特許第6148579号(P6148579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148579
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】スリットノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/08 20060101AFI20170607BHJP
   B05B 1/04 20060101ALI20170607BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   B05B7/08
   B05B1/04
   B05B1/14 Z
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-181792(P2013-181792)
(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-47574(P2015-47574A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100155206
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 源一
(72)【発明者】
【氏名】森 俊彦
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−254446(JP,A)
【文献】 特開2005−193229(JP,A)
【文献】 特開2008−212919(JP,A)
【文献】 特開2011−147939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−9/08
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の縦長の第1中間部材及び第2中間部材からなる積層体を、該第1中間部材側の第1部材と該第2中間部材側の第2部材とで挟んで一体化されたスリットノズルであって、
前記スリットノズルの先端部においては、前記第1中間部材と前記第2中間部材との隙間に液体流路が形成され、前記第1部材と前記第1中間部材との隙間に第1気体流路が形成され、前記第2部材と前記第2中間部材との隙間に第2気体流路が形成されており、
前記スリットノズルの先端部を断面視して、前記液体流路の延出方向に対し前記第1気体流路の延出方向及び前記第2気体流路の延出方向が、それぞれ鋭角に交差しており、
前記スリットノズルの先端部を正面視して、前記液体流路の噴出口は、長方形状であり、長手方向に間隔を開けて複数配されており、各該液体流路の噴出口の第1部材側及び第2部材側の両側に沿って、前記第1気体流路の噴出口及び前記第2気体流路の噴出口が、それぞれ、長手方向に間隔を空けて複数配されており、
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記液体流路の噴出口の長手方向の長さが、各前記第1気体流路の噴出口及び各前記第2気体流路の噴出口の長手方向の長さよりも短く、各該第1気体流路の噴出口の両末端部と各該第2気体流路の噴出口の両末端部が、それぞれ、各該液体流路の噴出口の両末端部よりも長手方向外方に配されており、
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記第1気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔、及び各前記第2気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔が、それぞれ、各該液体流路の噴出口の長手方向の長さの6%以上30%以下であるスリットノズル。
【請求項2】
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記第1気体流路の噴出口の長手方向の長さと各前記第2気体流路の噴出口の長手方向の長さとが同じである請求項1に記載のスリットノズル。
【請求項3】
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記第1気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔、及び各前記第2気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔が、それぞれ、各該第1気体流路の噴出口の他末端部と各該液体流路の噴出口の他末端部との間隔、及び各該第2気体流路の噴出口の他末端部と各該液体流路の噴出口の他末端部との間隔と同じである請求項1又は2に記載のスリットノズル。
【請求項4】
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記第1気体流路の噴出口の長手方向における中心点の位置と、各前記第2気体流路の噴出口の長手方向における中心点の位置と、各前記液体流路の噴出口の長手方向における中心点の位置とが、一致している請求項1〜の何れか1項に記載のスリットノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を噴霧するスリットノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製品に対して洗剤や薬液等を均一に噴霧するために、2流体ノズルや種々のスリットノズルが提案されている。例えば、図11に示すような一般的な丸型2流体ノズル100は、ノズルの中央部に液体を噴射する液体噴射孔101と、液体噴射孔101の全周縁に亘ってエアーを噴射するエアー噴射孔102とを具備し、少ないエアーの流量で平均液滴径を小さくすることが可能である。しかし、丸型2流体ノズル100は、スリットノズルに比べて、噴霧範囲が狭く、広範囲への噴霧を行う場合、複数本のノズルが必要となり、コスト面、メンテナンス性に問題があった。
【0003】
スリットノズルとして、例えば、特許文献1には、2つの気体を噴出する空隙の間に1つの液体を噴出する噴射口を設けたノズルが記載されている。特許文献1に記載のスリットノズルは、液体を噴出する噴射口が、気体を噴出する2つの空隙で挟まれ、液体を噴出する噴射口の延びる方向に対して、気体を噴出する2つの空隙の延びる方向が鋭角に交差している。その為、液体を均一に噴霧することができる。また、特許文献1に記載のスリットノズルは、液体を噴出する噴射口に配されるシムに、第1及び第2の液体スロットが形成されているので、2種類の液体を混合することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−517214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のスリットノズルは、気体を噴出する空隙が、液体を噴出する噴射口の長手方向の全域に亘って形成されているので、液体を均一に噴霧する際に、多量の気体が必要となる。即ち、気体の量が少量になれば、液滴径分布において粗大液滴の分布が多くなってしまう。
【0006】
したがって本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るスリットノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一対の縦長の第1中間部材及び第2中間部材からなる積層体を、該第1中間部材側の第1部材と該第2中間部材側の第2部材とで挟んで一体化されたスリットノズルであって、前記スリットノズルの先端部においては、前記第1中間部材と前記第2中間部材との隙間に液体流路が形成され、前記第1部材と前記第1中間部材との隙間に第1気体流路が形成され、前記第2部材と前記第2中間部材との隙間に第2気体流路が形成されており、前記スリットノズルの先端部を断面視して、前記液体流路の延出方向に対し前記第1気体流路の延出方向及び前記第2気体流路の延出方向が、それぞれ鋭角に交差しており、前記スリットノズルの先端部を正面視して、前記液体流路の噴出口は、長方形状であり、長手方向に間隔を開けて複数配されており、各該液体流路の噴出口の第1部材側及び第2部材側の両側に沿って、前記第1気体流路の噴出口及び前記第2気体流路の噴出口が、それぞれ、長手方向に間隔を空けて複数配されており、前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記液体流路の噴出口の長さが、各前記第1気体流路の噴出口及び各前記第2気体流路の噴出口の長手方向の長さよりも短く、各該第1気体流路の噴出口の両末端部と各該第2気体流路の噴出口の両末端部が、それぞれ、各該液体流路の噴出口の両末端部よりも長手方向外方に配されているスリットノズルを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安価で、メンテナンス性が良く、少量の気体の噴射量で、液滴径分布において粗大液滴の分布が少なく、均一に噴霧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態のスリットノズルの組み立て方を模式的に示す図である。
