(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のワーク反転装置と、前記ワークの軸方向一端部を把持して該ワークに加工を施す第一主軸台と、該ワーク反転装置で反転した該ワークの軸方向他端部を把持して該ワークに加工を施す第二主軸台と、を備える旋盤。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の旋盤の実施の形態について説明する。
【0019】
<第一実施形態>
[旋盤の構成]
まず、本実施形態の旋盤の構成について説明する。
図1に、本実施形態の旋盤の前面図を示す。
図1に示すように、本実施形態の旋盤1は、ワーク反転装置2と、ベッド90と、カバー91と、第一主軸台92Lと、第二主軸台92Rと、走行台93と、ローダー94と、を備えている。旋盤1は、二つの主軸が平行に配置されている、平行二軸型旋盤である。
【0020】
ベッド90は、工場の床面に配置されている。カバー91は、旋盤1の外殻を構成している。第一主軸台92L、第二主軸台92Rは、ベッド90の上面に配置されている。第一主軸台92L、第二主軸台92Rは、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。第一主軸台92L、第二主軸台92Rの主軸方向は、前後方向である。第一主軸台92Lは、第一主軸チャック920Lを備えている。第二主軸台92Rは、第二主軸チャック920Rを備えている。第一主軸チャック920L、第二主軸チャック920Rは、各々、ワークW(点線ハッチングで示す)を把持、解放可能である。
【0021】
走行台93は、ベッド90の上側に配置されている。走行台93は、左右方向に延在している。ローダー94は、X軸スライド940と、Z軸スライド941と、ローダーチャック942と、を備えている。X軸スライド940は、走行台93に沿って、左右方向にスライド可能である。Z軸スライド941は、X軸スライド940に沿って、上下方向にスライド可能である。ローダーチャック942は、Z軸スライド941の下端に配置されている。ローダーチャック942は、90°揺動することができる。ローダーチャック942は、ワークWを把持、解放可能である。
【0022】
{ワーク反転装置2}
図2に、本実施形態のワーク反転装置の斜視図を示す。
図3に、同ワーク反転装置の分解斜視図を示す。
図4に、同ワーク反転装置の可動側ユニットの分解斜視図を示す。
図5に、
図3の円V内の拡大図を示す。
図6に、往復動シリンダのロッドの左端部の分解斜視図を示す。
図7に、
図3の円VII内の拡大図を示す。
図8に、ストッパ部材の分解斜視図を示す。
図9に、
図1の枠IX内の拡大透過図を示す。
図10に、ロッドが前進端に配置されている状態の
図1の枠IX内の拡大透過図を示す。
【0023】
なお、
図1、
図9においては、往復動シリンダ4のロッド41が、自身のストロークの後進端(固定側チャック30Lから離間する側の端。右端。)に配置されている。これに対して、
図10においては、ロッド41が、自身のストロークの前進端(固定側チャック30Lに接近する側の端。左端。)に配置されている。ストロークの前進端は、本発明の「ストロークの一端」の概念に含まれる。
【0024】
図2、
図3に示すように、本実施形態のワーク反転装置2は、旋盤1の後壁900に配置されている。後壁900は、本発明の「被取付部材」の概念に含まれる。
図2〜
図10に示すように、ワーク反転装置2は、固定側ユニット3Lと、可動側ユニット3Rと、往復動シリンダ4と、ストッパ部材5と、位置センサ6と、を備えている。
【0025】
(可動側ユニット3R)
図3、
図4に示すように、可動側ユニット3Rは、可動側チャック30Rと、可動側ホルダ31Rと、可動側揺動シリンダ33Rと、アーム34Rと、X軸被ガイド部材35Rと、X軸ガイド部材36Rと、を備えている。
【0026】
X軸ガイド部材36Rは、後壁900の前面に配置されている。X軸ガイド部材36Rは、左右方向に延在している。
【0027】
可動側ホルダ31Rは、前側に開口するC字板状を呈している。可動側ホルダ31Rは、揺動軸310Rと、一対の揺動孔311Rと、を備えている。揺動軸310Rは、可動側ホルダ31Rの下壁下面の右端から、下側に向かって突設されている。一対の揺動孔311Rは、可動側ホルダ31Rの上下両壁の左端部に、穿設されている。
