(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上下に嵌合する上部組付け部材及び下部組付け部材と、該下部組付け部材内に設けられ、底板及びその両側端から立設する側板を有する溝形状の集砂受枠と、を備え、地下において雨水を集めるとともに、外部に流出又は浸透させる雨水貯留浸透槽において、前記集砂受枠を前記下部組付け部材に対して保持するための集砂受枠の取付部材であって、
前記上部組付け部材の下面に突設して設けられるとともに、前記集砂受枠の両側板の上端部のそれぞれに係合する受枠保持部を有してなり、
該受枠保持部は、
前記集砂受枠の上端部の上方に位置する上部係止壁と、
前記上端部の少なくともいずれか一方の側方に位置する側部係止壁と、
を備えていることを特徴とする集砂受枠の取付部材。
前記受枠保持部は、前記上部係止壁と、前記集砂受枠の一方の上端部の両側から挟持する一対の前記側部係止壁と、を有する凹形状をなしていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の集砂受枠の取付部材。
前記一対の側部係止壁のうち少なくとも一方における、前記集砂受枠に対向する面には、下方に向かうに従って漸次、前記集砂受枠の上端部から幅方向に離れる方向に傾斜するテーパー面が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の集砂受枠の取付部材。
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の集砂受枠の取付部材を有し、地中に埋設されて道路の表面から流下した雨水を一時的に貯留するとともに外部に放出し浸透させる前記雨水貯留浸透槽を備えたことを特徴とする雨水貯留浸透設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の集砂受枠の取付部材では、係止部と保持部との離間を広げたときの反発力により集砂受枠の上端部を挟持する構成であるので、長期にわたる使用によって前記反発力が低下し、集砂受枠から外れるという問題があった。
【0006】
また、上記、特許文献1では、取付部材は幅方向には動きにくいが、上方への移動が規制されていないため、下部組付け部材に集砂受枠を取り付ける施工時や、集砂受枠を高圧ジェット等を用いて洗浄する時など集砂受枠に外力が作用し、集砂受枠が浮き上がると、取付部材が集砂受枠と共に上側に移動し、取付部材が集砂受枠から外れてしまい、集砂受枠が所定位置から大きくずれるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、上方への移動を規制して集砂受枠に対して外れにくくすることで、取付部材の保持状態を確保することができるうえ、集砂受枠の位置や姿勢を長期的に安定して維持することができる集砂受枠の取付部材および雨水貯留浸透設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る集砂受枠の取付部材では、上下に嵌合する組付け部材と、該組付け部材のうち下部組付け部材内に設けられ、底板及びその両側端から立設する側板を有する溝形状の集砂受枠と、を備え、地下において雨水を集めるとともに、外部に流出又は浸透させる雨水貯留浸透槽において、前記集砂受枠を前記下部組付け部材に保持するための集砂受枠の取付部材であって、上部組付け部材の下面に突設して設けられるとともに、前記集砂受枠の両側板の上端部のそれぞれに係合する受枠保持部を有してなり、該受枠保持部は、下面を前記上端部に当接させることで、前記集砂受枠の浮き上がりを規制する上部係止壁と、前記上端部の側面に当接させることで、前記集砂受枠の受枠軸に対して水平方向に直交する幅方向への移動を規制する側部係止壁と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る取付部材によれば、上部組付け部材の下面から突設するように設けられており、取付部材の上方への移動が上部組付け部材によって規制され、受枠保持部の上下方向の位置が移動しない構成となる。そのため、集砂受枠が何らかの外力を受けて浮き上がろうとするときに、その上端部が受枠保持部の上部係止壁に当接しても、取付部材自体は上方へ移動することがないことから、集砂受枠の浮き上がりを上部係止壁によって規制することができる。また、集砂受枠の上端部の側方に取付部材の側部係止壁が位置するので、集砂受枠が幅方向(横方向)へ移動しようとしても、その移動が側部係止壁によって規制されることになる。
