(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、薄型化が図られると共に、輝度及びその均一性の低下を抑制することができるライトガイドフィルム、超薄型液晶バックライトユニット及び携帯型コンピュータの提供をすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
端面から入射する光線を表面から略均一に出射する平均厚さ600μm以下の超薄型液晶バックライト用ライトガイドフィルムであって、
表面若しくは表面及び裏面が波状の微細変調構造を有することを特徴とする。
【0009】
当該ライトガイドフィルムは、表面若しくは表面及び裏面が波状の微細変調構造を有することから、導光性及び拡散性又は出光性が促進され、600μm以下に超薄型であっても、表面から出射する光線の輝度及びその均一性の低下を抑制することができる。具体的には、当該ライトガイドフィルムの微細変調構造における稜線方向と光線の入射方向とを略平行に設置した場合、波状の微細変調構造により透過光線が稜線方向側に集光されやすいため、入射した光線の導光性を高めることができ、加えて表面から出射する光線が波状の微細変調構造での屈折により稜線方向と垂直方向に若干拡散されるため、出射光線の拡散性を向上することができる。一方、当該ライトガイドフィルムの微細変調構造における稜線方向と光線の入射方向とを略垂直に設置した場合、波状の微細変調構造により表面及び又は裏面への光線の入射角が変動することに起因し、表面からの出光性を向上することができる。
【0010】
上記微細変調構造における稜線間隔としては1mm以上500mm以下が好ましく、複数の谷線が通る近似仮想面を基準とする稜線の平均高さとしては5μm以上40μm以下が好ましい。このように上記稜線間隔及び稜線高さを上記範囲とすることで、上述の導光性及び拡散性又は出光性を効果的に促進することができる。
【0011】
当該ライトガイドフィルムは、押出シート成形法により形成するとよい。かかる押出シート成形法によれば、押出ダイに上記微細変調構造の稜線と垂直断面形状の反転形状をつけることで、表面若しくは表面及び裏面が波状の微細変調構造を有するライトガイドフィルムを容易かつ確実に形成することができる。
【0012】
当該ライトガイドフィルムのリタデーション値としては50nm以下、残留応力としては8×10
5Pa以下が好ましい。このように当該ライトガイドフィルムのリタデーション値及び残留応力を上記範囲とすることで、経時変化による歪み、リタデーション値の増大等のおそれが低減され、その結果、上述の導光性及び拡散性又は出光性の向上効果を長期間維持することができる。
【0013】
当該ライトガイドフィルムは、裏面に拡散パターンを有することが好ましい。これにより、光源から導入された光線を拡散パターンによって効率よく拡散させて表面側から出射させることができる。
【0014】
当該ライトガイドフィルムは、上記拡散パターンが、半球状の複数の凹部からなる構成であってもよい。これにより、当該ライトガイドフィルムの薄型化を促進することができる。
【0015】
また、上記光拡散パターンが、レーザー照射によって発色した複数の光散乱部からなる構成であってもよい。これにより、所望の拡散パターンを容易かつ確実に形成することができる。また、このような方法によって拡散パターンを形成する場合、当該ライトガイドフィルムの裏面に凸部等を設ける必要がないため、当該ライトガイドフィルムの薄型化を促進することができる。
【0016】
また上記課題を解決するための別の発明は、反射板、この反射板の表面側に積層される当該ライトガイドフィルム、及び当該ライトガイドフィルムの端面に光を照射する光源を備える超薄型液晶バックライトユニット、並びに当該超薄型液晶バックライトユニットを液晶表示部に備える携帯型コンピュータである。当該超薄型液晶バックライトユニット及び携帯型コンピュータは、当該ライトガイドフィルムが上述のように導光性及び拡散性又は出光性を有することから、輝度及びその輝度の面均一性を促進することができる。
【0017】
なお、「表面」とは、液晶表示部の表示面側を意味する。「裏面」とは、天板側を意味し、液晶表示部の表示面の反対側を意味する。「残留応力」とは、外部から応力を付加しなくても内部に生じている応力であり、計算式「リタデーション(Re)(nm)/(光弾性係数(10
