【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ワタキューセイモア株式会社 近畿支店 京都工場に販売済みの布片外観検査装置に対する色柄判別方法を実行するためのプログラムのインストール、2013年1月31日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業員が布片を色柄別に分別するのは面倒であるため、分別することなく布片検査装置や折畳み機に投入できることが望まれていた。色柄別に分別されずに混在状態で投入された布片を布片検査装置や折畳み機で適切に処理するためには、布片の色柄を自動的に判別する必要がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、布片の色柄を判別できる色柄判別装置および色柄判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の色柄判別装置は、布片を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を画像処理する画像処理手段と、を備え、前記カメラは、前記布片を撮影して布片画像とし、前記画像処理手段は、前記布片画像の布片領域における色値の波形の振幅を求め、求められた前記振幅が閾値を超えない場合は前記布片を無地物と判定
し、閾値を超える場合は前記布片を柄物と判定し、前記布片を無地物と判定した場合に、前記布片画像の色値を取得し、取得された前記色値が白色に近い場合は前記布片を白無地と判定し、それ以外の場合は前記布片を色無地と判定することを特徴とする。
第2発明の色柄判別装置は、布片を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を画像処理する画像処理手段と、該画像処理手段がアクセス可能な記憶手段と、を備え、前記記憶手段には、前記布片の色種類ごとの基準色値が記憶されており、前記カメラは、前記布片を撮影して布片画像とし、前記画像処理手段は、前記布片画像の布片領域における色値の波形の振幅を求め、求められた前記振幅が閾値を超えない場合は前記布片を無地物と判定し、閾値を超える場合は前記布片を柄物と判定し、前記布片を無地物と判定した場合に、前記布片画像の色値を取得し、取得された前記色値を前記基準色値の中から探索し、前記布片を探索された基準色値に対応する色種類と判定することを特徴とする。
第3発明の色柄判別装置は、第1
または第2発明において、所定の色の検査台を備え、前記カメラは、前記検査台を通過する前記布片を撮影して布片画像とし、前記画像処理手段は、前記布片画像における前記検査台の色以外の領域を前記布片領域と特定することを特徴とする。
第4発明の色柄判別装置は、布片を撮影するカメラと、該カメラで撮影した画像を画像処理する画像処理手段と、該画像処理手段がアクセス可能な記憶手段と、を備え、前記記憶手段には、前記布片の柄種類ごとの色値の基準波形が記憶されており、前記カメラは、前記布片を撮影して布片画像とし、前記画像処理手段は、前記布片画像の色値の波形を取得し、取得された前記波形を前記基準波形の中から探索し、前記布片を探索された基準波形に対応する柄種類と判定することを特徴とする。
第5発明の色柄判別装置は、
第4発明において、前記記憶手段には、前記布片の柄種類ごとの色値の基準波形が基準ピークパターンとして記憶されており、前記画像処理手段は、前記布片画像の色値の波形を取得し、取得された前記波形のピークパターンを求め、求められた前記ピークパターンを前記基準ピークパターンの中から探索し、前記布片を探索された基準ピークパターンに対応する柄種類と判定することを特徴とする。
第6発明の色柄判別方法は、布片を撮影した布片画像の布片領域における色値の波形の振幅を求め、求められた前記振幅が閾値を超えない場合は前記布片を無地物と判定し、閾値を超える場合は前記布片を柄物と判定
し、前記布片を無地物と判定した場合に、前記布片画像の色値を取得し、取得された前記色値が白色に近い場合は前記布片を白無地と判定し、それ以外の場合は前記布片を色無地と判定することを特徴とする。