【0010】
したがって、下部組付け部材に集砂受枠を取り付ける施工時や、集砂受枠を高圧ジェット等を用いて洗浄する時などに、集砂受枠に対して外力が作用しても、集砂受枠と共に取付部材が浮き上がったり、幅方向にずれたりすることがなく、集砂受枠に対して外れにくくなり、その保持状態を確保することができ、集砂受枠の位置や姿勢を維持することができる。そのうえ、取付部材が反発力を利用した保持構造ではないので、長期的な使用により反発力が小さくなるのに伴って保持力が低下するといった不具合も生じないことから、集砂受枠の位置や姿勢を長期的に安定して維持することができる。
【0011】
また、取付部材が上部組付け部材に対して別体で設けられる場合であっても、取付部材が上部組付け部材によって上から押さえ付けられて姿勢が安定しているので、取付部材自体に外力が作用しても、その位置や姿勢が動くのを防止することができる。
【0012】
さらに、本発明では、雨水貯留浸透槽を構成する上部組付け部材に対して直接、取付部材を装着することができ、従来のように取付部材と組付け部材との間に、取付部材を取り付けるための別部材が不要となるので、部材費の増大を抑えることができる。
【0013】
また、本発明に係る集砂受枠の取付部材では、前記上部組付け部材には、その下面から垂設されて前記集砂受枠の幅方向に沿って延在する横リブが設けられ、当該取付部材には、前記横リブに着脱可能に装着される凹溝状の嵌合凹部が形成されていることが好ましい。
【0014】
この場合、上部組付け部材に装着される取付部材は、横リブの延在方向(幅方向)に直交する受枠軸方向に沿った移動が規制される。そのため、取付部材が受枠軸方向に動くことがないので、集砂受枠に対して安定した姿勢で保持することができる。
【0015】
また、本発明に係る集砂受枠の取付部材では、前記上部組付け部材には、その周壁の一部であって、前記幅方向に沿って延在する周壁リブが設けられ、該周壁リブに前記嵌合凹部を嵌合させて装着されていることが好ましい。
【0016】
この場合、周壁リブを用いて取付部材を簡単に上部組付け部材に装着することができる。しかも、上部組付け部材の外周部に位置する周壁リブに取付部材が配置されるので、組付け部材の外方から取付部材を装着することが容易になり、施工性を向上させることができる。そのうえ、組み付け後においても外から見えやすいことから、集砂受枠に対する保持状態、或いは取付部材自体の上部組付け部材に対する装着状態を目視により確認し易くなるという利点がある。
【0017】
また、本発明に係る集砂受枠の取付部材では、前記受枠保持部は、前記上部係止壁と、前記集砂受枠の一方の上端部の両側から挟持する一対の前記側部係止壁と、を有する凹形状をなしていることが好ましい。
【0018】
この場合には、集砂受枠の上端部が上部係止壁と一対の側部係止壁とからなる凹形状部分によって跨るようにして囲まれているので、集砂受枠の浮き上がり、および幅方向への移動を確実に規制することができる。
【0019】
また、本発明に係る集砂受枠の取付部材では、前記一対の側部係止壁のうち少なくとも一方における、前記集砂受枠に対向する面には、下方に向かうに従って漸次、前記集砂受枠の上端部から幅方向に離れる方向に傾斜するテーパー面が形成されていることが好ましい。
【0020】
