数のサブキャリアまたはマッピングされた複数の複素数値変調シンボルの循環シフトをもたらす(説明のための
図14を参照されたい)。循環シフト量または循環シフト・パターンは、セルIDとDFTS−OFDMシンボル/スロット/サブフレーム/無線フレーム番号との少なくともいずれかに依存しうる。セルIDとDFTS−OFDMシンボル/スロット/サブフレーム/無線フレーム番号との少なくともいずれかに依存する、複数のサブキャリアまたは複数の複素数値変調シンボルの循環シフトは、セル間干渉をランダム化するとともに、セル間干渉を軽減する。これは、先行技術のDFTS−OFDM PUCCH送信に比べて、セル間干渉の軽減を向上させる。一部の実施形態では、DFT行列は、DFT行列と対角スクランブル行列との積であってもよい。
【0078】
行または列の一般的な置換が可能であるが、この場合にはキュービック・メトリックが増加する。
【0079】
本明細書で開示した技術は、一部の実施形態では、例えば、高いペイロードPUCCH送信を可能にする。さらに、これらの技術はまた、本ソリューションを所要ペイロードに適合させる柔軟性を提供しうる。これらの技術はまた、セル間干渉を改善する手段を導入するのに有用である。これらの手段は、スクランブル符号を用いたスクランブル、行列Gの選択、および循環シフト・パターンを用いた行列要素の循環シフトの少なくとも1つである。スクランブル符号cまたは循環シフト・パターンの選択は、セル間干渉をランダム化するために擬似ランダムに、セルIDとDFTS−OFDMシンボル/スロット/サブフレーム/無線フレーム番号との少なくともいずれかに依存してもよい。さらに、本明細書の実施形態は、多重化能力と引き換えに、ペイロードと符号化利得とセル間干渉の抑圧との少なくとも1つについてバランスを取るために、PUCCHフォーマットの構成を変更可能にする。
【0080】
図19は、ユーザ装置10における送信処理の実施形態を描いている概略的なブロック図である。上りリンク制御情報に対応する複数ビットのブロックは、無線チャネルを介して無線基地局12に送信される。例えば、複数のHARQフィードバック・ビットは、構成されているセルの数および送信モード(例えば、成分キャリア1(CC1)、CC3:MIMO、CC2:非MIMO)によって決定されうる。複数ビットのブロックは、前方誤り訂正(FEC)モジュール191で誤り訂正符号化されうる。さらに、誤り訂正符号化された複数ビットのブロックは、その後、ビット・スクランブル・モジュール192でスクランブルされうる。ここで、ビット・スクランブル・モジュール192は、
図18のビット・スクランブル・モジュール182に対応しうる。ユーザ装置10は、さらに、複数のブロック・モジュールMod0〜Mod4を備えている。各ブロック・モジュールは、ビット・シンボル・マッピング・モジュールを備えており、複数ビットのブロックは、複素数値変調シンボルの系列にマッピングされる。さらに、各ブロック・モジュールMod0〜Mod4は、ユーザ装置を多重化するために、拡散系列oc1〜oc4(例えば直交カバー)を用いて複素数値変調シンボルの系列を一斉にブロック拡散するよう構成されたブロック拡散モジュールを備えている。各ブロック・モジュール内で、ブロック拡散は、ちょうどoci、i=0,...,4による乗算である。ブロック・モジュールMod0〜Mod4は、[oc0,oc1,...,oc4]を用いて、複素数値変調シンボルの系列を一斉にブロック拡散する。また、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列は、DFTS−OFDMシンボルごとに変換され、すなわち、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列の各セグメントは、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する、すなわち、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかによって変わる行列を適用することによって変換される。これは、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列の各セグメントを最初に循環的にシフトすることによって行われうるとともに、これにより、セル間干渉をランダム化するための擬似ランダム循環シフトを行う。その後、循環的にシフトされた各セグメントは、DFT行列で処理(例えば変換)される。循環的にシフトされDFT変換されたセグメントは、その後、IFFT変換されるとともに、変換された複素数値変調シンボルのブロック拡散系列は、DFTS−OFDMシンボルで、またはDFTS−OFDMシンボルの期間内に送信される。