図2図2は、図1に示すスリットノズルの有する第1中間部材の内面の平面図である。
図3図3は、図1に示すスリットノズルの有する第2中間部材の内面の平面図である。
図4図4は、図1に示すスリットノズルの有する第1部材の内面の平面図である。
図5図5は、図1に示すスリットノズルの有する第2部材の内面の平面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態スリットノズルの断面図である。
図7図7は、図6に示すスリットノズルの先端部の断面図である。
図8図8は、図6に示すスリットノズルの先端部を正面視した際の平面図である。
図9図9は、実施例における平均液滴径を示すグラフである。
図10図10は、実施例における液滴径分布を示すグラフである。
図11図11は、従来の2流体ノズルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のスリットノズルをその好ましい実施態様に基づき、図1図8を参照しながら説明する。
本実施形態のスリットノズル1は、図1に示すように、一対の縦長の第1中間部材2及び第2中間部材3からなる積層体20を、第1中間部材2側の第1部材4と第2中間部材3側の第2部材5とで挟んで一体化されている。具体的には、スリットノズル1は、積層体20を、第1中間部材2側から第1部材4及び第2中間部材3側から第2部材5で挟んで一体化して形成されている。更に具体的には、スリットノズル1は、4枚の板状体である第1中間部材2、第2中間部材3、第1部材4及び第2部材5を重ねて一体化して形成されている。図中のY方向は、縦長の第1中間部材2及び第2中間部材3の長手方向と同じ方向であり、図中のX方向は、長手方向(Y方向)に直交する短手方向と同じ方向である。また、図中のZ方向は、厚み方向である。
【0011】
第1中間部材2は、図2に示すように、第2中間部材3に対向する面側から平面視して、Y方向に長い矩形状であり、Z方向に断面視して、先端部21を有する台形状に形成されている。先端部21は、第1部材4に対向する面側から第2中間部材3に対向する面側に向けて平滑に傾斜する傾斜面22を有している。傾斜面22と、第2中間部材3に対向する面とのなす角θ1(図1参照)は、広範囲への均一噴霧とノズル先端部の強度、ノズルへの噴霧液付着の観点から、15°以上であり、好ましくは20°以上、更に好ましくは22.5°以上である。そして、75°以下であり、好ましくは60°以下、更に好ましくは45°以下である。より具体的には、15°以上75°以下であり、好ましくは20°以上60°以下、更に好ましくは22.5°以上45°以下である。
【0012】
第1中間部材2は、スリットノズル1においては、図1に示すように、第1部材4に対向する面が平面に形成されており、図2に示すように、第2中間部材3に対向する面の中央領域に第1部材4側に凹んだ凹部24が形成されている。このように、第2中間部材3に対向する面は、凹部24を有し、凹部24を除く領域が平面に形成されている。第1中間部材2は、図1図2に示すように、先端部21を除く外周に沿って、厚み方向(Z方向)に貫通するボルト締め用の貫通孔23が複数形成されている。貫通孔23は、長手方向(Y方向)に沿う非先端部側の辺に沿って、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数形成されており、長手方向(Y方向)の両端部それぞれに、X方向に間隔を空けて複数形成されている。各貫通孔23は、スリットノズル1においては、真円形状に形成されている。また、第1中間部材2は、図1図2に示すように、長手方向(Y方向)に沿う非先端部側の側部の中央に位置する部分に、厚み方向(Z方向)に貫通する液体を供給する円形状の液体供給口26が形成されている。
【0013】
第1中間部材2の凹部24は、図1図2に示すように、第1中間部材2の液体供給口26の位置から先端部21に向かって、段階的に底の深さが浅くなるように、第1深底凹部241、第2深底凹部242、第3深底凹部243を連続して有している。第1深底凹部241は、凹部24の中で最も深く、第2中間部材3に対向する面側から平面視して、T字形状に形成されている。T字形状の横棒部分241aは、長手方向(Y方向)に平行に延在しており、T字形状の縦棒部分241bは、液体供給口26に対応する位置に形成されている。第1深底凹部241における横棒部分241aは、その底面が平滑に形成されている。第2深底凹部242は、第2中間部材3に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在している。第2深底凹部242は、その底面が平滑に形成されている。第3深底凹部243は、第2中間部材3に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在しており、第1深底凹部241及び第2深底凹部242の深さに比べて、浅く形成されている。
【0014】
また、スリットノズル1においては、第1中間部材2の第3深底凹部243には、その底面から第2中間部材3に向かって隆起する円柱状の隆起部243aが形成されている。隆起部243aは、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数形成されている。各隆起部243aは、第3深底凹部243の底面から、第1中間部材2における凹部24を除く領域の高さと一致する高さまで隆起している。各隆起部243aの内部には裏側(第1部材4に対向する面側)から窪んだ貫通しないボルト用締め付け孔25が形成されており、その内面には螺旋状にネジ切りされている。
【0015】
第2中間部材3は、図3に示すように、第1中間部材2に対向する面側から平面視して、Y方向に長い矩形状であり、Z方向に断面視して、先端部31を有する台形状に形成されている。スリットノズル1においては、第2中間部材3の第1中間部材2に対向する面側から平面視した外形の輪郭と、第1中間部材2の第2中間部材3に対向する面側から平面視した外形の輪郭とが一致している。先端部31は、第2部材5に対向する面側から第1中間部材2に対向する面側に向けて平滑に傾斜する傾斜面32を有している。傾斜面32と、第1中間部材2に対向する面とのなす角θ2(図1参照)は、広範囲への均一噴霧とノズル先端部の強度、ノズルへの噴霧液付着の観点から、15°以上であり、好ましくは20°以上、更に好ましくは22.5°以上である。そして、75°以下であり、好ましくは60°以下、更に好ましくは45°以下である。より具体的には、15°以上75°以下であり、好ましくは20°以上60°以下、更に好ましくは22.5°以上45°以下である。スリットノズル1においては、なす角θ2はなす角θ1と同じに形成されている。
【0016】
第2中間部材3は、スリットノズル1においては、第2部材5に対向する面が平面に形成されており、第1中間部材2に対向する面の中央領域に第2部材5側に凹んだ凹部34が形成されている。このように、第1中間部材2に対向する面は、凹部34を有し、凹部34及び長手方向(Y方向)に沿う先端部31側の側部におけるY方向中央領域を除く領域が平面に形成されている。第2中間部材3は、第1中間部材2と同様に、図1図3に示すように、先端部31を除く外周に沿って、厚み方向(Z方向)に貫通するボルト締め用の貫通孔33が複数形成されている。貫通孔33は第1中間部材2の貫通孔23と略一致する位置に、複数形成されている。各貫通孔33の形状は、スリットノズル1においては、貫通孔23の形状と同じく、真円形状に形成されている。
【0017】