この場合には、集砂受枠の上端部の幅方向の両側に位置する側部係止壁同士の間隔の開口側(下側)が広がっているので、施工時において集砂受枠の上端部に対して受枠保持部で保持させる際の施工がし易くなり、施工性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明に係る集砂受枠の取付部材では、前記集砂受枠は、その上端部から前記集砂受枠の幅方向の外側に向けて延ばされた上縁カール部が設けられ、前記側部係止壁における前記幅方向で前記集砂受枠の外側に位置する外壁部の下端には、前記上縁カール部の下端に係止するツメ部が前記集砂受枠の側板に向けて突出していることが好ましい。
【0022】
この場合には、集砂受枠の上縁カール部が取付部材のツメ部によって下方への移動も規制しているので、例えば集砂受枠がその長さ方向に沿う軸回りに回転する方向に傾いて、集砂受枠の一方の上端部が下方に移動しようとしても、ツメ部によって上縁カール部の下方への移動が規制されることになり、集砂受枠に対してより外れにくくなり、その保持状態を確保することができる。
【0023】
また、本発明に係る雨水貯留浸透設備では、上述した集砂受枠の取付部材を有し、地中に埋設されて道路の表面から流下した雨水を一時的に貯留するとともに外部に放出し浸透させる前記雨水貯留浸透槽を備えたことを特徴としている。
【0024】
本発明では、上述した集砂受枠の取付部材の作用効果を有する雨水貯留浸透槽を備えた雨水貯留浸透設備を地中に埋設させて設置することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の集砂受枠の取付部材および雨水貯留浸透設備によれば、上方への移動を規制して集砂受枠に対して外れにくくすることで、取付部材の保持状態を確保することができるうえ、集砂受枠の位置や姿勢を長期的に安定して維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態による集砂受枠の取付部材および雨水貯留浸透設備について、図面に基づいて説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1の符号1は、地下において雨水を集めるとともに、外部に流出又は浸透させる雨水貯留浸透槽を示している。雨水貯留浸透槽1は、上下に嵌合する上部組付け部材2及び下部組付け部材3と、下部組付け部材3内に設けられた溝形状の集砂受枠4と、を備えている。そして、本第1の実施の形態による集砂受枠4の取付部材10は、雨水貯留浸透槽1において、集砂受枠4を下部組付け部材3に対して保持するためのものであり、上部組付け部材2の下面に突設して設けられている。
【0029】
図1に示すように、上部組付け部材2及び下部組付け部材3は、例えば射出成形によって形成されるポリプロピレンなどの合成樹脂からなり、所望の一方向に沿って並べて設けられ、さらに縦方向Yにも重ねて組み合わせられることで、これら複数組の組付け部材2、3のそれぞれの内部に雨水を貯留する貯留空間Rを有している。このときの一方向の配列方向を、以下、「長さ方向X」という。組付け部材2、3は、嵌合により縦方向Y(上下方向)に連結可能であり、長さ方向Xには連結させずに配置されている。なお、長さ方向Xに隣接する組付け部材2、3同士の適宜な連結手段により連結させることも可能である。そして、集砂受枠4は、その受枠軸Oを長さ方向Xに沿う方向に向けて配設されている。
ここで、以下の説明では、平面視で長さ方向Xに直交する方向であって、受枠軸Oに対して水平方向に直交する方向を幅方向Wとする。
【0030】
上部組付け部材2は、平面視で矩形状(ここでは正方形状)の傾斜板21を備え、その四隅の角部において上下両方に突出する嵌合継手22が形成されている。傾斜板21の4辺をなす外周縁部のうち3箇所には周壁部23が形成され、周壁部23が形成されていない1辺部分に開口部24を形成している。上部組付け部材2は、開口部24側が長さ方向Xの下流側となる位置に配置されている。つまり、傾斜板21は、長さ方向Xで流通する雨水の上流側から下流側に向けて漸次、下向きとなる傾斜面が形成され、前記開口部24側に雨水が流れる。
【0031】