第7発明の色柄判別方法は、予め布片の色種類ごとの基準色値を記憶しておき、前記布片を撮影した布片画像の布片領域における色値の波形の振幅を求め、求められた前記振幅が閾値を超えない場合は前記布片を無地物と判定し、閾値を超える場合は前記布片を柄物と判定し、前記布片を無地物と判定した場合に、前記布片画像の色値を取得し、取得された前記色値を前記基準色値の中から探索し、前記布片を探索された基準色値に対応する色種類と判定することを特徴とする。
第8発明の色柄判別方法は、予め布片の柄種類ごとの色値の基準波形を記憶しておき、前記布片を撮影した布片画像の色値の波形を取得し、取得された前記波形を前記基準波形の中から探索し、前記布片を探索された基準波形に対応する柄種類と判定することを特徴とする。
第9発明の色柄判別方法は、予め布片の柄種類ごとの色値の基準波形を基準ピークパターンとして記憶しておき、前記布片を撮影した布片画像の色値の波形を取得し、取得された前記波形のピークパターンを求め、求められた前記ピークパターンを前記基準ピークパターンの中から探索し、前記布片を探索された基準ピークパターンに対応する柄種類と判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、布片画像の布片領域における色値の波形の振幅から、布片が無地物であるか、柄物であるか判別できる。
また、布片画像の色値から、布片が白無地であるか、色無地であるか判別できる。そのため、色柄判別装置の判定結果により布片検査装置の閾値などの設定値を自動で切り替えたり、折畳み機のスタック位置を自動で切り替えたりできるので、作業員が布片を白無地と色無地とで分別する必要がなく、作業の手間を省くことができる。
第2発明によれば、布片画像の布片領域における色値の波形の振幅から、布片が無地物であるか、柄物であるか判別できる。また、布片画像における色値から、布片の色種類を判別できる。そのため、色柄判別装置の判定結果により布片検査装置の閾値などの設定値を自動で切り替えたり、折畳み機のスタック位置を自動で切り替えたりできるので、作業員が布片を色種類別に分別する必要がなく、作業の手間を省くことができる。
第3発明によれば、布片画像における検査台の色以外の領域を布片領域とすることで、布片領域の特定が容易となり、正確に特定できる。その結果、無地物と柄物との判別の精度が向上する。
第4発明によれば、布片画像の色値の波形から、布片の柄種類を判別できる。そのため、色柄判別装置の判定結果により布片検査装置の閾値などの設定値を自動で切り替えたり、折畳み機のスタック位置を自動で切り替えたりできるので、作業員が布片を柄種類別に分別する必要がなく、作業の手間を省くことができる。
第5発明によれば、布片画像の色値の波形のピークパターンから布片の柄種類を判別するので、波形そのものを探索する場合に比べてピークパターンの探索が容易であり、柄種類の判別の精度が向上する。
第6発明によれば、布片画像の布片領域における色値の波形の振幅から、布片が無地物であるか、柄物であるか判別できる。
また、布片画像の色値から、布片が白無地であるか、色無地であるか判別できる。そのため、色柄判別装置の判定結果により布片検査装置の閾値などの設定値を自動で切り替えたり、折畳み機のスタック位置を自動で切り替えたりできるので、作業員が布片を白無地と色無地とで分別する必要がなく、作業の手間を省くことができる。
第7発明によれば、布片画像の布片領域における色値の波形の振幅から、布片が無地物であるか、柄物であるか判別できる。また、布片画像における色値から、布片の色種類を判別できる。そのため、色柄判別装置の判定結果により布片検査装置の閾値などの設定値を自動で切り替えたり、折畳み機のスタック位置を自動で切り替えたりできるので、作業員が布片を色種類別に分別する必要がなく、作業の手間を省くことができる。
