(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動装置は、圧力媒体が供給されることで往復運動する可動体と、前記可動体の往復運動を回転運動に変換して前記制御カムに伝達する変換伝達部と、を備える、請求項1〜3の何れか1項に記載の弁装置。
前記変換伝達部は、前記可動体に固定されるラックと、前記ラックと噛合することで回転するピニオンと、前記ピニオンの回転トルクのうち第1回転方向のみの回転トルクを前記制御カムに伝達するクラッチと、を備える、請求項4に記載の弁装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、弁装置及びシール装置における一実施形態について、
図1〜
図8を参酌して説明する。なお、各図(
図9〜
図14も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るシール装置1は、対象物を挟んでシールする一対のシール部1a,1bと、第1シール部1aを動作させる動作部1cと、内部に各構成を収容する筐体1dとを備えている。なお、
図1に図示していないが、シール装置1は、筐体1dの内部に、第1シール部1aの動作等を制御する弁装置2を備えている。
【0016】
そして、シール装置1は、第2シール部1bの内部に蒸気(加熱媒体)を供給するための蒸気供給部1eと、第2シール部1bの内部や各構成(例えば、弁装置2)に圧縮エア(冷却媒体、圧力媒体)を供給するためのエア供給部1fと、第2シール部1bの内部から各媒体を排出するための排出部1gとを備えている。また、シール装置1は、一対のシール部1a,1bでシールする際の加熱時間を設定するタイマ1hと、第2シール部1bの温度を検出して表示する温度計1iとを備えている。
【0017】
図2に示すように、弁装置2は、開閉する複数の弁3と、電気が供給されることなく、弁3を制御する制御装置4とを備えている。制御装置4は、外周に凹凸形状を有する回転可能な複数の制御カム5と、圧力媒体が供給されることで制御カム5を回転させる駆動装置6とを備えている。
【0018】
弁3は、媒体(例えば、圧縮エア)が入るための入口部3aと、開放した際に、該媒体が出るための出口部3bとを備えている。また、弁3は、スイッチ部3cを備えている。そして、弁3は、該スイッチ部3cが動作することで、開閉する。具体的には、弁3は、電気が供給されることなく、動作するメカニカルバルブである。
【0019】
そして、弁3は、制御カム5が回転することで開閉するように、スイッチ部3cが制御カム5の外周部に接するように配置されている。なお、スイッチ部3cは、常に、制御カム5の外周部に接する構成に限られず、例えば、接すること及び離れることを繰り返す構成でもよい。即ち、弁3が開放する際(又は閉塞する際)のみに、スイッチ部3cは、制御カム5の外周部に接する構成でもよい。
【0020】
なお、複数の弁3は、例えば、第2シール部1bに加熱媒体(蒸気)や冷却媒体(圧縮エア)を供給するために、開閉する熱媒体用弁を備えている。また、複数の弁3は、例えば、動作部1cに圧力媒体(圧縮エア)を供給するために、開閉する圧力媒体用弁を備えている。
【0021】
駆動装置6は、本体7a,8aに対して可動する可動体7b,8bを有する第1及び第2シリンダ7,8を備えている。また、駆動装置6は、第1及び第2シリンダ7,8の往復直線運動を回転運動に変換して制御カム5に伝達する変換伝達部9と、第1及び第2シリンダ7,8に対して抗力を与える抵抗体10とを備えている。
【0022】
本実施形態においては、第1及び第2シリンダ7,8は、圧力媒体が圧縮エアであるエアシリンダを二つ備えているが、斯かる構成に限られない。例えば、シリンダは、圧力媒体が油である油圧シリンダである、という構成でもよく、また、例えば、シリンダは、一つ備えられている、という構成でもよい。
【0023】
変換伝達部9は、第2可動体8bに固定される長尺な直線状のラック11と、外周部がラック11の側面と噛合することで回転するピニオン12と、ピニオン12の回転トルクのうち第1回転方向D4のみの回転トルクを制御カム5に伝達するクラッチ13とを備えている。また、本実施形態においては、抵抗体10は、弦巻バネとしているが、斯かる構成に限られない。例えば、抵抗体10は、ロータリーダンパーでもよい。
【0024】
ここで、駆動装置6の動作について説明する。まず、
図3に示すように、第1及び第2シリンダ7,8が前回の往復運動を終えた際には、第1可動体7bの大部分は、第1本体7aの外に配置されており、第2可動体8bの大部分は、第2本体8aの中に配置されている。
【0025】
そして、第1及び第2本体7a,8aにそれぞれ圧力媒体が供給されることで、
