特許第6148406号(P6148406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6148406バッテリモジュールのための電気コネクタ
<>
  • 特許6148406-バッテリモジュールのための電気コネクタ 図000002
  • 特許6148406-バッテリモジュールのための電気コネクタ 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148406
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】バッテリモジュールのための電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20170607BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-524724(P2016-524724)
(86)(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公表番号】特表2016-526776(P2016-526776A)
(43)【公表日】2016年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2014063202
(87)【国際公開番号】WO2015003896
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】102013213524.6
(32)【優先日】2013年7月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】アンガーバウアー、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】デポンテ、ルネ
(72)【発明者】
【氏名】リューレ、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベルク、フィリップ
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−241242(JP,A)
【文献】 特開2010−282811(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0141852(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0241667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセル(10(1)、10(2)、10(3)、10(4))を有するバッテリモジュール(2)であって、前記バッテリモジュール(2)は、セル監視ユニット(15)を備え、前記セル監視ユニット(15)は、接続手段(22)と電気的に接続される、前記バッテリモジュール(2)において、
少なくとも1つのセル接触子(11(1)、11(2)、11(3)、11(4)、12(1)、12(2)、12(3)、12(4))、及び/又は、少なくとも1つのセルコネクタ(13(1)、13(2)、13(3)、13(4))が、少なくとも1つのボンディング用ストリップ(23(1))によって、前記接続手段(22)と電導的に接続されることを特徴とする、バッテリモジュール(2)。
【請求項2】
記ボンディング用ストリップ(23(1))の資材として、アルミニウム、アルミニウム・シリコン、銅、又は金が利用されることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリモジュール(2)。
【請求項3】
前記ボンディング用ストリップ(23(1))は、幅が30μm〜500μm、厚みが10μm〜200μmの矩形の形状を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のバッテリモジュール(2)。
【請求項4】
記ボンディング用ストリップ(23(1))は、10mm〜50mmの長さを有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のバッテリモジュール(2)。
【請求項5】
前記セル監視ユニット(15)は、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、及び/又は、抵抗器を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のバッテリモジュール(2)。
【請求項6】
つより多いボンディング用ストリップを含む導電接続の場合には、前記ボンディング用ストリップの接触面は、前記セル接触子(12(4))上又は前記接続手段(22)上に相並んで配置され、及び/又は、前記セル接触子(12(4))上又は前記接続手段(22)上に上下に重なって配置されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のバッテリモジュール(2)。
【請求項7】
前記接続手段(22)は、導体板、少なくとも1つの導電路、及び/又は、プラグを含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のバッテリモジュール(2)。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の、バッテリモジュール(2)の少なくとも1つのセル接触子(11(1)、11(2)、11(3)、11(4)、12(1)、12(2)、12(3)、12(4))及び/又は少なくとも1つのセルコネクタ(13(1)、13(2)、13(3)、13(4))と、接続手段(22)と、の間で導電接続を形成する方法において、
前記導電接続は、少なくとも1つのボンディング用ストリップ(23(1))と、少なくとも2つのセル(10(1)、10(2)、10(3)、10(4))のセル接触子(11(1)、11(2)、11(3)、11(4)、12(1)、12(2)、12(3)、12(4))と、の間の接触面(23(1a)、23(3a))を介して、及び、前記ボンディング用ストリップ(23(1))と、前記接続手段(22)と、の間の接触面(23(1b)、23(3b))を介して、サーモソニックボール・ウェッジ・ボンディング、超音波ウェッジ・ウェッジ・ボンディング、及び/又は、熱圧着を利用して形成されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセル(10(1)、10(2)、10(3)、10(4))は、リチウムイオンバッテリセルである、請求項1〜のいずれか1項に記載のバッテリモジュール(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリモジュールのための電気コネクタから出発する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、バッテリモジュールの少なくとも1つのバッテリセルと検出ユニットとを、例えば当該バッテリセル及び検出ユニットに導電性ワイヤを溶接することによって、電導的に接続する電気コネクタが公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の公知の従来技術の欠点は、バッテリセルと検出ユニットとの間の導電接続の形成及び取り付けのために、様々な製造工程が必要となることである。