(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シールドのほぼ全閉状態のときとほぼ全開状態のときとのみに、上記被ストッパ手段が上記ストッパ手段によって位置保持されるように構成したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のシールド取付け機構。
上記カム面が、上記シールドをほぼ全閉位置に保持するためのストッパ用凹部と、上記シールドをほぼ前方に往動させるための傾斜面と、上記シールドを段階的に保持するためのクリック用歯部とを備えていることを特徴とする請求項6に記載のシールド取付け機構。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、本発明をフルフェイス型ヘルメットのシールド取付け機構に適用した一実施例を、「1、ヘルメット全体の概略的構成」、「2、シールド取付け機構の構成」および「3、シールド取付け機構の動作」に項分けして、
図1〜
図20を参照しつつ説明する。
【0016】
1、ヘルメット全体の概略的構成
【0017】
フルフェイス型ヘルメット1は、
図1に示すように、自動二輪車のライダなどのヘルメット装着者の頭部に装着されるフルフェイス型の頭部保護体2と、ヘルメット装着者の額部と顎部との間(すなわち、顔面の中央部分)に対向するように頭部保護体2の前面に形成された窓孔3を開閉し得るシールド4と、頭部保護体2の内側にそれぞれ取付けられた左右一対の顎掛け用バンド(図示せず)とから成っている。そして、頭部保護体2のうちのヘルメット装着者の顎部、額部などとそれぞれ対向する部分には、頭部保護体2内の換気を行うための1個または複数個のベンチレータ(図示せず)が必要に応じてそれぞれ設けられている。また、ヘルメット1には、シールド4が風防のためなどに設けられている。そして、シールド4は、必要に応じて、透光性を特に阻害しないように着色されることによって日よけ(すなわち、バイザー)を兼用することもできる。また、シールド4は、ポリカーボネート、その他の合成樹脂などの透明または半透明の硬質材料から成っていてよい。さらに、シールド4の左右両側部付近は、左右一対のシールド取付け機構6によって、頭部保護体2の外周壁を構成する外側シェル5に回動自在にそれぞれ取付けられている。
【0018】
図1および
図2に示すシールド4の内側面には、ポリカーボネート、その他の合成樹脂などの透明または半透明の硬質材料から成っていてよい防曇用の補助シールド(図示せず)が、シールド4に対して僅かな間隙を有するようにかつ着脱自在に、取付けられていてよい。そして、上記防曇用補助シールドの取付けのために、シールド4の内側面の左右両側部分の中央部分よりも多少下方には、係合用のリング状溝をそれぞれ有する左右一対の係合ピン(図示せず)が、ねじ込みなどによって、それぞれ取付け固定されていてよい。また、上記防曇用補助シールドの左右両端部のそれぞれのほぼ上下方向における中央部分よりも多少下方には、左右一対の舌片部がそれぞれ突設されていてよい。さらに、これら左右一対の舌片部には、後方に向ってそれぞれ開口している左右一対の係合用スリットがそれぞれ形成されていてよい。そして、上記左右一対の係合ピンをこれら左右一対の係合用スリットにそれぞれ嵌合させることによって、上記防曇用補助シールドがシールド4の内側面に取付けられていてよい。また、上記防曇用補助シールドがシールド4に対して上記僅かな間隙を保持するとともに、この間隙を気密に保持するために、シリコンゴムなどの弾性材料から成るパッキン用突条部(図示せず)が、上記防曇用補助シールドの外側面のうちの上記左右一対の舌片部を除く領域の外周囲に沿って、ループ状に形成されていてよい。
【0019】
外側シェル5は、周知のように、FRP、その他の合成樹脂などの強度の大きい硬質材料から成っていてよい。また、
図1に示すように、頭部保護体2の窓孔3を形成するために外側シェル5に形成された窓孔7のほぼ全周囲にわたって、接着剤、両面接着テープなどによる接着などによって、周知のように断面がほぼU字状、ほぼE字状などの窓孔用縁部材8が取付けられている。そして、
図1および
図11に示すように、窓孔7の下端部に沿って窓孔用縁部材8の下端部にほぼ水平に連設されている突状部8aは、全閉位置にあるシールド4の下端部が当接するように構成されている。さらに、外側シェル5の下端部のほぼ全周囲にわたって、接着剤、両面接着テープなどによる接着などによって、断面がほぼU字状などの下端用縁部材11が取付けられている。なお、窓孔用縁部材8は、周知のように、合成ゴム、その他の可撓性に富んだ弾性材料から成っていてよい。また、下端用縁部材11は、周知のように、発泡塩化ビニール、合成ゴム、その他の軟質合成樹脂などの軟質材料から成っていてよい。さらに、
図1において、符号12は、ヘルメット装着者がシールド4を上方および下方に往復回動させる際に指を掛けるために、シールド4の左側の部分の下端部に一体的に設けられた指掛け部である。なお、指掛け部12は、ほぼ後方側からほぼ前方側に向って次第に下方に傾斜している。このために、ヘルメット装着者などの指で指掛け部12をほぼ上方に押圧すれば、この押圧力は前方に向う分力を生じるので、シールド4には、ほぼ上方へ向う第1の力とほぼ前方へ向う第2の力との両方の力が加わることになる。
【0020】
右側(ヘルメットの前面に向って左側)のシールド取付け機構6は、左側のシールド取付け機構6とは左右対称的に構成されている。したがって、以下において、右側のシールド取付け機構6についての説明を省略して、左側のシールド取付け機構6についてのみ説明する。
【0021】
2、シールド取付け機構の構成
【0022】
左側のシールド取付け機構6は、
図9に示すように、
(a)固定側の基材13および可動側の基材14を含みかつシールド4を頭部保護体2に取付けるのに用いられるシールド取付け基材15、
(b)シールド4を可動側基材14から取外すときに操作され、場合によってはシールド4を可動側基材14に取付けるときにも操作されるシールド着脱用操作レバー16、
(c)シールド4の全閉位置をほぼ前後方向に微調整するときに操作される偏平なほぼ円柱形状、ほぼボタン形状などのシールド位置調整用の回動操作ボタン(換言すれば、シールド位置調整用操作部材としての回動操作用ロータ、回動操作用セレクタなどの回動操作部材)17、
(d)可動側基材14にその左側端部付近を着脱可能に取付けられることができるシールド4、
を含んでいる。したがって、以下において、左側のシールド取付け機構6の構成を、「(1)固定側基材」、「(2)可動側基材」、「(3)シールド着脱用操作レバー」、「(4)回動操作ボタン」、「(5)シールド」および「(6)シールド取付け機構の組み立て」に項分けして、