図4に示すように、第1可動体7bが第1本体7aの中に入るように動き、第2可動体8bが第2本体8aから外に出るように動く。このとき、第2シリンダ8は、第1シリンダ7に対して移動している。これにより、第2可動体8bが、第1本体7aに対して直線の往路運動をする(第1方向D1の矢印方向(
図3及び
図4のおいては、左方向)に移動する)。
【0026】
それに伴って、ラック11が第2可動体8bと共に直線運動をし、ピニオン12がラック11と噛合することで第1回転方向D4に回転運動する。そして、クラッチ13がピニオン12の第1回転方向D4の回転トルクを制御カム5に伝達するため、制御カム5は、第1回転方向D4に回転する。
【0027】
ところで、制御カム5の外周部が凹凸形状であり、また、複数の制御カム5の外周部の凹凸形状もそれぞれ異なるため、複数の制御カム5を一体に回転させるために必要な回転トルクは、回転する位置で変化する。そして、該回転トルクの変化は、変換伝達部9を経由して、第2可動体8bに伝達され、第2可動体8bの抗力となる。これにより、第1及び第2シリンダ7,8に同じ量の圧力媒体が供給され続けても、第2可動体8bの移動速度が変化することになる。
【0028】
そこで、抵抗体10は、伸びるように弾性変形するため、第2可動体8bが往路運動する際に、第2可動体8bに対して抗力を与えている。そして、該抗力は、該回転トルクよりも、大きく設定されている。例えば、該抗力は、該回転トルクの2倍以上であり、好ましくは、5倍以上であり、さらに好ましくは、10倍以上である。
【0029】
これにより、該回転トルクの変化が、該抗力に対して小さいため、第2可動体8bに対する抗力は、略一定となる。したがって、第1及び第2シリンダ7,8に同じ量の圧力媒体が供給され続けることで、第2可動体8bの移動速度は、略一定となる。その結果、ラック11の移動速度、ピニオン12の回転速度、及び制御カム5の回転速度も、略一定となる。
【0030】
その後、第1及び第2本体7a,8aからそれぞれ圧力媒体が排出されると、抵抗体10が第2可動体8bに抗力を与えているため、
図3に示すように、第1可動体7bが第1本体7aから外に出るように動き、第2可動体8bが第2本体8aの中に入るように動く。これにより、第2可動体8bは、第1本体7aに対して直線の復路運動をする(第1方向D1の矢印方向と反対方向(
図3及び
図4においては、右方向)に移動する)。
【0031】
それに伴って、ラック11が第2可動体8bと共に直線運動をし、ピニオン12がラック11と噛合することで第2回転方向D5に回転運動す
る。しかしながら、クラッチ13は、ピニオン12の第2回転方向D5の回転トルクを制御カム5に伝達しない。これにより、制御カム5は、回転しない。
【0032】
このように、第1及び第2本体7a,8aにそれぞれ圧力媒体が供給されることで、第2可動体8bは、第1本体7aに対して往復運動する。そして、変換伝達部9は、第2可動体8bの往路運動を第1回転方向D4の回転運動に変換して制御カム5に伝達する一方、第2可動体8bの復路運動を制御カム5に伝達しない。
【0033】
ここで、クラッチ13の構造について説明する。
図5に示すように、クラッチ13は、環状の外転体13aと、外転体13aの内部に配置される内転体13bと、外転体13a及び内転体13b間の回転トルクの伝達と当該伝達の遮断を行うクラッチ部13cとを備えている。本実施形態においては、クラッチ13は、ワンウェイクラッチとしている。
【0034】
外転体13aは、複数の制御カム5に固定されており、複数の制御カム5と一体となって同じ軸線を中心に回転する。そして、内転体13bは、軸状に形成され、端部がピニオン12に固定されており、ピニオン12と一体となって同じ軸線を中心に回転する。また、本実施形態においては、クラッチ部13cは、クラッチローラ(スチールボール)13d及びスプリング13eを有するカム式としているが、例えば、スプラグ式でもよい。
【0035】
そして、内転体13bの第1回転方向D4の回転速度が外転体13aの当該速度よりも大きい場合に、クラッチ部13cは、外転体13a及び内転体13b間の回転トルクを伝達する。また、外転体13aの第2回転方向D5の回転速度が内転体13bの当該速度よりも大きい場合に、クラッチ部13cは、外転体13a及び内転体13b間の回転トルクを伝達する。
【0036】
反対に、内転体13bの第2回転方向D5の回転速度が外転体13aの当該速度よりも大きい場合に、クラッチ部13cは、外転体13a及び内転体13b間の回転トルクの伝達を遮断する。また、外転体13aの第1回転方向D4の回転速度が内転体13bの当該速度よりも大きい場合に、クラッチ部13cは、外転体13a及び内転体13b間の回転トルクの伝達を遮断する。