【0028】
X軸被ガイド部材35Rは、可動側ホルダ31Rの後壁後面に配置されている。X軸被ガイド部材35Rは、X軸ガイド部材36Rに沿って、左右方向にスライド可能である。また、可動側ホルダ31Rの後壁後面には、後述する連結部材412が固定されている。
【0029】
可動側チャック30Rは、チャック本体300Rと、揺動部材301Rと、を備えている。揺動部材301Rは、一対の揺動軸301Raを備えている。一対の揺動軸301Raは、揺動部材301Rの上下両面に配置されている。揺動部材301Rは、可動側ホルダ31Rの左端部に収容されている。一対の揺動軸301Raは、一対の揺動孔311Rに、挿通されている。このため、可動側チャック30Rは、可動側ホルダ31Rに対して揺動可能である。チャック本体300Rは、揺動部材301Rに固定されている。チャック本体300Rは、ワークWを把持、解放可能である。
【0030】
可動側揺動シリンダ33Rは、いわゆるエアシリンダである。可動側揺動シリンダ33Rは、可動側ホルダ31Rの下壁下面に配置されている。可動側揺動シリンダ33Rは、シリンダ本体330Rと、ロッド331Rと、一対のリブ332Rと、を備えている。一対のリブ332Rは、シリンダ本体330Rの右壁に配置されている。揺動軸310Rは、一対のリブ332Rを貫通している。このため、可動側揺動シリンダ33Rは、可動側ホルダ31Rに対して揺動可能である。ロッド331Rは、ロッド本体331Raと、キャップ331Rbと、を備えている。ロッド本体331Raは、シリンダ本体330Rに対して、左右方向に出入り可能である。キャップ331Rbは、ロッド本体331Raの左端部(先端部)に配置されている。
【0031】
アーム34Rは、細板状を呈している。アーム34Rの一端は、揺動軸340Rを介して、キャップ331Rbに、揺動可能に取り付けられている。アーム34Rの他端は、下側の揺動軸301Raの揺動孔311Rからの突出端に固定されている。
【0032】
ロッド331Rの左右方向の往復動に伴う駆動力は、アーム34Rを介して、可動側チャック30Rに伝達される。ロッド331Rが左側に動くと、可動側チャック30Rは、チャック本体300Rが前側を向くまで、右側に揺動する。ロッド331Rが右側に動くと、可動側チャック30Rは、チャック本体300Rが左側を向くまで、左側に揺動する。すなわち、可動側チャック30Rの揺動角度は、90°である。
【0033】
(固定側ユニット3L)
固定側ユニット3Lと、可動側ユニット3Rと、の構成上の相違点は、可動側ユニット3Rが後壁900に対して左右方向に移動可能であるのに対して、固定側ユニット3Lが後壁900に固定されている点である。すなわち、
図2、
図3に示すように、固定側ユニット3Lは、可動側ユニット3R同様に、固定側チャック30Lと、固定側ホルダ31Lと、固定側揺動シリンダ33Lと、アームと、を備えている。ただし、固定側ホルダ31Lは、固定部材32Lを介して、後壁900に固定されている。
図2に示すように、固定側チャック30Lと可動側チャック30Rとは、揺動方向が左右対称である。
【0034】
(往復動シリンダ4、位置センサ6)
図3に示すように、往復動シリンダ4は、後壁900に固定されている。前記可動側ホルダ31Rは、往復動シリンダ4の前側に配置されている。往復動シリンダ4は、いわゆるエアシリンダである。往復動シリンダ4は、シリンダ本体40と、ロッド41と、を備えている。ロッド41は、本発明の「往復動部材」の概念に含まれる。シリンダ本体40は、後壁900の前面に配置されている。
図5、
図6に示すように、ロッド41は、ロッド本体410と、キャップ411と、連結部材412と、を備えている。ロッド41は、
図9に示す後進端と、
図10に示す前進端と、の間で、左右方向に往復動可能である。ロッド本体410は、シリンダ本体40に対して、左右方向に出入り可能である。キャップ411は、ロッド本体410の左端部(先端部)に配置されている。
図6に示すように、キャップ411は、当接部411aと、センサブラケット411bと、を備えている。当接部411aは、キャップ411の左端に配置されている。センサブラケット411bは、当接部から下側に延在している。連結部材412は、ロッド本体410の外周面(キャップ411の右側部分)に固定されている。また、連結部材412は、