第8発明によれば、布片画像の色値の波形から、布片の柄種類を判別できる。そのため、色柄判別装置の判定結果により布片検査装置の閾値などの設定値を自動で切り替えたり、折畳み機のスタック位置を自動で切り替えたりできるので、作業員が布片を柄種類別に分別する必要がなく、作業の手間を省くことができる。
第9発明によれば、布片画像の色値の波形のピークパターンから布片の柄種類を判別するので、波形そのものを探索する場合に比べてピークパターンの探索が容易であり、柄種類の判別の精度が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明に係る色柄判別装置は、ランドリー工場などにおいて、洗濯・乾燥済みの布片に汚れや破れ等の欠陥がないか検査する布片検査装置や、布片を折畳む折畳み機などの前段の装置として配置され、布片の色柄を判別するために用いられる。色柄判別装置の判定結果を用いる装置としては、布片検査装置や折畳み機に限定されず、布片の色柄の情報が必要な種々の装置を採用し得る。
【0011】
本明細書において「布片」とは、シーツや包布、ピロケース、浴衣、タオル等の処理対象となる布類を意味する。また、「色柄」とは、「無地物」、「柄物」、「色種類」、「柄種類」を含む概念である。「無地物」とは、全体が一つの色で構成され柄が付されていない布片を意味する。「柄物」とは、複数の色で構成され柄が付された布片を意味する。「色種類」とは、無地物のうち色の違いを指標として分けられた布片の種類を意味する。特に、「色種類」のうち白色の布片を「白無地」と称し、白色以外の布片を「色無地」と称する。「柄種類」とは、柄物のうち柄の違いを指標として分けられた布片の種類を意味する。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る色柄判別装置Aは、布片Cを搬送するコンベア1、2と、コンベア1、2の間の接続部分に配置された検査台3と、検査台3を通過する布片Cを撮影するカメラ4と、カメラ4で撮影した画像を画像処理する画像処理手段5と、画像処理手段5がアクセス可能な記憶手段6とを備える。
【0013】
検査台3は、少なくともその表面が所定の色(以下、「検査台色」と称する。)となっている。布片Cは検査台3の表面を通過する際にカメラ4で撮影されるため、検査台色はカメラ4で布片Cを撮影した画像の背景色となる。この詳細は後に説明する。
【0014】
なお、検査台3として、台状の部材のほか、コンベアを用いてもよい。この場合には、コンベアベルトを検査台色とすればよい。特許請求の範囲に記載の「検査台」とは、台状の部材に限定されず、コンベアなど、布片Cの背景となる部材であればよい。
【0015】
カメラ4としては、特に限定はされないが、ラインセンサカメラやエリアセンサカメラが用いられる。画像処理手段5はCPUなどで構成され、記憶手段6はメモリなどで構成される。記憶手段6には、各種閾値のほか、後述の基準ピークパターンが予め記憶されている。
【0016】
なお、色柄判別装置Aの物理的な構成は布片検査装置と共通のものとしてもよい。すなわち、画像処理手段5において、色柄判別装置Aの機能としての色柄判別処理と、布片検査装置の機能としての布片検査処理の両方を行うように構成してもよい。
【0017】
つぎに、色柄判別装置Aによる色柄判別処理を説明する。
図2に示すように、色柄判別装置Aは、まず、カメラ4で布片Cを撮影して布片画像を取得する(ステップS1)。つぎに、画像処理手段5において柄無地判別処理を行い、布片Cが無地物であるか柄物であるかを判別する(ステップS2)。布片Cが無地物である場合は白無地判別処理を行い、布片Cが白無地であるか色無地であるかを判別する(ステップS3)。布片Cが柄物である場合は柄種類判別処理を行い、布片Cの柄種類を判別する(ステップS4)。以下、各ステップの詳細を順に説明する。
【0018】
(1)布片画像取得(ステップS1)
作業員が色柄判別装置Aに布片Cを投入すると、カメラ4は検査台3を通過する布片Cを撮影する。画像処理手段5はその画像を布片画像として取得する(ステップS1)。布片画像は、例えばコンベア1、2で搬送される布片Cの進行方向先頭部分など、布片Cの一部のみの画像でもよいし、布片Cの全体が収まる画像でもよい。
