(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の冷蔵・冷凍装置では、エンジンの停止直後で、コンテナ内の温度が十分に冷えているにも関わらず、バックアップ用のバッテリ電源を用いて冷凍装置を駆動させるので、不必要に電力が消費されるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、バッテリによるバックアップ運転時に、バッテリの消耗を抑制することが可能な車両用冷蔵・冷凍装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願発明の車両用冷蔵・冷凍装置は、車両に搭載され、コンプレッサ、エバポレータ、及び蓄電手段(例えば、バッテリ28)を含み、コンテナ内を冷蔵・冷凍する冷蔵・冷凍装置において、車両の運転状態を取得する運転状態取得手段(例えば、運転状態検出器21)と、前記運転状態に基づき、車両のエンジンが停止した後の経過時間を計時するエンジン停止時間計時手段(例えば、第1のタイマ41)と、前記コンテナに設けられるドアの開閉を検出するドア開閉検出手段(例えば、ドアスイッチ18a,18b)と、前記ドアの開放時間を計時するドア開放時間計時手段(例えば、第2のタイマ42)と、エンジン停止後の、前記コンプレッサの駆動時間を計時する駆動時間計時手段(例えば、第3のタイマ43)と、前記コンプレッサ、及び前記コンテナ内に設けられる送風手段(例えば、エバポレータファン15)を制御する制御手段(例えば、制御部30)と、を有し、前記制御手段は、前記車両のエンジンが停止した際には、前記送風手段及びコンプレッサを停止させ、エンジン停止後の、前記ドア開放時間計時手段により計時されるドア開放時間の積算値が予め設定した第1の閾値時間(T2)に達した場合には、前記蓄電手段を電源として前記送風手段及びコンプレッサを駆動させ、エンジン停止後に、前記ドア開放時間の積算値が前記第1の閾値時間に達しない場合で、前記エンジン停止時間計時手段にて、予め設定した所定時間(T1)が計時された際には、前記蓄電手段を電源として前記送風手段及びコンプレッサを駆動させ、前記エンジンが停止した後の、前記駆動時間計時手段で計時される前記コンプレッサ運転時間の積算値が、予め設定した第2の閾値時間(T3)に達した場合には、前記送風手段及びコンプレッサの運転を停止
させ、エンジン停止後に、前記ドア開放時間の積算値が第1の閾値時間に達しない場合で、前エンジン停止時間計時手段にて、予め設定した所定時間が計時されて、前記送風手段及びコンプレッサを駆動させた場合には、前記ドアの開放時に前記送風手段及びコンプレッサを停止させ、前記ドアの閉鎖時に前記送風手段及びコンプレッサを駆動させ、更に、ドアの開放時間が予め設定した第3の閾値時間未満である場合には、ドアの開閉に連動して送風手段を駆動し、ドアの開放に関わらず、前記コンプレッサの駆動を継続する制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本願発明の車両用冷蔵・冷凍装置の制御方法は、車両に搭載され、コンプレッサ、エバポレータ、及び蓄電手段を含み、コンテナ内を冷蔵・冷凍する冷蔵・冷凍装置を制御する制御方法において、車両の運転状態を取得する運転状態取得行程と、前記運転状態取得行程で取得した前記運転状態に基づき、車両のエンジンが停止した後の経過時間を計時するエンジン停止時間計時行程と、前記コンテナに設けられるドアの開閉を検出するドア開閉検出行程と、前記ドアの開放時間を計時するドア開放時間計時行程と、エンジン停止後の前記コンプレッサの駆動時間を計時する駆動時間計時行程と、前記車両のエンジンが停止した際には、前記送風手段及びコンプレッサを停止させる行程と、エンジン停止後の、前記ドア開放時間計時行程にて計時されるドア開放時間の積算値が予め設定した第1の閾値時間(T2)に達した場合には、前記蓄電手段を電源として前記送風手段及びコンプレッサを駆動させる行程と、エンジン停止後に、前記ドア開放時間の積算値が前記第1の閾値時間に達しない場合で、前記エンジン停止時間計時行程にて、予め設定した所定時間(T1)が計時された際には、前記蓄電手段を電源として前記送風手段及びコンプレッサを駆動させる行程と、前記エンジンが停止した後の、前記駆動時間計時行程により計時された前記コンプレッサ運転時間の積算値が、予め設定した第2の閾値時間(T3)に達した場合には、前記送風手段及びコンプレッサの運転を停止