12/Pa)×厚み(cm))」により算出した値である。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の超薄型液晶バックライト用ライトガイドフィルム、超薄型液晶バックライトユニット及び携帯型コンピュータは、薄型化が図られると共に、輝度及びその均一性の低下が抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第一実施形態]
<携帯型コンピュータ>
図1の携帯型コンピュータ1は、ラップトップコンピュータであり、操作部2と、この操作部2に回動可能(開閉可能)に連結された液晶表示部3とを有している。携帯型コンピュータ1は、筐体(携帯型コンピュータ1の構成部分を全体的に収容するケーシング)の厚み(最厚部(液晶表示部3の閉塞時))が21mm以下であり、いわゆるウルトラブック(登録商標)と呼ばれるものである(以下「超薄型コンピュータ1」ということがある)。
【0021】
当該超薄型コンピュータ1の液晶表示部3は、液晶パネル4と、この液晶パネル4に向けて裏面側から光を照射するエッジライト型の超薄型液晶バックライトユニット11(以下「バックライトユニット11」ということがある)とを有している。この液晶パネル4は、筐体の液晶表示部用ケーシング5によって、表面、側面、及び方面の周囲が保持されている。ここで、液晶表示部用ケーシング5は、液晶パネル4の表面(及び背面)に配設される天板14と、液晶パネル4の表面の周囲の表面側に配設される表面支持部材6とを有している。なお、当該超薄型コンピュータ1の筐体は、液晶表示部用ケーシング5、及びこの液晶表示部用ケーシング5にヒンジ部7を介して回動可能に設けられ、中央演算処理装置(超低電圧CPU)等が内蔵される操作部用ケーシング8を有している。
【0022】
液晶表示部3の厚みは、筐体の厚みが所望範囲であれば特に限定されるものでないが、液晶表示部3の厚みの上限としては7mmが好ましく、6mmがより好ましく、5mmがさらに好ましい。一方、液晶表示部3の厚みの下限としては2mmが好ましく、3mmでがより好ましく、4mmがさらに好ましい。液晶表示部3の厚みが上記上限を超えると、超薄型コンピュータ1の薄型化の要請に沿うことが困難となるおそれがある。また、液晶表示部3の厚みが上記下限未満であると、液晶表示部3の強度の低下や輝度低下等を招くおそれがある。
【0023】
<バックライトユニット>
図2のバックライトユニット11は、ライトガイドフィルム12と、ライトガイドフィルム12の裏面に積層される反射板13と、ライトガイドフィルム12に光を照射する光源15とを有している。この光源15は、後述するライトガイドフィルム12の微細変調構造における稜線方向と略直行する端面側に配設される。
【0024】
(ライトガイドフィルム)
図3のライトガイドフィルム12は、端面から入射する光線を効率よく導光させ表面側から略均一に出射させる。ライトガイドフィルムは、平均厚さが600μm以下に形成されている。ライトガイドフィルム12は、シート本体16を有している。シート本体16の裏面には、拡散パターン17が形成されている。
【0025】
シート本体16は、略直方体状に形成されている。シート本体16の平均厚さは、600μm以下とされている。シート本体16の平均厚さの上限は、580μmがより好ましく、550μmがさらに好ましい。一方、シート本体16の平均厚さの下限は、100μmが好ましく、150μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。シート本体16の平均厚さが上記上限を超える場合、超薄型コンピュータ1において望まれるバックライトユニット11の薄型化の要望に沿えないおそれがある。また、シート本体16の平均厚さが上記下限未満の場合、ライトガイドフィルム12の強度が不十分となるおそれがあり、また、光源15の光を十分に入射させることができないおそれがある。
【0026】