【0081】
また、複数の参照信号(RS)が、DFTS−OFDMシンボル期間にわたるパターンに従って送信される。各RSは、送信前にIFFT変換される。
【0082】
本明細書の様々な実施形態には、LTE−Advancedまたは他の無線通信システムにおいて、上述した技術に従ってシグナリング・メッセージの符号化および送信の少なくともいずれかを行う方法が包含される。他の実施形態には、これらの技術に従ってシグナリング・メッセージの符号化および送信の少なくともいずれかを行うように構成された移動局を含む、これらの方法のうちの1つ以上を実施するように構成されたユーザ装置または他の無線ノードと、これらのシグナリング方法に従って送信された信号の受信および復号の少なくともいずれかを行うように構成された無線基地局(例えばe−NodeB')と、が包含される。これらの実施形態のいくつかは、本明細書で説明したシグナリング技術およびシグナリング・フローを実施するための、記憶されているプログラム命令を実行する1つ以上の処理回路を備えうる。当業者であれば、これらの処理回路が、1つ以上の記憶装置に記憶されているプログラム命令を実行する、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等を備えうることを理解するであろう。
【0083】
当然ながら、当業者であれば、上記で論じた発明技術は、LTEシステム、または、上記で提案されている装置と同一の物理的構成を有する装置に限定されることはなく、これらの技術が、他の電気通信システムおよび他の装置の少なくともいずれかに適用されうることを理解するであろう。
【0084】
以下では、
図20に描かれているフローチャートを参照して、一部の一般的な実施形態に係る、無線チャネルを介して、サブフレーム内のタイムスロットで上りリンク制御情報を無線基地局12に送信するための、ユーザ装置10における方法のステップについて説明する。当該ステップは、以下で述べる順序で進める必要はなく、任意の適切な順序で進められうる。無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成されており、ユーザ装置10および無線基地局12は、無線通信ネットワークに備えられる。上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれている。一部の実施形態では、複数ビットのブロックは、上りリンク制御情報に対応しており、一緒に符号化された確認応答および否定確認応答を含んでいる。無線チャネルはPUCCHであってもよい。
【0085】
ステップ201.ユーザ装置10は、一部の実施形態では、破線で示されているように、複数ビットのブロックを誤り訂正符号化してもよい。例えば、複数ビットのブロックには、前方誤り訂正処理またはそれと同様の処理が行われうる。
【0086】
ステップ202.ユーザ装置10は、一部の実施形態では、破線で示されているように、複数ビットのブロックを複素数値変調シンボルの系列にマッピングする前に、複数ビットのブロックをスクランブルしてもよい。スクランブル処理は、セル間干渉を低減するためのものであり、セル固有またはそれと同様のものであってもよい。
【0087】
ステップ203.ユーザ装置10は、複数ビットのブロックを複素数値変調シンボルの系列にマッピングする。
【0088】
ステップ204.ユーザ装置10は、複素数値変調シンボルの系列に拡散系列を適用して、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を得ることによって、複素数値変調シンボルの系列を複数のDFTS−OFDMシンボルにわたってブロック拡散する。
【0089】
ステップ205.ユーザ装置10は、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列に適用することによって、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列をDFTS−OFDMシンボルごとに変換する。一部の実施形態では、当該行列は、複数の行列要素を含み、複数の行列要素から成る行または列の循環シフト演算ととともにDFT演算に対応する。一部の代替の実施形態では、当該行列は、複数の行列要素を含み、複数の行列要素のスクランブル演算とともに離散フーリエ変換演算に対応する。
【0090】
