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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のお好み焼き100の製造方法を、広島風のお好み焼きを製造する本実施形態に基づいて説明する。本実施形態によるお好み焼き100の製造方法は、複数の調理器具が複数のコンロの上を循環して移動することにより、格別な調理器具を用いることなく、品質の整ったお好み焼きを容易に製造する。
ここで、お好み焼き100とは、小麦粉と水を主体として調整されたバッター液(21)と、具材と、により製造されるものであり、広島風のお好み焼きは、バッター液(21)と具材を混合しないで焼き上げる。より具体的には、バッター液(21)を焼いて生地を作り、この生地と具材を合わせて焼き上げる。ちなみに、大阪風のお好み焼きは、バッター液(21)と具材を混合して焼き上げる。
以下、本実施形態のお好み焼き100に用いられる具材について説明し、その後に本実施形態によるお好み焼き100の製造方法について説明する。
【0013】
[具材]
本実施形態おける具材は、主具材、副具材及び任意具材の三種類を含む。
[主具材]
主具材としては、キャベツおよび麺が掲げられる。キャベツは生のものをあらかじめ千切りして用意される。麺も炒めるなどして調理が施されているものが用いられる。
【0014】
[副具材]
副具材は、後述する本実施形態の製造方法によってお好み焼きを製造する過程で、お好み焼きの形状を保持し易くするために加えられる。副具材は、具体的には、チーズ、薄膜状の昆布及び薄切りされた畜肉が挙げられる。
本実施形態におけるチーズは、一定温度以上に加熱することによって糸引き性を発現するものが使用される。チーズの種類は、糸引き性を有するものであれば種類は問わず、ナチュラルチーズ、プロセスチーズなどを用いることができる。また、一種類のみを単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態に用いられるチーズは、作業効率の点から、シュレットチーズと言われている、細かく切られたものが好ましい。
【0015】
薄膜状の昆布は、削り昆布の一種であり、互いに絡み合って塊状状態となり易いものが好ましい。例えば、とろろ昆布や、おぼろ昆布が挙げられる。
スライスされる畜肉としては、豚肉の他に、牛肉、馬肉、羊肉等が挙げられる。中でも、入手の容易性及び価格の点から豚肉が好ましい。これらの畜肉は、食べ応えや食感等を考慮して、所望の厚さに薄くスライスされる。
【0016】
[任意具材]
任意具材は、後述する成型工程において、薄膜状の生地23と接していない側から具材がばらばらに形崩れするのを防ぐために加えられる。
任意具材として、バッター液21と家禽卵が用いられる。家禽卵としては、例えば、鶏、家鴨、鶉等の卵が挙げられる。中でも、入手の容易性の点から、鶏卵が好ましい。鶏卵は、その全卵が用いられてもよく、卵白又は卵黄の一方のみが用いられてもよい。また、卵の中身をかき混ぜて溶いた、いわゆる溶き卵の状態で使用してもよく、卵の卵黄部と卵白部が形成されている状態のまま使用してもよい。
【0017】
以上の副具材や任意具材の他に、青ねぎ、白ねぎ、揚げ玉等の通常お好み焼きに用いられる具材も用いることもできる。なお、揚げ玉とは、てんぷらの揚げかすのことであり、大きさや形状を問わずに、本実施形態に用いることができる。
また、一般にお好み焼きに用いられている調味料をその種類を問わずに加えることができ、例えば、かつお節、コンブ、煮干し等の天然調味料、化学調味料を用いることができる。これらの調味料は、エキス、粉末など形態は任意である。
【0018】
本実施形態において、主具材、副具材及び任意具材の量は、お好み焼きの大きさ、嗜好により定めることができる。また、その他に、具材の刻み方、麺の炒め方、調味料の量なども、適宜設定することができる。
【0019】
[お好み焼きの製造方法]
以下、添付図面を参照しながら、本実施形態によるお好み焼きの製造方法について説明する。
本実施形態によるお好み焼きの製造方法は、
図3に示すように、事前準備I及び事前準備IIと、事前準備I及び事前準備IIの後に行われるお好み焼きの作成工程と、を有する。お好み焼きの作成工程は、
図3に示すように、(a)第一積層工程、(b)加熱工程、(c)上下逆転工程、(d)加熱工程、(e)第2積層工程、(f)加熱工程、(g)取出工程及び(h)成型工程に区分される。
本実施形態は、事前準備II及び(a)〜(h)工程を、