第2中間部材3の凹部34は、図1図3に示すように、第1中間部材2の液体供給口26に対応する位置から先端部31に向かって、段階的に底の深さが浅くなるように、第1深底凹部341、第2深底凹部342、第3深底凹部343を連続して有している。第1深底凹部341は、第1中間部材2の第1深底凹部241に対応する位置に形成され、凹部34の中で最も深く、第1中間部材2に対向する面側から平面視して、T字形状に形成されている。T字形状の横棒部分341aは、長手方向(Y方向)に平行に延在しており、T字形状の縦棒部分341bは、第1中間部材2の液体供給口26に対応する位置に形成されている。第1深底凹部341における横棒部分341aは、その底面が平滑に形成されている。第2深底凹部342は、第1中間部材2の第2深底凹部242に対応する位置に形成され、第1中間部材2に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在している。第2深底凹部342は、その底面が平滑に形成されている。第3深底凹部343は、第1中間部材2の第3深底凹部243に対応する位置に形成され、第1中間部材2に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在しており、第1深底凹部341及び第2深底凹部342の深さに比べて、浅く形成されている。
【0018】
また、スリットノズル1においては、第2中間部材3の第3深底凹部343には、その底面から第1中間部材2に向かって隆起する円柱状の隆起部343aが形成されている。隆起部343aは、第1中間部材2の第3深底凹部243に設けられた隆起部243aに対応する位置に形成され、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数形成されている。各隆起部343aは、第3深底凹部343の底面から、第2中間部材3における凹部34を除く領域の高さと一致する高さまで隆起している。各隆起部343aの内部には裏側(第2部材5に対向する面側)から窪んだ貫通しないボルト用締め付け孔35が形成されており、その内面には螺旋状にネジ切りされている。
【0019】
第2中間部材3は、図1図3に示すように、長手方向(Y方向)に沿う先端部31側の側部におけるY方向中央領域に、凹部34から先端部31の先端に亘る、凹部34に比べて底の深さが極めて浅い浅底凹部36を複数個有している。浅底凹部36は、図1図3に示すように、第1中間部材2に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に間隔を開けて複数個(スリットノズル1においては3個)形成されている。各浅底凹部36は、スリットノズル1においては、同形同大の矩形状に形成されている。各浅底凹部36は、図1図3に示すように、先端部31の一部に形成されている。各浅底凹部36は、その底面が平滑に形成されている。
【0020】
スリットノズル1は、図6に示すように、その先端部11においては、第1中間部材2と第2中間部材3との隙間に液体流路12が形成されている。具体的に説明すると、第1中間部材2と第2中間部材3とを重ね合わせた積層体20には、第1中間部材2の第1深底凹部241、第2深底凹部242及び第3深底凹部243それぞれと、第2中間部材3の第1深底凹部341、第2深底凹部342及び第3深底凹部343それぞれとが組み合わされてなる液体溜室6が形成されるようになる。そして、積層体20の先端部には、第1中間部材2における第2中間部材3に対向する平面と、第2中間部材3の複数個の浅底凹部36とが組み合わされてなるスリット状の液体流路12が長手方向(Y方向)に間隔を開けて複数個(スリットノズル1においては3個)形成されるようになる。図6に示すように、液体溜室6は第1中間部材2の液体供給口26に連通して形成されており、液体流路12は液体溜室6に連通して形成されている。尚、第1中間部材2の液体供給口26は、図6に示すように、後述する第1部材4の液体導入口45に液体供給路46を介して連通するようになる。
【0021】
第1部材4は、図4に示すように、第1中間部材2に対向する面側から平面視して、Y方向に長い矩形状であり、Z方向に断面視して、積層体20の先端部(第1中間部材2の先端部21)を覆い、液体流路12に向かって尖鋭な尖鋭部41を備えている。尖鋭部41は、第1中間部材2の先端部21の傾斜面22に対応して均一に傾斜する傾斜面42を有している。傾斜面42と平面部444とが形成する角度θ3(図1参照)は、広範囲への均一噴霧とノズル先端部の強度、ノズルへの噴霧液付着の観点から、105°以上、好ましくは120°以上、更に好ましくは135°以上である。そして、165°以下、好ましくは160°以下、更に好ましくは157.5°以下である。より具体的には、105°以上165°以下であり、好ましくは120°以上160°以下、更に好ましくは135°以上157.5°以下であることが好ましい。スリットノズル1においては、傾斜角度θ3(図1参照)は、180°から第1中間部材2のなす角θ1(図1参照)を減算した角度と同じに形成されている。
【0022】
第1部材4は、スリットノズル1においては、外面(第1中間部材2に非対向な面)が平面に形成されており、第1中間部材2に対向する面の中央領域に、外面側に凹んだ凹部44が形成されている。即ち、第1中間部材2に対向する面は、凹部44を有し、凹部44及び尖鋭部41を除く領域が平面に形成されている。第1部材4は、第1中間部材2と同様に、図1図4に示すように、尖鋭部41を除く外周に沿って、厚み方向(Z方向)に貫通するボルト締め用の貫通孔43が複数形成されている。貫通孔43は第1中間部材2の貫通孔23と一致する位置に、複数形成されている。各貫通孔43の形状は、スリットノズル1においては、貫通孔23の形状と同じく、真円形状に形成されている。
【0023】
第1部材4は、図1に示すように、背面(尖鋭部41側と反対側の面)に、円形状の液体導入口45が形成されており、液体導入口45に連通する液体供給路46が、図6に示すように、逆L字状に屈曲して、図4に示すように、第1中間部材2に対向する面に貫通して形成されている。この液体供給路46は、第1中間部材2の液体供給口26と連通するようになる。第1中間部材2に対向する面に形成される液体供給路46の出口は、図4に示すように、長手方向(Y方向)に沿う非尖鋭部側の側部の中央に位置する部分に形成されている。
【0024】
第1部材4の凹部44は、図1図4に示すように、液体供給路46の出口に対応する位置から尖鋭部41に向かって、凹みの深さが最も深い第1凹部441と、凹みの深さが最も浅い第2凹部442と、凹みの深さが深い第3凹部443を連続して有している。第1凹部441は、その底面が平滑に形成されており、第1中間部材2に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在している。第1凹部441の底面には、図4に示すように、長手方向(Y方向)の中央に位置する部分に、外面(第1中間部材2に非対向な面)に貫通する円形状の気体導入口47が形成されている。また、第2凹部442は、第1中間部材2に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在している。第2凹部442には、第2凹部442の底面から第1中間部材2に向かって隆起する円柱状の隆起部442aが形成されている。隆起部442aは、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数形成されている。各隆起部442aは、第2凹部442の底面から、平面部444の高さと一致する高さまで隆起している。スリットノズル1においては、各隆起部442aには、外面(第1中間部材2に非対向な面)に貫通するボルト用貫通孔48が複数形成されている。ボルト用貫通孔48は、第1中間部材2のボルト用締め付け孔25と略一致する位置に形成されている。第3凹部443は、第1中間部材2に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在しており、第1凹部441の深さに比べて、浅く形成されている。第3凹部443は、その底面が平滑に形成されている。
【0025】
第1部材4の尖鋭部41の傾斜面42には、図4に示すように、長手方向(Y方向)に沿う尖鋭部41側の側部におけるY方向中央領域に、凹部44から尖鋭部41の先端に亘る、凹部44に比べて底の深さが極めて浅い浅底凹部49が複数形成されている。各浅底凹部49は、スリットノズル1においては、同形同大の矩形状に形成されている。各浅底凹部49は、第2中間部材3の各浅底凹部36の位置に対応して各浅底凹部36を包含するように、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数(スリットノズル1においては3個)形成されている。各浅底凹部49は、その底面が平滑に形成されている。
【0026】
