(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148334
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】通気性のあるスポーツバッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 3/00 20060101AFI20170607BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20170607BHJP
A45C 13/36 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
A45C3/00 P
A45C11/00 H
A45C13/36 Z
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-515252(P2015-515252)
(86)(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公表番号】特表2015-517888(P2015-517888A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】US2013043672
(87)【国際公開番号】WO2013181573
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2015年4月3日
(31)【優先権主張番号】13/486,361
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】フラグ ナサニアン
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3111574(JP,U)
【文献】
特開2001−112540(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3025869(JP,U)
【文献】
特開平9−23918(JP,A)
【文献】
米国特許第5170745(US,A)
【文献】
実開昭61−55827(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3012149(JP,U)
【文献】
実開昭61−47825(JP,U)
【文献】
米国特許第5931120(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00−15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を運ぶための、通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、
該スポーツバッグは、
・撥水コーティング材料からなる底部と、
・前記撥水コーティング材料からなり、リアウォール、フロントウォールおよび2枚のサイドウォールを具える中間部分と、
・各穿孔が第1の周縁部を有する第1の複数の穿孔であって、前記スポーツバッグの本体を貫通する前記中間部分の第1の複数の穿孔と、
・前記中間部分の少なくとも一部に付着する補強層であって、前記第1の複数の穿孔に対応して配置され、且つ各穿孔が第2の周縁部を有する第2の複数の穿孔を具える補強層と、
・前記撥水コーティング材料からなる頂部であって、前記スポーツバッグの内部空間へのアクセスを可能にする閉口可能な開口部を具える頂部と、
・該頂部上に延在する少なくとも2つのキャリーハンドルと、を具え、
前記第1の複数の穿孔における各穿孔の第1の周縁部は、前記第2の複数の穿孔における各穿孔の前記第2の周縁部に対して固着されて、複数の通気孔を形成し、該複数の通気孔は、前記スポーツバッグの内部および外部間の2方向の通気を可能にするスポーツバッグ。
【請求項2】
請求項1に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記撥水コーティング材料がポリエステル材料を含むスポーツバッグ。
【請求項3】
請求項2に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記ポリエステル材料が600dポリエステルを含むスポーツバッグ。
【請求項4】
請求項1に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記複数の通気孔の各開口部が円形状であるスポーツバッグ。
【請求項5】
請求項1に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記複数の通気孔の各開口部が非円形状であるスポーツバッグ。
【請求項6】
請求項1に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記補強層が、エラストマを含むスポーツバッグ。
【請求項7】
請求項1に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記補強層が、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を含むスポーツバッグ。
