特許第6148576号(P6148576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6148576オルガノ変性シリコーン、その製造方法及びそれを含有する毛髪化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148576
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】オルガノ変性シリコーン、その製造方法及びそれを含有する毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/26 20060101AFI20170607BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20170607BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20170607BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20170607BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20170607BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20170607BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20170607BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   C08G77/26
   A61K8/898
   A61Q5/00
   A61Q5/12
   A61Q5/02
   A61Q5/06
   A61Q5/04
   A61Q5/10
【請求項の数】6
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-171559(P2013-171559)
(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公開番号】特開2015-40250(P2015-40250A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】特許業務法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】旭 宏章
(72)【発明者】
【氏名】坪田 美樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 高弘
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−95834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/26
A61K 8/898
A61Q 5/00
A61Q 5/02
A61Q 5/04
A61Q 5/06
A61Q 5/10
A61Q 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】
{式(1)中、各構造部分はブロックでもランダムでもよく、Rは分岐を有していてもよい炭素数2〜12のアルキル基、Rは分岐を有していてもよい炭素数13〜22のアルキル基を表し、Xは下記一般式(2):
−R−NH−(R−NH)−H (2)
〔式(2)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基を表し、fは0又は1を表す。〕
で表される基を表し、Yは下記一般式(3):
−R−NH−(R−NH)−R5 (3)
〔式(3)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基、Rは分岐を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、分岐を有していてもよい炭素数1〜5のアルコキシ基、分岐を有していてもよい炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基又は−CO−(CH−R(Rは水素原子又はカルボキシ基)で表される基を表し、gは0又は1、hは1〜3の整数を表す。〕
で表される基を表し、aは1〜100、bは0〜50、cは3,000〜200,000、dは1〜50、eは0〜20の整数を表し、(a+b)=2〜100、(d+e)=1〜50、(b+e)=1以上の関係を満たす。}
で表されることを特徴とするオルガノ変性シリコーン。
【請求項2】
前記一般式(1)中、aは10〜69、bは1〜30、cは4,000〜150,000、dは2〜39、eは1〜15の整数を表し、(a+b)=11〜70、(d+e)=3〜40の関係を満たすものであることを特徴とする請求項1に記載のオルガノ変性シリコーン。
【請求項3】
前記一般式(1)中、Rは分岐を有していてもよい炭素数2〜10のアルキル基、Rは分岐を有していてもよい炭素数14〜22のアルキル基を表すものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオルガノ変性シリコーン。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のオルガノ変性シリコーンの製造方法であって、
下記一般式(4):
【化2】
{式(4)中、各構造部分はブロックでもランダムでもよく、R、R、a、bはそれぞれ前記一般式(1)におけるR、R、a、bと同義であり、mは0又は正の整数であり、(m+n)=c(nは下記一般式(7)におけるnと同義であり、cは前記一般式(1)におけるcと同義である。)の関係を満たす。}
で表されるアルキル変性シリコーンと、下記一般式(5):
【化3】
{式(5)中、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは前記一般式(1)におけるXと同義である。}
で表されるアミノ基含有ケイ素化合物又は下記一般式(6):
HO−(CHSiX)d+e−OH (6)
(式(6)中、X、d、eはそれぞれ前記一般式(1)におけるX、d、eと同義である。)
で表されるアミノ基含有ケイ素化合物と、下記一般式(7):
【化4】
(式(7)中、nは3〜8の整数を表す。)