図1〜
図20を参照しつつ説明する。なお、固定側基材13、可動側基材14、シールド着脱用操作レバー16および回動操作ボタン17のそれぞれは、ポリアセタール樹脂などの合成樹脂などの適当な材料から成っていてよい。
【0023】
(1)固定側基材
【0024】
シールド取付け基材15の固定側基材13は、
図9および
図12に示すように、大きな中央貫通口21を有する大よそ三角形状の枠構造に構成されている。そして、固定側基材13は、大きな中央貫通口21を有することを除いて、大よそ板状体の形状に構成されている。また、この固定側基材13は、上下2ヶ所のねじ挿通孔22a、22bに挿通される一対の雄ねじ部材23a、23bによって、
図11に示す頭部保護体2に
図12に示すように取付け固定される。なお、外側シェル5の窓孔7の後方側(すなわち、
図11における右側)には、
図11に示すように、上下一対の雌ねじ部材24a、24bがそれぞれ埋設固定されている。そして、一対の雄ねじ部材23a、23bが、固定側基材13の上記取付け固定のために、固定側基材13の外側面からこれら一対の雌ねじ部材24a、24bのねじ孔25a、25bにそれぞれねじ込み固定されている。さらに、固定側基材13は、外側シェル5の外周面の湾曲形状にほぼ一致するように、この固定側基材13の内側面がその外側面に向って多少盛り上がった湾曲形状であるのが好ましい。そして、このような湾曲形状は、可動側基材14も同様に有しているのが好ましい。
【0025】
固定側基材13には、
図9に示すように、上下一対の雄ねじ部材23a、23b(換言すれば、これら上下一対の雄ねじ部材23a、23bがそれぞれ挿通される上下一対のねじ挿通孔22a、22b)のそれぞれを取り囲むように、肉厚部分からそれぞれ構成された上下一対の高位部28a、28bが形成されている。そして、これらの高位部28a、28bには、上下一対のねじ挿通孔22a、22bのそれぞれのほぼ上下両側の箇所において、断面がそれぞれほぼU字状の上下一対のガイド溝26a、26bおよび上下一対のガイド溝27a、27bがそれぞれ形成されている。この場合、これら上側のガイド溝26a、27aのそれぞれの深さ方向は、ほぼ上方からほぼ下方に向う方向であってよい。そして、これら下側のガイド溝26b、27bのそれぞれの深さ方向は、ほぼ下方からほぼ上方に向う方向であってよい。また、固定側基材13の外側面には、上下一対の雄ねじ部材23a、23bのそれぞれのほぼ後方側の箇所において、弾性付勢手段としての上下一対の反撥用コイルスプリング31a、31bをそれぞれ収容するための上下一対のスプリング収容用の凹部32a、32bがそれぞれ形成されている。そして、これら上下一対の凹部32a、32bのほぼ前方側の側壁部には、スプリング係合用の突起部33a、33bがそれぞれ形成されている。
【0026】
固定側基材13の上端部付近には、
図9に示すように、肉厚部分から構成された高位部34が形成されている。そして、高位部34の下端面には、後端から前端に向って途中まで延在している下向きのガイド溝35が形成されている。また、固定側基材13の前側の中間部分付近には、中央貫通孔21と固定側基材13の前端部との間に位置するように、肉厚部分から構成された高位部36が形成されている。そして、この高位部36の前側の端部には、1個または複数個(図示の場合には、6個)の歯を有していてほぼ波形状でかつ全体としてほぼ円弧状であってよい肉薄のクリック用歯部37が内側面側で凹んでいるひさし構造で突設されている。また、高位部36の下側でかつ前側の端部には、シールド4を段階的に保持するためのクリック用歯部37の下方に連なるように、傾斜面38bを備えたカム部38が配設されている。さらに、カム部38のうちのクリック用歯部37とは反対側の端部(換言すれば、下側端部)は、ストッパ用の凹部38aを構成している。そして、固定側基材13には、シールド4(具体的には、後述の第3の被ガイド部123)のためのカム面39がクリック用歯部37、カム部38およびストッパ用凹部38aによって構成されている。また、固定側基材13の下端部付近には、回動操作部材17を逃げるための凹み部41が斜め下方で斜め前方を向くように形成されている。さらに、凹み部41の下端付近には、凹み部41に向って突出するようにこの凹み部41に臨んでいるストッパ手段および前後進位置決め手段としてのストッパ部42が配設されている。
【0027】
(2)可動側基材
【0028】
シールド取付け基材15の可動側基材14は、
図9、
図10および
図13に示すように、固定側基材13の外周囲をほぼ一回り大きくした外周囲を有していて、固定側基材13よりも大きいほぼ板状体形状に構成されている。そして、可動側基材14には、
図9および
図10に示すように、上下一対の貫通口51a、51bがそれぞれ形成されている。また、上側の貫通孔51aには、
図13に示すように、固定側基材13のうちのほぼ上方にある上下一対のガイド溝26a、26bが形成されている高位部28aが挿入されることができる。さらに、下側の貫通孔51bには、固定側基材13のうちのほぼ下方にある上下一対のガイド溝27a、27bが形成されている高位部28bが挿入されることができる。そして、上側の貫通口51aの周壁部には、この周壁部の上下両側の側壁部のそれぞれの前側部分において、上下一対の被ガイド用の突条部52a、52bがそれぞれ形成されるとともに、この周壁部の後方側の側壁部において、上側の反撥用コイルスプリング31aが係合するためのスプリング係合用突起部50aが形成されている。また、下側貫通孔51bの周壁部には、この周壁部の上下両側の側壁部のそれぞれの前側部分において、上下一対の被ガイド用の突条部53a、53bがそれぞれ形成されるとともに、この周壁部の後方側の側壁部において、下側の反撥用コイルスプリング31bが係合するためのスプリング係合用突起部50bが形成されている。
【0029】
可動側基材14には、
図10に示すように、この可動側基材14の上端部の前方側に隣接して、ほぼ円弧状の第1のガイド部54が形成されている。なお、第1のガイド部54は、この第1のガイド部55の内側面を凹ませることによって、肉薄に形成されている。そして、可動側基材14には、この第1のガイド部54の下方側の端部の内側面側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド用スリット55が形成されている。したがって、ガイド部54は、可動側基材14の面方向にひさし構造で突出している。また、可動側基材14には、上側の貫通孔51aの上方側の箇所において、ほぼ円弧状の第2のガイド部56が形成されている。なお、この第2のガイド部56は、その内側面を凹ませることによって、肉薄に形成されている。そして、可動側基材14には、この第2のガイド部56の前方側の端部の内側面側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド用スリット57が形成されている。したがって、第2のガイド部56は、可動側基材14の面方向にひさし構造で突出している。さらに、可動側基材14の前方側の上端部には、ガイド用突条部58が突設されている。
