(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブラシ台は、電気的絶縁材にて形成されたブラシ台基台を有し、前記ブラシ台基台の前記シールド板と対面する側とは反対の側に位置して、前記ブラシ台基台に対して一体に前記ブラシ台シールド部材及び前記ロータリブラシ支持部材を形成することを特徴とする請求項2に記載の電気測定器。
【背景技術】
【0002】
一般に、ディジタルマルチメータ、テスター等の電気パラメータを測定する電気測定器には、マルチメータ機能切り替え、レンジ切り替えなどの測定機能を選択するための手段として測定者が手で操作するロータリ摘み及び回転スイッチ手段等を備えたロータリスイッチ装置が搭載されている。
【0003】
また、これら電気測定器は、その外装ケース内には、電気測定器の動作に必要な様々な回路素子等の電子部品が取付けられた回路基板が設置されており、該回路基板に上記ロータリスイッチ装置が作動的に連結されている。
【0004】
一般に、このような構成の電気測定器は、耐ノイズ性能を向上させ、外来ノイズにより電気測定器の動作が影響を受けないように、回路基板は外装ケース内にて好ましくはその両面が導電材とされる下シールド板及び上シールド板にて覆われており、この下シールド板及び上シールド板は回路GNDに接続されている。
【0005】
特許文献1には、上記構成の電気測定器の一例として、ディジタルマルチメータが記載されている。このディジタルマルチメータの概略構成を、本願添付の
図7を参照して更に説明すると、ディジタルマルチメータ100は、上ケース部材101と下ケース部材102とを備えており、この上、下ケース部材101、102にて画成されるメータ内部に回路基板103が配置され、回路基板103の両側には上シールド板104及び下シールド板105が配置されている。
【0006】
また、ディジタルマルチメータ100に搭載されたロータリスイッチ装置10は、ロータリ摘み11が回転支持軸12により回転スイッチ手段13に接続されている。回転スイッチ手段13は、ロータリブラシ16を備えており、回路基板103の接点(ロータリパターン接点)106に電気的に接触する。
【0007】
なお、ロータリ摘み11と回転スイッチ手段13との間には、ロータリ摘み11を回転スイッチ手段13に接続したり、更には、戻り止め機構(或いは、クリック機構)107などを設置するために、上シールド板104には、大径の孔(開口部)108が形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、このような構造のディジタルマルチメータ等の電気測定器について多くの研究実験を行ったところ、例え、上記特許文献1に記載するように、回路基板103の両面を導電性のシールド板104、105で覆い、シールド板104、105を回路GNDに接続したとしても、上述のように、回転スイッチ手段13の上部のシールド材(上シールド板104)には大径の孔(開口部)108が形成されており、回路基板103はこの開口部108を介しての外来ノイズの影響を受け易いことが分かった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、シールド板に開口部が形成されていても回路基板がノイズの影響を受けることを抑制し、より優れた耐ノイズ性能を実現した、ロータリスイッチ装置を搭載した電気測定器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は本発明に係る電気測定器にて達成される。要約すれば、本発明の第一の態様によれば、
電気的パラメータを測定する電気測定器であって、
回路素子等が設けられた回路基板と、前記回路基板上に設けられた回路素子等をシールドするためのシールド板との間に位置して、電気測定器の測定機能を選択するためにロータリ摘みにより回転操作される回転スイッチ手段を備え、前記回転スイッチ手段のロータリブラシが前記回路基板のロータリパターン接点に電気的に接触するロータリスイッチ装置を搭載した電気測定器において、
前記回転スイッチ手段は、前記ロータリブラシを支持するブラシ台を備え、