で表される環状ジメチルシリコーンとを、得られるオルガノ変性シリコーンが前記一般式(1)におけるa、b、c、d、eの条件を満たすように反応容器に仕込み、触媒の存在下で平衡化反応させることにより前記オルガノ変性シリコーンを得ることを特徴とするオルガノ変性シリコーンの製造方法。
【請求項5】
前記平衡化反応により得られたオルガノ変性シリコーンに、前記一般式(1)におけるa、b、c、d、eの条件を満たすように、酸成分又はアルコールを脱水縮合反応させる工程、或いは、クロロアルカン又はクロロアルコールを脱塩酸反応させる工程、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のオルガノ変性シリコーンの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のオルガノ変性シリコーンを含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノ変性シリコーン、その製造方法及びそれを含有する毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、毛髪に滑らかさやしっとり感等を付与するために、シリコーンオイルやエステル油、炭化水素油等の油分やカチオン性界面活性剤等が毛髪化粧料に配合されている。
【0003】
特にシリコーンオイルは、表面張力が低いことから毛髪に均一に広がり易い。そのため、滑らかさやしっとり感を付与したり、シャンプー等の毛髪洗浄剤に配合された際には洗浄時の指通りの滑らかさを付与したりすることに優れており、毛髪化粧料に多用されている。
【0004】
このようなシリコーンオイルとしては、重合度が1,000〜2,000であるジメチルシリコーンを用いることが一般的であるが、他のシリコーンオイルも提案されている。例えば、特開平5−85918号公報(特許文献1)には、重合度が3,000〜20,000であるアミノ変性シリコーン又はアンモニウム変性高分子シリコーンを配合した毛髪用組成物が記載されており、特開2005−132764号公報(特許文献2)にはアルキル/アラルキル/アリール変性シリコーン・アミノ変性シリコーン共重合体を含有する毛髪化粧料組成物が記載されている。
【0005】
しかしながら、このような従来のシリコーンオイルは、シャンプー等での洗浄では除去され難いため必要以上に毛髪に残留してしまい、繰り返し使用されることで毛髪へ多量に蓄積されていき、シリコーン皮膜を形成し易いという問題があった。このシリコーン皮膜は、ヘアカラー剤やパーマネントウェーブ剤が毛髪へ浸透することを阻害するため、ヘアカラーが均一に染まらない、パーマネントウェーブが部分的に施術されないといった問題を引き起こすという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−85918号公報
【特許文献2】特開2005−132764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、毛髪に滑らかさ及びしっとり感の両方を高水準で付与でき、かつ、繰り返し使用されてもヘアカラーやパーマネントウェーブ等の美容施術における阻害の発生が十分に抑制される毛髪化粧料を提供することが可能なオルガノ変性シリコーン、並びに、その製造方法及びそれを含有する毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定構造を有する新規なオルガノ変性シリコーンが、優れた滑らかさ及びしっとり感を毛髪に付与することができ、かつ、繰り返し使用されても美容施術を妨げる程蓄積しない適度な吸着性を有することを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のオルガノ変性シリコーンは、下記一般式(1):
【0010】
【化1】
【0011】
{式(1)中、各構造部分はブロックでもランダムでもよく、Rは分岐を有していてもよい炭素数2〜12のアルキル基、Rは分岐を有していてもよい炭素数13〜22のアルキル基を表し、Xは下記一般式(2):
−R−NH−(R−NH)−H (2)
〔式(2)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基を表し、fは0又は1を表す。〕
で表される基を表し、Yは下記一般式(3):
−R−NH−(R−NH)−R5 (3)
〔式(3)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基、Rは分岐を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、分岐を有していてもよい炭素数1〜5のアルコキシ基、分岐を有していてもよい炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基又は−CO−(CH−R(Rは水素原子又はカルボキシ基)で表される基を表し、gは0又は1、hは1〜3の整数を表す。〕
で表される基を表し、aは1〜100、bは0〜50、cは3,000〜200,000、dは1〜50、eは0〜20の整数を表し、(a+b)=2〜100、(d+e)=1〜50、(b+e)=1以上の関係を満たす。}
で表されることを特徴とするものである。
【0012】
本発明のオルガノ変性シリコーンにおいては、前記一般式(1)中、aは10〜69、bは1〜30、cは4,000〜150,000、dは2〜39、eは1〜15の整数を表し、(a+b)=11〜70、(d+e)=3〜40の関係を満たすものであることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明のオルガノ変性シリコーンにおいては、前記一般式(1)中、Rは分岐を有していてもよい炭素数2〜10のアルキル基、Rは分岐を有していてもよい炭素数14〜22のアルキル基を表すものであることが好ましい。
【0014】
また、本発明のオルガノ変性シリコーンの製造方法は、前記本発明のオルガノ変性シリコーンを製造する方法であって、
下記一般式(4):
【0015】
【化2】
【0016】
{式(4)中、各構造部分はブロックでもランダムでもよく、R、R、a、bはそれぞれ前記一般式(1)におけるR、R、a、bと同義であり、mは0又は正の整数であり、(m+n)=c(nは下記一般式(7)におけるnと同義であり、cは前記一般式(1)におけるcと同義である。)の関係を満たす。}
で表されるアルキル変性シリコーンと、下記一般式(5):
【0017】
【化3】
【0018】
{式(5)中、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは前記一般式(1)におけるXと同義である。}