【0030】
上側の貫通孔51aと下側の貫通孔51bとの間には、
図10に示すように、中間の貫通孔61が形成されている。そして、上側の貫通孔51aと中間の貫通孔61との間には、ほぼ円弧状の第3のガイド部62が形成されている。なお、第3のガイド部62は、この第3のガイド部62の内側面を凹ませることによって、肉薄に形成されている。そして、可動側基材14には、この第3のガイド部62のうちの貫通孔51a側の端部の内側面側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド用スリット63が形成されている。したがって、第3のガイド部62は、可動側基材14の面方向にひさし構造で突出している。さらに、ほぼ円弧状の第2のガイド部56の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第3のガイド部62の仮想の円の中心とのそれぞれは、
図10に示す共通の中心点C1とほぼ一致しているのが好ましい。なお、
図10に示す符号64は、中間の貫通孔61の斜め下方側でかつ斜め後方側に隣接している傾斜面である。そして、傾斜面64は、中間の貫通孔61と、この傾斜面64を介してこの貫通孔61に隣接している帯状の高位部65との間を、斜め下方側から斜め上方側に向って幅方向に傾斜するように延在している。
【0031】
可動側基材14には、
図10に示すように、上側貫通孔51aのほぼ前方側において、ほぼ円弧状の第4のガイド部66が形成されている。そして、ほぼ円弧状の第4のガイド部66の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第3のガイド部62との仮想の円の中心とのそれぞれは、
図10に示す共通の中心C1とほぼ一致しているのが好ましい。また、第4のガイド部66の仮想の円の半径(すなわち、内径および外径のそれぞれ)は、第3のガイド部62の仮想の円の半径(すなわち、内径および外径のそれぞれ)とほぼ一致しているのが好ましい。そして、第4のガイド部66の自由端と、第3のガイド部62の自由端との間には、間隙67が形成されている。また、第4のガイド部66の先端部の前方側の角部には、ほぼ三角形状であってよいひさし構造の第1の係合部68が形成されている。さらに、第3のガイド部62および第4のガイド部66のそれぞれの中心点C1側には、ほぼ円弧状の第1および第2のガイド溝71、72が形成されている。
【0032】
可動側基材14には、
図10に示すように、第1の係合部68のほぼ前方に隣接した箇所において、シールド着脱用操作レバー16の取付けのための貫通孔(すなわち、取付け孔)73が配設されている。そして、可動側基材14には、貫通孔73のほぼ前方でほぼ斜め上方に隣接した箇所において、ほぼ扇形状であってよいひさし構造の第2の係合部74が配設されている。また、可動側基材14には、貫通孔73の多少下方の箇所において、反撥用コイルスプリング75を収容するためのスプリング収容用開孔76が形成されている。そして、このスプリング収容用開孔76のほぼ前方側の壁部には、スプリング係合用の突起部77が形成されている。また、可動側基材14の前端部の内側面には、下側貫通孔51bのほぼ前方側の箇所において、長手状でかつほぼ直線形状であってよい突壁部78が配設されている。さらに、可動側基材14の下端でかつ前端の付近には、回動操作ボタン17を取付けるための取付け開孔79が形成されている。なお、この取付け開孔79については、後述の「(4)回動操作ボタン」の項において、詳述する。
【0033】
(3)シールド着脱用操作レバー
【0034】
シールド着脱用操作部材として機能するシールド着脱用操作レバー16は、
図9および
図14に示すように、長手状のほぼ細板形状に構成されている。そして、シールド着脱用操作レバー16の大よそ中間の部分には、ねじ挿入孔が形成されている回動軸部81が設けられている。また、この操作レバー16は、回動軸部81を可動側基材14の貫通孔73に可動側基材14の外側面から挿入した後に、可動側基材14の内側面から前記ねじ挿入孔に抜け止め部材(図示せず)を介して雄ねじ部材(図示せず)をねじ込み固定することによって、可動側基材14に回動可能に取付けられることができる。
【0035】
シールド着脱用操作レバー16は、
図9および
図14に示すように、回動軸部81よりも上方側の箇所に第1の係止用の爪部83を有するとともに、回動軸部81よりも下方側の箇所に第2の係止用の爪部84を有している。なお、これら第1および第2の係止用爪部83、84は、これらの係止用爪部83、84の内側面を凹ませることによってそれぞれ肉薄に構成されるとともに、これらの係止用爪部83、84の外側面が基端側から先端側に向ってその内側面側にそれぞれ傾斜していて厚みが次第に小さくなっているのが好ましい。したがって、第1および第2の係止用爪部83、84は、操作レバー16の面方向にひさし構造でそれぞれ突出している。また、操作レバー16には、第2の係止用爪部84の下方付近において、第3の係止用爪部85が形成されている。なお、この第3の係止用爪部85は、その外側面側が欠如されていてその内側面側のみから肉薄に構成されている。そして、この係合用爪部85は、
図14に示すように、可動側基材14からの操作レバー16の浮上りを防止するために、可動側基材14のほぼ円弧状のガイド部62に係止される。さらに、シールド着脱用操作レバー16のほぼ上端部には、
図9および
図14に示すように、その外側面を凹ませることによって肉薄になっているほぼ円弧状の被ガイド部91が形成されている。
【0036】
シールド着脱用操作レバー16の下端部には、
図9に示すように、この操作レバー16を往回動させる際に指を掛けることができるリング状の指掛け部92が操作レバー16と一体的に形成されている。また、シールド着脱用操作レバー16の内側面には、回動軸部81と指掛け部92との間において、その内側面だけではなくて前方側にも開放されているスプリング収容用の凹部93が可動側基材14のスプリング収容用開孔76に対向するように形成されている。そして、このスプリング収容用凹部93の後方側の側壁部には、スプリング係合用の突起部94が形成されている。さらに、可動側基材14のスプリング収容用開孔76およびシールド着脱用操作レバー16のスプリング収容用凹部93には、