シート本体16は、透光性を有する必要があるため透明、特に無色透明に形成されている。シート本体16の主成分としては、特に限定されないが、透明性、強度等に優れるポリカーボネート系樹脂や、透明性、耐擦傷性等に優れるアクリル系樹脂等の合成樹脂が挙げられる。なかでも、シート本体16の主成分としては、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。ポリカーボネート系樹脂は、透明性に優れると共に屈折率が高いため、空気層(ライトガイドフィルム12の表面側に配設される光学シート16との隙間に形成される層及びライトガイドフィルム12の裏面側に配設される反射板13との隙間に形成される層)との界面で全反射が起こりやすく、光線を効率的に伝搬させることができる。また、ポリカーボネート系樹脂は、耐熱性を有するため、光源15の発熱による劣化等が生じ難い。また、ポリカーボネート系樹脂は、アクリル系樹脂に比べて吸水性が少ないため、寸法安定性が高い。
【0027】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、直鎖ポリカーボネート系樹脂又は分岐ポリカーボネート系樹脂のいずれかのみであってもよく、直鎖ポリカーボネート系樹脂と分岐ポリカーボネート系樹脂との双方を含むポリカーボネート系樹脂であってもよい。
【0028】
直鎖ポリカーボネート系樹脂としては、公知のホスゲン法又は溶融法によって製造された直鎖の芳香族ポリカーボネート系樹脂であり、カーボネート成分とジフェノール成分とからなる。カーボネート成分を導入するための前駆物質としては、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。また、ジフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−チオジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3−ジクロロジフェニルエーテル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組合わせて使用することができる。このような直鎖ポリカーボネート系樹脂は、例えば、米国特許第3989672号に記載されている方法等で製造される。
【0029】
分岐ポリカーボネート系樹脂としては、分岐剤を用いて製造したポリカーボネート系樹脂であり、分岐剤としては、例えば、フロログルシン、トリメリット酸、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
【0030】
このような分岐ポリカーボネート系樹脂は、例えば、特開平03−182524号公報に挙げられているように、芳香族ジフェノール類、上記分岐剤およびホスゲンから誘導されるポリカーボネートオリゴマー、芳香族ジフェノール類および末端停止剤を、これらを含む反応混合液が乱流となるように撹拌しながら反応させ、反応混合液の粘度が上昇した時点で、アルカリ水溶液を加えると共に反応混合液を層流として反応させる方法により製造することができる。
【0031】
シート本体16は、上記分岐ポリカーボネート系樹脂をポリカーボネート系樹脂中に5重量%以上80重量%以下の範囲で含有することが好ましく、10重量%以上60重量%以下の範囲で含有することがより好ましい。これは、分岐ポリカーボネート系樹脂が5重量%未満では、伸長粘度が低下し押出成形での成形が困難となるためであり、80重量%を超えると、樹脂の剪断粘度が高くなり成形加工性が低下するためである。
【0032】
シート本体16は、透明性を害さない範囲で他の任意成分を含んでよいが、上記直鎖ポリカーボネート系樹脂及び/又は分岐ポリカーボネート系樹脂を好ましくは90質量%以上含み、さらに好ましくは98質量%以上含むとよい。ここでの任意成分としては、例えば紫外線吸収剤、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、位相差低減剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび等が挙げられる。
【0033】
シート本体16の表面は、波状の微細変調構造を有している。また、波状の微細変調構造における稜線18方向と光線が入射する端面とが略直交している。これにより、当該ライトガイドフィルム12内を伝播する光線が表面において反射する際に一部の光線の進行方向が稜線18側に寄るため、光線が稜線方向側に集光されやすくなる。また、これに加えて表面から出射する光線が波状の上記微細変調構造での屈折により稜線方向と垂直方向に若干拡散するため、出射光線の拡散性が向上する。
