(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。本実施形態のガスバーナー1は焜炉用ガスバーナーであって、例えばキッチン台等に組み込まれるビルトイン焜炉に用いられるバーナーや、焜炉台等に載置されるテーブル焜炉のバーナーとして用いられる。
図2にはガスバーナー1を焜炉2の天板20に設けたときの断面図が示されている。なお、ガスバーナー1は焜炉2以外の機器に設けられるものであってもよい。
【0015】
ガスバーナー1は、バーナー本体3、バーナーキャップ4、ノズル5、ダンパー6、及びバーナーカバー7を具備している。
【0016】
バーナー本体3は、バーナーベース8と、バーナーベース8上に設けられたバーナーボディ9とを備えている。バーナーベース8及びバーナーボディ9はアルミダイキャスト製である。なお、バーナーベース8及びバーナーボディ9はアルミニウム以外の材質で形成されてもよい。
【0017】
バーナーベース8は、内筒部80、フランジ部81、及び混合管部82を有している。内筒部80は上下に貫通する円筒状に形成されている。フランジ部81は内筒部80の下端部から内筒部80外周側に向かって突出している。フランジ部81には上下に貫通する連通口810が形成されている。混合管部82の一端部は連通口810を囲むようにフランジ部81の下面に接続されている。混合管部82の他端側は、フランジ部81外周側に向かって突出しており、その突端の開口はガス供給口820となっている。ガス供給口820は混合管部82内の空間を介して連通口810と連通している。
【0018】
バーナーボディ9は外筒部90と鍔部91を有している。外筒部90は上下に貫通する円筒状に形成されている。鍔部91は外筒部90の下端部から外筒部90外周側に向かって突出している。鍔部91はバーナーベース8のフランジ部81上に密閉状態で載置され、バーナーボディ9はこの状態でバーナーベース8に連結されている。
【0019】
バーナー本体3を焜炉2に設ける場合、例えば
図2に示されるように焜炉2の天板20の孔縁にバーナーリング21が取り付けられ、このバーナーリング21の内側にバーナー本体3がシール部材22を介して嵌め込まれる。
【0020】
バーナーボディ9の外筒部90はバーナーベース8の内筒部80よりも直径が大きく、内筒部80の外周側に隙間を介して配置されている。これにより、バーナー本体3には、内筒部80、フランジ部81、及び外筒部90で形成された水平断面円環状で上方に開口する溝状の通気路32が形成されている。
【0021】
通気路32は連通口810及び混合管部82内の空間を順に介してガス供給口820に連通している。これにより、バーナー本体3には、混合管部82、連通口810、及び通気路32で構成されたガス通路30が形成されている。ガス通路30の通路出口300は、通気路32の上端開口であり、内筒部80の上端部及び外筒部90の上端部によって形成されている。通路出口300はバーナー本体3の上面に平面視円環状に形成されている(
図4、
図7参照)。
【0022】
バーナーキャップ4はアルミダイキャスト製である。なお、バーナーキャップ4はアルミニウム以外の材質で形成されてもよい。
【0023】
バーナーキャップ4は、平面視略円環状で板状の環状部40と、環状部40の内縁部から下方に向かって突出した筒状部41とを備えている。環状部40はバーナーキャップ4の上面部を構成し、バーナーキャップ4は平面視円環状となっている。
【0024】
バーナーキャップ4の環状部40上にはバーナーカバー7が取り付けられている。バーナーキャップ4の上面とバーナーカバー7の下面との間にはバーナーキャップ4の内周側(中心側)と外周側とを連通させる隙間11が形成されている。
【0025】
バーナーキャップ4の環状部40は、バーナー本体3の上面となる外筒部90の上端面に載置されている。
【0026】
環状部40から下方に突出した筒状部41は、バーナー本体3の内筒部80内に嵌め込まれている。これによりバーナーキャップ4はバーナー本体3に対して水平方向に移動不能になっている。また、図示は省略するが、筒状部41はバーナー本体3の内筒部80に対して周方向に回動不能に係止されている。これによりバーナーキャップ4はバーナー本体3に対して周方向に回動不能となっている。つまり、バーナーキャップ4はバーナー本体3に対して位置決めされた状態で載置されている。