【0037】
そこで、第2可動体8b及びラック11が往路運動した際には、ピニオン12及び内転体13bが第1回転方向D4に回転する。これにより、内転体13bの第1回転方向D4の回転速度が、停止している外転体13aの当該速度よりも大きくなるため、内転体13bの回転トルクは、クラッチ部13cにより、外転体13aに伝達される。その結果、外転体13aが第1回転方向D4に回転するため、制御カム5は、外転体13dと一体となって第1回転方向D4に回転する。
【0038】
反対に、第2可動体8b及びラック11が復路運動した際には、ピニオン12及び内転体13bが第2回転方向D5に回転する。これにより、内転体13bの第2回転方向D5の回転速度が、停止している外転体13aの当該速度よりも大きくなるため、内転体13bの回転トルクは、クラッチ部13cにより、外転体13aに伝達されない。その結果、外転体13a及び制御カム5は、回転しない。
【0039】
このように、第2可動体8b及びラック11が往路運動し、ピニオン12が第1回転方向D4に回転した際には、クラッチ13は、制御カム5に第1回転方向D4の回転トルクを伝達する。一方、第2可動体8b及びラック11が復路運動し、ピニオン12が第2回転方向D5に回転した際には、クラッチ13は、制御カム5に第2回転方向D5の回転トルクを伝達しない。
【0040】
ところで、変換伝達部9は、ラック11と、ピニオン12と、ピニオン12の回転トルクのうち第1回転方向D4のみの回転トルクを制御カム5に伝達するクラッチ13とを備えている。したがって、ラック11の往路運動のみが回転運動に変換されて、制御カム5に伝達されるため、ラック11の往路運動で、制御カム5が正確に一回転しなかった場合に、制御カム5の回転開始位置が徐々に位置ずれすることになる。
【0041】
それに対して、
図6に示すように、駆動装置6は、第2可動体8bが一往復運動を終えた際に、制御カム5を原点位置(制御カム5が回転を開始する際に位置すべき位置)に位置させる位置調整部14を備えている。該位置調整部14は、回転する回転体15と、回転体15の外周部をスライドし、制御カム5が原点位置に位置する際に、回転体15を係止する係止体16とを備えている。
【0042】
回転体15は、外転体13aに固定されており、外転体13aと一体となって同じ軸線を中心に回転する。したがって、回転体15は、制御カム5と一体となって同じ軸線を中心に回転する。また、位置調整部14は、係止体16を回転体15に径方向内方に向けて加圧接触させる加圧体17を備えている。本実施形態においては、加圧体17は、弦巻バネとしている。
【0043】
そして、第2可動体8b及びラック11の1回の往路運動によるピニオン12の第1回転方向D4の回転量は、1回転以下(本実施形態においては、1回転未満)に設定されている。そこで、回転体15は、制御カム5が原点位置に位置する際に、係止体16に係止される凹状の係止部15aと、係止体16を係止部15aに案内する案内部15bとを備えている。
【0044】
案内部15bは、係止部15aと、第1回転方向D4側で連接されている。具体的には、案内部15bは、少なくとも、第2可動体8b及びラック11の1回の往路運動により係止体16が位置する位置から、係止部15aまで、配置されている。そして、案内部15bは、係止部15aに向けて次第に深くなっている。
【0045】
ここで、位置調整部14の作用について説明する。まず、第2可動体8b及びラック11が往路運動をすると、
図7に示すように、係止体16は、回転体15の案内部15bに位置している。このとき、第2可動体8b及びラック11が復路運動を開始し、内転体13bが第2回転方向D5に回転しても、外転体13aが回転しないため、回転体15も第2回転方向D5に回転しない。
【0046】
一方、係止体16は、係止部15aに向けて次第に深くなっている案内部15bに、加圧接触している。これにより、回転体15は、係止体16及び加圧体17から、第1回転方向D4の回転トルクを受けることになる。このとき、内転体13bが第2回転方向D5に回転している、又は、停止しているため、回転体15及び外転体13aの第1回転方向D4の速度が、内転体13bの当該速度よりも大きくなっている。
【0047】
これにより、クラッチ部13cが、外転体13a及び内転体13b間の回転トルクの伝達を遮断するため、外転体13a及び回転体15は、内転体13bに係止されることなく、第1回転方向D4に回転する。そして、
図8に示すように、回転体15の係止部15aが係止体16に係止されることで、制御カム5は、原点位置に位置する。これにより、制御カム5の回転開始位置は、常に、原点位置となる。