させ、エンジン停止後に、前記ドア開放時間の積算値が第1の閾値時間に達しない場合で、前記エンジン停止時間計時手段にて、予め設定した所定時間が計時されて、前記送風手段及びコンプレッサを駆動させた場合には、前記ドアの開放時に前記送風手段及びコンプレッサを停止させ、前記ドアの閉鎖時に前記送風手段及びコンプレッサを駆動させる行程と、ドアの開放時間が予め設定した第3の閾値時間未満である場合には、ドアの開閉に連動して送風手段を駆動し、ドアの開放に関わらず、前記コンプレッサの駆動を継続する制御を行う行程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両用冷蔵・冷凍装置及びその制御方法では、車両のエンジンが停止した際には、コンプレッサ、及び送風手段が停止するので、蓄電池の消費電力を低減できる。また、ドアが開放されている時間の積算値が計時され、該積算値が予め設定した第1の閾値時間に達した場合にはコンプレッサ、及び送風手段の駆動が開始されるので、ドアの開閉によりコンテナ内の温度が上昇した場合であっても、これを冷却することができる。
【0010】
また、ドア開放時間の積算値が第1の閾値時間に達しない場合でも、エンジンの停止時間が所定時間に達した場合には、コンプレッサ、及び送風手段の駆動が開始されるので、エンジン停止後に、時間経過によりコンテナ内の温度が上昇した場合であってもこれを冷却することができる。
【0011】
更に、エンジンが停止した後のコンプレッサの運転時間の積算値が第2の閾値時間に達した場合には、コンプレッサ及び送風手段を停止させるので、蓄電池に充電された電力を消費する前にコンプレッサ、及び送風手段を確実に停止させることができる。
【0012】
また、エンジンが停止し、且つ、第1の閾値時間が経過した後に、ドアの開放時間が第3の閾値未満である場合には、コンプレッサの駆動状態を維持するので、コンプレッサが頻繁に駆動、停止を繰り返すことを防止でき、コンプレッサの駆動に係る各種機器の劣化を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用冷蔵・冷凍装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、この車両用冷蔵・冷凍装置は、冷媒を圧縮するコンプレッサ11と、該コンプレッサで圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ12、及びコンデンサファン13と、コンデンサ12で冷却された冷媒によりコンテナ内を冷却するエバポレータ14と、エバポレータ14に設けられたエバポレータファン15と、絞り機構16と、を有している。
【0016】
更に、コンテナ17に設けられるドアの開閉状態を検出するドアスイッチ18a,18b(ドア開閉検出手段)と、コンテナ17内の温度を検出する温度センサ19と、を備えている。ドアスイッチ18aは、例えばコンテナ17のサイドドアに設けられ、ドアスイッチ18bは、例えばリアドアに設けられる。
【0017】
また、エンジン22の動作状態を検出する運転状態検出器21(運転状態取得手段)と、エンジン22に接続された発電機23で発電される交流電圧を整流する整流器24と、発電機23による発電電圧を検出する電圧検出器25と、発電機23と整流器24との間に設けられるスイッチ26aと、を有している。
【0018】
更に、整流器で整流された電圧を所望の電圧レベルに変換するコンバータ27と、電力を蓄えるバッテリ28(蓄電手段)と、該コンバータ27より出力される直流電力をバッテリ28に充電する制御を行う充電回路29と、スイッチ26bと、コンバータ27より出力される直流電圧、或いはバッテリ28より出力される直流電圧を交流電圧に変換してコンプレッサ11に出力するインバータ31と、外気温度を測定する温度センサ32と、を有している。
【0019】
また、各温度センサ19,32の検出結果、ドアスイッチ18a,18bの検出結果、運転状態検出器21の検出結果に基づいて、コンデンサファン13、エバポレータファン15(送風手段)、スイッチ26a,26b、コンバータ27を制御する制御部30(制御手段)を有している。