即ち、電気コネクタは、例えば導電性ワイヤで製造され、その際に、当該ワイヤは、長さが正確であり、湾曲を有している必要がある。各電気コネクタは、少なくとも1つのバッテリセル及び検出ユニットに溶接され、又は貼着される。続いて、導電性ワイヤは、ケーブルハーネスへと纏められる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これに対して、独立請求項に記載された固有の特徴を備える本発明に係るやり方は、少なくとも1つのバッテリセルと接続手段との間の導電接続を形成するために、当該導電接続が少なくとも1つのボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップを含むという利点がある。
【0005】
本発明の更なる別の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
有利に、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップのための資材として、アルミニウム、アルミニウム−シリコン、銅、又は金が、伝導損の低減のために利用される。
【0007】
有利に、ボンディング用ストリップを利用する際には、例えば、ボンディング用ワイヤの強い屈曲による接触面の破損箇所のような、接触面の損傷の発生がより少ない。これにより、ボンディング用ワイヤに比べてより短いボンディング用ストリップを用いて、同一距離を架橋することが可能である。
【0008】
有利に、1つより多いボンディング用ワイヤ又は1つより多いボンディング用ストリップを含む導電接続の場合には、当該ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップの接触面は、バッテリセルのセル接触子上又は接続手段上に相並んで配置され、及び/又は、バッテリセルのセル接触子の上又は接続手段の上に上下に重なって配置される。
【0009】
有利に、接続手段は、導体板、少なくとも1つの導電路、及び/又は、プラグを含み、これにより、必要な設置空間が小さくなる。
【0010】
ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップと、バッテリセルのセル接触子と、の間の導電接続、又は、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップと、接続手段と、の間の導電接続を形成するために、熱圧着(Thermokompressionsbonden)(TCボンディング)、サーモソニックボール・ウェッジ・ボンディング(Thermosonic−Ball−Wedge−Bonden)(TSボンディング)、及び/又は、超音波ウェッジ・ウェッジ・ボンディング(Ultraschall−Wedge−Wedge−Bonden)(USボンディング)のような、様々なバリエーションの方法が利用される。
【0011】
本方法は、例えば、ボンディング用ワイヤ又はボンディング用ストリップの利用される資材によって選択される。即ち、TCボンディングは、接合のために必要な大きな力と温度とにより接合要素の損傷を引き起こす可能性があるため、ワイヤボンディング(Drahtbonden)のためにはほとんど利用されないのに対し、本方法は、ストリップボンディング(Bandbonden)のためには適している。金又は銅が、ボンディング用ワイヤ又はボンディング用ストリップの資材として利用される場合には、TSボンディングが適している。これに対し、アルミニウム又はアルミニウム−シリコンが、ボンディング用ワイヤ又はボンディング用ストリップの資材として利用される場合には、有利に、USボンディングが適している。
【0012】
有利に、従来利用されるケーブルハーネスに比べて、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップのために必要な空間は小さいため、設置空間が最適化されたバッテリセルの配置が可能である。
【0013】
有利に、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップの機械的な柔軟性により、バッテリセルの新しい形状及び/又は新しい配置が可能である。有利に、新しい形状は、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップの利用によって、ボンディング機での変更コストが僅かに掛かるだけで実現される。
【0014】
ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップの利用によって、有利に、最適な冷却のためにバッテリモジュールの底部上でバッテリセルを位置合わせする際に発生する、製造による高さの違いが補正される。
【0015】
有利に、各ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップによって、従来のワイヤに比べて資材に対する要求事項が減るため重量が削減され、これにより、例えば、車両の航続距離が大きくなる。
【0016】
有利に、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップによって熱の伝達が行われ、従って、接続手段に組み込まれた少なくとも1つの温度センサ、又は接続手段上に配置された少なくとも1つの温度センサは、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップを用いて、少なくとも1つのバッテリセルの温度を検出し、セル監視ユニットへと伝達する。有利に、これにより、セルコネクタ上及び/又はセル監視ユニット内のセンサが節約される。
【0017】
有利に、接続手段上に配置されたセンサは、少なくとも1つのボンディング用ワイヤ及び/又は少なくとも1つボンディング用ストリップによって、接続手段と電気的に接触させられる。
【0018】
有利に、セル接触子と接続手段との間の電気接続の故障の修理は、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップの利用と、従来技術によるセルコネクタの利用と、を比較すると、比較的僅かなコストで可能である。故障した電気接続を修理するために、少なくとも1つの新しいボンディング用ワイヤ及び/又は少なくとも1つの新しいボンディング用ストリップが、ボンディングによって、セル接触子と電気的に接触させられ、及び、接続手段と電気的に接触させられ、その際に有利に、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップの断面は小さいため、セル接触子上及び接続手段上には十分な接触面が存在する。