【0034】
上記微細変調構造における稜線間隔pとしては、特に限定されないが、1mm以上500mm以下が好ましい。稜線間隔pの上限は、100mmがより好ましく、60mmがさらに好ましい。一方、稜線間隔pの下限は、10mmがより好ましく、20mmがさらに好ましい。稜線間隔pが上記範囲外の場合、当該ライトガイドフィルム12内を伝播する光線が稜線方向側に集光されにくい。なお、微細変調構造における全ての稜線間隔pが上記範囲内にあることが好ましいが、微細変調構造における複数の稜線間隔pのうち一部が上記範囲外であってもよく、この場合には、複数の稜線間隔のうち50%以上、好ましくは70%の稜線間隔が上記範囲内にあるとよい。
【0035】
また、上記変調構造における複数の谷線19が通る近似仮想面を基準とする稜線18の平均高さhとしては、特に限定されるものではないが、5μm以上40μm以下が好ましい。上記平均高さhの上限は、20μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。一方、上記平均高さhの下限は、7μmがより好ましく、9μmがさらに好ましい。上記平均高さhが上記範囲外の場合、当該ライトガイドフィルム12内を伝播する光線が稜線方向側に集光されにくい。
【0036】
シート本体16のリタデーション値(Re)としては、特に限定されるものでないが、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。リタデーション値(Re)が上記上限を超える場合、光線の光学特性が変化するためシート本体16から出射する光線の拡散性を向上させることができないおそれがある。
【0037】
また、シート本体16の残留応力としては、特に限定されるものでないが、8×10
5Pa以下が好ましく、5×10
5Pa以下がより好ましく、3×10
5Pa以下がさらに好ましい。残留応力が上記上限を超える場合、経時変化によりシート本体16の歪みが生じやすくなり、歪んだシート本体16の表面が湾曲するおそれがある。また、光弾性の性質として生じるリタデーション値(Re)が増大等するおそれがある。その結果、シート本体16から出射する光線の輝度及びその均一性の向上効果を長期間維持できないおそれがある。
【0038】
拡散パターン17は、複数の凹部からなり、シート本体16の裏面に形成されている。複数の凹部は、シート本体16の裏面に散点状に形成されており、当該ライトガイドフィルム12から均一な光を表面側から出射できるように配設されている。具体的には、複数の凹部は、光源15に近接する位置での存在割合が少なく、光源15から遠くなるにつれて存在割合が多くなるように形成されている。複数の凹部の存在割合の調整は、各凹部の大きさを同一としつつ配設位置を調整したり、各凹部の大きさを変更することによって可能である。ただし、ライトガイドフィルム12の薄型化を促進しつつ導光性を向上させる点からは、各凹部の大きさを同一としつつ配設位置を調整する方が好ましい。
【0039】
上記凹部の平均径は、特に限定されないが、50μm以下が好ましい。上記凹部の平均径の上限としては、40μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。一方、上記凹部の平均径の下限としては、0.5μmが好ましく、1μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。上記凹部の平均径が上記上限を超える場合、輝度ムラを生じるおそれがあると共に、上記凹部の高さが大きくなり、ライトガイドフィルム12の薄型化の促進が困難になるおそれがある。逆に、上記凹部の平均径が上記下限未満の場合、光散乱効果が十分に得られないおそれがある。なお、「径」とは、外形の最大幅と、その最大幅方向に直交方向の外形の幅との中間値を意味する。さらに、「平均径」とは、複数の凹部の径の平均値をいう。
【0040】
上記凹部の形状としては、特に限定されないが、半球状、円錐状、円筒状、多角錐状、多角柱状、蹄状等とすることが可能である。なかでも、上記凹部は、半球状の凹状部として形成されることが好ましい。上記凹部を半球状の凹状部とすることによって、成形性が向上され、エッジが出るのを防止することができると共に、薄型化が促進される。