【0020】
制御部30は、各種のタイマ機能を備えている。具体的には、エンジン22が停止した後の経過時間を計時する第1のタイマ41(エンジン停止時間計時手段)と、ドアスイッチ18a,18bの検出信号に基づいてドアが開放された積算時間(ドア開放時間の積算値)を計時する第2のタイマ42(ドア開放時間計時手段)と、エンジン停止時におけるコンプレッサ11の駆動時間の積算値を計時する第3のタイマ43(駆動時間計時手段)と、ドアが開放されてからの経過時間を計時する第4のタイマ44と、コンプレッサ11の停止後の経過時間を計時する第5のタイマ45と、を備えている。なお、制御部30は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
【0021】
そして、本実施形態に係る冷蔵・冷凍装置では、エンジン22が停止した後の経過時間、ドアが開放されている積算時間、及びバッテリ28によりコンプレッサ11が駆動している積算時間等に基づいて、コンプレッサ11、及びエバポレータファン15の駆動、停止を制御することにより、コンテナ17内の温度を低温度に維持しつつ、バッテリ28の電力消費を削減して省電力化を図るものである。なお、以下ではエバポレータファン15を単に「ファン15」と省略することにする。
【0022】
以下、本実施形態に係る冷蔵・冷凍装置の作用を、
図2,
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
図2,
図3は、制御部30による処理手順を示すフローチャートである。なお、
図2,
図3に示す処理は、予め設定した演算周期毎に逐次実行される。
【0023】
初めに、
図2のステップS11において、制御部30は、運転状態検出器21の検出データに基づき、車両のエンジン22が停止しているか否かを判断する。
【0024】
そして、車両走行時やアイドリング時など、エンジン22が駆動中である場合には(ステップS11でNO)、ステップS12において、制御部30は、
図1に示すスイッチ26aをオンとし、スイッチ26bをオフとして、発電機23による発電電力でコンプレッサ11を駆動させる。即ち、エンジン22の駆動時には、エンジン22に接続された発電機23にて発電されるので、発電される交流電圧が整流器24にて直流電圧に変換され、更に、コンバータ27にて所望レベルの電圧に変換される。そして、変換後の直流電圧は、インバータ31により所望の周波数の交流電圧に変換され、該交流電圧によりコンプレッサ11の駆動モータが回転し、絞り機構16を経てエバポレータ14に低温冷媒を供給する。更に、ファン15が駆動することにより冷気がコンテナ17内を循環するので、コンテナ17内が冷却される。
【0025】
また、コンバータ27にて変換された直流電圧は、充電回路29により、バッテリ28に充電される。従って、車両のエンジン22が駆動している際には、該エンジン22の駆動により発電される電力により、コンプレッサ11を駆動してコンテナ17内を冷却すると共に、バッテリ28に直流電力が充電されることになる。
【0026】
一方、エンジン22が停止している場合には(ステップS11でYES)、ステップS13において、制御部30は、コンプレッサ11、及びファン15を停止させる。
【0027】
ステップS14において、制御部30は、第1のタイマ41を作動させて、エンジン22が停止した後の経過時間の計時を開始する。更に、第2のタイマ42を作動させてコンテナ17のドア開放時間の積算値の計時を開始し、第3のタイマ43を作動させて、コンプレッサ11の駆動時間の積算値の計時を開始する。
【0028】
ステップS15において、制御部30は、ドア開放の積算時間が予め設定した閾値時間T2(第1の閾値時間;例えば、T2=5分)に達したか否かを判断する。そして、積算時間が予め設定した閾値時間T2に達した場合には(ステップS15でYES)、ステップS16において、制御部30は、コンプレッサ11、及びファン15を駆動させる。この処理では、エンジン22が停止してコンプレッサ11、及びファン15が停止した後、ドアの開放時間の積算値が長時間となった場合(閾値時間T2に達した場合)には、外気の流入によりコンテナ17内の温度が上昇しているものと考えられるので、バッテリ28を電源としてコンプレッサ11及びファン15を駆動させることにより、コンテナ17内を冷却する。