傾斜板21は、図示しない細孔が複数設けられており、傾斜板21上を流通する雨水の一部が前記細孔を通過して下部組付け部材3側へ流下するようになっている。また、傾斜板21上に流れる雨水の多くは開口部24より長さ方向Xの下流側に隣接される別の組付け部材へ向けて流出される。
【0032】
また、傾斜板21には、
図2および
図3に示すように、開口部24が配される下流側の外周縁部のみから垂設されるとともに、幅方向Wに沿って延在する周壁リブ25(横リブ)が設けられている(
図4参照)。周壁リブ25は、
図4に示すように、平面視で幅方向Wに沿って延在し、その延在方向の中央部には長さ方向Xに延びる補強リブ25aが交差して形成されている。
さらに、傾斜板21の下面には、中央リブ26(
図6参照)が縦横方向(長さ方向X及び幅方向W)に沿って設けられている。なお、前記中央リブ26については、後述する第2の実施の形態で詳しく説明する。
【0033】
嵌合継手22は、
図1に示すように、三角柱状で傾斜板21の上方及び下方に向けて突出しており、その上側部分が雌型嵌合継手22Aをなし、下側部分が雄型嵌合継手22Bをなしている。本実施の形態では雄型嵌合継手22Bが下部組付け部材3の後述する雌型の嵌合継手34に嵌合する。
【0034】
下部組付け部材3は、上部組付け部材2と同形状の平面視で矩形状(ここでは正方形状)の底盤31を備え、底盤31の外周縁部から全周にわたって周壁リブ32が立設され、平面視で周壁リブ32の内側に中央リブ33が縦横方向(長さ方向X及び幅方向W)、及び対角線方向等に沿って設けられている。なお、
図1では、幅方向Wに沿う横リブ33Aの一部が見えている。周壁リブ32および中央リブ33は同じ高さで設けられ、これらリブ上端を含む平面の四隅の角部において、三角柱状で上方に突出する嵌合継手34が形成されている。嵌合継手34は、上端に凹部が形成された雌型の継手部であり、上部組付け部材2の雄型嵌合継手22Bと嵌合する。なお、嵌合継手34は、底盤31とリブ32、33とからなるブロック体に対して一体でも別体でもよい。
【0035】
下部組付け部材3のリブ32、33を含む平面上の幅方向Wの中央には、集砂受枠4が長さ方向Xに沿って載置されている。集砂受枠4は、長さ方向Xの一端側と他端側のそれぞれにおいて、幅方向Wで一対の嵌合継手34、34同士の間に配置され、リブ32、33に対して非固定状態で設けられている。
【0036】
図1および
図2に示すように、集砂受枠4は、底板41及びその両側端から立設する側板42、42を有し、上端から幅方向Wの外側に向けて延ばされた上縁カール部43が設けられている。この集砂受枠4は、嵌合継手34の上端よりも低い位置となる高さ寸法となっている。ここで、本実施の形態では、前記上縁カール部43を含む部分を上端部4Aとして説明する。
この集砂受枠4は、組み付けられた上部組付け部材2と下部組付け部材3との間に形成される貯留空間Rに配置され、雨水とともに流入した土砂を集積するものであり、長さ方向Xに配列された複数の下部組付け部材3の全体にわたって長さ方向Xに連続するように配置される。
【0037】
図4に示すように、取付部材10は、上部組付け部材2の周壁リブ25に着脱可能に装着され、幅方向Wに沿って延在する凹溝状に形成された嵌合凹部11と、集砂受枠4の両側板42の上端部4Aのそれぞれに係合する受枠保持部12を有している。
嵌合凹部11は、周壁リブ25に嵌合する幅方向Wに沿う凹溝11aと、幅方向Wの中心部において補強リブ25aに嵌合する他の凹溝11cと、が互いに直交する方向に交差して形成されている。上記の他の凹溝11cは、嵌合凹部11の一方の側面から僅かに突出する程度で設けられている。
【0038】
受枠保持部12は、嵌合凹部11の下面11bにおいて、幅方向Wで両側に設けられている。具体的には、集砂受枠4の上端部4Aの上方に位置する上部係止壁13と、前記上端部4Aの両側に位置する側部係止壁14(幅方向Wで外側に位置する方を外壁部14Aとし、幅方向Wで内側に位置する方を内壁部14Bとする)と、を備えている。そして、側部係止壁14の下端は、集砂受枠4の上端部4Aの上面4aよりも下方に位置している。つまり、受枠保持部12は、上部係止壁13と、集砂受枠4の一方の上端部4Aの両側から挟持する外壁部14A及び内壁部14Bと、によって凹形状をなしている。