第2部材5は、図5に示すように、第2中間部材3に対向する面側から平面視して、Y方向に長い矩形状であり、Z方向に断面視して、積層体20の先端部(第2中間部材3の先端部31)を覆い、液体流路12に向かって尖鋭な尖鋭部51を備えている。スリットノズル1においては、第2部材5の第2中間部材3に対向する面側から平面視した外形の輪郭と、第1部材4の第1中間部材2に対向する面側から平面視した外形の輪郭とが一致している。尖鋭部51は、第2中間部材3の先端部31の傾斜面32に対応して均一に傾斜する傾斜面52を有している。傾斜面52と平面部544とが形成する角度θ4(図1参照)は、広範囲への均一噴霧とノズル先端部の強度、ノズルへの噴霧液付着の観点から、105°以上、好ましくは120°以上、更に好ましくは135°以上である。そして、165°以下、好ましくは160°以下、更に好ましくは157.5°以下である。より具体的には、105°以上165°以下であり、好ましくは120°以上160°以下、更に好ましくは135°以上157.5°以下であることが好ましい。スリットノズル1においては、傾斜角度θ4(図1参照)は、180°から第2中間部材3のなす角θ2(図1参照)を減算した角度と同じに形成されている。
【0027】
第2部材5は、スリットノズル1においては、外面(第2中間部材3に非対向な面)が平面に形成されており、第2中間部材3に対向する面の中央領域に、外面側に凹んだ凹部54が形成されている。即ち、第2中間部材3に対向する面は、凹部54を有し、凹部54及び尖鋭部51を除く領域が平面に形成されている。第2部材5は、第2中間部材3と同様に、図1図5に示すように、尖鋭部51を除く外周に沿って、厚み方向(Z方向)に貫通するボルト締め用の貫通孔53が複数形成されている。貫通孔53は第2中間部材3の貫通孔33と一致する位置に、複数形成されている。各貫通孔53の形状は、スリットノズル1においては、貫通孔33の形状と同じく、真円形状に形成されている。
【0028】
第2部材5の凹部54は、図1図5に示すように、尖鋭部51に向かって、凹みの深さが最も深い第1凹部541と、凹みの深さが最も浅い第2凹部542と、凹みの深さが深い第3凹部543を連続して有している。第2部材5の第1凹部541、第2凹部542及び第3凹部543は、それぞれ、図6に示すように、第1部材4の第1凹部441、第2凹部442及び第3凹部443それぞれの形成位置に対応して設けられている。第1凹部541は、その底面が平滑に形成されており、第2中間部材3に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在している。第1凹部541の底面には、図5に示すように、長手方向(Y方向)の中央に位置する部分に、外面(第2中間部材3に非対向な面)に貫通する円形状の気体導入口57が形成されている。また、第2凹部542は、第2中間部材3に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在している。第2凹部542には、その底面から第2中間部材3に向かって隆起する円柱状の隆起部542aが形成されている。隆起部542aは、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数形成されている。各隆起部542aは、第2凹部542の底面から、平面部544の高さと一致する高さまで隆起している。スリットノズル1においては、各隆起部542aには、外面(第2中間部材3に非対向な面)に貫通するボルト用貫通孔58が複数形成されている。ボルト用貫通孔58は、第2中間部材3のボルト用締め付け孔35と略一致する位置に形成されている。第3凹部543は、第2中間部材3に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に平行に延在しており、第1凹部541の深さに比べて、浅く形成されている。第3凹部543は、その底面が平滑に形成されている。
【0029】
第2部材5の尖鋭部51の傾斜面52には、図5に示すように、長手方向(Y方向)に沿う尖鋭部51側の側部におけるY方向中央領域に、凹部54から尖鋭部51の先端に亘る、凹部54に比べて底の深さが極めて浅い浅底凹部59が複数形成されている。各浅底凹部59は、スリットノズル1においては、同形同大の矩形状に形成されている。各浅底凹部59は、第2中間部材3の各浅底凹部36の位置に対応して各浅底凹部36を包含するように、第1部材4の各浅底凹部49に対応する位置にて、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数(スリットノズル1においては3個)形成されている。即ち、第2部材5の各浅底凹部59は、第1部材4の各浅底凹部49と同形同大に形成されている。各浅底凹部59は、その底面が平滑に形成されている。
【0030】
スリットノズル1は、上述したように、その先端部11においては、第1中間部材2と第2中間部材3との隙間に液体流路12が形成されており、また、図6に示すように、第1部材4と第1中間部材2との隙間に第1気体流路13が形成され、第2部材5と第2中間部材3との隙間に第2気体流路14が形成されている。具体的に説明すると、スリットノズル1は、図1に示すように、第1部材4と第1中間部材2とを重ね合わせ、それを、第2部材5と第2中間部材3とを重ね合わせたものに重ね合わせ、複数の貫通孔43,23,33,53にボルト(不図示)を通して、該ボルト(不図示)とナット(不図示)によりボルト締めすることにより一体化して形成される。スリットノズル1には、第1中間部材2における第1部材4に対向する平面と、第1部材4の第1凹部441、第2凹部442及び第3凹部443とがそれぞれ組み合わされて、上流側から先端部に向かって、第1気体溜部71、気体流路72及び第2気体溜部73が形成されるようになる。そして、スリットノズル1の先端部には、第1中間部材2における先端部21の傾斜面22と、第1部材4の尖鋭部41における傾斜面42の複数の浅底凹部49とが組み合わされてスリット状の複数の第1気体流路13(スリットノズル1においては3個)が形成されるようになる。図6に示すように、第1気体溜部71は第1部材4の気体導入口47に連通して形成されており、第2気体溜部73は、第2気体溜部73及び第1気体溜部71の間隔よりも狭い気体流路72を介して第1気体溜部71と連通しており、複数の第1気体流路13は第2気体溜部73に連通して形成されている。
【0031】
また、図1に示すように、ボルト(不図示)とナット(不図示)によりボルト締めすることにより一体化して形成されるスリットノズル1には、第2中間部材3における第2部材5に対向する平面と、第2部材5の第1凹部541、第2凹部542及び第3凹部543とがそれぞれ組み合わされて、上流側から先端部に向かって、第1気体溜部81、気体流路82及び第2気体溜部83が形成されるようになる。そして、スリットノズル1の先端部には、第2中間部材3における先端部31の傾斜面32と、第2部材5の尖鋭部51における傾斜面52の複数の浅底凹部59とが組み合わされてスリット状の複数の第2気体流路14(スリットノズル1においては3個)が形成されるようになる。図6に示すように、第1気体溜部81は第2部材5の気体導入口57に連通して形成されており、第2気体溜部83は、第2気体溜部83及び第1気体溜部81の間隔よりも狭い気体流路82を介して第1気体溜部81と連通しており、複数の第2気体流路14は第2気体溜部83に連通して形成されている。第2部材5側に形成される第1気体溜部81、気体流路82及び第2気体溜部83と、第1部材4側に形成される第1気体溜部71、気体流路72及び第2気体溜部73とは、それぞれ、図6に示すように、スリットノズル1の先端部の液体流路12の延出方向に延びる仮想線ILに対して対称に形成されている。尚、気体流路72及び気体流路82の間隔は、それぞれ、ボルト用貫通孔48,58を通して、第1,第2中間部材2,3の隆起部243a,343a内のボルト用締め付け孔25,35に配されたボルト91,92を締めたり緩めたりすることで調整できる。
【0032】
以上のように構成されたスリットノズル1について、詳述すると、図7に示すように、スリットノズル1の先端部11を断面視して、液体流路12の延出方向に対し第1気体流路13の延出方向及び第2気体流路14の延出方向が、それぞれ鋭角に交差している。具体的には、第1中間部材2の先端部21がなす角θ1で形成されているので、図7に示すように、液体流路12の延出方向と第1気体流路13の延出方向との交差角度がθ1となって液体流と気体流とが合流するようになっており、第2中間部材3の先端部31がなす角θ2で形成されているので、液体流路12の延出方向と第2気体流路14の延出方向との交差角度がθ2となって液体流と気体流とが合流するようになっている。
【0033】