【0019】
一般に、カメラで撮影された画像はRGB表色系で表現されたデータである。RGB表色系は、赤要素を表すR値、緑要素を表すG値、青要素を表すB値の組合せで色を表現する。各要素を8ビットで表す場合には、R値、G値、B値がそれぞれ0〜255の範囲の値となる。例えば、黒色は全ての要素が最小値であり、(R,G,B)=(0,0,0)で表現される。白色は全ての要素が最大値であり、(R,G,B)=(255,255,255)で表現される。
【0020】
表色系はRGB表色系以外にも、XYZ表色系やYxy表色系など種々の表色系が存在する。特許請求の範囲に記載の「色値」とは、任意の表色系において色を表現する値を意味し、RGB表色系においてはR値、G値、B値に相当する。以下では、RGB表色系を例に説明するが、他の表色系でも同様である。
【0021】
(2)柄無地判別処理(ステップS2)
つぎに、
図3に基づき柄無地判別処理(ステップS2)の詳細を説明する。
図7(A)に、布片Cが柄物である場合の布片画像Pを例示する。まず、画像処理手段5は、ステップS1で取得した布片画像Pからライン画像Lを取得する(ステップS2.1)。ここで、ライン画像Lとは布片画像Pの一部を構成する線状の画像である。カメラ4がラインセンサカメラである場合は、一のタイミングで撮影された画像をライン画像Lとすることができる。カメラ4がエリアセンサカメラである場合は、布片画像Pから1画素幅の線状の画像を抜き出してライン画像Lとすることができる。
【0022】
図7(B)に、ライン画像Lの各色値(R値、G値、B値)の波形を例示する。
図7(B)に示すグラフの横軸はライン画像Lに沿った位置座標を示し、縦軸は各色値(R値、G値、B値)を示す。各色値(R値、G値、B値)は、ライン画像L上の柄に沿ってその値が変化し、柄に従った波形を構成する。
【0023】
つぎに、画像処理手段5は、ライン画像Lにおける布片領域Rを特定する(ステップS2.2)。ここで、布片領域Rとは、ライン画像Lまたは布片画像Pにおいて布片Cが映し出された領域である。前述のごとく、検査台3は所定の色であり、その検査台色が布片画像Pの背景色となる。画像処理手段5は、ライン画像Lにおける検査台色以外の領域を布片領域Rと特定する。
図7(B)に示す例では、検査台色が黒色であり、検査台色の領域は各色値が最小値((R,G,B)=(0,0,0))、またはそれに近い値となっている。このような検査台色の領域を除外することで、布片領域Rを特定できる。
【0024】
なお、検査台色としてどの色を採用するかは特に限定されないが、布片Cの色と区別がつきやすい色にすることが好ましい。一般に、布片Cは白色に近いため、検査台色を黒色とすることが好ましい。
【0025】
つぎに、画像処理手段5は、布片領域Rにおける各色値(R値、G値、B値)の波形それぞれの振幅(A
R、A
G、A
B)を求める(ステップS2.3)。振幅(A
R、A
G、A
B)の求め方は特に限定されないが、例えば、布片領域Rにおける色値の最大値と最小値との差から求めればよい。また、振幅(A
R、A
G、A
B)を、布片領域Rにおける色値の最大値と最小値との差の半分としてもよいし、最大値と平均値との差としてもよいし、平均値と最小値との差としてもよいし、二乗平均平方根から求めてもよい。
【0026】
図7に示すように、布片Cが柄物である場合には、その柄に従って色値の波形に高低が生じるため、振幅(A
R、A
G、A
B)が大きくなる。一方、
図8(B)に示すように、布片Cが無地物である場合は、色値が位置によって変化しないため、振幅(A
R、A
G、A
B)が小さくなる。
【0027】
画像処理手段5は、ステップS2.3において求められた振幅(A
R、A
G、A
B)と、予め記憶手段6に記憶されていた閾値とを比較することで、布片Cが無地物であるか、柄物であるかを判別する(ステップS2.4)。具体的には、全ての色値の振幅(A
R、A
G、A