図4に一点鎖線枠で示すように、可動側ホルダ31Rの後壁後面に、固定されている。すなわち、ロッド41の左右方向の往復動に伴う駆動力は、連結部材412を介して、可動側ユニット3Rに伝達される。
【0035】
位置センサ6は、いわゆる近接スイッチである。
図6に示すように、位置センサ6は、センサブラケット411bに埋設されている。エアバルブ(図略)からの前進指令によりロッド41が前進し(左側に移動し)当接部411aが
図7に示す被当接部511dに当接するのと同時に、位置センサ6は、ドッグ52を検出する。位置センサ6がドッグ52を検出することにより、キャップ411延いては可動側チャック30Rがストロークの前進端位置に到着したか否かを、確認することができる。
【0036】
また、
図6に示すように、ロッド本体410の先端の外周面には、ねじ部410aが形成されている。一方、キャップ411の凹部411cの内周面にも、ねじ部411dが形成されている。ロッド本体410を締め込むことにより、つまりねじ部410aとねじ部411dとを螺合させることにより、ロッド本体410とキャップ411とは連結されている。
【0037】
ここで、仮に、前進端位置の状態から、エアバルブがロッド41に後退指令を出したものの、位置センサ6がドッグ52を検出したままの状態である場合であって、かつ往復動シリンダ4を駆動するエア圧力の異常が確認されない場合を想定する。この場合は、ロッド41は動いている(後退している)ものの、ロッド本体410からキャップ411が外れ、キャップ411、延いては可動側チャック30R(キャップ411のみならず、連結部材412まで、ロッド本体410から外れてしまっている場合)が、前進端位置に置き去りにされていることを判断することができる。
【0038】
また、エアバルブがロッド41に前進指令を出しているにもかかわらず位置センサ6がドッグ52を検出することができない場合も、同様の不具合が発生していることを判断することができる。このように、位置センサ6は、シリンダ本体40内のロッド41の動きを確認しているのではなく、駆動物自体(つまりは可動側チャック30R)の現在位置を確認している。
【0039】
これに対して、従来から一般的にシリンダ本体40に付属しているタイロッド型の前進端スイッチは、シリンダ本体40内のロッド41の動きだけを確認している。このため、従来の前進端スイッチでは、上述したような不具合の判断は不可能である。
【0040】
(ストッパ部材5)
図3、
図7に示すように、ストッパ部材5は、後壁900に、位置変え可能に、取り付けられている。後壁900には、複数の被取付孔901が、上下二段に、左右方向に並んで配置されている。被取付孔901は、本発明の「被取付部」の概念に含まれる。
【0041】
ストッパ部材5は、ブロック50と、ストッパボルト51と、ドッグ52と、サークリップ(止め輪)53と、一対の取付ボルト54と、ナット59と、を備えている。
図8に示すように、ブロック50は、ボルト挿通孔500と、一対のブロック固定孔501と、を備えている。ボルト挿通孔500は、ブロック50を、左右方向に貫通している。ボルト挿通孔500の内周面には、ねじ部500aが配置されている。一対のブロック固定孔501は、ブロック50を、前後方向に貫通している。一対の取付ボルト54は、一対のブロック固定孔501に挿通されている。一対の取付ボルト54の後端部(先端部)は、
図7に示す後壁900の任意の上下一対の被取付孔901に、螺着されている。すなわち、一対の取付ボルト54および一対の被取付孔901により、ブロック50は、後壁900に固定されている。
【0042】
図8に示すように、ストッパボルト51は、ナット59およびブロック50のボルト挿通孔500に、挿通されている。ストッパボルト51は、頭部510と、胴部511と、を備えている。胴部511は、頭部510から、右側に延在している。左側から右側に向かって、胴部511は、ねじ部511aと、滑面部511bと、溝部511cと、被当接部511dと、を備えている。ねじ部511aは、ナット59およびボルト挿通孔500のねじ部500aに、螺合している。滑面部511bは、平滑な曲面状を呈している。溝部511cは、滑面部511bに対して、径方向内側に没入している。被当接部511dは、右側に膨らむ半球状を呈している。