図14に示すように、共通の反撥用コイルスプリング75がこのスプリング75の両端部をスプリング係合用突起部77、94にそれぞれ係合させた状態で収容される。
【0037】
シールド着脱用操作レバー16の前側には、
図9に示すように、第1の係止用爪部83と回動軸部81との間において、第4の係止用爪部95が操作レバー16と一体的に形成されている。なお、この第4の係止用爪部95は、その外側面側が欠如されていてその内側面側のみから肉薄に構成されている。そして、シールド着脱用操作レバー16の後側面には、回動軸部81と第2の係止用爪部84との間において、第5の係止用爪部96が操作レバー16と一体的に形成されている。なお、この第5の係止用爪部96も、その外側面側が欠如していてその内側面側のみから肉薄に構成されている。そして、これら第4および第5の係止用爪部95、96のそれぞれは、可動側基材16からの操作レバー16の浮上りを防止するために、
図14に示すように、可動側基材14の第1の係止部68と第3のガイド部62の下端部とに係止される。
【0038】
(4)回動操作ボタン
【0039】
シールド位置調整用回動操作部材などのシールド位置調整用操作部材として機能する回動操作ボタン17は、
図9、
図10および
図15〜
図20に示すように、ほぼ円板形状である頭部97と、この頭部97の下側に同心状にかつ一体的に結合されているほぼ円板形状である中間部98と、この中間部98の下側に一体的に結合されていてこの中間部98からほぼ下方に向って延在している左右一対の脚部99a、99bとから成っている。そして、頭部97の上面には、この上面の中心部を通ってこの頭部97をほぼ貫通した状態で横切っている溝101と、この溝101の両側に沿ってそれぞれ延在している一対の突条部102a、102bとがそれぞれ形成されている。また、中間部98は、頭部97よりも径少であって、その外周囲の円周方向における一半部には、複数個(好ましくは、3〜7個、図示の実施例においては、5個)の位置決め用凹部103がそれぞれ形成されている。さらに、中間部98の外周囲の円周方向における他半部には、複数個(好ましくは、3〜7個、図示の実施例においては5個)のストッパ係合用凹部104a〜104eがそれぞれ形成されている。なお、位置決め用凹部103の個数は、被ストッパ手段または第1の凹凸係合手段としてのストッパ係合用凹部104a〜104eの個数と同一であるのが好ましい。そして、第2の凹凸係合手段としての複数個の位置決め用凹部103のそれぞれは、互いに同形であってよいので、回動操作ボタン17の回動中心C3から互いにほぼ等距離に位置している。また、複数個のストッパ係合用凹部104a〜104eのそれぞれは、回動中心C3から互いに異なる距離に位置しているのが好ましく、図示の実施例においては、ストッパ係合用凹部104a〜104eのうちのストッパ係合用凹部104aからストッパ係合用凹部104b〜104dをそれぞれ通してストッパ係合用凹部104eの順に上記距離が順次大きくなっている。
【0040】
回動操作ボタン17の中間部98には、
図18、
図20などに示すように、複数個の位置決め用凹部103と複数個のストッパ係合用凹部104a〜104eとの間において、第1および第2の被ストッパ部105a、105bのそれぞれがこの中間部98と一体的に形成されている。なお、これら第1の被ストッパ部105aと第2の被ストッパ部105bとのそれぞれは、第1の位置決め用突起部114と第2の位置決め用突起部117とによって、必要以上の回動を制限されるように構成されている。そして、左右一対の脚部99a、99bのそれぞれは、中間部98からほぼ下方に向かって延在している脚部本体106と、この脚部本体106の下端部からほぼ横方向におけるほぼ外方に向って突出している係合用突出部107とから成っている。また、可動側基材14の下端付近に配設されている開孔79には、
図20に示すように、回動操作ボタン17の中間部98が嵌合している。そして、この嵌合状態においては、回動操作ボタン17の左右一対の脚部99a、99bが開孔79の外周囲において、可動側基材14のほぼ円形の係合用突条部108の内側面に係合している。なお、開孔79は、外側面の側109aが径大で中間部109bが径小で内側面の側109cが中間の大きさの径であってよい。そして、一対の脚部99a、99bの突出部107がこの中間部109bに内側面の側109cから当接して係止されている。
【0041】
可動側基材14においては、
図10、
図20などに示すように、開孔79の外側面の外周囲には、この外周囲を部分的に取り囲むように、回動操作ボタン17の回動状態を指示するための複数個(好ましくは、3〜7個、図示の実施例においては、5個)の指示目盛111a〜111eがそれぞれ形成されている。なお、上記指示目盛111a〜111eにそれぞれ対向し得る指針116は、溝101とこの溝101の左右両側にそれぞれ設けられた左右一対の突条部102a、102bとによって構成されている。そして、指示目盛111b〜111eのそれぞれは、図示の実施例においては、横幅が順次大きくなっているそれぞれほぼ台形状の突条部によって構成されている。また、指示目盛111aは、図示の実施例においては、ほぼ三角形状の突条部112と、このほぼ三角形状の突条部112上をほぼ上下方向に貫通して延在している突条部113とによって構成されている。さらに、可動側基材14の取付け開孔79には、回動防止手段としての位置決め用突起部114がこの可動側基材14に一体的に形成されている。そして、可動側基材14には、位置決め用突起部114が回動操作ボタン17の回動中心に対して弾性的にほぼ前後動し得るように、位置決め用突起部114の基端部側において、スリット115が配設されている。さらに、固定側基材13に配設されているストッパ部42は、
図18、
図20などに示すように、回動操作ボタン17のストッパ係合用凹部104a〜104eのうちのいずれか1つに選択的に係合している。なお、この係合は、反撥用コイルスプリング31a、31bが固定側基材13に対して可動側基材14を
図18および
図20における左方から右方に弾性的に付勢することによって、確実に行われる。
【0042】
(5)シールド
【0043】
シールド4の内側面の左側の端部付近には、
図9に示すように、このシールド4の左側の先端部から中央部分側にほぼ向って、ほぼ円弧状の第1の被ガイド部121、ほぼ円弧状の第2の被ガイド部122およびほぼ円弧状の第3の被ガイド部123が順次配設されている。なお、ほぼ円弧状の第1の被ガイド部121の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第2の被ガイド部122の仮想の円の中心とのそれぞれは、