前記ブラシ台は、前記ロータリブラシを取付けるための電気的絶縁材で形成されたロータリブラシ支持部材と、前記ロータリブラシ支持部材の前記シールド板と対面する側に位置して前記ロータリブラシ支持部材と一体に形成された導電性のブラシ台シールド部材と、を有し、
前記ブラシ台シールド部材は、前記ブラシ台シールド部材に取付けられたシールド接続ブラシにて前記シールド板に電気的に接続されている、
ことを特徴とする電気測定器が提供される。
【0012】
本発明の第二態様によれば、
電気的パラメータを測定する電気測定器であって、
回路素子等が設けられた回路基板と、前記回路基板上に設けられた回路素子等をシールドするためのシールド板との間に位置して、電気測定器の測定機能を選択するためにロータリ摘みにより回転操作される回転スイッチ手段を備え、前記回転スイッチ手段のロータリブラシが前記回路基板のロータリパターン接点に電気的に接触するロータリスイッチ装置を搭載した電気測定器において、
前記回転スイッチ手段は、前記ロータリブラシを支持するブラシ台を備え、
前記ブラシ台は、前記ロータリブラシを取付けるための電気的絶縁材で形成されたロータリブラシ支持部材と、前記ロータリブラシ支持部材の前記シールド板と対面する側に位置して前記ロータリブラシ支持部材と一体に形成された導電性のブラシ台シールド部材と、を有し、
前記ブラシ台シールド部材は、前記ブラシ台シールド部材に取付けられたシールド接続ブラシにて前記回路基板にロータリパターン接点の一つとして形成された回路GNDロータリパターン接点に電気的に接続されている、
ことを特徴とする電気測定器が提供される。ここで、一実施態様によれば、前記ブラシ台は、電気的絶縁材にて形成されたブラシ台基台を有し、前記ブラシ台基台の前記シールド板と対面する側とは反対の側に位置して、前記ブラシ台基台に対して一体に前記ブラシ台シールド部材及び前記ロータリブラシ支持部材を形成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シールド板に開口部が形成されていても回路基板がノイズの影響を受けることを抑制し、より優れた耐ノイズ性能を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電気測定器を図面に則して更に詳しく説明する。
【0016】
実施例1
図1に、本発明に係るロータリスイッチ装置10を搭載した電気測定器100の一実施例を示す。本実施例では、電気測定器100は、
図7を参照して説明した特許文献1に記載のディジタルマルチメータと同様の構成のディジタルマルチメータとされる。ただ、本発明の電気測定器100は、斯かる構成のディジタルマルチメータに限定されるものではなく、電気的パラメータを測定するためにロータリスイッチ装置10を搭載した種々の電気測定器に幅広く具現化し得る。
【0017】
つまり、本発明の電気測定器100は、主たる構成として、回路素子等が設けられた回路基板103と、回路基板103上に設けられた回路素子等を外来ノイズからシールドするためのシールド板104とを備え、シールド板104と回路基板103との間に位置して、ロータリ摘み11により回転操作されて測定器の機能を選択するための回転スイッチ手段13を備えたロータリスイッチ装置10が配置されている。
【0018】
更に詳しく説明すると、本実施例にて、ディジタルマルチメータ100は、
図7に記載のディジタルマルチメータと同様に、上ケース部材101と下ケース部材102を備えており、この上、下ケース部材101、102の内部に回路基板103が配置され、その両側に導電性部材にて形成された上シールド板104及び下シールド板105が配置されている。
【0019】
本発明の特徴ある構成を有するロータリスイッチ装置10の一実施例を示す
図2(a)、(b)、(c)をも参照すると理解されるように、ロータリスイッチ装置10を構成する回転セレクタノブ、即ち、ロータリ摘み11は、その取付け孔11aに、回転スイッチ手段13に一体的に設けられた回転支持軸12の一端12aが固定的に接続され、回転支持軸12の上記ロータリ摘み11とは反対側の先端12bは回路基板103の軸受け孔103aに回転自在に軸受けされている。従って、ロータリ摘み11を回転操作することにより回転スイッチ手段13が回転する。