また、上述したように、図1〜5に示すように、第1部材4の各浅底凹部49及び第2部材5の各浅底凹部59は、第2中間部材3の各浅底凹部36の位置に対応して各浅底凹部36を包含するように配されている。その為、図8に示すように、スリットノズル1の先端部11を正面視して、液体流路12の噴出口12eは、長方形状であり、長手方向(Y方向)に間隔を開けて複数配されており、各液体流路12の噴出口12eの第1部材4側及び第2部材5側の両側に沿って、第1気体流路13の噴出口13e及び第2気体流路14の噴出口14eが、それぞれ、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数配されているようになる。
【0034】
更に、上述したように、図1〜5に示すように、第1部材4の各浅底凹部49及び第2部材5の各浅底凹部59は、第2中間部材3の各浅底凹部36を包含するように配されている。その為、図8に示すように、スリットノズル1の先端部11を正面視して、各液体流路12の噴出口12eの長手方向(Y方向)の長さが、各第1気体流路13の噴出口13e及び各第2気体流路14の噴出口14eの長手方向(Y方向)の長さよりも短く、各第1気体流路13の噴出口13eの両末端部と各第2気体流路14の噴出口14eの両末端部が、それぞれ、各液体流路12の噴出口12eの両末端部よりも長手方向(Y方向)外方に配されるようになる。
【0035】
更にまた、スリットノズル1においては、上述したように、第2部材5の各浅底凹部59が、第1部材4の各浅底凹部49と同形同大に形成されている。その為、図8に示すように、スリットノズル1の先端部11を正面視して、各第1気体流路13の噴出口13eの長手方向(Y方向)の長さと各第2気体流路14の噴出口14eの長手方向(Y方向)の長さとが同じとなっている。
【0036】
また、スリットノズル1においては、上述したように、第1部材4の各浅底凹部49及び第2部材5の各浅底凹部59は、第2中間部材3の各浅底凹部36を包含するように配されており、第2部材5の各浅底凹部59が、第1部材4の各浅底凹部49と同形同大に形成されている。その為、図8に示すように、スリットノズル1の先端部11を正面視して、流体(気体及び液体)の噴出口の右側を一末端部、左側を他末端部とすると、各第1気体流路13の噴出口13eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W1が、各第2気体流路14の噴出口14eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W2と同じとなる。そして、各第1気体流路13の噴出口13eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W1が、各第1気体流路13の噴出口13eの他末端部と各液体流路12の噴出口12eの他末端部との間隔と同じとなる。また、各第2気体流路14の噴出口14eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W2が、各第2気体流路14の噴出口14eの他末端部と各液体流路12の噴出口12eの他末端部との間隔と同じとなる。
【0037】
そして、スリットノズル1においては、図8に示すように、スリットノズル1の先端部11を正面視して、各第1気体流路13の噴出口13eの長手方向(Y方向)における中心点13cの位置と、各第2気体流路14の噴出口14eの長手方向(Y方向)における中心点14cの位置と、各液体流路12の噴出口12eの長手方向(Y方向)における中心点12cの位置とが、一致している。即ち、各第1気体流路13の中心点13c、各第2気体流路14の中心点14c及び各液体流路12の中心点12cが、それぞれ、Z方向に平行に延びる直線上に配されている。
【0038】
各液体流路12の噴出口12eの長手方向(Y方向)の長さは、粗大液滴の発生防止、エアー使用量の抑制の観点から、各第1気体流路13の噴出口13e又は各第2気体流路14の噴出口14eの長手方向(Y方向)の長さの好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。そして、好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下である。より具体的には、好ましくは70%以上95%以下であり、更に好ましくは80%以上90%以下である。
【0039】
各第1気体流路13の噴出口13eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W1、及び各第2気体流路14の噴出口14eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W2は、それぞれ、粗大液滴の発生防止、エアー使用量の抑制の観点から、各液体流路12の噴出口12eの長手方向(Y方向)の長さの好ましくは6%以上、更に好ましくは12%以上である。そして、好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下である。より具体的には、好ましくは6%以上30%以下であり、更に好ましくは12%以上25%以下である。
【0040】
具体的に、各液体流路12の長方形状の噴出口12eの長手方向(Y方向)の長さは、粗大液滴の発生防止、エアー使用量の抑制の観点から、好ましくは5mm以上、更に好ましくは10mm以上であり、そして、好ましくは50mm以下、更に好ましくは20mm以下であり、より具体的には、好ましくは5mm以上50mm以下であり、更に好ましくは10mm以上20mm以下である。
また、具体的に、各第1気体流路13の噴出口13e及び各第2気体流路14の噴出口14eの長手方向(Y方向)の長さは、粗大液滴の発生防止、エアー使用量の抑制の観点から、好ましくは5.6mm以上、更に好ましくは11.2mm以上であり、そして、好ましくは80mm以下、更に好ましくは24.8mm以下であり、より具体的には、好ましくは5.6mm以上80mm以下であり、更に好ましくは11.2mm以上24.8mm以下である。
【0041】
更にまた、各第1気体流路13の噴出口13eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W1、及び各第2気体流路14の噴出口14eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W2は、粗大液滴の発生防止、エアー使用量の抑制の観点から、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.6mm以上であり、そして、好ましくは15mm以下、更に好ましくは2.4mm以下であり、より具体的には、好ましくは0.3mm以上15mm以下であり、更に好ましくは0.6mm以上2.4mm以下である。
【0042】
スリットノズル1を構成する第1中間部材2、第2中間部材3、第1部材4及び第2部材5それぞれの材質としては、アルミニウム合金、ステンレス綱、鉄鋼、チタン等の金属のほか、セラミック、耐熱性樹脂等が挙げられ、用途に応じて適宜選択して用いることができる。
スリットノズル1により噴霧する液体としては、用途に応じて様々な液体を用いることができる。また、スリットノズル1により液体を噴霧する際に用いる気体としては、該液体に応じて様々な気体を用いることができる。
【0043】
次に、スリットノズル1の作用を、図6図8を参照しながら説明する。
先ず、スリットノズル1の液体導入口45に液体供給管(不図示)を連結し、気体導入口47及び気体導入口57それぞれに気体供給管(不図示)を連結する。
液体導入口45から供給された液体は、図6に示すように、上流側から下流側(先端部11側)に向かって、液体供給路46、液体供給口26、液体溜室6、そして液体流路12の順に流れ液体流路12の噴出口12eから液体が噴出する。
気体導入口47から供給された気体は、図6に示すように、上流側から下流側(先端部11側)に向かって、第1気体溜部71、気体流路72、第2気体溜部73、そして複数の第1気体流路13の順に流れ第1気体流路13の噴出口13eから気体が噴出する。
また、気体導入口57から供給された気体は、図6に示すように、上流側から下流側(先端部11側)に向かって、第1気体溜部81、気体流路82、第2気体溜部83、そして複数の第2気体流路14の順に流れ第2気体流路14の噴出口14eから気体が噴出する。
【0044】