【0027】
筒状部41内の空間は下側がバーナー本体3の内筒部80内の空間と連通し、上側がバーナーキャップ4とバーナーカバー7の間に形成された隙間11に連通している。ガスバーナー1の燃焼時においては、バーナーベース8の下側に存在する空気が、二次空気として、内筒部80内の空間、筒状部41内の空間、及び隙間11を順に経て、燃焼が生じるバーナーキャップ4の外周側に供給されるようになっている。
【0028】
図6に示されるように、バーナーキャップ4の環状部40の下面には、バーナーキャップ4の内周側から外周側に向かって延びる炎孔用溝42がバーナーキャップ4の周方向に多数(複数)形成されている。これら炎孔用溝42はバーナーキャップ4の径方向と略平行であり、環状部40の中心を基準に放射状に形成されている。
【0029】
環状部40において隣り合う炎孔用溝42の間には、下方に突出する仕切部401が形成されている。これら仕切部401により隣り合う炎孔用溝42の大部分は仕切られている。
【0030】
各仕切部401のバーナーキャップ4内周側の端部には、上方に凹んだ第一凹所402が形成されている。各仕切部401の第一凹所402は、両側の炎孔用溝42のバーナーキャップ4内周側の端部同士を連通させている。これにより、環状部40の内周側端部には、多数の炎孔用溝42のバーナーキャップ4内周側の端部と、多数の第一凹所402とで構成されて、底面視円環状に連続した下方に開口する環状溝403が形成されている。
【0031】
各炎孔用溝42の上底面を構成する環状部40の下面には、下方に向かって突出する区画部422が形成されている。各区画部422は、炎孔用溝42のバーナーキャップ4外周側で且つ溝幅方向中央部に形成されており、炎孔用溝42のバーナーキャップ4外周側の部分を二条の溝部420に分岐させている。
【0032】
バーナーキャップ4の各区画部422のバーナーキャップ4外周側に臨む面は、各仕切部401のバーナーキャップ4外周側に臨む面よりも、バーナーキャップ4内周側に控えた位置にある。これにより、各炎孔用溝42における区画部422のバーナーキャップ4外周側には、バーナーキャップ4外周側に開口する空所421が形成されている。各区画部422の両側の溝部420のバーナーキャップ4外周側の端部同士は空所421を介して連通している。
【0033】
図3に示されるように各仕切部401の下面、及び、各区画部422の下面は、外筒部90の上端面に載置されている。これにより、バーナーキャップ4の環状溝403は、
図1や
図5に示されるようにバーナー本体3の上面に形成された通路出口300に対向する位置に配置され、ガス通路30に連通している。
【0034】
バーナーキャップ4の各炎孔用溝42は、バーナー本体3の上面である外筒部90の上端面とで炎孔10を形成する。すなわち、ガスバーナー1には、バーナーキャップ4の内周側から外周側に延びる炎孔10がバーナーキャップ4周方向に多数形成されている。
【0035】
各炎孔10の出口である炎孔出口100は、炎孔用溝42のバーナーキャップ4外周側の端部と、これに対向するバーナー本体3の外筒部90の上端面とで構成されており、バーナーキャップ4の外周側に開口している。各炎孔出口100は炎孔用溝42内の空間を経て環状溝403に連通している。これにより、各炎孔出口100はバーナー本体3のガス通路30の通路出口300に連通している。
【0036】
図2に示されるように、バーナー本体3の混合管部82のガス供給口820側の端部には、ノズル5とダンパー6が設けられている。ノズル5及びダンパー6はバーナーベース8に取り付けられている。前述のようにガスバーナー1が焜炉2に組み込まれる場合、ノズル5及びダンパー6は、バーナー本体3の混合管部82と共に焜炉2内に配置される。
【0037】
ノズル5は焜炉2に設けられたガス供給路23に接続され、ガス供給路23から燃料ガスの供給を受ける。ガス供給路23からノズル5への燃料ガスの供給量は、ガスバーナー1の利用者により変更可能とされる。ガスバーナー1が焜炉2に設けられる場合、例えばガス供給路23に器具栓が設けられ、この器具栓を焜炉2の正面部に設けられた操作部(例えば操作パネルの摘まみ)によって操作することで、ノズル5への燃料ガスの供給量が変更される。
【0038】