【請求項8】
収納スペース内の物品を運ぶための、通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、
該スポーツバッグは、
・第1の材料層を具える底部であって、該第1の材料層が前記収納スペースの方を向く内向面および前記収納スペースから離れた方を向く外向面を有する底部と、
・リアウォール、フロントウォールおよび2枚のサイドウォールを具える中間部分であって、前記第1の材料層を具える中間部分と、
・前記中間部分のセグメントであって、前記中間部分の前記第1の材料層の前記外向面に付着するエラストマ層を具えるセグメントと、
・前記第1の材料層を具える頂部であって、前記収納スペースへのアクセスを可能にする閉口可能な開口部をさらに具える頂部と、を具え、
前記セグメントは、前記第1の材料層を貫通する第1の複数の穿孔と、前記エラストマ層を貫通する第2の複数の穿孔とをさらに具え、
前記第1の複数の穿孔における各穿孔は第1の周縁部を有し、前記第2の複数の穿孔における各穿孔は第2の周縁部を有し、
前記第1の複数の穿孔における各穿孔の前記第1の周縁部は、前記第2の複数の穿孔における各穿孔の前記第2の周縁部に対応するよう位置が合わされ、
前記第1の複数の穿孔および前記第2の複数の穿孔における各前記第1の周縁部と各前記第2の周縁部との位置合わせによって、前記収納スペースへの通気孔が形成されるスポーツバッグ。
【請求項9】
請求項8に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記第1および第2の複数の穿孔における各穿孔が、模様を作るよう配置されているスポーツバッグ。
【請求項10】
請求項8に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記エラストマ層が、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を含むスポーツバッグ。
【請求項11】
収納スペースを具え、通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記スポーツバッグは、
・第1の材料層を具える底部と、
・前記第1の材料層を具え、且つリアウォール、フロントウォールおよび2枚のサイドウォールを画定する中間部分であって、前記第1の材料層に付着される第2の材料層を有する第2のセグメントをさらに具える中間部分と、
・前記第1の材料層と、前記ポータブルなスポーツバッグの内部空間へのアクセスを可能にする、閉口可能な開口部とを具える頂部であって、第1の複数の穿孔を有する第1のセグメントをさらに具え、該第1の複数の穿孔における各穿孔は、第1の周縁部を有し、各該第1の周縁部は前記収納スペースへの第1の通気孔を形成する頂部と、を具え、
前記第2のセグメントは、前記第1の材料層に形成される第2の複数の穿孔および前記第2の材料層に形成される第3の複数の穿孔をさらに具え、
前記第2の複数の穿孔における各穿孔は第2の周縁部を有し、前記第3の複数の穿孔における各穿孔は第3の周縁部を有し、
前記第2の周縁部は、前記第3の周縁部に対して位置が合わされて、前記収納スペースへの第2の通気孔を形成するスポーツバッグ。
【請求項12】
請求項11に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記第1、第2および第3の複数の穿孔における各穿孔が円形状であるスポーツバッグ。
【請求項13】
請求項11に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記第1、第2および第3の複数の穿孔における各穿孔が非円形状であるスポーツバッグ。
【請求項14】
請求項11に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記第1、第2および第3の複数の穿孔が模様を作るよう配置されているスポーツバッグ。
【請求項15】
請求項11に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記中間部分の前記第2のセグメントの前記第2の材料層が、エラストマを含むスポーツバッグ。
【請求項16】
請求項15に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記エラストマが、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を含むスポーツバッグ。
【請求項17】
少なくとも1つの収納スペースを具え、通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記スポーツバッグは、
・第1の材料層を具える底部と、
・前記第1の材料層を具える本体部であって、該本体部は、前記第1の材料層に付着するエラストマ層を具えるセグメントをさらに具える本体部と、
・閉口可能な開口部と、
・前記本体部に接続される少なくとも1本の連続するストラップと、を具え、
前記セグメントは、前記第1の材料層に第1の穿孔セットおよび前記エラストマ層に第2の穿孔セットをさらに具え、