【0020】
なお、ロータリ摘み11と回転スイッチ手段13との間には、
図7に示すような戻り止め機構(或いは、クリック機構)107等が設置されているが、斯かる機構は、当業者には周知の構造であるので、
図2(a)には図示していない。
【0021】
本実施例によると、ロータリスイッチ装置10の回転スイッチ手段13は、
図5(a)に示すような回路基板103に形成されたロータリパターン接点(固定接点部材)106に電気的に接触するためのばね性の可動接点部材とされるロータリブラシ16を取付けるためのブラシ台14を有している。本実施例では、ブラシ台14は、ブラシ台14の一方の側面(
図2(a)にて下方の面)に位置して配置された電気的絶縁性のロータリブラシ支持部材14aと、ブラシ台14の他方の側面(
図2(a)にて上方の面)に位置してロータリブラシ支持部材14aと一体に形成された導電性のブラシ台シールド部材14bとを有している。
【0022】
本実施例にてロータリブラシ支持部材14aは、ブラシ台14の基台として機能しており、例えば、ポリアセタールのような合成樹脂にて作製された、概略直径(d)が4〜6cm、厚み(t1)が1〜2mmの円板状とされ、所定配置にてロータリブラシ16が取付けられている。ロータリブラシ16は、上述のように、回路基板103のロータリパターン接点106に摺動接触する。なお、本実施例では、ロータリブラシ支持部材14aの周囲にロータリブラシ支持部材14aと一体にフランジ15が形成されているが、必須のものではない。
【0023】
各ロータリブラシ16は、上述したように、回路基板103に形成された、例えば、
図5(a)に示すような形状とされる接点(ロータリパターン接点)106に接触するように構成されている。本実施例にてロータリブラシ16は、
図2(b)に示すように、二股に形成された山形形状の薄板ばね接点部材16aが取付け基台16bにてロータリブラシ支持部材14aに固定されているが、ロータリブラシ16の形状は、これに限定されるものではない。
【0024】
本実施例にてブラシ台シールド部材14bは、金属材料にて好適に作製され、本実施例では、厚み(t2)が0.1〜1mmとされる薄板円板状の銅、アルミニウム、鋼などが使用される。場合によっては、カーボン等が混入された導電性樹脂材で作製することもできる。ブラシ台シールド部材14bは、基台とされるロータリブラシ支持部材14aを成型する際に、同時に、ロータリブラシ支持部材14aと一体に成形することもできるが、別部品として作製されたロータリブラシ支持部材14aとブラシ台シールド部材14bとを接着剤にて後接着或いは溶着することもできる。また、上述したように、ブラシ台14は、回転支持軸12が回転中心を貫通して一体に固定されているが、この回転支持軸12は、ロータリブラシ支持部材14aもまた一体に樹脂にて成形することができる。
【0025】
更に、本実施例によると、ブラシ台シールド部材14bには、
図2(a)、(c)に示すように、1個又は複数個(本実施例では2個)のシールド接続ブラシ17がロータリブラシ16とは反対側の面に取付けられている。シールド接続ブラシ17は、上記ロータリブラシ16として使用される薄板ばね接点部材と同様に、二股に形成された山形形状の薄板ばね接点部材17aが取付け基台17bにてブラシ台シールド部材14bに固定されているが、ロータリブラシ17の形状は、これに限定されるものではない。
【0026】
このシールド接続ブラシ17は、ディジタルマルチメータ100の各構成要素が所定作動位置に組み立てられた状態では、上シールド板104の開口部108の領域外にて上シールド板104に接触し、シールド接続ブラシ17は上シールド板104に電気的に接続されることとなる。上シールド板104は、図示してはいないが、従来メータと同じように、ネジ部材或いはリード線などを介して回路基板103の回路GNDに電気的に接続されている。
【0027】