図2(a)に示すように、3つのフライパン10A,10B,10Cを、7口のコンロ30のうちの3つの加熱バーナで循環させることにより、格別な調理器具を用いることなく、品質の整ったお好み焼きを容易に製造する。
本実施形態において、コンロ30は、
図2(a)に示すように、第一列L1に4カ所と第二列L2に3カ所の、合わせて7カ所に加熱バーナを備えている。このうちで、第一列L1の左端の第一バーナ30Aと、第二列L2の中央の第二バーナ30B及び向かって右側の第三バーナ30Cが使用される。
【0020】
本実施形態は、
図1(b)に示すように、加熱用の調理器具として一般的なフライパン10を用いる。フライパン10は、お好み焼きを調理するパン本体13と、パン本体13と連結される、調理者が調理中に掴む取手12と、を有する。
パン本体13は、平面形状が円形の加熱板14と、加熱板14の周縁から環状に立ち上がる側壁15と、を有している。
本実施形態は、
図2(a)に示すように、調理器具としてフライパン10A〜10Cを用いる。本実施形態のお好み焼きの製造方法を始める時点で、フライパン10A〜10Cは点火されている第一バーナ30A、第二バーナ30B及び第三バーナ30Cに置かれ、加熱されている。具体的には、
図2(b)に示すように、第一バーナ30Aには第一フライパン10Aが、第二バーナ30Bには第二フライパン10Bが、また、第三バーナ30Cには第三フライパン10Cが置かれている。
なお、フライパン10A〜10Cを区別しない場合には、単にフライパン10ということがある。第一バーナ30A〜第三バーナ30Cについても同様である。
【0021】
なお、本実施形態では、3つのお好み焼きを連続的に作成する例を説明するが、本発明の製造方法は4つ以上のお好み焼きを作成する場合にも適用できる。
【0022】
[事前準備I]
事前準備Iとして、
図1(a)に示すように、お好み焼き100の具材の一部が平皿50の上に積み重ねられた具材積層体60を用意する。
平皿50は、フライパン10A〜10Cの加熱板14よりも直径が小さいものが用意されており、平皿50の具材積層体60が載っている面と加熱板14により具材積層体60をはさむことができるようになっている。
それにより、後述するように、(c)上下逆転工程において、具材の順番が崩れるのを防止できる。
【0023】
具材は、平皿50の側、つまり下から、調理済みの麺、千切りした生キャベツの順に積層される。さらに生キャベツの上に、
副具材であるチーズ、薄膜状の昆布としてとろろ昆布及びスライスされた豚肉がこの順に積層される。
チーズ及びとろろ昆布は、生キャベツの上に均等に載せられる。豚肉は、とろろ昆布をある程度覆うことができるように、適宜、とろろ昆布の上に載せる枚数を変えたり、ある程度面積の広いものを選択して載せたりすることができる。
そして最後に豚肉の上にバッター液21をかける。バッター液21の量は、事前準備IIで用いる量よりも少ない。
副具材を上記の順番に積層させているので、後述する上下逆転工程を行う際に具材積層体60の積層状態(形)が崩れるのを防ぐことができる。
【0024】
[事前準備II]
一方、事前準備IIとして、バッター液21を焼き上げることで、薄膜状の生地23を作成する。
事前準備IIは、
図4(II−1)に示すように、バッター液21を所望の形状に形成させる(II−1)工程と、
図4(II−2)に示すように、バッター液21を焼いて生地23を得る(II−2)工程と、を有する。
(II−1)工程は、フライパン10のパン本体13にバッター液21を所定の量だけ滴下させてから(
図4 II−1−1)、フライパン10を前後左右に揺らしてバッター液21を薄く伸ばす(
図4 II−1−2)。これにより、滴下されたバッター液21が所望の大きさで薄膜状に形成される。フライパン10を振ることによりバッター液21を伸ばすことができるので、鉄板を使用した場合よりも簡単に薄膜状に形成させることができる。
その後、(II−2)工程において、所定時間だけ加熱を維持する。
【0025】
この事前準備IIは、第一バーナ30Aに置かれた第一フライパン10Aにて(II−1)工程を実行し(
図9 時系列1)、次いで、第一フライパン10Aを第三バーナ30Cに移動させて(II−2)工程を行う(
図4 II−2−1、
図9 時系列2)。
【0026】
一方、第一フライパン10Aを、第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第二フライパン10Bを第一バーナ30Aに移動させ、また、第三フライパン10Cを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列2)。そして、第二フライパン10Bにおいて、第一フライパン10Aの時と同様に(II−1)工程が行われる。