で表されるアミノ基含有ケイ素化合物又は下記一般式(6):
HO−(CHSiX)d+e−OH (6)
(式(6)中、X、d、eはそれぞれ前記一般式(1)におけるX、d、eと同義である。)
で表されるアミノ基含有ケイ素化合物と、下記一般式(7):
【0019】
【化4】
【0020】
(式(7)中、nは3〜8の整数を表す。)
で表される環状ジメチルシリコーンとを、得られるオルガノ変性シリコーンが前記一般式(1)におけるa、b、c、d、eの条件を満たすように反応容器に仕込み、触媒の存在下で平衡化反応させることにより前記オルガノ変性シリコーンを得ることを特徴とする方法である。
【0021】
本発明のオルガノ変性シリコーンの製造方法においては、前記平衡化反応により得られたオルガノ変性シリコーンに、前記一般式(1)におけるa、b、c、d、eの条件を満たすように、酸成分又はアルコールを脱水縮合反応させる工程、或いは、クロロアルカン又はクロロアルコールを脱塩酸反応させる工程、をさらに含むことが好ましい。
【0022】
また、本発明の毛髪化粧料は、前記一般式(1)で表される本発明のオルガノ変性シリコーンを含有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、毛髪に滑らかさ及びしっとり感の両方を高水準で付与でき、かつ、繰り返し使用されてもヘアカラーやパーマネントウェーブ等の美容施術における阻害の発生が十分に抑制される毛髪化粧料を提供することが可能なオルガノ変性シリコーン、並びに、その製造方法を提供することが可能となる。
【0024】
そのため、前記本発明のオルガノ変性シリコーンを含有する本発明の毛髪化粧料によれば、毛髪に滑らかさとしっとり感の両方を高水準で付与することが可能となる。さらに、本発明の毛髪化粧料はシャンプー等で除去され易く、繰り返し使用しても毛髪に蓄積され難いため、本発明の毛髪化粧料によれば、ヘアカラーが均一に染まらない、パーマネントウェーブが一部かからないといった美容施術の問題の発生を十分に防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0026】
本発明のオルガノ変性シリコーンは、下記一般式(1)で表されるものである。
【0027】
【化5】
【0028】
式(1)中、各構造部分はブロックでもランダムでもよく、Rは分岐を有していてもよい炭素数2〜12のアルキル基を表す。Rの炭素数が12を超えてR、Rのいずれもが長鎖アルキル基になると滑らかさ及びしっとり感の付与が不十分となる。
【0029】
の具体例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、もしくはその分岐鎖が挙げられる。より優れた滑らかさ及びしっとり感を付与できるという観点から、Rとしては、炭素数2〜10のアルキル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が特に好ましい。
【0030】
式(1)中、Rは分岐を有していてもよい炭素数13〜22のアルキル基を表す。Rの炭素数が13未満でR、Rのいずれもが短鎖アルキル基になると吸着性が過剰となり、一方、Rの炭素数が22を超えると滑らかさ及びしっとり感の付与が不十分となる。
【0031】
の具体例としては、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基、もしくはその分岐鎖が挙げられる。吸着性がより適度となるという観点から、Rとしては、炭素数14〜22のアルキル基が好ましく、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基が特に好ましい。
【0032】
上記オルガノ変性シリコーンがR及びRを含む構造部分を有することにより、その吸着性を適度とすることができ、繰り返し使用されても美容施術を妨げる程の蓄積を抑えることができる。
【0033】
式(1)中、Xは下記一般式(2):
−R−NH−(R−NH)−H (2)
で表される基を表す。
【0034】
式(2)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基を表し、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。また、fは0又は1を表す。
【0035】
より優れた滑らかさ及びしっとり感を付与できるという観点から、Xとしては、
−(CH−NH
−(CH−NH−(CH−NH
が好ましく、−(CH−NHがより好ましい。
【0036】
式(1)中、Yは下記一般式(3):

−R−NH−(R−NH)−R (3)
で表される基を表す。
【0037】
式(3)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基を表し、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基が挙げられる。
【0038】
式(3)中、Rは、分岐を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、分岐を有していてもよい炭素数1〜5のアルコキシ基、分岐を有していてもよい炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、又は−CO−(CH−Rで表される基を表し、Rは水素原子又はカルボキシ基を表す。また、gは0又は1、hは1〜3の整数を表す。
【0039】
炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、もしくはその分岐鎖が挙げられ、炭素数1〜5のアルコキシ基としては、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、もしくはその分岐鎖が挙げられる。
【0040】
より優れた滑らかさ及びしっとり感を付与できるという観点から、Yとしては、
−(CH−NH−CO−CH
−(CH−NH−CO−(CH−COOH
−(CH−NH−(CH−NH−CHCH
−(CH−NH−(CH−NH−CO−CH
−(CH−NH−(CH−NH−CO−(CH−COOH
が好ましく、−(CH−NH−CO−CHがより好ましい。
【0041】
上記オルガノ変性シリコーンが、−(CHSiO−部分とX及びYを含む構造部分とを有することにより、優れた滑らかさ及びしっとり感を発現することができる。
【0042】