ノズル5の先端部にはガス供給口820の中心部に臨む噴出口50が形成されている。ノズル5に供給された燃料ガスは噴出口50から混合管部82内に向けて噴出されるようになっている。また、このノズル5からの燃料ガスの噴出に伴ってノズル5周囲の空気が吸引され、この空気が一次空気としてノズル5から噴出された燃料ガスと共に混合管部82内に供給されるようなっている。
【0039】
ダンパー6としては、例えばガス供給口820に配置されており、ダンパー6の開口面積は使用されるガス燃料に応じた所定の開口面積としてあるが、前記操作部の操作に応じてガス供給口820の開口面積を変更するものを用いてもよい。なお、このようにダンパー6を設けた場合にも、ガスバーナー1の火力が大火から小火に変更されたときには、一次空気が慣性によってバーナー本体3に瞬間的に多く供給される可能性がある。
【0040】
前記のようにノズル5の噴出口50からダンパー6を介して混合管部82に供給された燃料ガス及び一次空気は、混合管部82において連通口810に向かう過程で混合される。この混合気体は、ガス通路30から各炎孔10に供給される。すなわち、混合管部82内の混合気体は、バーナー本体3の連通口810及び通気路32を経て
図1や
図5に示される上方のバーナーキャップ4の環状溝403に供給され、この後、環状溝403よりもバーナーキャップ4外周側に位置する各炎孔用溝42に供給される。そして、このように各炎孔用溝42に供給された混合気体は、区画部422両側の溝部420を経て空所421を通じて合流し、この後、炎孔出口100から吐出される。
【0041】
図4に示されるようにバーナー本体3の外筒部90の上端面において、バーナーキャップ4の環状部40の外周側端部に対向する部分は、その内周側に位置する部分よりも段落した段落面900となっている。段落面900は外筒部90の周方向に亘って形成されている。
【0042】
外筒部90の上端面において段落面900よりも内周側の部分は、バーナーキャップ4の各仕切部401の内周側や各区画部422が載置される載置部901となっている。
図1及び
図5に示されるように、載置部901及び、これに載置される各仕切部401の内周側の下面並びに各区画部422の下面は、バーナーキャップ4外周側に向かって略同一の角度で上り傾斜している。
【0043】
ガスバーナー1には、
図3に示されるように、バーナーキャップ4の外周側に開口する保炎孔12が、バーナーキャップ4の周方向に多数(複数)形成されている。各保炎孔12は、バーナー本体3の段落面900と、これに対向するバーナーキャップ4の仕切部401の外周側の下面とで構成されている。以下、この保炎孔12と炎孔10を区別するため、炎孔10を主炎孔10と記載する。
【0044】
各保炎孔12はその両側の主炎孔10のバーナーキャップ4外周側の端部同士を連通させている。
図6に示されるように、バーナーキャップ4の各仕切部401の下面において、第一凹所402よりもバーナーキャップ4外周側に位置する部分には、上方に凹んだ第二凹所404が形成されている。第二凹所404のバーナーキャップ4内周側は空所404aを介して第一凹所402に連通している。バーナー本体3のガス通路30からバーナーキャップ4の環状溝403に供給された混合気体の一部は、第一凹所402から空所404a及び第二凹所404を順に経て各保炎孔12に供給されるようになっている。
【0045】
バーナーキャップ4の仕切部401のうちの一つの仕切部401は、点火用の混合気体を通過させる仕切部401aとなっている。この仕切部401aの第二凹所404のバーナーキャップ4外周側は、空所404bを介してバーナーキャップ4外周側に連通している。バーナー本体3のガス通路30からバーナーキャップ4の環状溝403に供給された混合気体の一部は、第一凹所402から空所404a、仕切部401aの第二凹所404、及び空所404bを順に経てバーナーキャップ4の外周側に供給されるようになっている。
【0046】
仕切部401aの上部にはバーナーキャップ4外周側に突出した庇部407が形成されている。庇部407の下面にはスパークターゲット13が設けられている。
図2に示されるように、バーナー本体3のフランジ部81とこの上の鍔部91で構成された部分には、スパークターゲット13との間において点火スパークを発生させる点火プラグ14が設けられている。
【0047】