B)が閾値を超えない場合は、布片Cを無地物と判定する。いずれかの色値の振幅(A
R、A
G、A
B)が閾値を超える場合は、布片Cを柄物と判定する。
【0028】
布片Cを無地物と判定した場合は、その判定結果を戻り値として返して柄無地判別処理(ステップS2)を終了する(ステップS2.5)。布片Cを柄物と判定した場合は、その判定結果を戻り値として返して柄無地判別処理(ステップS2)を終了する(ステップS2.6)。
【0029】
以上のように、ライン画像Lの布片領域Rにおける色値の波形の振幅(A
R、A
G、A
B)から、布片Cが無地物であるか、柄物であるか判別できる。
また、ライン画像Lにおける検査台色以外の部分を布片領域Rとすることで、布片領域Rの特定が容易となり、正確に特定できる。その結果、無地物と柄物との判別の精度が向上する。
【0030】
なお、上記実施形態では、1つのライン画像Lを基に無地物と柄物とを判別しているが、複数のライン画像Lを基に判別してもよい。この場合には、各ライン画像Lの布片領域Rにおける各色値の波形の振幅(A
R、A
G、A
B)を求め、求められた各振幅(A
R、A
G、A
B)と閾値とをそれぞれ比較して、布片Cが無地物であるか、柄物であるかを判別する。ライン画像Lの数を増やすことで、判別精度を向上させることができる。
【0031】
ライン画像Lは、布片Cの幅方向(進行方向に対して直角方向)に沿って定めてもよいし、布片Cの縦方向(進行方向に沿った方向)に沿って定めてもよいし、布片Cの斜め方向(進行方向に対して斜め方向)に沿って定めてもよい。また、布片Cの幅方向、縦方向、斜め方向のライン画像Lを組み合わせて、各ライン画像Lを基に無地物と柄物とを判別してもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、ライン画像Lの布片領域Rにおける色値の波形を基に無地物と柄物とを判別しているが、布片画像Pの布片領域Rにおける色値の波形を基に判別してもよい。この場合には、色値の波形は2次元(布片Cの幅方向と縦方向)の広がりを有する。そのため、ステップS2.3では、2次元の広がりを有する色値の波形の振幅を求めればよい。
【0033】
(3)白無地判別処理(ステップS3)
画像処理手段5は、柄無地判別処理(ステップS2)において布片Cを無地物と判定した場合に、白無地判別処理(ステップS3)を行う(
図2参照)。白無地判別処理(ステップS3)では、布片Cが「白無地」であるか、「色無地」であるかを判別する。以下、
図4に基づき白無地判別処理(ステップS3)の詳細を説明する。
【0034】
まず、画像処理手段5は、布片画像Pの布片領域Rの色値(R値V
R、G値V
G、B値V
B)を取得する(ステップS3.1)。ここで、色値(V
R、V
G、V
B)を、布片領域Rの全体または一部の画素の色値の平均値としてもよいし、布片領域Rにおける特定の画素の色値としてもよい。ただし、無地物であっても、色値が位置を問わず均一であるとは限られず、シワやパイルなどの凹凸によって影が生じると、位置によって色値が異なる場合がある。このような影などの影響を低減させるため、色値(V
R、V
G、V
B)として布片領域Rの全体または一部の画素の色値の平均値を用いることが好ましい。
【0035】
つぎに、画像処理手段5は、ステップS3.1で取得された色値(V
R、V
G、V
B)と、予め記憶手段6に記憶されていた閾値とを比較することで、布片Cが白無地であるか、色無地であるかを判別する(ステップS3.2)。
【0036】
前述のごとく、RGB表色系において白色は全ての色値が最大値((R,G,B)=(255,255,255))として表現される。そのため、全ての色値(V
R、V
G、V
B)が閾値を超える場合は、色値(V
R、V
G、V
B)が白色に近いといえるため、布片Cを白無地と判定する。いずれかの色値(V
R、V
G、V
B)が閾値を超えない場合は、布片Cを色無地と判定する。
【0037】
また、RGB色空間における白色からの距離を指標として色値(V
R、V
G、V