【0039】
内壁部14Bは、集砂受枠4に対向する面には、下方に向かうに従って漸次、集砂受枠4の上端部4Aから幅方向Wに離れる方向に傾斜するテーパー面14aが形成されている。
外壁部14Aは、内壁部14Bよりも下方に延びる長さが長く、鉛直方向に延びている。
【0040】
図3に示すように、内壁部14Bと外壁部14Aとの離間は、集砂受枠4の片方の上端部4Aの幅寸法と一致し、接触する間隔でもよい。或いは、前記上端部4Aの幅寸法よりも僅かに大きく設けるようにしてもよく、この場合には、施工誤差を吸収することが可能となるので、施工がし易くなるという利点がある。また、上部係止壁13は、取付部材10の嵌合凹部11を上部組付け部材2の周壁リブ25に挟持するようにして嵌合させた状態で、
図4に示すように、集砂受枠4の上面4aに上方から当接する位置でもよいし、上面4aに対して僅かに隙間をもたせた位置であってもよい。なお、このような隙間をもたせておくことで、組付け部材2、3の弾性変形や、取付部材10、集砂受枠4の施工誤差を吸収することが可能となるので、施工性を向上させることができる。
要は、上部係止壁13と一対の側部係止壁14A、14Bによって形成される凹部分によって集砂受枠4の上端部4Aを囲うように設けられていればよい。つまり、この状態において、集砂受枠4は浮き上がりと、幅方向Wへの移動と、が受枠保持部12によって規制され、所望の位置に保持されることになる。
【0041】
以上説明した集砂受枠の取付部材によれば、以下の作用効果を奏する。
すなわち、
図1に示すように、本実施の形態の集砂受枠の取付部材10では、上部組付け部材2の下面から突設するように設けられており、取付部材10の上方への移動が上部組付け部材2によって規制され、受枠保持部12の上下方向の位置が移動しない構成となる。そのため、集砂受枠4が何らかの外力を受けて浮き上がろうとするときに、その上端部4Aが受枠保持部12の上部係止壁13に当接しても、取付部材10自体は上方へ移動することがないことから、集砂受枠4の浮き上がりを上部係止壁13によって規制することができる。また、集砂受枠4の上端部4Aの側方に側部係止壁14(外壁部14A及び内壁部14B)が位置するので、集砂受枠4が幅方向W(横方向)へ移動しようとしても、その移動が側部係止壁14(14A、14B)によって規制されることになる。
【0042】
したがって、下部組付け部材3に集砂受枠4を取り付ける施工時や、集砂受枠4を高圧ジェット等を用いて洗浄する時などに、集砂受枠4に対して外力が作用しても、集砂受枠4と共に取付部材10が浮き上がったり、幅方向にずれたりすることがなく、集砂受枠4に対して外れにくくなり、その保持状態を確保することができ、集砂受枠4の位置や姿勢を維持することができる。
そのうえ、取付部材10が反発力を利用した保持構造ではないので、長期的な使用により反発力が小さくなるのに伴って保持力が低下するといった不具合も生じないことから、集砂受枠4の位置や姿勢を長期的に安定して維持することができる。
【0043】
また、取付部材10が本実施の形態のように上部組付け部材2に対して別体で設けられる場合であっても、取付部材10が上部組付け部材2によって上から押さえ付けられて姿勢が安定しているので、取付部材10自体に外力が作用しても、その位置や姿勢が動くのを防止することができる。
【0044】
さらに、雨水貯留浸透槽1を構成する上部組付け部材2に対して直接、取付部材10を装着することができ、従来のように取付部材と組付け部材との間に、取付部材を取り付けるための別部材が不要となるので、部材費の増大を抑えることができる。
【0045】