ロータリスイッチ装置10をディジタルマルチメータに組み込んだ状態では、上述のように、回転スイッチ手段13のロータリブラシ16は、回路基板103のロータリパターン接点106に接触し、また、回転スイッチ手段13のシールド接続ブラシ17は、上シールド板104に接触する。従って、ロータリ摘み11を回転すれば、回転スイッチ手段13が回転し、ロータリブラシ16は、回路基板103の所定のロータリパターン接点106に接触して測定機能を切り替え、また、シールド接続ブラシ17は、上シールド板104に接触し、その状態を維持している。回転支持軸12は、上シールド板104の開口部108の領域(略直径2cm)に対して小径(略直径5mm)とされ、実質的に開口部108の全領域がブラシ台シールド部材14bにて覆われた状態となる。
【0028】
このように、本実施例によると、上シールド板104の開口部108に相当する領域は、回転スイッチ手段13のブラシ台シールド部材14bにより実質的に覆われた、即ち、閉鎖された状態とされ、従来の上シールド板104の開口部108を介しての外来ノイズ信号は、回転スイッチ手段13のブラシ台シールド部材14bにて遮断される。従って、回路基板103が外来ノイズ信号により悪影響を受けるのが改善される。
【0029】
(変更実施例)
上記実施例では、回転スイッチ手段13のブラシ台14は、概略直径(d)が4〜6cm、厚み(t1)が1〜2mmの電気絶縁部材にて作製された円板状のロータリブラシ支持部材14aと、厚み(t2)が0.1〜1mmの導電性のブラシ台シールド部材14bとを一体に接合した形状であるとして説明したが、本実施例では、
図3に示すように、シールド接続ブラシ17を支持するブラシ台シールド部材14bを概略直径(d)が4〜6cm、厚み(t2)が1〜2mm程度の導電性部材にて作製し、この導電性のブラシ台シールド部材14bの下面に、厚み(t1)が0.1〜1mm程度の電気絶縁部材とされる薄板円板状のロータリブラシ支持部材14aを一体に接合し、ロータリブラシ16をロータリブラシ支持部材14aに取付ける構造とすることもできる。つまり、この変更実施例では、シールド接続ブラシ17を支持するブラシ台シールド部材14bがブラシ台14の基台として機能する。
【0030】
斯かる構成によっても上記実施例と同様の作用効果を奏し得る。
【0031】
実施例2
次に、本発明に係る電気測定器の第二の実施例について説明する。
【0032】
本実施例の電気測定器100の全体構成は、
図1を参照して説明した実施例1の電気測定器100と同様の構成とされ、本実施例では、ロータリスイッチ装置10の構成において異なる。従って、本実施例のロータリスイッチ装置10について詳しく説明する。
【0033】
図4(a)、(b)を参照すると、本実施例では、ロータリスイッチ装置10の回転スイッチ手段13にて、ブラシ台14は、ブラシ台14の一方の側面(
図4(a)にて下方の面)に位置して配置された電気的絶縁性のロータリブラシ支持部材14aと、ブラシ台14の他方の側面(
図4(a)にて上方の面)に位置してロータリブラシ支持部材14aと一体に形成された導電性のブラシ台シールド部材14bとを有している。
【0034】
本実施例にてブラシ台シールド部材14bは、ブラシ台14の基台として機能しており、例えば、導電性部材にて作製された、概略直径(d)が4〜6cm、厚み(t2)が1〜2mmの円板状とされる。導電性部材は、銅、アルミニウム、鋼などが使用され、場合によっては、カーボン等が混入された導電性樹脂も使用し得る。また、ブラシ台シールド部材14bの下面に接合されたロータリブラシ支持部材14aは、厚み(t1)が0.1〜1mm程度の、例えば、ポリアセタールのような合成樹脂にて作製される。
【0035】
ロータリブラシ支持部材4aには、ブラシ台シールド部材14bとは反対側の面に、所定配置にてロータリブラシ16が取付けられる。各ロータリブラシ16は、回路基板103に形成された、例えば、
図5(b)に示すような形状とされる接点(ロータリパターン接点)106に接触するように構成されている。
【0036】
本実施例にてロータリブラシ16は、
