【実施例】
【0035】
〔実施例1の構成〕
図1ないし
図6に基づいて本発明の実施例1を説明する。
図1に示す電源装置1は、電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載され、電導モータ(図示せず)を駆動するように設けられている。電源装置1では、薄型矩形状の電池2を単体の二次電池として左右方向Nに沿って複数個並列させて重ね合せ、全体が箱型の外殻となった電池集合体3を形成している(セル一列積層体)。
【0036】
各電池2は、電池集合体3の前後方向Mに各極性を有するように配置されている。電池集合体3の一側面3aにおいて、隣り合う一方の電池2の正極2aと他方の電池2の負極2bとが交互に逆極となる状態で、左右方向Nに沿って一列に並設されている。正極2aおよび負極2bは、細径の雄ねじボルト部として電池集合体3の一側面3aから前後方向Mに突出している。
【0037】
横長な絶縁性の樹脂製ケース4は、正極2aと負極2bとにそれぞれ対応する第1透孔4aおよび第2透孔4bを連続的に設けている。樹脂製ケース4の最左端部および最右端部を除く第1透孔4aと第2透孔4bとの双方を内部に挟む両側に、側面から垂直方向に突き出る縦壁部4cを一体に形成している。
【0038】
可撓性基盤5はフレッキシブル・プリントサーキット(FPC)として、後述するバスバー15およびナット18とともにバスバーモジュール装置6を構成するもので、樹脂製ケース4に対応する細長な帯状に形成されている。可撓性基盤5は、
図3(a)に示すように、主電導箔7と副電導箔8とから成る電導箔群9を有している。この場合の一例として、主電導箔7は鍵穴状で、副電導箔8は矩形状を成している。
図3(a)では、後述する接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cを省いた状態を示しているが、これらの接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cが貼着されていることを前提としている。
【0039】
主電導箔7は、一方の電池2の正極2aおよび他方の電池2の負極2bのうち何れか、例えば、正極2aに取り付けられるように貼着されている。副電導箔8は、一方の電池2の正極2aと他方の電池2の負極2bとの双方に対応する位置に貼着されている。
【0040】
折り目線8Aは、主電導箔7と副電導箔8との間で可撓性基盤5(例えば、後述するポリウレタン層5a)の長手方向Hの全長にわたって形成されている。
【0041】
可撓性基盤5に折り目線8Aを付けるに当たっては、ポリウレタン層5aを折り曲げた後に押し広げることにより折り目線を付与したり、ローラ(図示せず)をかけて幅細の筋目を入れたり、底付きの切れ目を設けてもよい。
【0042】
電導箔群9を構成する主電導箔7および副電導箔8は、例えば、高い電気伝導率を有する無酸素銅により形成されている。
【0043】
各主電導箔7からは細線状の導体箔7a−7oが可撓性基盤5の延長辺5Aに沿って延出し、
図2(a)−(c)に示すように、絶縁コネクターFに差し込まれ、リテーナFaにより接続固定されている。絶縁コネクターFは、図示しない電子制御部(ECU)に延出接続され、電子制御部(ECU)により、各電池2の電圧は、所定よりも大きな値にならないように制御している。
【0044】
可撓性基盤5は、
図3(b)に示すように、互いに密着状態に積層されたポリウレタン層5a、接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cを有し、電導箔群9はポリウレタン層5a上に貼着されている。接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cは、ポリウレタン層5aおよび電導箔群9に対して剥離可能に貼着されている。
【0045】
一例として挙げれば、ポリウレタン層5aの厚みは15μm(10−20μmの厚み範囲)であり、接着層5bの厚みは10μm(5−15μmの厚み範囲)であり、ポリエチレンテレフタレート層5cの厚みは50μm(40−60μmの厚み範囲)であり、無酸化銅から成る電導箔群9の厚みは18μm(10−25μmの厚み範囲)である。
【0046】
可撓性基盤5の主電導箔7およびポリウレタン層5aには、電池2の正極2aおよび樹脂製ケース4の第1透孔4aに対応する第1穴部10が貫通形成されている(