そして、この(II−1)工程の後に、第二フライパン10Bを第三バーナ30Cに移動させて、第二フライパン10Bを(II−2)工程に移行させる(
図9 時系列3)。
第二フライパン10Bを第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第三フライパン10Cを第一バーナ30Aに移動させ、また、第一フライパン10Aを第二バーナ30Bに移動させる(
図4 II−2−2、
図9 時系列3)。
第一バーナ30Aに移動した第三フライパン10Cについて、第一フライパン10Aの時と同様に(II−1)工程が行われ、(II−1)工程の後に、第三フライパン10Cを第三バーナ30Cに移動させて、第三フライパン10Cを(II−2)工程に移行させる(
図9 時系列4)。
第三フライパン10Cを第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第一フライパン10Aを第一バーナ30Aに移動させ、また、第二フライパン10Bを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列4)。
【0027】
つまり、第一フライパン10Aは、(II−1)工程が第一バーナ30Aで行われた後に、
図2(b)の白抜きの矢印のように、第三バーナ30C、第二バーナ30Bと移動しつつ(II−2)工程が行われ、再び第一バーナ30Aに戻るというローテーションが行われる。同様に、第二フライパン10Bは、(II−1)工程が第一バーナ30Aで行われた後に、第三バーナ30C、第二バーナ30Bと移動しつつ(II−2)工程が行われ、再び第一バーナ30Aに戻るというローテーションが行われる(
図9 時系列2〜5)。第三フライパン10Cについても同様である(
図9 時系列3〜6)。
【0028】
そして、第一バーナ30Aに移動させた第一フライパン10Aから、バッター液21が焼き上がることに形成された薄膜状の生地23を取り出す(
図4 II−2−3)。
【0029】
以上では事前準備I及び事前準備IIの順で説明したが、本発明においてこの順番は任意であり、事前準備IIを先行して行ってもよいし、両者を同時に行ってもよい。また、事前準備IIは、以後の工程を行うコンロ30を用いて行ったが、他のコンロを用いて生地23を作成してもよい。
【0030】
[第一積層工程・加熱工程]
事前準備IIの後に、
図3に示すように、(a)第一積層工程及び(b)加熱工程が順に行われる。(a)第一積層工程は、具材積層体60及び生地23を積み重ねてフライパン10に収容する工程である。この工程が始まるときには、第一フライパン10Aは第一バーナ30Aに配置されている(
図9 時系列4)。
(a)第一積層工程は、
図5(a)に示すように、第一バーナ30Aから引き上げられた第一フライパン10Aを上下逆転させる一方、平皿50に載せられている具材積層体60を第一フライパン10Aの中に入れて、具材積層体60を平皿50と第一フライパン10Aの加熱板14とで挟む(
図5 a−1)。このままの状態で第一フライパン10A及び平皿50を一緒に上下逆転させる(
図5 a−2)。これにより、第一フライパン10Aの加熱板14の上に、積層の順番が維持された具材積層体60を載せることができる。
【0031】
次いで、第一フライパン10Aを第一バーナ30Aの上に戻し、平皿50を具材積層体60から取り除く(
図5 a−3)。その後、第一フライパン10Aの加熱板14に載せられた具材積層体60の上に、取り出しておいた生地23を載せる(
図5 a−4,a−5)。
次いで、第一フライパン10Aを、第三バーナ30Cに移動させて、第一フライパン10Aを(b)加熱工程に移行させる(
図5 b−1、
図9 時系列5)。(b)加熱工程において、具材積層体60及び生地23は、第一フライパン10Aを介して加熱される。後述する、(d)加熱工程及び(f)加熱工程においても同様である。
【0032】
一方、第一フライパン10Aを、第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第二フライパン10Bを第一バーナ30Aに移動させ、また、第三フライパン10Cを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列5)。そして、第二フライパン10Bにおいて、第一フライパン10Aの時と同様に、生地23を取り出した後に、(a)第一積層工程が行われる。