また、取付部材10には、周壁リブ25に着脱可能に装着される凹溝状の嵌合凹部11が形成されているので、上部組付け部材2に装着される取付部材10は、長さ方向X(受枠軸方向)への移動が規制される。そのため、取付部材10が受枠軸方向に動くことがないので、集砂受枠4に対して安定した姿勢で保持することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、周壁リブ25を用いて取付部材10を簡単に上部組付け部材2に装着することができる。
しかも、上部組付け部材2の外周部に位置する周壁リブ25の位置に取付部材10が配置されるので、組付け部材の外方から取付部材10を装着することが容易になり、施工性を向上させることができる。そのうえ、組み付け後においても外から見えやすいことから、集砂受枠4に対する保持状態、或いは取付部材10自体の上部組付け部材2に対する装着状態を目視により確認し易くなるという利点がある。
【0047】
さらに、本実施の形態の取付部材10は、集砂受枠4の上端部4Aが上部係止壁13と一対の側部係止壁14(外壁部14A及び内壁部14B)とからなる凹形状部分によって跨るようにして囲まれているので、集砂受枠4の浮き上がり、および幅方向Wへの移動を確実に規制することができる。
【0048】
さらにまた、取付部材10の内壁部14Bにテーパー面14aが形成されており、集砂受枠4の上端部4Aの幅方向Wの両側に位置する外壁部14Aおよび内壁部14B同士の間隔の開口側(下側)が広がっているので、施工時において集砂受枠4の上端部4Aに対して受枠保持部12で保持させる際の施工がし易くなり、施工性を向上させることができる。
【0049】
上述のように本実施の形態による取付部材10では、上部組付け部材2によって当該取付部材10の上方への移動を規制して集砂受枠4に対して外れにくくすることで、取付部材10の保持状態を確保することができるうえ、集砂受枠4の位置や姿勢を長期的に安定して維持することができる。
【0050】
次に、本発明の集砂受枠の取付部材による他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
【0051】
(第2の実施の形態)
図5に示すように、第2の実施の形態による集砂受枠4の取付部材10Aは、上部組付け部材2の下面側に設けられる中央リブ26に着脱可能に装着されている。中央リブ26は、
図6に示すように縦横方向(長さ方向X及び幅方向W)に沿って所定の間隔をあけて配置されており、本実施の形態では平面視で中心部分で交差する十字形状の縦横方向の中央リブ26Aの高さ寸法が他の中央リブ26Bよりも高さが低く(垂下寸法が短く)設定されている。そして、その中心部分の中央リブ26Aに第2の実施の形態による取付部材10Aが装着されている。
【0052】
図6〜
図8に示すように、取付部材10Aは、嵌合凹部11が略ハンガー形状をなしており、その中心部分Cに縦横が十字形状に交差する凹溝11a、11cが形成されている。すなわち、嵌合凹部11は、幅方向Wの中心部分(凸状部111a)から両側に向かうに従って漸次、下方に傾斜する支持体111と、支持体111の凸状部111aから上方に向けて突設されるとともに、上述した十字状の凹溝11a、11cが形成された嵌合部112と、を有している。
【0053】
図7に示すように、支持体111の幅方向Wの両側に位置する受枠保持部12は、それぞれ上述した第1の実施の形態と同様に、上部係止壁13と一対の側部係止壁14A、14Bとを備えている。内壁部14Bには、集砂受枠4に対向する面において、下方に向かうに従って漸次、集砂受枠4の上端部4Aから幅方向Wに離れる方向に傾斜するテーパー面14aが形成されている。そして、外壁部14Aにおける幅方向Wで集砂受枠4の外側に位置する下端には、集砂受枠4の上縁カール部43の下端43aに係止するツメ部14bが集砂受枠4の側板42に向けて突出している。
【0054】