式(1)中、aは1〜100、bは0〜50の整数を表し、(a+b)=2〜100である関係を満たす。(a+b)が2未満であると吸着性が過剰となり、一方、(a+b)が100を超えると滑らかさ及びしっとり感の付与が不十分となる。また、bが50を超えると、滑らかさ及びしっとり感の付与が不十分となる。
【0043】
一般式(1)で表されるオルガノ変性シリコーンにおいて、(a+b)は11〜70であり、bは1〜30であり、aは10〜69であることが好ましく、さらに、(a+b)は15〜70であり、bは1〜30であり、aは14〜69であることがより好ましい。(a+b)が11以上であると吸着性がより適度となり、15以上であると吸着性がさらに適度となる傾向にあり、一方、70以下であるとより優れた滑らかさ及びしっとり感を付与できる傾向にある。また、bが1以上であると吸着性がより適度となる傾向にあり、一方、30以下であるとより優れた滑らかさ及びしっとり感を付与できる傾向にある。
【0044】
式(1)中、cは3,000〜200,000の整数を表し、吸着性がより適度となり、より優れた滑らかさ及びしっとり感を付与できるという観点から、4,000〜150,000が好ましい。cが3,000未満であると滑らかさ及びしっとり感の付与が不十分となり、一方、cが200,000を超えると粘度が高くなり過ぎて吸着性が過剰となる。
【0045】
式(1)中、dは1〜50、eは0〜20の整数を表し、(d+e)=1〜50の関係及び(b+e)=1以上の関係を満たす。(d+e)が0であると滑らかさ及びしっとり感の付与が不十分となり、一方、(d+e)が50を超えると吸着性が過剰となる。また、eが20を超えると、滑らかさ及びしっとり感の付与が不十分となる。さらに、bが0でありかつeが0である場合、吸着性が過剰となり、さらに滑らかさ及びしっとり感の付与が不十分となる。
【0046】
一般式(1)で表されるオルガノ変性シリコーンにおいて、(d+e)は3〜40であり、eは1〜15であり、dは2〜39であることが好ましい。(d+e)が3以上であるとより優れた滑らかさ及びしっとり感を付与できる傾向にあり、一方、40以下であると吸着性がより適度となる傾向にある。また、eが1〜15であるとより優れた滑らかさ及びしっとり感を付与できる傾向にある。
【0047】
次に、本発明のオルガノ変性シリコーンの製造方法について説明する。
【0048】
本発明のオルガノ変性シリコーンの製造方法においては、下記一般式(4):
【0049】
【化6】
【0050】
{式(4)中、各構造部分はブロックでもランダムでもよく、R、R、a、bはそれぞれ前記一般式(1)におけるR、R、a、bと同義であり、mは0又は正の整数であり、(m+n)=c(nは下記一般式(7)におけるnと同義であり、cは前記一般式(1)におけるcと同義である。)の関係を満たす。}
で表されるアルキル変性シリコーン(A)と、下記一般式(5):
【0051】
【化7】
【0052】
{式(5)中、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは前記一般式(1)におけるXと同義である。}
で表されるアミノ基含有ケイ素化合物(B−1)又は下記一般式(6):
HO−(CHSiX)d+e−OH (6)
(式(6)中、X、d、eはそれぞれ前記一般式(1)におけるX、d、eと同義である。)
で表されるアミノ基含有ケイ素化合物(B−2)と、下記一般式(7):
【0053】
【化8】
【0054】
(式(7)中、nは3〜8の整数を表す。)
で表される環状ジメチルシリコーン(C)とを、得られるオルガノ変性シリコーンが前記一般式(1)におけるa、b、c、d、eの条件を満たすように反応容器に仕込み、触媒の存在下で平衡化反応させることにより前記オルガノ変性シリコーンを得ることができる。
【0055】
前記一般式(4)で表されるアルキル変性シリコーン(A)を得る方法は特に限定されないが、例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、(A−1)シリコーンと、(A−2)α−オレフィンとを、ヒドロシリル化反応させて前記アルキル変性シリコーンを得ることができる。このような(A−2)成分により前記一般式(1)におけるR及びRが導入される。また、前記(A−1)成分としては、重合度が2〜100であるシリコーンが好適に挙げられ、重合度が10〜70であるものがより好ましく、15〜70であるものがさらに好ましい。
【0056】
このような(A−1)シリコーンとしては、下記一般式(8)で表されるものが好ましいものとして挙げられる。
【0057】
【化9】
【0058】
式(8)中、各構造部分はブロックでもランダムでもよく、a及びbはそれぞれ前記一般式(1)におけるa及びbと同義であり、mは0または正の整数であり、前記nとの和である(m+n)がcである関係を満たし、cは前記一般式(1)におけるcと同義である。
【0059】
また、(A−2)α−オレフィンとしては、それぞれ以下のものが好ましいものとして挙げられる。すなわち、Rの由来となるα−オレフィンとしては、炭素数2〜12のα−オレフィンであり、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンが挙げられる。
【0060】
さらに、Rの由来となるα−オレフィンとしては、炭素数13〜22のα−オレフィンであり、例えば、トリデセン、テトラデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン、エイコセン、ドコセンが挙げられる。
【0061】
前記ヒドロシリル化反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、触媒存在下で行うことが好ましい。前記不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴンが挙げられ、前記触媒としては、例えば、白金、パラジウムの化合物が挙げられ、白金化合物が有効である。白金化合物としては、例えば、塩化白金(IV)が挙げられる。前記触媒は必要に応じて、炭素数1〜6の低級アルコール(例えば、エタノール、プロパノール)等のアルコール類と芳香族化合物や炭化水素類等との混合物で希釈して用いてもよく、その場合、得られるアルキル変性シリコーンに前記アルコール類に由来するアルコキシ基が導入されていてもよい。ヒドロシリル化反応の反応温度と温度に特に制限はなく、例えば、反応温度としては10〜200℃、好ましくは50〜150℃が挙げられ、反応時間としては、反応温度が50〜150℃の時、6〜12時間が挙げられる。
【0062】