図4参照)。主電導箔7に隣り合うポリウレタン層5aの部分には、電池2の負極2bおよび樹脂製ケース4の第2透孔4bに対応する第2穴部11が貫通形成されている。
【0047】
可撓性基盤5には、副電導箔8から主電導箔7に向かう筋線Rに沿って平行で、樹脂製ケース4の縦壁部4cに対応する複数条の切込み部12が形成されており、温度上昇に伴い可撓性基盤5と電導箔群9との膨張差により可撓性基盤5に生じる歪みを吸収する。
【0048】
副電導箔8およびポリウレタン層5aには、折り目線8Aに対して第1穴部10および第2穴部11とそれぞれ対称となる第1挿通孔13および第2挿通孔14が貫通形成されている。
【0049】
複数のバスバー15は、例えば無酸素銅から形成された導電性の短辺板群から成り、
図5に示すように、第1挿通孔13および第2挿通孔14にそれぞれ対応する第1貫通孔15aおよび第2貫通孔15bを長手方向Sに形成している。
【0050】
上記構成において、可撓性基盤5を電池集合体3に取付ける前に、接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cをポリウレタン層5aおよび電導箔群9から剥がして電導箔群9を外部に露出させる(
図3(a)参照)。
【0051】
この状態で、
図5に矢印Pで示すように、副電導箔8を折り目線8Aに沿って内側に折り曲げ、バスバー15を副電導箔8と主電導箔7との間にサンドイッチ状に挟むように配置する。その後に、副電導箔8をバスバー15を介して主電導箔7に押し当てて重ね合せる。
【0052】
ついで、可撓性基盤5の切込み部12を樹脂製ケース4の縦壁部4cに差し込み、可撓性基盤5を樹脂製ケース4に仮止めする。
【0053】
副電導箔8の折り曲げ時、第2透孔4b、第1穴部10、第2貫通孔15bおよび第1挿通孔13が一直線に連通して成る第1連通路16が形成される。これと同時に、第1透孔4a、第2穴部11、第1貫通孔15aおよび第2挿通孔14が一直線に連通して成る第2連通路17が形成される。
【0054】
この場合、電池集合体3の最左端に位置する電池2の正極2aおよび電池集合体3の最右端に位置する電池2の負極2bの双方には、後述する正側電源ケーブル19および負側電源ケーブル20の接続のため、バスバー15を介在させない。可撓性基盤5の最右端に位置する負極2bに対応する部分には、第2挿通孔14に連通する第2穴部11を有する主電導箔7を貼着する。
【0055】
樹脂製ケース4を電池集合体3の一側面3aに当てて、電池2の正極2aおよび負極2bを第1透孔4aおよび第2透孔4bにそれぞれ差し込む。これにより、正極2aの先端部が第1連通路16を挿通して外部に突出し、負極2bの先端部が第2連通路17を挿通して外部に突出する。
【0056】
電池集合体3の最左端に位置する電池2の正極2aは、第1透孔4a、第1穴部10および第1挿通孔13を介して外部に突出する。電池集合体3の最右端に位置する電池2の負極2bは、第2透孔4b、第2穴部11および第2挿通孔14を介して外部に突出する。
【0057】
この際、正極2aは、第1穴部10の内周縁に接触して主電導箔7と導通し、かつ第2貫通孔15bの内周縁に接触してバスバー15と導通するとともに、第1挿通孔13の内周縁に接触して副電導箔8と導通する。
【0058】
負極2bは、第1貫通孔15aの内周縁に接触してバスバー15と導通するとともに、第2挿通孔14の内周縁に接触して副電導箔8と導通する。
【0059】
第1連通路16から突出した正極2aの先端部および第2連通路17から突出した負極2bの先端部にナット18をそれぞれ締め付ける(
図6参照)。これにより、副電導箔8がバスバー15を介して主電導箔7に押圧されて密着し、この状態で可撓性基盤5を有するバスバーモジュール装置6が樹脂製ケース4と一体的になって電池集合体3の一側面3aに取付けて固定される。
【0060】
副電導箔8がバスバー15を介して主電導箔7に重なり合って密着した際、バスバー15および副電導箔8を介して一方の電池2の正極2aと他方の電池2の負極2bとが電気的に導通する。
【0061】
電池集合体3の最左端に位置する電池2の正極2aには、ナット18を用いて正側電源ケーブル19を接続し、電池集合体3の最右端に位置する電池2の負極2bには、ナット18を用いて負側電源ケーブル20を接続する。
【0062】