ガスバーナー1を燃焼させるには、ノズル5から噴出された燃料ガスと一次空気とがバーナー本体3に供給された状態において、点火プラグ14による点火スパークを生じさせる。これにより、仕切部401aの第二凹所404から空所404bを介してバーナーキャップ4の外周側に供給された混合気体が点火されて、空所404bに対応する箇所に点火炎が形成される。この点火炎は、各保炎孔12からバーナーキャップ4外周側に供給された混合気体や、各主炎孔10からバーナーキャップ4外周側に供給された混合気体に火移りし、これにより、ガスバーナー1の各炎孔出口100及び各保炎孔12の出口において火炎が形成される。
【0048】
ガスバーナー1の火力が大火から小火に変更された場合、ノズル5からの燃料ガスの噴出に伴って吸引される一次空気が慣性によりバーナ本体3に噴出される燃料ガスの量に対する比率が瞬間的に多く供給される可能性があり、この場合、一次空気の混合比率が高いエアリッチな混合気体が炎孔出口100に供給されて燃焼不良が生じることが懸念される。この点を改善するため、本実施形態のガスバーナー1にあっては、
図1に示されるようにバーナー本体3にサブチャンバー31が形成されている。
【0049】
サブチャンバー31は、バーナーボディ9の外筒部90に形成されている。サブチャンバー31は外筒部90の厚み内に通気路32とは独立する室となるように形成されている。サブチャンバー31は、
図7に示されるようにガス通路30の下流部を構成する水平断面円環状の通気路32の外側に位置し、通気路32の外周縁に沿って外筒部90の周方向の一部に形成されている。
【0050】
サブチャンバー31は、チャンバー入口310と、チャンバー出口311を有している。チャンバー入口310は平面視で外筒部90の周方向に伸びるサブチャンバー31の一端部に形成されている。サブチャンバー31はチャンバー入口310を通じて通気路32と連通している。
【0051】
チャンバー出口311は外筒部90の上端面に設けられており、上方に開口している。チャンバー出口311は、外筒部90の周方向に伸びるサブチャンバー31においてチャンバー入口310とは反対側の端部に形成されている。チャンバー出口311は、バーナーキャップ4の炎孔用溝42のうちの一つの炎孔用溝42、すなわち、
図1に示される炎孔用溝42に対向する位置にあり、この炎孔用溝42の区画部422よりもバーナーキャップ4内周側に位置している。
【0052】
以下、前記チャンバー出口311が臨む炎孔用溝42、すなわち、サブチャンバー31から混合気体が供給される炎孔用溝42を、他の炎孔用溝42と区別するために炎孔用溝42aと記載する。また、この炎孔用溝42aを用いて構成された主炎孔10を他の主炎孔10と区別するため、主炎孔10aと記載し、主炎孔10aの炎孔出口100を炎孔出口100aと記載する。
【0053】
図4及び
図7に示されるように、バーナー本体3の外筒部90の周方向の一部は他部よりも内周側に突出した突出部902となっている。これにより平面視円環状の通路出口300は、その周方向の一部の幅(外筒部90と内筒部80の間隔)が他部の幅よりも小さくなっており、また、この幅狭となった部分の外周縁が最外周縁となる他部の外周縁よりも内周側に位置している。チャンバー出口311は外筒部90の突出部902の上端面に形成されており、平面視において円環状の通路出口300の最外周縁よりも内側に位置している。チャンバー出口311は平面視で通路出口300に沿った略矩形状に形成されている。
【0054】
図1に示されるように、炎孔用溝42aにおいて通路出口300(詳しくは前記幅狭になった周方向の一部)に対向する箇所を第一箇所423としたとき、チャンバー出口311は、炎孔用溝42aにおいて第一箇所423よりもバーナーキャップ4外周側に位置する箇所に臨んでいる。以下、炎孔用溝42aにおいてチャンバー出口311に対向する箇所を第二箇所424と記載する。
【0055】
前記のガスバーナー1の燃焼時においては、ガスバーナー1の通気路32に供給された混合気体の一部がチャンバー入口310からサブチャンバー31内に供給され、この混合気体は炎孔用溝42aの第二箇所424に供給される。ガスバーナー1の燃焼時には、ガス通路30を通じて主炎孔10や保炎孔12に供給される混合気体の一部がサブチャンバー31に流動しながら貯留されることとなる。
【0056】