スリットノズル1においては、図7に示すように、先端部11を断面視して、液体流路12の延出方向に対し第1気体流路13の延出方向が鋭角(交差角度θ1)に交差しており、さらに、液体流路12の延出方向に対し第2気体流路14の延出方向が鋭角(交差角度θ2)に交差している。従って、液体流路12の噴出口12eから噴出する液体に対して、その両側部から、第1気体流路13の噴出口13eから噴出する気体及び第2気体流路14の噴出口14eから噴出する気体が衝突し、液体を噴霧することができるようになっている。また、図8に示すように、先端部11を正面視して、液体流路12の長方形状の噴出口12eが、長手方向(Y方向)に間隔を開けて複数配されており、各液体流路12の噴出口12eの第1部材4側及び第2部材5側の両側に沿って、第1気体流路13の噴出口13e及び第2気体流路14の噴出口14eが、それぞれ、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数配されているようになっている。その為、各噴出口13e,噴出口14eで気体の噴射量が絞られるので、噴出する気体の流速を維持したまま、気体の噴射量を少量にすることができる。更に、各液体流路12の噴出口12eの長手方向(Y方向)の長さが、各第1気体流路13の噴出口13e及び各第2気体流路14の噴出口14eの長手方向(Y方向)の長さよりも短く、各第1気体流路13の噴出口13eの両末端部と各第2気体流路14の噴出口14eの両末端部が、それぞれ、各液体流路12の噴出口12eの両末端部よりも長手方向(Y方向)外方に配されるようになっている。その為、各液体流路12の噴出口12eの両末端部それぞれにおいて、液滴が溜り難く、液滴径分布において粗大液滴の分布が少なく、均一に噴霧することができる。また、スリットノズルであるため、従来の2流体ノズルに比べ、安価であり、メンテナンス性に優れることも期待できる。
【0045】
また、スリットノズル1においては、図8に示すように、スリットノズル1の先端部11を正面視して、各第1気体流路13の噴出口13eの長手方向(Y方向)の長さと各第2気体流路14の噴出口14eの長手方向(Y方向)の長さとが同じとなっている。従って、各噴出口13eから噴出する気体の流速と各噴出口14eから噴出する気体の流速が略同じであり、噴出口12eから噴出する液体に対して、その両側部から、略同じ力で、噴出口13eから噴出する気体及び噴出口14eから噴出する気体がそれぞれ衝突するようになる。よって、液体流路12の延出方向に対して略均等な範囲に液体が広がって均一に噴霧されるようになる。
【0046】
更に、スリットノズル1においては、図8に示すように、各第1気体流路13の中心点13cの位置、各第2気体流路14の中心点14cの位置及び各液体流路12の中心点12cの位置が、一致している。その為、図8に示すように、各第1気体流路13の噴出口13eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W1が、各第2気体流路14の噴出口14eの一末端部と各液体流路12の噴出口12eの一末端部との間隔W2と同じとなる。そして、該間隔W1は、各第1気体流路13の噴出口13eの他末端部と各液体流路12の噴出口12eの他末端部との間隔と同じであり、該間隔W2は、各第2気体流路14の噴出口14eの他末端部と各液体流路12の噴出口12eの他末端部との間隔と同じとなる。その為、各液体流路12の噴出口12eの両末端部それぞれにおいて、液滴が更に溜り難く、液滴径分布において粗大液滴の分布が更に少なく、更に均一に噴霧することができる。
【0047】
本発明のスリットノズルは、上述の実施形態のスリットノズル1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0048】
例えば、上述の実施形態のスリットノズル1においては、図8に示すように、スリットノズル1の先端部11を正面視して、各第1気体流路13の噴出口13eの長手方向(Y方向)の長さと各第2気体流路14の噴出口14eの長手方向(Y方向)の長さとが同じとなっているが同じでなくてもよい。また、各第1気体流路13の中心点13cの位置、各第2気体流路14の中心点14cの位置及び各液体流路12の中心点12cの位置が、一致しているが、一致していなくてもよい。つまり、各第1気体流路13の噴出口13eの両末端部と各第2気体流路14の噴出口14eの両末端部が、各液体流路12の噴出口12eの両末端部よりも長手方向(Y方向)外方に配されていればよい。
【0049】
また、上述の実施形態のスリットノズル1においては、図7に示すように、液体流路12の延出方向と第1気体流路13の延出方向との交差角度θ1が、液体流路12の延出方向と第2気体流路14の延出方向との交差角度θ2と一致しているが、一致していなくてもよい。また、各第1気体流路13の噴出口13e及び各第2気体流路14の噴出口14eは、その形状が同じであり、大きさも同じに形成されているが、同じでなくてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態のスリットノズル1においては、図6に示すように、液体導入口45が第1部材4の背面(尖鋭部41側と反対側の面)に形成されているが、スリットノズル1の大きさに応じて別の場所に形成されていてもよい。
【0051】
また、上述の実施形態のスリットノズル1においては、図6に示すように、液体溜室6が、第1中間部材2の第1深底凹部241、第2深底凹部242及び第3深底凹部243と、第2中間部材3の第1深底凹部341、第2深底凹部342及び第3深底凹部343とが組み合わされて形成されているが、第1中間部材2における第2中間部材3に対向する面に凹部を設け、第2中間部材3の第1中間部材2に対向する面を平面として形成してもよく、第1中間部材2の第2中間部材3に対向する面を平面とし、第2中間部材3における第1中間部材2に対向する面に凹部を設けて形成してもよい。また、液体溜室6が無くてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態のスリットノズル1においては、図6に示すように、第1気体溜部71、気体流路72及び第2気体溜部73が、第1中間部材2における第1部材4に対向する平面と、第1部材4の第1凹部441、第2凹部442及び第3凹部443とがそれぞれ組み合わされて形成されているが、第1中間部材2における第1部材4に対向する面に3つの凹部を設け、第1部材4の第1中間部材2に対向する面を平面として形成してもよく、互いに対向する面それぞれに凹部を設けて形成していてもよい。また、第1気体溜部71、気体流路72及び第2気体溜部73が無くてもよい。第1気体溜部81、気体流路82及び第2気体溜部83についても、第1気体溜部71、気体流路72及び第2気体溜部73と同様である。
【0053】
また、上述の実施形態のスリットノズル1においては、温度調整システムを設置して、第1中間部材2及び第2中間部材3からなる積層体20、並びに第1部材4及び第2部材5の温度を調整するようにしてもよい。
【0054】
本発明のスリットノズルは、例えば、水や薬品,塗料等の散布に用いることができる。
【0055】
上述した実施形態に関し、さらに以下のスリットノズルを開示する。
【0056】
<1>
一対の縦長の第1中間部材及び第2中間部材からなる積層体を、該第1中間部材側の第1部材と該第2中間部材側の第2部材とで挟んで一体化されたスリットノズルであって、
前記スリットノズルの先端部においては、前記第1中間部材と前記第2中間部材との隙間に液体流路が形成され、前記第1部材と前記第1中間部材との隙間に第1気体流路が形成され、前記第2部材と前記第2中間部材との隙間に第2気体流路が形成されており、
前記スリットノズルの先端部を断面視して、前記液体流路の延出方向に対し前記第1気体流路の延出方向及び前記第2気体流路の延出方向が、それぞれ鋭角に交差しており、
前記スリットノズルの先端部を正面視して、前記液体流路の噴出口は、長方形状であり、長手方向に間隔を開けて複数配されており、各該液体流路の噴出口の第1部材側及び第2部材側の両側に沿って、前記第1気体流路の噴出口及び前記第2気体流路の噴出口が、それぞれ、長手方向に間隔を空けて複数配されており、
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記液体流路の噴出口の長手方向の長さが、各前記第1気体流路の噴出口及び各前記第2気体流路の噴出口の長手方向の長さよりも短く、各該第1気体流路の噴出口の両末端部と各該第2気体流路の噴出口の両末端部が、それぞれ、各該液体流路の噴出口の両末端部よりも長手方向外方に配されているスリットノズル。
【0057】
<2>
前記スリットノズルには、前記第1中間部材の第1深底凹部、第2深底凹部及び第3深底凹部それぞれと、前記第2中間部材の第1深底凹部、第2深底凹部及び第3深底凹部それぞれとが組み合わされてなる液体溜室が形成されている前記<1>に記載のスリットノズル。
<3>
積層体の先端部には、前記第1中間部材における前記第2中間部材に対向する平面と、該第2中間部材の複数個の浅底凹部とが組み合わされてなるスリット状の液体流路が長手方向(Y方向)に間隔を開けて複数個形成されるようになる前記<1>又は<2>に記載のスリットノズル。