この際、複数の電池2が電気的に直列接続され、正側電源ケーブル19と負側電源ケーブル20との間に高電圧を発生する電源装置1が得られる。
【0063】
樹脂製ケース4には、樹脂製の絶縁被覆カバー21が着脱自在に取り付けられ、バスバーモジュール装置6の可撓性基盤5、バスバー15、ナット18、正側電源ケーブル19および負側電源ケーブル20を覆って保護する(
図1および
図5参照)。
〔実施例1の効果〕
実施例1では、可撓性基盤5を折り目線8Aに沿って折り曲げ、副電導箔8をバスバー15を介して主電導箔7に導電可能に重ね合せるといった簡単な操作で、一方の電池2の正極2aと他方の電池2の負極2bとが電気接続される。
【0064】
これにより、電池集合体3に対するバスバーモジュール装置6の組付け工数の削減が図られ、コスト的に有利となるとともに、バスバーモジュール装置6が簡素な構造となって迅速組付けが可能となる。
【0065】
可撓性基盤5を電池集合体3に取付ける際、可撓性基盤5を折り目線8Aに沿って折り曲げることにより、副電導箔8をバスバー15とともに被覆し、外部の塵埃などの異物から保護することができる。
【0066】
バスバーモジュール装置6が簡素な構造でコスト的に有利なため、量産用の車両に搭載するバスバーモジュール装置6として好適となる。
【0067】
可撓性基盤5を構成するポリウレタン層5a、接着層5b、ポリエチレンテレフタレート層5cおよび電導箔群9の厚みを小さく設定したので、可撓性基盤5のコンパクト化を図ることができる。
【0068】
可撓性基盤5には、複数条の切込み部12を形成したので、膨張差により可撓性基盤5に生じる歪みが切込み部12に吸収されるので、可撓性基盤5が不用意に湾曲変形することがない。
【0069】
可撓性基盤5を電池集合体3に取付ける際、ナット18を正極2a(負極2b)に締め付けるため、その締付け力により、正極2a(負極2b)、副電導箔8、バスバー15、主電導箔7およびナット18が強固に密着する。このため、正極2a(負極2b)、副電導箔8、バスバー15、主電導箔7およびナット18を介する畳重電導路の電気抵抗が大幅に低下し、畳重電導路に高い電導率を確保し、電圧降下が生じるのを防ぐことができる。
【0070】
なお、折り目線8Aは、例えば、ポリウレタン層5aを所定の仮想線に沿って折り曲げておくことにより、仮想線に沿って曲げ癖を付与しておいてもよい。この場合、ポリウレタン層5aに接着層5bとポリエチレンテレフタレート層5cとが貼着されている時、ポリウレタン層5aは曲げ癖による付勢力に抗して押し広げられて平坦面を形成している。この際、接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cをポリウレタン層5aおよび電導箔群9から引き剥がした際、ポリウレタン層5aが曲げ癖による付勢力で折り目線8Aに沿って自ら主電導箔7の方向に折り曲がるようになる。
【0071】
また、実施例1では、主電導箔7を電池2の正極2aに対応させて貼着したが、これとは逆に主電導箔7を電池2の負極2bに対応させて貼着してもよい。
〔実施例2の構成〕
図7および
図8は本発明の実施例2を示す。実施例2が実施例1と異なるところは、主電導箔7に代わって、
図7に示すように、第1主電導箔22および第2主電導箔23を設けたことである。
【0072】
第1主電導箔22および第2主電導箔23は、副電導箔8とともに電導箔群9を成すもので、第1主電導箔22は、ポリウレタン層5a上に一方の電池2の正極2aに取り付けられるように貼着されている。
【0073】
第2主電導箔23は、ポリウレタン層5a上に他方の電池2の負極2bに取り付けられるように貼着されている。第1主電導箔22および第2主電導箔23からは、実施例1と同様に細線状の導体箔22c、23cが延長辺5Aへ延出されている。
【0074】
ポリウレタン層5aおよび第1主電導箔22には、第1連通路16に連通する第1穴部22aが貫通形成され、ポリウレタン層5aおよび第2主電導箔23には、第2連通路17に連通する第2穴部23aが貫通形成されている。第1穴部22aは実施例1の第1穴部10に相当し、第2穴部23aは実施例1の第2穴部11に相当する。
【0075】
正極2aを第1連通路16に挿通し、負極2bを第2連通路17に挿通した際、正極2aは、第1穴部22aの内周縁に接触して第1主電導箔22と導通し、かつ第1貫通孔15aの内周縁に接触してバスバー15と導通するとともに、第1挿通孔13の内周縁に接触して副電導箔8と導通する。