本第2の実施の形態では、集砂受枠4の上縁カール部43が取付部材10Aのツメ部14bによって下方への移動も規制しているので、例えば集砂受枠4がその長さ方向Xに沿う軸回り(受枠軸回りを含む)に回転する方向に傾いて、集砂受枠4の一方の上端部4Aが下方に移動しようとしても、ツメ部14bによって上縁カール部43の下方への移動が規制されることになり、集砂受枠4に対してより外れにくくなり、その保持状態を確保することができる。
【0055】
なお、本実施の形態の嵌合凹部11の形状が十字状をなしているので、交差部でない幅方向Wのみの中央リブ26に対しても装着することができる。
【0056】
(第3の実施の形態)
図9(a)、(b)に示すように、第3の実施の形態の雨水貯留浸透槽1Aは、上述した第1〜2の実施の形態による雨水貯留浸透槽1(
図1、
図4等参照)よりも平面形状が大きく、上部組付け部材2A及び下部組付け部材3Aの中央リブ26(上部組付け部材2Aのみ
図10(b)参照)の配列数が多い形状となっている。例えば、上記第1の実施の形態における雨水貯留浸透槽1の上部組付け部材2及び下部組付け部材3の各四辺の1辺の長さが500mm(すなわち平面視で500mm角)であって、本第3の実施の形態による雨水貯留浸透槽1Aの上部組付け部材2A、下部組付け部材3Aはそれぞれ1000mm角となる。
【0057】
上部組付け部材2Aと下部組付け部材3Aは、それぞれの中央リブと周壁リブとが平面視で同位置に配置されている。そのため、上部取付け部材2Aについて具体的に説明し、下部組付け部材3Bの説明は省略する。
ここで、上部取付け部材2Aは、
図10(a)に示す矢印の方向に向けて紙面上から下に向かう傾斜板21を有している。なお、
図10(a)には、傾斜板21の裏面21aに取り付けられる本実施の形態の取付部材10Bを破線で示している。また、
図10(b)の二点鎖線は、縦横に延在する中央リブ26に取り付けられた取付部材10Bを示している。周壁リブ25は、四辺のうち前記傾斜板21の最も下った位置の1辺(これを開口縁21bという)を除いた3辺のみに設けられている。
【0058】
取付部材10Bは、
図10(a)、(b)に示すように、中央リブ26のうち最も開口縁21b側に位置して幅方向Wに沿って延びる取付リブ26aに着脱可能に装着されている。
図11及び
図12に示すように、取付部材10Bの嵌合凹部11には、長手方向(幅方向W)に沿って延びる凹溝11aが設けられるとともに、縦横が十字形状に交差する十字状凹溝11cが長手方向に間隔をあけて複数(ここでは3箇所)形成されている。隣り合う十字状凹溝11c同士の間隔は、縦横の中央リブ26(
図10)が交差する交差部P(P1〜P5)の間隔と一致している。すなわち、取付部材10Bは、3箇所の嵌合部(十字状凹溝11c)によって上部組付け部材2Aの取付リブ26aに取り付けられている。取付リブ26aに設けられる交差部Pは、
図10(b)に示すように本実施の形態では5箇所(P1〜P5)あり、そのうちの中央の3箇所(P2、P3、P4)に取付部材10Bの十字状凹溝11cが嵌合する。
なお、本実施の形態では、十字状凹溝11cを3箇所としているが、この箇所数は1箇所以上であればよく、5箇所すべての交差部P1〜P5に嵌合するように十字状凹溝11cを設けた取付部材10Bであってもかまわない。
【0059】
本実施の形態では、取付部材10Bの上部組付け部材2Aに対する装着位置が、上部組付け部材2Aの開口縁21bに近い取付リブ26aであるので、平面視で上部組付け部材2Aの中央部分に取り付ける場合に比べて視認性を向上させることができ、施工が容易になる利点がある。
【0060】
また、本実施の形態では、取付部材10Bの取り付け位置、すなわち取付リブ26aが平面視で開口縁21bよりも内側に位置しているので、上部組付け部材2Aから外側へのはみ出しを無くす、或いは少なくすることができ、
図9に示す複数の雨水貯留浸透槽1Aを組み合わせて貯留浸透施設(
図13参照)を組み立てる場合であっても、隣接する雨水貯留浸透槽1A同士が干渉するのを防ぐことができる。
【0061】
また、本実施の形態の取付部材10Bの受枠保持部12の形状は、