【0041】
(反射板)
反射板13は、ライトガイドフィルム12の裏面側から出射された光線を表面側から反射させる。反射板13としては、ポリエステル系樹脂等の基材樹脂にフィラーを分散含有させた白色シートや、ポリエステル系樹脂等から形成されるフィルムの表面にアルミニウム、銀等の金属を蒸着させることで正反射性が高められた鏡面シート等が挙げられる。
【0042】
(天板)
天板14は、金属製又は樹脂製の板材から形成されている。この金属製の天板14としては、例えばアルミニウム製の板材を用いることができる。ここで、この板材の厚みは、500μm以上1200μm以下であることが好ましく、700μm以上900μm以下であることがより好ましい。また、この天板14は、上記板材の周囲が表面側に湾曲して形成され、この湾曲した部位がリブとして機能して天板14としての十分な強度を有している。なお、このリブの湾曲部位以外の部分(中央部分)は、平坦面とされているが、幾何学模様等のパターンをエンボス加工することも可能である。
【0043】
(光源)
光源15は、液晶表示部用ケーシング5に内蔵されており、照射面がライトガイドフィルム12の微細変調構造における稜線方向と略直行する端面に対向(又は当接)するよう配設されている。光源15としては、種々のものを用いることが可能であり、例えば発光ダイオード(LED)を用いることが可能である。具体的には、この光源15として、複数の発光ダイオードが当該ライトガイドフィルム12の端面に沿って配設されたものを用いることができる。
【0044】
当該バックライトユニット11においては、ライトガイドフィルム12の一つの側縁のみの側方に光源15を配設する片側エッジライト方式や、ライトガイドフィルム12の対向する側縁の側方に光源15をそれぞれ配設する両側エッジライト方式等を採用することが可能である。
【0045】
<ライトガイドフィルムの製造方法>
次に、当該ライトガイドフィルム12の製造方法について説明する。
【0046】
ライトガイドフィルム12の製造方法としては、波状の微細変調構造を有するシート本体16を成形する工程(STEP1)と、シート本体16に拡散パターン17を形成する工程(STEP2)とを有している。なお、STEP1とSTEP2とを別工程でそれぞれ行うことも可能であるが、本実施形態においては、STEP1では押出シート成形法が採用され、STEP2では、押圧ロールを拡散パターンが転写されたロール状の反転型とすることで、STEP1とSTEP2とが同時に行われる。
【0047】
STEP1は、
図4の押出成形装置21を用いて実施される。押出成形装置21は、押出機及びTダイ22と、一対の押圧ロール23と、巻取り装置(図示せず)等とを有している。Tダイ22としては、例えばフィッシュテールダイ、マニホールドダイ、コートハンガダイ等の周知のものを使用することができる。また、Tダイ22の断面形状は、上記微細変調構造の稜線と垂直断面形状の反転形状である。これにより、表面が波状の微細変調構造を有するライトガイドフィルムが形成される。
【0048】
一対の押圧ロール23は隣接して平行に配設されている。押出機及びTダイ22は、一対の押圧ロール23のニップに溶融樹脂をシート状に押し出し可能に構成されている。一対の押圧ロール23は、温度制御手段が設けられ、表面温度を押出成形に最適な温度に制御可能に構成されている。押圧ロール23として、金属ロールと表面に弾性体を被覆したフレキシブルロールとからなる金属弾性ロールを用いることは好ましい。
【0049】
一対の押圧ロール23は、押圧ロール23aと、押圧ロール23bとから構成されている。このうち、押圧ロール23aは、拡散パターンが表面に転写された反転型として形成されている。
【0050】
STEP1は、溶融状態のシート本体16の形成材料をTダイ22に供給し、この形成材料を押出機及びTダイ22から押し出したうえ、一対の押圧ロール23で押圧する押出シート成形法によって行われる。なお、Tダイ22から押出すシート本体16の形成材料の溶融温度は、使用される樹脂の融点等を考慮して適宜選定される。STEP1で形成されるシート本体16の平均厚さは600μm以下とされる。シート本体16の平均厚さは、一対の押圧ロール23の配設間隔を調整すること等によって調整される。
【0051】