そして、(a)第一積層工程の後、第二フライパン10Bを第三バーナ30Cに移動させて、第二フライパン10Bを(b)加熱工程に移行させる(
図9 時系列6)。
【0033】
第二フライパン10Bを第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第三フライパン10Cを第一バーナ30Aに移動させ、また、第一フライパン10Aを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列6)。
第一バーナ30Aに移動した第三フライパン10Cにおいても、第一フライパン10Aの時と同様に、生地23を取り出した後、(a)第一積層工程が行われ、(a)第一積層工程の後に、第三フライパン10Cを第三バーナ30Cに移動させて、第三フライパン10Cを(b)加熱工程に移行させる(
図9 時系列7)。
第三フライパン10Cを第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第一フライパン10Aを第一バーナ30Aに移動させて、第二フライパン10Bを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列7)。
【0034】
第一バーナ30Aに移動させた第一フライパン10Aの中には、生地23と具材積層体60とからなる半完成品80が形成されている。
【0035】
[上下逆転工程・加熱工程]
次に、(c)上下逆転工程及び(d)加熱工程が順に行われる。(c)上下逆転工程は、具材積層体60と生地23の上下の位置を逆転させて、生地23を下に、具材積層体60を上に置き換える工程である。
はじめに、再び第一バーナ30Aに戻された第一フライパン10Aについて説明し、次いで、第二フライパン10B、第三フライパン10Cに言及する。
図6(c)に示すように、抑え蓋である蓋70Aを第一フライパン10Aの側壁15の上に置いて、第一フライパン10Aの内部を塞ぐ(
図6 c−1)。
(c)上下逆転工程においては、第一フライパン10Aのパン本体13が高温になっているので、調理者が側壁15に触れて火傷をする虞があるが、第一フライパン10Aの内部が塞がれているので、調理者が側壁15の内面に触れにくくなっている。
【0036】
第一フライパン10Aの開口部16を蓋70Aで塞いだままで、第一フライパン10Aと蓋70Aを上下逆転させる(
図6 c−2)。これにより、蓋70Aの上の具材積層体60と生地23からなる半完成品80は、(b)加熱工程の時とは上下が逆転して、生地23が下に、また、具材積層体60が上に移動する。
そして、第一フライパン10Aを第一バーナ30Aの上に戻す(
図6 c−3)。第一フライパン10Aは加熱されている状態を維持できるので、後述する(d)加熱工程に速やかに移行することができる。
次に、蓋70Aの上に載っている半完成品80の上に蓋70Bを置いて、半完成品80を蓋70Aと蓋70Bで挟む(
図6 c−4)。
【0037】
次いで、蓋70Aと蓋70Bを、半完成品80を挟んだままで、上下を逆転させる(
図6 c−5)。上側に移動した蓋70
Aを半完成品80から取り除いてから(
図6 c−6)、第一フライパン10Aを、側壁15が蓋70Bの表面に当たるように被せる(
図6 c−7,c−8)。その後、第一フライパン10Aと蓋70Bの上下を逆転させる(
図6 c−9)。
以上の手順からなる(c)上下逆転工程により、半完成品80は、第一フライパン10Aの中に、(b)加熱工程の時とは上下が逆転して入っている。つまり、生地23が下に、具材積層体60が上に配置している。
蓋70Bを取り除いてから(
図6 c−10)、第一フライパン10Aを第三バーナ30Cに移動させて、第一フライパン10Aを(d)加熱工程に移行させる(
図6 d−1、
図9 時系列8)。
【0038】
一方、第一フライパン10Aを、第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第二フライパン10Bを第一バーナ30Aに移動させて、第三フライパン10Cを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列8)。そして、第二フライパン10Bにおいて、第一フライパン10Aの時と同様に(c)上下逆転工程が行われる。
そして、(c)上下逆転工程の後、第二フライパン10Bを第三バーナ30Cに移動させて、第二フライパン10Bを(d)加熱工程に移行させる(
図9 時系列9)。