前記第1の穿孔セットにおける各穿孔は第1の周縁部を有し、前記第2の穿孔セットにおける各穿孔は第2の周縁部を有し、各該第1の周縁部は、該第2の周縁部に対して位置が合わされて、前記少なくとも1つの収納スペースへの通気孔を形成するスポーツバッグ。
【請求項18】
請求項17に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記本体部がフロントウォールおよびバックウォールを具え、前記フロントウォールおよびバックウォールが、該フロントウォールおよび該バックウォールの両端に位置する側部の合わせ目で接合されたスポーツバッグ。
【請求項19】
請求項17に記載の通気性のあるポータブルなスポーツバッグであって、前記本体部が、連続的な筒状のシート材料であるスポーツバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、スポーツバッグに関する。より具体的には、バッグ内を十分に通気して悪臭の発生を防ぐ、通気性が良好なスポーツバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツバッグは、道具を運ぶのに大変機能的でありかつ魅力的な外観を有するため、種々のスポーツ選手の間で非常に人気がある。スポーツ器具やスポーツウェアは、多くの場合、汗またはスポーツによっては泥のような他の環境要素によって汚れる。汚れた器具を一般的な通気孔のないバッグの中に封入すると、悪臭が生じる場合がある。当該技術分野では、バッグの様々な位置にメッシュを配置することによってバッグの内部区画における通気を可能にする、という付加的な利点を有する見た目にも魅力的なバッグを生産し、もって通気性に優れたスポーツバッグを提供することを試みてきた。しかしながら、残念なことに、メッシュ部分は多くの場合デリケートであり、破けてしまう傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の概要は、以下の[発明を実施するための形態]にてさらに説明される概念の選択を、簡略化した形式で説明するものである。この[発明の概要]は、クレームされる主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することや、特許が請求される主題の範囲を決定する際の補助となることを意図していない。
【0004】
本発明の実施例は、通気性に優れ、丈夫で耐久性のある、スポーツ器具を運ぶためのスポーツバッグと、かようなスポーツバッグ、ダッフルバッグ、バックパック、旅行用バッグおよび物品を運ぶための他のコンテナ型バッグの製造方法と、に関する。
【0005】
本発明のスポーツバッグは、ファブリック素材のような織物材料や、ポリエステルのような合成繊維素材、および/または、コットンのような天然素材といった織布からなるシート材料から作ることができる。さらに、シート材料は、皮革素材、合成皮革素材、例えば、ゴム、リノリウム、プラスチックのような押出成型によるシート材料、または屈曲可能でありかつシート状に製造可能な任意の他の材料を含むことができる。
【0006】
一例において、本発明のスポーツバッグは、内部と、外装と、撥水性材料を有する底部と、該底部と同様の撥水性材料からなるリアウォール、フロントウォールおよび2枚のサイドウォールを具える中間部分であって、中間部分の生地材料の少なくとも1つのセグメント全体にわたって設けられた複数の穿孔を有し、該穿孔を有する生地材料の構造的一体性を維持しつつも、スポーツバッグの内部および外部間の2方向の通気が可能である中間部分と、底部と同様の撥水性材料からなる頂部であって、スポーツバッグの内部空間へのアクセスを可能にする閉口可能な開口部を具える頂部と、該頂部上に延在する少なくとも2つのキャリーハンドルまたはストラップと、を具える。本発明に係るバッグの製造に用いられる撥水性材料は、例えば、耐久性撥水(DWR)または他の処理が施されたテキスタイルを含むことができる。
【0007】
本発明の他の例では、本発明のスポーツバッグの中間部分における、穿孔を有する撥水性コーティング材料を、穿孔を形成するに先立ち補強することができる。例えば、中間部分は、限定されないが、シリコンベースのエラストマのようなエラストマ材料で生地をスクリーン印刷することによって補強することができる。代替的におよび/または付加的に、TPU(熱可塑性ポリウレタン)のようなポリウレタンエラストマをバッグの中間部分に適用することができる。かかる補強プロセスにより、バッグの強度および耐久性が増す。
【0008】
本発明のスポーツバッグの他の例において、底部の撥水性コーティング材料は、上記の中間部分と同様の方法で補強できる。バッグの底部の摩耗や損傷は、スポーツバッグの使用方法、すなわち、通常、セメント床などの摩擦の高い表面上に投げられたり置かれたりして使用される性質上避けられない。バッグの底部の補強もまた、スポーツバッグの寿命を延長するのに有利である。
【0009】