<4>
前記第1中間部材の凹部は、前記第1中間部材の液体供給口の位置から先端部に向かって、段階的に底の深さが浅くなるように、第1深底凹部、第2深底凹部、第3深底凹部を連続して有している前記<1>〜<3>の何れかに記載のスリットノズル。
<5>
前記第2中間部材の凹部は、前記第1中間部材の液体供給口に対応する位置から先端部に向かって、段階的に底の深さが浅くなるように、第1深底凹部、第2深底凹部、第3深底凹部を連続して有しており、底の深さが極めて浅い浅底凹部を、該第1中間部材に対向する面側から平面視して、長手方向(Y方向)に間隔を開けて複数個連続して有している前記<1>〜<4>の何れか1に記載のスリットノズル。
<6>
前記第1中間部材及び前記第2中間部材の第3深底凹部には、その底面から該第2中間部材及び該第1中間部材に向かって、該第2中間部材及び該第1中間部材における凹部を除く領域の高さと一致する高さまで隆起する円柱状の隆起部が形成されている前記<1>〜<5>の何れか1に記載のスリットノズル。
<7>
前記第1部材は、厚み方向(Z方向)に断面視して、前記液体流路に向かって尖鋭な尖鋭部及び液体供給路を備えており、前記第1部材の凹部は、該液体供給路の出口に対応する位置から該尖鋭部に向かって、凹みの深さが最も深い第1凹部と、凹みの深さが最も浅い第2凹部と、凹みの深さが深い第3凹部を連続して有している前記<1>〜<6>の何れか1に記載のスリットノズル。
<8>
前記第1部材の第2凹部の底面から前記第1中間部材に向かって隆起する円柱状の隆起部が形成されており、該隆起部は、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数形成されており、該各隆起部は、該第2凹部の底面から、第1部材の平面部の高さと一致する高さまで隆起している前記<1>〜<7>の何れか1に記載のスリットノズル。
<9>
前記第2部材は、前記液体流路に向かって尖鋭な尖鋭部を備えており、前記第2部材の凹部は、該尖鋭部に向かって、凹みの深さが最も深い第1凹部と、凹みの深さが最も浅い第2凹部と、凹みの深さが深い第3凹部を連続して有している前記<1>〜<8>の何れか1に記載のスリットノズル。
<10>
前記第2部材の第2凹部の底面から前記第2中間部材に向かって隆起する円柱状の隆起部が形成されており、該隆起部は、長手方向(Y方向)に間隔を空けて複数形成されており、該各隆起部は、該第2凹部の底面から、第2部材の平面部の高さと一致する高さまで隆起している前記<1>〜<9>の何れか1に記載のスリットノズル。
【0058】
<11>
前記スリットノズルには、前記第1中間部材における前記第1部材に対向する平面と、該第1部材の前記第1凹部、前記第2凹部及び前記第3凹部とがそれぞれ組み合わされて、上流側から先端部に向かって、第1気体溜部、気体流路及び第2気体溜部が形成され、
前記第1気体溜部は前記第1部材の気体導入口に連通して形成されており、前記第2気体溜部は、該第2気体溜部及び該第1気体溜部の間隔よりも狭い前記気体流路を介して該第1気体溜部と連通しており、複数の該第1気体流路は該第2気体溜部に連通して形成されている前記<1>〜<10>の何れか1に記載のスリットノズル。
<12>
前記第1中間部材は、厚み方向(Z方向)に断面視して、先端部を有する台形状に形成されており、該先端部は、前記第1部材に対向する面側から前記第2中間部材に対向する面側に向けて平滑に傾斜する傾斜面を有しており、該傾斜面と、該第2中間部材に対向する面とのなす角θ1は、15°以上であり、好ましくは20°以上、更に好ましくは22.5°以上であり、そして、75°以下であり、好ましくは60°以下、更に好ましくは45°以下であり、より具体的には、15°以上75°以下であり、好ましくは20°以上60°以下、更に好ましくは22.5°以上45°以下である前記<1>〜<11>の何れか1に記載のスリットノズル。
<13>
前記第2中間部材は、厚み方向(Z方向)に断面視して、先端部を有する台形状に形成されており、該先端部は、前記第2部材に対向する面側から前記第1中間部材に対向する面側に向けて平滑に傾斜する傾斜面を有しており、該傾斜面と、該第1中間部材に対向する面とのなす角θ2は、15°以上であり、好ましくは20°以上、更に好ましくは22.5°以上であり、そして、75°以下であり、好ましくは60°以下、更に好ましくは45°以下であり、より具体的には、15°以上75°以下であり、好ましくは20°以上60°以下、更に好ましくは22.5°以上45°以下である前記<1>〜<12>の何れか1に記載のスリットノズル。
<14>
前記第1部材は、厚み方向(Z方向)に断面視して、前記液体流路に向かって尖鋭な尖鋭部を備えており、該尖鋭部は、前記第1中間部材の先端部の傾斜面に対応して均一に傾斜する傾斜面を有しており、該傾斜面と第1部材の平面部が形成する角度θ3は、105°以上、好ましくは120°以上、更に好ましくは135°以上であり、そして、165°以下、好ましくは160°以下、更に好ましくは157.5°以下であり、より具体的には、105°以上165°以下であり、好ましくは120°以上160°以下、更に好ましくは135°以上157.5°以下である前記<1>〜<13>の何れか1に記載のスリットノズル。
<15>
前記第2部材は、厚み方向(Z方向)に断面視して、前記液体流路に向かって尖鋭な尖鋭部を備えており、該尖鋭部は、前記第2中間部材の先端部の傾斜面に対応して均一に傾斜する傾斜面を有しており、該傾斜面と第2部材の平面部が形成する角度θ4(図1参照)は、105°以上、好ましくは120°以上、更に好ましくは135°以上であり、そして、165°以下、好ましくは160°以下、更に好ましくは157.5°以下であり、より具体的には、105°以上165°以下であり、好ましくは120°以上160°以下、更に好ましくは135°以上157.5°以下である前記<1>〜<14>の何れか1に記載のスリットノズル。
<16>
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記第1気体流路の噴出口の長手方向の長さと各前記第2気体流路の噴出口の長手方向の長さとが同じである前記<1>〜<15>の何れか1に記載のスリットノズル。
<17>
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記第1気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔、及び各前記第2気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔が、それぞれ、各該第1気体流路の噴出口の他末端部と各該液体流路の噴出口の他末端部との間隔、及び各該第2気体流路の噴出口の他末端部と各該液体流路の噴出口の他末端部との間隔と同じである前記<1>〜<16>の何れか1項に記載のスリットノズル。
<18>
前記各液体流路の噴出口の長手方向(Y方向)の長さは、各前記第1気体流路の噴出口又は各前記第2気体流路の噴出口の長手方向(Y方向)の長さの好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。そして、好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下である。より具体的には、好ましくは70%以上95%以下であり、更に好ましくは80%以上90%以下である前記<1>〜<17>の何れか1に記載のスリットノズル。
【0059】
<19>
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記第1気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔、及び各前記第2気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔が、それぞれ、各該液体流路の噴出口の長手方向の長さの6%以上30%以下である前記<1>〜<18>の何れか1に記載のスリットノズル。
<20>
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記第1気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔、及び各前記第2気体流路の噴出口の一末端部と各前記液体流路の噴出口の一末端部との間隔が、それぞれ、各該液体流路の噴出口の長手方向の長さの好ましくは6%以上、更に好ましくは12%以上である。そして、好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下である。より具体的には、好ましくは6%以上30%以下であり、更に好ましくは12%以上25%以下である前記<1>〜<19>の何れか1に記載のスリットノズル。