【0029】
ステップS17において、制御部30は、コンプレッサ11の駆動時間の積算値が予め設定した閾値時間T3(第2の閾値時間)に達したか否かを判断する。そして、閾値時間T3に達した場合には(ステップS17でYES)、ステップS18において、制御部30は、コンプレッサ11、及びファン15を停止させる。この際、閾値時間T3は、バッテリ28の充電電力でコンプレッサ11、及びファン15を駆動可能な時間として設定する。従って、バッテリ28の充電電力が消費される前の時点でコンプレッサ11、及びファン15を停止させることができる。
【0030】
次いで、ステップS19において、制御部30は、エンジン22停止後の経過時間が予め設定した所定時間T1(例えば、T1=10分)に達したか否かを判断する。そして、所定時間T1に達していない場合には、ステップS15に処理を戻し、所定時間T1に達している場合には、ステップS20に処理を進める。
【0031】
ステップS20において、制御部30は、コンプレッサ11、及びファン15を駆動する。この処理では、エンジン22が停止してコンプレッサ11、及びファン15が停止し、その後、所定時間T1が経過した場合には、コンテナ17内の温度が上昇しているものと考えられるので、コンプレッサ11、及びファン15の駆動を開始することにより、コンテナ17内を冷却する。
【0032】
ステップS21において、制御部30は、ドアスイッチ18a,18bの検出信号に基づいて、コンテナ17に設けられたドアが開いたか否かを判断する。そして、ドアが開いたことが検出された場合には(ステップS21でYES)、ステップS22において、制御部30は、ファン15を停止させる。つまり、ドアが開いている場合には、ファン15を駆動させると、空気流によりコンテナ17内の冷気が外部に流出することが助長されるので、これを防止するために、ファン15を停止させる。
【0033】
更に、ステップS23において、制御部30は、第4のタイマ44を作動させて、ドアが開放されている間の経過時間を計時する。ステップS24において、制御部30は、ドアの開放時間が、予め設定した閾値時間τ1(第3の閾値時間;例えば、τ1=1分)に達したか否かを判断する。そして、閾値時間τ1に達した場合には、ステップS26に処理を進め、閾値時間τ1に達していない場合にはステップS25に処理を進める。
【0034】
ステップS25において、制御部30は、ドアが閉鎖されたか否かを判断する。そして、ドアが閉鎖されていない場合にはステップS23に処理を戻し、ドアが閉鎖された場合には、ステップS32において、制御部30は、ファン15の駆動を開始する。
【0035】
一方、ドア開放時間が閾値時間τ1に達した場合には(ステップS24でYES)、ステップS26において、制御部30は、コンプレッサ11の停止操作を行う。即ち、この時点でファン15は停止し、コンプレッサ11は完全停止に向けて回転数が低下することとなる。
【0036】
更に、制御部30は、ドアスイッチ18a,18bの検出結果に連動してファン15、及びコンプレッサ11の停止、駆動を制御する。具体的には、ドアスイッチ18a,18bにより、ドアが開放されていることが検出された場合には、ファン15及びコンプレッサ11を停止させ、ドアが閉鎖されていることが検出された場合には、ファン15、及びコンプレッサ11を駆動させる。
【0037】
ステップS27において、制御部30は、ドアが開放されてからの経過時間が予め設定した閾値時間τ2(例えば、τ2=5分)に達したか否かを判断する。そして、閾値時間τ2に達した場合には、ステップS29に処理を進め、閾値時間τ2に達していない場合には、ステップS28に処理を進める。
【0038】
ステップS28において、制御部30は、ドアが閉鎖されたか否かを判断する。そして、ドアが閉鎖されていない場合にはステップS27に処理を戻し、ドアが閉鎖された場合には、ステップS33において、制御部30は、ファン15の駆動を開始し、更に、コンプレッサ11の駆動を開始する。
【0039】