また、一対の押圧ロール23の配設間隔や回転速度等は、Tダイ22から押出されるシート本体16の形成材料の供給量や溶融状態等を考慮して調整される。
【0052】
STEP2は、押圧ロール23aの表面に転写された拡散パターンを溶融状態のシート本体16の形成材料が硬化する前に転写することで行われる。STEP2では、溶融状態のシート本体16の形成材料が一対の押圧ロール23によって押圧されることで、押圧ロール23a表面に転写された拡散パターンがシート本体16の裏面に転写される。STEP2では、この転写によって、シート本体16の裏面に複数の凹部が形成される。
【0053】
<利点>
当該ライトガイドフィルム12は、シート本体16の表面が波状の微細変調構造を有しており、波状の微細変調構造における稜線方向が、光線が入射する端面と略直交しているため、当該ライトガイドフィルム12内を伝播する光線が表面において反射する際に一部の光線の進行方向が稜線18側に寄るため、光線が稜線方向側に集光されやすい。このため、入射した光線の導光性を高めることができる。またこれに加えて、当該ライトガイドフィルム12の表面から出射する光線が波状の微細変調構造での屈折により稜線方向と垂直方向に若干拡散するため、出射光線の拡散性が向上する。このため、当該ライトガイドフィルム12は、平均厚みが600μm以下の超薄型であっても、当該ライトガイドフィルムから出射する光線の輝度及びその均一性の低下が抑制される。
【0054】
さらに、当該ライトガイドフィルム12は裏面に拡散パターン17を有しているため、光線を拡散パターン17により効率よく散乱させて表面側から出射させることができる。
【0055】
当該ライトガイドフィルム12においては、押出シート成形法によれば、押出ダイに上記微細変調構造の稜線と垂直断面形状の反転形状を付けることで、シート本体16の表面が波状の微細変調構造を有するライトガイドフィルムを容易かつ確実に形成することができる。
【0056】
また、当該ライトガイドフィルム12のリタデーション値(Re)が50nm以下、残留応力が8×10
5Pa以下であるため、当該ライトガイドフィルム12は経時変化による歪みが生じにくく、光弾性の性質によりリタデーション値の増大等のおそれが低減されるため、その結果、当該ライトガイドフィルムの導光性及び拡散性の向上効果を長期間維持することができる。
【0057】
また、当該バックライトユニット11は、当該ライトガイドフィルム12を備えているので、薄型化が図られる。また、当該バックライトユニット11は、当該ライトガイドフィルム12により輝度及びその均一性の低下が抑制される。
【0058】
また、当該携帯型コンピュータ1は当該バックライトユニット11を備えているので、薄型化が図られると共に、輝度及びその均一性の低下を抑制することができる。
【0059】
[第二実施形態]
<バックライトユニット>
図5のバックライトユニット31は、ライトガイドフィルム32と、ライトガイドフィルム32の裏面に積層される反射板13と、ライトガイドフィルム32に光を照射する光源15とを有している。この光源15は、後述するライトガイドフィルム32の微細変調構造における稜線方向と略平行する端面側に配設される。
【0060】
<ライトガイドフィルム>
ライトガイドフィルム32は、筐体の厚みが21mm以下であるラップトップコンピュータの液晶表示部におけるエッジライト型の超薄型液晶バックライトユニットのライトガイドフィルムとして用いられる。
【0061】
ライトガイドフィルム32は、端面から入射する光線を表面側から略均一に効率よく出射させる。ライトガイドフィルム32は、シート本体36を有している。また、ライトガイドフィルム32は、微細変調構造における稜線方向と略平行する端面と光源とが対向(又は当接)するように配設されている。
【0062】
シート本体36の表面は、波状の微細変調構造を有している。また、波状の微細変調構造における稜線38方向と光線が入射する端面とが略平行に位置している。これにより、当該ライトガイドフィルム32内を伝播する光線の進行方向に対し上記微細変調構造の稜線38方向が略垂直に位置するため、上記波状の微細変調構造により表面への光線の入射角が変動することに起因し、当該ライトガイドフィルム32の表面からの出光性が向上する。
【0063】