本発明のオルガノ変性シリコーンの製造方法においては、次に、前記アルキル変性シリコーン(A)と、前記アミノ基含有ケイ素化合物(B−1又はB−2)と、前記環状ジメチルシリコーン(C)とを、得られるオルガノ変性シリコーンが前記一般式(1)におけるa、b、c、d、eの条件を満たすように反応容器に仕込み、触媒の存在下で平衡化反応させることにより前記オルガノ変性シリコーンを得ることができる。このような(B−1又はB−2)成分により前記一般式(1)におけるXが導入される。
【0063】
このような(B−1又はB−2)アミノ基含有ケイ素化合物としては、それぞれ以下のものが好ましいものとして挙げられる。
【0064】
すなわち、(B−1)アミノ基含有ケイ素化合物としては、例えば、3−アミノプロピルメチルジヒドロキシシラン、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジヒドロキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジプロポキシシラン、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジプロポキシシランが挙げられる。
【0065】
また、(B−2)アミノ基含有ケイ素化合物としては、重合度が1〜50であるシロキサン結合を主鎖とする重合体が好適に挙げられ、重合度が3〜40であるものがより好ましい。
【0066】
また、(C)環状ジメチルシリコーンとしては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましいものとして挙げられる。
【0067】
前記平衡化反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、触媒存在下で行うことが好ましい。前記不活性ガスとしては、前述のものが例示され、前記触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ触媒、水酸化テトラメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム触媒が挙げられる。これらの触媒は必要に応じて炭素数1〜6の低級アルコール(例えば、エタノール、プロパノール)等のアルコール類で希釈して用いてもよく、その場合、得られるオルガノ変性シリコーンに前記アルコール類に由来するアルコキシ基が導入されていてもよい。平衡化反応温度は、反応が進行する温度であれば特に限定されるものではないが、通常50〜200℃の範囲で行われる。
【0068】
本発明のオルガノ変性シリコーンの製造方法においては、前記平衡化反応の後に、前記平衡化反応により得られたオルガノ変性シリコーンに、前記一般式(1)におけるa、b、c、d、eの条件を満たすように、酸成分(D−1)又はアルコール(D−2)を脱水縮合反応させる工程、或いは、クロロアルカン(D−3)又はクロロアルコール(D−4)を脱塩酸反応させる工程、をさらに含むことが好ましい。このような(D−1、D−2、D−3又はD−4)成分により前記一般式(1)におけるYが導入される。
【0069】
このような(D−1)酸成分としては、以下に説明するカルボン酸や酸無水物等が好ましいものとして挙げられる。すなわち、カルボン酸としては、下記一般式(9):
HO−CO−(CH−R (9)
(式(9)中、R、hはそれぞれ前記一般式(1)におけるR、hと同義である。)
で表されるものが挙げられる。具体的には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等の炭素数2〜4のモノカルボン酸、プロパン二酸等の炭素数3〜5のジカルボン酸が挙げられる。また、酸無水物としては、無水酢酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0070】
また、(D−2)アルコール成分としては、炭素数が1〜5の1価アルコールが好ましいものとして挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールが挙げられる。
【0071】
前記脱水縮合反応は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、前記不活性ガスとしては、前述のものが例示される。脱水縮合反応温度は、反応が進行する温度であれば特に限定されるものではないが、通常50〜200℃の範囲で行われる。
【0072】
このような(D−3)クロロアルカンとしては、炭素数が1〜5のモノクロロアルカンが好ましいものとして挙げられ、例えば、クロロメタン、クロロエタン、クロロプロパン、クロロブタン、クロロペンタンが挙げられる。また、(D−4)クロロアルコールとしては、炭素数が1〜5のモノクロロアルコールが好ましいものとして挙げられ、例えば、クロロメタノール、クロロエタノール、クロロプロパノール、クロロブタノール、クロロペンタノールが挙げられる。
【0073】
前記脱塩酸反応は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、前記不活性ガスとしては、前述のものが例示される。脱塩酸反応温度は、反応が進行する温度であれば特に限定されるものではないが、通常50〜200℃の範囲で行われる。
【0074】
前述の本発明の上記一般式(1)で表されるオルガノ変性シリコーンは、化粧料や繊維処理剤、つや出し剤、離型剤、離型剤炭素繊維の前駆体繊維であるアクリル繊維の処理油剤等の各種の用途に使用することができる。
【0075】
本発明の上記一般式(1)で表されるオルガノ変性シリコーンは、毛髪化粧料に使用された際に、優れた滑らかさ及びしっとり感の両方を高水準で付与でき、かつ、繰り返し用いられても美容施術の阻害の発生を十分に防ぐことができる毛髪化粧料を提供できるため、毛髪化粧料に使用することが特に好適である。
【0076】
次に、本発明の毛髪化粧料について説明する。
【0077】
本発明の毛髪化粧料は、上記一般式(1)で表される本発明のオルガノ変性シリコーンを含有するものである。
【0078】
本発明の毛髪化粧料としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、ワックス等のヘアスタイリング剤、アウトバストリートメント、染毛剤、パーマネントウェーブ剤、カーリング剤等が挙げられる。また、それらの形態は特に限定されず、例えば、液、泡、スプレー、ワックス、ジェル、クリーム、オイル等が挙げられる。
【0079】