図9に示すほぼ共通の中心点C2であるのが好ましい。そして、第1の被ガイド部121は、中心点C2とは反対側の端部がその外側面(すなわち、シールド4の外側面側の面)の側において凹んでいるから、中心点C2とはほぼ反対側の方向に向ってひさし構造で突出している。したがって、第1の被ガイド部121においては、シールド4の内側面からほぼ垂直に立ち上っている基壁部124と、この基壁部124からシールド4の内側面とはほぼ水平に延びるひさし部125とが互いに一体的に構成されている。また、第2の被ガイド部122は、
図9に示すように、中心点C2とは反対側の端部がシールド4の外側面側において凹んでいるから、中心点C2とはほぼ反対側の方向に向ってひさし構造で突出している。したがって、第2の被ガイド部122においても、シールド4の内側面からほぼ垂直に立ち上っている基壁部126と、この基壁部126からシールド4の内側面とはほぼ水平に延びるひさし部127とが互いに一体的に構成されている。さらに、第3の被ガイド部123は、中心点C2側の端部がその外側面側において凹んでいるから、中心点C2の方向に向ってひさし構造で突出している。したがって、第3の被ガイド部123においても、シールド4の内側面からほぼ垂直に立ち上っている基部128と、この基部128からシールド4の内側面とはほぼ水平に延びるひさし部129とが互いに一体的に構成されている。
【0044】
シールド4の内側面には、第2の被ガイド部122から僅かな間隔を開けた状態でもって、第4の被ガイド部としての円弧状の被ガイド壁部131が配設されている。なお、この円弧状被ガイド壁部131の仮想の円の中心も、ほぼ中心点C2であるのが好ましい。そして、円弧状被ガイド壁部131から中心点C2までの距離は、第2の被ガイド部122の基部128から中心点C2までの距離とほぼ同一であるのが好ましい。また、第4のガイド部131は、第2のガイド部122の基壁部126の斜め上方に隣接した位置において、シールド4の内側面に配設されているのが好ましい。さらに、第3の被ガイド部123の基部128は、横断面がほぼハート形状の柱状体に構成されているのが好ましい。そして、この基部128においては、ストッパとしてそれぞれ機能することができる2つの歯部132、133が、中心線C2をほぼ向くように、中心点C2を中心とした共通の円弧上に互いに隣接して配置されている。なお、上記共通の円弧上に配置されている上記歯部132、133は、必ずしも2つである必要はなく、1つまた3つ以上であってもよい。
【0045】
(6)シールド取付け機構の組み立て
【0046】
シールド取付け機構6の組み立てに際しては、
(ア)可動側基材14に回動操作ボタン17を取付けること、
(イ)固定側基材13に可動側基材14を取付けること、
(ウ)この可動側基材14にシールド着脱用操作レバー16を取付けること、
(エ)頭部保護体2の外側面の左右両側にこれら4個の部材13、14、16、17から成る組み合せ構造の左右一対をそれぞれ取付けること、
(オ)頭部保護体2の左右両側の可動側基材14にシールド4の左右両側端部の付近をそれぞれ取付けること、
を順次行うことができる。したがって、以下において、シールド取付け機構6の組み立て操作を上記(ア)項〜(オ)項に記載の順序で順次で説明する。なお、右側のシールド取付け機構6は、左側のシールド取付け機構6の組み立てに準じて組み立てることができるから、以下においては、左側のシールド取付け機構6の組み立て操作のみを説明する。
【0047】
上記(ア)項に記載のように、
図10に示す可動側基材15に
図10および
図20に示す回動操作ボタン17を取付けるに際しては、
図19に示すように、可動側基材14の取付け開孔79付近の外側面に回動操作ボタン17の内側面を重ね合せる。そして、可動側基材14の位置決め用突起部114を回動操作ボタン17の複数個の位置決め用凹部103のうちのいずれか1つに位置合せしてから、回動操作ボタン17を開孔79に押し込む。このとき、回動操作ボタン17の左右一対の脚部99a、99bの係合用突出部107a、107bが係合用突条部108にそれぞれ係止される。そして、可動側基材14の位置決め用突起部114が回動操作ボタン17のいずれか1つの位置決め用凹部103に係合する。
【0048】
上記(イ)項に記載のように、
図9に示す固定側基材13に
図9および
図10に示す可動側基材14を取付けるに際しては、
図13に示す場合と同様に、固定側基材13の外側面に可動側基材14の内側面を重ね合せる。そして、固定側基材13の上側の上下一対のガイド溝26a、26bおよび下側の上下一対のガイド溝27a、27bに、可動側基材14の上側の上下一対の被ガイド用突条部52a、52bおよび下側の上下一対の被ガイド用突条部53a、53bをそれぞれ相対的に嵌合させる。このとき、可動側基材14のガイド用突条部58が固定側基材13のガイド溝35に嵌合する。ついで、固定側基材13の上下一対のスプリング収容用凹部32a、32bに上下一対の反撥用コイルスプリング31a、31bをそれぞれ収容する。このとき、上側の反撥用コイルスプリング31aの両端部をスプリング係合用突起部33a、50aにそれぞれ係合させる。また、下側の反撥用コイルスプリング31bの両端部をスプリング係合用突起部33b、50bにそれぞれ係合させる。この状態においては、可動側基材14は、
図13に示すように、上下一対の反撥用コイルスプリング31a、31bによってほぼ後方(すなわち、
図13におけるほぼ右側)に向って弾性的に付勢されていて、その復動位置に保持されている。具体的には、可動側基材14は、
図18、
図20などに示すように、回動操作ボタン17の複数個のストッパ係合用凹部104a〜104eのいずれか一つが固定側基材13のストッパ部42に当接することによって、上記復動位置に保持されている。
【0049】
また、上記(ウ)項に記載のように、
図9および
図10に示す可動側基材14に
図9に示すシールド着脱用操作レバー16を取付けるに際しては、