【0048】
このように、本実施形態に係るシール装置1及び弁装置2によれば、弁3や制御装置4に、電気が供給されることなく、複数の弁3を制御することができる。したがって、シール装置1及び弁装置2は、電気を必要としない完全な防爆仕様のシール装置1及び弁装置2としても使用することもできる。
【0049】
以上より、本実施形態に係るシール装置1は、対象物を挟んでシールするために、互いに接離する一対のシール部1a,1bと、前記弁装置2と、を備え、前記弁装置2は、前記一対のシール部1a,1bの少なくとも一方(本実施形態においては、一方のシール部1a)の動作を制御する。
【0050】
また、本実施形態に係る弁装置2は、スイッチ部3cを有し、該スイッチ部3cが動作することで開閉する少なくとも一つの弁3と、電気が供給されることなく、前記弁3を制御する制御装置4と、を備え、前記制御装置4は、外周に凹凸形状を有する回転可能な少なくとも一つの制御カム5と、圧力媒体が供給されることで前記制御カム5を回転させる駆動装置6と、を備え、前記弁3は、前記制御カム5が回転することで開閉するように、前記スイッチ部3cが前記制御カム5の外周部に接するように配置される。
【0051】
斯かる構成によれば、制御カム5は、外周に凹凸形状を有していると共に、回転可能である。また、圧力媒体が駆動装置6に供給されることで、駆動装置6は、電気が供給されることなく、制御カム5を回転させる。そして、弁3のスイッチ部3cが制御カム5の外周部に接しているため、スイッチ部3cが制御カム5の回転に伴って動作することで、弁3が開閉する。これにより、電気が供給されることなく、弁3を制御することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る弁装置2においては、前記駆動装置6は、圧力媒体が供給されることで往復運動する可動体8bと、前記可動体8bの往復運動を回転運動に変換して前記制御カム5に伝達する変換伝達部9と、を備える、という構成である。
【0053】
斯かる構成によれば、圧力媒体が供給されることで、可動体8bが往復運動する。そして、変換伝達部9が、可動体8bの往復運動を回転運動に変換して制御カム5に伝達する。これにより、例えば、可動体8bの一往復運動が、制御カム5の一回転に対応させることで、繰り返し制御の安定性(毎回同じ制御を行えること)を確保することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る弁装置2においては、前記変換伝達部9は、前記可動体8bに固定されるラック11と、前記ラック11と噛合することで回転するピニオン12と、前記ピニオン12の回転トルクのうち第1回転方向D4のみの回転トルクを前記制御カム5に伝達するクラッチ13と、を備える、という構成である。
【0055】
斯かる構成によれば、ピニオン12は、可動体8bに固定されるラック11と噛合することで、回転する。そして、クラッチ13は、ピニオン12の回転トルクのうち第1回転方向D4のみの回転トルクを、制御カム5に伝達している。これにより、制御カム5が第1回転方向D4のみに回転するため、適切な制御を行うことができる。
【0056】
また、例えば、可動体8bが一方側にむけて等速の直線運動を行うことで、制御カム5は、第1回転方向D4に等速の回転運動を行うことができる。したがって、制御カム5の等速の回転運度を容易に実現することができるため、さらに適切な制御を行うことができる。
【0057】
また、本実施形態に係る弁装置2においては、前記ピニオン12は、前記可動体8bが往路運動する際に、前記第1回転方向D4に回転し、前記駆動装置6は、前記可動体8bが往路運動する際に、前記可動体8bに対して抗力を与える抵抗体10を備える、という構成である。
【0058】
斯かる構成によれば、可動体8bが往路運動する際に、ピニオン12が第1回転方向D4に回転するため、制御カム5も、第1回転方向D4に回転する。このとき、制御カム5の外周部の形状に起因して、弁3のスイッチ部3cが制御カム5の外周部に接する位置が、変化することに伴って、制御カム5を回転させるための回転トルクは、変化する。これにより、制御カム5の回転速度が変化する可能性がある。
【0059】
そこで、抵抗体10は、可動体8bが往路運動する際に、可動体8bに対して抗力を与えている。そして、当該抗力が、制御カム5を回転させるための回転トルクの変化よりも、大きくなればなるほど、当該回転トルクの変化に起因する制御カム5の回転速度の変化が小さくなる。これにより、例えば、制御カム5が略等速の回転運動を行うことができるため、適切な制御を行うことができる。
【0060】