B)が白色に近いか否かを判断してもよい。すなわち、白色のR値をV
RW(=255)、G値をV
GW(=255)、B値をV
BW(=255)として、ステップS3.1で取得された色値(V
R、V
G、V
B)の白色(V
RW、V
GW、V
BW)からの距離dを数1に基づき演算する。距離dが閾値を超える場合は、色値(V
R、V
G、V
B)が白色に近いといえるため、布片Cを白無地と判定する。距離dが閾値を超えない場合は、布片Cを色無地と判定する。
【数1】
【0038】
布片Cを白無地と判定した場合は、その判定結果を出力して白無地判別処理(ステップS3)を終了する(ステップS3.3)。布片Cを色無地と判定した場合には、その判定結果を出力して白無地判別処理(ステップS3)を終了する(ステップS3.4)。
【0039】
以上のように、布片画像Pの色値から、布片Cが白無地であるか、色無地であるか判別できる。
【0040】
(4)柄種類判別処理(ステップS4)
画像処理手段5は、柄無地判別処理(ステップS2)において布片Cを柄物と判定した場合に、柄種類判別処理(ステップS4)を行う(
図2参照)。柄種類判別処理(ステップS4)では、布片Cの「柄種類」を判別する。以下、
図5に基づき柄種類判別処理(ステップS4)の詳細を説明する。
【0041】
まず、画像処理手段5は、布片画像Pからライン画像Lを取得することで、そのライン画像Lの各色値(R値、G値、B値)の波形を取得する(ステップS4.1)。つぎに、画像処理手段5は、取得された各色値(R値、G値、B値)の波形から、それぞれのピークパターンを求める(ステップS4.2)。
【0042】
ここで、ピークパターンとは、色値の波形のピーク同士の間隔(ピーク間隔)の配列パターンであり、色値の波形を単純化して表現したものである。画像処理手段5は、各色値(R値、G値、B値)の波形についてピークを抽出し、抽出したピークからピーク間隔を求めることで、ピークパターンを求める。一般に、柄物には周期的な柄が施されているため、ピークパターンは周期的なものとなる。例えば、
図9に示すような色値の波形の場合、ピーク間隔は、l
1、l
2、l
3、l
1、l
2、l
3、・・・という配列パターンとなる。この場合、1周期分の(l
1、l
2、l
3)をピークパターンとする。
【0043】
記憶手段6には、予め布片Cの柄種類ごとに基準となるピークパターン(以下、基準ピークパターンと称する。)が記憶されている。基準ピークパターンは、布片Cの柄種類ごとの基準となる色値の波形(以下、基準波形と称する。)から求められたものである。
【0044】
つぎに、画像処理手段5は、ステップS4.2で求められたピークパターンを記憶手段6に記憶された基準ピークパターンの中から探索する(ステップS4.3)。そして、布片Cを探索された基準ピークパターンに対応する柄種類と判定し、その判定結果を出力して柄種類判別処理(ステップS4)を終了する(ステップS4.4)。
【0045】
以上のように、布片画像Pの色値の波形から、布片Cの柄種類を判別できる。
また、布片画像Pの色値の波形をピークパターンとし、そのピークパターンから布片Cの柄種類を判別するので、波形そのものを探索する場合に比べてピークパターンの探索が容易であり、柄種類の判別の精度が向上する。
【0046】
なお、上記実施形態では、1つのライン画像Lを基に柄種類を判別しているが、複数のライン画像Lを基に判別してもよい。この場合には、各ライン画像Lの色値の波形のピークパターンを求め、求められたピークパターンを基準ピークパターンの中から探索することで、布片Cの柄種類を判別する。ライン画像Lの数を増やすことで、判別精度を向上させることができる。
【0047】