【0043】
ドッグ52は、クランク板状を呈している。ドッグ52は、ボルト挿通孔520を備えている。ボルト挿通孔520は、滑面部511bの径方向外側に配置されている。このため、ストッパボルト51を螺動させても、ドッグ52の向きは変わらない。ドッグ52は、
図6に示す位置センサ6に、左右方向から対向している。
【0044】
サークリップ53は、上端に切り欠き部を有するC字状を呈している。サークリップ53は、溝部511cに環装されている。ドッグ52は、ねじ部511aとサークリップ53とにより、左右方向から位置決めされている。
【0045】
[旋盤のワーク搬送時の動き]
次に、本実施形態の旋盤のワーク搬送時の動きについて説明する。まず、
図1に示すように、第一主軸台92Lにおける加工が完了したワークWは、第一主軸チャック920Lからローダーチャック942に、移される。次に、ワークWは、ローダーチャック942から固定側チャック30Lに、移される。続いて、ワークWは、ロッド41の前進端、つまり可動側チャック30Rの前進端(
図1に一点鎖線で示す)において、固定側チャック30Lから可動側チャック30Rに、移される。それから、ワークWは、可動側チャック30RのストロークA分だけ、右側に移動する。続いて、ワークWは、ロッド41の後進端、つまり可動側チャック30Rの後進端において、可動側チャック30Rからローダーチャック942に、移される。最後に、ワークWは、ローダーチャック942から第二主軸チャック920Rに、移される。第二主軸台92Rにおいて、ワークWには、所定の加工が施される。
【0046】
第一主軸チャック920Lに把持されている状態における、ワークWの後端を第一端、ワークWの前端を第二端として、ワークWは、第一主軸チャック920L(第一端(ワークWの把持されている方の端を示す。以下同じ。))→ローダーチャック942(第二端)→固定側チャック30L(第一端)→可動側チャック30R(第二端)→ローダーチャック942(第一端)→第二主軸チャック920R(第二端)という搬送経路Bを辿って、搬送される。また、第一主軸チャック920L(第一端)と第二主軸チャック920R(第二端)とを比較すると判るように、搬送中に、ワークWの把持方向は180°反転する。したがって、第一主軸台92Lと第二主軸台92Rとで、ワークWの表裏加工が可能になる。
【0047】
[旋盤の可動側チャックの前進端の調整時の動き]
次に、本実施形態の旋盤の可動側チャックの前進端の調整時の動きについて説明する。
図1に示すように、固定側チャック30Lから可動側チャック30RにワークWを移すためには、固定側チャック30Lと可動側チャック30Rとの間の距離Cを、ワークWの軸方向長さに、一致させる必要がある。このため、ワークWの軸方向長さが変わったら、つまり加工対象となるワークWの種類が変わったら、可動側チャック30Rの前進端、つまりロッド41の前進端の位置を調整する必要がある。
【0048】
図11に、
図10の枠XI内の拡大断面図を示す。
図11に示すように、ロッド41の前進端の位置は、ストッパ部材5により、規制されている。すなわち、前進端においては、ロッド41の当接部411aが、ストッパ部材5の被当接部511dに、当接している。また、位置センサ6が、ドッグ52を、非接触で検出している。
【0049】
ここで、被当接部511dおよびドッグ52は、共に、ストッパボルト51に連動する。このため、ロッド41の前進端の位置を調整するためには、ストッパボルト51の左右方向位置だけを調整すればよい。具体的には、ロッド41の前進端の位置を左側(前進側)にシフトする場合は、ストッパボルト51を左側にシフトすればよい。反対に、ロッド41の前進端の位置を右側(後進側)にシフトする場合は、ストッパボルト51を右側にシフトすればよい。
【0050】
ストッパボルト51の左右方向位置を粗調整する場合は、ブロック50の左右方向位置を調整する。具体的には、上下一対の被取付孔901に対する、一対の取付ボルト54の螺着位置を、左右方向に変更する。上下一対の被取付孔901は、左右方向に区間Dだけ並んでいる。このため、ストッパボルト51の左右方向位置は、区間Dの範囲内で、左右方向に隣り合う被取付孔901間のピッチEずつ、段階的に、自由に調整することができる。