第二フライパン10Bを第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第三フライパン10Cを第一バーナ30Aに移動させて、第一フライパン10Aを第二バーナ30Bに移動させる(
図6 d−2、
図9 時系列9)。
【0039】
また、第一バーナ30Aに移動した第三フライパン10Cにおいても、第一フライパン10Aの時と同様に(c)上下逆転工程が行われ、(c)上下逆転工程の後に、第三フライパン10Cを第三バーナ30Cに移動させて、第三フライパン10Cを(d)加熱工程に移行させる(
図9 時系列10)。
第三フライパン10Cを第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第一フライパン10Aを第一バーナ30Aに移動させて、第二フライパン10Bを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列10)。
【0040】
[上下逆転工程の実施回数判定]
そして、再び第一バーナ30Aに配置された第一フライパン10Aは、所定の回数、例えば1〜2回だけ、再び(c)上下逆転工程及び(d)加熱工程が繰り返される。
具体的には、第一フライパン10Aは、(c)上下逆転工程に用いられた回数が、未だ所定の回数になっていない場合は(
図3 (c)工程の実施回数判定 No)、再び上述したように(c)上下逆転工程及び(d)加熱工程に供される(
図9 時系列7〜9)。
第二フライパン10Bにおいても、第一フライパン10Aと同様に、所定の回数だけ、上述したように(c)上下逆転工程及び(d)加熱工程に供される(
図9 時系列8〜10)。第三フライパン10Cにおいても同様である(
図9 時系列9〜11)。
【0041】
第一フライパン10Aが(c)上下逆転工程に所定の回数だけ用いられた場合は(図
3 (c)工程の実施回数判定 Yes)、後述する(e)第二積層工程に移行する。第二フライパン10B及び第三フライパン10Cにおいても同様である。
【0042】
[第二積層工程・加熱工程]
次に、(e)第二積層工程及び(f)加熱工程が順に行われる。(e)第二積層工程は、具材積層体60及び生地23からなる半完成品80と溶き卵の状態にした卵25とを積層する工程である。
はじめに、第一バーナ30Aに戻された第一フライパン10Aについて説明し、次いで、第二フライパン10B、第三フライパン10Cに言及する。
図7(e)に示すように、蓋70Aを第一フライパン10Aの側壁15の上に置いて、第一フライパン10Aの内部を塞ぐ。そのままで第一バーナ30Aから引き上げた後に、第一フライパン10Aと蓋70Aを上下逆転させる(
図7 e−1,e−2)。上側に移動した第一フライパン10Aを、第一バーナ30Aの上に戻す(
図7 e−3)。
そして、第一フライパン10Aの中に卵25を入れてから、第一フライパン10Aを前後左右に振ることで卵25を薄膜状に焼き上げる(
図7 e−4)。
【0043】
一方、蓋70Aの上に載っている半完成品80の上に蓋70Bを置いて、半完成品80を蓋70Aと蓋70Bで挟む(
図7 e−5,e−6)。
そして、蓋70Aと蓋70Bを、半完成品80を挟んだままで、上下を逆転させる。半完成品80は生地23が上側に位置するようになる。上側に位置するようになる蓋70Aを外すと、蓋70Bの上で半完成品80は横滑り可能になる(
図7 e−7)。そして、半完成品80を横滑りさせて、卵25が薄膜状に形成されている第一フライパン10Aの中に入れる(
図7 e−8)。
それにより、第一フライパン10Aの中で、生地23が上に、具材積層体60が下に位置する半完成品80と卵25が積層されている(
図7 e−9)。
【0044】
半完成品80が収容された第一フライパン10Aを、第三バーナ30Cに移動させて、第一フライパン10Aを(f)加熱工程に移行させる(
図6 f−1、
図9 時系列11)。
【0045】
一方、第一フライパン10Aを、第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第二フライパン10Bを第一バーナ30Aに移動させて、第三フライパン10Cを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列11)。そして、第二フライパン10Bにおいて、第一フライパン10Aの時と同様に(e)第二積層工程が行われる。
そして、(e)第二積層工程の後、第二フライパン10Bを第三バーナ30Cに移動させて、第二フライパン10Bを(f)加熱工程に移行させる(
図9 時系列12)。