図14に示すように、可動側基材14の外側面に操作レバー16の内側面を重ね合せる。このとき、回動軸部81が可動側基材14の貫通孔73に可動側基材14の外側面から挿入される。そして、可動側基材14の内側面から回動軸部81のねじ挿入孔に抜け止め部材(図示せず)を介して雄ねじ部材(図示せず)をねじ込み固定する。この結果、操作レバー16は、可動側基材14に回動可能に軸支される。そして、可動側基材14のスプリング収容用開孔76および操作レバー16のスプリング収容用凹部93に共通の反撥用コイルスプリング75を収容する。このとき、反撥用コイルスプリング75の両端部がスプリング係合用突起部77、94にそれぞれ係合する。これとともに、操作レバー16の被ガイド部91が可動側基材14のガイド部54のガイド用スリット55に挿入される。そして、操作レバー16の第3の係止用爪部85が可動側基材14の第3のガイド部62の内側面の側に挿入される。また、操作レバー16の第5の係止用爪部96が可動側基材14の第1の係止部68の内側面の側に挿入される。さらに、操作レバー16の第4の係止用爪部95が可動側基材14の第2の係止部74の内側面の側に挿入される。
【0050】
上述のようにシールド着脱用操作レバー16が可動側基材14に回動可能に軸支された状態においては、操作レバー16は、
図14に示すように、反撥用コイルスプリング75によって回動軸部81を支点として
図14における反時計方向に弾性的に付勢されていて、その復回動位置に配されている。そして、操作レバー16の第1の所定箇所が、固定側基材13の第2の所定箇所に当接している。この場合、上記第1の所定箇所は、操作レバー16の指掛け部92の
図9における上側面、その他の当接箇所であってよい。また、上記第2の所定箇所は、可動側基材14の第3のガイド部62の
図9における上側面、その他の当接箇所(換言すれば、上記第1の所定箇所が当接し得る箇所)であってよい。なお、操作レバー16は、その指掛け部92またはその反対側の端部もしくはその他の当接箇所が可動側基材14の対応する当接箇所に当接するまで、反撥用コイルスプリング75の弾性付勢力に逆らって往回動することができる。そして、操作レバー16が上記復回動位置にあるときには、この操作レバー16の第1の係止用爪部83は、
図14に示すように、固定側基材13の高位部36の上方側の端部付近と可動側基材14の第1のガイド部54の前方側の端部付近との間隙134をほぼ塞いでいる。また、操作レバー16の第2の係止用爪部84は、可動側基材14の第3のガイド部62の前端部と第4のガイド部66の下端部との間隙135をほぼ塞いでいる。
【0051】
また、上記(エ)項に記載のように、
図9に示す4個の部材13、14、16、17から成る組み立て構造を頭部保護体2の外側面の左側に取付ける際には、
図9に示す一対の雄ねじ部材23a、23bを固定側基材13の上下一対のねじ挿通孔22a、22bにそれぞれ挿通させてから、これら一対の雄ねじ部材23a、23bのための
図11に示す一対のねじ孔25a、25bに一対の雄ねじ部材23a、23bをそれぞれねじ込み固定する。この場合、固定側基材13の上下一対のねじ挿通孔22a、22bがほぼ水平方向に細長い長孔に構成されているから、頭部保護体2に対する固定側基材13(換言すれば、上記4個の部材13、14、16、17)のほぼ水平方向(換言すれば、ほぼ前後方向)における取付け位置を、
図19に示すように、或る程度調整することができる。
【0052】
さらに、上記(オ)項に記載のように、可動側基材14にシールド4の左側の端部を取付けるに際しては、予め、
図14に示すシールド着脱用操作レバー16を、反撥用コイルスプリング75の弾性付勢力に逆らって、回動軸部81を支点として
図14の時計方向に往回動させてもよい(
図6参照)。しかし、操作レバー16をこのように操作する必要は必ずしもなくて、シールド4の第1の被ガイド部121、第2の被ガイド部122および第3の被ガイド部123を、可動側基材14の第2のガイド部56、シールド着脱用操作レバー16の第2の係止用爪部84および第1の係止用爪部83にそれぞれ当てがってから、シールド4の左側の端部付近を可動側基材14に向って強く押し付けるだけでもよい。この場合、操作レバー16の第2および第1の係止用爪部84、83がシールド4の第2および第3の被ガイド部122、123によってそれぞれ強く押し付けられるから、操作レバー16は、上述の往回動操作の場合と同様に、反撥用コイルスプリング75の弾性付勢力に逆らって往回動する。そして、シールド4の第1の被ガイド部121は、可動側基材14の第2のガイド部56の開口部56aに挿入される。これとともに、シールド4の第2の被ガイド部122は、可動側基材14の間隙67に配される。そして、シールド4の第4の被ガイド部131は、可動側基材14の第2のガイド溝72に配される。また、シールド4の第3の被ガイド部123のひさし部129が、操作レバー16の係止用爪部83の外側面を押圧するので、操作レバー16は、回動軸部81を支点として、
図14における時計方向に回動する。このために、第3の被ガイド部123が間隙134に配されるとともに、操作レバー16は、反撥用コイルスプリング75の弾性付勢力によって、回動軸部81を支点として
図6における反時計方向に復回動する。したがって、第1の係止用爪部83は、同様に復回動するので、第3の被ガイド部123のひさし部129に対向する位置に復帰する。この結果、シールド4の第2および第3の被ガイド部122、123は、操作レバー16の第2および第1の係止用爪部84、83によって、浮き上り(すなわち、可動側基材14からの離脱)をそれぞれ防止される。
【0053】
上述の状態においては、シールド4は、
図5に示す全開状態になっている。このために、シールド4の第3の被ガイド部123は、固定側基材13と可動側基材14とによって形成されている間隙134に存在している。そして、この状態においては、可動側基材14における共通の中心点C1と、シールド4における共通の中心点C2とは、可動側基材14またはシールド4の厚み方向にずれていることを除いて、実質的に互いに同一である。
【0054】
上述のような上記(ア)項〜(オ)項に記載の組み立て操作によって、シールド取付け機構6を頭部保護体2に取付けることができる。
【0055】
3、シールド取付け機構の動作
【0056】
シールド4は、
(a)
図1および
図2に示す全閉状態、
(b)
図3に示す1段階開放状態、
(c)
図4に示す2段階開放状態、
(d)
図5に示す全開状態、
(e)
図6に示す取外し可能状態、
(f)
図7に示す調整時の状態、
(g)
図8に示す調整後の状態、
のそれぞれを少なくとも採ることができる。したがって、以下において、「(1)全閉状態」、「(2)1段階開放状態」、「(3)2段階開放状態」、「(4)全開状態」、「(5)取外し可能状態」、「(6)調整時の状態」および「(7)調整後の状態」に項分けして、
図1〜
図20を参照しつつ説明する。
【0057】
(1)全閉状態
【0058】
シールド4は、前記2(6)項に記載のようにして可動側基材14に取付けられた直後には、