上記微細変調構造における稜線間隔pとしては、特に限定されないが、1mm以上500mm以下が好ましい。稜線間隔pの上限は、100mmがより好ましく、60mmがさらに好ましい。一方、稜線間隔pの下限は、10mmがより好ましく、20mmがさらに好ましい。稜線間隔が上記下限未満の場合、当該ライトガイドフィルム32の表面から光線が出射しすぎるおそがある。一方、稜線間隔が上記上限を超える場合、当該ライトガイドフィルム32の出光性の向上効果が低い可能性がある。なお、微細変調構造における全ての稜線間隔が上記範囲内にあることが好ましいが、微細変調構造における複数の稜線間隔pのうち一部が上記範囲外であってもよく、この場合には、複数の稜線間隔のうち50%以上、好ましくは70%の稜線間隔が上記範囲内にあるとよい。
【0064】
また、上記変調構造における複数の谷線39が通る近似仮想面を基準とする稜線38の平均高さとしては、特に限定されるものではないが、5μm以上40μm以下が好ましい。上記平均高さhの上限は、20μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。一方、上記平均高さの下限は7μmがより好ましく、9μmがさらに好ましい。上記平均高さが上記下限未満の場合、当該ライトガイドフィルム32の出光性の向上効果が低い可能性がある。一方、上記平均高さが上記上限を超える場合、当該ライトガイドフィルム32の表面から光線が出射しすぎるおそれがある。
【0065】
なお、シート本体36のその他形状、主成分、添加剤等については、
図2のライトガイドフィルム12のシート本体16と同様のため、説明を省略する。
【0066】
シート本体36の裏面には、拡散パターン37が形成されている。拡散パターン37は、レーザー照射によって発色した複数の光散乱部から構成されている。具体的には、上記光散乱部は、シート本体36の形成材料中に発色剤を含有させておき、シート本体36の成形後にレーザー照射することで上記発色剤が発色することにより形成される。
【0067】
シート本体36の形成材料中に分散含有される発色剤は、レーザー照射によって色が変色する顔料である。この発色剤としては、レーザーマーキング剤として用いられる周知の有機物や無機物を用いることができる。具体的には、例えば、黄色酸化鉄、無機鉛化合物、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、水銀、コバルト、銅、ビスマス、ニッケル等の金属化合物、真珠光沢顔料、珪素化合物、雲母類、カオリン類、珪砂、硅藻土、タルク等を挙げることができ、これらの中から1種又は2種以上を用いることができる。ただし、本実施形態において拡散パターン37は光線を反射させる反射パターンとして形成されるため、光線を反射する色を有することが好ましい。従って、当該ライトガイドフィルム32では、レーザー照射によって白色に発色する発色剤を用いることが好ましく、逆にレーザー照射によって炭化し光線を吸収する黒色に変化する発色剤は不適切である。このような白色に発色する発色剤としては、例えばチタンブラック、コーディエライト、雲母等が挙げられる。
【0068】
上記コーディエライトとしては、組成式MG2Al3(AlSi5O18)で表される無機化合物のほか、Mgの一部がFeに置換されたものを用いることができる。また、水分を含有したものを用いてもよい。
【0069】
上記雲母としては、マスコバイト、フロゴバイト、バイオタイト、セリタイト等の天然雲母、フッ素金雲母、フッ素四ケイ素雲母等の合成雲母を用いることができる。
【0070】
シート本体36の発色剤の含有量としては、0.0001質量%以上2.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。発色剤の含有量が上記下限未満の場合、レーザー照射時に十分な発色効果が得られず、所望の反射パターンを形成できないおそれがある。逆に、発色剤の含有量が上記上限を超える場合、シート本体36の透明度、機械的強度等が低下するおそれがある。
【0071】
シート本体36に照射するレーザーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、炭酸ガスレーザー、一酸化炭素レーザー、半導体レーザー、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザー等が挙げられる。なかでも波長が9.3μmから10.6μmである炭酸ガスレーザーが精細な拡散パターンを形成するのに好適である。上記炭酸ガスレーザーとしては、横方向大気圧励起(TEA)型、連続発振型、パルス発振型等を用いることができる。