第二フライパン10Bを第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第三フライパン10Cを第一バーナ30Aに移動させて、第一フライパン10Aを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列12)。
【0046】
また、第一バーナ30Aに移動した第三フライパン10Cにおいても、第一フライパン10Aの時と同様に(e)第二積層工程が行われ、(e)第二積層工程の後に、第三フライパン10Cを第三バーナ30Cに移動させて、第三フライパン10Cを(f)加熱工程に移行させる(
図9 時系列13)。
第三フライパン10Cを第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第一フライパン10Aを第一バーナ30Aに移動させて、第二フライパン10Bを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列13)。
【0047】
[取出工程]
次に、(g)取出工程が行われる。(g)取出工程は、フライパン10の中に形成されている完成したお好み焼き100を、フライパン10から取り出す工程である。
はじめに、第一バーナ30Aに戻された第一フライパン10Aについて説明し、次いで、第二フライパン10B、第三フライパン10Cに言及する。
図8(g)に示すように、蓋70Aを第一フライパン10Aの側壁15の上に置いて、第一フライパン10Aの内部を塞ぐ。そのままで第一バーナ30Aから引き上げた後に、第一フライパン10Aと蓋70Aを上下逆転させる(
図8 g−1,g−2)。上側に移動した第一フライパン10Aを、第一バーナ30Aの上に戻す(
図8 g−3)。蓋70Aの上に載っているお好み焼きを横方向に移動させて、平皿50に移動させる(
図8 g−4,5)。
その後、第一フライパン10Aを第三バーナ30Cに移動させるのに伴って、第二フライパン10Bを第一バーナ30Aに移動させて、第三フライパン10Cを第二バーナ30Bに移動させる(
図9 時系列14)。
第二フライパン10Bにおいても、同様に(g)取出工程を行う。その後、第二フライパン10
Bを第三バーナ30Cに移動させて、第一フライパン10Aを第二バーナ30Bに移動させて、第三フライパン10Cを第一バーナ30Aに移動させる(
図9 時系列15)。
第三フライパン10Cにおいても、同様に(g)取出工程を行う。その後、第三フライパン10Cを第三バーナ30Cに移動させて、第一フライパン10Aを第一バーナ30Aに移動させて、第二フライパン10Bを第二バーナ30Bに移動させる。
これにより、第一バーナ30A、第二フライパン10B及び第三フライパン10Cは、上述した事前準備IIを始める際の配置に戻る(
図9 時系列1)。そのため、上述した事前準備IIから取出工程までを、再び実施することができる。
【0048】
[成型工程]
次に、上述した(g)取出工程により、各々の平皿50に載せられたお好み焼き100について(
h)成型工程が行われる。(
h)成型工程は、略同じ形状になっているお好み焼き100の形状をさらに整えて、各々のお好み焼き100の形状を均一にする工程である。
図8(h)に示すように、平皿50に載せられたお好み焼き100の上から、上下逆転させた成形用の容器90を被せる(
図8 h−1)。
【0049】
容器90は、平板状の底面91とその底面91から垂直に立ち上がっている壁部92を有する。容器90の底面91の直径は、成形後のお好み焼き100の直径をどの程度にするかにより適宜決めることができるが、少なくとも、お好み焼きを押し込めば入る程度の直径が必要である。壁部92の高さは、お好み焼きの高さよりも高い。
【0050】
平皿50に載せられたお好み焼き100の上に容器90を被せた状態で、平皿50及び容器90を上下逆転させる(
図8 h−2)。上下逆転したことのより、上側に位置する平皿50を取り除く(
図8 h−3)。お好み焼き100は、生地60が上側に位置している。生地23や卵25が容器90からはみ出ている場合には、そのはみ出ている部分を容器90の中に入れる。
【0051】
[お好み焼き100]
成形されたお好み焼き100は、容量、形ともに均一化されている。そのため、容量、形ともに均一化されているので、同じ条件で冷凍保存することができ、加熱することができる。そのため、作業効率を向上させることができる。
また、容量、形が均一化されているので、個々のお好み焼き100の味や食感が均一になっている。味や食感が均一になっているのは、冷凍保存した後に、電子レンジで再加熱した後も同様であり、同じ品質のお好み焼き100を安定供給できる。