図5に示す全開状態になっている。そして、指をシールド4の指掛け部12に掛けるなどして、その左右両端部の共通の中心点C2をそれぞれ回動中心としてこのシールド4を上方から下方に十分に回動させると、シールド4は
図2に示す全閉状態になる。なお、この全閉状態においては、シールド4の下端部が、窓孔用縁部材8の突状部8aに接触する。そして、シールド4の第1および第2の被ガイド部121、122が、可動側基材14の第2および第3のガイド部56、62の一方の終端に当接するか、あるいは、当接する直前の状態になる。また、シールド4の第4の被ガイド部131は、第1および第2のガイド部71、72ならびに間隙135から成る移動経路のうちの間隙135の付近に位置している。さらに、第3のガイド部123は、移動側基材14のコーナー部136に位置している。そして、第3のガイド部123の基部128の2つの歯部132、133のうちの一方の歯部132は、固定側基材13のストッパ用凹部38aに係合している。したがって、第3の被ガイド部123は、可動側基材14と固定側基材13との間に挟み込まれて比較的強固に位置保持されているので、シールド4の左側端部は、シールド取付け基材15によって、頭部保護体2にほぼロック状態で取付けられている。なお、この全開状態から全閉状態へのシールド取付け機構6の動作は、全閉状態から全開状態への動作と実質的にちょうど逆であるから、その詳細の説明は、この項では省略する。さらに、
図2に示す全閉状態においては、シールド4の第3の被ガイド部123の歯部132が固定側基材13の高位部36のストッパ用凹部38aに相対的に当接しているか、あるいは、このストッパ用凹部38aに相対的に近接してその下側に位置している。
【0059】
(2)1段階開放状態
【0060】
図2に示す全閉状態において、指掛け部12にヘルメット装着者などの指を掛けるなどしてシールド4を多少持ち上げると、
図3に示す1段階開放状態になる。なお、この1段階開放状態になるときには、シールド4が、共通の中心点C2を回動中心として、可動側基材14に対して
図2の時計方向に多少往回動する。したがって、シールド4の第1、第2および第4のガイド部121、122、131は、可動側基材14の第2、第3および第4のガイド部56、62、66にそれぞれガイドされる。これとともに、シールド4の第3のガイド部123も、固定側基材13のカム部38およびクリック用歯部37にガイドされる。このために、シールド4の第1〜第4のガイド部121〜123、131は、共通の中心点C2を回動中心として、
図2の時計方向にそれぞれ往回動する。したがって、第3のガイド部123の歯部132は、
図3に示すように、クリック用歯部37の最下端の凹部に係合する。換言すれば、クリック用歯部37の最下端の歯部が第3の被ガイド部123の一対の歯部132、133の間の凹部に係合する。この結果、シールド4は、
図3に示す1段階開放状態に正確に保持される。
【0061】
また、
図2に示す全閉状態にあるシールド4が
図3に示す1段階開放状態になるときには、シールド4の第3のガイド部123の一対の歯部132、133が、固定側基材13のカム部38によってほぼ前方側(すなわち、
図2のほぼ左側)に押し出されながら時計方向に回動して、クリック用歯部37の最下端の歯部に乗り上げる。なお、この乗り上げは、可動側基材14がシールド4をともなって反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性付勢力に逆らって固定側基材13に対してほぼ前方側に向ってほぼ直線的に往動することをともなう。このために、シールド4の1段階開放状態への上昇時には、このシールド4(ひいては、その内側面に必要に応じて取付けられている防曇用補助シールド)は、前方側に例えば3mm押し出される。したがって、シールド4が1段階開放状態になるときに、シールド4と、必要に応じて取付けられている防曇用補助シールドとが、窓孔用縁部材8(特に、その上側縁部分)に引っ掛かって円滑に上昇できないようになることはない。なお、上記乗り上げに際しては、指掛け部12にヘルメット装着者などの指を掛けた状態でこの指によってシールド4をほぼ上方に持ち上げればよい。この場合、前記第1項に記載したように、シールド4には、ほぼ前方に向う前記第2の力も加わるので、上述のようなシールド4の1段階開放状態への上昇を円滑に行うことができる。
【0062】
(3)2段階開放状態
【0063】
図3に示す1段階開放状態において、シールド4をさらに少し持ち上げると、
図4に示す2段階開放状態になる。なお、この2段階開放状態になるときには、シールド4が、共通の中心点C2を回動中心として、可動側基材14に対して
図3の時計方向にさらに少し回動する。このために、シールド4の第1、第2および第4のガイド部121、122、131のそれぞれは、可動側基材14の第2、第3および第4のガイド部56、62、66にさらにガイドされる。これとともに、シールド4の第3のガイド部123も、固定側基材13のクリック用歯部37にさらにガイドされる。したがって、シールド4の第1〜第4のガイド部121〜123、131のそれぞれは、共通の中心点C2を回動中心として、
図3の時計方向に往回動する。この結果、第3のガイド部123の一対の歯部132、133は、
図4に示すように、クリック用歯部37の最下端の凹部よりも1つ上の凹部と最下端の凹部とにそれぞれ係合する。換言すれば、クリック用歯部37の最下端の歯部よりも1つ上の歯部が第3の被ガイド部123の一対の歯部132、133の間の凹部に係合する。このために、シールド4は、
図4に示す2段階開放状態に正確に保持される。
【0064】
(4)全開状態
【0065】
図4に示す2段階開放状態において、シールド4をさらに大幅に持ち上げると、
図5に示す全開状態(すなわち、最大開放状態)になる。なお、この全開状態になるときには、シールド4が、共通の中心点C2を回動中心として、可動側基材14に対して
図4の時計方向にさらに大幅に往回動する。そして、この
図5に示す全開状態は、前記2(6)項において前記(オ)項に記載の操作について説明した頭部保護体2へのシールド4の取付け直後の状態と実質的に同一であるから、ここでは、その詳細な説明は省略する。なお、この