さらに、本発明のスポーツバッグの他の例において、スポーツバッグの製造に用いられる、全体が撥水コーティングされた材料は、ポリウレタン、シリコンベースのエラストマ、スチレン、コポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンブレンド、ポリオレフィン合金等のエラストマ材料を用いて補強することができる。これらのエラストマは、スクリーン印刷、熱エネルギまたは超音波エネルギを使用した接着、および/または、上記材料を織物、皮革、合成皮革等のシート材料に利用するための当技術分野で利用可能な任意の他の方法によって適用することができる。補強に用いる材料、および/または、補強材料を適用する方法は、本発明に係るスポーツバッグの、補強部分の形成に用いられる種々の材料に応じて様々とすることができる。
【0010】
さらに他の例において、本発明のスポーツバッグは、底部と、穿孔を有する補強された柔軟性のあるシート材料からなるリアウォール、フロントウォールおよび2枚のサイドウォールからなる中間部分と、穿孔を有し柔軟性のあるシート材料からなる頂部と、によって画定される内部および外装を具え、柔軟性のあるシート材料の少なくとも一部の全体にわたって穿孔が設けられている。穿孔のサイズ、間隔および配置は、シート材料の構造的一体性を維持しつつも、スポーツバッグの内部および外部間の2方向の通気を可能にするよう選択することができる。
【0011】
スクリーン印刷によって、本発明のスポーツバッグの製造に用いるシート材料を補強することができる。しかしながら、本発明に係るバッグの補強は、インクジェットプリントのような他の種類の印刷によっても行うことができる。この場合のインクは、スチレン、コポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィンブレンドおよびポリオレフィン系合金のようなエラストマ材料を含むことができる。柔軟性のあるシート材料は、代替的/付加的に、該柔軟性のあるシート材料の2枚以上を、溶接、接着剤、ステッチ等によって貼り合わせることにより補強することができる。
【0012】
他の例において、本発明のスポーツバッグは、その本体構成の部分に応じて、異なるシート材料を具えることができる。例えば、底部を皮革または合成皮革で作り、中間部分および頂部をポリエステルの織物材料で作り、キャリーストラップをプラスチック、皮革またはリノリウム材から作ることができる。他の例において、中間部分および頂部を、綿織物もしくはスパンデックスのようなストレッチ素材の織物、またはその両方で作ることができる。
【0013】
さらに他の例において、本発明のスポーツバッグは、補強または非補強シート材料からなる底部と、補強または非補強シート材料からなる中間部分であって、該中間部分の全体にわたって穿孔が設けられた中間部分と、当該中間部分と同様のまたは異なる補強もしくは非補強シート材料からなる頂部とを有し、該頂部に、閉口可能な開口部と、該頂部上に延在する少なくとも2つのキャリーハンドルを有する。
【0014】
さらに、本発明に係るスポーツバッグは、シート材料から形成された頂部を具え、該頂部もまた全体にわたって穿孔が設けられているが、穿孔が設けられたシート材料は、エラストマ層で補強されていても、されていなくてもよい。
【0015】
本発明に係るスポーツバッグでは、縫製、溶接および/または接着によって、またはこれらの手段もしくは他の手法を組み合わせることによって、異なる本体パーツを一体に構成することができる。バッグに用いるよう選択された柔軟性のあるシート材料に応じて、溶接、超音波溶接、または特定の種類の柔軟性のあるシート材料に利用できる他の任意の溶接手段を利用することができる。
【0016】
本発明によれば、丈夫で耐久性のあるスポーツバッグであって、メッシュのような脆い材料を用いずとも、スポーツバッグの内部および外部間の2方向の通気を可能にする、という利点のあるスポーツバッグが提供される。スポーツバッグそれ自体の本体材料の一部に複数の穿孔を設けることによって、本発明のスポーツバッグの内部および外部間の2方向の通気が可能となる。穿孔によって良好な通気性を確保し、および/または、スポーツバッグの強度を実質的に低減させることなく該バッグの外観に視覚的効果を付加することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0018】
【
図1】バッグの中間部分に通気用の穿孔を有する、本発明に係る代表的なバッグの側面および正面を示す図である。
【
図2】バッグの穿孔部分に補強材を有する、本発明に係る代表的なバッグの側面および正面を示す図である。
【
図3】本発明のバッグの補強された底部の断面図である。
【
図4】バッグの中間部分およびバッグの頂部に通気用の穿孔を有する、本発明の代表的なバッグの側面および正面を示す図である。
【
図5】本発明のバッグの、補強部分および穿孔部分の断面図である。
【
図6】本発明に係る、通気孔を有するバッグパックの側面および正面図である。
【
図7】本発明に係る、通気孔を有するジムサックの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
従来の通気孔を有するスポーツバッグでは、メッシュタイプの材料を用いてそれぞれのバッグに通気孔を設けている。残念ながら、これらのメッシュタイプの材料は脆弱で、バッグを使用してすぐに損傷する傾向にあり、かかる脆弱性がバッグの寿命を短縮している。本発明では、通気性および耐久性の双方を具えるスポーツバッグを提供する。
【0020】