ライン画像Lは、布片Cの幅方向(進行方向に対して直角方向)に沿って定めてもよいし、布片Cの縦方向(進行方向に沿った方向)に沿って定めてもよいし、布片Cの斜め方向(進行方向に対して斜め方向)に沿って定めてもよい。また、布片Cの幅方向、縦方向、斜め方向のライン画像Lを組み合わせて、各ライン画像Lを基に柄種類を判別してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、ピークパターンを基に柄種類を判別しているが、布片画像Pの色値の波形そのものを基に判別してもよい。この場合には、記憶手段6には、布片Cの柄種類ごとの色値の基準波形を予め記憶しておき、取得された波形を基準波形の中から探索して、布片Cを探索された波形に対応する柄種類と判定する。
【0049】
さらに、上記実施形態では、ライン画像Lの色値の波形を基に柄種類を判別しているが、布片画像Pの色値の波形、すなわち、2次元(布片Cの幅方向と縦方向)の広がりを有する色値の波形を基に判別してもよい。
【0050】
以上の処理により、布片Cが「無地物」であるか「柄物」であるか、「白無地」であるか「色無地」であるか、どの「柄種類」であるかを判別できる。後段の布片検査装置では、色柄判別装置Aの判定結果により検査方法や閾値などの設定値を自動で切り替えることができる。また、折畳み機では、色柄判別装置Aの判定結果によりスタック位置を自動で切り替えることができる。
【0051】
例えば、布片検査装置では、「無地物」と「柄物」とで検査方法を切り替え、「白無地」と「色無地」とで閾値などの設定値を切り替える。また、折畳み機は、「白無地」、「色無地」、「柄種類」によりスタック位置を切り替える。そのため、作業員が布片Cを色柄別に分別する必要がなく、作業の手間を省くことができる。
【0052】
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態に係る色柄判別装置Bを説明する。
色柄判別装置Bは、第1実施形態の色柄判別装置Aにおいて、柄無地判別処理(ステップS2)において布片Cを無地物と判定した場合に、白無地判別処理(ステップS3)に代えて色種類判別処理(ステップS5)を行う実施形態である。色種類判別処理(ステップS5)では、布片Cの「色種類」を判別する。
【0053】
本実施形態において記憶手段6には、布片Cの色種類ごとに基準となる色値(以下、基準色値と称する。)が記憶されている。
【0054】
以下、
図6に基づき色種類判別処理(ステップS5)の詳細を説明する。
まず、画像処理手段5は、布片画像Pの布片領域Rの色値(V
R、V
G、V
B)を取得する(ステップS5.1)。色値(V
R、V
G、V
B)を、布片領域Rの全体または一部の画素の色値の平均値としてもよいし、布片領域Rにおける特定の画素の色値としてもよい。
【0055】
つぎに、画像処理手段5は、ステップS5.1で取得された色値(V
R、V
G、V
B)を記憶手段6に記憶された基準色値の中から探索する(ステップS5.2)。そして、布片Cを探索された基準色値に対応する色種類と判定し、その判定結果を出力して色種類判別処理(ステップS5)を終了する(ステップS5.3)。
【0056】
以上のように、布片画像Pの色値から、布片Cの色種類を判別できる。そのため、色柄判別装置Bの判定結果により布片検査装置の閾値などの設定値を自動で切り替えたり、折畳み機のスタック位置を自動で切り替えたりできるので、作業員が布片Cを色種類別に分別する必要がなく、作業の手間を省くことができる。
【0057】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、検査台3を設け、布片画像Pにおける検査台色以外の領域を布片領域Rと特定したが、カメラ4の撮影範囲が布片Cよりも狭い場合には、布片画像Pに背景が写り込まない。この場合には、布片画像Pの全体が布片領域Rであるので、布片領域Rを特定する必要がない。そのため、検査台3を設ける必要はなく、布片領域Rを特定するステップ(S2.2)を省略できる。
【0058】
また、上記の柄無地判別処理(ステップS2)、白無地別処理(ステップS3)、柄種類判別処理(ステップS4)、色種類判別処理(ステップS5)のいずれが一つのみを実施してもよいし、2つ以上を組み合わせて実施してもよい。投入される布片Cの色柄や、後段の装置で必要とされる情報によって必要な処理を選択すればよい。