また、本実施形態に係る弁装置2においては、前記駆動装置6は、前記可動体8bが一往復運動を終えた際に、前記制御カム5を原点位置に位置させる位置調整部14を備え、前記位置調整部14は、前記制御カム5と一体となって回転する回転体15と、前記制御カム5が原点位置に位置する際に、前記回転体15を係止する係止体16と、を備える、という構成である。
【0061】
斯かる構成によれば、可動体8bが一往復運動を終えた際に、位置調整部14は、制御カム5を原点位置に位置させている。そして、制御カム5が原点位置に位置する際に、係止体16は、制御カム5と一体となって回転する回転体15を係止している。これにより、制御カム5が常に原点位置から制御(回転)を開始するため、繰り返し制御の安定性を確保することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る弁装置2においては、前記係止体16は、前記回転体15の外周部をスライドし、前記位置調整部14は、前記係止体16を前記回転体15に加圧接触させる加圧体17を備え、前記回転体15は、前記制御カム5が原点位置に位置する際に、前記係止体16に係止される凹状の係止部15aを備え、前記可動体8bの1回の往路運動による前記ピニオン12の前記第1回転方向D4の回転量は、1回転以下であり、前記回転体15は、前記可動体8bの1回の往路運動により前記係止体16が位置する位置から前記係止部15aまで、前記係止体16を案内する案内部15bをさらに備え、前記案内部15bは、前記係止体16に加圧接触されることで前記回転体15が前記第1回転方向D4に回転するために、前記係止部15aに向けて次第に深くなる、という構成である。
【0063】
斯かる構成によれば、係止体16は、加圧体17により回転体15の外周部に加圧接触しつつ、回転体15の外周部をスライドしている。そして、制御カム5が原点位置に位置する際に、係止体16は、回転体15の凹状の係止部15aを係止している。ところで、可動体8bの1回の往路運動によるピニオン12の第1回転方向D4の回転量は、1回転以下である。これにより、可動体8bの1回の往復運動により、制御カム5が原点位置を超えることはない。
【0064】
そして、案内部15bは、可動体8bの1回の往路運動により係止体16が位置する位置から係止部15aまで、係止部15aに向けて次第に深くなっている。これにより、係止体16が案内部15bを加圧接触しているため、回転体15は、第1回転方向D4に回転する。そして、係止体16が案内部15bに係止部15aまで案内されて係止部15aを係止することで、制御カム5は、原点位置に位置する。
【0065】
なお、シール装置1及び弁装置2は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、シール装置1及び弁装置2は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0066】
上記実施形態に係る弁装置2においては、駆動装置6は、往復運動する可動体8bと、可動体8bの往復運動を回転運動に変換して制御カム5に伝達する変換伝達部9とを備えている、という構成である。即ち、駆動装置6は、往復運動する可動体8bを有する駆動源(シリンダ)7,8を備えている、という構成である。しかしながら、弁装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、
図9及び
図10に示すように、駆動装置6は、回転運動をする駆動源18を備えている、という構成でもよい。
【0067】
図9及び
図10に係る駆動源18は、制御カム5(内転体13b)と一体となって同じ軸線を中心に回転する軸体18aと、軸体18aと一体となって同じ軸線を中心に回転する板体18bと、軸体18a及び板体18bの内部に圧力媒体(例えば、油、水、圧縮エア)を流通させる流通部18cとを備えている。そして、板体18bの内部の流通部18cは、径方向に対して交差するように延びている。
【0068】
これにより、圧力媒体が、流通部18cの内部を流通し、板体18bから勢いよく噴出することで、第1回転方向D4の回転トルクが板体18bに発生する。したがって、駆動源18に圧力媒体が供給されることで、駆動装置6は、制御カム5を第1回転方向D4に回転させることができる。
【0069】
また、上記実施形態に係る弁装置2においては、変換伝達部9は、可動体8bに固定されるラック11と、ラック11と噛合することで回転するピニオン12とを備えている、という構成である。しかしながら、弁装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、
図11及び