【0076】
負極2bは、第2穴部23aの内周縁に接触して第2主電導箔23と導通し、かつ第2貫通孔15bの内周縁に接触してバスバー15と導通するとともに、第2挿通孔14の内周縁に接触して副電導箔8と導通する。
【0077】
折り目線8Aは、第1主電導箔22および第2主電導箔23の双方と副電導箔8との間を上下に仕切る長手方向Hに沿って形成されている。可撓性基盤5には、副電導箔8から第1主電導箔22および第2主電導箔23に向かう複数条の切込み部12が形成されている。
【0078】
実施例2において、
図8に示すように、可撓性基盤5を折り目線8Aに沿って折り曲げた際、第1主電導箔22と第2主電導箔23との間は、電導性のバスバー15により導通される。このため、副電導箔8は、バスバー15を介して第1主電導箔22および第2主電導箔23の双方に対して導電可能に重なり合う。
【0079】
これにより、第1主電導箔22と第2主電導箔23とがバスバー15および副電導箔8を介して導通し、一方の電池2の正極2aと他方の電池2の負極2bとが電気接続される。
【0080】
なお、実施例2における可撓性基盤5の最右端には、電池2の正極2aに対応する第1主電導箔22を貼着した。このため、可撓性基盤5の最左端には、電池集合体3の最左端に位置する電池2の負極2bが対応する第2主電導箔23を貼着する。
〔実施例2の効果〕
実施例2では、可撓性基盤5を折り目線8Aに沿って折り曲げ、副電導箔8を第1主電導箔22および第2主電導箔23の双方に対して導電可能に重ね合せるといった簡単な操作で、一方の電池2の正極2aと他方の電池2の負極2bとが電気接続される。
【0081】
これにより、実施例1と同様に、電池集合体3に対するバスバーモジュール装置6の組付け工数の削減が図られ、コスト的に有利となるとともに、バスバーモジュール装置6が簡素な構造となって迅速組付けが可能となる。
【0082】
可撓性基盤5を電池集合体3に取付ける際、可撓性基盤5を折り目線8Aに沿って折り曲げることにより、副電導箔8を第1主電導箔22および第2主電導箔23とともに被覆し、外部の塵埃などの異物から保護することができる。
【0083】
バスバーモジュール装置6が簡素な構造でコスト的に有利なため、量産用の車両に搭載するバスバーモジュール装置6として好適となる。
【0084】
第1主電導箔22と第2主電導箔23とが副電導箔8およびバスバー15の双方を介して導通する。これにより、第1主電導箔22と第2主電導箔23との間が低抵抗となり、高い電導率で導通し、一方の電池2の正極2aと他方の電池2の負極2bとが実質的な電圧降下を生じることなく電気接続される。
【0085】
このため、電池2の正極2aと他方の電池2の負極2bとの間に高い電流(例えば、30Amp)が流れても、正極2aと負極2bとの電導路が過剰に加熱されることがなく安全である。
【0086】
なお、実施例2では、バスバー15を省き、可撓性基盤5の折り曲げ時、副電導箔8を第1主電導箔22および第2主電導箔23の双方に対して直に重ね合せ、副電導箔8のみにより第1主電導箔22と第2主電導箔23とを導通させてもよい。
【0087】
また、ポリウレタン層5aおよび電導箔群9から接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cを引き剥がす工程で、第1主電導箔22および第2主電導箔23のうち一方に対応する部分の接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cは、ミシン目や切り目線などの切除可能線で包囲することにより剥離せず残存させてもよい。
【0088】
すなわち、第1主電導箔22および第2主電導箔23のうち一方を露出させず、何れか一方を接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cで被覆した状態のままにしてもよい。この場合、バスバー15が必須となるため、可撓性基盤5の折り曲げ時、バスバー15を仲立ちにして副電導箔8を第1主電導箔22あるいは第2主電導箔23の一方に対して重ね合せ、バスバー15と副電導箔8とにより電池2の正極2aと他方の電池2の負極2bとを導通させるものである。
〔実施例3の構成〕
図9は本発明の実施例3を示す。実施例3が実施例1と異なるところは、バスバー15を電気絶縁性の帯状体25と一体化させたことである。
【0089】