本発明の毛髪化粧料における前記本発明のオルガノ変性シリコーンの含有量としては、目的により適宜調節され得るが、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアスタイリング剤、染毛剤、パーマネントウェーブ剤、カーリング剤においては0.01〜20質量%という量が挙げられ、アウトバストリートメントにおいては本発明のオルガノ変性シリコーンをそのまま用いるか、50質量%以上という量が挙げられる。
【0080】
本発明の毛髪化粧料には、その目的に応じて、従来から毛髪化粧料に使用されている成分が配合される。そのような成分としては、例えば、各種界面活性剤、流動パラフィン、スクワラン、ラノリン誘導体、高級アルコール、各種エステル油等の油分、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールポリエチレングリコール等の水溶性油分、ヒアルロン酸やコンドロイチン酸、ピロリドンカルボン酸等の保湿剤、カルボキシビニルポリマー等の増粘剤、カチオン変性セルロースエーテル誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体4級アンモニウム塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミド誘導体4級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンポリアルキレン、ポリアミン等のカチオン性高分子、紫外線吸収剤、香料、酸化染料や酸性染料、塩基性染料、HC染料等の染料、チオール系化合物等が挙げられる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、これらの例において、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表わす。また、表中の空欄は、0(ゼロ)であることを示す。
【0082】
<I.オルガノ変性シリコーンの製造>
(実施例1)
撹拌機、温度計、還流冷却機、窒素ガス導入管及び滴下ロートを備えた反応容器に、SiH基当量が62.5(g/mol)であり、下記式で表されるシリコーン(62.5g)を入れ、窒素を気流し温度が65℃になるまで加熱しながら撹拌した。
【0083】
【化10】
【0084】
続いて、ヒドロシリル化反応の触媒として、塩化白金(IV)のイソプロパノール・トルエン混合溶液を、上記シリコーンに対して白金濃度が5ppmとなるように添加した。上記シリコーンの温度が120℃となったところで、0.6モルの1−オクテン(67.3g)を滴下し、120℃で1時間、反応させた。その後、0.4モルの1−オクタデセン(101g)を滴下し、120℃で3時間、反応させた。それによって、一般式(1)におけるR及びRを含む構造部分の由来となる下記式(i)で表されるアルキル変性シリコーン(i)を得た。
【0085】
【化11】
【0086】
次に、アルキル変性シリコーン(i)1.1部、−(CHSiO−部分の由来となるオクタメチルシクロテトラシロキサン998部、X及びY含む構造部分の由来となるHN−(CH−Si(CH)(OH)で表わされるアミノ基含有ケイ素化合物0.6部を反応容器に仕込み、触媒として水酸化カリウム6.7部のエタノール溶液を使用し、窒素雰囲気下、150℃で約1時間、加熱還流し、平衡化反応させた。
【0087】
次に、酸成分として無水酢酸0.13部を反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、100〜110℃で約2時間、反応させた。その後、冷却し、取り出し、下記式で表されるオルガノ変性シリコーンを得た。
【0088】
【化12】
【0089】
(実施例2〜28)
アルキル変性シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、アミノ基含有ケイ素化合物、酸成分を表1〜3のように代えたこと以外は実施例1と同様にして、表6〜8に記載の構造のオルガノ変性シリコーンを得た。なお、表1〜3のアルキル変性シリコーン(ii)〜(viii)はそれぞれ下記式(ii)〜(viii)で表されるものである。
【0090】
【化13】
【0091】
【化14】
【0092】
【化15】
【0093】
【化16】
【0094】
【化17】
【0095】
【化18】
【0096】
【化19】
【0097】
(実施例29)
アルキル変性シリコーン(i)1.1部、オクタメチルシクロテトラシロキサン998部、HN−(CH−Si(CH)(OH)で表わされるアミノ基含有ケイ素化合物0.6部を反応容器に仕込み、触媒として水酸化カリウム6.7部のエタノール溶液を使用し、窒素雰囲気下、150℃で約1時間、加熱還流し、平衡化反応させた。
【0098】
その後、エタノール0.06部、触媒として濃硫酸を反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、130〜140℃で1時間、脱水反応させた。冷却し、取り出し、表8に記載の構造のオルガノ変性シリコーンを得た。
【0099】
(比較例1〜5)
アルキル変性シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、アミノ基含有ケイ素化合物、酸成分を表4のように代えたこと以外は実施例1と同様にして、表9に記載の構造のオルガノ変性シリコーンを得た。なお、表4のアルキル変性シリコーン(ix)は下記式(ix)で表されるものである。
【0100】
【化20】
【0101】
(比較例6)
高粘度ジメチル変性シリコーン(商品名:KF−96H−30万cs、信越化学工業(株)社製)を用いた。
【0102】
(比較例7)
アミノプロピル基が付加された高重合ジメチル変性シリコーン20%と低粘度ジメチル変性シリコーン80%の混合物(商品名:KF−8020、信越化学工業(株)社製)を用いた。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
<II.トリートメントの評価>
II−1.トリートメントの調製
下記表5の組成で実施例30〜58及び比較例8〜14のトリートメントを調製し、評価した。なお、残分とは全量を100部とする量である。
【0108】
【表5】
【0109】
II−2.毛髪サンプルの作製
長さ20cm、重さ10gの同一人物(日本人女性25歳)の毛髪を40℃の水に浸して濡らし、上記で調製した実施例又は比較例のトリートメント2gを塗布し、1分間放置後、ノンシリコンシャンプー(商品名:ヘアシーズンズ シャンプースムース、日華化学(株)社製)1gにて揉み洗いし、40℃の水で60秒間すすぎ、ドライヤーで乾燥させる、という一連の作業を30回繰り返し、トリートメント処理毛髪サンプルを作製した。