図4(b)に示すように、二股に形成された山形形状の薄板ばね接点部材16aが取付け基台16bにてロータリブラシ支持部材14aに固定されているが、ロータリブラシ16の形状は、これに限定されるものではない。
【0037】
更にブラシ台シールド部材14bには、シールド接続ブラシ17が取付けられている。本実施例では、シールド接続ブラシ17は、ブラシ台14にてロータリブラシ16と同じ側に配置されており、シールド接続ブラシ位置に相当するロータリブラシ支持部材14aを切除し(切除領域18)、シールド接続ブラシ17が直接ブラシ台シールド部材14bに取付けられる。シールド接続ブラシ17は、ロータリブラシ16と同様に、二股に形成された山形形状の薄板ばね接点部材17aが取付け基台17bにてブラシ台シールド部材14bに固定されているが、シールド接続ブラシ17の形状は、これに限定されるものではない。このシールド接続ブラシ17は、回転スイッチ手段13が回路基板103に対して所定作動位置に組み立てられた状態では、回路基板103に形成された、例えば、
図5(b)に示すように、ブラシの可動範囲にて、GNDレベルのロータリパターン、即ち、回路GNDパターン109に接触し、シールド接続ブラシ17、即ち、ブラシ台シールド部材14bが常に回路GNDと等電位にするように構成されている。
【0038】
ブラシ台14は、回転中心に一体に回転支持軸12が設けられており、回転支持軸12の一端、
図4(a)にて上方端12aは、ロータリ摘み11の取付け孔11aに固定的に取付けられ、また、他端、
図4(a)にて下方端12bは、回路基板103の軸受け孔103aに回転自在に嵌合される。
【0039】
ロータリスイッチ装置10をディジタルマルチメータ100に組み込んだ状態では、回転スイッチ手段13のロータリ接点ブラシ16は、
図5(b)にて、回路基板103のロータリパターン接点106に接触し、また、回転スイッチ手段13のシールド接続ブラシ17は、回路基板103のロータリパターン接点の一つである回路GNDロータリパターン接点109に接触する。従って、ロータリ摘み11を回転すれば、回転スイッチ手段13が回転し、ロータリ接点ブラシ16は、回路基板103のロータリパターン接点106に接触して測定機能を切り替える。なお、ロータリ摘み11の可動範囲にて、シールド接続ブラシ17は、ブラシ台シールド部材14bを回路GNDロータリパターン接点109に接続した状態に維持する。
【0040】
このように、本実施例によると、上シールド板104の開口部108に相当する領域は、回転スイッチ手段13のブラシ台シールド部材14bにより実質的に覆われた、即ち、閉鎖された状態とされ、従来の上シールド板104の開口部108を介しての外来ノイズ信号は、回転スイッチ手段13のブラシ台シールド部材14bにて遮断される。従って、回路基板103が外来ノイズ信号により悪影響を受けるのが改善され、より優れた耐ノイズ性能が実現できる。
【0041】
実施例3
次に、本発明に係る電気測定器の第三の実施例について説明する。
【0042】
本実施例の電気測定器100の全体構成は、
図1を参照して説明した実施例1の電気測定器100と同様の構成とされ、本実施例では、ロータリスイッチ装置10の構成において異なる。従って、本実施例のロータリスイッチ装置10について詳しく説明する。
【0043】
図6(a)、(b)を参照すると、本実施例では、ロータリスイッチ装置10の回転スイッチ手段13にて、ブラシ台14は、実施例2と同様に、電気絶縁性のロータリブラシ支持部材14aと、導電性のブラシ台シールド部材14bとを備えているが、更に、これら部材を一体に支持する電気絶縁性のブラシ台基台14cを有している点で異なる。
【0044】
つまり、本実施例では、実施例2と同様に、ブラシ台シールド部材14bは、金属材料とされ、通常、直径(d)が4〜6cm、厚み(t2)が0.1〜1mm程度の銅、アルミニウム、鋼などが使用される。場合によっては、カーボン等が混入された導電性樹脂で作製することもできる。更に、ブラシ台シールド部材14bの下面に一体に接合されたロータリブラシ支持部材14aは、厚み(t1)が0.1〜1mm程度の、例えば、ポリアセタールのような合成樹脂にて作製される。
【0045】