帯状体25は薄肉の細長矩形状を成し、複数の嵌合孔25aを長手方向に等間隔に形成している。バスバー15は嵌合孔25aに一体的に嵌着固定されている(
図9(a)、(b)参照)。帯状体25は、電気絶縁性の材料として、例えば、ポリアミド(PA)やポリエステルの合成樹脂により形成されている。
【0090】
実施例3では、バスバー15が帯状体25の嵌合孔25aに嵌着固定され、帯状体25と一体化されている。このため、帯状体25を電池集合体3に取り付けることにより、バスバー15を可撓性基盤5に逐一取り付ける必要がなくなり、バスバーモジュール装置6の迅速組み付けに一層寄与することができる。
【0091】
なお、バスバー15は、帯状体25と合成樹脂のインサート成形により一体化してもよい。帯状体25は、ポリアミド(PA)やポリエステルにより形成したが、合成樹脂としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)あるいはシンジオタクチックポリスチレン(SPS)などのプラスチック材料を用いてもよい。また、可撓性基盤5を構成する各層の樹脂材料として上記プラスチック材料から所望のものを選択してもよい。
〔実施例4の構成〕
図10は本発明の実施例4を示す。実施例4が実施例1と異なるところは、切込み部12の始端分12aが外部に開口しないように形成したことである。
【0092】
実施例4では、切込み部12は始端分12aと終端分12bとを有し、左右に並ぶ複数の副電導箔8が一体的に連結された状態となる。このため、可撓性基盤5を折り目線8Aに沿って折り曲げる際、左右に並ぶ複数の副電導箔8が同時に主電導箔7に重なり合う利点が得られる。
【0093】
この場合、切込み部12の始端分12aと終端分12bについては、折り目線8Aと始端分12aとの間の第1距離Q1と折り目線8Aと終端分12bとの間の第2距離Q2とを等しく設定してもよい。この距離設定では、可撓性基盤5を折り目線8Aに沿って折り曲げる際、始端分12aと終端分12bとが合致して折り重なる利点が得られる。
〔変形例〕
(a)実施例1−3では、電導箔群9およびバスバー15を無酸素銅により形成したが、無酸素銅に限らず、通常の精錬状態の銅であってもよく、金、銀、鉄、アルミニウムあるいはニッケル合金などの電導性金属でもよい。主電導箔7は鍵穴状で、副電導箔8は矩形状としたが、主電導箔7および副電導箔8の形状は、使用状況や適用対象に応じて種々変更してもよい。
(b)電導箔群9については、斑模様で図示したが、空白部分と識別し易くするためであり、電導箔群9に使用する材質を特定するものではない。折り目線8Aについては、可撓性基盤5のポリウレタン層5aだけに限らず、ポリウレタン層5aを含む接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cの全体に形成してもよい。
(c)後者のように折り目線8Aを可撓性基盤5の全体に形成した場合、製造時に可撓性基盤5を折り目線8Aに沿って折り曲げておき、折り曲げた状態で完成品として市場に出荷してもよい。
【0094】
また、折り目線8Aは、ポリウレタン層5aに断面V字状の切れ目を入れることにより形成し、ポリウレタン層5aは切れ目を裏面として折り曲げてもよい。
(d)実施例1−3では、可撓性基盤5を折り曲げる前に、接着層5bとポリエチレンテレフタレート層5cとを電導箔群9から引き剥がして除去したが、接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cの電導箔群9に対応する適用領域部分に、ミシン目などの切除可能線を予め形成しておき、可撓性基盤5の折り曲げ時、適用領域部分だけを電導箔群9から剥離して取り除いてもよい。
(e)実施例2における第1電導箔22と第2電導箔23とを電導箔辺部(図示せず)で一体に繋げて導通させておいてもよい。この場合、電池2の正極2aと負極2bとは、第1電導箔22、電導箔辺部および第2電導箔23を介して導通するため、バスバー15および副電導箔8の双方を省いてもよい。
(f)可撓性基盤5は、ポリウレタン層5a、接着層5bおよびポリエチレンテレフタレート層5cに限らず、実施例3の帯状体25に用いられるプラスチック材料から選択して形成した合成樹脂層であってもよい。
(g)実施例3では、帯状体25に代わって、複数のバスバー15のうち隣接するバスバー15同士を繋ぐ絶縁性の連結辺部を設けてもよい。