【0110】
II−3.滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性の評価
得られた各トリートメント処理毛髪サンプルの滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性(Si量測定、パーマネントウェーブ施術試験)の評価を以下の方法で行った。
【0111】
(1)滑らかさ及びしっとり感の評価
各トリートメント処理毛髪サンプルについて、10人に滑らかさを触感にて評価してもらい、下記評価点基準に基いて点数を付けてもらい、その平均値を算出した。得られた平均値と下記評価基準に基いて滑らかさの評価を行った。その結果を表6〜10に示す。
【0112】
また、しっとり感についても同様に評価した。その結果を表6〜10に示す。
【0113】
[評価点基準]
5点 … 明らかに優れる
4点 … やや優れる
3点 … 普通
2点 … やや劣る
1点 … 明らか劣る。
【0114】
[評価基準]
◎ … 4点以上
○ … 3点以上4点未満
△ … 2点以上3点未満
× … 2点未満。
【0115】
(2)シリコーン成分吸着性の評価
(2)−1.Si量測定
蛍光X線分析装置(ZSX100e、(株)リガク社製)にて、各トリートメント処理毛髪サンプルをサンプル台にそのままの状態で固定し、Si強度及びS強度を測定し、(Si強度/S強度)をSi量として算出した。Si強度をS強度で割ったのは、トリートメント処理毛髪サンプル量のばらつきを無くすためである。下記評価基準に基き、Si量を評価した。その結果を表6〜10に示す。
【0116】
[評価基準]
◎ … 0.2未満であり、Si量が非常に少ない。
○ … 0.2以上0.5未満であり、Si量が少ない。
△ … 0.5以上1.0未満であり、Si量がやや少ない。
× … 1.0以上であり、Si量がある、又は多い。
【0117】
(2)−2.パーマネントウェーブ施術試験
各トリートメント処理毛髪サンプル1gを水で濡らし、ロッド径15mmのロッドに巻き、2剤系パーマネントウェーブ剤(商品名:ウェーボフィージェ T−100、日華化学(株)社製)の第1剤1gを塗布し、15分間放置した。次に、水洗し、2剤系パーマネントウェーブ剤(商品名:ウェーボフィージェ T−100、日華化学(株)社製)の第2剤1gを塗布し、10分間放置後、ロッドを外し、水洗し、タオルで拭いた。その後、自然乾燥にて毛髪を乾燥させ、ウェーブの山の個数を数えた。山の個数が多い程、パーマネントウェーブ施術が阻害されなかったことを示す。山の個数と下記評価基準に基き、パーマネントウェーブ施術の阻害の程度を評価した。その結果を表6〜10に示す。
【0118】
[評価基準]
◎ … 3個以上であり、施術が阻害されていない。
○ … 2.5個以上3個未満であり、施術がほぼ阻害されていない。
△ … 2個以上2.5個未満であり、施術が少し阻害されている。
× … 2個未満であり、施術が阻害されている。
【0119】
【表6】
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】
【表9】
【0123】
【表10】
【0124】
<III.コンディショナーの評価>
III−1.コンディショナーの調製
表11の組成で実施例59のコンディショナーを調製し、評価した。なお、残分とは全量を100部とする量である。
【0125】
III−2.毛髪サンプルの作製
長さ20cm、重さ10gの同一人物(日本人女性25歳)の毛髪を40℃の水で濡らし、上記で調製した実施例59のコンディショナー2gを塗布し、1分間放置後、ノンシリコンシャンプー(商品名:ヘアシーズンズ シャンプースムース、日華化学(株)社製)1gにて揉み洗いし、40℃の水で60秒間すすぎ、ドライヤーにて乾燥させた。この一連の作業を30回繰り返し、コンディショナー処理毛髪サンプルを作製した。
【0126】
III−3.滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性の評価
得られたコンディショナー処理毛髪サンプルの滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分吸着性(Si量測定、パーマネントウェーブ施術試験)の評価を上述の方法で行った。その結果を下記表11に示す。
【0127】
【表11】
【0128】
<IV.シャンプーの評価>
IV−1.シャンプーの調製
表12の組成で実施例60のシャンプーを調製し、評価した。なお、残分とは全量を100部とする量である。
【0129】
IV−2.毛髪サンプルの作製
長さ20cm、重さ10gの同一人物(日本人女性25歳)の毛髪を40℃の水で濡らし、上記で調製した実施例60のシャンプー1gにて揉み洗いし、40℃の水で60秒間すすぎ、ドライヤーにて乾燥させた。この一連の作業を30回繰り返し、シャンプー処理毛髪サンプルを作製した。
【0130】
IV−3.滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性の評価
得られたシャンプー処理毛髪サンプルの滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性(Si量測定、パーマネントウェーブ施術試験)の評価を上述の方法で行った。その結果を下記表12に示す。
【0131】
【表12】
【0132】
<V.アウトバストリートメントの評価>
V−1.アウトバストリートメントの調製
表13の組成で実施例61のアウトバストリートメントを調製し、評価した。なお、残分とは全量を100部とする量である。
【0133】
V−2.毛髪サンプルの作製
長さ20cm、重さ10gの同一人物(日本人女性25歳)の毛髪を40℃の水で濡らし、上記で調製した実施例61のアウトバストリートメント2gを塗布し、1分間放置後、ノンシリコンシャンプー(商品名:ヘアシーズンズ シャンプースムース、日華化学(株)社製)1gにて揉み洗いし、40℃の水で60秒間すすぎ、ドライヤーにて乾燥させた。この一連の作業を30回繰り返し、アウトバストリートメント処理毛髪サンプルを作製した。
【0134】
V−3.滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性の評価