【0051】
ストッパボルト51の左右方向位置を微調整する場合は、ブロック50に対するストッパボルト51の螺合位置を調整する。具体的には、ストッパボルト51を螺動させる。すなわち、ストッパボルト51のねじ部511aは、ブロック50のねじ部500aに、螺合している。ストッパボルト51の左右方向位置は、ねじ部511aの範囲内で、連続的に、自由に調整することができる。
【0052】
このように、本実施形態の旋盤1によると、ストッパボルト51の左右方向位置を粗調整、微調整することにより、ロッド41の前進端、つまり可動側チャック30Rの前進端の位置を、簡単に調整することができる。
【0053】
[作用効果]
次に、本実施形態の旋盤の作用効果について説明する。本実施形態の旋盤1のワーク反転装置2によると、
図11に示すように、ドッグ52は、滑面部511bの外周面において、ねじ部511aとサークリップ53とにより、左右方向から固定されている。このため、ストッパボルト51の左右方向位置を調整しても、被当接部511dとドッグ52との相対的な位置関係は不変である。したがって、ストッパボルト51の左右方向位置を粗調整、微調整することにより、ロッド41のストロークの前進端の位置を調整することができる。すなわち、可動側チャック30RのストロークAの前進端の位置を調整することができる。並びに、当接部411aが被当接部511dに当接した際のロッド41の位置を、位置センサ6により検出することができる。すなわち、位置センサ6やドッグ52の位置調整を個々に行うことなく、ロッド41が動いたことを位置センサ6により確認することができる。
【0054】
このように、本実施形態のワーク反転装置2によると、可動側チャック30Rの前進端の位置の調整作業を、一箇所(ストッパ部材5だけ)で行うことができる。このため、ワークWの種類が変わる際、簡単に可動側チャック30RのストロークAを調整することができる。
【0055】
また、本実施形態のワーク反転装置2によると、ブロック50に対してストッパボルト51を螺動させることにより、被当接部511dの位置を微調整することができる。すなわち、可動側チャック30RのストロークAを微調整することができる。
【0056】
また、本実施形態のワーク反転装置2によると、複数の被取付孔901の中から選択された任意の被取付孔901に対してブロック50を取り付けることにより、被当接部511dの位置を粗調整することができる。すなわち、可動側チャック30RのストロークAを粗調整することができる。
【0057】
また、本実施形態のワーク反転装置2によると、
図11に示すように、ドッグ52は、ストッパボルト51の滑面部511bに環装されている。すなわち、ドッグ52は、ねじ部511aを避けて配置されている。このため、位置調整時にストッパボルト51を螺動させても、ドッグ52が回転するおそれがない。
【0058】
また、
図7に示すように、ドッグ52は、後壁900に近接して配置されている。このため、ストッパボルト51の螺動に伴うドッグ52の回転を、ドッグ52が後壁900に当接することにより、防止することができる。つまり、後壁900が、ドッグ52の回り止め部材として機能している。この点においても、位置調整時にストッパボルト51を螺動させても、ドッグ52が回転するおそれがない。
【0059】
<第二実施形態>
本実施形態の旋盤と、第一実施形態の旋盤との相違点は、位置センサがドッグに配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
図12に、本実施形態の旋盤のワーク反転装置のストッパ部材付近の前側から見た拡大断面図を示す。なお、
図11と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0060】
図12に示すように、位置センサ6は、ロッド41ではなく、ドッグ52に配置されている。位置センサ6は、キャップ411の外周面を検出可能である。本実施形態の旋盤と、第一実施形態の旋盤とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の旋盤によると、位置センサ6が、ロッド41ではなく、ストッパ部材5に配置されている。このため、ワーク搬送時にロッド41を動かしても、位置センサ6は動かない。したがって、位置センサ6の断線や故障が発生しにくい。