図5に示す全開状態においては、シールド4の第3の被ガイド部123は、固定側基材13のクリック用歯部37を通過してこのクリック用歯部37の上方に位置している。したがって、シールド4と、必要に応じて取付けられている防曇用補助シールドとのそれぞれの回動中心である共通の中心点C2は、1段階開放状態から全開状態のうちで、後方側にもっとも引っ込んだ位置に保持される。また、この全開状態においては、可動側基材14は、この可動側基材14に取付けられている回動操作ボタン17のストッパ係合用凹部104a〜104eのうちのいずれか1つが固定側基材31のストッパ部42に当接することによって、位置保持されている。そして、シールド4が上述のように1段階開放状態から全開状態に持ち上げられたときには、シールド4と必要に応じて取付けられる防曇用補助シールドとが頭部保護体2から必要以上に前方に突出するのを防止することができるから、シールド4が走行風によってあおられるのを或る程度防止することができる。なお、上記位置保持は、前記(1)項に記載した全閉状態においても、同様に行われる。
【0066】
(5)取外し可能状態
【0067】
図5に示す全開状態において、シールド着脱用操作レバー16を、反撥用コイルスプリング75の弾性付勢力に逆らって、回動軸部81を支点として
図5の時計方向に往回動させると、
図6に示す取外し可能状態になる。なお、この取外し可能状態は、前記2(6)項において前記(オ)項に記載の操作について説明したシールド着脱用操作レバー16の往回動操作の状態と実質的に同一であるから、ここでは、その詳細な説明は省略する。そして、この
図6に示す取外し可能状態においては、前記2(6)項において前記(オ)項に記載の操作について説明したのとは逆の操作を行うことによって、シールド4の左側の端部を可動側基材14から容易に取外すことができる。
【0068】
さらに、この取外し可能状態においては、前記(4)項に記載したように、可動側基材14に取付けられている回動操作ボタン17の被ストッパ係合用凹部104a〜104eのうちのいずれか1つが固定側基材13のストッパ部42に当接しているから、可動側基材14は固定側基材13に対して完全に復動している。このために、シールド4を可動側基材14から取外す前後で、可動側基材14が反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性付勢力によって固定側基材13に対してさらに復動する恐れはない。そして、このことは、シールド4を可動側基材14に取付ける前後でも、同様である。したがって、可動側基材14に対するシールド4の取付け操作および取外し操作のいずれもを簡単かつ確実に行うことができる。
【0069】
(6)調整時の状態
【0070】
シールド4は、回動操作ボタン17を操作することによって、
図1、
図2および
図8に示す全閉状態における窓孔縁部材8に対するシールド4のほぼ前後方向の位置を調整することができる。なお、この調整に際しては、シールド4は、ヘルメット装着者などが回動操作ボタン17を操作することができるように、2段階開放状態と全開状態を除く3段階以上の開放状態とのうちのいずれか1つの状態(すなわち、2段階〜6段階のうちのいずれか1つの開放状態)に予め持ち来たされている必要がある。例えば、
図7に示す2段階開放状態における上記調整操作を説明すると、固定側基材13のストッパ部42は、回動操作ボタン17のストッパ係合用凹部104a〜104eのいずれからも離脱している。したがって、ねじ回し(図示せず)などを回動操作ボタン17の溝101に係合させてから、上記ねじ回しを回動させると、位置決め用突起部114が複数の位置決め用凹部103のうちの1つから別の1つに係合状態を変化させる。なお、上記離脱状態は、全閉状態および全開状態をそおれぞれ除く1段階〜6段階の開放状態においても、同様に生じている。
(7)調整後の状態
上記(6)項に記載した調整時の状態からシールド4を全閉状態にすると、固定側基材13のストッパ部42は、上記調整時よりも以前に係合していたストッパ係合用凹部104a〜104eのうちのいずれか1つから別の1つに新たに係合する。この場合、ストッパ係合凹部104a〜104eのそれぞれの位置は、回動操作ボタン17の回動中心C3からの距離が例えば0.25mmずつ順次小さくなっている。このために、固定側基材13に対する回動操作ボタン17(ひいては、可動側基材14)の上記全閉状態におけるほぼ前後方向の位置は、上記調整時よりも以前の状態に較べて、0.25Xmm(ただし、上記Xは、調整後に係合しているストッパ係合用凹部104a〜104eが調整前に係合していたストッパ係合用凹部104a〜104eから幾つ目の凹部104a〜104eだけ離れているのかを示す数字を意味している。)だけほぼ前方またはほぼ後方に移動している。したがって、上記調整によって、全閉状態における頭部保護体2に対するシールド4のほぼ前後方向の位置を上記0.25Xmmの範囲内で所望の位置に調整することが可能である。
【0071】
以上において、本発明の一実施例について詳細に説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0072】
例えば、上述の実施例においては、フルフェイス型ヘルメット1に本発明を適用したが、顎覆い部が上昇可能なジェット型兼用のフルフェイス型ヘルメット、ジェット型ヘルメット、セミジェット型ヘルメットなどにも、本発明を適用することができる。
【0073】
また、上述の実施例においては、シールド位置調整用操作部材をシールド位置調整用回動操作部材17から構成した。しかし、上記シールド位置調整用操作部材17は、回動操作式のものである必要は必ずしもなく、ほぼ直線往復動操作されるものや任意の曲線に沿って往復動操作されるものなどの各種の構成のものであってよい。
【0074】
また、上述の実施例においては、複数個であってもよい単一の位置保持用箇所(具体的には、ストッパ部42)を固定側基材13の側に有するストッパ手段を設けるとともに、複数個の位置保持用箇所(具体的には、ストッパ係合用凹部104a〜104e)を可動側基材14の側に有する被ストッパ手段を設けた。しかし、可動側基材14に単一または複数個の位置保持用箇所を有する被ストッパ手段を設けるとともに、固定側基材13に複数個の位置保持用箇所を有するストッパ手段を設けてもよい。また、この場合、上記ストッパ手段104a〜104eと複数個の位置決め用凹部103とを回動操作ボタン17のような共通の部材に設けることもできる。
【0075】
また、上述の実施例においては、弾性付勢手段または弾性付勢部材として反撥用コイルスプリング31a、31b、75を用いた。しかし、これら3個の弾性付勢手段31a、31b、75のうちの1個、2個または3個全部は、牽引用コイルスプリングであってもよく、また、コイルスプリング以外のリーフスプリングなどの別のスプリングなどであってもよい。
【0076】
さらに、上述の実施例においては、シールド着脱用操作部材16は、往復回動可能な操作レバーによって構成されている。しかし、この操作部材16は、直線往復動可能な部材によって構成されることもでき、また、往復回動または直線往復動以外の往復動が可能な部材によっても構成されることもできる。