ステップ206.ユーザ装置10は、一部の実施形態では、破線で示されているように、複素数値変調シンボルの変換されたブロック拡散系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに、さらにOFDM変調してもよい。例えば、当該系列は、IFFT処理において変換されてもよく、サイクリック・プレフィックス処理においてサイクリック・プレフィックスが付加されてもよい。
【0091】
ステップ207.ユーザ装置10は、複素数値変調シンボルの変換されたブロック拡散系列を、無線チャネルを介して無線基地局12に送信する。一部の実施形態では、当該送信は、複素数値変調シンボルの系列の第1の部分を第1のタイムスロットで送信し、複素数値変調シンボルの系列の第2の部分を第2のタイムスロットで送信することを含む。
【0092】
スロット境界において周波数ホッピングを適用するか否かに依存して、他の変形が導かれうる。
【0093】
一部の実施形態では、チャネルを介してサブフレーム内のスロットで上りリンク制御情報を無線通信システム内の基地局に送信するための、端末における方法が提供される。上りリンク制御情報は符号語に含まれうる。端末は、符号語を複数の変調シンボルにマッピングする。端末は、その後、DFTS−OFDMシンボルごとに複数の変調シンボルを繰り返すとともに、当該繰り返された複数の変調シンボルに、複数の重み付け係数から成るブロック拡散系列を適用して、DFTS−OFDMシンボルごとの、複数の変調シンボルについての重み付けされた個別のコピーを得ることによって、複数の変調シンボルを複数のDFTS−OFDMシンボルにブロック拡散する。ここで、繰り返された複数の変調シンボルには、符号語がマッピングされている複数の変調シンボルが含まれている。端末は、その後、一部の実施形態では、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、複数の変調シンボルについての重み付けされた個別のコピーに適用することで、複数の変調シンボルについての重み付けされた個別のコピーを、DFTS−OFDMシンボルごとにプリコーディングするか、またはDFTS−OFDM変調することによって、変換を行う。端末10は、その後、複数の変調シンボルについての重み付けされ変換された個別のコピーを、各DFTS−OFDMシンボル上で、またはシンボル期間において/シンボル期間内に、基地局に送信する。代替の実施形態では、符号語は、DFTS−OFDMシンボルごとに繰り返されていてもよく、さらに、繰り返された符号語を含む、複数の繰り返された符号語は、複数の変調シンボルにマッピングされる。すなわち、これらの実施形態では、ブロック拡散の、繰り返すステップおよびマッピングするステップが、逆の順序でなされるとともに、重み付けするステップがそれに続く。
【0094】
チャネルは、物理上りリンク制御チャネルであってもよく、符号語は、複数のビットであってもよい。変調シンボルは、QPSKシンボルまたはBPSKシンボルであってもよい。一部の実施形態では、ブロック拡散系列は、直交系列であってもよい。変換するステップは、一部の実施形態では、行列の循環シフトを含んでいてもよく、当該行列は、離散フーリエ変換行列であってもよい。
【0095】
無線チャネルを介してサブフレーム内のタイムスロットで上りリンク制御情報を無線基地局12に送信するための上記方法のステップを実行するために、ユーザ装置10は、
図21に描かれている構成を備えている。無線チャネルは、PUCCHまたは他の上りリンク制御無線チャネルを含んでいてもよく、上りリンク制御情報を搬送するように構成されている。上述のように、複数ビットのブロックは、上りリンク制御情報に対応していてもよく、一緒に符号化された確認応答および否定確認応答を含んでいてもよい。
【0096】
一部の実施形態では、ユーザ装置10は、複数ビットのブロックを誤り訂正符号化するように構成された誤り訂正符号化回路211を備えていてもよい。
【0097】
さらに、ユーザ装置は、複数ビットのブロックを複素数値変調シンボルの系列にマッピングする前に、当該複数ビットのブロックをスクランブルするように構成されたスクランブル回路212を備えていてもよい。
【0098】
ユーザ装置10は、複数ビットのブロックを複素数値変調シンボルの系列にマッピングするように構成されたマッピング回路213を備えている。
【0099】
さらに、ユーザ装置10は、複素数値変調シンボルの系列に拡散系列を適用し、それにより、ブロック拡散された複素数値変調シンボルの系列を得ることによって、複素数値変調シンボルの系列を複数のDFTS−OFDMシンボルにブロック拡散するように構成されたブロック拡散回路214を備えている。