一方、ドア開放時間が閾値時間τ2に達した場合には(ステップS27でYES)、ステップS29において、制御部30は、コンプレッサ11を完全に停止させる。
【0040】
ステップS30において、制御部30は、第5のタイマ45を作動させて、コンプレッサ11が停止してからの経過時間が予め設定した閾値時間τ3(例えば、τ3=1分)に達したか否かを判断する。そして、経過時間が閾値時間τ3に達した場合には、ステップS31において、コンプレッサ11を駆動させる。ここで、閾値時間τ3は、コンプレッサ11が完全に停止した後、再度駆動を開始させる際の待ち時間であり、例えば、0秒〜5分に設定することができる。
【0041】
次に、
図4に示すタイミングチャートを参照して、
図2,
図3に示したステップS19〜S29の処理をより具体的に説明する。
【0042】
図4(a)に示す時刻t0にてエンジン22が停止すると、
図4(c)に示すように、ファン15が停止し、更に、
図4(d)に示すように、コンプレッサ11が停止する。この際、コンプレッサ11は、即時に停止するのではなく、一定の遅延時間が経過した後、徐々に回転数が低下して最低回転数となり、その後、完全に停止するように動作する(
図4(d)に示すようにコンプレッサ11のオン、オフ状態が段差をもって変化している)。
【0043】
図4(c),(d)に示すように、エンジン22の停止から所定時間T1が経過すると、この時刻t1にて、ファン15、及びコンプレッサ11が駆動を開始する。その後、時刻t2にてドアが開放された場合には、ファン15が停止し、更に、時刻t3にてドアが閉鎖された場合には、t2〜t3までの時間(ドア開放時間)が予め設定したτ1〜τ2の間であるとき、ドアの開閉と連動して、ファン15、及びコンプレッサ11の駆動、停止が制御される。即ち、時刻t2〜t3間では、ドアの開閉に連動してファン15、及びコンプレッサ11の停止、駆動が切り替えられる。また、時刻t4〜t5に示すように、ドア開放時間が閾値時間τ2を超え、その後ドアが閉鎖された場合には、ドアの閉鎖と同時(時刻t5)にファン15が駆動を開始し、且つ、閾値時間τ3の経過後に、コンプレッサ11が駆動を開始する。
【0044】
即ち、上記のように、ドアの開放時間が、コンプレッサ11の駆動開始時の遅延時間である閾値時間τ1よりも短い場合には、ドアの開放に関わらずコンプレッサ11の駆動が継続される。また、ドアの開放時間が、τ1〜τ2の間である場合には、コンプレッサ11が完全に停止しない時点でドアが閉鎖されるので、コンプレッサ11は停止状態から容易に駆動に転じることができ、ドアの開閉に連動してファン15、及びコンプレッサ11の駆動、停止を制御する。更に、ドアの開放時間がτ2を超えた場合には、コンプレッサ11が完全に停止するので、その後ドアが閉鎖された際には、コンプレッサ11は即時に起動することができず、起動に要する閾値時間τ3の経過後に該コンプレッサ11の駆動を開始する。
【0045】
こうすることにより、エネルギー損失の少ないコンプレッサ11の駆動、停止制御を行うことができることとなる。
【0046】
図5は、
図2のステップS14,S15の処理を示すタイミングチャートである。
図5(a)に示すように、時刻t10にてエンジン22が停止し、その後の経過時間が所定時間T1に達していない場合でも、
図5(b)に示すように、第2のタイマ42により、ドア開放の積算時間が計時され、時刻t11にてドア開放の積算時間が予め設定した閾値時間T2に達した場合には、
図5(c)に示すようにファン15を駆動させ、且つ
図5(d)に示すように、コンプレッサ11を駆動させる。つまり、エンジン22の停止後の経過時間が所定時間T1に達する時刻t12よりも前の時刻t11にてファン15、及びコンプレッサ11が駆動するように制御される。
【0047】
また、エンジン22の停止後で、所定時間T1が経過した後においても同様に、時刻t13〜t14間でドアが開いた場合には、ファン15、及びコンプレッサ11を停止させる。更に、
図5(d)に示すように、コンプレッサ11の積算駆動時間が、時刻t15にて予め設定した閾値時間T3に達した場合には、コンプレッサ11を停止させる。
【0048】
図6は、ドアが短い時間(閾値時間τ1未満の時間)だけ繰り返して開放された際の、ファン15の動作、及びコンプレッサ11の動作を示すタイミングチャートである。