【0019】
有利に、余剰なボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップの接触によって、例えば、セル接触子と接続手段との間の少なくとも1つの更なる別のストリップボンディングによって、電気的及び機械的な影響に依存した故障確率が低減される。
【0020】
有利に、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップによって、バッテリセルと接続手段とを接触させるために必要な製造工程は少なく、これにより、バッテリモジュールの製造過程のために必要な技術的コストはより小さく、自動化の度合いをより高くすることが可能である。
【0021】
有利に、バッテリモジュールは、リチウムイオンバッテリ内で使用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例が図面に示され、以下の明細書においてより詳細に解説される。
図1】従来技術による一実施形態を示す。
図2】本発明に係る装置の一実施形態を示す。
【0023】
同一の符号は、全ての図面において同一の装置構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、バッテリモジュール1の4つのバッテリセル10(1)、10(2)、10(3)、10(4)が、セル接触子11(1)、11(2)、11(3)、11(4)、12(1)、12(2)、12(3)、12(4)と共に示されており、このセル接触子11(1)、11(2)、11(3)、11(4)、12(1)、12(2)、12(3)、12(4)は、電気セルコネクタ13(1)、13(2)、13(3)、13(4)を介して互いに電導的に接続され、従って、従来技術の一実施形態に係るバッテリセル10(1)、10(2)、10(3)、10(4)の並列接続が生じる。例えば、バッテリセル10(1)の陽極は、セル接触子12(1)によって、電気セルコネクタ13(2)を介して、バッテリセル10(2)の陰極と、セル接触子11(2)によって接続される。
【0025】
電気セルコネクタ13(4)は、第1の接続要素13(4a)と、第2の接続要素13(4c)と、第1の接続要素13(4a)と第2の接続要素13(4c)とを接続する屈曲した接続要素13(4b)と、を含む。セル接触子11(1)と、更なる別のバッテリセルのセル接触子と、の間の電導接続及び機械的接続を、セルコネクタ13(1)を用いて形成するために、例えば、セルコネクタ13(1)は、開口部13(1d)を有する。
【0026】
電気セルコネクタ13(4)は、1つの部品で製造されてもよく、又は、電導性の様々な資材が組み合わされてもよい。屈曲した接続要素13(4b)によって、バッテリセルの公差と、セルの移動と、が補正される。
【0027】
電気セルコネクタ13(4)は、バッテリセル10(3)、10(4)に溶接され、貼着され、又は焼き付けられる。
【0028】
セル監視ユニット15は、電気コネクタ16(1)、16(2)、16(3)、16(4)によって、例えば電導性ワイヤによって、バッテリセル10(1)、10(2)、10(3)、10(4)のセル接触子12(1)、12(2)、12(3)、12(4)と接続される。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態に係るバッテリモジュール2の4つのバッテリセル10(1)、10(2)、10(3)、10(4)が、セル接触子12(1)、12(2)、12(3)、12(4)と共に示されており、このセル接触子12(1)、12(2)、12(3)、12(4)は、ボンディング用ワイヤ23(2)、23(3)、23(4)及び/又は少なくとも1つのボンディング用ストリップ23(1)によって、接続手段22と電導的に接続される。
【0030】
有利な実施形態において、上記の電導接続は、第1のセル接触子12(3)上の第1の接触面23(3a)と、接続手段22上の第2の接触面23(3b)と、を有する1つのボンディング用ワイヤ23(3)を含む。
【0031】
代替的な実施形態において、上記の電導接続は、少なくとも2つのボンディング用ワイヤ23(4)を含む。
【0032】
更なる別の代替的な実施形態において、上記の電導接続は、第1のセル接触子12(1)上の第1の接触面23(1a)と、接続手段22上の第2の接触面23(1b)と、を有するボンディング用ストリップ23(1)を含む。
【0033】
代替的な実施形態において、第2の接触面23(3b)は導電路上に配置され、その際、この導電路は、接続手段上又は接続手段内に存在し、セル監視ユニット15と電導的に接続されている。
【0034】
セルコネクタ13(1)を用いて、セル接触子11(1)と、更なる別のバッテリセルのセル接触子と、の間の電導接続が形成される。
【0035】
少なくとも1つのボンディング用ワイヤ及び少なくとも1つのボンディング用ストリップの資材として、アルミニウム、アルミニウム−シリコン、銅、又は金が利用される。
【0036】
有利に、ボンディング用ワイヤの直径は10μm〜100μmであるため、0.3A〜0.5Aの間の電流の流れが保証され、その際に、ボンディング用ワイヤが、例えば熱の影響により損傷を受けることはない。
【0037】
有利に、ボンディング用ストリップの幅は、30μm〜500μmであり、ボンディング用ストリップの厚みは、10μm〜200μmであり、これにより、直径が100μmの3つのボンディング用ワイヤを、1つのボンディング用ストリップで代替することが可能である。
【0038】
有利に、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップの長さは、10mm〜50mmであり、2つの接触面23(3a)、23(3b)又は23(1a)、23(1b)の間の十分な機械的安定性が実現される。
【0039】
セル監視ユニット15は、セル接触子12(1)、12(2)、12(3)、12(4)と、接続手段22と、セル監視ユニット15と、の間の電導接続を利用して、例えば電圧センサを用いて、個々のバッテリセルの電圧を測定する。さらに、セル監視ユニット15は、例えばバッテリセルの平衡化方法を実施するために、電流センサ、温度センサ、及び/又は、抵抗を含んでもよい。
【0040】
代替的な実施形態において、電気セルコネクタ13(1)、13(2)、13(3)、13(4)は、セル接触子11(1)、11(2)、11(3)、11(4)、12(1)、12(2)、12(3)、12(4)の間の電導接続のために、ワイヤ、ボンディング用ワイヤ及び/又はボンディング用ストリップを含む。
図1
図2