【0052】
[効果]
以下、本実施形態における効果について説明する。
本実施形態は、従来のように鉄板を用いるのではなく、入手の容易性及び価格の点から用意しやすい、フライパン10等の、調理者が持って取り扱うことができる加熱用の調理器具を用いて、行うことができる。
また、生地23を、調理器具を振ることにより作ることができるので、鉄板で行う場合には熟練の技術が必要となるバッター液21を薄く伸ばす工程を簡単に行うことができる。
さらに、調理器具を振るだけで、焼き上がった生地23をフライパン10から剥がすことができるので、生地23を容易に用意することができる。
加えて、熟練した技術が必要となる半完成品の上下を逆転させる工程も、調理器具の上下を逆転させることにより行うことができるので、コテを使うのに比べて、具材積層体60と生地23に型崩れを起こさせることなく、容易に行うことができる。
そのため、一般に作るのが困難である広島風お好み焼きを容易に作ることができるので、農業従事者が六次産業に参入するのを後押しすることができる。
【0053】
上述した効果は、複数の加熱バーナを同時に使っていることにより、さらに得られる。
つまり、加熱バーナのうちの一つが、調理者が作業を行う作業対象バーナとして用いられて(本実施形態では第一バーナ30A)、他の加熱バーナが加熱工程に用いられているので(本実施形態では第二バーナ30B、第三バーナ30C)、一巡して手前に戻ってきた調理器にあるお好み焼きは、ちょうど次の工程に移行するのに適した状態になっているので、誰でも容易に同じお好み焼きを作ることができる。
また、作業対象バーナを特定するので、調理者は作業対象バーナから移動しなくてもよい。そのため、調理者は、同じ場所で同じ作業で調理することができるので、作業効率を向上させることができる。
さらに、第二バーナ30B、第三バーナ30Cとして第二列L2を構成している加熱バーナを使用しているので、一つのフライパンで作業しているときに、他のフライパンの取っ手が邪魔にならないように、フライパンが加熱された状態を維持したまま、フライパンの位置を変えることができる。
そのため、一般に作るのが困難である広島風お好み焼きを容易に大量生産することができる。
【0054】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0055】
本実施形態では、事前準備IIで作製した生地23を直ぐに使用したが、所定のサイズで前もって作製しておいてもよい。また、その生地23を、使用するまで、冷蔵、冷凍保存しておいてもよい。
【0056】
本実施形態の(b)加熱工程に移行する前に、フライパン10の中の積層物を押えつける工程を設けてもよい。それにより、フライパン10の中の積層物をより一体化させることができる。(d)加熱工程及び(f)加熱工程に移行する前においても同様である。
【0057】
バッター液には、アマランサス(学名:Amaranthus)等の雑穀が用いられていてもよい。それにより、穀類栽培を行っている農業従事者の六次産業への参入を、より後押しすることができる。
【0058】
調理器具は、具材を載せる面に防汚処理がされていてもよい。例えば、フライパン10に、パン本体13の上面にフッ素樹脂コーティングが施されていてもよい。それにより、調理の際にフライパン10に塗る油の量を少なくすることができるので、調理中に油が空気中に飛散するのを防ぐことができる。それにより、コンロ30の他に、調理している場所に設けられている換気扇のフード部分や調理台を、飛散した油で汚さなくても済むので、調理室の衛生状態を容易に維持することができる。他の調理器具においても同様である。
また、本発明では、コテを使用しなくてもお好み焼き100を製造できるので、フッ素樹脂コーティングされたフライパン10を、その表面も傷つけることなく長期に渡り使用することができる。
【解決手段】本発明の製造方法は、お好み焼きの具材と生地とを重ねて調理器具(フライパン10)に収容する第一ステップと、調理器具を介して具材と生地とを加熱する第二ステップと、具材と生地の上下を逆転させる第三ステップと、調理器具を介して、上下が逆転された具材と生地を加熱する第四ステップと、を備えるお好み焼きの製造方法であって、調理者が持って取り扱うことができる複数の調理器具(第一フライパン10A〜第三フライパン10C)と、調理器具に対応する複数の加熱バーナ(第一バーナ30A〜第三バーナ30C)と、を用い、調理の段階に応じて、複数の加熱バーナにおいて調理器具を循環させる、ことを特徴とする。