図6(a)に示すように、時刻t20でエンジン22が停止し、
図6(b)に示すようにドアが閾値時間τ1よりも短い時間繰り返して開放された場合には、所定時間T1が経過するまでは、
図6(c),(d)に示すように、ファン15、及びコンプレッサ11は共に停止状態が維持される。また、所定時間T1が経過した時刻t21にて、ファン15、及びコンプレッサ11が駆動を開始する。その後、ファン15は、
図6(c)に示すように、ドアの開閉に連動してオン、オフが切り替えられる。一方、コンプレッサ11は
図6(d)に示すように、ドアの開閉に関係無く駆動状態が維持されることとなる。従って、短時間のドアの開閉が行われた際に、コンプレッサ11は駆動状態が維持されるので、頻繁な駆動、停止が繰り返されることによる機器類の劣化を防止できる。
【0049】
このようにして、本実施形態に係る車両用冷蔵・冷凍装置では、エンジン22が停止した際には、コンプレッサ11、及びファン(エバポレータファン)15を停止させる。つまり、エンジン22を停止した直後は、コンテナ17内に冷気が残留しているので、コンプレッサ11を駆動させなくてもコンテナ17内は十分に温度が低いので、この間のコンプレッサ11、及びファン15を停止することにより、バッテリ28に蓄積された電力の消費を低減することができる。従って、バッテリ28の容量を小型化することができ、また、バッテリ28の軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0050】
また、エンジン22の停止後、所定時間T1が経過した場合には、バッテリ28を電源としてコンプレッサ11及びファン15を駆動させることにより、コンテナ17内の冷却を行う。この際、ドアの開放が検出された場合には、ファン15を停止させることにより、外部に冷気が流出することを防止する。
【0051】
また、エンジン22の停止後の所定時間T1が経過する前には、ファン15、及びコンプレッサ11は停止状態とされ、頻繁な駆動、停止が行われないので、装置の劣化を防止でき、寿命を長くすることができる。
【0052】
更に、ドアの連続した開放時間に応じて、コンプレッサ11の駆動、停止を切り替える。即ち、ドアの開放時間が閾値時間τ1よりも短い場合には、コンプレッサ11の駆動を継続させ、開放時間が閾値時間τ1〜τ2の範囲である場合には、ドアの開閉に連動してコンプレッサ11の駆動、停止を切り替える。更に、ドアの開放時間が閾値時間τ2を超えた場合には、コンプレッサ11を停止させ、その後、ドアが閉鎖された場合には閾値時間τ3が経過した後に、コンプレッサ11の駆動を開始する。従って、コンプレッサ11の駆動状況に応じた適切な制御を行って、コンテナ17内を冷却することができる。
【0053】
また、エンジン22が停止してファン15、及びコンプレッサ11が停止した後にドアが開放された際には、ドア開放の積算時間が計時され、計時された積算時間が予め設定した閾値時間T2に達した場合には、前述の所定時間T1が経過するか否かに関わらず、ファン15、及びコンプレッサ11の駆動を開始させるように制御する。従って、エンジン22の停止後に、ドアの開閉が頻繁に行われて、コンテナ17内の温度が上昇した場合には、ファン15、及びコンプレッサ11を駆動させることにより、コンテナ内を冷却することができる。
【0054】
更に、第3のタイマ43を用いて、コンプレッサ11の積算駆動時間を計時し、この積算駆動時間が閾値時間T3に達した場合には、ファン15、及びコンプレッサ11の駆動を停止させるので、バッテリ28の充電電力が枯渇する前にバッテリ28からの電力供給を停止させることができる。
【0055】
以上、本発明の冷蔵・冷凍装置、及びその制御方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0056】
例えば、上述した実施形態では、送風手段としてエバポレータファン15を例に挙げ、該エバポレータファン15の駆動、停止を切り替える例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンテナ17内の空気を循環させることが可能な他の送風手段を用いることも可能である。