図1を参照すると、本発明に係るスポーツバッグの一例が示されている。スポーツバッグ100は、柔軟性のあるシート材料から作ることができる。任意の柔軟性のあるシート材料を、本発明に従って用いてよい。柔軟なシート材料は、本質的に、または当該材料を適切に処理することによって任意に耐水性とすることができる。例えば、600dポリエステル材料のような撥水コーティングされた柔軟性のあるシート材料を用いることができ、撥水剤は、一般にDWR(耐久性撥水)と呼ばれるシリコンおよび/またはアクリル撥水剤を含んでもよい。
図1の通気性のあるスポーツバッグ100は、底部160、頂部140および中間部分150によって画定された内部および外装を具える。中間部分150は、フロントウォール152、2枚のサイドウォール154およびリアウォール(図示せず)から構成され、サイドウォール154は、サイドポケットを具えていても、具えていなくてもよい。中間部分150は、該中間部分150のシート材料の少なくともセグメント112、108および/または106の全体にわたって設けられた複数の穿孔110を具え、穿孔が設けられたシート材料の構造的一体性を維持しつつも、スポーツバッグ100の内部および外部間の2方向の通気を可能にしている。頂部140は、スポーツバッグ100の内部空間へのアクセスを可能にする、閉口可能な開口部130、2つのキャリーハンドル115および117、並びにショルダストラップ104をさらに具えることができる。
【0021】
図1のスポーツバッグ100において、複数の穿孔110の各穿孔は円形に示され、スポーツバッグ100のフロントウォール152の中心に沿って、該ウォールの上部に配置されている。しかしながら、穿孔110は、
図1に示される例とは異なる大きさ、配置および/または構成としてもよい。
【0022】
他の例において、複数の穿孔110に含まれる穿孔は、互いに異なる形状とすること、および/または、四角形、ハート形、星形、長方形、シェブロン形または考えられ得る他の形状を組み合わせることができる。スポーツバッグ100に示されるような、単一形状の穿孔を均一に用いること、または(図示しないが)異なる形状の穿孔を同時に用いることもできる。また、複数の穿孔110は、種々の通気を提供するよう、および/または、異なる視覚的効果をもたらすよう、異なるパターンに配置してもよい。
【0023】
さらに、各穿孔110のサイズ、パターンおよび間隔は、スポーツバッグ100の構造に用いられる柔軟性のあるシート材料の構造的一体性を維持しつつも、2方向通気の最適水準を満たすよう選択することができる。例えば、穿孔110がフロントウォール152やサイドウォール154に比し大きすぎると、シート状材料の構造的一体性が大幅に損なわれる。穿孔110が大きくなり過ぎる場合のサイズは、個々の穿孔の隣接具合、スポーツバッグ100内に入れることが予期される物、ウォール152および154に用いられる材料の種類、ウォール152および154に提供される補強材等によって決まる。一方で、穿孔110が小さすぎると、2方向の通気が損なわれる可能性がある。どのくらいの通気が必要で、必要な通気を得るにはどのくらいの大きさの穿孔とすることができるのか、ということは、バッグの使用目的および/または使用内容による。穿孔110が互いに隣接しすぎる場合、織物材料またはシート材料が破けることがあり、穿孔110が離間しすぎていると、最適レベルの通気を得るのに必要な穿孔110が足りないことがある。
【0024】
本発明の他の例では、スポーツバッグが穿孔を有するフロントウォール214およびサイドウォール208および/または206を具え、複数の穿孔210が設けられたセグメント214に、補強層をさらに具えることができる。補強層とは、熱可塑性ポリエチレン(TPU)のような薄層であり、
図2に示すように、穿孔を設けるに先だって設けることができる。
図2に示すスポーツバッグ200は、柔軟なシート材料からなる底部260、中間部分250および頂部240を具える。中間部分250は、リアウォール(図示せず)、フロントウォール252および2つのサイドウォール254を具えることができる。このスポーツバッグは、サイドウォール254のセグメント208および/または206に穿孔210をさらに具えることができる。穿孔が設けられたセグメント208および/または206は、穿孔が設けられ且つ補強されたセグメント214のように、補強層を具えていても、具えていなくてもよい。中間部分250は、補強され、穿孔が設けられた、柔軟性のあるシート材料であって、該補強有孔シート材料の少なくとも1つのセグメント214全体にわたって複数の穿孔210を有するシート材料をさらに具える。穿孔210によって、補強され、穿孔が設けられたシート材料の構造的一体性を維持しつつも、スポーツバッグ200の内部および外部間の2方向の通気が可能となる。頂部240を、底部260と同様のシート材料から作ることもできる。頂部240は、スポーツバッグ200の内部空間へのアクセスを可能にする閉口可能な開口部230をさらに具える。スポーツバッグ200は、少なくとも2つのハンドル215および217と、本発明のスポーツバッグの頂部240上に延在するショルダストラップ204と、をさらに具えることもできる。
【0025】
図3は、スポーツバッグ200のフロントウォール252の、複数の穿孔210が配置されたセグメント214の断面を拡大して示している。シート材料310に、切断された穿孔210を有する補強層320が付着している。