<21>
前記スリットノズルの先端部を正面視して、各前記第1気体流路の噴出口の長手方向における中心点の位置と、各前記第2気体流路の噴出口の長手方向における中心点の位置と、各前記液体流路の噴出口の長手方向における中心点の位置とが、一致している前記<1>〜<20>の何れか1に記載のスリットノズル。
<22>
各前記液体流路の噴出口の長手方向(Y方向)の長さは、好ましくは5mm以上、更に好ましくは10mm以上であり、そして、好ましくは50mm以下、更に好ましくは20mm以下であり、より具体的には、好ましくは5mm以上50mm以下であり、更に好ましくは10mm以上20mm以下である前記<1>〜<21>の何れか1に記載のスリットノズル。
<23>
各前記第1気体流路の噴出口及び各前記第2気体流路の噴出口の長手方向(Y方向)の長さは、好ましくは5.6mm以上、更に好ましくは11.2mm以上であり、そして、好ましくは80mm以下、更に好ましくは24.8mm以下であり、より具体的には、好ましくは5.6mm以上80mm以下であり、更に好ましくは11.2mm以上20mm以下である前記<1>〜<22>の何れか1に記載のスリットノズル。
<24>
各前記第1気体流路の噴出口の一末端部と各液体流路の噴出口の一末端部との間隔、及び各第2気体流路の噴出口の一末端部と各液体流路の噴出口の一末端部との間隔は、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.6mm以上であり、そして、好ましくは15mm以下、更に好ましくは2.4mm以下であり、より具体的には、好ましくは0.3mm以上15mm以下であり、更に好ましくは0.6mm以上2.4mm以下である前記<1>〜<23>の何れか1に記載のスリットノズル。
【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0061】
〔実施例1〕
図1図8に示す上記実施形態のスリットノズル1と同様の構成を有するスリットノズルを用いた。スリットノズルについて詳述すると、液体流路12の延出方向と第1気体流路13の延出方向との交差角度がθ1となって液体流と気体流とが合流するようになっており、第2中間部材3の先端部31がなす角θ2で形成されているので、液体流路12の延出方向と第2気体流路14の延出方向との交差角度がθ2となって液体流と気体流とが合流するようになっている。第1中間部材2の先端部のなす角θ1は45°であり、第2中間部材3の先端部のなす角θ2も45°であった。また、第1部材4の傾斜面の傾斜角度θ3は135°であり、第2部材5の傾斜面の傾斜角度θ4も135°であった。各液体流路12の噴出口12eは、Y方向の長さが16.7mm、間隔が41.7mmであった。次に、各第1気体流路13の噴出口13e及び第2気体流路14の噴出口14eは、それぞれ、Y方向の長さが20.7mmであった。また、各第1気体流路13の噴出口13eの末端部と各液体流路12の噴出口12eの末端部との間隔W1は2mmであり、各第2気体流路14の噴出口14eの末端部と各液体流路12の噴出口12eの末端部との間隔W2も2mmであった。このように形成された前記間隔W1,W2は、液体流路12の噴出口12eの長さの12%であった。
【0062】
〔実施例2〕
各第1気体流路13の噴出口13eの末端部と各液体流路12の噴出口12eの末端部との間隔W1が1mmであり、各第2気体流路14の噴出口14eの末端部と各液体流路12の噴出口12eの末端部との間隔W2も1mmである以外は、実施例1と同様の条件のスリットノズルを用いた。尚、このように形成された前記間隔W1,W2は、液体流路12の噴出口12eの長さの6%であった。
【0063】
〔比較例1〕
図11に示す丸型2流体ノズル100を用いた。丸型2流体ノズル100のノズルの中央部の液体噴射孔101の直径は3mmであり、エアー噴射孔102の間隔は0.5mmであった。
【0064】
〔比較例2〕
液体流路の噴出口が長手方向に連続し、第1気体流路の噴出口及び第2気体流路の噴出口も長手方向に連続する以外は、実施例1と同様の条件のスリットノズルを用いた。尚、液体流路の噴出口の長手方向の長さは100mmであり、第1気体流路の噴出口及び第2気体流路の噴出口それぞれの長手方向の長さは112mmであった。
【0065】
〔比較例3〕
各第1気体流路13の噴出口13eの末端部と各液体流路12の噴出口12eの末端部とが一致(間隔W1が0mm)し、各第2気体流路14の噴出口14eの末端部と各液体流路12の噴出口12eの末端部とも一致(間隔W2が0mm)である以外は、実施例1と同様の条件のスリットノズルを用いた。
【0066】
〔性能評価〕
実施例1〜2、比較例1〜3の噴霧ノズルに関し、下記方法に従って、平均液滴径及び液滴径分布をそれぞれ評価した。使用する液体は水であり、使用する気体は空気であった。平均液滴径の測定結果を図9に示し、液滴径分布の測定結果を図10に示す。また、噴出口端部の液溜りの状態の目視による評価及び噴霧液滴の均一性の評価を下記表1に示す。
【0067】
〔平均液滴径の評価方法〕
レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーンインスツルメンツリミテッド製スプレーテック)に対して、装置から50mm離れた位置から、各ノズルより噴霧を行い、噴霧内の粒子径を測定した。
【0068】
〔液滴径分布の評価方法〕
上記の平均液滴径の評価方法と同様にして、液滴径分布を測定した。
【0069】
〔噴霧された液体の均一性の評価〕
実施例1〜2、比較例3のスリットノズルを、先端部が水平方向となるように設置し、液体流の流量を0.3L/min、第1気体流路の噴出口からの気体流の流量及び第2気体流路の噴出口からの気体流の流量を200NL/minとなるように設定して、液体を噴霧した。その際の噴霧口の状態を以下の基準に基づいて評価した。
A:噴出口の端部に液溜りが発生せず、液体の噴霧が良好。
B:噴出口の端部に液溜りはあるが、液体の噴霧は実用上十分なレベル。
C:噴出口の端部に液溜りが多く、液体の噴霧は実用不可レベル。
【0070】
【表1】
【0071】
図9に示す平均液滴径の測定結果から、実施例1はその他の噴霧ノズルとほぼ同等のエアー量で同等の平均液滴径の噴霧が得られることが分かった。また、図10に示す液滴径分布の測定結果から、スリットノズル(実施例1、比較例2)は、丸型2流体ノズル(比較例1)に比べて、液滴径分布において粗大液滴の分布が少なく、シャープな分布となることが分かった。更に、図10に示す液滴径分布の測定結果及び表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜2のスリットノズルは、比較例1〜3のノズルよりも、液滴径分布において更に粗大液滴の分布が少なく、更にシャープな分布となり、噴出口の端部の液溜りが少なく、液体の噴霧された状態がより均一であることが分かった。
【符号の説明】
【0072】
1 スリットノズル
11 先端部
12 液体流路
12e 噴出口
13 第1気体流路
13e 噴出口
14 第2気体流路
14e 噴出口
20 積層体
2 第1中間部材
21 先端部
22 傾斜面
23 貫通孔
24 凹部
241 第1深底凹部
241a T字形状の横棒部分、241b T字形状の縦棒部分
242 第2深底凹部
243 第3深底凹部
243a 隆起部
25 ボルト用締め付け孔
26 液体供給口
3 第2中間部材
31 先端部
32 傾斜面
33 貫通孔
34 凹部
341 第1深底凹部
341a T字形状の横棒部分、341b T字形状の縦棒部分
342 第2深底凹部
343 第3深底凹部
343a 隆起部
35 ボルト用締め付け孔
36 浅底凹部
4 第1部材
41 尖鋭部
42 傾斜面
43 貫通孔
44 凹部
441 第1凹部
442 第2凹部
442a 隆起部
443 第3凹部
444 平面部
45 液体導入口
46 液体供給路
47 気体導入口
48 ボルト用貫通孔
49 浅底凹部
5 第2部材
51 尖鋭部
52 傾斜面
53 貫通孔
54 凹部
541 第1凹部
542 第2凹部
542a 隆起部
543 第3凹部
544 平面部
57 気体導入口
58 ボルト用貫通孔
59 浅底凹部
6 液体溜室
71 第1気体溜部、72 気体流路、73 第2気体溜部
81 第1気体溜部、82 気体流路、83 第2気体溜部
91,92 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11