【0100】
ユーザ装置10はまた、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列に適用することによって、DFTS−OFDMシンボルごとに、複素数値変調シンボルのブロック拡散系列を変換するように構成された変換回路215を備えている。当該行列は、一部の実施形態では、複数の行列要素を含んでいてもよく、複数の行列要素から成る行または列の循環シフト演算とともに離散フーリエ変換演算に対応していてもよい。当該行列は、複数の行列要素を含んでいてもよく、複数の行列要素のスクランブル演算とともに離散フーリエ変換演算に対応していてもよい。
【0101】
加えて、ユーザ装置10は、複素数値変調シンボルの変換されたブロック拡散系列を、無線チャネルを介して無線基地局12に送信するように構成された送信機217を備えている。送信機217は、一部の実施形態では、複素数値変調シンボルの系列の第1の部分を第1のタイムスロットで送信し、複素数値変調シンボルの系列の第2の部分を第2のタイムスロットで送信するように構成されてもよい。
【0102】
一部の実施形態では、ユーザ装置10は、OFDM変調器216をさらに備えており、OFDM変調器216は、DFTS−OFDMシンボルごとに、複素数値変調シンボルの変換されたブロック拡散系列をOFDM変調するように修正または構成されている。例えば、DFTS−OFDMシンボル内の複素数値変調シンボルのブロック拡散系列についての各セグメントは、変換回路215で当該セグメントに適用することによって変換され、その後、OFDM変調器216でOFDM変調され、DFTS−OFDMシンボル内で送信される。送信機217がOFDM変調器216に備えていてもよい。
【0103】
無線チャネルを介して上りリンク制御情報を無線基地局12に送信するための、本明細書の実施形態は、本明細書の実施形態の機能および方法のステップを実行するためのコンピュータ・プログラム・コードとともに、1つ以上のプロセッサ(例えば、
図21に描かれているユーザ装置10内の処理回路218)を通じて実装されうる。上述したプログラム・コードは、例えば、ユーザ装置10に搭載される場合には、本ソリューションを実行するためのコンピュータ・プログラム・コードを保持するデータ記憶媒体の形式で、コンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供されることもある。そのような記憶媒体の1つは、CD ROMディスクの形式であってもよい。しかし、記憶媒体は、メモリ・スティックのような他のデータ記憶媒体を用いて実現可能である。コンピュータ・プログラム・コードは、さらに、サーバ上の純粋なプログラム・コードとして提供され、ユーザ装置10にダウンロードされてもよい。
【0104】
ユーザ装置10は、ユーザ装置10およびそれと同様のものの少なくともいずれかで実行される場合に本方法を実行するために、データ、拡散系列、行列およびアプリケーションを格納するのに用いられるよう構成されたメモリ219をさらに備えていてもよい。
【0105】
以下では、
図22に描かれているフローチャートを参照して、一部の一般的な実施形態に係る、無線チャネルを介して、サブフレーム内のタイムスロットで上りリンク制御情報をユーザ装置10から受信するための、無線基地局12における方法のステップについて説明する。当該ステップは、以下で説明する順序で進められる必要はなく、任意の適切な順序で進められうる。無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成されており、ユーザ装置10および無線基地局12は、無線通信ネットワークに備えられている。上りリンク制御情報は、複数ビットのブロックに含まれている。一部の実施形態では、複数ビットのブロックは、上りリンク制御情報に対応しており、一緒に符号化された確認応答および否定確認応答を含んでいる。無線チャネルはPUCCHであってもよい。
【0106】
ステップ221.無線基地局12は、複素数値変調シンボルの系列を受信する。
【0107】
ステップ222.無線基地局12は、複素数値変調シンボルの系列をOFDM復調する。
【0108】
ステップ223.無線基地局12は、その後、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列に適用することによって、OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列を、DFTS−OFDMシンボルごとに変換する。この行列は、ユーザ装置10における行列Gの演算とは逆の演算を行いうる/もたらしうる。当該逆演算は、一部の実施形態では、逆離散フーリエ変換演算を含んでいてもよく、行列Gに対する逆行列は、逆離散フーリエ変換行列を含んでいてもよい。