得られたアウトバストリートメント処理毛髪サンプルの滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性(Si量測定、パーマネントウェーブ施術試験)の評価を上述の方法で行った。その結果を下記表13に示す。
【0135】
【表13】
【0136】
<VI.ワックス(スタイリング剤)の評価>
VI−1.ワックスの調製
表14の組成で実施例62のワックスを調製し、評価した。なお、残分とは全量を100部とする量である。
【0137】
VI−2.毛髪サンプルの作製
長さ20cm、重さ10gの同一人物(日本人女性25歳)の毛髪に上記で調製した実施例62のワックス2gを塗布し、1分間放置後、40℃の水で濡らし、ノンシリコンシャンプー(商品名:ヘアシーズンズ シャンプースムース、日華化学(株)社製)1gにて揉み洗いし、40℃の水で60秒間すすぎ、ドライヤーにて乾燥させた。この一連の作業を30回繰り返し、ワックス処理毛髪サンプルを作製した。
【0138】
VI−3.滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性の評価
得られたワックス処理毛髪サンプルの滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性(Si量測定、パーマネントウェーブ施術試験)の評価を上述の方法で行った。その結果を下記表14に示す。
【0139】
【表14】
【0140】
<VII.2剤式染毛剤(クリームタイプ)の評価>
VII−1.2剤式染毛剤の調製
表15の組成で実施例63の2剤式染毛剤を調製し、評価した。なお、残分とは全量を100部とする量である。
【0141】
VII−2.毛髪サンプルの作製
長さ20cm、重さ10gの同一人物(日本人女性25歳)の毛髪に、上記で調製した実施例63の染毛剤1剤と2剤とを1:2の質量比で混ぜ合わせたもの20gを塗布し、33℃で30分間放置後、40℃の水で60秒間すすぎ、ドライヤーにて乾燥させ、40℃の水で濡らし、ノンシリコンシャンプー(商品名:ヘアシーズンズ シャンプースムース、日華化学(株)社製)1gにて揉み洗いし、40℃の水で60秒間すすぎ、ドライヤーにて乾燥させた。この一連の作業を5回繰り返し、2剤式染毛剤処理毛髪サンプルを作製した。
【0142】
VII−3.滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分吸着性の評価
得られた2剤式染毛剤処理毛髪サンプルの滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分吸着性(Si蓄積性試験、パーマネントウェーブ施術試験)の評価を上述の方法で行った。その結果を下記表15に示す。
【0143】
【表15】
【0144】
<VIII.染毛剤(ジェルタイプ)の評価>
VIII−1.染毛剤の調製
表16の組成で実施例64の染毛剤を調製し、評価した。なお、残分とは全量を100部とする量である。
【0145】
VIII−2.毛髪サンプルの作製
長さ20cm、重さ10gの同一人物(日本人女性25歳)の毛髪に、上記で調製した実施例64の染毛剤20gを塗布し、33℃で30分間放置後、40℃の水で60秒間すすぎ、ドライヤーにて乾燥させ、40℃の水で濡らし、ノンシリコンシャンプー(商品名:ヘアシーズンズ シャンプースムース、日華化学(株)社製)1gにて揉み洗いし、40℃の水で60秒間すすぎ、ドライヤーにて乾燥させた。この一連の作業を5回繰り返し、染毛剤処理毛髪サンプルを作製した。
【0146】
VIII−3.滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性の評価
得られた染毛剤処理毛髪サンプルの滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性(Si量測定、パーマネントウェーブ施術試験)の評価を上述の方法で行った。その結果を下記表16に示す。
【0147】
【表16】
【0148】
<IX.パーマネントウェーブ剤の評価>
IX−1.パーマネントウェーブ剤の調製
表17の組成で実施例65のパーマネントウェーブ剤1剤及び2剤を調製し、評価した。なお、残分とは全量を100部とする量である。
【0149】
IX−2.毛髪サンプルの作製
長さ20cm、重さ10gの同一人物(日本人女性25歳)の毛髪を水で濡らし、上記で調製した実施例65のパーマネントウェーブ剤1剤10gを塗布し、15分間放置後水洗し、上記で調製した実施例65のパーマネントウェーブ剤2剤10gを塗布し、10分間放置後水洗し、タオルで拭き、自然乾燥にて毛髪を乾燥させた。この一連の作業を5回繰り返し、パーマネントウェーブ剤処理毛髪サンプルを作製した。
【0150】
IX−3.滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性の評価
得られたパーマネントウェーブ剤処理毛髪サンプルの滑らかさ、しっとり感、シリコーン成分蓄積性(Si量測定、パーマネントウェーブ施術試験)の評価を上述の方法で行った。その結果を下記表17に示す。
【0151】
【表17】
【0152】
以上の結果より、本発明のオルガノ変性シリコーンは、毛髪に優れた滑らかさとしっとり感の両方を高水準で付与でき、かつ繰り返し使用されてもヘアカラーやパーネントウェーブ施術の阻害の発生が十分に抑制される毛髪化粧料を提供できることが分かった。
【0153】
また、本発明の本発明のオルガノ変性シリコーンを含有する毛髪化粧料は、毛髪に優れた滑らかさとしっとり感の両方を高水準で付与でき、かつ繰り返し使用されてもヘアカラーやパーネントウェーブ施術の阻害が十分に抑制されることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0154】
以上説明したように、本発明によれば、毛髪化粧料に使用した際に、毛髪に滑らかさ及びしっとり感の両方を高水準で付与でき、かつ、繰り返し使用されてもヘアカラーやパーマネントウェーブ等の美容施術における阻害の発生が十分に抑制される毛髪化粧料を提供することが可能なオルガノ変性シリコーン、並びに、その製造方法を提供することが可能となる。
【0155】
そのため、前記本発明のオルガノ変性シリコーンを含有する本発明の毛髪化粧料によれば、毛髪に滑らかさとしっとり感の両方を高水準で付与することが可能となる。さらに、本発明の毛髪化粧料はシャンプー等で除去され易く、繰り返し使用しても毛髪に蓄積され難いため、本発明の毛髪化粧料によれば、ヘアカラーが均一に染まらない、パーマネントウェーブが一部かからないといった美容施術の問題の発生を十分に防ぐことが可能となる。