チャンバー入口310の流路面積は、チャンバー出口311の流路面積より小さくなっている。このため、サブチャンバー31内の混合気体はチャンバー出口311から炎孔用溝42aに安定して流出するようになっている。ここで、前記流路面積とは混合気体の流れ方向と直交する断面における面積である。
【0057】
前記のサブチャンバー31を設けることで、ガスバーナー1の燃焼時に火力が大火から小火に変更されたときには、大火状態での燃焼時においてサブチャンバー31に貯留された混合気体が、通気路32からチャンバー入口310に供給された混合気体により、チャンバー出口311から炎孔用溝42aの第二箇所424に押し出されるようになる。一方、前述のように通気路32から通路出口300を介して炎孔用溝42aの第一箇所423に直接供給された混合気体は、炎孔用溝42aに沿って炎孔出口100a側に向かう。そして、この混合気体には前記チャンバー出口311から上方に吹き出された混合気体が第二箇所424において合流され、この後、炎孔出口100aからバーナーキャップ4の外周側に吐出される。これにより、火力が大火から小火に急に変更されたときに、炎孔出口100aから吹き出される混合気体における一次空気の比率が増加することを抑制することができる。従って、炎孔出口100aに形成された火炎は消え難くなり、ガスバーナー1の燃焼を良好に維持することができる。
【0058】
また、
図1に示されるように炎孔用溝42aにおける第一箇所423と第二箇所424の間には、サブチャンバー31から炎孔用溝42aの第二箇所424に供給された混合気体の第一箇所423側に向かう流れを遮る堰部33が設けられている。すなわち、堰部33は、通路出口300から炎孔用溝42aに直接供給された混合気体の流れを基準としたときに、第一箇所423よりも下流側且つ第二箇所424よりも上流側に位置している。
【0059】
本実施形態の堰部33は、
図6に示されるようにバーナーキャップ4の炎孔用溝42aの上面を構成する環状部40の下面から下方に突出して、炎孔用溝42aの長さ方向(バーナーキャップ4の径方向)と略直交する壁部で構成されている。この堰部33は炎孔用溝42aにおいて環状溝403を構成する部分に存在している。
【0060】
堰部33には炎孔用溝42aの長さ方向に貫通する空隙330が形成されており、炎孔用溝42aの第一箇所423と第二箇所424は空隙330を介して連通している。通路出口300から炎孔用溝42aの第一箇所423に供給された混合気体は、堰部33に形成された空隙330を通って炎孔出口100a側(第二箇所424側)に供給されるようになっている。
【0061】
本実施形態の空隙330は、堰部33の下端部にバーナーキャップ4周方向における両端部を残して形成された切欠で構成されている。空隙330のバーナーキャップ4周方向における両端部は、炎孔用溝42aの両溝部420のバーナーキャップ4内周側に位置している。この空隙330は炎孔出口100aのあるバーナーキャップ4外周側に向かって開口している。このため、第一箇所423から空隙330に流入した混合気体は、空隙330からバーナーキャップ4外周側に向かって吹き出されるようになっている。
【0062】
前記のように炎孔用溝42aに堰部33を設けることで、チャンバー出口311から炎孔用溝42aの第二箇所424に供給された混合気体は、通路出口300に対向する第一箇所423側に流動し難くなる。このため、サブチャンバー31内の混合気体が炎孔出口100aに供給されやすくなり、これにより火力が大火から小火に変更されたときの燃焼不良をより一層生じ難くすることができる。
【0063】
また、サブチャンバー31内の混合気体がチャンバー出口311から上方に吹き出されると、この影響を受けて炎孔出口100aで形成される火炎が上方向に偏向してしまうことが懸念される。しかし、本実施形態では、堰部33に形成された空隙330をバーナーキャップ4外周側に向けて開口させたことにより、炎孔用溝42aの第一箇所423にある混合気体は、空隙330を介して、第二箇所424のあるバーナーキャップ4外周側に向けて吹き出されるようになる。このため、前記空隙330からバーナーキャップ4外周側に向けて吹き出された混合気体により、炎孔出口100aから吹き出される混合気体が上方向に偏向し難くなり、これにより炎孔出口100aで形成される火炎は上方向に偏向し難くなる。
【0064】