特に、本実施例では、ロータリブラシ支持部材14aとブラシ台シールド部材14bとは、ブラシ台シールド部材14b側に配置された厚さ(t3)が1〜2mmとされる例えば、ポリアセタールのような合成樹脂にて作製された、電気絶縁性のブラシ台基台14cにて一体に保持されている。なお、ブラシ基台14cの下面側に突出してブラシ台14の外周囲にフランジ15が形成されているが、必須のものではない。
【0046】
これらブラシ基台14c、ブラシ台シールド部材14b、ロータリブラシ支持部材14aは、ブラシ基台14cを成型する際に一体に成形することもできるが、それぞれ別部品として作製し、これらを接着剤等にて後接着或いは溶着することもできる。
【0047】
本実施例によると、ロータリブラシ支持部材14aには、ブラシ台シールド部材14bとは反対側の面に、所定の配置にてロータリブラシ16が取付けられる。各ブラシ16は、回路基板103に形成された、例えば、
図5(b)に示すような形状とされる接点(ロータリパターン)106に接触するように構成されている。
【0048】
本実施例にてロータリブラシ16は、
図6(b)に示すように、二股に形成された山形形状の薄板ばね接点部材16aが取付け基台16bにてロータリブラシ支持部材14aに固定されているが、ブラシの形状は、これに限定されるものではない。
【0049】
更にブラシ台シールド部材14bには、シールド接続ブラシ17が取付けられている。本実施例では、シールド接続ブラシ17は、ブラシ台14にてロータリブラシ16と同じ側に配置されており、シールド接続ブラシ位置に相当するロータリブラシ支持部材14aを切除し(切除領域18)、シールド接続ブラシ17が直接ブラシ台シールド部材14bに取付けられる。シールド接続ブラシ17は、ロータリブラシ16と同様に、二股に形成された山形形状の薄板ばね接点部材17aが取付け基台17bにてブラシ台シールド部材14bに固定されているが、シールド接続ブラシ17の形状は、これに限定されるものではない。このシールド接続ブラシ17は、回転スイッチ手段13が回路基板103に対して所定作動位置に組み立てられた状態では、回路基板103に形成された、例えば、
図5(b)に示すように、ブラシの可動範囲にて、GNDレベルのロータリパターン、即ち、回路GNDパターン109に接触し、シールド接続ブラシ17、即ち、ブラシ台シールド部材14bが常に回路GNDと等電位にするように構成されている。
【0050】
ブラシ台14は、回転中心に一体に回転支持軸12が設けられている。この回転支持軸12は、ブラシ台14と一体に成形することもできるが、別部材として作製し、ブラシ台14に後で一体に固定することもできる。回転支持軸12の一端、
図6(a)にて上方端12aは、ロータリ摘み11の取付け孔11aに固定的に取付けられ、また、他端、
図6(a)にて下方端12bは、回路基板103の軸受け孔103aに回転自在に嵌合される。
【0051】
ロータリスイッチ装置10をディジタルマルチメータ100に組み込んだ状態では、
図5(b)にて、回転スイッチ手段13のロータリ接点ブラシ16は、回路基板103のロータリパターン接点106に接触し、また、回転スイッチ手段13のシールド接続ブラシ17は、回路基板103のロータリパターン接点の一つである回路GNDロータリパターン接点109に接触する。従って、ロータリ摘み11を回転すれば、回転スイッチ手段13が回転し、ロータリ接点ブラシ16は、回路基板103のロータリパターン接点106に接触して測定機能を切り替える。なお、ロータリ摘み11の可動範囲にて、シールド接続ブラシ17は、ブラシ台シールド部材14bを回路GNDロータリパターン接点109に接続した状態に維持する。
【0052】
このように、本実施例によると、上シールド板104の開口部108に相当する領域は、回転スイッチ手段13のブラシ台シールド部材14bにより実質的に覆われた、即ち、閉鎖された状態とされ、従来の上シールド板104の開口部108を介しての外来ノイズ信号は、回転スイッチ手段13にて遮断される。従って、回路基板103が外来ノイズ信号により悪影響を受けるのが改善され、より優れた耐ノイズ性能が実現できる。