図11に示すように外壁部14Aと内壁部14Bを有する突起、コの字状、V字状、或いは半円状等であってもよい。本実施の形態のように、受枠保持部12が下に斜めに広く開くもしくは、斜めに出っ張る形状とすることで、施工時に集砂受枠の上端部を所定の位置までガイドし、施工性を向上することができる。
【0062】
(第4の実施の形態)
図13(a)〜(c)に示すように、第4の実施の形態の雨水貯留浸透設備Aは、上述した第1〜第3の実施の形態の雨水貯留浸透槽1、1A、1Bを備えることによって構成される設備であって、集砂受枠4の取付部材10、10A、10Bを有し、地中に埋設されて道路の表面から流下した雨水を一時的に貯留するとともに外部に放出し浸透させるための設備である。
ここでは、
図1に示す第1の実施の形態による雨水貯留浸透槽1を用いた雨水貯留浸透設備Aの構成について以下説明する。
【0063】
雨水貯留浸透設備Aは、下部組付け部材3がE方向に複数隣接配置されるとともに長尺の集砂受枠4(
図1及び
図2参照)が設置され、この下部組付け部材3,3、…上に取付部材10(
図1及び
図2参照)を介して上部組付け部材2が複数段積層されて雨水貯留浸透槽1が道路Mの路肩下方の地中に埋設されている。このように雨水貯留浸透槽1は、水平方向に下部組付け部材3が複数隣接配置された上方に、鉛直方向に上部組付け部材2を複数段積載されることで、地中に複数の内部空間Rからなる雨水の一時的な貯留空間が形成されることになる。
そして、集砂受枠4の両端部が位置する下部組付け部材3には、集砂受枠4内に流下した土砂の堆積状態を確認する点検口51,51が設置されている。また、最上段に位置する上部組付け部材2には、不図示の側溝から流下した雨水を収集する集水ますTが連結され、この集水ますTから雨水を収集して雨水貯留浸透槽1に流入させるようになっている。
【0064】
このように雨水貯留浸透設備Aでは、上述した集砂受枠4の取付部材10の作用効果を有する雨水貯留浸透槽1を備えた状態で、地中に埋設させて設置することができる。
【0065】
以上、本発明による集砂受枠の取付部材および雨水貯留浸透設備の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0066】
例えば、上述の本実施の形態では上部組付け部材2および下部組付け部材3がポリプロピレンなどの合成樹脂製の部材のものを採用しているが、このような部材に限定されることはなく、例えばコンクリートや金属製の部材を用いることも可能である。そして、上部組付け部材2や下部組付け部材3の形状、大きさ、リブや周壁部の構成は、限定されるものではなく適宜変更可能である。例えば、上部組付け部材2として傾斜板21を備えたものでなくても構わない。
【0067】
また、本実施の形態では、上部組付け部材2の下面に突設するリブ(周壁リブ25や中央リブ26)に対して別体の取付部材10、10Aを嵌合により装着しているが、取付部材が別体であることに限らず、取付部材を一体成形した上部組付け部材としてもかまわない。そのため、本実施の形態では取付部材10、10Aが上部組付け部材2のリブに対して嵌合する嵌合凹部11を備えた構成としているが、このような装着構造に限定されず、他の装着手段であっても良い。
【0068】
また、本実施の形態では受枠保持部12の側部係止壁14として集砂受枠4の上端部4Aを挟持するように外壁部14Aと内壁部14Bを設けた構成としているが、外壁部14Aと内壁部14Bのうちいずれか一方のみでもよい。要は、取付部材に設けられる一対の受枠保持部12のそれぞれが内壁部14Bのみを設けるか、又は外壁部14Aのみを設けるようにしてもよい。
さらに、本実施の形態では内壁部14Bにテーパー面14aを形成しているが、外壁部14Aにテーパー面を形成してもよいし、内壁部14Bと外壁部14Aの両方に形成してもよい。また、テーパー面を省略することも可能である。
【0069】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。