【0072】
上記光散乱部の形状としては、特に限定されないが、半球状、円錐状、円筒状、多角錐状、多角柱状、蹄状等とすることが可能である。なかでも、上記光散乱部の形状としては半球状が好ましい。上記光散乱部を半球状とすることによって、成形性が向上されると共に、エッジが出るのを防止することができる。なお、拡散パターン37の配設パターンは
図2の拡散パターン17と同様である。また、上記光散乱部の平均径は、
図2の拡散パターン17の凹部と同様である。
【0073】
当該ライトガイドフィルム32は、レーザー照射によって所望の拡散パターン37を容易かつ確実に形成することができる。また、このような方法によって拡散パターン37を形成する場合、当該ライトガイドフィルム32の裏面に凸部等を設ける必要がないため、薄型化を促進することができる。
【0074】
なお、当該ライトガイドフィルム32は、拡散パターン37がレーザー照射によって形成されるため、溶融押出成形法によって成形される場合であっても、押圧ロールの表面に拡散パターンが転写されている必要はない。
【0075】
[その他の実施形態]
なお、本発明の超薄型液晶バックライト用ライトガイドフィルム、超薄型液晶バックライトユニット及び携帯型コンピュータは、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【0076】
上記実施形態においては、当該ライトガイドフィルムは、シート本体の表面が波状の微細変調構造を有する構成について説明したが、シート本体の表面及び裏面が波状の微細変調構造を有する構成とすることができる。シート本体の表面及び裏面が波状の微細変調構造を有することにより、当該ライトガイドフィルムから出光する光線の輝度及びその均一性の低下をより抑制することができる。
【0077】
また、拡散パターンは印刷法により凸状部として形成されてもよい。この場合、上述の押出シート成形法によってシート本体を成形する場合、一対の押圧ロールとしては、表面に拡散パターンが転写されていないものが用いられる。凸部状を形成する印刷方法としては、白色、又は透明インクを用いたインクジェット印刷法又はスクリーン印刷法によって行われることができる。拡散パターンが印刷法により凹部上として形成されることにより、拡散パターンを容易かつ確実に形成することができる。
【0078】
当該ライトガイドフィルムが配設される超薄型液晶バックライトユニットは、反射板として天板を用いることができる。天板の表面を反射面として形成することで、ライトガイドフィルムの裏面側から出射する光線をこの反射面で表面側に反射させることができる。
【0079】
また、上記実施形態において、断面形状が上記微細変調構造の稜線と垂直断面形状の反転形状であるTダイを用いて波状の上記微細変調構造を有する当該ライトガイドフィルムを製造する方法について説明したが、これに限定されず、例えば、一対の押圧ロール23の配設間隔や回転速度等調整することにより、波状の上記微細変調構造を有する当該ライトガイドフィルムを製造してもよい。なお、この場合は押出ダイの断面形状は公知のものを用いることができる。
【0080】
さらに、上記実施形態においては、シート本体の成形工程(STEP1)と拡散パターン形成工程(STEP2)とを同時に行うものについて説明したが、上述のようにSTEP1とSTEP2とを別工程で行うことが可能であり、具体的にはSTEP1によって成形したシート本体をロール状に巻回し、その後ロール状の状態からシート本体を引出してSTEP2を行うことも可能である。
【0081】
また、上記実施形態のようなSTEP2の後に、アーニング処理する工程を行ってもよい。このアニーリング処理は、特に限定されず公知の方法を採用することができる。例えば、加熱ロール、赤外線ヒーター、熱風等からなる加熱方法を採用することができる。これらの方法のなかでも、加熱ロールによりアニーリング処理するのが好ましい。加熱ロールを高温にすることで、シート本体の表面の温度を一気に上昇させることができ、シート本体の収縮率を抑制することができる。