【0026】
図4は、本発明のスポーツバッグ400のさらに他の代表例の斜視図である。
図4において、本発明のスポーツバッグ400は、柔軟なシート材料からなる底部460と、中間部分450と、頂部440と、によって画定される内部空間および外装を具える。中間部分450は、リアウォール(図示せず)、フロントウォール452および2枚のサイドウォール454から構成される。中間部分は、補強され、穿孔が設けられた、柔軟性のある補強有孔シート材料をさらに具え、該シート材料の少なくともセグメント412、408および/または406の全体にわたって複数の穿孔が設けられている、穿孔によって、補強され、穿孔が設けられたシート材料の構造的一体性を維持しつつも、スポーツバッグ400の内部および外部間の通気が可能となる。頂部440もまた、第2の複数の穿孔470を有する柔軟なシート材料からなる。第2の複数の穿孔470は、柔軟なシート材料の少なくともセグメント471の全体にわたって形成することができる。さらに、
図4に記載されるスポーツバッグ400は、当該ポータブルなスポーツバッグ400の内部空間へのアクセスを可能にする、閉口可能な開口部430を有することができる。スポーツバッグ400は、本発明のスポーツバッグ400の頂部440上に延在する、2本のキャリーハンドル415および417やショルダストラップ404もまた具えることができる。
【0027】
他の例において、
図4のスポーツバッグは、補強された柔軟なシート材料からなる底部460を具えることができる。底部は、前述したごとくTPUの薄膜のようなエラストマ材料を適用することによって補強可能であり、
図5に示すような補強された、穿孔を有するシート材料となる。
【0028】
図5は、
図4に示したスポーツバッグ400の底部460の断面を示している。柔軟なシート材料510は、補強層520によって強度を増すことができる。
当該実施例における補強されたシート材料は、バッグの底部に用いることができるが、この補強された織物材料を、本発明のスポーツバッグ400の本体部全体に用いることもできる。
【0029】
図6は、異なる種類のバッグの一例、すなわちバックパック600であり、通気用の穿孔が、該バックパック600の内部および外部間に2方向の通気をもたらすよう用いられている。
図6に示されるバックパック600は、底部610と、中間部分620と、閉口可能な単一または複数の開口部650を有する頂部630と、を具えている。バックパック600は、図示される中間部分620のフロントウォール670の、少なくともセグメント640の全体にわたって、または中間部分620の背部(図示せず)もしくは中間部分620の側部680に、複数の穿孔645をさらに具えることができる。また、バックパック600は、1本または2本のキャリーストラップ660を具えることができる。選択的に、底部および穿孔が設けられたセグメントのような、高い応力のかかる領域を前述のごとく補強することができる。
【0030】
図7は、本発明に係る他のスポーツバッグの追加の例である。
図7に示すバッグは、フロントウォール710と、バックウォール(図示せず)を具えるジムサック700である。付加的に、ジムサック700は、補強されていてもいなくてもよい底部730や、該ジムサック700のメインコンパートメントにアクセスするための開口を閉じるのにも役立つ、キャリーストラップ720を具えることができる。選択的に、ジムサック700は、ジッパー付きポケット750を具えて、付加的な収納を設けることもできる。本発明に係るジムサック700は、(図示するように)フロントウォール710の少なくともセグメント740全体にわたって設けられた、複数の穿孔745を具えることができる。複数の穿孔745は、バックウォール(図示せず)の、またはフロントウォール710とバックウォールの両方の、少なくとも1つのセグメント全体にわたって設けることもできる。前述の例のように、穿孔が設けられたセグメント740および底部730は、さらに補強材を含むことができる。
【0031】
さらに、ジムサック700は、底部730と、フロントウォール710と、バックウォールとから形成され、該フロントウォール710とバックウォールは、これらの両端に位置する側部の合せ目で合わされ、底部730の周囲に接合されている。または代替的に、ジムサック700は、柔軟なシート材料を筒状にして形成することができ、底部730の周囲にのみ継ぎ目を有して(すなわち、ウォール部分に継ぎ目を有しない)、柔軟なシート材料の筒状のピースの下端と底部とを接合する。
【0032】
本発明を特定の実施例を参照しながら説明してきたが、すべての点において、本発明を制限するというより例示することを意図している。本発明の範囲を逸脱することなく、本発明を別の用途に用いることができる。
【0033】
以上より、本発明は上記目標および目的を達成するよう適合されたものであり、当該システムおよび方法に自明かつ固有である他の利点も有する。本発明の特定の特徴およびサブコンビネーションが有用なものであり、他の特徴およびサブコンビネーションを参照することなく採用することができることは、言うまでもない。これは特許請求の範囲の意図するところであり、かつ技術的範囲に含まれるものである。