また、前述したようにチャンバー出口311は平面視において円環状の通路出口300の最外周縁よりも内側に位置している(
図4、
図7参照)。このため、チャンバー出口311から炎孔出口100aまでのバーナーキャップ4径方向における距離La(
図1参照)を長く確保し、この距離Laと、通路出口300から炎孔出口100aまでのバーナーキャップ4径方向における距離Lb(
図5参照)との差ΔL(ΔL=La−Lb)を小さくすることができる。従って、炎孔用溝42aの第二箇所424に存在する混合気体が炎孔出口100aに至るまでに略水平方向に流れる区間を長くすることができ、これにより炎孔出口100aから吹き出される混合気体は上方向に偏向し難くなる。従って、炎孔出口100aに形成される火炎が上方向に偏向することを一層抑制することができる。
【0065】
図6に示されるように、炎孔用溝42aの両側の仕切部401の炎孔用溝42a側の端部には、バーナーキャップ4内周側に突出したガイド壁44が形成されている。各ガイド壁44のバーナーキャップ4内周側の端部は、堰部33の対応する側端部に接続されており、両ガイド壁44は、炎孔用溝42aの第一箇所423と、炎孔用溝42aの両側に位置する仕切部401に形成された第一凹所402とを仕切っている。両ガイド壁44は、炎孔用溝42aにおいて堰部33の空隙330からバーナーキャップ4外周側に向けて吐出された混合気体を、炎孔出口100a側へ導くガイドとして機能する。このため、混合気体が炎孔出口100a側に効果的に通流することになり、炎孔出口100aで形成される火炎はより一層上方向に偏向し難くなる。なお、両ガイド壁44は、チャンバー出口311から第二箇所424へ供給された混合気体を第一凹所402へ流出させないための堰部としても機能することになる。
【0066】
バーナーキャップ4の炎孔用溝42のうち、チャンバー出口311が臨む炎孔用溝42a以外の炎孔用溝42にあっては、
図5に示されるように炎孔用溝42の上底面がバーナーキャップ4径方向における略全体に亘ってバーナーキャップ4外周側に行く程高くなる傾斜面425となっている。これに対して、チャンバー出口311が臨む炎孔用溝42aにあっては、
図1に示されるように上底面においてバーナーキャップ4径方向における一部を水平な面426としている。
【0067】
具体的には、炎孔用溝42aの上底面において、チャンバー出口311に対向する部分とバーナーキャップ4外周側の端部との夫々を水平な面426としており、これら2つの面426の間の部分をバーナーキャップ4外周側に行く程高くなる傾斜面427としている。このように炎孔用溝42aの上底面の一部を水平な面426とすることで、炎孔用溝42aの混合気体はバーナーキャップ4外周側に向けて一層吐出されやすくなり、これにより炎孔出口100aで形成される火炎はより一層上方向に偏向し難くなる。なお、各面426はバーナーキャップ4外周側に行く程低くなる面としても構わない。
【0068】
本実施形態では炎孔用溝42aに設けられる堰部33を壁部で形成したが、炎孔用溝42aに設けられる堰部33の形状は壁状に限られず、例えばブロック状であってもよい。また、本実施形態では堰部33をバーナーキャップ4に形成したが、例えば外筒部90の上端面から上方に突出形成する等、バーナー本体3側に形成しても構わない。
【0069】
また、本実施形態の堰部33に形成された空隙330は切欠であるが、孔であってもよい。さらには、例えば
図8に示されるように堰部33には炎孔用溝42aの第一箇所423と第二箇所424とを連通させる空隙330を設けなくてもよい。すなわち、この例では、炎孔用溝42aにおいて第一箇所423と第二箇所424とを非連通にしてあり、バーナー本体3の通路出口300からバーナーキャップ4の環状溝403に直接供給された混合気体は炎孔出口100aに供給されないようになっている。
【0070】
また、本実施形態では平面視においてチャンバー出口311の全部が通路出口300の最外周縁よりも内側に形成されるようにしたが、チャンバー出口311の一部のみが通路出口300の最外周縁よりも内側に形成されるようにしても構わない。
【0071】
また、本実施形態では炎孔用溝42に区画部422を形成して二条の溝部420に分岐させたが、区画部422は省略可能である。また、ノズル5はバーナー本体3ではなく機器に取り付けてもよい。また、ダンパー6は省略可能である。