図12に示すように、変換伝達部9は、制御カム5(内転体13b)と一体となって同じ軸線を中心に回転する円体19と、円体19と可動体7bとを連結するリンク20と備えている、という構成でもよい。
【0070】
図11及び
図12に係る変換伝達部9は、リンク20が死点に位置する際に、円体19を第1回転方向D4に付勢する付勢体21を備えている。なお、
図11及び
図12においては、付勢体21は、弦巻バネとしている。また、
図11及び
図12に係る駆動装置6は、本体7a及び可動体7bを有する一つのシリンダ7を備えている。
【0071】
そして、
図11に示すように、リンク20が第1の死点に位置する際に、付勢体21は、縮むように弾性変形しているため、伸びるような弾性復元力を発生する。これにより、付勢体21は、円体19を第1回転方向D4に付勢している。
【0072】
また、
図12に示すように、リンク20が第2の死点に位置する際に、付勢体21は、伸びるように弾性変形しているため、縮むような弾性復元力を発生する。これにより、付勢体21は、円体19を第1回転方向D4に付勢している。
【0073】
なお、
図11及び
図12に係る変換伝達部9においては、例えば、可動体7bが等速の直線往復運動をした場合に、円体19、即ち、制御カム5は、等速の回転運動にはならない。したがって、制御カム5を等速の回転運動とするためには、可動体7bの直線往復運動の速度を変化させる必要がある。
【0074】
また、上記実施形態に係る弁装置2においては、位置調整部14は、係止部15aに連接する案内部15bを備えており、可動体8bの1回の往路運動によるピニオン12の第1回転方向D4の回転量は、1回転以下である、という構成である。しかしながら、弁装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、
図13及び
図14に示すように、可動体8bの1回の往路運動によるピニオン12の第1回転方向D4の回転量は、1回転以上である、という構成でもよい。
【0075】
図13及び
図14に係る係止体16は、例えば圧力媒体が供給されることで、回転体15に対して上下方向に移動することができる。また、
図13及び
図14に係る位置調整部14は、ピニオン12と制御カム5との間に、所定のトルク以上がかかると接続を遮断する接続部22を備えている。該接続部22は、例えば、トルクリミッタや安全クラッチともいう。
【0076】
ここで、
図13及び
図14に係る位置調整部14の作用について説明する。まず、係止体16は、制御カム5が原点位置に位置する際に、回転体15の凹状の係止部15aを係止している。そして、制御カム5が回転を開始する際に、係止体16は、上昇し、回転体15の係止部15aから抜き出る。その後、回転体15が第1回転方向D4に所定量回転すると、係止体16は、下降し、回転体15の外周部に、径方向内方に加圧接触しつつスライドする。
【0077】
そして、ピニオン12及び制御カム5の第1回転方向D4の回転量が1回転になると、係止体16は、回転体15の係止部15aに入り、回転体15を係止する。その後、ピニオン12が第1回転方向D4に回転しようとすると、接続部22が接続を遮断するため、ピニオン12は、第1回転方向D4に回転する一方、回転体15及び制御カム5は、回転しない。これにより、制御カム5は、可動体8bが一往復運動を終えた際に、原点位置に位置している。
【0078】
また、上記実施形態に係る弁装置2においては、クラッチ13は、外転体13a及び内転体13bを有するワンウェイクラッチである、という構成である。しかしながら、弁装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、クラッチ13は、ギヤ同士が噛合する状態と離れる状態とに切り替えるギヤクラッチである、という構成でもよく、ラチェット機構を有するフリーホイールである、という構成でもよい。
【0079】
また、上記実施形態に係る弁装置2は、シール装置1に用いられている、という構成である。しかしながら、弁装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、弁装置2は、弁3で制御する包装装置や他の装置に用いられている、という構成でもよい。
【解決手段】 弁装置は、スイッチ部を有し且つ該スイッチ部が動作することで開閉する少なくとも一つの弁と、電気が供給されることなく、弁を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、外周に凹凸形状を有する回転可能な少なくとも一つの制御カムと、圧力媒体が供給されることで制御カムを回転させる駆動装置と、を備え、弁は、制御カムが回転することで開閉するように、スイッチ部が制御カムの外周部に接するように配置される。