【0061】
<第三実施形態>
本実施形態の旋盤と、第二実施形態の旋盤との相違点は、位置センサとして、近接センサでなく、リミットスイッチが配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
図13に、本実施形態の旋盤のワーク反転装置のストッパ部材付近の前側から見た拡大断面図を示す。なお、
図12と対応する部位については、同じ符号で示す。
図13に示すように、位置センサ6は、いわゆるレバー式のリミットスイッチである。位置センサ6は、キャップ411を、実際に接触して検出する。
【0062】
本実施形態の旋盤と、第二実施形態の旋盤とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態の旋盤のように、位置センサ6として、非接触式の近接センサではなく、接触式のリミットスイッチを配置してもよい。
【0063】
<その他>
以上、本発明のワーク反転装置および旋盤の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態においては、後壁900を、本発明の「被取付部材」とした。すなわち、管理の容易性を考慮し後壁900にワーク反転装置2を組み付けユニット品とし、当該ユニット品をカバー91に取り付けた。しかしながら、部品点数削減の観点から後壁900を削減する場合には、カバー91にワーク反転装置2の構成部品を直接組み付けてもよい。この場合は、カバー91が、本発明の「被取付部材」の概念に含まれることになる。
【0065】
また、ロッド41を往復動させるアクチュエータとして、ソレノイドなどを用いてもよい。位置センサ6として用いる近接スイッチの種類は、特に限定しない。例えば、誘導型近接スイッチ、静電容量型近接スイッチ、超音波型近接スイッチ、光電型近接スイッチ、磁気型近接スイッチなどを用いることができる。
【0066】
位置センサ6として用いるリミットスイッチの種類は、特に限定しない。例えば、プランジャタイプ、ヒンジレバータイプ、回転レバータイプなどのリミットスイッチを用いることができる。
【0067】
また、第一主軸台92Lと第二主軸台92Rとは、共に上向きに配置されていてもよい。また、第一主軸台92Lと第二主軸台92Rとは、左右方向に対向して配置されていてもよい。すなわち、本発明の旋盤は、平行二軸側旋盤以外の旋盤としても具現化することができる。
【符号の説明】
【0068】
1:旋盤。
2:ワーク反転装置。
3L:固定側ユニット、30L:固定側チャック、31L:固定側ホルダ、32L:固定部材、33L:固定側揺動シリンダ。
3R:可動側ユニット、30R:可動側チャック、300R:チャック本体、301R:揺動部材、301Ra:揺動軸、31R:可動側ホルダ、310R:揺動軸、311R:揺動孔、33R:可動側揺動シリンダ、330R:シリンダ本体、331R:ロッド、331Ra:ロッド本体、331Rb:キャップ、332R:リブ、34R:アーム、340R:揺動軸、35R:X軸被ガイド部材、36R:X軸ガイド部材。
4:往復動シリンダ、40:シリンダ本体、41:ロッド(往復動部材)、410:ロッド本体、410a:ねじ部、411:キャップ、411a:当接部、411b:センサブラケット、411c:凹部、411d:ねじ部、412:連結部材。
5:ストッパ部材、50:ブロック、500:ボルト挿通孔、500a:ねじ部、501:ブロック固定孔、51:ストッパボルト、510:頭部、511:胴部、511a:ねじ部、511b:滑面部、511c:溝部、511d:被当接部、52:ドッグ、520:ボルト挿通孔、53:サークリップ、54:取付ボルト、59:ナット。
6:位置センサ。
90:ベッド、900:後壁(被取付部材)、901:被取付孔(被取付部)、91:カバー、92L:第一主軸台、920L:第一主軸チャック、92R:第二主軸台、920R:第二主軸チャック、93:走行台、94:ローダー、940:X軸スライド、941:Z軸スライド、942:ローダーチャック。
A:ストローク、B:搬送経路、C:距離、D:区間、E:ピッチ、W:ワーク。