【0109】
ステップ224.無線基地局12はまた、OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの系列を、直交系列のような逆拡散系列でブロック逆拡散する。
【0110】
ステップ225.無線基地局12は、OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの逆拡散された系列を、上りリンク制御情報を表す複数ビットのブロックにマッピングする。
【0111】
このようにして、無線基地局12は、受信した上りリンク制御情報を復号しうる。
【0112】
本方法は、無線基地局12によって実行されうる。
図23は、無線チャネルを介してサブフレーム内のタイムスロットで上りリンク制御情報をユーザ装置10から受信するための無線基地局12のブロック図である。無線チャネルは、上りリンク制御情報を搬送するように構成されている。
【0113】
無線基地局12は、複素数値変調シンボルの系列を受信するように構成された受信機231と、複素数値変調シンボルの系列をOFDM復調するように構成されたOFDM復調回路232とを備えている。
【0114】
さらに、無線基地局12は、DFTS−OFDMシンボル・インデックスおよびスロット・インデックスの少なくともいずれかに依存する行列を、OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列に適用することによって、OFDM復調された複素数値変調シンボルの系列をDFTS−OFDMシンボルごとに変換するように構成された変換回路233を備えている。この行列は、ユーザ装置10における行列Gの演算とは逆の演算を行いうる/もたらしうる。当該逆演算は、一部の実施形態では、逆離散フーリエ変換演算を含んでいてもよく、行列Gに対する逆行列は、逆離散フーリエ変換行列を含んでいてもよい。
【0115】
無線基地局12はまた、OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの系列を、逆拡散系列でブロック逆拡散するように構成されたブロック逆拡散回路234を備えている。
【0116】
さらに、無線基地局12は、OFDM復調され変換された複素数値変調シンボルの逆拡散された系列を、上りリンク制御情報を表す複数ビットのブロックにマッピングするように構成されたマッピング回路235を備えている。
【0117】
無線チャネルを介して上りリンク制御情報を無線チャネルによってユーザ装置10から受信するための、本明細書の実施形態は、本明細書の実施形態の機能および方法のステップを実行するためのコンピュータ・プログラム・コードとともに、1つ以上のプロセッサ(例えば、
図23に描かれている無線基地局12内の処理回路238)を通じて実装されうる。上述したプログラム・コードは、例えば、無線基地局12に搭載される場合には、本ソリューションを実行するためのコンピュータ・プログラム・コードを保持するデータ記憶媒体の形式で、コンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供されることもある。そのような記憶媒体の1つは、CD ROMディスクの形式であってもよい。しかし、記憶媒体は、メモリ・スティックのような他のデータ記憶媒体を用いて実現可能である。コンピュータ・プログラム・コードは、さらに、サーバ上の純粋なプログラム・コードとして提供され、無線基地局12にダウンロードされてもよい。
【0118】
無線基地局12は、1つ以上のメモリ・ユニットを含むメモリ239であって、無線基地局12およびそれと同様のものの少なくともいずれかで実行される場合に本方法を実行するために、データ、拡散系列、行列およびアプリケーションを格納するのに用いられるよう構成されたメモリ239を、さらに備えていてもよい。
【0119】
図面および明細書では、本明細書の典型的な実施形態を開示してきた。しかし、実施形態の原理から本質的に逸脱することなく、多くの変形および修正をこれらの実施形態に対して行うことが可能である。したがって、特定の用語が採用されているものの、それらは、一般的かつ説明的な意味合いのみで用いられおり、限定のためには用いられておらず、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。